JP3221285B2 - 感熱接着性樹脂塗装金属板およびその製造方法 - Google Patents

感熱接着性樹脂塗装金属板およびその製造方法

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JP3221285B2 JP13809295A JP13809295A JP3221285B2 JP 3221285 B2 JP3221285 B2 JP 3221285B2 JP 13809295 A JP13809295 A JP 13809295A JP 13809295 A JP13809295 A JP 13809295A JP 3221285 B2 JP3221285 B2 JP 3221285B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感熱接着型の樹脂塗装
金属板およびその製造方法に関するものであり、この感
熱接着性樹脂塗装金属板は、加熱により優れた接着性を
示すと共に、接着前の段階では良好な加工性や耐薬品性
を示し、且つ接着後における耐食性や耐溶剤性にも優れ
ている。従ってその用途としては、自動車や家庭電気製
品、金属製家具等の外板材あるいは建築材料用等として
適用することができ、溶接あるいは接着剤等の接合手段
を必要とせずに、成形・組立て時に金属板同士、あるい
は金属と非金属板(ベニヤ板、プラスチック板、ゴム
板、布などを含む)等の接着に利用できる。
【0002】
【従来の技術】従来、金属板同士の接合法としては、ろ
う付けを含めた溶接法、ボルト・ナットやリベット等を
使用する機械的接合法、接着剤を用いる方法等が汎用さ
れている。一方、例えばプラスチックや布等の非金属材
料と金属板の接合には、ほとんどの場合接着剤や両面粘
着テープ等による貼り合わせ法が採用されており、接着
剤のベースとなる樹脂は、その熱的性質によって熱可塑
性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマーに分けられる。
【0003】これら接着剤を用いる接合法では、該接着
剤を被接合面の片面もしくは両面に塗布し、接着剤に含
まれる樹脂中の接着に寄与する成分を反応させるため、
あるいは樹脂を溶融させて粘着性を発現させる(ホット
メルト法)ため、被着体の加熱処理および/または被着
体同士の圧着処理が行われる。
【0004】ところが、この様に接着剤を塗布する方法
では、接合に先立ってまず金属板を所望の形状に打ち抜
きしたり剪断した後に所望の成形加工を行い、その後に
接合させたい部位の表面に個々の部品毎に接着剤を塗布
する作業が必要となるので作業効率が極めて悪く、結果
として生産性や製造コストの点で不利となる。この様な
問題を改善する為の解決策として、例えば積層用電磁鋼
板の分野では、以下に示す如く水系エマルジョン型の樹
脂を被覆した鋼板が提案されている。
【0005】まず特公昭52−8998号には、電気製
品の積層鉄心用電磁鋼板として、熱可塑性樹脂と熱硬化
性樹脂を有機溶媒によって希釈混合し、乳化剤を用いて
水系エマルジョン化した樹脂液を、鋼板表面に塗布し乾
燥した有機樹脂被覆電磁鋼板が開示されている。
【0006】この有機樹脂被覆鋼板は、積層し加圧・加
熱するだけで電磁鋼板同士を接合することができ、しか
も接着剤を別途塗布する必要がないので、ユーザーサイ
ドでの接着剤塗布工程が省略できるという利点を有して
いる。
【0007】尚この方法では、熱可塑性樹脂のみからな
る樹脂被覆では接着強度が不十分であり、特に積層鉄心
の使用時に発熱して高温になった時に、接合剤が可塑化
して接着強度が急激に低下するという問題を解決するた
め、熱可塑性樹脂に熱硬化性樹脂を混合することによっ
て接合後の耐熱性を高めると共に、乳化剤の添加によっ
て生じる軟化点の低下も防止しており、結果として高温
時における接着強度の低下を防止している。しかしなが
ら、最終塗膜中に熱可塑性樹脂が存在する限り、高温時
や湿潤環境下での接着強度の低下は避けられず、また耐
溶剤性不足も避けられない。
【0008】加えて上記の有機樹脂被覆鋼板では、接合
作業に長時間を要するので作業効率も悪く、この様な有
機樹脂被覆鉄心用鋼板を自動車や家電製品、金属製家具
あるいは建築材料等の構造材の接合に応用することは適
切でない。
【0009】また同種の積層鉄心用有機樹脂被覆鋼板と
して特公昭52−8999号公報には、水系のアクリル
系樹脂エマルジョンに水溶性フェノール系樹脂や水溶性
メラミン系樹脂を配合したものを塗布し、不完全焼き付
けを行なうことによって有機樹脂被覆電磁鋼板を得る方
法が開示されている。
【0010】この方法で得られる樹脂被覆鋼板も、接着
剤の塗布無しで接合できるという利点を有しているが、
この場合最終接着後の塗膜中には熱可塑性樹脂成分が存
在しているため、樹脂の可塑化温度以上の高温条件や湿
潤環境下に曝されたときの接着強度の低下が避けられ
ず、また耐溶剤性にも劣る。
【0011】また、接着用塗膜形成のために行なわれる
不完全焼付け処理が、250℃を超える高温下での短時
間処理であるため、この焼付けで加熱ムラが生じると局
部的に樹脂が熱劣化を起こして接着強度にばらつきが生
じるばかりでなく、接合時の焼付け温度管理が非常に難
しいという問題がある。
【0012】そのため、本公報記載の積層鉄心用有機樹
脂被覆鋼板の樹脂塗膜をそのまま自動車や家電製品、鋼
製家具用あるいは建築材料の接合に応用することは、性
能面および施工作業性の両面から適性を欠く。
【0013】更に上記特公昭52−8999号公報に開
示の被覆鋼板に指摘される不完全焼付け時の温度範囲や
時間を広げ、性能を高めると共に施工作業性をより容易
にしたものとして、特公昭55−9815号公報には、
アクリル系樹脂の水系エマルジョンに水溶性スチレン−
マレイン酸共重合ポリマーを混合した処理液を鋼板表面
に塗布し乾燥した接着用有機樹脂被覆電磁鋼板が開示さ
れている。
【0014】しかしながらこの有機樹脂被覆鋼板にして
も、高温時の接着強度が若干改善されている程度であっ
て基本的には最終塗膜中に熱可塑性樹脂が含まれている
ため、高温時あるいは湿潤環境下での接着強度が不十分
であり、且つ耐溶剤性にも劣る。
【0015】また本公報には、アクリル系樹脂と水溶性
スチレン−マレイン酸共重合ポリマーとの架橋結合によ
り接着強度が増大する、との記載が見られるが、アクリ
ル酸基やアクリル酸エステル基とカルボキシル基との結
合はさほど強固なものではなく、またスチレン−マレイ
ン酸共重合ポリマーが巨大高分子になるほど流動性が悪
くなって、アクリル系樹脂との結合機会(架橋点)が少
なくなるので、接着強度の向上にはさほど顕著な効果は
期待できない。しかも、積層接合に要する時間も長く、
接着時の作業効率が悪いという欠点については未解決の
ままである。
【0016】こうした従来技術の問題を解決するため、
本発明者らは加熱接合後において塗膜の熱可塑性を完全
に消失させ、且つ加熱接合を低温・短時間で行なうこと
のできる、自動車や家電製品、金属製家具用あるいは建
築材料用等として有用な感熱型自己接着性塗装鋼板を開
発し、先に特許出願を済ませた。
【0017】この感熱型自己接着性塗装鋼板は、80℃
以上の温度で可塑化し且つそれ以上の温度で架橋反応性
を示すウレタン系樹脂を含有する塗膜で被覆したもので
あって、接合前の塗膜は常温でべたつきやブロッキング
を生じることがなく、しかも加熱接合後は架橋反応によ
り熱可塑性を失い優れた接着性、接着耐久性、耐高温接
着性、耐溶剤性、耐食性等を発現し得るところから、非
常に有用なものと言える。
【0018】ところが、この感熱型自己接着性樹脂塗装
鋼板における、塗膜の主たる構成物質であるベース樹脂
が全て熱可塑性樹脂であるため、塗布・乾燥によって造
膜されたままの状態での塗膜は、架橋剤との架橋反応が
全く生じておらず、接合前の塗膜自身の耐水性あるいは
有機溶剤等に対する耐薬品性が不足する点で尚改善の余
地を残している。
【0019】また、加熱架橋処理前の塗膜は皮膜硬度が
十分でなく、そのため加熱接合前に行なわれる打ち抜き
加工やプレス加工時に接着性樹脂塗膜に疵が生じること
があり、塗膜の加工性にやや問題があるほか、樹脂塗膜
が機械的損傷を受けた部分では加工後の耐食性が不足気
味となり、例えば被覆処理される金属板が亜鉛めっき鋼
板等である場合は、塗膜損傷部から亜鉛めっきの腐食に
よる白錆発生が生じ易くなるという問題を誘発する。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の様な
事情に着目してなされたものであって、その目的は金属
板の種類や板厚には制限されず、且つろう付けや接着剤
塗布等による接合手段を必要とせず、接合させたい面同
士を密着させてから比較的低温且つ短時間の加熱焼き付
けを行なうことによって優れた接合力を得ることがで
き、しかも加熱接合前の塗膜は優れた加工性、加工後耐
食性および耐薬品性を示すと共に、加熱焼き付けによる
接合後は優れた接着性、接着耐久性、耐熱接着性、耐食
性、耐溶剤性等を発揮し得る様な感熱接着性樹脂塗装金
属板およびその製造方法を提供しようとするものであ
る。
【0021】
【問題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る感熱接着性樹脂塗装金属板の構成
は、熱架橋反応性を示す官能基(X)を分子中に有する
