JP2018020499A - 複合体およびその製造方法 - Google Patents

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森川 茂保
Shigeyasu Morikawa
茂保 森川
正司 平岡
Masaji Hiraoka
正司 平岡
藤井 孝浩
Takahiro Fujii
孝浩 藤井
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Abstract

【課題】接着剤などを使用せずに製造できる、プラスチックフィルムと金属板とが接合した複合体を提供すること。【解決手段】本発明は、金属板および前記金属板の表面に形成された塗膜を有する塗装金属板と、前記塗膜の表面に接して配置されて、前記塗装金属板に接合しているプラスチックフィルムと、を有する複合体に関する。本発明の複合体において、前記塗膜は、ポリカーボネートユニット含有ポリウレタン樹脂を含み、前記塗膜中の樹脂成分の合計質量に対するポリカーボネートユニットの質量の割合は、15質量%以上80質量%以下であり、前記金属板の表面への前記塗膜の付着量は、0.1g/m2以上であり、前記プラスチックフィルムは、前記塗膜と接する領域の少なくとも一部に熱可塑性プラスチックを含む。【選択図】なし

Description

本発明は、塗装金属板とプラスチックフィルムとを有する複合体、およびその製造方法に関する。
従来、金属とプラスチックとが接合した複合体は、インサート成形によって製造されてきた。しかし、インサート成形による上記複合体の製造は、プラスチックが厚みの大きい成形体であるときは容易であるが、プラスチックが厚みの小さいフィルム状などの形状を有するときは一般に困難である。
たとえば、両面テープや接着剤などを用いれば、厚みの小さいプラスチックフィルムも金属に接合させることが可能である。特許文献1には、接着剤を用いたドライラミネート処理によってポリエステルフィルムを鋼板または塗装付き鋼板に接合させる方法が記載されている。この方法によれば、まず、ポリウレタン樹脂およびポリエステル樹脂を含む接着剤を接合させようとするポリエステルフィルムに塗布し、乾燥させて、接着剤が付着したポリエステルフィルムを得る。次に、このようにして得られたポリエステルフィルムの上記接着剤が付着した面を鋼板に接触させ、ポリエステルフィルムと鋼板とを加熱圧着させることで、ポリエステルフィルムがラミネートされた鋼板を製造している。
特開2005−170999号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように、接着剤を用いてプラスチックフィルムと金属板とを接合させた複合体を得ようとすると、接合時に、プラスチックフィルムまたは金属板に接着剤を塗布し、乾燥させるという工程が必須となる。この追加の工程を行うためには、接着剤を塗布および乾燥させるための設備を製造ラインに組み込む必要がある。また、接着剤の乾燥等には時間がかかるため、この追加の工程にはある程度の時間が必要とある。そのため、接着剤を用いる方法で上記複合体を得ようとすると、製造コストが増加してしまい、かつ、短時間での複合体の製造が困難であるという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、接着剤などを使用せずに製造できる、プラスチックフィルムと金属板とが接合した複合体を提供することを目的とする。また、本発明は、当該複合体の製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、金属板の表面に所定の塗膜を形成した塗装金属板とプラスチックフィルムとを熱ラミネート法によって接合することで、上記課題を解決できることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成させた。
すなわち、本発明の一実施態様は、金属板および前記金属板の表面に形成された塗膜を有する塗装金属板と、前記塗膜の表面に接して配置されて、前記塗装金属板に接合しているプラスチックフィルムと、を有し、前記塗膜は、ポリカーボネートユニット含有ポリウレタン樹脂を含み、前記塗膜中の樹脂成分の合計質量に対するポリカーボネートユニットの質量の割合は、15質量%以上80質量%以下であり、前記金属板の表面への前記塗膜の付着量は、0.1g/m以上であり、前記プラスチックフィルムは、前記塗膜と接する領域の少なくとも一部に熱可塑性プラスチックを含む、複合体に関する。
また、本発明の他の実施態様は、金属板および前記金属板の表面に形成された塗膜を有する塗装金属板を準備する工程と、前記塗膜を加熱する工程と、加熱された前記塗膜の表面にプラスチックフィルムを接触させて加圧して、前記塗装金属板と前記プラスチックフィルムとを接合させる工程と、を有し、前記塗膜は、ポリカーボネートユニット含有ポリウレタン樹脂を含み、前記塗膜中の樹脂成分の合計質量に対するポリカーボネートユニットの質量の割合は、15質量%以上80質量%以下であり、前記金属板の表面への前記塗膜の付着量は、0.1g/m以上であり、前記プラスチックフィルムは、前記塗膜と接する領域の少なくとも一部に熱可塑性プラスチックを含む、複合体の製造方法に関する。
