JP5872057B2 - 電子写真装置用ブレード、及び、その製造方法 - Google Patents

電子写真装置用ブレード、及び、その製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真装置用ブレード、及び、その製造方法に関する。
電子写真装置は、表面に光導電体層を設けた感光体を有しており、作動の際、上記感光体の外周面が一様に帯電され、次いで被模写体の被模写像を介してその外周面を露光することにより、静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成し、これを紙等に転写し、定着させるものである。
この過程において、転写後の感光体の外周上、転写ベルト表面等に残留するトナーを除去したり、現像ロールの外周上にトナーを薄層で担持させたり、除去したトナーがこぼれ落ちないようにシールしたりするため、種々のブレードが使用されている。これらのブレードは、通常、支持部材に弾性ゴム部材(ブレード部材)が取り付けられた構成を有している。
支持部材と弾性ゴム部材との取り付けは、一般的に、両面接着テープ、フィルム状のホットメルト接着剤、その他、液状の接着剤等の各種接着剤を用いて両者を接着することにより行われている。
しかしながら、これらの接着剤で支持部材と弾性ゴム部材とを接着した場合、接着強度が小さかったり、あるいは、接着時の加熱によって弾性ゴム部材が変形したりする等の問題があった。
特に、従来は支持部材としてクロメート処理が施された電気亜鉛めっき鋼板からなる支持部材が汎用されていたものの、近年、環境問題に対応すべく、クロムレスの支持部材を使用することが要望されているものの、クロムレスの支持部材では、クロメート処理が施された電気亜鉛めっき鋼板からなる支持部材を用いた場合に比べて、充分な接着強度を確保することができないことがあった。
一方、支持部材と弾性ゴム部材とを接着する接着剤として、湿気硬化型ホットメルト接着剤を用いることが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
これらの特許文献には、湿気硬化型ホットメルト接着剤は、比較的低温で接着することができるため、接着時の加熱によって弾性ゴム部材が変形するとの問題が発生しにくく、また、充分な接着強度を確保することができることが開示されている。
実開平05−002171号公報 特開2003−119433号公報
上述した通り、クロムレスの支持部材では、クロメート処理が施された電気亜鉛めっき鋼板からなる支持部材を用いた場合に比べて、充分な接着強度を確保することができないことがあり、このような問題は、湿気硬化型ホットメルト接着剤を用いた場合も同様であった。
また、特許文献1、2に記載された発明は、実質的にシランカップリング剤(プライマー)を支持部材の表面に塗布することを必須とした発明であり、プライマーによる前処理を行わなかった場合には、支持部材と弾性ゴム部材との間で充分な接着強度が確保できないとの問題あった。
また、当然、その製造工程において、プライマーを塗布する必要があるため、工程数が増加し、生産性の点で不利であった。
そこで、本発明者は、支持部材との弾性ゴム部材との接着性を向上させるべく鋭意検討し、その結果、接着剤としてウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤を使用し、支持部材として接着剤層と接する部位に特定の表面皮膜が形成された支持部材を使用することにより、支持部材がクロメート処理の施されていない(クロムレスの)支持部材であっても、支持部材と弾性ゴム部材とを接着剤層を介して強固に接着させることができることを見出し、本発明の電子写真装置用ブレードを完成した。
また、併せてこのような電子写真装置用ブレードを製造するのに適した製造方法に係る発明を完成した。
本発明の電子写真装置用ブレードは、接着剤層を介して、弾性ゴム部材が支持部材に接着された電子写真装置用ブレードであって、
上記接着剤層は、ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤が硬化してなるものであり、
上記支持部材の少なくとも上記接着剤層と接する部位に、蛍光X線分析にて定量分析した際に珪素含有率が6重量%以上となる、珪素化合物を含有する表面皮膜が形成されていることを特徴とする。
ここで、上記珪素化合物は、シリカであることが好ましい。
また、本発明の電子写真装置用ブレードにおいて、上記表面皮膜は、無機・有機複合皮膜であることが好ましい。
更に、本発明の電子写真装置用ブレードにおいて、上記支持部材は、クロムを含有しないことが好ましい。
本発明の電子写真装置用ブレードの製造方法は、本発明の電子写真装置用ブレードを製造する方法であって、
上記弾性ゴム部材を上記湿気硬化型ホットメルト接着剤を介して上記支持部材と一体化した後、加熱処理を行うことなく上記湿気硬化型ホットメルト接着剤を硬化させて上記接着剤層を形成することを特徴とする。
本発明の電子写真装置用ブレードは、接着剤としてウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤が使用され、支持部材として接着剤層と接する部位に特定の表面皮膜が形成された支持部材が用いられ、支持部材と弾性ゴム部材とがウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤が硬化してなる接着剤層を介して接着されているため、支持部材と弾性ゴム部材が強固に接着された信頼性に優れる電子写真装置用ブレードである。
