JP3256941B2 - 化合物半導体の表面処理方法 - Google Patents

化合物半導体の表面処理方法

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JP3256941B2 JP07196597A JP7196597A JP3256941B2 JP 3256941 B2 JP3256941 B2 JP 3256941B2 JP 07196597 A JP07196597 A JP 07196597A JP 7196597 A JP7196597 A JP 7196597A JP 3256941 B2 JP3256941 B2 JP 3256941B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化合物半導体から
なる半導体層の表面にショットキー接触を形成する場合
などに好適な化合物半導体の表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロ波やミリ波領域に用いるトラン
ジスタとして、例えば、GaAs(ガリウム−ひ素)F
ETやGaAs系HEMT(High Electron Mobility T
ransistor )などの化合物系の半導体からなるトランジ
スタが実用化されている。これらの化合物半導体トラン
ジスタにおいては、ゲート電極としてMOS構造を採用
するのではなく、専らショットキー接触によりゲート電
極を形成することが一般的に行なわれている。このよう
なGaAsFETは、例えば次のような工程を経て製作
される(図9の工程流れ図参照)。
【0003】まず、半絶縁性のGaAs半導体基板上に
GaAsバッファ層、n形GaAsチャネル層および高
濃度ドーピングn形GaAsオーミック接触層を順次エ
ピタキシャル成長により形成する(図9中、工程1)。
次に、素子間分離のために、素子形成部を除いた周囲を
エッチングするメサエッチング処理を行った後、オーミ
ック接触層表面にソース電極およびドレイン電極を形成
する。
【0004】その後、ソース電極とドレイン電極の間の
オーミック接触層に開口部を設けるリセスエッチング処
理を行って(同図中、工程2,3)、その部分にn形G
aAsチャネル層を露出させる。このとき、リセスエッ
チング処理後の表面には時間が経過することに伴って酸
化膜が形成されていく。そこで、次の工程に移行する直
前に希塩酸によりエッチングを行なってこれを除去する
(同図中、工程4)。最後に、リセスエッチング処理に
より露出したチャネル層表面にゲート電極蒸着およびリ
フトオフ処理を行なうことによりゲート電極を形成し
(同図中、工程5,6)、GaAsFETが形成され
る。
【0005】ここでゲート電極は、化合物半導体である
n形GaAsチャネル層表面上に形成されることで、整
流性を有する接触である、いわゆるショットキー接触
(金属−半導体接触)を形成する。これにより、ゲート
電極にゲート電圧が印加されたときにチャネル層に電界
を与えてチャネル領域を制御することができるのであ
る。この場合、ゲート電極の特性として、良好なショッ
トキー接触が得られているかどうかがFETやHEMT
の特性を決定づける大きな要因となっている。
【0006】このようなショットキー接触の良否を示す
指標として、一般に、理想係数(n値)や、ショットキ
ー障壁高さ(φB)、逆方向電流密度などが用いられて
おり、これらはショットキー特性と言われている。この
ショットキー障壁とは、図10に示すように、金属と半
導体とを接触させたときに生ずるバンドの曲りから発生
するもので、半導体,金属の種類に応じてバンドギャッ
プや仕事関数が異なるため、接触させたときに電位レベ
ルを一致させるようにバンドが曲って内部に電界が形成
されるもので、これによって整流特性が得られるのであ
る。
【0007】このとき、ショットキー障壁を乗り越えて
流れる順方向電流の大きさは、次式(1)のように示さ
れる。ここで、Joの値は式(2)で定義されている。
【0008】 J =Jo・exp(qV/kT) …(1) Jo=A・exp(−φB/kT) …(2) A=4πqm /h …(3) 上式において、A;リチャードソン定数,q;電子の
電荷、V;印加電圧、k;ボルツマン定数、T;絶対温
度、φB;ショットキー障壁の高さ、m ;伝導電子
の有効質量、h;プランク定数を示している。
【0009】しかし、上述のような式(1)で表せる特
性はショットキー接触の理想的なものであり、実際には
このような特性を得ることが難しく、式(1)に示す値
からずれを生じてしまう。そこで、このような特性のず
れを示す指標の一つとして理想係数nを導入してショッ
トキー特性を表した実験式を式(4)のようにして表現
する。そして、実際に測定した特性の値から式(4)の
理想係数nを求めたときに、その値が1に近いほど理想
的なショットキー特性に近いことを示すことがわかる。 J =Jo・exp(qV/nkT) …(4)
【0010】次に、ショットキー障壁高さφBは、金属
と半導体との接触部分に形成されるダイオードの電位差
の大きさを示すもので、一般的には金属の仕事関数φm