本発明によれば、接着剤などを使用せずに製造できる、プラスチックフィルムと金属板とが接合した複合体、および当該複合体の製造方法が提供される。
1.複合体
以下、本発明の一実施の形態について説明する。本実施の形態に係る複合体は、金属板および前記金属板の表面に形成された塗膜を有する塗装金属板と、前記塗膜の表面に接して配置されて、前記塗装金属板に接合しているプラスチックフィルムと、を有する。以下、各構成要素について説明する。なお、本発明において、塗装金属板とプラスチックフィルムとが接合しているとは、両者が密着して、容易に剥離しない(たとえば、プラスチックフィルムを下向きにして複合体を持ち上げても、プラスチックフィルムが自重で剥離することがない)ことを意味する。
なお、塗膜とプラスチックフィルムとは、通常、上記複合体の断面を観察すると明瞭な境界が見られるため識別可能であるが、電子線マイクロアナライザ(EPMA)などによる特性X線を用いた元素分析をして両者を識別することもできる。たとえば、塗膜の種類および組成とプラスチックフィルムの種類および組成とが共通している場合などには、上記断面は明瞭には観察できないことがある。このような場合でも、EPMAによって後述する塗膜の任意成分(エッチング剤、無機化合物および潤滑剤、ならびに無機顔料、有機顔料および有機染料など)の有無を面内方向に分析すれば、上記任意成分が多く存在する領域が塗膜、上記任意成分が少ない領域がプラスチックフィルムであると識別できる。
[塗装金属板]
塗装金属板は、金属板と、上記金属板の表面に形成された塗膜とを有する。上記塗装金属板は、金属板と塗膜との間に化成処理皮膜を有していてもよい。以下、塗装金属板の各要素について説明する。
(1)金属板
金属板の種類は、特に限定されず、プラスチックフィルムを接合させてなる複合体の用途などに応じて選択することができる。上記金属板の例には、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板、Zn−Al−Mg合金めっき鋼板、Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、ステンレス鋼板(オーステナイト系、マルテンサイト系、フェライト系、フェライト・マルテンサイト二相系を含む)、アルミニウム板、アルミニウム合金板、および銅板などが含まれる。金属板は板状であればよく、金属板の形状は、一定の方向に延伸された帯状でもよいし、所定の長さで切断された短板状でもよい。金属板の厚さは、後述する製造方法で例示したような加圧が可能な範囲、たとえば、公知の熱ラミネート装置が有するラミネート用ローラーを通板可能な範囲、であれば特に限定されず、たとえば50μm以上10mm以下とすることができる。たとえば、鋼板である場合、上記金属板は厚さが50μm以上250μm未満程度の箔状でもよいし、厚さが250μm以上3mm未満程度の薄板でもよいし、厚さが3mm以上6mm未満程度の中板(熱延鋼板)でもよいし、厚さが6mm以上10mm以下程度の厚板でもよい。
(2)化成処理皮膜
前述のように、塗装金属板は、金属板と塗膜との間に化成処理皮膜を有していてもよい。化成処理皮膜は、上記金属板の表面に形成されていて、その少なくとも一部が金属板と塗膜との間に存在すればよく、たとえば、塗膜が金属板表面の一部に形成されているときは、塗装金属板の表面に化成処理皮膜のみが形成されている領域が存在してもよい。化成処理皮膜は、金属板に対する塗膜の密着性および金属板の耐食性を向上させることができる。化成処理皮膜は、金属板の表面のうち、少なくとも後述するプラスチックフィルムと接合する領域(接合面)に形成されていればよいが、化成処理皮膜の形成をより容易にして、より短時間かつ低コストでの複合体の製造を可能にする観点からは、金属板の表面全体に形成されていることが好ましい。また、化成処理皮膜は、金属板の片面にのみ形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。また、化成処理皮膜は、金属板の端面に形成されていてもよい。
化成処理皮膜の種類は、特に限定されず、化成処理皮膜によって付与されるべき特性(たとえば、塗膜密着性および耐食性の向上)に応じて選択することができる。化成処理皮膜の例には、クロメート皮膜、クロムフリー皮膜(Ti−Mo複合皮膜およびフルオロアシッド系皮膜など)、ならびにリン酸塩皮膜などが含まれる。化成処理皮膜の付着量は、化成処理皮膜によって付与されるべき特性が十分に付与される範囲内であれば特に限定されない。たとえば、クロメート皮膜の場合、全Cr換算付着量が5mg/m以上100mg/m以下となるように付着量を調整すればよい。また、クロムフリー皮膜の場合、Ti−Mo複合皮膜ではTi換算付着量が10mg/m以上500mg/m以下、フルオロアシッド系皮膜ではフッ素換算付着量または総金属元素換算付着量が3mg/m以上100mg/m以下となるように付着量を調整すればよい。また、リン酸塩皮膜の場合、リン換算付着量が0.1g/m以上5g/m以下となるように付着量を調整すればよい。
