JP2568089C - - Google Patents

Info

Publication number
JP2568089C
JP2568089C JP2568089C JP 2568089 C JP2568089 C JP 2568089C JP 2568089 C JP2568089 C JP 2568089C
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
steel sheet
polyester
performance
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
Other languages
English (en)
Original Assignee
川崎製鉄株式会社
Publication date

Links

Description

【発明の詳細な説明】 (イ)発明の目的 「産業上の利用分野」 本発明は、2枚の鋼板の間に樹脂層を形成してなる複合型制振鋼板に用いられ
る樹脂組成物に関するもので、特に常温ないしはその近傍の温度において優れた
制振作用と高い接着性能を有する複合型制振鋼板の製造を可能にする樹脂組成物
に関するものであり、得られた複合型制振鋼板は騒音防止材料として、階段、ド
ア、床材などの建材用途は勿論、自動車のオイルパン、ボディー回りのダッシュ
パネル、フロアーパネル、ルーフパネル等従来使用が困難であった用途、或いは
モーター、コンプレッサーのカバーなどにも使用できるものであって、自動車業
界、土木建築業界、電機業界において巾広く利用できるものである。 「従来の技術」 制振鋼板は2枚の鋼板の間に粘弾性樹脂(以下中間樹脂という)層を介在させ
、その中間樹脂層により鋼板に加えられる振動を熱エネルギーに変換する騒音防
止材料である。この制振鋼板は、最近の騒音規制に対するニーズに対応し、自動
車のオイルパン、階段、ドア、床材などの建材、モーター、コンプレッサーのカ
バーなどに使用もしくは検討されている。 この制振鋼板の中間樹脂として、従来よりポリウレタン(特開昭47−192
77)、ビニルウレタン樹脂(特開昭50−39737)、ポリエステル樹脂(
特開昭50−143880)、ポリアミド樹脂(特開昭51−79146)、ポ
リ イソブチレン(特開昭54−43251)、エチレン/αオレフィン(特開昭5
5−84655)、EVA(特開昭57−34949),架橋ポリオレフィン(
特開昭59−152847)、ポリビニルアセタール(特開昭60−38149
)などが検討されており、アスファルト、合成ゴム、アクリル系粘着剤、エポキ
シ樹脂なども制振性能を有することが知られている。これらのうち、アクリル系
粘着剤、イソブチレンゴム、EVA等の常温で柔軟な樹脂は常温付近の温度で、
比較的高い制振性を有するが、常温における樹脂の凝集力が弱いため、接着強度
が弱く、当該樹脂を用いた制振鋼板は成形加工に耐えられず、かつ耐熱性もない
ため、これらの制振鋼板は平板に近い状態で使用される建材用途に利用されるの
みであった。 又、共重合、ブレンド等により変性されたポリオレフィン系樹脂、例えば、エ
チレン/αオレフィン樹脂などは、前者に比べ50℃〜100℃の高温側で比較
的制振性に優れ、常温における樹脂の凝集力が強く、成形加工に対する対応もあ
るため、当該樹脂を用いた制振鋼板は自動車のオイルパン等の高温で使用される
用途の制振鋼板に適しているといわれている。しかしながら、両者ともその用途
を限定したとしても、制振性能や接着性能において十分に満足すべき水準に達し
ているものとはいえず、さらに自動車ボディ回り部品を始めとして常温付近の温
度で高い制振性能を有し、かつ成形加工に追随する強い接着性能と高温下におけ
る接着耐熱性を要求される制振鋼板に適した樹脂はいまだ見出されていない。 又ポリエステル樹脂を制振鋼板用樹脂として検討した例として、分子量18
00以下のポリエステル樹脂とイソシアナート化合物でウレタンプレポリマーを
作り、硬化剤としてアミン化合物等を用いた、いわゆる発泡ポリウレタン樹脂(特