また、本発明の電子写真装置用ブレードは、その製造工程で、弾性ゴム部材及び支持部材が熱履歴を受けることなく製造することができるため、製造時に弾性ゴム部材が熱により変形する等の不都合が生じることがなく、寸法精度に優れた電子写真装置用ブレードとすることができる。
また、本発明の電子写真装置用ブレードの製造方法では、本発明の電子写真装置用ブレードを好適に製造することができる。
(a)は、本発明の電子写真装置用ブレードの一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、(a)のA−A線断面である。 本発明の電子写真装置用ブレードの別の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の電子写真装置用ブレードの別の一例を模式的に示す断面図である。 実施例及び比較例における支持部材と弾性ゴム部材との接着力を評価する方法を説明するための模式図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明の電子写真装置用ブレードは、接着剤層を介して、弾性ゴム部材が支持部材に接着された電子写真装置用ブレードであって、
上記接着剤層は、ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤が硬化してなるものであり、
上記支持部材の少なくとも上記接着剤層と接する部位に、蛍光X線分析にて定量分析した際に珪素含有率が6重量%以上となる、珪素化合物を含有する表面皮膜が形成されていることを特徴とする。
図1(a)は、本発明の電子写真装置用ブレードの一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、(a)のA−A線断面である。
本発明の電子写真装置用ブレード10は、図1に示すように、弾性ゴム部材11が支持部材13に接着剤層12を介して接着されている。
ここで、接着剤層12は、ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤が硬化してなるものである。
そのため、上記ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤を上記弾性ゴム部材又は上記支持部材に塗布する際には、上記接着剤を溶融させるため、上記ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤に熱を加える加熱処理が必要となるが、その後は加熱処理を行う必要がない。そのため、弾性ゴム部材が変形するとの問題を回避することができる。
また、上記ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤が硬化してなる接着剤層12は、特定の表面皮膜を備えた支持部材13との密着性(接着性)に極めて優れるものである。
そのため、接着剤層12を備えた電子写真装置用ブレード10は、信頼性にも優れることとなる。
上記ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤とは、溶融した状態で塗布、接着した後、弾性ゴム部材及び/又は支持部材の表面に付着する水分や、雰囲気の湿度と反応して徐々に架橋反応が進行する接着剤であり、ウレタンプレポリマーを含むものである。
具体的には、例えば、ウレタンプレポリマー(例えば、ポリカーボネート系ウレタンプレポリマー)30〜50重量%、熱可塑性樹脂0〜70重量%、及び、粘着性付与剤0〜50重量%からなるもの等を用いることができる。
上記ウレタンプレポリマーは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有し、雰囲気中に含まれる水分と反応して硬化するものである。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、飽和ポリエステル等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、上記ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤において、結晶性を与えることにより接着力を上げる役割と、120〜140℃の低温で塗布することができるようにする可塑剤の役割とを果たし、低温作業性に優れたものにさせることができる。
上記ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤としては、市販品も使用することができ、その具体例としては、タイフォースH−810、タイフォースH−850、タイフォースPUR−1S、タイフォースH−910、タイフォースFH−445、タイフォースFH−315SB、タイフォースFH−430、タイフォースFH−400SB(いずれもDIC社製)、RHC−101、5921(ノーテープ工業社製)、ハイボン4836M、ハイボン4836S、ハイボン4836W(日立化成ポリマー社製)等が挙げられる。
これらのなかでは、タイフォースH−850、タイフォースH−810が好ましい。
接着剤層12の厚さは特に限定されないが、通常、50〜120μm程度である。