(3)塗膜
塗膜は、樹脂成分を含む塗膜であり、上記樹脂成分としてポリカーボネートユニット含有ポリウレタン樹脂を含む。塗膜は、上記金属板の表面と接して形成されるが、金属板の表面に化成処理皮膜などの他の層または皮膜が形成されているときは、その少なくとも一部が上記層または皮膜と接して形成されることが好ましい。塗膜は、金属板(または化成処理皮膜などの層または皮膜)およびプラスチックフィルムの双方に融着して、金属板とプラスチックフィルムとを密着させて接合させる。後述するように、塗膜は、化成処理皮膜と同様に、金属板表面のうちの接合面に形成されていればよいが、塗膜の形成をより容易にして、より短時間かつ低コストでの複合体の製造を可能にする観点からは、金属板(または化成処理皮膜などの層または皮膜)の表面全体に形成されていることが好ましい。また、塗膜は、金属板の片面にのみ形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。また、塗膜は、金属板の端面に形成されていてもよい。
ポリカーボネートユニット含有ポリウレタン樹脂は、分子鎖中にポリカーボネートユニットを有するポリウレタン樹脂である。「ポリカーボネートユニット」とは、下記に示す構造を意味する。
Figure 2018020499
ポリカーボネートユニット含有ポリウレタン樹脂は、例えば以下の工程により生成することができる。有機ポリイソシアネートと、ポリカーボネートポリオールと、三級アミノ基またはカルボキシル基を有するポリオールとを反応させてウレタンプレポリマーを生成する。このようにして生成されたポリカーボネートユニット含有ポリウレタン樹脂は、有機ポリイソシアネートに由来する構成単位と、ポリカーボネートポリオールに由来する構成単位と、三級アミノ基またはカルボキシル基を有するポリオールに由来する構成単位とを有する。なお、本発明の目的を損なわない範囲内において、ポリカーボネートポリオール化合物以外のポリオール、例えばポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールなどを併用して生成した、これらの化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネートユニット含有ポリウレタン樹脂を使用することは可能である。
このとき、生成したウレタンプレポリマーの三級アミノ基を、酸で中和するかまたは四級化剤で四級化した後、水で鎖伸長することで、カチオン性のポリカーボネートユニット含有ポリウレタン樹脂を生成することができる。
また、生成したウレタンプレポリマーのカルボキシル基を、トリエチルアミンやトリメチルアミン、ジエタノールモノメチルアミン、ジエチルエタノールアミン、苛性ソーダ、苛性カリウムなどの塩基性化合物で中和してカルボン酸の塩類に変換することで、アニオン性のポリカーボネートユニット含有ポリウレタン樹脂を生成することができる。
上記有機ポリイソシアネートの種類は、特に限定されない。上記有機ポリイソシアネートの例には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、および4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが含まれる。これらの有機ポリイソシアネートは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記ポリカーボネートポリオールは、カーボネート化合物と、ジオール化合物とを反応させることで生成される、カーボネート化合物に由来する構成単位と、ジオール化合物に由来する構成単位とを有する化合物である。上記カーボネート化合物の例には、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、およびプロピレンカーボネートなどが含まれる。上記ジオール化合物の例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、および1,6−ヘキサンジオールなどが含まれる。なお、ポリカーボネートポリオールは、イソシアネート化合物によって鎖延長された、イソシアネート化合物に由来する構成単位を有する化合物であってもよい。
上記三級アミノ基を有するポリオールの種類は、特に限定されない。上記三級アミノ基を有するポリオールの例には、N−メチルジエタノールアミン、およびN−ブチルジエタノールアミンなどが含まれる。上記カルボキシル基を有するポリオールの種類は、特に限定されない。上記カルボキシル基を有するポリオールの例には、2,2’−ジメチロールプロピオン酸、2,2’−ジメチロールブタン酸、2,2’−ジメチロール酪酸、2,2’−ジメチロール吉草酸、2,3−ジヒドロキシこはく酸、およびグリセリン酸などが含まれる。