と半導体の電子親和力χとの差の値として定義されたも
のである。この特性は、実際にはショットキー界面の良
否によって変動する。そして、このショットキー障壁高
さφBが大きいと電子の整流性が良くなる。
【0011】また、逆方向電流密度は、ショットキーダ
イオードの金属電極側が負の電圧に、半導体側が正の電
圧となるように印加したときつまりダイオードに逆バイ
アスを印加したときの電流密度である。
【0012】ところで、GaAsFETの製造工程にお
いては、リセスエッチングを行ってからゲート電極を形
成するまでの間に、露出したチャネル層の表面が酸化さ
れてショットキー特性が劣化するという問題があった。
このような問題に対し、例えば、特開平2−21516
0号公報に示されるように、リセスエッチング後、塩酸
溶液を用いてチャネル表面のGaAs酸化膜を除去し、
直ちにゲート電極を形成するという解決策の提案がなさ
れた。
【0013】一方、近年、より高い周波数領域で動作す
るトランジスタの要求に対し、InAlAs/InGa
As系(インジウム−アルミニウム−ひ素/インジウム
−ガリウム−ひ素系化合物半導体)の材料を用いたHE
MT、すなわち基板にInPを、チャネル層にInGa
Asを、キャリア供給層やゲート接触層にInAlAs
を用いた新しい構造のHEMTが開発された。このIn
AlAs/InGaAs系HEMTにおいては、GaA
sFETやチャネル層のInGaAs層の電気的特性と
して、GaAsHEMTよりも高い電子移動度を有して
おり、これによって高い周波数領域での動作に有利とな
る点で注目されている。
【0014】このInAlAs/InGaAs系HEM
Tの製造工程は、基本的には上述のGaAsFETの製
造工程と同様のものである。すなわち、まず、半絶縁性
InP基板上にノンドープInGaAsバッファ層、ノ
ンドープInGaAsチャネル層、ノンドープInAl
Asスペーサ層、高濃度ドーピングn形InGaAs接
触層を順次エピタキシャル成長させる。次に、素子間分
離のためにメサエッチングを行ない、この後、InGa
Asオーミック接触層表面にソース電極およびドレイン
電極を形成する。
【0015】その後、ソース電極とドレイン電極の間の
InGaAsオーミック接触層に開口部を設けるリセス
エッチングを行なう。最後に、リセスエッチングにより
露出したInAlAsゲート接触層表面に、InGaA
sオーミック接触層の開口部を貫通したゲート電極を形
成してInAlAs/InGaAs系HEMTを作製す
るものである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ここで、InAlAs
/InGaAs系HEMTの製造工程においても、Ga
AsFETやGaAsHEMTと同様に、リセスエッチ
ング処理を行なってからゲート電極を形成するまでの間
に、露出しているInAlAsゲート接触層の表面が酸
化して薄い酸化膜が生成するため、前述したショットキ
ー特性が悪くなると共に、耐熱性も悪くなるという問題
が生じていた。
【0017】また、リセスエッチング処理において、ド
ライエッチング法を用いたり、レジスト除去のためにO
プラズマアッシングを行なった場合など、InAlA
sゲート接触層表面がプラズマにさらされてダメージが
入ったままの状態でゲート電極を形成した場合にもショ
ットキー特性やその耐熱性が悪い。
【0018】これらの問題を解決するためには、InA
lAsゲート接触層の表面酸化膜やダメージ層をエッチ
ングすることが有効である。しかし、GaAsFETや
GaAsHEMTとは異なり、ゲート接触層がInAl
Asであるために、上述の文献に用いられる方法や一般
的なシリコンの酸化物エッチングによく用いられるバッ
ファドフッ酸(BHF)では効果的な結果が得られな
い。
【0019】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、化合物半導体、特にInAlAs層に
ショットキー接触を形成する際に、良好なショットキー
特性を得ることができるようにした化合物半導体の表面
処理方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明によれ
ば、化合物半導体のショットキー接触を形成する領域に
対応して、ショットキー接触を形成する工程に先だって
クエン酸によりエッチング処理を行なって表面酸化膜あ
るいはプラズマダメージ層を除去し、ショットキー接触
を形成する層の表面に清浄な化合物半導体表面を露出さ
せた状態で障壁形成用の電極金属を接触させることがで
き、良好な特性を示すショットキー接触を形成すること
ができる。
【0021】請求項2の発明によれば、組成中にAlを
含む化合物半導体のショットキー接触を形成する領域に
対応して、その化合物半導体の表面領域に存在するAl
原子の成分比率を低下させることのない酸系のエッチン
グ液を用いてエッチング処理を行なって表面酸化膜ある
いはプラズマダメージ層を除去するので、ショットキー
特性に大きく影響を与えるAlの組成比の低下を防止し
てショットキー接触を形成する層の表面に清浄な化合物
半導体表面を露出させた状態として良好なショットキー