50μm未満では、接着剤の塗布量が少なく被着材へ急速に熱を奪われることで急速に固化し充分な接着強度を確保することができない場合があり、120μmを超えると、接着後の接着剤層の厚みばらつきが大きくなる場合があるため寸法精度に劣る場合があり、また、経済的にも不利である。
支持部材13は、少なくとも接着剤層12と接する部位に、珪素化合物を含有する表面皮膜が形成されているものである。
上記表面皮膜は、支持部材13の表面全体に形成されていてもよいし、接着剤層12と接する部位を含む一部にのみ形成されていてもよい。
上記表面皮膜は、珪素化合物を含有する皮膜であり、蛍光X線分析にて定量分析した際に珪素含有率が6重量%以上である皮膜である。
上記表面皮膜が所定量の珪素含有量の皮膜であることにより、上述したウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤が硬化してなる接着剤層12と強く相互作用し優れた接着力を有することとなる。
一方、6重量%未満では、充分な接着力を確保することができないことがある。
なお、電子写真装置用ブレードに要求される支持部材と弾性ゴム部材との接着力としては、実施例に記載した方法で測定した接着力で5.0kN/mを超えることが一般的には要求される。
上記表面皮膜は、蛍光X線分析にて定量分析した際に、珪素含有率が9重量%以上であることが好ましい。この場合、表面被膜と接着剤層との密着性(接着強度)がさらに向上することとなるからである。
また、上記珪素含有率の好ましい上限は、13重量%である。
上記表面皮膜に含有される上記珪素化合物としては、例えば、シリカ、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。
これらのなかでは、シリカが好ましい。シリカの表面に多数存在するシラノール基と接着剤化合物の分子中に含まれるウレタン基或いは/又はウレア基が強く相互作用することで接着性を向上させる効果をより顕著に享受することができるからである。
上記シリカとしては、例えば、ゾルゲル法によるコロイダルシリカ、燃焼法による乾式シリカ、沈殿法による湿式シリカ、ゲル法によるシリカゲル等が挙げられる。これらのなかでは、コロイダルシリカが好ましい。
上記シリカとしては、市販品も使用することができ、上記コロイダルシリカの市販品としては、例えば、日産化学社製の「スノーテックス」シリーズ等が挙げられる。
また、上記表面皮膜は、無機・有機複合皮膜であるであることが好ましい。この理由は、無機成分のみでは極性が高くなり過ぎ、接着剤と支持部材表面の濡れを良くするためには、有機成分をバインダとして使用することで極性/非極性のバランスを接着剤に近づけることができるためである。
ここで、無機・有機複合皮膜とは、珪素化合物を含む無機成分を有機化合物によるバインダで繋いでなる皮膜をいう。
上記有機バインダとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィンなどのオレフィン系樹脂、ポリアクリル酸などのアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。また、これらの共重合物(例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、オレフィン−アクリル酸共重合体等)や、これらの変成物(例えば、アクリル変成エポキシ樹脂、エステル変成エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、アクリル変成ウレタン樹脂、ウレタン変性アクリルスチレン共重合体樹脂など)であってもよい。
支持部材13は、上述したような表面皮膜が、金属板等の支持部材本体の表面に形成されてなるものである。
ここで、上記金属板の種類としては、通常、電子写真装置用ブレードに使用するものであれば特に限定されず、例えば、鋼板又は非鉄金属板の金属板、これらに単一金属又は各種合金のめっきを施しためっき金属板等が挙げられる。具体的には、例えば、熱延鋼板、冷延鋼板、ステンレス鋼板等の鋼板;溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気Zn−Ni合金めっき鋼板等のめっき鋼板;アルミニウム、チタン、亜鉛等の非鉄金属板又はこれらにめっきが施されためっき非鉄金属板等が挙げられる。
これらのなかでは、電気亜鉛めっき鋼板が好ましい。
また、上記の金属板に表面処理が施された表面処理金属板であってよい。
ここで、表面処理としては、例えば、リン酸塩処理、酸洗処理、アルカリ処理、電解還元処理、シランカップリング処理、無機シリケート処理等が挙げられる。ただし、表面処理としてクロメート処理は施されていないことが好ましい。クロメート処理が施された金属板は、環境に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。即ち、本発明の電子写真装置用ブレードに係る支持部材はクロムを含有しないことが好ましく、この場合も、支持部材と弾性ゴム部材との間で充分な接着力を確保することができる。
なお、支持部材本体は、上記表面皮膜を形成することができるものであれば、上記金属板以外の材質、例えば、セラミックや硬質樹脂からなるものであってもよい。
支持部材13は、例えば、下記の方法により作製することができる。