塗膜は、任意成分としてポリカーボネートユニット非含有樹脂をさらに含んでいてもよい。ポリカーボネートユニット非含有樹脂は、上述したポリカーボネートユニットを含まない樹脂である。塗膜がポリカーボネートユニット非含有樹脂を含むと、金属板に対する塗膜の密着性がさらに高まる。ポリカーボネートユニット非含有樹脂の種類は、分子鎖中にポリカーボネートユニットを含んでいないものであれば特に限定されないが、金属板に対する塗膜密着性を向上させる観点からは、極性基を含むものが好ましい。ポリカーボネートユニット非含有樹脂の種類の例には、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネートユニット非含有ポリウレタン系樹脂が含まれる。これらの樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記エポキシ系樹脂の例には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、およびビスフェノールAD型エポキシ樹脂が含まれる。上記オレフィン系樹脂の例には、ポリエチレン樹脂、およびポリプロピレン樹脂が含まれる。上記フェノール系樹脂の例には、ノボラック型樹脂、およびレゾール型樹脂が含まれる。
ポリカーボネートユニット非含有ポリウレタン系樹脂は、ジオールとジイソシアネートとが共重合することで得られる。ジオールの例には、ポリカーボネートジオール以外であって、ビスフェノールA、1,6−ヘキサンジオール、および1,5−ペンタンジオールが含まれる。イソシアネートの例には、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、および脂環族ジイソシアネートが含まれる。
樹脂成分の合計質量に対するポリカーボネートユニットの質量の割合は、15質量%以上80質量%以下である。ポリカーボネートユニットの質量の割合が15質量%未満である場合、塗膜に対するプラスチックフィルムの密着性が十分に高まらないおそれがある。一方、ポリカーボネートユニットの質量の割合が80質量%超である場合、金属板に対する塗膜の密着性が十分に高まらないおそれがある。樹脂成分の合計質量に対するポリカーボネートユニットの質量の割合は、塗膜をクロロホルムに溶解させたサンプルを用いて、核磁気共鳴分光法(NMR分析)により求めることができる。
塗膜は、さらに、Ti、Zr、V、MoおよびWからなる群から選択される元素(これらを総称して、「バルブメタル」ともいう。)の酸化物、水酸化物またはフッ化物、あるいはこれらの組み合わせを含むことが好ましい。これらの元素を含む化合物を化成処理皮膜中に分散させることで、金属板の耐食性をより向上させることができる。特に、これらの元素のフッ化物は、自己修復作用により、皮膜欠陥部における腐食を抑制することも期待できる。
塗膜は、上記バルブメタルを含む化合物に加えて、可溶性の金属リン酸塩もしくは複合リン酸塩、または難溶性の金属リン酸塩もしくは複合リン酸塩をさらに含んでいてもよい。可溶性の金属リン酸塩または複合リン酸塩は、上記元素のフッ化物の自己修復作用を補完することで、金属板の耐食性をより向上させる。また、難溶性の金属リン酸塩または複合リン酸塩は、塗膜中に分散して皮膜強度を向上させる。たとえば、可溶性の金属リン酸塩もしくは複合リン酸塩、または難溶性の金属リン酸塩もしくは複合リン酸塩は、AlやTi、Zr、Hf、Znなどの塩である。
前記金属板の表面への塗膜の付着量は、0.1g/m以上であれば特に限定されない。上記塗膜の付着量が0.1g/m未満である場合、金属板の表面を均一に覆うことが困難となり、プラスチックフィルムの密着性を十分に向上させることができないおそれがある。塗装金属板とプラスチックフィルムとの間の密着性をより高める観点からは、上記塗膜の付着量は0.2g/m以上であることが好ましく、0.5g/m以上であることがより好ましく、1.0g/m以上であることがさらに好ましい。一方、上記塗膜の付着量の上限値は、特に限定されないが、20g/m程度である。上記塗膜の付着量を20g/m超としても、それ以上の密着性の向上を期待することができない。ただし、塗膜の付着量は、4.0g/m以下であっても、塗装金属板とプラスチックフィルムとの間の密着性は十分に高まる。
塗膜は、前述の樹脂成分の他に、エッチング剤、無機化合物、および潤滑剤などをさらに含んでいてもよい。
上記エッチング剤は、金属板の表面を活性化することで、金属板に対する塗膜の密着性を向上させる。上記エッチング剤の例には、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、ジルコンフッ化水素、およびチタンフッ化水素が含まれる。