熱可塑性樹脂(A)と、感熱型架橋剤(B)を必須成分
として含有する塗布液(S)を、金属板表面に塗布・乾
燥して得られる感熱接着性樹脂塗装金属板において、加
熱接合前の樹脂塗膜段階で、前記熱可塑性樹脂(A)中
の官能基(X)と前記感熱型架橋剤(B)とが部分架橋
されている塗膜が、固形分換算で0.5〜30g/m2
の付着量で金属板の少なくとも片面に形成されたもので
あるところに要旨を有している。
【0022】上記感熱接着性樹脂塗装金属板において
は、塗布液(S)中の熱可塑性樹脂(A)の一部を、感
熱型架橋剤(B)と予め部分架橋された熱可塑性樹脂
(A’)とすること、感熱型架橋剤(B)をブロック化
イソシアネート基含有化合物またはアジリジニル基含有
化合物とし、且つ熱可塑性樹脂(A)の分子中に存在す
る熱架橋反応性を示す官能基(X)として、水酸基、ア
ミノ基、カルボキシル基の1種または2種以上を選択す
ること、熱可塑性樹脂(A)としてポリエチレン系、ポ
リエステル系、ポリウレタン系樹脂の1種または2種以
上を選択すること、熱可塑性樹脂(A)として水溶性ま
たは水分散性の樹脂を使用することにより、その性能や
取扱い性など一段と優れたものとすることができるので
好ましい。
【0023】また該塗装金属板の製造方法としては、表
面の清浄化された金属帯表面に、熱可塑性樹脂(A)と
感熱型架橋剤(B)を必須成分として含有する塗布液
(S)を塗布・乾燥して感熱接着性樹脂塗装金属板を製
造する際に、塗布液(S)の塗布前もしくは塗布後で且
つ接合工程前に予め低温加熱処理を行ない、熱可塑性樹
脂(A)と感熱型架橋剤(B)の一部を部分架橋反応さ
せることによって容易に製造することができ、この際、
上記低温加熱処理を塗布液(S)の塗布後の造膜のため
の乾燥処理と同時に行なうことは、生産性や製造コスト
の面で好ましい手段である。
【0024】
【作用】本発明の感熱接着性樹脂塗装金属板は、熱架橋
反応性を示す官能基を分子中に有する熱可塑性樹脂
(A)と感熱型架橋剤(B)を必須成分として含有する
塗布液(S)を、金属表面に塗布・乾燥し、この塗膜を
感熱接着層として活用するものである。
【0025】本発明の用途を考えた場合、切板製品やコ
イル製品として提供されることの多い当該樹脂塗装金属
板は、需要者において所望のスリット加工、打ち抜き加
工、プレス加工等により所定形状に成形し、必要に応じ
て有機溶剤やアルカリ性水溶液等により洗浄して清浄化
し、しかる後に加熱焼き付け処理による接合(接着)が
行われる。
【0026】この様な需要者での加工もしくは取扱いに
当たり、本発明の感熱接着性樹脂塗装金属板は、接合
(接着)工程前においては、塗膜表面でべたつきやブロ
ッキングを生じることがなく、また塗膜の加工性、加工
後耐食性、耐薬品性に優れており、また接合に当たって
は、塗膜面同士あるいは塗膜面と被着材面を密着させた
状態で加熱焼付け処理を行うことによって強固に接着す
ることができるばかりでなく、該加熱接合工程で熱可塑
性を消失した塗膜は、耐溶剤性、耐食性、接着耐久性、
耐高温接着強度等の全てにおいて優れた性能を発揮す
る。以下、上記樹脂塗装金属板で定める夫々の限定理由
および好ましい態様等について以下に詳述する。
【0027】[樹脂(A)としての熱可塑性樹脂の選
択]本発明に係る樹脂塗装金属板の塗膜面同士あるいは
塗膜面と被着材面を密着させた後、加熱焼き付けして高
度の接着強度を得るには、該樹脂塗膜自身が加熱焼き付
け時の初期過程で一旦軟化し、流動性を示すことが必要
である。
【0028】即ち、加熱焼き付けの初期段階で樹脂
(A)が一旦軟化することにより、塗膜面同士の接合の
場合は塗膜のレベリング作用によって接着界面層が平滑
となり接着界面同士が融合一体化する。また塗膜面と被
着材面を接合する場合は、加熱軟化した樹脂(A)が被
着材面の表面凹凸に入り込むことによって、塗膜面と被
着材面の接触面積(接合面積)を増大させる。この様
に、接合のための加熱焼き付け工程の初期段階で、樹脂
(A)の可塑化作用により接合界面全体を有効接合面と
して生かし、その後の架橋反応により接合界面で均一且
つ強固な接着性を発現させるものであり、こうした効果
を有効に発揮させるには、塗膜の主成分である樹脂
(A)が、加熱焼き付けの初期過程で一旦可塑化する熱
可塑性樹脂でなければならない。上記熱可塑性樹脂
(A)の熱可塑性発現温度は特に制限されないが、下記
に示す様な理由から一般的に80℃〜200℃の範囲の
ものが望ましい。
【0029】即ち、本発明に係る感熱接着性樹脂塗装金
属板の主たる用途となる各種家電製品や建材等の焼き付
け接着工程において、金属板自身は通常80℃以上、よ
り一般的には80〜250℃程度に加熱されるが、この
様な加熱焼き付け条件で十分な接合強度を得るには、前
述の如く、該樹脂塗膜が加熱焼き付け工程の初期段階で
一旦可塑化して軟化することが必要である。また該樹脂
(A)の熱可塑性発現温度が低過ぎると、保管時や搬送
もしくは取扱い時に塗膜がべとつきやブロッキングを起
こし易くなるので、熱可塑性発現温度の下限は80℃以
上、好ましくは100℃以上がよい。但し、可塑化温度
が高くなり過ぎると、過熱焼き付け接合時に樹脂が熱分
解を起こして強度劣化を招く恐れがでてくるので、熱可
塑化温度は230℃程度以下に抑えることが望ましい。
こうした観点から、該樹脂(A)のより好ましい熱可塑
性発現温度は、100℃〜200℃の範囲である。
【0030】尚、後述する様に接合のための加熱焼き付
け工程では、所望の接着強度を得るため架橋剤(B)の
架橋反応性発現温度(TB )以上まで加熱することが必
要となるが、該加熱焼き付け温度に対し該樹脂(A)の
熱可塑性発現温度の方が高い場合は、加熱焼き付けの初
期段階で該樹脂(A)の可塑化が生じないままに架橋剤
(B)による熱架橋反応が進行してしまうため、結果と
して前述した塗膜の流動性やレベリング性が十分に発現
されなくなり、接合界面における接触面積(接合有効面
積)が不十分となって満足のいく接着強度が得られなく
なる。従って該樹脂(A)の熱可塑性発現温度は、架橋
剤(B)の架橋反応性発現温度(TB )よりも低いもの
が好ましい。
【0031】尚本発明で使用する熱可塑性樹脂(A)の
具体例としては、ポリエチレン系樹脂,ポリウレタン系
樹脂,ポリエステル系樹脂,エポキシ系樹脂,アクリル
系樹脂,酢酸ビニル系樹脂,フェノール系樹脂,尿素系
樹脂,塩化ビニル系樹脂,メラミン系樹脂等が挙げら
れ、これらは夫々単独で使用し得るほか、2種以上を組
合せて使用できるが、これら樹脂(A)の熱可塑性発現
温度は、それら樹脂の分子量や分岐度あるいは重合度を
適宜調整することによって容易に制御することができ
る。
【0032】ところで、通常の熱可塑性樹脂は、一般的
に直鎖状の構造を有する有機化合物であり、この様な構
造の有機樹脂は各種有機溶剤に溶け易いため、塗布・乾
燥により造膜したままの状態では耐有機溶剤性が乏し
く、例えばユーザーサイドでの焼き付け接合前の時点で
各種有機溶剤による洗浄等が行なわれる場合には、塗膜
が有機溶剤に溶け出して塗膜が化学的損傷を受け易くな
る。また、一般的に未架橋状態の熱可塑性樹脂塗膜は塗
膜硬度が十分でなく、強度な加工を受けたときに塗膜が
機械的損傷を受け易く、その表面が疵ついたり部分的に
塗膜が減少ないし消失してしまうことがある。この様に
塗膜が化学的損傷または機械的損傷を受けると、その部
分では十分な接合強度が得られなくなるばかりでなく、
該損傷部分の耐食性も悪くなる。
【0033】こうした熱可塑性樹脂の化学的もしくは機
械的損傷による耐有機溶剤性(耐薬品性)、加工性、加
工後耐食性不足の問題は、樹脂(A)同士を架橋剤等に
より3次元的に架橋させてやることにより容易に改善で
きるが、塗布・乾燥による造膜段階で該樹脂(A)の大
部分乃至全てを架橋結合させてしまうと、この時点で塗
膜自身の熱可塑性が殆ど若しくは全て消失されてしまう
ので、接合に際しての焼き付けの初期段階で、先に述べ
た様な接合界面での塗膜のレベリング作用による有効接
合界面拡大効果が発揮されなくなるばかりでなく、加熱
焼き付け時の官能基による架橋反応も殆ど期待できなく
なるので、高レベルの接着性が発現されなくなり、本発
明の目的とする感熱接着性が損なわれる。
【0034】つまり、加熱焼き付け前に行なわれる有機
溶剤等による脱脂や各種成形加工の段階では、塗膜はべ
とつきやブロッキング性を生じることがなく、且つ耐薬
品性や加工性、加工後耐食性に優れたものであることが
要求され、また接合のための加熱焼き付け工程段階で
は、熱可塑性(但し、加熱焼き付け初期段階のみに必
要)と熱架橋反応性が要求されることになる。
【0035】これら各々の段階で求められる特性を満足
するため、追って詳述する如く熱可塑性樹脂(A)とし
ては、分子中に熱架橋反応性を示す官能基を有する樹脂
が使用されるが、上記塗膜特性を一層高めるには、接合
のための加熱焼き付け工程前の樹脂塗膜において、予め
熱可塑性樹脂(A)と架橋剤(B)とを部分架橋させた
熱可塑性樹脂(A’)を塗膜中に含有させておくことが
望ましい。
【0036】即ち架橋剤(B)の一部を、塗布・乾燥に
よる造膜段階で、あるいは乾燥温度が十分取れない場合
にはその後の低温加熱処理段階で、熱可塑性樹脂(A)
と部分反応させ、該樹脂(A)を部分的に架橋させた樹
脂(A’)として塗膜内に含めてやれば、加熱焼き付け
前においても塗膜は優れた耐薬品性や加工性、加工後耐