例えば、上記金属板の表面に、シリカ等の珪素化合物及び上記有機バインダを含有し、更に必要に応じて、溶剤、シランカップリング剤、架橋剤、各種添加剤(界面活性剤、導電性添加剤、増粘剤、消泡剤、分散剤、乾燥剤、安定剤、皮張り防止剤、防黴剤、防腐剤、凍結防止剤等)を含有する表面皮膜形成用組成物を塗布し、その後、乾燥処理や加熱処理(又は硬化処理)を施すことより製造することができる。
支持部材13としては、市販の表面皮膜が形成された金属板を加工して使用することができる。具体的な市販品としては、例えば、コーベジンクグリーンコートGX−KS処理、コーベジンクグリーンコートGX−BX処理(いずれも神戸製鋼社製)等が挙げられる。
上記支持部材としては、特定の表面皮膜、即ち、コロイダルシリカとリチウムシリケートを主成分とし、バインダとして有機樹脂および添加剤などを配合した組成物を用いて形成され、蛍光X線分析にて定量分析した際に珪素含有率が9重量%以上となる無機・有機複合皮膜である表面皮膜が形成された電気亜鉛めっき鋼板が特に好ましい。ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤が硬化してなる接着剤層との接着性に格別優れるからである。
弾性ゴム部材11としては、本件技術分野において通常使用されものであれば特に限定されないが、ポリウレタンからなるものが好ましい。電子写真装置用ブレードに要求される特性を満足するのに適しているとともに、ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤が硬化してなる接着剤層12との密着性に優れるからである。
上記ポリウレタンとしては、ポリオール、ポリイソシアネート及び必要に応じて架橋剤を反応させて得られるもの等が挙げられる。
上記ポリオールとしては特に限定されず、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。
なかでも、優れたクリーニング性や異音防止性を得ることができる点から、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールが好ましく、ポリカプロラクトンポリオールが特に好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリオールは、数平均分子量が1000〜3000であることが好ましい。上記範囲の数平均分子量を有するポリオールを用いることにより、優れたクリーニング性や異音防止性を得ることができるからである。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ジカルボン酸とグリコールとを常法に従って反応させることにより得たもの等が挙げられる。
上記ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、それらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
上記グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、p−キシレンジオール等の芳香族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。
これらによるポリエステルポリオールは、線状構造であるが、3価以上のエステル形成成分を用いた分枝状ポリエステルであってもよい。
なかでも、優れたクリーニング性や異音防止性を得ることができる点から、上記ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、アジピン酸が特に好ましい。上記グリコールとしては、脂肪族グリコールが好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールが更に好ましい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、それらの共重合体等のポリアルキレングリコール等が挙げられる。
上記ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、触媒の存在下に低分子量グリコールを開始剤としてε−カプロラクトンを開環付加させることにより得ることができるもの等が挙げられる。
上記低分子量グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の2価のアルコールとトリメチレングリコール、グリセリン等の3価のアルコールが好ましく用いられる。
上記触媒としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラエチルチタネート等の有機チタン系化合物、オクチル酸スズ、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズラウレート、塩化第1スズ、臭化第1スズ等のスズ系化合物等が好ましく用いられる。
なお、上記ε−カプロラクトン以外にもトリメチルカプロラクトンやバレロラクトンのような他の環状ラクトンを一部混合してもよい。
上記ポリイソシアネートとしては特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネート等が挙げられる。なかでも、優れたクリーニング性や異音防止性を得ることができる点から、芳香族イソシアネートが好ましい。