上記無機化合物は、塗膜を緻密化して耐水性を向上させる。上記無機化合物の例には、シリカ、アルミナ、およびジルコニアなどの無機系酸化物ゾル、ならびに、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸マンガン、およびリン酸マグネシウムなどのリン酸塩などが含まれる。
上記潤滑剤の例には、フッ素系、ポリエチレン系、およびスチレン系などの有機潤滑剤、ならびに、二硫化モリブデンおよびタルクなどの無機潤滑剤などが含まれる。
塗膜には、さらに、無機顔料や有機顔料、有機染料などをさらに含んでいてもよい。塗膜がこれらの顔料および染料を含むと、塗膜に所定の色調が付与される。
[プラスチックフィルム]
プラスチックフィルムは、塗装金属板が有する塗膜の表面に接合されるフィルム状のプラスチックである。プラスチックフィルムは、前記塗膜と接する領域の少なくとも一部に熱可塑性プラスチックを含む。なお、塗膜と接する領域とは、塗膜とプラスチックフィルムとの間に明瞭な境界が確認できるときは、その境界(特には境界からプラスチックフィルム側にかけての領域)を意味し、上記明瞭な境界が確認できないときは、上述したEPMAによってプラスチックフィルムであると識別される領域のうち、塗膜であると識別される領域と接する(または近傍の)領域を意味する。
上記熱可塑性プラスチックの種類は、熱ラミネート法によって塗装金属板に融着可能であれば特に限定されず、複合体の用途などに応じて適宜選択されうる。上記熱可塑性プラスチックは、前記塗膜と種類および組成が同一の樹脂からなるものでもよいし、種類または組成が異なる樹脂からなるものであってもよい。上記熱可塑性プラスチックの例には、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系、アクリル系、ポリビニルアルコール系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエチレンテレフタレート系、およびポリカーボネート系のプラスチック、ならびにこれらを組み合わせてなるプラスチックが含まれる。
特に、熱可塑性プラスチックは、前記ポリカーボネートユニット含有ポリウレタン樹脂と類似した骨格または官能基を有することが好ましく、特には、ベンゼン環を含む構成単位を有することが好ましい。上記類似した骨格または官能基を有する熱可塑性プラスチックは、塗装金属板に対して熱ラミネート法により接合させるときに、塗膜が含むポリカーボネートユニット含有ポリウレタン樹脂と相溶しやすく、塗膜とプラスチックフィルムとを強固に結合させることができる。したがって、上記類似した骨格または官能基を有する熱可塑性プラスチックは、塗膜に対するプラスチックフィルムの密着性をより高めることができる。ポリカーボネートユニット含有ポリウレタン樹脂はベンゼン環を含む構成単位を有するため、上記熱可塑性樹脂もベンゼン環を含む構成単位を有すると、塗膜とプラスチックフィルムとがより相溶しやすくなり、塗膜に対するプラスチックフィルムの密着性をより高めることができる。上記類似した骨格または官能基を有する熱可塑性プラスチックの例には、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂およびポリウレタン系樹脂などが含まれ、これらのうち、上記ベンゼン環を含む構成単位を有する熱可塑性樹脂の例には、ポリカーボネート系樹脂およびポリエチレンテレフタレート系樹脂などが含まれる。
プラスチックフィルムは、実質的に上記熱可塑性プラスチックのみを含む、単一の層からなるフィルムでもよいし、上記熱可塑性プラスチックを含む層と、その他の層と、を含む積層体でもよい。上記その他の層は、上記熱可塑性プラスチックを含む層と積層体を形成できる層であればよく、上記熱可塑性プラスチック(塗膜と接する領域に含まれる熱可塑性プラスチック)とは種類または組成が異なる熱可塑性プラスチックでもよいし、熱可塑性プラスチック以外のプラスチックでもよい。また、上記その他の層は、綿や麻、絹、紙などの天然繊維や、ガラス繊維や炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維などの無機繊維をさらに含んでいてもよい。
プラスチックフィルムの形状に制限はない。
(効果)
上述した塗装金属板に対して、熱ラミネート法によりプラスチックフィルムを接合させて複合体を製造すると、接着剤を塗布し、乾燥させる工程が不要となる。そのため、従来の熱ラミネート処理ラインによって複合体を製造可能であるため特段の設備を製造ラインに組み込む必要がなく、また、接着剤の塗布および乾燥の時間が不要であるためより短時間で複合体を製造することができる。そのため、より短時間で、かつ、より低コストで、複合体を製造することができる。
2.複合体の製造方法
