JP2661773B2 - 複合型制振金属板用芯材樹脂、複合型制振金属板および複合型制振金属板の製造方法 - Google Patents

複合型制振金属板用芯材樹脂、複合型制振金属板および複合型制振金属板の製造方法

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JP2661773B2 JP14671590A JP14671590A JP2661773B2 JP 2661773 B2 JP2661773 B2 JP 2661773B2 JP 14671590 A JP14671590 A JP 14671590A JP 14671590 A JP14671590 A JP 14671590A JP 2661773 B2 JP2661773 B2 JP 2661773B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、金属板と芯材樹脂とが複合されてなる制振
金属板用の芯材樹脂、複合型制振金属板および複合型制
振金属板の製造方法に関する。
本発明の芯材樹脂は、広範囲の温度に対応して、さら
に広範囲の周波数に対応して優れた制振性能を発揮する
ものであるので、本発明の芯材樹脂を有する複合型制振
金属板は、階段、ドア、床材などの建材用途は勿論のこ
と、自動車のオイルパン、ボディ回りのダッシュパネ
ル、フロアパネル、ルーフパネルなどの従来は制振金属
板の使用が困難であった用途、あるいはモーターやコン
プレッサーのカバーなどにも使用できるものであり、自
動車業界、土木建築業界、電機業界において、幅広く利
用できる。
<従来の技術> 近年の環境重視の世相を反映して、環境問題の一つで
ある騒音、振動に対する関心が高まっており、この問題
の解決のために、多くの努力が払われている。特に、騒
音については、自動車騒音を中心に騒音規制法などの関
連法案が具体化され、実施に至っていることから、騒音
防止のための材料開発が盛んである。
このような背景を受け、金属層間に粘弾性樹脂からな
る芯材樹脂を介在させた複合型制振金属板が、騒音、振
動防止材として注目されるようになった。この材料は、
金属板に加えられる振動を芯材樹脂が熱エネルギーに変
換するものであり、自動車のオイルパンや階段、ドア、
床材などの建材、モーターやコンプレッサーのカバーな
どの用途に使用もしくは使用の検討がなされている。
ところで、複合型制振金属板に要求される性能は、制
振性、加工性、耐久性の3つに大別される。
まず、制振性であるが、これは、芯材樹脂の性能に依
存する。この制振性能を損失係数(η)で表すと、ηは
ある一定温度にピークを示す特性を有し、このピーク特
性温度の近傍で使用するのが最も効果的であることが知
られている。また、この制振性能は、温度のみならず、
騒音あるいは振動源の周波数にも依存性を示し、一般に
は、高い周波数程高いηを示す。
加工性については、金属板と芯材樹脂との間の剥離強
度や引張剪断力が重視され、複合型制振金属板をコイル
化して製造する際に生じる剪断力や製造工程で加えられ
るプレス力に耐えるものが求められる。
耐久性については、複合型制振金属板を製品化する工
程中での安定性、例えば焼付け塗装時の高温化において
も樹脂の溶出や変質が生じないことが求められ、さら
に、複合型制振金属板を使用した製品が、その使用環境
下において、長時間に亘ってその金属板と芯材樹脂との
間の接着力を十分保持することが求められる。
これらの要求性能を満足する複合型制振金属板を得る
ことを目的として、複合型制振金属板の芯材樹脂につい
て、これまでにいくつかの提案がなされている。そし
て、芯材樹脂として用いられる熱可塑性樹脂あるいは熱
可塑性樹脂に架橋剤を配合した芯材樹脂用樹脂組成物な
どが数多く開示されたが、最近では、単一の樹脂によっ
ては前記要求性能を十分に満足できないとの見解から、
特性の異なる2成分以上の樹脂を用い、芯材樹脂層を複
合化する提案や、特性の異なる2成分以上の樹脂を含有
する芯材樹脂用樹脂組成物についての提案が主流となっ
てきている。例えば、軟質樹脂層間に熱可塑性樹脂の融
着層を設けた複合化芯材樹脂(特開昭62−44437号)、
粘弾性特性についての温度依存性の異なる樹脂を積層し
た複合化芯材樹脂(特開昭63−56446号)、ポリブタジ
エンジオールとイソシアネート化合物とを含有する樹脂
組成物であって、それらの組成比の異なる複数の樹脂組
成物各々から得られる樹脂を積層した複合化芯材樹脂
(特開昭63−165135号)、異なるガラス転移点を有し、
互いに相溶しない非晶性熱可塑性樹脂をブレンドした樹
脂組成物(特開昭61−28553号)、熱可塑性ポリエステ
ル樹脂に、粘着性および密着性付与剤として軟化点が60
℃以上の熱可塑性樹脂を配合した樹脂組成物(特開平1
−263147号)、アイオノマー樹脂にエラストマーを配合
した樹脂組成物(特開昭62−132950号)、粘弾性樹脂中
にガラス転移点が100℃以上のアクリロニトリル系重合
体の凝集粒子が含有されてなる芯材樹脂(特開昭63−91
239号)が挙げられる。
<発明が解決しようとする課題> 上記例示の複合化芯材樹脂あるいは樹脂組成物は、複
合型制振金属板に要求される性能を従来よりも改善する
ものではあったが、それぞれにおいて、十分とはいえな
い性能を有するものであった。
まず、特開昭62−44437号、特開昭63−56446号、特開
昭63−165135号であるが、これらはいずれも、芯材樹脂
が複層構造であるため、引張剪断力に対して最も軟質な
樹脂層部分がズレを起こし、加工性に問題があった。
一般に、複合型制振金属板の芯材樹脂は、軟質である
ほど制振性が高い。しかし、軟質であるほど凝集力が不
足するため、剪断強度が低下するという弊害がある。従
って、芯材樹脂に軟質なものを使用すると、低温域にて
制振性と接着性とを両立できない。平板状の建材など、
比較的強い加工がなされない部材においては、軟質樹脂
を芯材樹脂として用いると、高制振性が発揮されると思
われるが、用途が限定されてしまっていた。
上記3件の公報のなかで、特開昭63−56446号では、
芯材樹脂を常温以上であって異なるガラス転移点を有す
る樹脂の積層体とした場合、常温下での剪断強度は高い
値を示した。
しかし、構成樹脂層が各々薄いために、ηのピーク値
が低くなってしまっていた。また、前記の如く、常温以
上の温度下にて、最も軟質な樹脂層部分が剪断力により
ズレを起こすことに変わりはない。従って、芯材樹脂が
同厚の単一軟質樹脂からなるものに比べ、ある程度まで
は制振性を発揮する温度範囲は広くなっていたものの、
上記弊害を有するために、その性能は十分とはいえなか
った。
また、特開昭61−28553号では、ガラス転移点の異な
る個々の樹脂の作用により、制振性を示す温度範囲は拡
大したものの、熱可塑性樹脂であるために、接着性、耐
熱性が低く、使用温度域、熱加工性が限定された。
特開平1−263147号は、熱可塑性ポリエステル樹脂の
制振性あるいは弾性率の向上を計る目的で熱可塑性樹脂
を混合するのであるが、軟化点が60℃以上であるロジン
系樹脂などの特定された粘着性付与作用を有する熱可塑
性樹脂を用いることで、耐水性をも向上できたというも
のである。しかし、これらの熱可塑性樹脂を混合するこ
とは、複合型制振金属板に要求される基本特性を著しく
向上させるものではなく、なかでも、制振性向上に着目
したものではないことが実施例より明らかである。
特開昭62−132950号は、金属イオン架橋型のアイオノ
マー樹脂を使用しているが、この樹脂は熱可塑性である
ために、接着性、耐熱性が低く、使用温度域、熱加工性
が限定された。
特開昭63−91239号は、粒子の外表面および内部の樹
脂との界面における振動伝播時の変形による高制振性を
うたっているが、このような物理的作用による制振性の