開昭47−19277)グリコールとフタル酸類よりなるガラス転移温度0℃
〜60℃のポリエステル樹脂(特開昭50−143880)ポリエステル樹脂
に有機過酸化物と充填剤を混合した樹脂などがあるが、の発泡ポリウレタン樹
脂は制振性が悪く、また接着性能も十分でなく、の樹脂は常温における接着性
能も十分でなく、また例えば100℃前後の耐熱性や耐久性に欠け、いずれも制
振鋼板用樹脂としての十分な性能を有していない。又は有機過酸化物架橋によ
り、高温加工又は加工後の加熱による強度低下を防止することを目的とするもの であるが、鋼板との積層前に架橋すれば、接着力が十分でず、又積層時に架橋す
れば過酸化物からの酸素の発生による発泡や、架橋反応が十分に進まない時は樹
脂が流れ出すという問題があり、しかも接着性能自体が悪いなど、満足すべき水
準に達していない。 「発明が解決しようとする問題点」 本発明は上記問題点を解決し、常温付近、具体的には0〜50℃の範囲で高い
制振性能を有し、かつ成形加工に追随する優れた接着性能と、高い温度下、具体
的には100℃以上における耐熱性を有し、積層加工性にも優れた複合型制振鋼
板用樹脂組成物を提供しようとするものである。 (ロ)発明の構成 「問題点を解決するための手段」 上記目的を達成するため、本発明者等は鋭意検討し、特定の飽和共重合ポリエ
ステルと多価イソシアナート化合物よりなる樹脂組成物を用いることにより、極
めて優れた特性を有する複合型制振鋼板が得られることを見出して、本発明に到
った。 即ち、本発明は、重量平均分子量が6000を越え軟化点が50℃以上150℃
以下で、構成成分中の酸成分の30モル%以上90モル%以下がテレフタール酸
基であり、グリコール成分の30モル%以上80モル%以下がエチレングリコー
ルである飽和共重合ポリエステルと架橋剤としての多価イソシアナート化合物か
らなり鎖延長剤を含有しないことを特徴とする複合型制振鋼板用樹脂組成物に関
するものである。 以下さらに詳しく本発明を説明する。 ○飽和共重合ポリエステル樹脂 本発明に用いる、飽和共重合ポリエステル樹脂は、R&B軟化点(JIS−K
−2531)により測定した軟化点が50℃以上150℃以下のものであり、軟
化点が50℃未満のものであると積層接着時の樹脂の流れ出しや樹脂の粘着性に
起因する加工時の汚れ、ベトツキによるトラブルを生じ、又軟化点が150℃を
越えるものであると積層加熱接着時に高温度を必要とするばかりでなく、接着性
能そのものも低下する。本発明にとり好ましいものは軟化点が80℃以上12 0℃以下のものである。 樹脂の分子量としては、液体ガスクロマトグラフィーによりポリスチレン換算
で測定した重量平均分子量で6000を越えるものであり、重量平均分子量が6
000以下であると、制振性能が低下するばかりでなく、接着性能も悪く、積層
時の樹脂の流れ出しや、接着直後の強度が著しく低いなどの問題を生じる。本発
明にとり好ましいものは重量平均分子量が20000以上50000以下のもの
である。 飽和共重合ポリエステルは、ジメチルテレフタル酸、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、フタル酸などの芳香族二塩基性酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、
βメチルアジピン酸、ピメリン酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸、アゼライン
酸、セバチン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカ
ルボン酸などの脂肪族二塩基性酸とエチレングリコール、1,2−プロパンジオ
ール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジ
オール、1,2−ペンタジオール、1,5−ペンタジオール、3−メチルペンタ
ジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シ
クロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのグリコールもしくは
その残基形成誘導体からなるポリエステルもしくはカプロラクトンよりなるもの
であるが、本発明の飽和共重合ポリエステルとして酸成分のうちテレフタル酸
残基が30モル%以上90モル%以下のものであり、テレフタル酸残基が30モ
ル%未満のものからなるポリエステルは凝集力が不足し、接着強度が弱くなった
り、積層接着直後の強度が得ずらく、加工時のトラブルになる場合がある。また
90モル%を越えるものは、同時に接着性能が低下する恐れがある。テレフタル
酸残基を上記の範囲で用いた際に、併用される二塩基性酸としては前述の芳香族
二塩基性酸又は脂肪族二塩基性酸が挙げられるが、好ましいものとしては、一種
以上の脂肪族二塩基性酸、特にはアジピン酸、セバチン酸のいずれかを挙げられ
る。グリコール成分、エチレングリコール残基が30モル%以上80モル%以
下のものであり、エチレングリコール残基が30モル%未満であると、接着性能 が低下し、80モル%を越えると、同様に接着性能が低下するばかりか、良好な
制振性能が得られない恐れがあり、好ましいものとしては40モル%以上70モ
ル%以下のものである。エチレングリコール残基を上記の範囲で用いた際に、併
用されるグリコール成分としては前述のグリコールが挙げられるが、より好まし
いものとしては、炭素数6のヘキサンジオール系グリコール又はポリエチレング
リコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコー
ルを挙げることができる。本発明の飽和共重合ポリエステルとして、たとえばマ
レイン酸、フマル酸、ダイマー酸などの不飽和脂肪酸、トリメリット酸などの二
官能性を越える脂肪酸、トリメチロールプロパン、ペンタエルスリトールなどの
二官能性を越える水酸基を有する化合物を共重合したものも使用可能であるが、
これらのモノマーは接着性能を低下したり、接着耐久性をそこなったり、制振性
能そのものを低下せしめる恐れがあるため、本発明の特徴をそこなわない範囲で
の使用が好ましい。 本発明の飽和共重合ポリエステルとして、粘弾性スペクトロメーターにより測
定したガラス転移温度が20℃以下のものが好ましく、ガラス転移温度が20℃
を越えるものは、常温付近での制振性能が低いばかりでなく、接着性能も低下す
る恐れがある。さらに好ましいものはガラス転移温度が0℃以下のものである。 また制振鋼板の積層加工性を考慮すると、本発明の飽和共重合ポリエステルと
してはトルエン、MEK、酢酸エチルなどの汎用溶剤に可溶であるものが好まし
く、溶剤に溶解することにより、鋼板への塗工が容易になり、積層部へのガスの
巻き込みがなく、加工時スポット溶接性付与のために必要な導電性粉末やフィラ
ー、添加剤の混合が容易になるなどの利点が生じる。 ○飽和共重合ポリエステルの合成方法 本発明で用いる飽和共重合ポリエステルは常法により合成することができ、一
般には前述の二塩基性酸とグリコールとのエステル化反応、及びそれに引き続く
高温減圧下で過剰のグリコールを留去しながらのエステル交換反応により合成す
るか、又はあらかじめ合成されたポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート等を所望の二塩基性酸及び過剰のグリコールの存在下、解重合し同
様にエステル交換反応により合成することができる。例えば、150℃〜220℃ に加熱しながら、常圧下に二塩基性酸とグリコールを主原料とし、主として金属
塩よりなる触媒の存在下で、エステル化反応によりオリゴエステル化を行い、引
き続き、常圧及び減圧下200℃〜270℃に加熱して過剰のグリコールを留去
することにより、高分子量化した飽和共重合ポリエステルが合成される。この時
、グリコールは所望するポリエステル組成における量の1.5倍〜2倍添加し、合
成することが好ましく、この時生成するポリエステルの組成は1H−NMRによ
り、モノマー残基のモル比を測定することにより調整される。又、重合触媒はテ
トラ−n−ブトキシチタン、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、蓚酸チタン酸カリな