食性を発揮し得るものとなる。
【0037】尚、この段階で該樹脂(A)は、熱可塑性
を消失しない様に部分的にしか架橋されていないため、
加熱焼き付けの初期段階では塗膜の可塑性が発現され、
接合界面での塗膜の流動化とそれに伴うレベリング作用
が発揮され、均一且つ密着した接合界面を確保し得るこ
とになる。しかもその後の加熱焼き付け工程では、残さ
れた未反応の架橋剤(B)によって接合界面で熱架橋反
応が起こり、結果として高度な接合強度が得られる様に
なる。
【0038】以上の理由から、本発明に係る感熱接着性
樹脂塗装金属板の塗膜は、接合のための加熱焼き付け前
に、熱可塑性樹脂(A)と架橋剤(B)とを予め部分架
橋させた熱可塑性樹脂(A’)を含むものとすることが
望ましい。
【0039】尚架橋剤(B)の役割は、焼き付け接合前
の段階における塗膜の耐薬品性、加工性、加工後耐食性
を改善するための前記樹脂(A)の部分架橋剤として機
能すると共に、加熱焼き付けによる接合段階で熱架橋反
応剤として機能するものであり、塗膜中における該架橋
剤(B)の含有量が極端に少ない場合は、塗布・乾燥に
よる造膜段階、あるいは造膜後の低温加熱処理段階で架
橋剤(B)の全て乃至大部分が消費されてしまうことが
あり、そうなると、加熱焼き付け段階で熱架橋反応が殆
ど乃至全く起こらなくなることがあるので、後述する様
に、塗布液(S)中の熱可塑性樹脂(A)と架橋剤
(B)との混合比(配合比)は、架橋反応するための各
官能基の当量換算比で大きな過不足が生じない範囲にす
ることが望まれる。
【0040】前述の如く塗膜に優れた感熱接着性、耐高
温接合強度、耐食性、耐溶剤性等を発揮させるには、該
塗膜面同士あるいは該塗膜面と被着材面間で架橋反応を
生ずのに必要な架橋点、即ち官能基(X)が該樹脂
(A)中に存在しなければならず、それらの組合せは多
数あるが、該官能基(X)と反応する架橋剤(B)の好
ましい組み合わせとしては、架橋剤(B)がブロック化
イソシアネート基含有化合物あるいはアジリジニル基含
有化合物であり、該樹脂(A)中に含まれる官能基
(X)が上記架橋剤(B)と反応性を有する水酸基、ア
ミノ基、カルボキシル基等の活性水素基を有するものが
好適である。
【0041】以下、架橋剤(B)としてブロック化イソ
シアネート基含有化合物、あるいはアジリジニル基含有
化合物を用いた場合における前記樹脂(A)と架橋剤
(B)の架橋反応について述べる。
【0042】[架橋剤(B)としてイソシアネート基含
有化合物を用いる場合]架橋剤(B)としてイソシアネ
ート基含有化合物を用いた場合、イソシアネート基と架
橋反応するための前記樹脂(A)中の官能基(X)の好
ましい具体例としては、活性水素を有する官能基、例え
ば水酸基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、
アミノ基(−NH2 )等が挙げられる。
【0043】これらの活性水素含有官能基(X)は、い
ずれもブロック化イソシアネート基からブロック剤が解
離することによって生成する活性イソシアネート基(−
NCO基)と容易に反応して架橋反応を起こすものであ
り、その具体的な反応は下記の通りである。 イソシアネート 基 活性水素基 架橋結合 −NCO + −OH → −NH−COO− −NCO + −COOH → −NH−CO− + CO2 −NCO + −NH2 → −NH−CO−NH−
【0044】上記イソシアネート基との反応性を有する
官能基(X)の中で最も好ましいのはアミノ基である。
しかしてアミノ基は、水酸基やカルボキシル基に比べて
イソシアネート基との架橋反応速度が大きく、より短い
時間で、あるいはより低い焼き付け温度で高い接合強度
が得られるからである。
【0045】ところで活性イソシアネート基は、常温で
容易に水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の活性水素
含有官能基(X)と反応してしまう。そのため、活性イ
ソシアネート基のままで樹脂(A)と混合・共存させる
と、加熱処理をしなくとも経時的に塗膜層内部で架橋反
応が進行し、架橋点が次第に消失すると共に、加熱焼き
付けの初期段階において必要な塗膜の熱可塑性が失われ
てしまう。
【0046】この様に、加熱焼き付け前に架橋反応が十
分に進行してしまった塗膜は、たとえその後に塗膜面同
士を密着して加熱焼き付け処理を行っても、該塗膜が可
塑化しないため均一且つ平滑な接合界面が得られず、ま
た架橋反応もほとんど起こらないため、本発明で意図す
る様な感熱接着性が発現されなくなる。
【0047】そこで加熱焼き付け接合前の状態では、架
橋剤(B)であるイソシアネート基含有化合物が、イソ
シアネート基との架橋反応性を示す官能基(X)を含有
する樹脂(A)と自然に反応することのない様、架橋剤
(B)中のイソシアネート基を予めフェノール、アルコ
ール、オキシム、活性メチレン等のブロック剤でブロッ
ク化させておき、常温では樹脂(A)と架橋反応しない
不活性な状態で樹脂(A)と共存させておく必要があ
る。
【0048】この際に、ブロック剤の種類を適宜選択す
ることによって、該ブロック剤のイソシアネート基から
の解離温度を調整することが可能であり、これによりイ
ソシアネート基含有化合物の熱架橋反応性発現温度を調
整することが可能となる。
【0049】[架橋剤(B)としてアジリジニル基含有
化合物を用いる場合]架橋剤(B)としてアジリジニル
基含有化合物を用いる場合、アジリジニル基と架橋反応
するための樹脂(A)中の官能基(X)の好ましい具体
例としては、活性水素を有する官能基、例えば水酸基
(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、アミノ基
(−NH2 )等が挙げられる。
【0050】アジリジニル基含有化合物としては、例え
ば次式で表されるトリメチロールプロパントリス(β−
アジリジニルプロピオネート)、
【0051】
【化1】
【0052】次式で表されるトリス−2,4,6−(1
−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、
【0053】
【化2】
【0054】次式で表されるトリス[1−(2−メチ
ル)アジリジニル]ホスフィンオキシド、
【0055】
【化3】
【0056】等、あるいは市販品として入手できるグリ
シジルアミン型エポキシ樹脂等が好適に用いられる。
【0057】この様なアジリジニル基を有する有機化合
物は、下記式で示す様に活性水素基含有化合物と架橋反
応を起こし、架橋密度の高い樹脂皮膜を形成する。 架橋剤(B) 熱可塑性化合物(A) アジリジニル基含有化合物 活性水素基含有化合物 架橋結合
【0058】
【化4】
【0059】上記アジリジニル基との反応性を有する官
能基の中で最も好ましいのはカルボキシル基である。し
かしてカルボキシル基は、水酸基やアミノ基に比べてア
ジリジニル基との架橋反応速度が大きく、より短い時間
で、あるいはより低い焼き付け温度で高い接合強度が得
られるからである。
【0060】尚、アジリジニル基含有化合物の種類や熱
可塑性樹脂(A)中の官能基(X)の種類の組み合わせ
を適宜選択することによって、熱可塑性樹脂(A)と架
橋剤(B)との架橋反応性発現温度を調整することが可
能となる。
【0061】[架橋剤(B)の熱架橋反応性発現温度]
架橋剤(B)の熱架橋反応性発現温度(TB )は特に制
限されないが、以下に示す様な理由から樹脂(A)の熱
可塑性発現温度以上とすることが望ましい。即ち、加熱
焼き付け処理によって高レベルの接着強度を得ると共
に、接合後は優れた高温接着性、耐食性、耐溶剤性等を
発揮させるには、塗膜面同士あるいは塗膜面と被着材面
を合わせた後の加熱・焼付け初期段階で塗膜を一旦熱可
塑化させ、均一な接合界面層と十分な接合面積を確保し
た上で、その後に官能基間での架橋反応を行わせる必要
がある。
【0062】しかして架橋剤(B)による架橋反応の大
部分または全てが、該樹脂(A)の熱可塑性発現温度未
満で生じてしまうと、接合のための加熱焼き付け初期段
階で樹脂(A)の可塑化による均一な接合界面層や十分
な接合面積が得られないままに架橋反応が完結してしま
い、高い接合強度が得られなくなる。従って、該塗膜に
含まれる架橋剤(B)の熱架橋反応性発現温度(TB
は、該樹脂(A)の熱可塑性発現温度以上にすることが
望ましく、一般的な製造工程を考えると、架橋剤(B)
の熱架橋反応性発現温度(TB )は80℃以上、より好
ましくは100℃以上とすべきである。
【0063】但し、架橋剤(B)の架橋反応性発現温度
(TB )が230℃を超える高温になると、接合時の加
熱焼き付け温度を250℃以上の高温度にしなければな
らなくなり、加熱焼き付け時に塗膜構成樹脂が熱分解を
起こして十分な接合強度が得られなくなるばかりでな
く、非接合部において黄変等による外観品質の低下を招
く恐れが生じてくるので、架橋剤(B)の架橋反応性発
現温度(TB )は、200℃以下、より好ましくは18
0℃程度以下に抑えることが望まれる。
【0064】尚先に述べた様に熱可塑性樹脂(A)とし
ては、ポリエチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ
エステル系樹脂の1種または2種以上の混合物を好まし
いものとして挙げたが、それらを選択した理由は下記の