次いで、本発明の他の実施形態である、熱ラミネート法による複合体の製造方法について説明する。本実施の形態に係る複合体の製造方法は、1)塗装金属板を準備する第1工程と、2)上記塗装金属板が有する塗膜を加熱する第2工程と、3)加熱された前記塗膜の表面にプラスチックフィルムを接触させて加圧して、前記塗装金属板とプラスチックフィルムとを接合させる第3工程とを含む。以下、各工程について説明する。
1)第1工程
第1工程では、塗装金属板を準備する。塗装金属板は、予め塗膜が形成された金属板を購入等して用いてもよいし、以下の手順により製造してもよい。
まず、塗装基材となる金属板を準備する。化成処理皮膜を有する複合体を製造する場合は、塗膜を形成する前に化成処理を行う。化成処理皮膜を形成しない場合は、このまま塗膜を形成する。
上記化成処理皮膜は、上述した化成処理皮膜の材料を含む化成処理液を金属板の表面に塗布し、乾燥させて形成することができる。化成処理液の塗布方法は、特に限定されず、公知の方法から適宜選択すればよい。化成処理液の塗布方法の例には、ロールコート法、カーテンフロー法、スピンコート法、スプレー法、および浸漬引き上げ法などが含まれる。化成処理液の乾燥条件は、化成処理液の組成などに応じて適宜設定すればよい。たとえば、化成処理液を塗布した金属板を水洗することなく乾燥オーブン内に投入し、到達板温が80℃以上250℃以下の範囲内となるように加熱することで、金属板の表面に均一な化成処理皮膜を形成することができる。
塗膜は、金属板(または化成処理皮膜)の表面に、前述のポリカーボネートユニット含有ポリウレタン樹脂を含む塗料を塗布し、焼き付けて形成することができる。塗料の塗布方法は、特に限定されず、公知の方法から適宜選択すればよい。塗料の塗布方法の例には、ロールコート法、カーテンフロー法、スピンコート法、スプレー法、および浸漬引き上げ法などが含まれる。塗料の焼き付け条件は、塗料の組成などに応じて適宜設定しうる。たとえば、塗料を塗布した金属板を乾燥オーブン内に投入し、到達板温が110℃以上200℃以下の範囲内となるように熱風乾燥機で乾燥させることで、金属板(または化成処理皮膜)の表面に均一な塗膜を形成することができる。
塗装金属板は、後述の工程の前に保存されていてもよい。たとえば、上記製造された塗装金属板にカバーをかけたり、上記製造された塗装金属板をロール状にまるめたりして保管した後に、後述の工程によりプラスチックフィルムと接合させることも可能である。上記保存は、たとえば、6時間以上、12時間以上、1日以上、5日以上、10日以上、20日以上、1か月以上、5か月以上、10か月以上、1年以上、または5年以上、行うことができるが、保存中の塗膜の劣化による密着性の低下を抑制する観点からは、10年以下であることが好ましい。これに対し、接着剤を用いて金属板とプラスチックフィルムとを接合させるときは、接着剤が劣化するため、接着剤の塗布および乾燥後、数時間以内に接合を行う必要がある。
2)第2工程
第2工程では、第1工程で準備した塗装金属板が有する前記塗膜を加熱する。このとき、塗膜のみを選択的に加熱してもよいが、本工程をより容易に行う観点からは、塗装金属板の全体を加熱することで上記塗膜の温度を上昇させることが好ましい。このとき、塗装金属板の加熱温度と塗膜の加熱温度とは略一致するため、塗装金属板の加熱温度をもって塗膜の加熱温度とみなすことができる。塗膜の加熱温度は、塗装金属板の表面にプラスチックフィルムを第3工程における接触および加圧によって接合させることができれば特に限定されず、塗膜の組成やプラスチックフィルムの種類などに応じて適宜設定されうる。加熱方法の例は、特に限定されず、公知の方法から適宜選択されうる。加熱方法の例には、ヒーター加熱、電磁誘導加熱、超音波加熱、および赤外線加熱が含まれる。たとえば、塗装金属板をホットプレート上で加熱すればよい。
3)第3工程
第3工程では、第2工程で加熱された塗膜とプラスチックフィルムとを融着させて、塗装金属板とプラスチックフィルムとを接合させる。具体的には、上記加熱された塗膜とプラスチックフィルムとを接触させ、圧力を加えて両者を密着させる。これにより、上記加熱された塗膜とプラスチックフィルムとが界面において部分的に相溶して融着し、塗装金属板とプラスチックフィルムとが接合する。加圧の強さおよび加圧時間は、塗装金属板が有する塗膜がプラスチックフィルムと融着できれば特に限定されず、塗膜の組成やプラスチックフィルムの種類、加熱温度などに応じて適宜設定されうる。加圧方法の例には、バイスを用いた機械式加圧、各種ロールによる加圧、空気や窒素ガスなどの吹付による加圧、および特段の装置などを用いずに行う人力による加圧などが含まれる。なお、プラスチックフィルムを塗装金属板の表面に密着させることができれば、プラスチックフィルムの自重を利用してもよい。
以上の手順により、塗装金属板の表面にプラスチックフィルムを優れた密着性で接合させることができる。これにより、本実施の形態に係る複合体を製造することができる。