どの金属塩よりなる通常の触媒から適宜選択される。 ○多価イソシアナート 本発明で用いる多価イソシアナートとしては、分子内に少なくとも2個以上の
イソシアナート基を有する化合物、具体的には2,4−トリレンジイソシアナー
ト、2,6−トリレンジイソシアナート(通称TDI),メチレン−ビス−4フ
ェニルイソシアナート(通称MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシア
ナート又はポリオール変性MDIなどのMDI誘導体、ヘキサメチレンジイソシ
アナート(通称HDI)及びその誘導体、イソホロンジイソシアナート(通称I
PDI)及びその誘導体、TDIをトリメチロールプロパンなどに付加したTD
I系アダクトポリイソシアナート、例えば市販品として、コロネートL、コロネ
ートHL(以上日本ポリウレタン)、ディスモフェンL、ディスモジュールN(住
友バイエルウレタン)、あらかじめ反応せしめた重合ポリイソシアナート、例え
ば市販品として、スプラセック3240、3250、コロネート2030、20
31、ディスモジュールIL、HL(住友バイエルウレタン)、イソシアナート
をカプロラクタム等でマスキングしたブロックドイソシアナート、あらかじめ低
分子量ポリエーテルと前述の多価イソシアナートを反応した末端イソシアナート
プレポリマーなどを挙げることができ、それらのいずれもが使用可能であるが、
接着性を向上させることが顕著なことから、本発明にとり好ましいものはアダク
トポリイソシアナート及び重合ポリイソシアナートである。飽和共重合ポリエス
テルに対するイソシアナートの添加量は、重量平均分子量より計算した飽和共重
合ポリエステル中の水酸基1当量に対し0.5当量以上20当量以下であること が好ましく、0.5当量未満であると、接着性能が不足し、積層後の耐熱性が不
足し、制振性能が低下する恐れがある。又、20当量を越えると、積層後の耐久
性が低下したり、制振性能自体も満足できないものとなる恐れがある。さらに好
ましくは2当量以上10当量以下、特には3当量以上8当量以下という過剰のイ
ソシアナートの添加が好ましい。この時、イソシアナートの一部が前述のポリエ
ステルとあらかじめ反応させておいたものも、本発明が奏する効果をあげること
ができる。 ○その他の添加剤 本発明の樹脂組成物には種々の添加剤を併用することもでき、併用できる添加
剤の例としては、本発明樹脂を構成する飽和共重合ポリエステル以外のポリエス
テル、末端水酸基を有するアクリル樹脂、ビスフェノール系エポキシ樹脂、クレ
ゾールノボラック系エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、スチレン、αメチルスチ
レンなどのスチレン系樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系
樹脂、炭化水素系樹脂、芳香族系樹脂、フェノール樹脂等の粘着性付与樹脂、ポ
リアルキレングリコールポリエステル系可塑剤、メラミン樹脂、オルガノファン
クショナルシラン(通称シランカップリング剤)、過酸化物などの架橋剤、金属
塩例えばn−ブチルスズジラウレート、アミン、グリコールなどのイソシアナー
硬化触媒などを挙げることができ、又、フィラーとして、炭酸カルシウム、タ
ルク、ハードシールなどの無機フィラー、制振鋼板にスポット溶接性、熱伝導性
を付与する目的で添加される鉄、銅、亜鉛、アルミなどの金属粉、誘導性金属酸
化物、カーボン粉又はカーボン繊維などの導電性材料の添加も可能であるが、こ
れらの添加剤は本発明の特徴をそこなわない範囲で添加されることが望ましい。 ○制振鋼板への適用方法 制振鋼板製造のため本発明の樹脂組成物が適用される鋼板としては、冷間圧延
鋼板(通称SPCC)、クロメート処理鋼板、亜鉛処理鋼板、リン酸処理鋼板な
どの表面処理鋼板、銅板、アルミ板、ステンレス板などのいずれであっても良く
、又コイル状原板、切り板のいずれであっても良い。又、その板厚としては、成