向上は必ずしも満足すべき効果をあげるとはいえなかっ
た。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、樹脂の凝
集力に関連する制振性と加工性という相反する関係を改
善することにより、制振性、加工性、さらには耐久性と
いう全ての要求性能を満足する複合型制振金属板用芯材
樹脂、該芯材樹脂を中間層として有する複合型制振金属
板および該複合型制振金属板の製造方法を提供すること
を目的とする。
<課題を解決するための手段> 本発明者らは、上記問題点を解決するため鋭意検討を
行なった結果、加工性、耐久性の観点から、複合型制振
金属板の芯材樹脂としては、熱可塑性樹脂が架橋剤で架
橋されたもの、つまり3次元的分子構造をとる樹脂が必
要不可欠であることを知見した。そして、加工性、耐久
性と相反する性質であるためにこの樹脂に制振性が不足
している問題を克服すべく検討を重ね、熱可塑性樹脂お
よび架橋剤に加え、該架橋剤と反応しない熱可塑性樹脂
を前記3次元的分子構造中に分散させて存在させると、
優れた加工性、耐久性および制振性を示す理想的な芯材
樹脂となることを知見し、本発明を完成したものであ
る。
すなわち本発明第一の態様は、官能基を有する熱可塑
性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(A)用の架橋剤(B)お
よび該架橋剤(B)と反応しない熱可塑性樹脂(C)と
を含有する樹脂組成物から得られる粘弾性樹脂であっ
て、熱可塑性樹脂(C)が、熱可塑性樹脂(A)と架橋
剤(B)との反応で形成される三次元構造体中に分散さ
れてなることを特徴とする複合型制振金属板用芯材樹脂
を提供するものである。
また、本発明第二の態様は、本発明第一の態様の芯材
樹脂を中間層として有することを特徴とする複合型制振
金属板を提供するものである。
さらに、本発明第三の態様は、官能基を有する熱可塑
性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(A)用の架橋剤(B)お
よび該架橋剤(B)と反応しない熱可塑性樹脂(C)と
を含有する樹脂組成物を、積層される2枚の金属板のう
ちの少なくとも1枚の積層面に塗布し、2枚の金属板を
加熱積層接着することにより、本発明第二の態様の複合
型制振金属板を得ることを特徴とする複合型制振金属板
の製造方法を提供するものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
はじめに、本発明の芯材樹脂を得るために用いる樹脂
組成物の必須構成成分について説明する。
第一の必須構成成分は、官能基を有する熱可塑性樹脂
(A)である。
ここで、官能基とは、後記架橋剤(B)と反応する基
を指し、具体的には、水酸基、エポキシ基、アミノ基、
カルボキシル基、イソシアナート基、酸無水物基等があ
げられる。従って、本発明で用いる熱可塑性樹脂(A)
としては、前記水酸基およびカルボキシル基を有する熱
可塑性ポリエステル系樹脂、前記エポキシ基を有するポ
リオールのグリシジルエーテル化エポキシ系樹脂、分子
中に二重結合部分を有する官能基含有ジエン系樹脂、前
記アミノ基、カルボキシル基および酸アミド結合を有す
るポリアミド系樹脂、前記酸無水物基およびカルボキシ
ル基を有する変性ポリオレフィン系樹脂等があげられ
る。
より具体的には、熱可塑性ポリエステル系樹脂として
は、分子末端に水酸基あるいはカルボキシル基を有する
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリアリレート、サーモトロピック液晶ポリエス
テル等のエンジニアリングプラスチックと呼ばれる材料
が例示される。
また、ジメチルテレフタル酸、テレフタル酸、イソフ
タル酸、フタル酸などの芳香族二塩基性酸、コハク酸、
グルタル酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、ピメ
リン酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸、アゼライン酸、
セバチン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン
酸、ヘキサデカンジカルボン酸などの脂肪族二塩基性酸
のうちの1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロ
パンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジ
オール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタジオール、
1,5−ペンタジオール、3−メチルペンタジオール、1,3
−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シ
クロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのグ
リコールもしくはその残基形成誘導体のうちの1種以上
から合成され、そのガラス転移点が100℃以下のポリエ
ステル樹脂、あるいはカプロラクトンより合成され、そ
のガラス転移点が100℃以下のポリエステル樹脂、さら
には、例えば、マレイン酸、フマル酸、ダイマー酸など
の不飽和脂肪酸、トリメリット酸などの二官能性を越え
る脂肪酸と、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリ
トールなどの二官能性を越える水酸基を有する化合物か
ら合成され、そのガラス転移点が100℃以下のポリエス
テル樹脂等が例示される。
ポリオールのグリシジルエーテル化エポキシ系樹脂と
しては、先にポリエステル樹脂原料として例示したグリ
コールあるいはこれらのポリグリコールのジグリシジル
エーテルや、グリセロールトリグリシジルエーテル、ポ
リグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロー
ルプロパンジグリシジルエーテル、また、前記のポリエ
ステル樹脂の分子末端をグリシジル化したジグリシジル
ポリエステルあるいはポリグリシジルポリエステル等、
ジエン系樹脂としては、分子末端に水酸基、カルボキシ
ル基、アミノ基などを有するブタジエンホモポリマー、
イソプレンホモポリマー、ブタジエン−スチレンコポリ
マー、ブタジエン−イソプレンコポリマー、ブタジエン
−アクリロニトリルコポリマー等、ポリアミド系樹脂と
しては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン8や、カプ
ロラクタム、ラウリンラクタムなどのラクタムとアミノ
ウンデカン酸、アミノドデカン酸などのアミノカルボン
酸から合成されるポリアミド樹脂、また、ヘキサメチレ
ンジアミン、オクタメチレンジアミンなどの有機ジアミ
ンと、先にポリエステル樹脂原料として例示した芳香族
二塩基性酸あるいは脂肪族二塩基性酸から合成されるポ
リアミド樹脂等、変性ポリオレフィン樹脂としては、無
水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレンコポリ
マー、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニ
ルコポリマー、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−
エチルアクリレートコポリマー、無水マレイン酸グラフ
ト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリ
プロピレン、エチレン−メタクリル酸コポリマー等が例
示される。