通りである。即ち本発明に係る感熱接着性樹脂塗装金属
板は、前述の如く一般的に接合工程に先立って何らかの
加工が施されるが、この際に金属板母材と共に樹脂塗膜
自身も加工を受けることになる。従って、加工に際して
は金属板母材と共に塗膜自身も適度に延展して変形し、
塗膜表面に疵や欠陥を生じないことが望まれる。そこで
本発明では、この様な焼き付け接合前における塗膜の加
工性を考慮し、優れた延展性や耐加工疵付き性を示す好
ましい樹脂ベースとして、ポリエチレン系樹脂、ポリウ
レタン系樹脂、ポリエステル系樹脂の1種または2種以
上の混合物を挙げた。
【0065】尚先に述べた様に本発明の製法を実施する
に当たっては、焼き付け接合前の加工工程や洗浄工程で
の塗膜の機械的損傷や化学的損傷をより確実に抑えるた
め、塗膜中の樹脂(A)と架橋剤(B)とを予め部分的
に架橋させておき、塗膜の耐薬品性、加工性、加工後耐
食性を高めるべきである。次に、本発明で好ましく使用
される熱可塑性樹脂(A)の具体例について詳述する。
【0066】[熱可塑性ポリウレタン系樹脂(A1 )]
熱可塑性樹脂(A)として、ポリウレタン系樹脂を用い
る場合には、該樹脂として、架橋剤(例えば、イソシア
ネート基含有化合物)との架橋反応性を示す官能基
(X)を1分子中に2個以上含有する熱可塑性ポリウレ
タン系樹脂(A1 )が用いられる。
【0067】この様な熱可塑性ポリウレタン系樹脂(A
1 )は、イソシアネート基との反応性を示す官能基(X
1 )を2個以上有する有機化合物と、イソシアネート基
(Y 1 )を2個以上有する有機ポリイソシアネート化合
物とを反応させることによって製造されるが、その際
に、官能基の当量比換算で、イソシアネート基(Y1
含有化合物に対して、イソシアネート基との反応性を示
す官能基(X1 )含有化合物を過剰量反応させると、未
反応の官能基(X1 )が分子中に残ったポリウレタン系
樹脂(A1 )得ることができ、該未反応の官能基(X
1 )が、架橋剤(B)との架橋反応を示す官能基とな
る。
【0068】[熱可塑性ポリエステル系樹脂(A2 )]
熱可塑性樹脂(A)として、ポリエステル系樹脂を用い
る場合には、該樹脂として、架橋剤(例えば、イソシア
ネート基含有化合物)との架橋反応性を示す官能基
(X)を1分子中に2個以上有する熱可塑性ポリエステ
ル系樹脂(A2 )が用いられる。
【0069】この熱可塑性ポリエステル系樹脂(A2
は、1分子中に2個以上の水酸基(X2 )を含有する化
合物と、1分子中に2個以上のカルボキシル基(Y2
を含有する化合物とを反応させることによって製造され
るが、その際に、官能基の当量比換算で、水酸基(X
2 )含有化合物に対しカルボキシル基(Y2 )含有化合
物を過剰量反応させるか、あるいはカルボキシル基(Y
2 )含有化合物に対し水酸基(X2 )含有化合物を過剰
量反応させると、未反応の官能基(X2 )あるいは(Y
2 )が分子中に残ったポリエステル系樹脂(A2 )を得
ることができる。
【0070】この様な該熱可塑性ポリエステル系樹脂
(A2 )としては、グリプタル樹脂;テレフタル酸、イ
ソフタル酸、マレイン酸等を酸成分とする芳香族系もし
くは脂肪族系のポリエステル樹脂;オキシ酸を原料とす
るポリエステル系樹脂等が挙げられ、これらポリエステ
ル系樹脂(A2 )中の該未反応の官能基(X2 )あるい
は(Y2 )が、架橋剤(B)との架橋反応を示す官能基
となる。
【0071】[熱可塑性ポリエチレン系樹脂(A3 )]
熱可塑性樹脂(A)として、ポリエチレン系樹脂を用い
る場合には、該樹脂として、架橋剤(例えば、イソシア
ネート基含有化合物)との架橋反応性を示す官能基
(X)を1分子中に2個以上有する熱可塑性ポリエチレ
ン系樹脂(A3 )が用いられる。
【0072】これらの熱可塑性ポリエチレン系樹脂(A
3 )は、エチレンとカルボキシル基を有するエチレン性
不飽和カルボン酸とを反応させることによって得ること
ができ、該ポリエチレン系樹脂(A3 )中のカルボキシ
ル基が、架橋剤(B)との架橋反応性を示す官能基とな
る。
【0073】尚、加熱焼き付け接合前に行なわれるプレ
ス加工や打ち抜き加工における耐アブレージョン性、打
ち抜き加工性、耐皮膜黒化性等の性能改善を期して、樹
脂塗膜の強度をより向上させるため、該ポリエチレン系
樹脂(A3 )として、エチレンとエチレン性不飽和カル
ボン酸の両者以外にアクリル酸エステルやスチレン等の
共重合性モノマーを併用してエチレン共重合樹脂とする
ことも可能であり、これらも好ましい熱可塑性ポリエチ
レン系樹脂(A3 )の中に包含される。
【0074】[熱可塑性樹脂の2種以上の混合体(A
4 )]前述の如く本発明では、熱可塑性樹脂(A)とし
て、前記ポリウレタン系樹脂(A1 )、ポリエステル系
樹脂(A2 )、ポリエチレン系樹脂(A3 )の2種以上
を混合して用いることも可能であり、この混合樹脂(A
4 )としても、架橋剤(例えば、イソシアネート基含有
化合物)との架橋反応性を示す官能基を1分子中に2個
以上有するものが使用される。
【0075】それらの具体的な組み合わせとしては、ポ
リウレタン系樹脂(A1 )とポリエステル系樹脂(A
2 )の混合物、ポリエステル系樹脂(A2 )とポリエチ
レン系樹脂(A3 )の混合物、ポリエチレン系樹脂(A
3 )とポリウレタン系樹脂(A 1 )の混合物,ポリウレ
タン系樹脂(A1 )とポリエステル系樹脂(A2 )とポ
リエチレン系樹脂(A3 )との混合物が挙げられる。
【0076】[架橋剤(B)の詳細]本発明において、
熱可塑性樹脂(A)との架橋反応に用いられる好ましい
架橋剤(B)として、ブロック化イソシアネート基含有
化合物が挙げられるが、このものは、有機ポリイソシア
ネート化合物に公知のブロック剤を反応させることによ
って得ることができる。この際、有機ポリイソシアネー
ト化合物とブロック剤の種類を適宜選定することによ
り、イソシアネート基からのブロック剤の熱解離温度を
適宜調整することができる。
【0077】なおブロック剤の選択に当たっては、熱架
橋反応時に解離されたブロック剤が沸騰して発泡するこ
とのない様、熱架橋反応温度以上の沸点を有するブロッ
ク剤を選択するのが好ましい。
【0078】その様なブロック剤の好ましい具体的とし
ては、フェノール、クレゾール等のフェノール系;メタ
ノール、エタノール、ブチルセロソルブ等のアルコール
系;ε−カプロラクタム等のラクタム系;メチルエチル
ケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム
系;マロン酸ジメチル、アセト酢酸エチル等の活性メチ
レン系等の公知のブロック剤が挙げられる。次に、本発
明において樹脂塗膜を構成する樹脂(A)や架橋剤
(B)の製造原料等について詳述すると、次の通りであ
る。
【0079】[熱可塑性ポリウレタン系樹脂(A1 )の
原料]架橋剤(B)(例えば、イソシアネート基含有化
合物)との反応性を有する官能基(X)を有する熱可塑
性ポリウレタン系樹脂(A1 )を製造するための原料と
しては、公知の多価ヒドロキシル化合物(1分子中に2
個以上の水酸基を有する化合物)、多価アミノ化合物
(1分子中に2個以上のアミノ基を有する化合物)、多
価アミノヒドロキシル化合物(1分子中に2個以上の水
酸基とアミノ基を有する化合物)等が挙げられる。
【0080】多価ヒドロキシル化合物としては、エチレ
ングリコール、ジエチルグリコール、ブタンジオール、
プロピレングリコール、ヘキサンジオール、ポリプロピ
レングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジヒドロキ
シエチルテレフタレート、ヒドロキノンジヒドロキシエ
チルエーテルトリメチロールプロパン、グリセリン、ペ
ンタエリストール等の多価アルコール;上記多価アルコ
ール類とビスフェノールA、ビスフェノールS、水素添
加ビスフェノールA、ジブロムビスフェノールA等から
合成されるアルキレン誘導体;上記多価アルコール類も
しくはそのアルキレン誘導体と多価カルボン酸、多価カ
ルボン酸無水物、多価カルボン酸エステルとから合成さ
れるエステル化合物;更にはポリカーボネートポリオー
ル、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクト
ンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリチオエ
ーテルポリオール、ポリアセタールポリオール、ヒマシ
油ポリオール等のポリオール化合物等が挙げられる。
【0081】多価アミノ化合物としては、エチレンジア
ミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘ
キシレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエ
チレンペタミン、イソホロンジアミン、キシリレンジア
ミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニル
メタンジアミン等が挙げられる。多価アミノヒドロキシ
ル化合物としては、ジエタノールアミン、3−アミノプ
ロパノール等が挙げられる。
【0082】[熱可塑性ポリエステル系樹脂(A2 )の
原料]架橋剤(B)(例えば、イソシアネート基含有化
合物)との反応性を有する官能基(X)を有する熱可塑