上記脂肪族イソシアネートとしては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。また、ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ビウレット体、アダクト体の変性体等を挙げることができる。上記脂環族イソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。
上記芳香族イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、カルボジイミド変性のMDI、ウレタン変性のMDI等が挙げられる。上記ポリイソシアネートのなかでも、優れたクリーニング性や異音防止性を得ることができる点から、MDI、ウレタン変性のMDIが好ましく、MDIが特に好ましい。
上記架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、水等が挙げられる。なかでも、優れたクリーニング性や異音防止性を得ることができる点から、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリンが好ましく、特に1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンを併用することが好ましい。
上記ポリウレタンは、上記原料を使用して公知の方法で製造することができ、例えば、適当な有機溶剤中で必要に応じて触媒を使用し、各原料の当量比をNCO/OH=1.02〜1.18に調整して反応させること、無溶剤で溶融反応させること等により製造することができる。
また、全原料を同時に反応させる方法、プレポリマー方法等により製造することができる。
上記ポリウレタンからなる弾性ゴム部材の成形方法としては特に限定されず、例えば、常圧注型成形、減圧注型成形、遠心成形、回転成形、押出成形、射出成形、反応射出成形(RIM)、スピンコーティング等が挙げられる。
また、電子写真装置用ブレード10では、表面皮膜が形成された支持部材13と接着剤層12とが直接接着されているが、両者の間には、プライマーや液状接着剤により形成された前処理層が介在していてもよい。しかしながら、このような前処理層を形成した場合、製造時の工程数の増加に伴い生産性が低下することとなるため、特別な理由がないかぎり、上記支持部材と上記接着剤層とは直接接着されており、プライマー層等が形成されていないことが好ましい。
また、ここまで説明した本発明の電子写真装置用ブレードは、図1に示したように、単層構造の弾性ゴム部材を備えたものであるが、本発明の電子写真装置用ブレードは、図2、3に示すような構造の弾性ゴム部材を備えたものであってもよい。
図2、3は、それぞれ本発明の電子写真装置用ブレードの別の一例を模式的に示す断面図である。
本発明の電子写真装置用ブレードは、図2に示す電子写真装置用ブレード20のように、弾性ゴム部材21が支持部材23に接着剤層22を介して接着され、弾性ゴム部材21がエッジ層21a及びバックアップ層21bからなる2層構造を備えていてもよい。
なお、本発明の電子写真装置用ブレードを構成する弾性ゴム部材は、3層以上の層構造を備えたものであってもよい。
また、本発明の電子写真装置用ブレードは、図3に示す電子写真装置用ブレード30のように、弾性ゴム部材31が支持部材33に接着剤層32を介して接着され、弾性ゴム部材31がエッジ部(エッジ領域)31a及びバックアップ層(バックアップ領域)31bからなる構造を備えていてもよい。ここでエッジ部とは、感光体等の相手材に当接する部分及びその近傍の領域をいう。
図2、3に示したような構造の弾性ゴム部材を備えた電子写真装置用ブレードでは、使用時に、エッジ層又はエッジ部が相手材に当接して電子写真装置用ブレードとして機能することとなる。
そして、図2、3に示したような構成の弾性ゴム部材を備えることにより、電子写真装置用ブレードに要求される種々の要求(例えば、球形かつ小粒径の重合法トナーに対するクリーニング性の向上、特定環境下(低温低湿下や高温高湿下)でのクリーニング性の向上、異音防止性の向上、耐磨耗性の向上等)により、より適切に対応しやすくなる。
図2に示した電子写真装置用ブレード20や図3に示した電子写真装置用ブレード30のように、弾性ゴム部材が複数の材質からなる場合も、その各部位の材質は、既に説明した電子写真装置用ブレード10を構成する弾性ゴム部材11の材質と同様であり、そのなかから要求特性に応じた適切な組み合わせを適宜選択すればよい。
次に、上記電子写真装置用ブレードを製造する方法について説明する。
上記電子写真装置用ブレードは、例えば、以下の方法により製造することができる。
即ち、支持部材と弾性ゴム部材とを所定の形状に加工しておき、溶融したウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤を支持部材及び/又は弾性ゴム部材の所定の位置に塗布した後、上記弾性ゴム部材を上記ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤を介して上記支持部材と一体化し、その後その状態で保持し、上記ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤を硬化させる。これにより、上記ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤が硬化してなる接着剤層を介して支持部材と弾性ゴム部材とが強固に接着された電子写真装置用ブレードを製造することができる。