なお、本発明では、熱可塑性樹脂(A)として、熱可
塑性ポリエステル樹脂を用いると、耐熱性、耐水性、加
工性等の要求性能を満足する芯材樹脂を容易に得ること
ができ、好ましい。
ところで、熱可塑性樹脂(A)の分子量については、
特に制限はないが、要求性能に鑑みて、重量平均分子量
で5000以上のものが好ましい。
また、熱可塑性樹脂(A)は、−50〜100℃の範囲内
にガラス転移点を有するものが好ましく、−40〜60℃の
範囲内がより好ましく、−30〜10℃の範囲内がさらに好
ましい。
本発明では、様々なガラス転移点を有する熱可塑性樹
脂のなかから適切なガラス転移点を有する熱可塑性樹脂
(A)を選択できるので、本発明の芯材樹脂を用いて最
終的に得られる複合型制振金属板の制振性が最も発揮さ
れるべき温度にガラス転移点を調整できる。ただし、制
振性を発揮する温度域を常温以下に設定した場合には、
常温付近での樹脂の凝集力が低下し、加工性が低下する
ため、この点を考慮して制振性が最も発揮されるべき温
度域を設定することが重要である。
さらに、熱可塑性樹脂(A)として、周波数0.1〜200
00Hzの範囲内におけるガラス転移に基づく損失正接(ta
nδ)の極大値が0.5以上を示すものが好ましい。tanδ
が高い値を示すものほど制振性の高い樹脂であるといえ
るが、tanδの特に好ましい値は0.7以上である。
なお、熱可塑性樹脂(A)の結晶化度については、特
に制限はないが、要求性能に鑑みて非晶性のものが好ま
しく、特に、非晶性共重合飽和ポリエステル樹脂の使用
が好ましい。
本発明では、熱可塑性樹脂(A)の使用は、1種類に
限らず2種類以上の併用であってもよい。2種類以上を
併用する場合は、互いに相溶するかあるいは非相溶であ
るかにより、熱可塑性樹脂(A)のガラス転移に基づく
tanδのピークが1つあるいは2つ以上現れるが、その
うち最も大きい値を示すものが0.5以上となるように併
用するとよい。
第二の必須構成成分は、前記熱可塑性樹脂(A)が有
する官能基と反応して3次元的分子構造を形成する架橋
剤(B)である。従って、架橋剤(B)は、熱可塑性樹
脂(A)が有する官能基と反応しうる官能基を2つ以上
有するものであればよいが、熱可塑性樹脂(A)の種類
に応じて選択されるものである。
例をあげると、イソシアナート系、エポキシ系、酸無
水物系、アミン系、アジリジル系、オキサゾリン系など
の化合物があるが、熱可塑性樹脂(A)として水酸基あ
るいはカルボキシル基を有する熱可塑性ポリエステル樹
脂を用いる場合は、イソシアナート系あるいはエポキシ
系が、エポキシ基を有するエポキシ系樹脂を用いる場合
は、酸無水物系あるいはアミン系が、水酸基、カルボキ
シル基、アミノ基を有するジエン系樹脂を用いる場合
は、イソシアナート系、エポキシ系あるいは酸無水物系
が、アミノ基、カルボキシル基あるいは酸アミド結合を
有するポリアミド系樹脂を用いる場合は、イソシアナー
ト系、エポキシ系あるいは酸無水物系が、酸無水物基あ
るいはカルボキシル基を有する変性ポリオレフィン樹脂
を用いる場合は、アミン系、イソシアナート系あるいは
エポキシ系が各々好ましい。
架橋剤(B)について、より具体的に述べると、イソ
シアナート系架橋剤としては、分子内に2個以上のイソ
シアナート基を有する多価イソシアナート化合物、例え
ば、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジ
イソシアナート(通常TDI)、メチレン−ビス−4−フ
ェニルイソシアナート(通称MDI)、ポリメチレンポリ
フェニルポリイソシアナートまたはポリオール変性MDI
などのMDI誘導体、ヘキサメチレンジイソシアナート
(通称HDI)およびその誘導体、イソホロンジイソシア
ナート(通称IPDI)およびその誘導体、TDIをトリメチ
ロールプロパンなどに付加したTDI系アダクトポリイソ
シアナート、例えば市販品として、コロネートL、HL
(以上、日本ポリウレタン)、ディスモフェンL、ディ
スモジュールN(住友バイエルウレタン)、あらかじめ
反応せしめた重合ポリイソシアナート、例えば市販品と
して、スプラセック3240、3250、コロネート2030、2031
(日本ポリウレタン)、ディスモジュールIL、HL(住友
バイエルウレタン)、イソシアナートをカプロラクタム
等でマスキングしたブロックドイソシアナート、あらか
じめ低分子量ポリエーテルと前述の多価イソシアナート
とを反応せしめた末端イソシアナートプレポリマーなど
を挙げることができる。
また、エポキシ系架橋剤としては、分子内に2個以上
のエポキシ基を有する多価エポキシ化合物、例えばビス
フェノールA型、臭素化ビスフェノールA型およびビス
フェノールF型エポキシ化合物などのビスフェノール型
エポキシ化合物、例えば市販品として、TD−127、YD−7
128、YDF−165およびYDB−400EK60(以上、東都化
成)、EPICRON−830(大日本インキ化学工業)、o−ク
レゾールノボラック型エポキシ化合物などのノボラック
型エポキシ化合物、ソルビトールポリグリシジルエーテ
ル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、グ
リセロールポリグリシジルエーテル、エチレングリコー
ルジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグ
リシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジル
エーテルおよびポリプロピレングリコールジグリシジル
エーテルなどのポリグリシジルエーテル類、4官能アミ
ン型ポリグリシジルアミンなどのポリグリシジルアミン
類、例えば市販品として、YH−434(東都化成)、フタ
ル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグ
リシジルエステルおよびジグリシジル−p−オキシ安息
香酸エステルなどのグリシジルエステル類、あるいは脂
環型エポキシ化合物、例えば市販品として、ERL−4234
(ユニオンカーバイド)などを挙げることができる。
さらに、酸無水物系架橋剤としては、無水フタル酸、
無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の芳香族酸
無水物、無水マレイン酸、無水コハク酸、テトラヒドロ
無水フタル酸等の環状脂肪族酸無水物、ポリアジピン酸
無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水
物等の脂肪族酸無水物等を挙げることができる。
加えて、アミン系架橋剤としては、ジエチレントリア
ミン、トリエチレンテトラミン等の鎖状脂肪族ポリアミ
ン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン等の環状脂
肪族ポリアミン、m−キシレンジアミン等の脂肪芳香族
ポリアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェ
ニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等の芳香族
ポリアミン等を挙げることができる。
その他、多官能基からなるアジリジル系架橋剤、オキ
サゾリン系架橋剤等を挙げることができる。
樹脂組成物中における架橋剤(B)の配合量について
は、配合量が多いほど熱可塑性樹脂(A)との架橋度が
高まり、粘弾性樹脂の凝集力が向上し、引張剪断力に対
して優れた効果を発揮するようになる。しかし、その反
面、必要以上に架橋度が高まると、粘弾性樹脂は硬質と
なるため、制振性が低下する傾向にある。さらに、制振
性を発揮する温度域が高温側へ移行する。これとは逆
に、架橋剤(B)の配合量が少ない場合には、粘弾性樹
