JP2020040368A - 塗装金属素形材と樹脂材との複合体の製造方法 - Google Patents

塗装金属素形材と樹脂材との複合体の製造方法 Download PDF

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JP2020040368A JP2018171933A JP2018171933A JP2020040368A JP 2020040368 A JP2020040368 A JP 2020040368A JP 2018171933 A JP2018171933 A JP 2018171933A JP 2018171933 A JP2018171933 A JP 2018171933A JP 2020040368 A JP2020040368 A JP 2020040368A
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直樹 武田
Naoki Takeda
直樹 武田
進之助 西島
Shinnosuke Nishijima
進之助 西島
吉田 剛之
Takayuki Yoshida
剛之 吉田
教昌 三浦
Norimasa Miura
教昌 三浦
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Abstract

【課題】金属材と樹脂材とが接合された高い接合強度を有する複合体を、良好な作業効率で製造する方法を提供する。【解決手段】本発明は、金属素形材2の表面に有機樹脂層3を有する塗装金属素形材1と樹脂材4とが接合された複合体8の製造方法に関する。前記塗装金属素形材1と前記樹脂材4とを重ねて、前記塗装金属素形材1における有機樹脂層3が設けられた第1の表面6と樹脂材4の表面とが対向した被接合体5を作製すること、前記被接合体5において、前記第1の表面6と反対側に位置する前記塗装金属素形材1の第2の表面7に、発熱手段10を配置すること、当該発熱手段10を前記第2の表面7に対し押圧して、前記塗装金属素形材1と前記樹脂材4とを密着させるとともに、前記発熱手段10により前記被接合体5に加熱処理を施して、前記塗装金属素形材1と前記樹脂材4とを接合させることを含む。【選択図】図4

Description

本発明は、塗装金属素形材と樹脂材との複合体の製造方法に関する。
金属材と樹脂材とを一体化する技術としては、接着剤により接合する方法が一般的に知られている。必要とする接合強度を得るため、接合する金属製品及び樹脂製品の材質に適した接着剤と接着条件が選定される。しかし、接着剤を用いる接合方法は、被接合体に接着剤を塗布する工程と、その後に加熱あるいは乾燥する工程とを必要とするため、多くの作業時間を要する。
そこで、接着剤を用いる接合方法に代えて、金属材と樹脂材とを直接的に接合させる接合方法が検討されている。例えば、特許文献1は、溶融Zn−Al−Mg合金めっき金属素形材のめっき層表面に有機樹脂を含む化成処理皮膜を形成し、得られた化成処理溶融Zn−Al−Mg合金めっき金属素形材を射出成形金型に挿入し、樹脂材を射出成形金型内に射出して、当該めっき金属素形材と当該樹脂組成物の成形体とが接合された複合体を製造する方法を提案している。また、特許文献2は、塗装金属素形材における有機樹脂層の表面に樹脂材を射出成形または加熱圧着によって接合して、両方の部材が接合された複合体の製造方法を提案している。
特開2013−43402号公報 特開2014−159126号公報
特許文献1に記載された実施例によると、複合体は、幅30mm×長さ30mmの領域で有機樹脂を含む化成処理皮膜と樹脂材とが接触している(段落0056)。引張り試験による当該複合体の剥離強度は、最大で2.0kN(表5)を示している。この剥離強度を上記の接触する領域の面積(30mm×30mm)で除すると、約2.2MPaに算出される。また、特許文献2に記載された実施例によると、作製された複合体は、幅30mm×長さ30mmの領域で有機樹脂層と樹脂材とが接触している(段落0079)。引張り試験による当該複合体の接合力は、最大で2.5kN(表3)を示している。この接合力を上記の接触する領域の面積(30mm×30mm)で除すると、約2.8MPaに算出される。すなわち、特許文献1、2の各複合体は、単位面積当りのせん断接合強度で見ると、接合強度が十分に高いものではない。