性ポリエステル系樹脂(A2 )を製造するための原料と
しては、公知の多価ヒドロキシル化合物(1分子中に2
個以上の水酸基を有する化合物)と多塩基酸(1分子中
に2個以上のカルボキシル基を有する化合物)またはそ
の無水物が挙げられる。
【0083】多塩基酸および無水物としては、無水フタ
ル酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラ
クロロ無水フタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン
酸、アゼライン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げ
られる。また、オキシ酸の分子内縮合物や不飽和多塩基
酸などを共用することも可能であり、更には、塗膜硬度
や分子量調節のため少量の一塩基酸(例えば安息香酸
等)を併用することもできる。
【0084】多価ヒドロキシル化合物としては、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリ
コール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペン
タエリスリット、ソルビトール、ブタンジオール、4−
ヒドロキシエトキシフェノールプロパン、グリセリンモ
ノアリル等が挙げられる。
【0085】[熱可塑性ポリエチレン系樹脂(A3 )の
原料]架橋剤(B)(例えば、イソシアネート基含有化
合物)との反応性を有する官能基を有する熱可塑性ポリ
エチレン系樹脂(A3 )を製造するための原料として
は、エチレンと、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン
酸、イタコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸の1種
または2種以上が用いられる。
【0086】また、エチレン性不飽和カルボン酸と共
に、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリ
ル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル等の(メタ)
アクリル酸エステル;スチレン、ビニルトルエン、クロ
ロスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸
ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロ
ピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステ
ル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のN−置
換(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリル酸グリシ
ジル等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリロニトリル等の1種または2種以上を併
用することも可能である。
【0087】[ブロック化イソシアネート基含有化合物
の原料]架橋剤(B)として好適に用いられるブロック
化イソシアネート基含有化合物を製造するための原料と
なる有機ポリイソシアネート系化合物としては、芳香族
系、脂肪族系あるいは脂環族系のイソシアネート化合物
の単独もしくは2種以上を用いることができ、具体例と
しては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン
ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフ
チレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素添加ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソ
シアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネー
ト等のイソシアネート類;上記イソシアネート類のビュ
レット化合物やイソシアヌレート化物;上記イソシアネ
ート類をトリメチロールプロパン等の多価ヒドロキシ化
合物と付加反応させた化合物等が挙げられる。
【0088】[樹脂(A)および架橋剤(B)への水溶
性(親水性)付与法]前記ポリウレタン系樹脂(A
1 )、ポリエステル系樹脂(A2 )、ポリエチレン系樹
脂(A3 )等の熱可塑性樹脂(A)、あるいはブロック
化イソシアネート基含有化合物、アジリジニル基含有化
合物等の架橋剤(B)を製造する際に、公知の方法でア
ニオン性親水基、カチオン性親水基、非イオン性親水基
等を導入したり、あるいは反応系に界面活性剤を配合す
れば、該熱可塑性樹脂(A)や架橋剤(B)を親水性と
することができ、塗布液を水溶性または水分散性とする
ことにより塗装作業性を高めることが可能となる。
【0089】[熱可塑性樹脂(A)と架橋剤(B)の配
合比]架橋剤(B)との架橋反応性を示す官能基(X)
を有する熱可塑性樹脂(A)と架橋剤(B)の好ましい
配合比率は、両者の官能基の当量比換算で、該樹脂
(A)中の官能基(X)と架橋剤(B)中の官能基との
当量比で、1:0.5〜1:2、より好ましくは1:
0.8〜1:1.5の範囲が良い。
【0090】その理由は、上記官能基換算の当量比範囲
を外れると、塗布・乾燥して得られる塗膜を加熱焼き付
け処理した後も、塗膜内の樹脂(A)中あるいは架橋剤
(B)中に未反応の官能基が多量に残存することにな
り、加熱焼き付け処理後における耐熱接着性や耐溶剤性
等が不十分になるからである。
【0091】尚、架橋剤(B)の添加量が極微量でしか
ない場合には、塗布・乾燥による造膜段階あるいは乾燥
後の低温加熱処理で、樹脂(A)の部分架橋反応が十分
に起こらず、加熱焼き付け接合前の塗膜の耐薬品性や加
工性もしくは加工後耐食性が不十分になることがあり、
逆に架橋剤(B)の添加量が過多である場合には、塗布
・乾燥による造膜段階あるいは乾燥後の低温加熱処理
で、配合した架橋剤(B)の全量を樹脂(A)と架橋反
応させたときに、焼き付け接合前の塗膜の耐薬品性や加
工性、加工後耐食性は改善されるものの、焼き付け接合
の初期段階で熱可塑性が発現されなくなるばかりでな
く、架橋反応による高い接合強度も得られ難くなり、本
発明で意図する感熱接着性が有効に発揮されなくなる。
【0092】尚、樹脂(A)と架橋剤(B)の好ましい
配合比率は前述の通りであるが、これらを塗膜中で予め
予備反応(部分架橋)させておく場合における該樹脂
(A)と架橋剤(B)との部分架橋の程度は、接合のた
めの加熱焼き付け工程で樹脂(A)と架橋剤(B)との
間で十分な架橋反応を生じ得る量の官能基が残る様に考
慮すべきである。
【0093】[樹脂塗膜の付着量について]金属板表面
に形成される樹脂塗膜の付着量は、被着材の種類によっ
ても若干変わってくるので一概に決めることはできない
が、接合面における単位面積当たりの接着強度を十分に
確保する意味から、乾燥後の固形分換算で0.5g/m
2 以上、好ましくは1g/m2 以上にすることが望まし
い。しかして塗膜付着量が0.5g/m2 未満である場
合は、金属板表面を該塗膜で十分に覆うことができなく
なり、部分的に接合不良を生じる傾向が生じてくるから
である。
【0094】これに対し該樹脂塗膜付着量の上限値につ
いては、特に接着強度の観点からすると何ら限定されな
いが、付着量を過度に多くすることは、単位処理面積当
たりの塗膜原料コストの増大を招くばかりでなく、処理
液塗布後の乾燥時間が長くなって、実用化に当たり好ま
しく採用される連続塗装ライン工程でライン速度の低下
を余儀なくされ、生産性の低下とそれに伴う製造コスト
アップの問題が生じてくる。この様なところから、樹脂
塗膜の付着量は30g/m2 以下、より望ましくは10
g/m2 以下とするのが良い。
【0095】[塗布液(S)への許容される添加剤およ
び樹脂(A)の変性等]熱可塑性樹脂(A)と架橋剤
(B)を必須成分として含む塗布液(S)の調製に当た
っては、本発明で意図する接着性等の各種性能を阻害し
ない範囲で、希釈溶媒、皮張り防止剤、レベリング剤、
消泡剤、浸透剤、造膜助剤、着色顔料、増粘剤等の各種
添加剤、あるいは密着性や耐食性向上のための微粉シリ
カ、コロイダルシリカ、シランカップリング剤等を適宜
添加し、塗膜性能を更に高めたり、新たな機能を付与す
ることも可能である。
【0096】また、塗膜の耐候性や硬度、剪断強度等を
更に高めるため、樹脂(A)の一部にアクリル変性やエ
ポキシ変性を施したり、更には樹脂(A)の低コスト化
等を目的として、ポリビニルアルコール樹脂、SBR樹
脂、クロロプレン樹脂、NBR樹脂、アクリル樹脂、塩
化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル
樹脂等の各種樹脂を、本発明本来の特性を損なわない範
囲で適宜混合することも可能である。次に、本発明に係
る感熱接着性樹脂塗装金属板の製造方法について説明す
る。
【0097】該樹脂塗装金属板は、前述の様な熱可塑性
樹脂(A)と架橋剤(B)を必須成分として含有する塗
布液(S)を、任意の塗装方法で金属板の表面に塗布・