脂の凝集力が低下し、制振性は向上するものの、引張剪
断力が低下する。従って、架橋剤(B)の配合量には好
適範囲があり、それは、熱可塑性樹脂(A)の官能基数
と架橋剤の官能基数との関係によって決定されるのであ
るが、一般的に好ましい配合量は、最終的に得られる樹
脂組成物に対して0.1〜50重量%、さらに好ましくは0.2
〜20重量%である。
架橋剤(B)は、単独もしくは2種類以上を混合して
使用してもよい。また、架橋剤(B)と熱可塑性樹脂
(A)との反応性を向上させる目的で、各種の触媒を併
用してもよい。
第三の必須構成成分は、架橋剤(B)とは反応しない
熱可塑性樹脂(C)である。
熱可塑性樹脂(C)は、前記したように、架橋剤
(B)と反応しない樹脂であるが、「反応しない」と
は、その分子内に架橋剤(B)と反応する官能基を持た
ない。あるいは、架橋剤(B)と反応性のある官能基を
有している樹脂であっても、架橋剤(B)と非相溶挙動
を呈するために反応しないことを指す。
熱可塑性樹脂(C)が架橋剤(B)と反応した場合に
は、熱可塑性樹脂(A)と架橋剤(B)との反応で形成
される三次元構造体の凝集力低下による芯材樹脂の接着
性の低下、あるいは制振性の向上効果の低下が生じる。
熱可塑性樹脂(C)について例示すると、熱可塑性樹
脂(C)が架橋剤(B)と非相溶である場合は、熱可塑
性樹脂(A)の項で例示した樹脂等を挙げることができ
る。また、熱可塑性樹脂(C)が架橋剤(B)と相溶す
る場合は、熱可塑性樹脂(A)の項で例示した樹脂の官
能基を封止したもの、ポリスチレンおよびその共重合樹
脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステ
ル等のアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン
等のオレフィン系樹脂、塩化ビニルおよびその共重合樹
脂等と、アイオノマー樹脂などの熱可塑性エラストマー
が挙げられる。
ここで、熱可塑性樹脂(A)の項で例示した樹脂の官
能基を封止したものを得るために用いる化合物について
説明する。
熱可塑性ポリエステル樹脂の官能基を封止するには、
ポリエステル樹脂末端のヒドロキシ基あるいはカルボキ
シル基と反応性を有する基が一つある単官能化合物を使
用する。該単官能化合物の反応性基としては、アルデヒ
ド、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、イミノ、グ
リシジルエーテル、グリシジルエステル、アリル置換メ
チル、イソシアナート、アセトキシなどの基が挙げられ
るが、なかでも、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ
の各反応性基およびそれらのエステル、およびグリシジ
ル基が好ましい。これらの反応性基を有する単官能化合
物としては、p−プロピルフェノール、p−t−ブチル
フェノール、ヒドロキシピリジン、p−フェニルフェノ
ールおよびそれらのアセトキシ化した化合物、p−フェ
ニル安息香酸、p−フェニル安息香酸メチル、フェニル
グリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエ
ーテル、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジル
エーテルなどが挙げられる。
エポキシ系樹脂の官能基を封止するには、エポキシ基
と反応性を有する基が一つある単官能化合物を使用す
る。該単官能化合物の反応性基としては、アミノ、ヒド
ロキシル、カルボキシル、酸無水物などの基があげら
れ、これらの反応性基を有する単官能化合物としては、
ポリエステル樹脂の官能基封止のために用いられる化合
物として前記したヒドロキシル基、カルボキシル基を有
する単官能化合物、アニリン、1−アミノ−2−クロロ
ベンゼン、p−アミノトルエン、1−アミノプロパン、
1−アミノブタン、1−アミノペンタン、1−アミノヘ
キサンなどが挙げられる。
ジエン系樹脂の官能基がヒドロキシル、カルボキシル
およびアミノのいずれかの基の場合に、これを封止する
には、ポリエステル樹脂の官能基封止のために用いられ
る化合物として前記した単官能化合物などを用いるとよ
い。
ポリアミド系樹脂の官能基がアミノおよびカルボキシ
ルのいずれかの基の場合に、これを封止するには、ポリ
エステル樹脂の官能基封止のために用いられる化合物と
して前記した単官能化合物などを用いるとよい。
変性ポリオレフィン樹脂の官能基が酸無水物およびカ
ルボキシルのいずれかの基の場合に、これを封止するに
は、ポリエステル樹脂の官能基封止のために用いられる
化合物として前記した、ヒドロキシルおよびそのエステ
ルやグリシジル基を有する単官能化合物などを用いると
よい。
また、これらの単官能化合物の熱可塑性樹脂(A)へ
の反応は、熱可塑性樹脂(A)の合成時に添加し、反応
させてもよいが、好ましくは、重合終了後の熱可塑性樹
脂(A)に対して行ない、熱可塑性樹脂(A)の溶融温
度下にて、減圧もしくは常圧下(常圧の場合は不活性ガ
ス雰囲気下)に行なうのが特に好ましい。
ところで、熱可塑性樹脂(C)の分子量については、
特に制限はないが、要求性能に鑑みて、重量平均分子量
で5000以上のものが好ましい。
また、熱可塑性樹脂(C)は、−50〜100℃の範囲内
にガラス転移点を有するものが好ましく、−30〜70℃の
範囲内がより好ましく、−20〜20℃の範囲内がさらに好
ましい。
本発明では、様々なガラス転移点を有する熱可塑性樹
脂のなかから熱可塑性樹脂(C)を選択できるので、本
発明の芯材樹脂を用いて最終的に得られる複合型制振金
属板の制振性が最も発揮されるべき温度にガラス転移点
を調整できる。ただし、制振性を発揮する温度域を常温
以下に設定した場合には、常温下での樹脂の凝集力が低
下し、加工性が低下するため、この点を考慮して制振性
が最も発揮されるべき温度域を設定することが重要であ
る。
さらに、熱可塑性樹脂(C)としては、熱可塑性樹脂
(A)と架橋剤(B)との反応で形成される三次元構造
体が制振性を発揮する温度域付近にガラス転移点がある
ものを用いることが好ましい。特に好ましくは、該三次
元構造体樹脂の制振性のピーク時の温度よりも低い温度
にガラス転移点を有し、ゴム状を呈するものがよい。
加えて、熱可塑性樹脂(C)として、周波数0.1〜200
00Hzの範囲内におけるガラス転移に基づく損失正接(ta
nδ)の極大値が0.5以上を示すものが好ましい。tanδ
が高い値を示すものほど制振性の高い樹脂であるといえ
るが、tanδの特に好ましい値は0.7以上である。
なお、熱可塑性樹脂(C)の結晶化度については、特
に制限はないが、要求性能に鑑みて非晶性のものが好ま
しく、特に、非晶性共重合飽和ポリエステル樹脂であっ
て官能基が封止されたものの使用が好ましい。
本発明では、熱可塑性樹脂(C)は、1種類に限らず
2種類以上の併用であってもよい。2種類以上を併用す
る場合は、互いに相溶するかあるいは非相溶であるかに
より、熱可塑性樹脂(C)のガラス転移に基づくtanδ
のピークが1つあるいは2つ以上現れるが、そのうち最
も大きい値を示すものが0.5以上となるように併用すれ
ばよい。
ここで、本発明における熱可塑性樹脂(C)の役割に
ついて述べる。
本発明では、制振金属板において必要とされる金属板
と芯材樹脂との接着性、すなわち加工性は、前記熱可塑
性樹脂(A)と架橋剤(B)によっている。その際、架
橋剤(B)の配合量を増し、熱可塑性樹脂(A)と架橋
剤(B)との反応で形成される三次元構造体の凝集力の
向上を図った場合には、芯材樹脂が硬くなり、制振性が
低下するといった弊害が付きまとう。
よって、本発明では、架橋剤(B)は接着性の目標値
を満足するだけ配合し、なおかつ、芯材樹脂に優れた制