樹脂材は、溶融後の冷却過程で体積が収縮するため、特許文献1には、樹脂材を射出成形法により接合させる場合は、成形収縮率が1.1%以下の材質を必要とすること(段落0026)が記載され、また、成形収縮率の大きい樹脂材を使用した場合は、樹脂材にフィラーを含有させる必要があること(段落0027)が記載されている。また、特許文献2においても同様のことが記載されている(段落0038、段落0040)。このように、特許文献1、2の接合方法は、それを適用される樹脂組成物に制約がある。
自動車分野では軽量化を目的として素材が選定され、樹脂材の使用割合が増加している。そのため、金属材と樹脂材との接合部位が増大する状況にあり、金属材と樹脂材とを接合する工程における作業効率を向上させるとともに、高い接合強度を有する複合体を製造する技術の確立が求められている。
また、金属材と樹脂材とを接合させた複合体は、使用する樹脂材の種類に制約されないことが望まれる。例えば、PA6(6ナイロン)のような吸水性の高い樹脂材を用いる場合、樹脂材に含まれる水分が蒸発し、金属材と樹脂材との接合界面に気泡を形成することがある。特許文献1のような射出成形法を用いた接合方法においては、樹脂材を乾燥炉に投入して、樹脂中の水分を蒸発させるための前処理工程を必要とする。そのため、生産効率の低下やエネルギーコストの増加が課題である。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、金属材と樹脂材とが接合された高い接合強度を有する複合体を、良好な作業効率で製造する方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記目的を達成するために検討した結果、金属材として有機樹脂層を有する塗装金属素形材を使用し、当該塗装金属素形材と樹脂材とを重ねた被接合体に対し、発熱手段による加熱処理を施すことにより、塗装金属素形材と樹脂材との複合体を簡便に製造できるとともに、高い接合強度を有する複合体が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明は、金属素形材における少なくとも一方の表面に有機樹脂層を有する塗装金属素形材と樹脂材とが接合された複合体の製造方法であって、前記塗装金属素形材と前記樹脂材とを重ねて、前記塗装金属素形材における有機樹脂層が設けられた第1の表面と樹脂材の表面とが対向した被接合体を作製すること、その後、前記被接合体において、前記第1の表面と反対側に位置する前記塗装金属素形材の第2の表面に、発熱手段を配置すること、次いで、当該発熱手段を前記第2の表面に対し押圧して、前記塗装金属素形材と前記樹脂材とを密着させるとともに、前記発熱手段により前記被接合体に加熱処理を施して、前記塗装金属素形材と前記樹脂材とを接合させること、を含む、塗装金属素形材と樹脂材との複合体の製造方法である。
(2)本発明は、前記加熱処理は、前記発熱手段を設定温度まで昇温させた後、当該設定温度を保持することを含む、(1)に記載の塗装金属素形材と樹脂材との複合体の製造方法である。
(3)本発明は、前記加熱処理は、前記発熱手段の加熱を停止した後、押圧した状態で冷却することを含む、(1)または(2)に記載の塗装金属素形材と樹脂材との複合体の製造方法である。
(4)本発明は、前記複合体は、単位面積当りのせん断接合強度が20MPa以上である、(1)〜(3)のいずれかに記載の塗装金属素形材と樹脂材との複合体の製造方法である。
本発明によれば、塗装金属素形材と樹脂材との複合体を簡便に製造できるとともに、高い接合強度を有する複合体が得られる。また、吸水性の高い樹脂を含む樹脂材を用いた場合でも、樹脂材を乾燥する前処理を設けなくても、十分な接合強度の複合体が得られる。
本実施形態を模式的に示す図であり、(a)は、加熱前の形態を示し、(b)は、加熱時の形態を示す。 発熱手段により押圧及び加熱を行う態様を示す図である。 加熱処理の履歴例を示す図である。 実施例で用いた樹脂材の位置決め用治具を説明するための図である。 実施例の被接合体を説明するための図である。 せん断接合強度を測定する試験装置を模式的に示す図である。 実施例において接合した試験体の接合部をCCDカメラで撮影した断面を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態について説明する。本発明は、以下の説明に限定されるものではない。