乾燥させ金属板表面で造膜させることによって得ること
ができる。
【0098】このときの乾燥温度を、架橋剤(B)の架
橋反応性発現温度以上のやや低めの温度に設定し、架橋
剤(B)と該樹脂(A)を適度に部分架橋させることに
より、塗布・乾燥後の塗膜表面にべとつきやブロッキン
グを生じることなく、且つ焼き付け接合前の各種加工工
程では塗膜に疵が付き難く、しかも加工性に優れ、また
各種有機溶剤等による脱脂が行なわれる様な場合でも、
有機溶剤に溶け出し難く耐薬品性に優れた塗膜を形成す
ることができる。
【0099】この様に、焼き付け接合前の塗膜を化学的
あるいは機械的損傷を受け難いものとすることにより、
加工後耐食性に優れ且つ接合不良を生じることのない健
全な塗膜を維持することが可能となる。
【0100】但し、該塗布・乾燥工程で熱可塑性樹脂
(A)と架橋剤(B)との架橋反応を過度に進行させる
と(即ち、部分架橋の段階を超えて架橋を進めると)、
得られる塗膜にべとつきやブロッキングの問題がなく且
つ耐薬品性、加工性、加工後耐食性もより優れたものに
なる反面、熱可塑性が失われてその後の接合のための加
熱焼付け時に、前述の様なレベリング作用や接合有効面
積拡大効果が発揮されなくなり、且つ焼き付け時に進行
すべき架橋反応の為の架橋点もなくなるため高レベルの
接合強度も得られ難くなる。
【0101】従って、該熱可塑性樹脂(A)と架橋剤
(B)を含む塗布液(S)の塗布後の乾燥温度は、部分
架橋させるために架橋剤(B)の熱架橋反応性発現温度
以上であることが必要ではあるが、乾燥温度と乾燥時間
を適宜調整して、該架橋反応を部分架橋の範疇に止めて
おくことが必要であり、その為の好ましい乾燥温度は熱
可塑性樹脂(A)や架橋剤(B)の種類によって変わっ
てくるので一律に決めることはできないが、標準的な範
囲として示すならば80〜120℃程度である。
【0102】尚、製造ライン上の制約、製造工程上の制
約等により、塗布後の塗膜乾燥温度を架橋剤(B)の架
橋反応性発現温度以上にまで上げられない場合は、塗布
・乾燥による造膜後に、架橋剤(B)の架橋反応性発現
温度以上で短時間加熱処理を行なって該樹脂(A)と架
橋剤(B)との部分架橋を起こさせてやれば、塗膜面同
士のブロッキングが防止されると共に塗膜の耐薬品性や
加工性、加工後耐食性を確保することができ、この様な
方法も本発明の技術的範疇に含まれる。
【0103】更に、塗布・乾燥工程で上記の様な部分架
橋反応に必要な温度を得ることができず、しかも造膜後
においても部分架橋に必要な低温加熱処理が行なえない
様な設備を使用する場合は、金属板表面に塗布する前の
塗布液(S)の段階で、予め樹脂(A)と架橋剤(B)
とを部分架橋させておき、該部分架橋された熱可塑性樹
脂(A’)を含む塗布液(S)を塗布・乾燥することに
よって、本発明の樹脂塗膜金属板とすることも、本発明
の範疇に含まれる。
【0104】この様な部分架橋された塗布液(S)を使
用すれば、塗布・乾燥工程で架橋剤(B)と樹脂(A)
とを部分架橋させる必要がなく、従って架橋剤(B)の
架橋反応性発現温度未満の温度で乾燥させることも可能
となり、乾燥条件に制約が少なくなると共に、別途低温
加熱処理を行なう必要もないので、好ましい手段の1つ
として推奨される。
【0105】[接合のための加熱焼き付け処理]本発明
に係る感熱接着性樹脂塗装金属板は、前述の如く所定の
形状に打ち抜き加工した後、接合すべき部位を重ね合わ
せて加熱焼き付けにより接合されるが、その際には、加
熱焼き付け温度を前記樹脂(A)の熱可塑化温度以上
で、且つ架橋剤(B)の架橋反応性発現温度以上で、好
ましくは250℃以下の温度条件下に行なうことによ
り、高い接合強度を得ることができる。
【0106】即ち、該樹脂(A)の熱可塑性発現温度未
満の加熱焼付け温度では、加熱焼付け初期過程における
樹脂の軟化・流動性が乏しく、接合界面でのレベリング
効果が有効に発揮されないため、均一な接着層が形成さ
れず、本発明で意図する様な高レベルの接着強度が得ら
れない。また、加熱焼き付け温度が架橋剤(B)の架橋
反応性発現温度[例えば架橋剤(B)が、ブロック化イ
ソシアネート基含有化合物の場合には、ブロック剤の解
離温度]未満である場合は、該塗膜中に含まれる架橋剤
(B)と該樹脂(A)との架橋反応が起こらず、[例え
ば、架橋剤(B)がブロック化イソシアネート基含有化
合物の場合では、ブロック化イソシアネート基からのブ
ロック剤の解離が起こらず、活性なイソシアネート基が
生じないために該樹脂(A)との架橋反応が起こら
ず]、目的とする高レベルの接合強度が得られない。
【0107】一方250℃を超える加熱焼き付け温度で
は、架橋剤(B)と該樹脂(A)との架橋反応は十分に
且つ早く進行するが、一方で該樹脂(A)の熱分解が進
行して塗膜成分の変質が起こり、接着強度等がかえって
低下する恐れが生じてくるばかりでなく、樹脂(A)の
分解による黄変が進行して外観も悪くなることがある。
【0108】以上の理由から、接合のための加熱焼き付
け温度は、該樹脂(A)の熱可塑化温度以上で且つ架橋
材(B)の熱架橋反応性発現温度以上で、好ましくは2
50℃以下、より望ましくは200℃以下にすることが
推奨される。
【0109】[加熱焼き付け方法の具体例]本発明の感
熱接着性樹脂塗装金属板は、例えば自動車や家庭電気製
品、金属製家具用の外板材等や建築用材料等として広く
適用することができるが、その実用化に当たっては、加
熱焼き付け接合の前または後の任意の時期に、接合面以
外の部位に各種塗料(例えば、アクリル系塗料、メラミ
ン系塗料、ポリエステル系塗料、フッ素系塗料など)
を、各種塗装方法(例えば、スプレー法、静電塗装法、
電着法等)によって塗装し、これら塗膜の焼き付け処理
と同時に塗膜接合面の加熱焼き付けによる架橋接合を行
なうことも可能である。
【0110】例えば、本発明に係る樹脂塗装金属板を所
定形状に打ち抜き加工し、2枚をかしめ合わせた後に、
上記の様な各種上塗り塗料を表面に塗装し、該塗料の焼
付け硬化のための加熱処理の熱を利用して、感熱接着性
樹脂塗膜の接合面における架橋反応を同時に起こさせ、
接合部に高度な接着強度を発現させることもできる。
【0111】この様な方法を採用すれば、上塗り塗膜の
焼付け処理と感熱接着性塗膜の架橋反応による接合を同
時に行なえるので、製造工程が一層簡易化できるという
利点が得られる。
【0112】ところで、本発明において感熱接着性樹脂
塗膜を形成する為の塗布液として、水分散性または水溶
性のものが好ましいことは先に述べた通りであるが、そ
れに伴う利点を挙げると次の通りである。
【0113】まず、水系樹脂であれば、樹脂塗装ライン
において溶剤系樹脂液を用いる場合に必要となる有機溶
剤成分ガス排気のための特別な排気処理設備を設ける必
要がなく、設備コストが軽減される。また樹脂液を塗布
する際に、例えば原板としてめっき金属板あるいは化成
処理金属板を用いる場合には、既設のめっき処理ライン
や化成処理ラインの中に樹脂塗布設備を設けることによ
って製造を連続化することができ、生産性が高められ
る。
【0114】また塗布液が有機溶剤系である場合は、溶
剤の揮発によって塗布液の固形分や粘度が経時的に変化
し、塗装むらが生じ易くなるばかりでなく塗膜の付着量
制御もむずかしい。しかし塗布液が水分散性または水溶
性であれば、塗布液からの水の揮発が極少量であるた
め、経時的な固形分や粘度の変化が少なく、安定した塗
装性が得られると共に、付着量制御も容易となる。
【0115】上記樹脂含有塗布液を金属板の表面に塗布
する方法に格別の制限はないが、一般的な方法として
は、例えば表面を清浄化し或は塗装前処理(例えばリン
酸塩処理、クロメート処理)等を施した長尺金属帯表面
に、ロールコーター法、スプレー法、カーテンフローコ
ーター法等を用いて該塗布液を金属板表面の片面もしく
は両面に連続的に塗布する方法が好ましい方法として挙
げられる。中でも、塗膜厚さの金属帯長手方向および幅
方向の均一性、塗装処理コスト、塗装効率等を総合的に
考慮して最も実用上好ましいのは、ロールコーターで塗
布する方法である。
【0116】本発明で用いられる素地金属板の種類にも
一切制限がなく、最も一般的な軟鋼板やステンレス鋼板
をはじめとする各種合金鋼板のほか、AlおよびAl合
金板、CuおよびCu合金板、TiおよびTi合金板、
めっき金属板(亜鉛および亜鉛合金系めっき鋼板、Al
およびAl合金系めっき鋼板、銅系めっき鋼板、Ni系
めっき鋼板、Cr系めっき鋼板、亜鉛系めっきAlおよ
びAl合金板等の各種めっき金属板)、化成処理(りん
酸塩処理、クロメート処理等)金属板、更には塗装金属
板等を幅広く適用することができる。
【0117】
【実施例】次に本発明の実施例を示すが、本発明はもと
より下記実施例によって制限を受けるものではなく、前
・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実
施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明
の技術的範囲に含まれる。金属板に塗布するための各種
樹脂塗布液を調製するにあたり、表1に示す如く各種の
官能基と物性を有する熱可塑性樹脂(A)と架橋剤
(B)を使用し、固形分濃度で30〜50%の水分散系
の塗布液(S)を調製した。
【0118】
【表1】
【0119】尚、表1に記した塗布溶液のうち、No.