振性を付与すために、熱可塑性樹脂(C)をも配合した
のである。本発明では、熱可塑性樹脂(A)と架橋剤
(B)との反応で形成される凝集力の高い三次元構造体
中に、凝集力の低い熱可塑性樹脂(C)を分散して介在
させることにより、優れた制振性を示し、さらに従来問
題となっていた低耐熱性を克服した芯材樹脂を得たもの
である。
従って、芯材樹脂中の、すなわち芯材樹脂用樹脂組成
物中の熱可塑性樹脂(C)の配合量は、配合量が多すぎ
る場合には、最終的に得られる芯材樹脂中の熱可塑性樹
脂(C)の占める割合が大きくなり、耐熱性をはじめと
する耐久性が低下し、さらに芯材樹脂自体の凝集力が低
下することによって、加工性に問題を生じ、一方少なす
ぎる場合には、制振性の向上効果が得られない。従っ
て、熱可塑性樹脂(C)は、最終的に得られる芯材樹脂
に対して1〜50体積%、さらに好ましくは、10〜40体積
%となるように、熱可塑性樹脂組成物中に配合するのが
よい。
ところで、本発明の芯材樹脂中においては、熱可塑性
樹脂(C)は、熱可塑性樹脂(A)と架橋剤(B)との
反応で形成される三次元構造体中に、分散して介在して
いることに特徴がある。分散状態としては、均一である
ことが好ましく、換言すると、該三次元構造体を海とす
る海島構造が好ましい。分散している熱可塑性樹脂
(C)の形状は、いかなるものでもかまわないが、その
大きさには好適範囲がある。熱可塑性樹脂(C)(分散
体)が大きすぎる場合には、制振性に対しては効果的で
あるものの、加工性、あるいは耐熱性をはじめとした耐
久性が低下する傾向にある。一方、小さすぎる場合に
は、加工性の低下は生じないものの、制振性の向上効果
が若干低下する。従って、芯材樹脂中での熱可塑性樹脂
(C)からなる分散体の大きさは、その最長部が0.1〜1
00μmの範囲内にあるものが好ましく、さらに好ましく
は0.2〜30μmの範囲内である。また、熱可塑性樹脂
(C)の分散性を高めるため、熱可塑性樹脂(C)とし
ては、熱可塑性樹脂(A)と非相溶を呈するものを使用
するのが好ましい。
本発明の芯材樹脂を得るために用いる樹脂組成物の必
須構成成分は、以上の通りであるが、その配合割合は、
得られる芯材樹脂が、−50〜100℃の範囲内、好ましく
は−40〜60℃の範囲内、さらに好ましくは−30〜10℃の
範囲内にガラス転移点を有し、周波数0.1〜20000Hzの範
囲内におけるガラス転移に基づく損失正接(tanδ)の
極大値が0.5以上、好ましくは0.7以上を示すような割合
とするのが好ましい。
上記範囲内にガラス転移点があると、常温付近におい
て制振性が発揮される。
また、tanδが高い値を示すものほど制振性の高い樹
脂であるといえ、制振性の観点から、tanδの極大値が
0.5以上を示す樹脂が好ましいからである。
なお、芯材樹脂のガラス転移点やtanδは、後記する
樹脂組成物中に含有される必須構成成分以外の成分の影
響も受ける。
本発明の芯材樹脂を得るために用いる樹脂組成物に
は、本発明の目的を損なわない範囲で、溶剤、各種の添
加剤、フィラーなどを配合することができる。
溶剤としては、トルエン、キシレン、MEK等が挙げら
れる。
添加剤としては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、
スチレン樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹
脂、ロジン系樹脂、炭化水素系樹脂、芳香族系樹脂、フ
ェノール樹脂などの粘着性付与樹脂、ポリアルキレング
リコールポリエステル系可塑剤、メラミン樹脂、シラン
カップリング剤などの架橋剤、金属塩、鎖延長剤などを
挙げることができる。また、フィラーとしては、炭酸カ
ルシウム、タルク、ハードシールなどの無機フィラーが
使用可能である。
さらに、上記樹脂組成物に充填剤として導電性固体物
質を配合することによって導電性を付与し、該樹脂組成
物から得られる芯材樹脂を有する複合型制振性金属板
を、スポット溶接可能な材料とすることもできる。この
ような目的で使用される導電性物質としては、ステンレ
ス、亜鉛、銅、スズ、ニッケル、黄銅などの金属を粉末
状、フレーク状、ファイバー状、ワイヤー状などに加工
した金属物質や、銅、あるいはニッケルなどのめっき処
理した鉄系金属や、カーボンブラック、グラファイト、
カーボンファイバーなどの導電性炭素物質などを挙げる
ことができる。これらの導電性物質は、単独または2種
類以上組み合わせて使用することができる。なお、導電
性物質は、良好な導電性を発現させるためには金属物質
を選択することが好ましい。
ところで、導電性物質は、その性状が粉末状である場
合にはその最大粒径を、また、フレーク状である場合に
は、その最大厚みを、さらにファイバー状やワイヤー状
である場合は、その最大直径をそれぞれの代表長さ
(L)とすると、より良好な導電性を発現させるため、
(L)と導電性物質を有する樹脂組成物から得られる粘
弾性樹脂(芯材樹脂)の厚さ(T)との比(L)/
(T)が0.5以上、好ましくは、0.8以上となるものを用
いるのがよい。
(L)/(T)の比が0.5未満では、該粘弾性樹脂を
芯材樹脂とする複合型制振金属板のスポット溶接性能が
低下する。
さらに、導電性物質の充填量は、導電性物質を有する
樹脂組成物から得られる粘弾性樹脂(芯材樹脂)の0.5
〜10体積%を占めるようになる量が好ましい。0.5体積
%未満では、該粘弾性樹脂を芯材樹脂とする複合型制振
金属板のスポット溶接性能が低く、又、10体積%を越え
ると、スポット溶接性は十分満足されるが、金属板と芯
材樹脂との間の接着性や芯材樹脂の制振性能が低下し、
好ましくない。さらに好ましい範囲は1〜5体積%であ
る。
本発明の芯材樹脂を得るために用いる樹脂組成物で
は、熱可塑性樹脂(A)と架橋剤(B)とは別々に保管
しておく、すなわち、いわゆる主剤と硬化剤とからなる
2液型接着剤のように保管しておくのが一般的である。
熱可塑性樹脂(C)については、熱可塑性樹脂(A)ま
たは架橋剤(B)と混合しておいてもよいし、別に保管
しておいてもよい。また、その他の成分については、予
め、これらの必須成分のいずれかと混合しておくのが一
般的である。
熱可塑性樹脂(C)を、本発明の芯材樹脂中において
熱可塑性樹脂(A)と架橋剤(B)との反応で形成され
る三次元構造体中に分散させるための方法は以下の通り
である。
すなわち、熱可塑性樹脂(A)を架橋剤(B)と反応
させる前に、トルエンやキシレンなどの有機溶剤を溶媒
とする熱可塑性樹脂(A)溶液と熱可塑性樹脂(C)溶
液を予め混合、攪拌しておく方法、熱可塑性樹脂(A)
溶液中に熱可塑性樹脂(C)の微粉末を予め混合、攪拌
しておく方法等により、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性
樹脂(C)とを混合しておけばよい。
なお、この混合は、前記樹脂組成物調製時に行なって
もよいし、該樹脂組成物の使用時、すなわち複合型制振
金属板の製造の際に行なってもよい。
本発明の芯材樹脂は、以上説明した樹脂組成物を適当
な条件で加熱処理する等により、該樹脂組成物中の熱可
塑性樹脂(A)と架橋剤(B)とを反応せしめることに
よって得られるものである。加熱処理等の条件は、熱可
塑性樹脂(A)と架橋剤(B)とが反応する条件であれ
ばよい。
次に、本発明の芯材樹脂を有する複合型制振金属板の
製造方法について述べる。
本発明の芯材樹脂を有する複合型制振金属板を製造す
るにあたって、適用される金属板としては、冷間圧延鋼
板、クロメート処理鋼板、亜鉛系めっき鋼板、リン酸塩
処理鋼板などの表面処理鋼板、鋼板、アルミ板、ステン
レス板などのいずれであってもよく。また、コイル状原
板、切り板のいずれであってもよい。その板厚は、特に
限定されないが、成形加工性と保形性を考慮すれば、0.