形加工性と保形性を考慮すれば0.3mm以上2mm以下のものが好ましい。 前述の飽和共重合ポリエステルと多価イソシアナートよりなる樹脂組成物は、 飽和共重合ポリエステルと多価イソシアナートが別々に保管され、制振鋼板製造
の際に両者が混合されて使用される、いわゆる主剤と硬化剤からなる二液型接着
剤の様に使用されるのが、一般的であるが、多価イソシアナートとしてブロック
ドイソシアナートを使用する時は勿論、本発明の飽和共重合ポリエステルはイソ
シアナートとかなり安定に存在するため混合された一液としても供給し得る。 より具体的には、例えば加熱溶融混合による押出フィルム、又は溶剤中で混合
し離型シート上にコーティングした後、溶剤を留去した、いわゆるキャスティン
グフィルムとして用い、二枚の鋼板の間に積層し、加熱ロール、熱プレス接着も
しくは引き続き冷却ロール又は冷却プレスにより積層接着することも可能である
が、好ましくは、溶剤中で所定の飽和共重合ポリエステル、イソシアナート及び
添加剤を混合後、直接鋼板の少なくとも一方、好ましくは両者の積層面に塗布し
、室温好ましくは100℃以上150℃以下の温度で加熱して溶剤を留去した後
、引き続きもしくは放置後、加熱積層接着される。この時、樹脂の膜厚は鋼板の
1/50以上1/5以下であることが好ましく、実質的に20μ以上150μ以
下であることが好ましい。20μ未満であると制振性及び接着性能が低下し、1
50μを越えると成形加工時、鋼板のズレやワレの原因となる場合がある。 積層接着温度は通常樹脂層に150℃以上250℃以下の加熱が与えられる様
にすれば良く、加熱プレスの場合30秒〜2分程度、加熱ロールの場合には1〜
10秒程度の接触時間であれば良く、又鋼板をあらかじめ同温度に加熱し、冷却
プレス又は冷却ロールにより積層接着しても良い。この様に、本発明の樹脂は熱
可塑性樹脂と同等の加工条件により、接着温度以上の耐熱性が得られ、積層接着
後直ちに所定の接着性能が得られるという特長を有し、さらに鋼板への塗工品の
ポットライフが実用上問題のない長さであるという特長も有する。又、積層加工
時、樹脂を溶液状で塗工することができると、鋼板と樹脂との密着性を高めるこ
とができ、ガス層の巻き込みを防止することができるばかりか、成形鋼板のスポ
ット溶接性を付与する目的で添加される導電性金属粉、カーボンなどの添加を容
易にするため、本発明にとり最も好ましい方法であり、本発明の飽和共重合ポリ
エステルによれば容易に達成しうる方法である。 「作用」 従来、飽和共重合ポリエステルは、そのシャープな溶融挙動から、樹脂そのも
のの粘弾性を示す温度域が狭く、かつ粘弾性を示す温度域においては凝集力が不
足するため、実用上制振性を示す温度においてさえ、接着強度が弱く、勿論それ
以上の温度においては十分な強度が得られず、制振鋼板用樹脂としては使用でき
なかったが、本発明者等によって、特定の飽和共重合ポリエステルと多価イソシ
アナート化合物の組み合わせが見出されたことにより、制振鋼板として、前述の
常温付近における制振性能すなわち損失係数の値が大きく、かつ温度巾が広く、
成形加工時必要な接着性能にも優れ、さらには成形後の高温下での接着安定性や
耐薬品性、耐久性に極めて高い性能を有するものを提供できるようになり、又、
本発明の樹脂は、二枚の鋼板と積層加工される場合においても、低分子量の通常
液状のポリエステルやポリエーテルとイソシアナート化合物よりなる二液ポリウ
レタンや硬化型のエポキシ樹脂などの反応型の樹脂の様に、長い加熱時間を必要
とせず、積層接着時の樹脂の流れ出しなどの問題がなく、又ポリウレタン樹脂や
変性ポリオレフィン樹脂などの樹脂そのものの熱可塑性を利用して接着する場合
の様に、使用時さらされる温度以上の融点を必須とするため不可欠な高い積層温
度と積層圧力等を必要とせず、実用温度以下の積層温度においてさえも、尚高い
接着強度が得られ、極めて優れた加工性を有するなど優れた作用効果を奏するも
のである。 「実施例」 ☆実施例で用いたポリエステルの特性の測定方法、積層接着方法、制振鋼板の特
性の測定方法等は以下のとおりである。 ポリエステルの軟化点 JISK−2531に準じR&B軟化点により測定し、その温度を℃で表示し