本発明は、図1の(a),(b)に模式的に示すように、金属素形材2における少なくとも一方の表面に有機樹脂層3を有する塗装金属素形材1と樹脂材4とが接合された複合体8の製造方法であって、以下の工程に従って製造される。すなわち、本発明に係る実施形態は、(1)塗装金属素形材1と樹脂材4とを組み合わせた被接合体5を作製すること、(2)被接合体5の第1の表面6に発熱手段10を配置すること、(3)発熱手段10により、被接合体5の第2の表面7に対し押圧するとともに、被接合体5に加熱処理を施して接合すること、を含む、製造方法である。この製造方法によって、塗装金属素形材1と樹脂材4との界面に接合部9が形成されて、高い接合強度(せん断接合強度)を有する複合体8が得られる。
(1)被接合体の作製
本実施形態は、図1の(a)に示すように、塗装金属素形材1と樹脂材4とを重ねて、塗装金属素形材1における有機樹脂層3が設けられた第1の表面6と樹脂材4の表面とが対向した被接合体5を作製する。後記する加熱処理によって、図1の(b)に示すように、有機樹脂層3を介して塗装金属素形材1と樹脂材4とが接合される。そのため、加熱処理に供される被接合体5は、塗装金属素形材1における第1の表面6と樹脂材4とが対向するように重ねた形態とすることが好ましい。
(2)発熱手段の配置
その後、本実施形態は、図2に示すように、被接合体5において、前記第1の表面6と反対側に位置する塗装金属素形材1の第2の表面7に、発熱手段10を配置する。塗装金属素形材と樹脂材とが対向する界面領域に、後記する押圧処理及び加熱処理による加熱圧着処理を施すことから、加圧及び加熱が当該界面領域に効率よく作用させるため、当該界面領域に対応する位置に発熱手段を配置することが好ましい。
発熱手段10は、被接合体の表面を押圧する機能と、被接合体を加熱する機能を備えたものであれば、その形態について特に限定されない。例えば、日本アビオニクス株式会社製の「パルスヒートユニット」(型式NA−154)を使用することができる。この発熱手段は、その先端部分(ヒートチップ)が抵抗加熱により発熱し、先端部分を通して被接合体を加熱する装置である。
(3)発熱手段による加熱圧着処理
次いで、図2に示すように、発熱手段10を塗装金属素形材の第2の表面7に対し押圧する。この押圧処理によって塗装金属素形材1と樹脂材4とが対向する界面領域は、塗装金属素形材の有機樹脂層3と樹脂材4とが密着し、双方が密接に接触した状態になる。この押圧するとともに、当該発熱手段により被接合体を加熱することによって当該界面領域で軟化及び溶融が生じて、塗装金属素形材と樹脂材との接合部が形成される。その後、冷却されて接合部が固化し、塗装金属素形材と樹脂材とが接合した複合体が得られる。軟化及び溶融した際、樹脂から含有水分が蒸発して気泡(ボイド)が生じることがある。そのような状態であっても、塗装金属素形材と樹脂材との界面領域が押圧されるので、双方が十分に密着した接合部が形成される。また、加圧力を高くすると、気泡を含む樹脂部分が樹脂材の本体の外側へ押し出されて、樹脂材本体の内部には気泡がほとんど残存しない接合部が形成される。その結果、良好に接合した界面領域が形成される。
本実施形態に係る加熱処理は、上記の押圧処理を伴って行われるものをいう。加熱処理を行う際の加熱履歴の一例を図3に示す。当該加熱処理は、発熱手段により、被接合体を常温21から設定温度22まで昇温させた後、当該設定温度22で発熱手段10を保持することを含む。また、当該加熱処理は、発熱手段の加熱を停止した後、押圧を維持した状態で冷却することを含む。このように、当該加熱処理は、昇温する段階、保持する段階、及び冷却する段階を含む。塗装金属素形材や樹脂材の種類に応じて、適切な昇温時間23、保持時間24及び冷却時間25を選定できる。
設定温度までの昇温時間(s)については、0.1s以上であれば、高い接合強度の複合体が得られる。長時間で昇温しても、接合強度の増大が飽和するため、5s以下の昇温時間が好ましい。設定温度に達した後の保持時間(s)については、0.1s以上であれば、高い接合強度の複合体が得られる。長時間で保持しても、接合強度の増大が飽和するため、5s以下の保持時間が好ましい。また、昇温過程及び保持過程において、被接合体の接合部に対して加熱及び押圧の作用が及んでいるため、昇温時間および保持時間の総計を一定以上の時間とすることが好ましい。
(塗装金属素形材)
本実施形態で使用される塗装金属素形材は、金属素形材の表面の片面または両面に有機樹脂層が設けられている。金属素形材を構成する金属の種類は、特に限定されない。たとえば、上記金属の種類は、鉄であってもよいし、鉄以外の金属であってもよいし、合金であってもよい。金属素形材の例には、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板、Zn−Al−Mg合金めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、ステンレス鋼板(オーステナイト系、マルテンサイト系、フェライト系、フェライト・マルテンサイト二相系を含む)、アルミニウム板、アルミニウム合金板、銅板などの金属板や、そのプレス加工品、あるいは、アルミダイカスト、亜鉛ダイカストなどの鋳造・鍛造物や、切削加工、粉末冶金などにより成形された各種金属部材などが含まれる。金属素形材は、必要に応じて、脱脂、酸洗などの公知の塗装前処理が施されていてもよい。