3〜2mmのものが好ましい。
該複合型制振金属板を製造する方法としては、前述の
方法により予め熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂
(C)を混合しておいた樹脂溶液に、所定の架橋剤
(B)等を混合して樹脂組成物とした後、これを、直接
金属板の少なくとも一方、好ましくは両方の積層面に塗
布し、室温ないし好ましくは100〜150℃の温度で加熱し
て溶剤を留去し、引き続きもしくは放置後、加熱積層接
着する方法が例示される。これにより、金属板間に芯材
樹脂を有する複合型制振金属板が得られる。
樹脂組成物の塗工方法は、特に限定されないが、ロー
ルコーター、スプレー、カーテンフローコーター、ドク
ターナイフコーター等が好ましい。
この時、樹脂組成物の塗布厚さは、最終的に得られる
芯材樹脂の厚さが、積層される1枚の金属板の厚さの1/
50〜1/5となる厚さであることが好ましく、実質的に20
〜150μmとなる厚さであることが好ましい。20μm未
満である場合には、制振性および接着性が低下し、また
150μmを越える場合には、成形加工時の金属板のズレ
やワレの原因となることがある。
積層接着温度は、通常、樹脂組成物に130〜250℃の加
熱が与えられるようにすればよく、加熱プレスの場合30
秒間〜2分間程度、加熱ロールの場合には1〜10秒間程
度の接触時間であればよい。また、金属板を予め同温度
に加熱し、冷却プレスまたは冷却ロールにより積層接着
してもよい。
このように、本発明の芯材樹脂を得るために用いる樹
脂組成物は、溶液状で金属板に塗工することもできるの
で、金属板と芯材樹脂との密着性を高めることができ、
ガス層の巻き込みを防止することができる。
また、該樹脂組成物は、金属板への塗布後のポットラ
イフが実用上問題のない長さであるという特徴も有す
る。
さらに、本発明の芯材樹脂を有する複合型制振金属板
は、積層接着後直ちに所定の接着性が得られるという特
徴を有し、その製造に際し、通常の熱可塑性樹脂を用い
る場合と同等の条件で製造されても、芯材樹脂が接着温
度以上の耐熱性を示すという特徴を有する。
なお、本発明の芯材樹脂を有する複合型制振金属板と
しては、2枚の金属板の間に芯材樹脂を有する3層構造
のものが一般的であるが、金属板と芯材樹脂を複合した
ものであれば、いかなる構造にも、本発明の芯材樹脂を
適用できる。例えば、1枚の金属板の片面あるいは両面
に芯材樹脂を有するもの、金属板と芯材樹脂が交互に重
ね合わされ、4層以上の積層構造となったものなどが挙
げられる。
<作用> 本発明の複合型制振金属板用芯材樹脂では、前述した
ように、熱可塑性樹脂(A)と架橋剤(B)との反応で
形成される三次元構造体中に、該架橋剤(B)と反応性
を持たない熱可塑性樹脂(C)が分散して介在されたた
めに、優れた制振性が発揮され、芯材樹脂に伴う複合型
制振金属板の加工性の低下がなく、さらに該金属板は耐
久性にも優れるものとなるのである。
その最大の特徴は、従来問題となっていた熱可塑性樹
脂を使用した複合型制振金属板の加工性、耐久性の低下
を克服し、熱可塑性樹脂の高制振性を有効に利用すると
いうところにある。
すなわち、架橋剤によってその分子運動を束縛されな
い熱可塑性樹脂を介在させることにより、制振性を向上
させたのである。
本発明の芯材樹脂が優れた制振性を発揮し、なおかつ
他の弊害を招かないことについて考察すると、まず、熱
可塑性樹脂(A)と架橋剤(B)との反応で形成される
三次元構造体が、そのガラス転移点近傍にて、制振性、
すなわちtanδのピーク値を示す。そして、該三次元構
造体中に介在する熱可塑性樹脂(C)のガラス転移点が
該三次元構造体のガラス転移点に近い場合には、この温
度域での制振性が非常に高くなる。これは、熱可塑性樹
脂(A)、(C)の粘弾性特性や架橋剤(B)の配合量
などによって変化するものであるが、一般的には、架橋
剤(B)によってその分子運動を束縛されない熱可塑性
樹脂(C)の制振効果が高いために生じたものと考えら
れる。
本発明では、熱可塑性樹脂(C)の選択に際し、その
ガラス転移点を考慮することにより、本発明の芯材樹脂
が制振性を発揮する温度範囲を拡大することも可能であ
る。熱可塑性樹脂(C)として、前記三次元構造体のガ
ラス転移点よりも低温にガラス転移点を有するものを選
択した場合には、低温域では熱可塑性樹脂(C)の作用
で高い制振性が発揮され、さらに、高温域では、該三次
元構造体の作用で高い制振性が発揮されるという2つの
制振性のピーク、あるいはピーク温度域の広い芯材樹脂
が得られる。この場合、高温域にて熱可塑性樹脂(C)
の軟化、流動化が想定され、これが、従来は問題となっ
ていた。しかし、本発明の芯材樹脂では、熱可塑性樹脂
(C)が前記三次元構造体中に細かく分散しており、該
三次元構造体によって包まれていることから、高温下で
流出することはない。また、複合型制振金属板としたと
きに、金属板と熱可塑性樹脂(C)との接触部が極めて
少ないので、金属板と芯材樹脂との界面における接着性
が強固なものとなる。さらに、軟質部(熱可塑性樹脂
(C)部)に剪断力が集中することがないため、複合型
制振金属板の加工性、耐久性の低下が生じないのであ
る。熱可塑性樹脂(C)として、前記三次元構造体より
もガラス転移点が高温のものを選択した場合でも、同様
の作用により、さらに高温下での場合に同問題を生じな
い。
上記考察は、温度変化に対するものであるが、さら
に、本発明の芯材樹脂は、広周波数域の振動に対しても
優れた制振性を発揮するものである。
振動周波数と制振性の関係については、未だ明瞭な考
察がなされていないが、本発明者らの考察として述べる
に、振動周波数と制振性との関係においては、芯材樹脂
の弾性率が大きく影響するものと考えられる。一般に、
高周波数振動に比べ、低周波数振動に対する制振性が当
該者の課題とされているが、低周波数振動は、芯材樹脂
が軟質であるほど制振化できると考えられる。そして、
その樹脂形態としては、軟化あるいは流動といった低弾
性状態が制振性に最も効果的であることが明らかとなっ
た。本発明の芯材樹脂中の熱可塑性樹脂(C)として、
熱可塑性樹脂(A)と架橋剤(B)との反応で形成され
る三次元構造体のガラス転移点と同温あるいはこれより
も低温のものを選択した場合には、芯材樹脂の制振性が
ピークとなる温度以上の温度において、熱可塑性樹脂
(C)が軟化を始め、制振性の向上、特に250Hz以下の
低周波数振動に対する制振性の向上が顕著になる。
上述したように、本発明の芯材樹脂を用いれば、広い
温度変化、広い振動周波数変化に対して優れた制振性を
有し、加工性、耐久性においても優れた性能を有する複
合型制振金属板を得ることができる。
<実施例> 以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明す
る。
本実施例においては、下記の各条件にて、2枚の金属
板の間に本発明の芯材樹脂を中間層として有する複合型
制振金属板を製造し、あるいは芯材樹脂のみを製造し、
それらを試料とした。
また、各試料の性能評価試験方法は以下のとおりであ
る。
制振性能 制振性能の評価として、各複合型制振金属板試料の損
失係数(η)を機械インピーダンス法によって測定し、
500Hz、80Hzにおける損失係数の温度依存性を調査し
た。具体的には、各周波数下でのηの最大値およびこの
ときの温度を示すとともに、制振性を発揮する温度域に
関しては、η≧0.2を呈する温度域を示した。
さらに、芯材樹脂のみの動的力学的性質を示すため
に、動的粘弾性測定装置により、5×30×1mmの芯材樹
脂試料を用い、周波数10Hz、昇温速度2℃/minにて、ガ
ラス転移に基づくtanδの極大値を測定した。
加工性能(接着性能) (1)T−剥離強度:各複合型制振金属板試料を25mm巾