以上のとおり、本実施の形態に係る塗装金属板の表面にプラスチックフィルムを熱ラミネート法により接合させて、本実施の形態に係る複合体を製造することができる。本実施の形態に係る塗装金属板には、金属よびプラスチックフィルムの両方に対して密着性に優れる所定の塗膜が形成されている。このため、本実施の形態に係る複合体は、金属板とプラスチックフィルムとの間の密着性に優れている。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
本実施例では、塗装金属板と熱可塑性プラスチックフィルムとを有する複合体を作製し、塗装金属板と熱可塑性プラスチックフィルムとの間の密着性について調べた。
1.塗装金属板の作製
(1)金属板
塗装金属板の塗装基材として、板状のステンレス鋼板および溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板を準備した。
I.ステンレス鋼板
ステンレス鋼板(塗装基材I)として、厚み0.8mm、No.2D仕上げのSUS430を準備した。
II.溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板
溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板(塗装基材II)として、片面あたりのめっき付着量が45g/mの溶融Zn−6質量%Al−3質量%Mg合金めっき鋼板を準備した。基材鋼板は、厚みが0.8mmの冷間圧延鋼板(SPCC)を使用した。
(2)塗料の調製
樹脂成分の合計質量に対するポリカーボネート(PC)ユニットの質量の割合が表1に示される所定の割合となるように、ポリカーボネートユニット含有樹脂、ポリカーボネートユニット非含有樹脂および各種添加剤を水に添加して、不揮発成分が20%の塗料を調製した(表1参照)。なお、複数種のポリカーボネートユニット非含有樹脂を用いた場合、各ポリカーボネートユニット非含有樹脂が等量となるように配合した。また、塗料には、エッチング剤としてフッ化アンモニウム(森田化学株式会社)を0.5質量%、無機系化合物としてコロダイルシリカ(日産化学工業株式会社)を2質量%、およびリン酸(キシダ化学株式会社)を0.5質量%それぞれ配合した。
A.ポリカーボネートユニット含有樹脂
表1に示される各ポリカーボネートユニット含有樹脂について、ポリカーボネートユニットを50質量%含有するポリウレタン樹脂としては、SF−420(第一工業製薬株式会社)を使用した。ポリカーボネートユニットを70質量%含有するポリウレタン樹脂としては、SF−470(第一工業製薬株式会社)を使用した。ポリカーボネートユニットを80質量%含有するポリウレタン樹脂としては、HUX−386(株式会社ADEKA)を使用した。ポリカーボネートユニットを90質量%含有するポリウレタン樹脂としては、樹脂メーカーが調製した試験品を使用した。
また、以下の方法により、ポリカーボネートユニットが100質量%の樹脂組成物を調製した。板厚2.0mmのポリカーボネート板(タキロン株式会社)を約5mm四方に細断して、ポリカーボネート片を得た。塩化メチレン200gに上記細断したポリカーボネート片30gを加え、液温が40℃となるように加熱しながら3時間攪拌して、ポリカーボネート片を溶解させた。この工程により、ポリカーボネートユニットが100質量%の樹脂組成物を調製した。
B.ポリカーボネートユニット非含有樹脂
表1に示される各ポリカーボネートユニット非含有樹脂について、ポリカーボネートユニット非含有ポリウレタン樹脂としては、HUX−232(株式会社ADEKA)またはSF−170(第一工業製薬株式会社)を使用した。エポキシ系樹脂としては、アデカレンジEM−0461N(株式会社ADEKA)またはスーパーエステルE650(荒川化学工業株式会社)を使用した。ポリオレフィン系樹脂としては、ハードレンNZ−1005(東洋紡株式会社)を使用した。
(3)塗膜の形成
塗装基材を液温60℃のアルカリ脱脂水溶液(pH=12)に1分間浸漬して、表面を脱脂した。次いで、脱脂した塗装基材の片面に、塗料をロールコータ−で塗布し、到達板温が150℃となるように、熱風乾燥機で乾燥させて、表1に示す付着量の塗膜を有する塗装金属板No.1〜15を作製した。また、塗装基材上に、ポリエステル系接着剤(主剤:ポリエステル、硬化剤:ブロックイソシアネート)を、付着量が約6g/mになるように塗布して、接着剤を有する塗装金属板No.16を作製した。
Figure 2018020499
2.複合体の作製
熱可塑性プラスチックフィルムとして、PVC(ポリ塩化ビニル)製のフィルムとして、ナンネン・タイプ400(オカモト株式会社、厚さ:0.3mm、色:透明)を準備した。フィルムは、幅30mm×長さ60mmの大きさにカットした。
複合体の作製には、塗膜形成後、24時間以内、および、6ケ月間室内で保管した塗装金属板を用いた。