有機樹脂層は、金属素形材と熱可塑性樹脂組成物の成形体との密着性を向上させる。有機樹脂層の樹脂として、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリウレタン、アクリル系樹脂、アクリル・スチレン系樹脂、酢酸ビニル、EVA(エチレンー酢酸ビニル共重合)、エステル系樹脂を使用することができる。
有機樹脂層の膜厚は、0.2μm以上であることが好ましい。有機樹脂皮膜の膜厚が0.2μm未満の場合、金属素形材表面を均一に覆うことができないことがある。これにより、膜厚が0.2μm未満の有機樹脂層を有する複合体は、金属素形材と樹脂材との間に微細な隙間が生じるおそれがある。微細な空隙が生じると、前述の複合体における封止性が、低下するおそれがある。一方、有機樹脂膜の膜厚の上限値は、特に制限されないが、10μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましい。有機樹脂層の膜厚を10μm超としても、著しい性能向上は認められず、また、生産性の観点およびコストの観点からも不利である。
(樹脂材)
本実施形態で使用される樹脂材は、とくに限定されない。樹脂材は、樹脂からなる成形体や部材を含む。樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、等を含むものに適用できる。
接合処理をする前に、樹脂の含有水分量を低減するため、適宜に乾燥処理を施してもよい。他方、本発明により得られる複合体の接合強度は、接合前における樹脂の含有水分にほとんど影響されないから、ポリアミド樹脂のような吸水性が高い樹脂を用いる場合であっても、乾燥処理を行わなくてもよい。本発明に係る製造方法は、樹脂を乾燥する前処理を必要としない点で作業性の向上に寄与する。
(複合体)
本実施形態に係る製造方法によって、上記の塗装金属素形材と上記の樹脂材とを接合した複合体が得られ、単位面積当りのせん断接合強度が20MPa以上である複合体を提供することができる。本明細書では、当該せん断接合強度(単位:MPa)は、引張試験で得られたピーク荷重(単位:N)を、塗装金属素形材と樹脂材とが接触する面積(mm)で除して、その単位面積当たりのせん断強度として算出された数値を意味する。また、本明細書では、当該せん断接合強度を、「接合強度」ということもある。本発明に係る複合体は、そのせん断接合強度が20MPa以上であるので、軽量化を求められる多くの用途に適する。
以下、実施例について説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
塗装金属素形材における有機樹脂層が設けられた表面と樹脂材の表面とが対向した試験体を作製した。具体的には、塗装金属素形材1の金属素形材2として、SPCCを基材とした溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板を用いた。塗装金属素形材1は、板厚0.6mmの金属素形材2の両面に、ウレタン系樹脂からなる膜厚2μmの有機樹脂層3を有している。塗装金属素形材1を長さ75mm及び幅25mmの寸法に切断して試験体を作製し、接合試験に供した。
樹脂材4は、長さ10mm、幅5mm及び厚さ3mmの板状品を用いた。樹脂材の樹脂として、ポリアミド6(PA6)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)およびポリブチレンテレフタラート(PBT)の3種を用いた。
次いで、図4に示すように、樹脂材4を位置決め用治具11の凹部12に収容する。当該位置決め用治具11は、塗装金属素形材1と同程度の長さ及び幅を有していて、樹脂材4を収容するために、深さ1mmの凹部12を有する。当該凹部12は、図5に示すように、一端から長手方向に約15mm離れた位置で、かつ、幅方向でほぼ中央の位置に設けられている。凹部12に収容された樹脂材4は、2mm突出した状態にある。その後、塗装金属素形材1を位置決め用治具11の上に被せて、塗装金属素形材1の有機樹脂層3と樹脂材4とが対向した状態の被接合体5からなる試験体を得る。また、載置面の一端に隣接してストッパー19を設けている。このストッパー19に塗装金属素形材1を当接することにより、樹脂材4との接合箇所に塗装金属素形材1を正確に載置することができる。