に裁断し、引張速度200mm/分、室温23℃にて、JIS K
−6854に準じて測定した。
(2)引張剪断強度:各複合型制振金属板試料を25mm×
25mmの面積に裁断し、室温23℃にて、JIS K−6850に
準じて測定した。
耐久性能 (1)耐熱試験:各複合型制振金属板試料を100℃空気
のオープン中に1000時間さらし、試験前後の接着強度を
に従って測定し、接着強度保持率を算出した。
(2)耐焼付け塗装試験:各複合型制振金属板試料を22
0℃空気のオープン中に1時間さらし、試験前後の接着
強度をに従って測定し、接着強度保持率を算出した。
(3)塩温水浸漬試験:各複合型制振金属板試料を、50
℃、5%NaCl水溶液中に1000時間浸漬し、試験前後の接
着強度をに従って測定し、接着強度保持率を算出し
た。
熱可塑性樹脂(C)粒子の最長径の測定 下記実施例1〜5、比較例2、3および5について、
金属板のかわりにスライドガラスを用いたほかは〜
に用いた複合型制振金属板試料と同様の方法で製造した
試料を用い、反射型偏光顕微鏡にて熱可塑性樹脂(C)
粒子の最長径を測定した。なお、反射型偏光顕微鏡にて
確認できない場合には、前記試料のスライドガラスを除
き、芯材樹脂表面の電子顕微鏡観察を行ない、測定し
た。
(実施例1) 熱可塑性樹脂(A)として、テレフタル酸残基60モ
ル、アジピン酸残基40モル、プロピレングリコール残基
40モル、エチレングリコール残基60モルの当量比よりな
り、ガラス転移温度−25℃、周波数10Hzにて測定したガ
ラス転移温度における損失正接(tanδ)1.15、重量平
均分子量30000の非晶性共重合飽和ポリエステルを用い
た。熱可塑性樹脂(C)として、前記熱可塑性樹脂
(A)と同様のモノマー成分からなり、フェニルグリシ
ジルエーテルによってポリマー鎖末端基の封止された、
ガラス転移温度−20℃、周波数10Hzにて測定したガラス
転移温度における損失正接(tanδ)1.35、重量平均分
子量35000の非晶性共重合飽和ポリエステルを用いた。
両樹脂各々をトルエン、MEK混合溶剤中に溶解し、各々
固形分30重量%の溶液とした(溶液比重はいずれも1.0
0)。そして、熱可塑性樹脂(C)が得られる芯材樹脂
中に30体積%の割合となるように両樹脂溶液を混合し、
撹拌し、混合樹脂溶液を得た。これに、架橋剤(B)と
して、重合ポリイソシアナート溶液(3官能、固形分50
%、商品名コロネート2030[日本ポリウレタン(株)
製])を、得られる芯材樹脂中に重合ポリイソシアナー
トの正味量が2重量%となるように添加し、撹拌し、樹
脂組成物を得た。こうして得た樹脂組成物を、脱脂した
0.6mm厚みの冷間圧延鋼板(SPCC−SD)2枚に、ロール
コーターを用いて、該鋼板各々の片面に膜厚25μmにな
るように塗布し、塗布後オーブン(100℃空気中×1
分)で溶剤を留去した。
この後、2枚の鋼板の樹脂組成物の塗布面同志を合わ
せ、熱プレス(200℃×1分×圧力5Kgf/cm2)で加熱接
着し、複合型制振金属板試料を得た。
また、ガラス板上に、前記樹脂組成物を硬化後の厚さ
が1mmとなるように塗布し、溶剤を留去し、200℃×2分
で加熱硬化させた後、得られた芯材樹脂をガラス板から
剥がし、5×30×1mmの大きさに打ちぬいて芯材樹脂試
料とした。
これらの試料を用いて前記の性能評価試験を行ない、
各評価結果を第1表および第1図、第2図に示した。
なお、熱可塑性樹脂(A)と架橋剤(B)との反応に
よって形成される三次元構造体(熱可塑性樹脂(C)は
含まない)についても、芯材樹脂試料と同様の方法で試
料を作製し、そのガラス転移温度を測定したところ、−
15℃であった。
(実施例2) 実施例1中の架橋剤(B)の添加量を、得られる芯材
樹脂中に重合ポリイソシアナートの正味量が30重量%と
なるように用いたほかは、実施例1と同様の方法によっ
て試料を得、性能評価試験を行ない、各評価結果を第1
表に示した。
(実施例3) 実施例1中の熱可塑性樹脂(A)を、テレフタル酸残
基85モル、アジピン酸残基15モル、1,6−ヘキサンジオ
ール残基55モル、エチレングリコール残基45モルの当量
比よりなる、ガラス転移温度−5℃、周波数10Hzにて測
定したガラス転移温度における損失正接(tanδ)1.2
0、重量平均分子量23000の結晶性共重合飽和ポリエステ
ルとしたほかは、実施例1と同様の方法によって試料を
得、性能評価試験を行ない、各評価結果を第1表および
第1図、第2図に示した。
(実施例4) 熱可塑性樹脂(A)として、実施例1と同様の非晶性
共重合飽和ポリエステルを用いた。熱可塑性樹脂(A)
をトルエン、MEK混合溶剤中に溶解し、固形分30重量%
の溶液とした(溶液比重1.00)。熱可塑性樹脂(C)と
して、ガラス転移温度−15℃、周波数10Hzにて測定した
ガラス転移温度における損失正接(tanδ)0.85、比重
1.14であり、有機溶剤への溶解性が極めて低い塩化ビニ
ル系熱可塑性エラストマー(商品名LCS Z−6050[電
気化学工業(株)製])の微粉末(粒子径3〜20μm)
を用いた。そして、熱可塑性樹脂(C)微粉末を、得ら
れる芯材樹脂中に30体積%となる量、熱可塑性樹脂
(A)溶液中に添加し、撹拌し、混合樹脂溶液を得た。
これに、架橋剤(B)として4官能のアミン型エポキシ
化合物(商品名YH−434[東都化成(株)製])を、得
られる芯材樹脂中に0.5重量%となるように添加し、撹
拌し、樹脂組成物を得た。こうして得た樹脂組成物を、
脱脂した0.6mm厚みの冷間圧延鋼板(SPCC−SD)2枚
に、ロールコーターを用いて、該鋼板各々の片面に膜厚
25μmになるように塗布し、塗布後オープン(100℃空
気中×1分)で溶剤を留去した。この後、2枚の鋼板の
樹脂組成物の塗布面同士を合わせ、熱プレス(200℃×
2分×圧力5Kgf/cm2)で加熱接着し、複合型制振金属板
試料を得た。また、前記樹脂組成物を用い、実施例1と
同様の方法で芯材樹脂試料を得た。これらの試料を用い
て前記の性能評価試験を行ない、各評価結果を第1表に
示した。
(実施例5) 熱可塑性樹脂(C)として、実施例4中の塩化ビニル
系熱可塑性エラストマーと同様であるが、その粒子径が
100〜300μmの微粉末を用いたほかは、実施例4と同様
の方法によって試料を得、性能評価試験を行ない、各評
価結果を第1表に示した。
(比較例1) 実施例1中の熱可塑性樹脂(C)を配合しないほか
は、実施例1と同様の方法によって試料を得、性能評価
試験を行ない、各評価結果を第1表および第1図、第2
図に示した。
(比較例2) 実施例1中の熱可塑性樹脂(A)を配合しないほか
は、実施例1と同様の方法によって試料を得、性能評価
試験を行ない、各評価結果を第1表に示した。
(比較例3) 実施例1中の芯材樹脂中に占める熱可塑性樹脂(C)
の割合を60体積%としたほかは、実施例1と同様の方法
によって試料を得、性能評価試験を行ない、各評価結果
を第1表に示した。
(比較例4) 実施例4中の熱可塑性樹脂(C)を配合しないほか
は、実施例4と同様の方法によって試料を得、性能評価
試験を行ない、各評価結果を第1表に示した。
(比較例5) 実施例1と同様の熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性
樹脂(C)を用い、両樹脂各々をトルエン、MEK混合溶
剤中に溶解し、固形分30重量%の熱可塑性樹脂(A)溶
液と熱可塑性樹脂(C)溶液を得た。そして、熱可塑性
樹脂(A)溶液に、架橋剤(B)として、実施例1と同
様の重合ポリイソシアナート溶液を、得られる芯材樹脂
中に重合ポリイソシアナートの正味量が2重量%になる
ように添加し、撹拌し、樹脂溶液を得た。こうして得た
樹脂溶液を、脱脂した0.6mm厚みの冷間圧延鋼板(SPCC