A〜Fは、熱可塑性樹脂(A)中に存在する官能基と架
橋剤(B)中に存在するイソシアネート基あるいはアジ
リジニル基との当量換算比;B/Aが好適な比率となる
様に混合比を調整したもの、塗布液No.G〜Iは、熱
可塑性樹脂(A)内に架橋剤(B)と反応し得る官能基
が存在しないもの、塗布液No.J〜Lは、架橋剤
(B)が配合されていないもの、を夫々示している。
尚、表1中に示した樹脂(A)の熱可塑性発現温度と架
橋剤(B)の熱架橋性発現温度は、下記の方法で測定し
た。
【0120】[熱可塑性発現温度測定方法]樹脂溶液を
テフロン板上に塗布し60℃で乾燥させて得たフィルム
を、所定温度に加熱した熱板上に置き、該樹脂フィルム
が溶融する温度を測定して、熱可塑性発現温度とした。
【0121】[熱架橋性発現温度測定方法]樹脂溶液を
テフロン板上に塗布し60℃で乾燥させて得たフィルム
を、示差熱分析にかけて、ブロック剤の解離温度を測定
し、熱架橋性発現温度とした。一方、電気純Znめっき
鋼板(めっき付着量:20g/m2 、板厚0.6mm)
の表面に塗布型クロメート処理(クロメート付着量:4
0mg/m2 )を施したものを金属板として使用し、該
金属板の表面に、前記表1に示した各塗布溶液A〜Lを
ロールコーターによって所定膜厚となる様に塗布した
後、熱風乾燥炉内で移送しながら、表2〜5に示す温度
で乾燥し、得られた各樹脂塗装鋼板を、下記の性能評価
試験に供した。
【0122】[塗布・乾燥後(接合のための加熱焼付け
前)の性能評価] (1)加工性(耐疵付き性;皮膜硬度) 塗布・乾燥後の塗装金属板の塗膜硬度を、JIS−K5
400に規定される鉛筆硬度試験によって測定し、塗膜
表面の耐疵付き性を評価した。判定は、各硬度の鉛筆で
塗膜表面を計5回引っかき、引っ掻き疵が2本以上付い
た1ランク下の鉛筆硬度を塗膜硬度とした。 評価基準は、以下の通りである。 ◎優れる:鉛筆硬度 H以上 ○良好 :鉛筆硬度 HB〜F ×劣る :鉛筆硬度 B以下
【0123】(2)耐薬品性 塗布・乾燥後の塗装金属板を70mm×150mmのサ
イズに切断して供試材とし、トルエンを含ませたガーゼ
で各供試材の表面を10回慴動させ、塗膜の劣化状態を
下記の基準で評価した。 ◎優れる:異常なし ○良好 :やや膨潤する程度 ×劣る :塗膜の溶解発生
【0124】(3)加工後耐食性(加工後耐白錆性) 塗布・乾燥後の塗装金属板を、エリクセン試験機により
張出し高さ6mmの加工を行い、加工後の耐食性をJI
S Z−2371に示される5重量%塩水噴霧試験によ
って評価した。尚耐食性は、塗膜の下層にある電気純Z
nめっき層の腐食による1%白錆発生時間を測定し、下
記の基準で耐白錆性を評価した。 ◎優れる :240h以上で白錆発生 ○良好 :120〜240hで白錆発生 △やや劣る:48〜120hで白錆発生 ×劣る :48h以内で白錆発生
【0125】[加熱焼き付け処理後の性能評価] (4)塗膜間接着性(感熱自己接着強度) 塗布・乾燥後の塗装金属板を25mm×100mmのサ
イズに切断した後、塗膜表面同士を25mm×12mm
の面積で重ね合わせ、単純重ね合わせ材(シングルラッ
プジョイント)を作製する。この重ね合わせ材を表2〜
5に示した温度(接着温度)で加熱プレス装置により2
0分間加圧(3kgf/cm2 )してから冷却し、各試
験片を、JIS K−6850に準拠して、単軸引張り
試験に付し、常温下で試験片が破断するまでの最大荷重
を測定し、この値を剪断面積で割って剪断接着強度を求
めた。評価基準は、以下の通りである。 ◎優れる :接着強度150kgf/cm2 以上 ○良好 :接着強度80〜150kgf/cm2 △やや劣る:接着強度50〜80kgf/cm2 ×劣る :接着強度50kgf/cm2 未満
【0126】(5)布との接着性(90°剥離強度) 塗布・乾燥後の塗装金属板を70mm×150mmのサ
イズに切断した後、塗膜表面に綿帆布を25mm×12
0mmの面積で重ね合わせる。この重ね合わせ材を表2
〜5に示した温度(接着温度)で加熱プレス装置により
20分間加圧(3kgf/cm2 )した後、冷却する。
【0127】得られた試験片を単軸引張り試験機に水平
に保持し、試験片に貼り合わせた綿帆布の接合端から3
0mmの長さを予め手で引き剥がした後、該布と試験片
の角度を常に垂直に維持しながら、綿帆布が試験片から
剥離するまでの平均荷重を常温下で測定し、綿帆布幅2
5mm当たりの剥離接着強度を求めた。評価基準は、以
下の通りである。 ◎優れる :接着強度10kgf/25mm以上 ○良好 :接着強度8〜10kgf/25mm △やや劣る:接着強度5〜8kgf/25mm ×劣る :接着強度5kgf/25mm未満
【0128】(6)接着耐久性(接着性の耐経時劣化) 塗布・乾燥後の塗装金属板を30mm×75mmのサイ
ズに裁断した後、塗膜表面同士を30mm×10mmの
面積で重ね合わせ、単純重ね合わせ材(シングルラップ
ジョイント)を作製した。この重ね合わせ材を、表2〜
5に示す如く加熱プレス装置を用いて所定温度(接着温
度)で20分間加圧(3kgf/cm2 )した後、冷却
した。
【0129】得られた試験片を、JIS K−6857
に準拠して、下記に示す条件で恒温恒湿試験に供し、そ
の後前記(4)で示したのと同様の単軸引張り試験を行
うことにより、接着強度の耐久性(接着性の耐経時劣
化)を調べた。 [恒温恒湿試験] ・温度 :25℃ ・相対湿度:90%RH ・試験時間:720h 評価基準は、以下の通りである。
【0130】 ◎優れる :接着強度130kgf/cm2 以上 ○良好 :接着強度70〜130kgf/cm2 △やや劣る:接着強度40〜70kgf/cm2 ×劣る :接着強度40kgf/cm2 未満
【0131】(7)耐熱接着性 塗布・乾燥後の塗装金属板を30mm×75mmのサイ
ズに裁断した後、塗膜表面同士を30mm×10mmの
面積で重ね合わせ、単純重ね合わせ材(シングルラップ
ジョイント)を作製した。この重ね合わせ材を、表2〜
5に示す如く所定温度(接着温度)の加熱プレス装置を
用いて20分間加圧(3kgf/cm2 )した後、冷却
した。
【0132】得られた試験片を、60℃の大気雰囲気下
で前記(4)と同様にして単軸引張り試験を行うことに
より、高温環境下での接着強度(耐熱接着性)を調べ
た。評価基準は、以下の通りである。 ◎優れる:接着強度80kgf/cm2 以上 ○良好 :接着強度50〜80kgf/cm2 ×劣る :接着強度50kgf/cm2 未満
【0133】(8)耐食性(耐白錆性) 焼き付け後の耐食性を評価するため、まず塗布・乾燥後
の塗装金属板を70mm×150mmのサイズに裁断
し、表2〜5に示す如く所定温度で加熱焼き付けを行
い、端面および裏面をテープシールした後に、前記
(3)と同様にJISZ−2371で規定される5重量
%塩水噴霧試験に供した。
【0134】耐食性は、耐白錆性により評価することと
し、即ち、塗膜の下層にある電気純Znめっき層の腐食
によって1%白錆が発生するまでの時間によって評価し
た。評価基準は、以下の通りである。 ◎優れる :240h以上で白錆発生 ○良好 :120〜240hで白錆発生 △やや劣る:48〜120hで白錆発生 ×劣る :48h以内で白錆発生
【0135】(9)耐薬品性 焼付け後の樹脂塗膜の耐薬品性を評価するため、まず塗
布・乾燥後の塗装金属板を70mm×150mmのサイ
ズに裁断し、表2〜5に示す如く所定温度で焼付けを行
なう。得られた試験片の表面を、トルエンを含ませたガ
ーゼで20回慴動させ、塗膜の劣化状態を目視評価し