た。 ポリエステルの重量平均分子量 ポリエステル樹脂をテトラハイドロフランに溶解し、液体クロマトグラフィー
により測定し、ポリスチレン換算により重量平均分子量を算出した。 ポリエステルのガラス転移温度 ポリエステルを1mm厚のシートとし、粘弾性スペクトロメーター(10HZ) により動的弾性率(E´)を測定し、弾性率が低下しはじめる温度を表示した。 多価イソシアナートの添加量及び当量 ポリエステル100重量部に対するイソシアナート添加量及びポリエステルの
重量平均分子量より測定した末端水酸基に基づいてイソシアナート基の当量部数
を算出した。 使用鋼板 0.6mm厚みの冷間圧延鋼板(SPCC−SD)を脱脂して使用した。 積層接着方法 あらかじめポリエステルをトルエン・MEK混合溶剤中に溶解し固形分30%
の溶液とし、多価イソシアナートを混合し、ロールコーターを用い、鋼板の片面
に樹脂膜厚25μになるように塗布し、塗布後オーブン(100℃×1分)で溶
剤を留去した。その後樹脂の塗布面同士を重ね熱プレス(200℃×1分×圧力
5kg/cm2)で加熱接着し評価を行った。 接着性能 上記で積層接着した鋼板を25mm巾に裁断し、T−剥離強度を測定した。引
張速度は200mm/分で測定した。同様に接着部分を25mm×25mmの面
積に裁断し引張剪断強度を室温23℃で測定した。 成形性能 同様に上記で積層接着したものを25mm巾×100mm長に裁断し、4mm
φに折り曲げ加工し、曲げ部にうきのあるものを×、変化のないものを○で表示
した。同様に折り曲げ加工したものを150℃のオーブン中に24時間放置した
もの、沸水中に24時間浸漬したものを取り出し、うきが生じたものを×、変化
のないものを○で表示した。 制振性能 制振性能の評価として、積層接着品の損失係数(η)を機械インピーダンス法
により測定し、1000HZにおける損失係数の温度依存性を表示した。 実施例1 テレフタル酸残基80モル、アジピン酸残基20モル、エチレングリコール残
基45モル、1,6−ヘキサンジオール残基55モルの当量比よりなり、重量平 均分子量が23000、軟化点が120℃、ガラス転移点が−10℃のポリエス
テルを常法により合成した。このポリエステルをトルエン、MEK重量比1/1
の溶剤に固形分30%になる様に溶解し、多価イソシアナートとしてコロネート
L(NV:75%、NCO%:13.2、日本ポリウレタン(株)製)をポリエス
テル100重量部に対し10重量部添加混合し、鋼板に塗布乾燥後、二枚の鋼板
を重ね、熱プレスにより積層接着した。この時イソシアナート当量はポリエステ
ルの末端水酸基1当量に対し、3.6当量部数であった。この積層した鋼板の接
着性能、成形性、損失係数を測定した結果を表1及び図1に示す。制振鋼板とし
ていずれも優れた性能のものが得られた。同様にして、所定のポリエステルと多
価イソシアナートよりなる実施例2〜5の結果を表1、実施例3、4、5の損失
係数の値を図1に示す。この時ポリエチレングリコールは数平均分子量200の
ものを用いた。同様にして実施例1で用いたポリエステルと多価イソシアナート
としてMDI(ミリオネートMT、NCO%:30、日本ポリウレタン(株)製)
を用いた例を実施例6として表1に示した。さらに、比較のために、グリコール
成分として1、4−ブタンジオールを使用した例を比較例1として表1に示した
。これは下記の比較例2、3と比べ良好な接着性能と常態での成形性が得られた
が成形耐熱性で性能が不足であり用途が限定される。同様にして従来の二液ウレ
タンに相当するものを比較例に示したが、ポリエステルは室温で液状であり、
積層接着時に樹脂の流れ出しがあり、放置後の接着性能も満足されるものではな
かった。比較例は実施例1で用いたポリエステルを単独で使用した場合である
が、接着性能、成形性とも満足できる性能が得られなかった。この様に本発明の
組み合わせにおいてのみ、制振鋼板として良好な性能がえられることがわかる。 (ハ)発明の効果 以上のように、本発明は制振作用を発揮させるための中間樹脂層として特定の