ここで、上記ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤の硬化は、加熱処理を行うことなく、室温程度(例えば、17〜30℃)で行うことが好ましい。
温度が低い(17℃未満である)と、接着剤層と支持部材や弾性ゴム部材との接着強度が不充分となることがあり、一方、温度が高い(30℃を超える)と、上記接着剤が硬化時に流動してしまい、所定の部位からはみ出すことで接着剤層の厚さが薄くなることがあり、その結果、外観や寸法精度が低下するとの不都合が生じることがある。
また、上記ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤を硬化させる時間(接着剤を湿気により完全に硬化させる時間)は特に限定されず、ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤の種類に応じて適宜選択すればよいが、通常、24〜72時間程度である。
上記弾性ゴム部材を上記湿気硬化型ホットメルト接着剤を介して上記支持部材と一体化した後、加熱処理を行うことなく上記湿気硬化型ホットメルト接着剤を硬化させて上記接着剤層を形成する電子写真装置用ブレードの製造方法もまた本発明の1つである。
一方、上記電子写真装置用ブレードを製造する方法は、必ずしも上記弾性ゴム部材を上記ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤を介して上記支持部材と一体化した後の加熱処理を否定するわけではなく、場合によって、加熱処理を行ってもよい。
以下、本発明について実施例を掲げてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(弾性ゴム部材の作製)
数平均分子量2000のポリ-ε-カプロラクトンとジフェニルメタンジイソシアネートからなるイソシアネート含有率9wt%の化合物をウレタンプレポリマーとし、重量比75:25の1,4−ブタンジオールおよびトリメチロールプロパンの混合物を硬化剤とし、ウレタンプレポリマーと硬化剤とを混合し、金型にて加熱硬化させ、2mm厚のシートを作製し、幅15mm、長さ225mmの短冊状に切断し、炭化水素系溶剤で脱脂洗浄し、十分乾燥させることにより弾性ゴム部材を作製した。
(支持部材の作製)
表面全体に表面皮膜を有する各種電気亜鉛メッキ鋼板を厚み1.5mm、幅15mm、長さ225mmの寸法に加工し、支持部材とした。
(実施例1)
アプリケーター(Robatech社製、PURホットメルトアプリケーター:RobaPUR 4 MOD)を用い、コーティングヘッド(Robatech社製、FK−SX15)を130℃設定で温調し、塗工速度450mm/sec、基材からコーティングヘッドのクリアランスを80μmに調整して弾性ゴム部材にウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤(DIC社製、タイフォースH−810)を塗工し、塗工完了直後に、電気亜鉛メッキ鋼板(神戸製鋼社製、コーベジンクグリーンコートGX−KS処理)を加工して作製した支持部材を面圧0.14MPaで圧着し、電子写真装置用ブレードを作製した。
作製した電子写真装置用ブレードは、接着剤種による硬化反応速度の影響を避けるため雰囲気温度23℃、相対湿度50%の環境で1週間保管した後に接着力の測定に供した。
(実施例2)
接着剤としてDIC社製、タイフォースH−850を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真装置用ブレードを作製し、接着力の測定に供した。
(実施例3)
接着剤としてノーテープ工業社製、5921を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真装置用ブレードを作製し、接着力の測定に供した。
(実施例4)
接着剤としてDIC社製、タイフォースPUR−1Sを用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真装置用ブレードを作製し、接着力の測定に供した。
(実施例5)
接着剤としてDIC社製、タイフォースH−910を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真装置用ブレードを作製し、接着力の測定に供した。
(実施例6)
電気亜鉛メッキ鋼板として、コーベジンクグリーンコートGX−BX処理(神戸製鋼社製)を用いた以外は、実施例2と同様にして電子写真装置用ブレードを作製し、接着力の測定に供した。
(比較例1)
電気亜鉛メッキ鋼板として、スミジンクネオコートT1N処理(住友金属社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真装置用ブレードを作製し、接着力の測定に供した。
(比較例2)
電気亜鉛メッキ鋼板として、コーベジンクグリーンコートGX−K2(神戸製鋼社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真装置用ブレードを作製し、接着力の測定に供した。