た。評価基準は、以下の通りである。 ◎優れる:異常なし ○良好 :やや膨潤する程度 ×劣る :塗膜の溶解発生 上記性能評価試験結果を表2〜5に示す。
【0136】
【表2】
【0137】
【表3】
【0138】
【表4】
【0139】
【表5】
【0140】これらの結果から次の様に考えることがで
きる。本発明で規定される架橋結合のための官能基を好
適当量比で有する塗布液A〜Fを使用し、これを好まし
い付着量、乾燥温度、焼付け温度を満たす条件で鋼板表
面に造膜して得られる本発明の塗装鋼板は、塗布・乾燥
後の状態で優れた加工性、加工後耐食性、耐薬品性を有
すると共に、加熱焼き付け後の状態では、優れた塗膜間
接着性、布との接着性、接着耐久性、耐熱接着性、耐食
性、耐薬品性を有していることが分かる。
【0141】一方、本発明で定める好適条件を満たす塗
布液A〜Fを使用した場合であっても、 ・塗膜の付着量が極端に少なく、多数の塗膜欠陥が発生
したり、接合に十分な塗膜厚さが得られないもの、 ・加熱焼き付け温度が架橋剤(B)の熱架橋反応性発現
温度未満であり、加熱焼き付け工程での架橋剤(B)と
樹脂(A)の架橋反応が進行していないもの、 ・加熱焼き付け温度が非常に高く、塗膜の熱劣化が生じ
ているもの、 ・乾燥温度が低く、塗布・乾燥工程で樹脂(A)と架橋
剤(B)との部分架橋反応が生じていないもの、 ・乾燥温度が非常に高く、塗布・乾燥工程において樹脂
(A)と架橋剤(B)との架橋反応が進行し過ぎている
もの、 では、加工性、加工後耐食性、耐薬品性、各種接着性の
うち少なくとも1つ以上の性能が不十分になっている。
【0142】特に、塗膜の塗布・乾燥工程で乾燥温度を
過度に高温で行ったものでは、乾燥時にブロック化イソ
シアネート基のブロック剤の解離が起こり、あるいはア
ジリジニル基含有化合物との反応により、塗膜内での樹
脂(A)と架橋剤(B)との架橋反応が活発に進行し、
塗膜の硬化反応によって熱可塑性が消失するため、その
後の加熱焼き付け接合工程で、塗膜面同士の接着面の一
体化および架橋反応がほとんど起こらず、本発明最大の
目的である感熱接着性が得られなくなる。
【0143】また、塗布液G〜Iについては、前述の如
く塗布液中の熱可塑性樹脂(A)内にイソシアネート基
やアジリジニル基との架橋反応性を示す官能基が存在し
ていないため、塗布・乾燥後の塗膜の加工性、加工後耐
食性、耐薬品性が極めて不良である。しかも、塗膜の加
熱焼き付け処理を行なっても、熱可塑性によってもたら
される接合面の融合一体化による接着強度増大効果しか
得られず、塗膜面同士および塗膜面と被着材面との架橋
反応による接着力増強効果が発揮されず、しかも加熱焼
き付け後も塗膜は熱可塑性を維持したままであるため、
高温接着性や耐溶剤性等の性能が不十分であることがわ
かる。
【0144】また、塗布溶液J〜Lについては、塗布液
中に架橋剤(B)が含まれないため、やはり樹脂(A)
との架橋反応が起こらず、塗布液G〜Iを用いた場合と
同様に、塗布・乾燥後の塗膜の加工性、加工後耐食性、
耐薬品性が劣ると共に、加熱焼付け処理後においても、
熱可塑性を維持したままであるので、高温接着性や耐溶
剤性等の性能が不十分であることがわかる。
【0145】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されているの
で、塗布・乾燥状態でべとつきやブロッキングを起こす
ことがなく、またスリッターや打ち抜き加工時の皮膜の
加工性、加工後耐食性や有機溶剤等に対する耐薬品性に
も優れており、更には接合のための加熱焼き付け処理後
においては、優れた接着性、接着耐久性、耐高温接着
性、耐薬品性、耐食性等を発現し得る感熱接着性樹脂塗
装金属板を提供し得ることとなった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−76830(JP,A) 特開 平7−256203(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 7/14 B32B 15/08 C08L 23/26 C09J 5/06 C09J 175/04

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱架橋反応性を示す官能基(X)を分子
    中に有する熱可塑性樹脂(A)と感熱型架橋剤(B)を
    必須成分として含有する塗布液(S)を、金属板表面に
    塗布・乾燥して得られる感熱接着性樹脂塗装金属板にお
    いて、 加熱接合前の樹脂塗膜段階で、前記熱可塑性樹脂(A)
    中の官能基(X)と前記感熱型架橋剤(B)とが部分架
    橋されている塗膜が、固形分換算で0.5〜30g/m
    2 の付着量で金属板の少なくとも片面に形成されている
    ことを特徴とする感熱接着性樹脂塗装金属板。
  2. 【請求項2】 塗布液(S)中の熱可塑性樹脂(A)の
    一部が、感熱型架橋剤(B)と予め部分架橋された熱可
    塑性樹脂(A’)である請求項1に記載の感熱接着性樹
    脂塗装金属板。
  3. 【請求項3】 感熱型架橋剤(B)がブロック化イソシ
    アネート基含有化合物であり、且つ熱可塑性樹脂(A)
    の分子中に存在する熱架橋反応性を示す官能基(X)
    が、水酸基、アミノ基、カルボキシル基の1種または2
    種以上である請求項1または2に記載の感熱接着性樹脂
    塗装金属板。
  4. 【請求項4】 感熱型架橋剤(B)がアジリジニル基含
    有化合物であり、且つ熱可塑性樹脂(A)の分子中に存
    在する熱架橋反応性を示す官能基(X)が、水酸基、ア
    ミノ基、カルボキシル基の1種または2種以上である請
    求項1または2に記載の感熱接着性樹脂塗装金属板。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂(A)が感熱型架橋剤
    (B)との熱架橋反応性を示す官能基(X)を有するポ
    リエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン
    系樹脂よりなる群から選ばれる1種または2種以上であ
    る請求項1〜4のいずれかに記載の感熱接着性樹脂塗装
    金属板。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂(A)が、水溶性または水
    分散性の樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載の感
    熱接着性樹脂塗装金属板。
  7. 【請求項7】 熱架橋反応性を示す官能基(X)を分子
    中に有する熱可塑性樹脂(A)と感熱型架橋剤(B)を
    必須成分として含有する塗布液(S)を、金属板表面に
    塗布・乾燥して感熱接着性樹脂塗装金属板を製造する方
    法において、 塗布液(S)の塗布前または塗布後で、且つ加熱接合前
    に低温加熱処理を行ない、熱可塑性樹脂(A)と感熱型
    架橋剤(B)の一部を部分架橋反応させることを特徴と
    する感熱接着性樹脂塗装金属板の製造方法。
  8. 【請求項8】 低温加熱処理を、塗布液(S)の塗布後
    の造膜のための乾燥処理と同時に行う請求項7に記載の
    感熱接着性樹脂塗装金属板の製造方法。
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