230℃に加熱されたホットプレート上に、40mm×70mmに切り出した塗装金属板を、塗膜がホットプレートと接触しないように、配置した。次いで、加熱されている塗装金属板の表面温度が200℃になった時点で、塗膜の表面に、30mm×60mmの大きさにカットした熱可塑性プラスチックフィルムを乗せ、直系150mmの一対のゴムロールを用い、ゴムロールのニップ圧:0.3MPa、ゴムロール周速:12m/minで加圧した後、室温まで冷却して、塗装金属板と熱可塑性プラスチックフィルムとの複合体を得た。
3.密着性の評価
前記塗装金属板と熱可塑性プラスチックフィルムとの複合体を熱可塑性プラスチックフィルムと同じ幅30mm×長さ60mmに切り出し、幅方向の両端から5mmの位置に塗装金属板の素地まで達する切り込みを入れ、端部から長手方向に約30mm剥がしたものを試験片とした。
一軸引張試験機を用いて、塗装金属板の板面に対して常に直角の角度を保ちながら300mm/分の速度で熱可塑性プラスチックフィルムを引き剥がす90°ピール試験を行った。この90°ピール試験の最大強度(剥離強度)を測定した。剥離強度が5N未満の場合を「×」、剥離強度が5N以上かつ10N未満の場合を「△」、剥離強度が10N以上かつ15N未満の場合を「○」、剥離強度が15N以上の場合を「◎」と評価した。剥離強度が10N未満(△)の複合体は、実用に耐えることができないため不合格と判断した。評価した複合体における剥離強度の測定結果を表2に示す。
Figure 2018020499
実施例1〜11の複合体では、塗膜の付着量が0.1g/m以上であり、塗膜中の樹脂成分の合計質量に対するポリカーボネートユニットの質量の割合が所定の範囲内(15質量%以上80質量%以下)であるため、塗装金属板と熱可塑性プラスチックフィルムとの間の密着性が優れていた。また、実施例12の複合体では塗膜の付着量が0.1g/m以上であり、塗膜中の樹脂成分の合計質量に対するポリカーボネートユニットの質量の割合が所定の範囲内(15質量%以上80質量%以下)であるため、塗膜形成後6ケ月後であっても塗装金属板と熱可塑性プラスチックフィルムとの間の密着性が優れていた。
一方、比較例1の複合体では、塗膜の付着量が少ないため、塗装金属板と熱可塑性プラスチックフィルムとの間の密着性が不十分であった。比較例2〜5の複合体では、塗膜中の樹脂成分の合計質量に対するポリカーボネートユニットの質量の割合が少ないため、塗膜と熱可塑性プラスチックフィルムとの間の密着性が不十分であった。比較例6,7の複合体では、塗膜中の樹脂成分の合計質量に対するポリカーボネートユニットの質量の割合が多いため、金属板と塗膜との間の密着性が不十分であった。また、比較例8では本発明の塗膜のかわりに接着剤を使用したため、保管期間6ケ月後にはプラスチックフィルムとの密着性が得られなかった。
本発明に関する、塗装金属板とプラスチックフィルムと接合させた複合体は、金属の剛性とプラスチックフィルムによる意匠性(外観)とを兼ね備えるため、自動車などの内装材、建築物などのパネル剤、および各種壁装材など、幅広い用途への応用が期待される。

Claims (5)

  1. 金属板および前記金属板の表面に形成された塗膜を有する塗装金属板と、前記塗膜の表面に接して配置されて、前記塗装金属板に接合しているプラスチックフィルムと、を有し、
    前記塗膜は、ポリカーボネートユニット含有ポリウレタン樹脂を含み、
    前記塗膜中の樹脂成分の合計質量に対するポリカーボネートユニットの質量の割合は、15質量%以上80質量%以下であり、
    前記金属板の表面への前記塗膜の付着量は、0.1g/m以上であり、
    前記プラスチックフィルムは、前記塗膜と接する領域の少なくとも一部に熱可塑性プラスチックを含む、
    複合体。
  2. 前記プラスチックフィルムは、前記熱可塑性プラスチックを含む単一の層からなる、請求項1に記載の複合体。
  3. 前記プラスチックフィルムは、前記熱可塑性プラスチックを含む層と、その他の層と、を含む積層体である、請求項1に記載の複合体。
  4. 金属板および前記金属板の表面に形成された塗膜を有する塗装金属板を準備する工程と、
    前記塗膜を加熱する工程と、
    加熱された前記塗膜の表面にプラスチックフィルムを接触させて加圧して、前記塗装金属板と前記プラスチックフィルムとを接合させる工程と、を有し、
    前記塗膜は、ポリカーボネートユニット含有ポリウレタン樹脂を含み、
    前記塗膜中の樹脂成分の合計質量に対するポリカーボネートユニットの質量の割合は、15質量%以上80質量%以下であり、
    前記金属板の表面への前記塗膜の付着量は、0.1g/m以上であり、
    前記プラスチックフィルムは、前記塗膜と接する領域の少なくとも一部に熱可塑性プラスチックを含む、
    複合体の製造方法。
  5. 前記塗膜を加熱する工程の前に、前記準備された塗装金属板を6時間以上保存する工程をさらに含む、請求項4に記載の複合体の製造方法。
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