次いで、被接合体5における塗装金属素形材1の表面7に発熱手段10を配置し、被接合体5に対して押圧及び加熱を行い、被接合体5における塗装金属素形材1と樹脂体4とを接合させる。発熱手段として、日本アビオニクス株式会社製のパルスヒートユニット(型式NA−154)を使用した。この発熱手段は、被接合体を押えて所定の荷重で加圧するヘッド(図示を省略)と、当該ヘッドの先端にヒートチップとを備えている。当該ヒートチップは、パルルスヒート電源(図示を省略)からの通電によって抵抗発熱する部材である。
発熱手段が試験体を押圧するときの加圧力(Pa)は、ヘッドで加える荷重(N)を、樹脂材の本体の断面積(10mm×5mm)で除した数値により評価した。
接合試験は、発熱手段により押圧した後、所定の温度及び時間で加熱処理を施した。試験体における温度履歴は、図3に示すように、常温21から設定温度22まで所定の昇温時間23となるように昇温する。設定温度22に達した後、その温度に所定の保持時間24で保持される。保持時間24を経過した後、強制空冷されて、ほぼ常温21に達した後、押圧が解除される。試験体の加熱処理においては、塗装金属素形材1と樹脂材4とが接触する接合部9の近傍に熱電対を設置して温度を測定した。本実施例は、その測定値によって試験体の加熱温度とした。図4に示すように、上記の押圧及び加熱によって、塗装金属素形材1と樹脂材4との接合部9は、位置決め用治具11の凹部12から突出した樹脂材4が変形し、樹脂変形部17のように凹部12の周囲に広がって固まった。そこで、樹脂材4の本体寸法(10mm×5mm)より広がった樹脂変形部17を除去した後、せん断引張試験に供した。よって、接合部の接合面積は、樹脂材の本体の断面積(10mm×5mm)に相当する。
(接合強度)
接合された試験体について、国際規格ISO 19095−2 2015(プラスチック −プラスチック・金属アセンブリの接着界面性能の評価−)の国際規格に準拠して、図6に示す引張試験装置による引張せん断試験を行った。引張速度を5mm/minで行い、試験体が破断するピーク荷重を求めた。試験体は、塗装金属素形材1側を上側治具15で固定され、樹脂材4側を下側治具16で固定された。塗装金属素形材1は、一端が上側治具15から突出するように固定し、当該突出した一端を上側つかみ部13で把持した。樹脂材4は、その全体を下側治具16で固定し、下側治具16を下側つかみ部14で把持した。これにより、樹脂材4が下側つかみ部14で潰されるのを防止できる。引張試験装置に試験体を取り付ける際は、試験体の接合界面と下側つかみ部16の中心軸とがほぼ一致するように試験体を把持した。試験体の接合部の面積は、塗装金属素形材1と樹脂材4との接触面積に相当するから、試験体のせん断接合強度の指標として、引張試験により求めたピーク荷重(N)を接合面積(50mm)で除した数値を用いて、これを試験体の接合強度(MPa)とした。
(実施例1)加圧力に関する試験
接合試験において、発熱手段による加圧力がせん断接合強度に及ぼす影響について調べた。試験体の加熱温度を270℃、昇温時間を5s、保持時間を5sの条件で、加圧力を0.5MPa又は1.0MPaにより、試験体を接合した。その後、接合された試験体のせん断接合強度を測定した。その測定結果を表1に示す。本発明例1〜4は、PA6の樹脂材を用いた試験体であり、本発明例5及び6は、PVCの樹脂材を用いた試験体であり、本発明例7及び8は、PBTの樹脂材を用いた試験体である。また、本発明例3及び4は、80℃、48hrの乾燥処理を施した樹脂材を用いた。本発明例1及び2、本発明例5〜8は、乾燥処理を施していない樹脂材を用いた。
表1に示すように、本発明に係る製造方法による本発明例1〜8は、10MPa以上のせん断接合強度を有する複合体が得られた。樹脂材の種類及び加圧力の程度に応じて、20MPa以上、30MPa以上、さらに40MPa以上という高いせん断接合強度を有する複合体が得られた。これらの複合体は、従来の3MPaと比べて大きいせん断接合強度を有するので、高強度が必要とされる用途に適用できる。
また、表1に示すように、接合時の加圧力が増加することにより、複合体のせん断接合強度が増大した。これは、加圧力の増大にともない、塗装金属素形材と樹脂材との接合界面における双方の密着状態が高まったことによると考えられる。
(実施例2)樹脂材の乾燥処理による影響について