飽和共重合ポリエステルと多価イソシアナートを併用することにより、常温付近
具体的には0℃〜50℃での制振性に優れ、かつ成形性に耐えうる接着性能を有
するとともに、100℃以上の耐熱耐久性を有するため、成形性を必要としない
平板に近い状態で用いる建材用途は勿論、自動車ボデイ一回りのダッシュパネル
、フロアーパネル、ルーフパネル等従来使用が困難であった用途にも使用できる
など、極めて優れた性能を有する制振鋼板が可能となり、自動車業界、土木建築
業界、電機業界において巾広く使用できる制振鋼板の製造法として好適でありそ
れらの業界に与える効果は非常に大なるものである。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の樹脂を用いて作られた制振鋼板の損失係数の測定結果を示す
図であり、1、3、4及び5はそれぞれ実施例1、3、4及び5で得られた制振
鋼板の損失係数の測定結果を示すものである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.重量平均分子量が6000を越え軟化点が50℃以上150℃以下で、構
    成成分中の酸成分の30モル%以上90モル%以下がテレフタール酸基であり、
    グリコール成分の30モル%以上80モル%以下がエチレングリコールである
    和共重合ポリエステルと架橋剤としての多価イソシアナート化合物からなり鎖延
    長剤を含有しないことを特徴とする複合型制振鋼板用樹脂組成物。

Family

ID=

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR930005393B1 (ko) 복합형 제진재용 수지조성물, 이것을 사용한 복합형 제진재 및 그 제조방법
JP6343463B2 (ja) 両面粘着テープ
KR100882957B1 (ko) 내구 밀착성이 우수한 무크로메이트 수지 복합형 제진 재료
JPH04353514A (ja) 制振材料用粘弾性樹脂組成物
JP2003221496A (ja) 粘弾性樹脂組成物およびそれを用いた複合型制振材料
JP2003327846A (ja) 粘弾性樹脂組成物およびそれを用いた複合型制振材料
JPH06198802A (ja) 加工性にすぐれた複合型制振材料
JPH0550553A (ja) スポツト溶接性に優れる複合型制振材料の製造方法
JPH0542629A (ja) 複合型制振材料およびその製造方法
JP2568089B2 (ja) 複合型制振鋼板用樹脂組成物
CA1143891A (en) Low temperature activating adhesives for laminating plastic films to metal
JP2004189817A (ja) 制振板用樹脂組成物およびこれを用いた制振板
JP2568089C (ja)
JP2690587B2 (ja) 複合型制振材料用樹脂組成物およびこれを用いた複合型制振材料ならびにその製造方法
JP6459500B2 (ja) 湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物、接着剤、及び、積層体
JP3221285B2 (ja) 感熱接着性樹脂塗装金属板およびその製造方法
JPH0550554A (ja) 複合型制振材料およびその製造方法
JPH04126232A (ja) 複合型制振材料
JP2661773B2 (ja) 複合型制振金属板用芯材樹脂、複合型制振金属板および複合型制振金属板の製造方法
JP2833823B2 (ja) 積層体
JPH04126233A (ja) 複合型制振材料
JPH04198315A (ja) 複合型制振材料用樹脂組成物、複合型製振材料用粘弾性樹脂および複合型制振材料
JPH0320321A (ja) 複合型制振材料用樹脂組成物およびこれを用いた複合型制振材料ならびにその製造方法
JP5872057B2 (ja) 電子写真装置用ブレード、及び、その製造方法
JP4543262B2 (ja) 耐久密着性に優れたクロメートフリー樹脂複合型制振材料