−SD)2枚に、ロールコーターを用いて、該鋼板各々の
片面に膜厚17μmになるように塗布し、2時間自然乾燥
させた。次に、塗布済みの鋼板のうちの1枚の塗布済み
面に、熱可塑性樹脂(C)溶液を、ロールコーターを用
いて、膜厚総計が33μmになるように塗布し、熱可塑性
樹脂(A)および熱可塑性樹脂(C)の積層された樹脂
層を得た(熱可塑性樹脂(C)は、最終的に得られる芯
材樹脂中に約30体積%存在することになる)。熱可塑性
樹脂(C)溶液塗布後、オープン(100℃空気中×1
分)で溶剤を留去した。この後、2枚の鋼板の樹脂層を
有する面同士を合わせ、熱プレス(200℃×1分×圧力5
Kgf/cm2)で加熱接着し、複合型制振金属板試料を得
た。また、ガラス板上に、硬化後の総厚が1mmとなるよ
うに、熱可塑性樹脂(A)と架橋剤(B)とを含有する
樹脂溶液を塗布し、自然乾燥後、熱可塑性樹脂(C)溶
液を塗布し、自然乾燥後、さらに、熱可塑性樹脂(A)
と架橋剤(B)とを含有する溶液を塗布した。溶剤を留
去した後、200℃×2分で加熱硬化させ、得られた芯材
樹脂をガラス板から剥がし、5×30×1mmの大きさに打
ちぬいて芯材樹脂試料とした。
これらの試料を用いて前記の性能評価試験を行ない、
各評価結果を第1表に示した。
<発明の効果> 本発明により、樹脂の凝集力に関連する制振性と加工
性という相反する関係が改善され、よって、制振性、加
工性、さらには耐久性という全ての要求性能を満足する
複合型制振金属板用芯材樹脂、該芯材樹脂を中間層とし
て有する複合型制振金属板および複合型制振金属板の製
造方法が提供される。
本発明の複合型制振金属板用芯材樹脂は、加工性、耐
久性に優れる三次元分子構造からなる樹脂中に、制振性
の優れる熱可塑性樹脂を所定量分散して介在させている
点に特徴があり、そのために、該芯材樹脂を利用した複
合型制振金属板は、要求される特性をすべて満足し、な
かでも制振性においては、広範な温度域および広範な周
波数域に対応して優れた性能を発揮するものである。
また、本発明の複合型制振金属板用芯材樹脂は、導電
性物質を含んでいてもよく、その場合は、該芯材樹脂を
利用した複合型制振金属板は、スポット溶液が可能とな
る。
以上の特徴から、本発明の複合型制振金属板用芯材樹
脂は、建材など従来の複合型制振金属板の用途に使用さ
れることは勿論のこと、従来使用が困難であった自動車
部材などの用途にも幅広く利用される。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1および3、比較例1について、500H
zで測定した損失係数の温度依存性を示すグラフであ
る。 第2図は、実施例1および3、比較例1について、80Hz
で測定した損失係数の温度依存性を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾野 友重 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社技術研究本部内 (72)発明者 坂本 誠司 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社技術研究本部内

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】官能基を有する熱可塑性樹脂(A)、熱可
    塑性樹脂(A)用の架橋剤(B)および該架橋剤(B)
    と反応しない熱可塑性樹脂(C)とを含有する樹脂組成
    物から得られる粘弾性樹脂であって、熱可塑性樹脂
    (C)が、熱可塑性樹脂(A)と架橋剤(B)との反応
    で形成される三次元構造体中に分散されてなることを特
    徴とする複合型制振金属板用芯材樹脂。
  2. 【請求項2】前記熱可塑性樹脂(A)および/または前
    記熱可塑性樹脂(C)が、−50〜100℃の範囲内にガラ
    ス転移点を有し、周波数0.1〜20000Hzの範囲内における
    ガラス転移に基づく損失正接の極大値が0.5以上を示す
    請求項1に記載の複合型制振金属板用芯材樹脂。
  3. 【請求項3】前記芯材樹脂が、−50〜100℃の範囲内に
    ガラス転移点を有し、周波数0.1〜20000Hzの範囲内にお
    けるガラス転移に基づく損失正接の極大値が0.5以上を
    示す請求項1または2に記載の複合型制振金属板用芯材
    樹脂。
  4. 【請求項4】前記熱可塑性樹脂(C)が前記芯材樹脂中
    の1〜50体積%を占める請求項1〜3のいずれかに記載
    の複合型制振金属板用芯材樹脂。
  5. 【請求項5】前記熱可塑性樹脂(A)および/または前
    記熱可塑性樹脂(C)が非晶性熱可塑性樹脂である請求
    項1〜4のいずれかに記載の複合型制振金属板用芯材樹
    脂。
  6. 【請求項6】前記熱可塑性樹脂(A)および/または前
    記熱可塑性樹脂(C)が非晶性共重合飽和ポリエステル
    樹脂である請求項5に記載の複合型制振金属板用芯材樹
    脂。
  7. 【請求項7】前記芯材樹脂中の熱可塑性樹脂(C)の最
    長部粒子径が0.1〜100μmである請求項1〜6のいずれ
    かに記載の複合型制振金属板用芯材樹脂。
  8. 【請求項8】前記熱可塑性樹脂(C)が、前記熱可塑性
    樹脂(A)と前記架橋剤(B)との反応で形成される樹
    脂よりも低いガラス転移点を有するものである請求項1
    〜7のいずれかに記載の複合型制振金属板用芯材樹脂。
  9. 【請求項9】前記架橋剤(B)が多価イソシアナート化
    合物および多価エポキシ化合物から選択される1種以上
    である請求項1〜8のいずれかに記載の複合型制振金属
    板用芯材樹脂。
  10. 【請求項10】前記架橋剤(B)が前記樹脂組成物中に
    0.1〜50重量%配合されている請求項1〜9のいずれか
    に記載の複合型制振金属板用芯材樹脂。
  11. 【請求項11】前記熱可塑性樹脂(C)が、前記熱可塑
    性樹脂(A)の官能基を封止したものである請求項1〜
    10のいずれかに記載の複合型制振金属板用芯材樹脂。
  12. 【請求項12】前記熱可塑性樹脂(C)が、前記架橋剤
    (B)と非相溶である請求項1〜11のいずれかに記載の
    複合型制振金属板用芯材樹脂。
  13. 【請求項13】前記樹脂組成物が、さらに、芯材樹脂厚
    の0.5倍以上の径を有する導電性物質を、前記芯材樹脂
    中の0.5〜10体積%を占めるようになる量含有するもの
    である請求項1〜12のいずれかに記載の複合型制振金属
    板用芯材樹脂。
  14. 【請求項14】請求項1〜12のいずれかに記載の複合型
    制振金属板用芯材樹脂を中間層として有することを特徴
    とする複合型制振金属板。
  15. 【請求項15】請求項13に記載の複合型制振金属板用芯
    材樹脂を中間層として有することを特徴とするスポット
    溶接可能な複合型制振金属板。
  16. 【請求項16】前記樹脂組成物を、積層される2枚の金
    属板のうちの少なくとも1枚の積層面に塗布し、2枚の
    金属板を加熱積層接着することにより、請求項14に記載
    の複合型制振金属板を得ることを特徴とする複合制振金
    属板の製造方法。
  17. 【請求項17】前記樹脂組成物を、積層される2枚の金
    属板のうちの少なくとも1枚の積層面に塗布し、2枚の
    金属板を加熱積層接着することにより、請求項15に記載
    のスポット溶接可能な複合型制振金属板を得ることを特
    徴とする複合型制振金属板の製造方法。
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