樹脂材の乾燥処理による影響について検討した。本発明例1〜4の樹脂材のポリアミド樹脂(PA6)は、高い吸水性を有する樹脂であり、このうち、本発明例1、2は、樹脂材に乾燥処理を施さなかったものであり、本発明例3,4は、樹脂材に乾燥処理を施したものである。表1に示すように、加圧力が0.5MPaの場合、本発明例3は、本発明例1よりもせん断接合強度が増加した。樹脂材の含有水分に起因して気泡が発生すると、装金属素形材と樹脂材との接合界面に残存し、せん断接合強度に影響する。本発明例3のせん断接合強度の増加は、樹脂材の乾燥処理によって気泡の発生が抑制されて、気泡の残存による影響が軽減したことによると考えられる。よって、加圧力が大きくないときは、樹脂材の乾燥処理を行うことにより、せん断接合強度をさらに増大させることができた。
加圧力が1.0MPaである場合、本発明例2は、本発明例4と比べて、せん断接合強度が同程度であった。加圧力が大きいとき、本発明例2は、後記するように、気泡を含む部分が樹脂材の本体の外側に押し出されて、塗装金属素形材と樹脂材との接合界面には、気泡がほとんど残存しなかった。乾燥処理の有無は、接合界面の状態に実質的に影響しなかったので、せん断接合強度の面で差が生じなかったと考えられる。この点で、加圧力が大きいときは、樹脂材の乾燥処理を省略しても、本発明に係る製造方法により、十分なせん断接合強度を有する複合体が得られることを確認できた。
(実施例3)接合部の断面観察
実施例1の本発明例1〜4について、複合体の接合部の断面をCCDカメラで撮影した結果を図7に示す。本発明例1及び本発明例3の各断面によると、本発明例1の接合界面においては、気泡が若干残存する状態を観察した。本発明例3の接合界面においては、気泡の残存が見られなかった。
本発明例2及び本発明例4は、図7に示すように、被接合体に対する押圧によって、気泡18を含む樹脂部分が変形し、樹脂変形部17のように樹脂材の本体の外側に押し出された。それにともない、樹脂材の本体と塗装金属素形材とが接合する界面領域には、気泡がほとんど残存しなかった。このように、本発明に係る製造方法は、従来必要とされている樹脂の乾燥処理を省略しても、接合後の複合体において必要な接合強度が得られるため、作業時間の短縮と作業工程の簡略化の点で効果的である。
以上のことから、本発明に係る複合体の製造方法は、塗装金属素形材と樹脂材とを効率良く接合できる方法を提供し、さらに、塗装金属素形材と樹脂材とが接合された複合体において、従来よりも高強度の接合強度を有する複合体を提供する点で、有用な効果を奏する。
1 塗装金属素形材
2 金属素形材
3 有機樹脂層
4 樹脂材
5 被接合体
6 第1の表面
7 第2の表面
8 複合体
9 接合部
10 発熱手段
11 位置決め用治具
12 凹部
13 上側つかみ部
14 下側つかみ部
15 上側治具
16 下側治具
17 樹脂変形部
18 気泡(ボイド)
19 ストッパー
21 常温
22 設定温度
23 昇温時間
24 保持時間
25 冷却時間

Claims (4)

  1. 金属素形材における少なくとも一方の表面に有機樹脂層を有する塗装金属素形材と樹脂材とが接合された複合体の製造方法であって、
    前記塗装金属素形材と前記樹脂材とを重ねて、前記塗装金属素形材における有機樹脂層が設けられた第1の表面と樹脂材の表面とが対向した被接合体を作製すること、
    その後、前記被接合体において、前記第1の表面と反対側に位置する前記塗装金属素形材の第2の表面に、発熱手段を配置すること、
    次いで、当該発熱手段を前記第2の表面に対し押圧して、前記塗装金属素形材と前記樹脂材とを密着させるとともに、前記発熱手段により前記被接合体に加熱処理を施して、前記塗装金属素形材と前記樹脂材とを接合させること、
    を含む、塗装金属素形材と樹脂材との複合体の製造方法。
  2. 前記加熱処理は、前記発熱手段を設定温度まで昇温させた後、当該設定温度を保持することを含む、請求項1に記載の塗装金属素形材と樹脂材との複合体の製造方法。
  3. 前記加熱処理は、前記発熱手段の加熱を停止した後、押圧した状態で冷却することを含む、請求項1または2に記載の塗装金属素形材と樹脂材との複合体の製造方法。
  4. 前記複合体は、単位面積当りのせん断接合強度が20MPa以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の塗装金属素形材と樹脂材との複合体の製造方法。
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