(比較例3)
電気亜鉛メッキ鋼板として、コーベジンクグリーンコートGX−K2(神戸製鋼社製)を用いた以外は、実施例2と同様にして電子写真装置用ブレードを作製し、接着力の測定に供した。
(比較例4)
電気亜鉛メッキ鋼板として、コーベジンクグリーンコートGX−K2(神戸製鋼社製)を用いた以外は、実施例3と同様にして電子写真装置用ブレードを作製し、接着力の測定に供した。
(比較例5)
電気亜鉛メッキ鋼板として、コーベジンクグリーンコートGX−K2(神戸製鋼社製)を用いた以外は、実施例4と同様にして電子写真装置用ブレードを作製し、接着力の測定に供した。
(比較例6)
電気亜鉛メッキ鋼板として、コーベジンクグリーンコートGX−K2(神戸製鋼社製)を用いた以外は、実施例5と同様にして電子写真装置用ブレードを作製し、接着力の測定に供した。
(比較例7)
電気亜鉛メッキ鋼板として、月星ジンクZS処理(日新製鋼社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真装置用ブレードを作製し、接着力の測定に供した。
(比較例8)
電気亜鉛メッキ鋼板として、SECC N5処理(BAOSHAN IRON & STEEL CO.,LTD.社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真装置用ブードを作製し、接着力の測定に供した。
(比較例9)
電気亜鉛メッキ鋼板として、SECC N5処理(BAOSHAN IRON & STEEL CO.,LTD.社製)を用いた以外は、実施例2と同様にして電子写真装置用ブレードを作製し、接着力の測定に供した。
(比較例10)
電気亜鉛メッキ鋼板として、SECC N5処理(BAOSHAN IRON & STEEL CO.,LTD.社製)を用いた以外は、実施例3と同様にして電子写真装置用ブレードを作製し、接着力の測定に供した。
(比較例11)
電気亜鉛メッキ鋼板として、SECC N5処理(BAOSHAN IRON & STEEL CO.,LTD.社製)を用いた以外は、実施例4と同様にして電子写真装置用ブレードを作製し、接着力の測定に供した。
(比較例12)
電気亜鉛メッキ鋼板として、SECC N5処理(BAOSHAN IRON & STEEL CO.,LTD.社製)を用いた以外は、実施例5と同様にして電子写真装置用ブレードを作製し、接着力の測定に供した。
(比較例13)
電気亜鉛メッキ鋼板として、月星ジンクZC処理(日新製鋼社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真装置用ブレードを作製し、接着力の測定に供した。
(評価)
(1)珪素含有率の測定
各実施例及び比較例に先立ち、各種電気亜鉛メッキ鋼板(支持部材)の表面皮膜の珪素含有率(重量%)を下記の方法で測定した。
支持部材表面をn−ヘキサンで洗浄後、蛍光X線分析にて定量分析を実施した。蛍光X線分析では、蛍光X線分析装置(リガク社製、3270型)を使用して、測定視野φ10mm、管電圧50kV、管電流50A、測定モードは全元素測定、2θスキャンにて実施し、この蛍光X線分析装置の定量ソフトを用いてオーダー定量値を測定した。
結果を表1に示した。
(2)支持部材と弾性ゴム部材との接着力の評価
図4は、支持部材と弾性ゴム部材との接着力を評価する方法を説明するための模式図である。
支持部材を水平方向に移動可能な治具(図示せず)で固定し、図4に示すように、支持部材13の接着面13aに対して垂直上方向に弾性ゴム部材11を引張速度20±5mm/minで引っ張り、接着力(kN/m)を測定した。なお、図4中、12は接着剤層である。
結果を表1に示した。
Figure 0005872057
表1に示した結果の通り、本発明の電子写真装置用ブレードは、支持部材と弾性ゴム部材との接着性に優れることが明らかとなった。
10、20、30 電子写真装置用ブレード
11、21、31 弾性ゴム部材
12、22、32 接着剤層
13、23、33 支持部材

Claims (4)

  1. 接着剤層を介して、弾性ゴム部材が支持部材に接着された電子写真装置用ブレードであって、
    前記接着剤層は、ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤が硬化してなるものであり、
    前記支持部材の少なくとも前記接着剤層と接する部位に、蛍光X線分析にて定量分析した際に珪素含有率が6重量%以上となる、珪素化合物を含有する表面皮膜が設けられており、
    前記珪素化合物は、表面にシラノール基を有するシリカであることを特徴とする電子写真装置用ブレード。
  2. 前記表面皮膜は、無機・有機複合皮膜である請求項1に記載の電子写真装置用ブレード。
  3. 前記支持部材は、クロムを含有しない請求項1又は2に記載の電子写真装置用ブレード。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の電子写真装置用ブレードを製造する方法であって、
    前記弾性ゴム部材を前記湿気硬化型ホットメルト接着剤を介して前記支持部材と一体化した後、加熱処理を行うことなく前記湿気硬化型ホットメルト接着剤を硬化させて前記接着剤層を形成することを特徴とする電子写真装置用ブレードの製造方法。
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