接触を形成することができる。
【0022】請求項3記載の発明によれば、ショットキ
ー接触を形成する層であるInAlAs層の表面に自然
に形成される薄い酸化膜あるいはプラズマダメージ層
を、ショットキー電極を形成する直前に除去することが
でき、良好な特性のショットキー接触を形成することが
できるようになる。
【0023】請求項4記載の発明によれば、化合物半導
体を用いたFETやHEMTなどにおいてゲート電極と
してショットキー接触を形成する場合にショットキー接
触層を露出させた状態で酸化膜あるいはプラズマダメー
ジ層を除去するようにエッチング処理するので、清浄な
ショットキー接触層を露出させて、良好な特性のショッ
トキー接触を形成することができるようになり、ひいて
は優れた特性のFETやHEMTを形成することができ
るようになる。
【0024】請求項5記載の発明によれば、化合物半導
体を用いたFETやHEMT等の素子においてショット
キー接触を形成する場合に化合物半導体層を露出させる
ためにリセスエッチングを行なうが、このとき、露出さ
れた化合物半導体層の表面に薄い酸化膜が自然に形成さ
れたり、あるいはプラズマ処理を経ることにより発生し
ている表層のダメージ領域を化合物半導体層に悪影響を
与えることなく除去することができるので、清浄なショ
ットキー接触層を露出させて、良好な特性のショットキ
ー接触を形成することができるようになり、ひいては優
れた特性のFETやHEMTを形成することができるよ
うになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)以下、本発明をInAlAs/In
GaAs系HEMTの製造工程に適用した場合の第1の
実施形態について図1ないし図5を参照して説明する。
図1は製造工程の概略の流れを示す図で、図2および図
3は工程の流れにしたがって形成される素子の断面を模
式的に示したものである。この製造工程を経て形成され
るInAlAs/InGaAs系HEMT1は、図3
(b)に示すような断面構成となっている。
【0026】半絶縁性のInP(インジウム−リン)基
板2上に、下層側から順に、ノンドープIn0.52
0.48Asバッファ層3、ノンドープIn0.53
Ga0.47Asチャネル層4、ノンドープIn
0.52Al0.48Asスペーサ層5、SiドープI
0.52Al0.48Asキャリア供給層6、ノンド
ープIn0.52Al0.48Asゲート接触層7、高
濃度SiドープIn0.53Ga0.47Asオーミッ
ク接触層8がMBE(分子線エピタキシー)法等を用い
て順次所定の膜厚で積層されている。
【0027】これらMBE法により積層された各層3〜
8は、InP基板2上で他の領域と分離するようにメサ
状に形成されている。また、InGaAsオーミック接
触層8には上面側からゲート電極用の開口部8aが形成
されInAlAsゲート接触層7の表面が露出されるよ
うにリセス9が形成された状態とされている。そして、
InGaAsオーミック接触層8上には、ソース電極1
0とドレイン電極11としてAu−Ge/Ni/Auア
ロイオーミック電極が形成されており、リセス9に露出
しているInAlAsゲート接触層7にはTi/Pt/
Auを蒸着してリフトオフ法により形成したショットキ
ー接触によるゲート電極12が設けられている。
【0028】次に、このInAlAs/InGaAs系
HEMT1の製造方法について説明する。図2(a)に
示すように、上述したMBE法により半絶縁性InP基
板2上に各エピタキシャル層3〜8が形成されると(図
1中、工程1)、続いて、図2(b)に示すように、素
子間分離のためにメサエッチング処理が行なわれ、この
後、InGaAsオーミック接触層8上にソース電極1
0とドレイン電極11が形成される(図1中、工程
2)。
【0029】続いて、図2(c)に示すように、リセス
/ゲート電極形成用フォトレジスト13を用いて、リセ
ス形成領域をフォトリソグラフィ処理で開口させ、クエ
ン酸水溶液(50wt%):過酸化水素水=1:1のエ
ッチャント(エッチング薬液)で、InGaAsオーミ
ック接触層8を選択的にエッチングしてInAlAsゲ
ート接触層7の表面を露出させ、ソース電極10とドレ
イン電極11との間にリセス9を形成する(図1中、工
程3)。
【0030】その後、図3(a)に示すように、リセス
/ゲート電極形成用フォトレジスト13をそのまま継続
して用い、クエン酸水溶液(50wt%)でノンドープ
InAlAsゲート接触層7の表面酸化膜14をエッチ
ング処理して除去した後(図1中、工程4)、図3
(b)に示すように、直ちに電子線(EB)蒸着装置に
てTi/Pt/Auを蒸着し、リフトオフ法でゲート電
極12を形成した(図1中、工程5)。さらに、この
後、100〜300℃にて熱処理が行なわれる。
【0031】このようにして製造したInAlAs/I
nGaAs系HEMT1においては、ゲート電極12の
ショットキー特性として、理想係数n,ショットキー障
壁φBおよび逆方向電流の値が良好なものが得られ、ま
た、耐熱性にも優れていた。これは、リセスエッチング
処理により露出したリセス9のノンドープInAlAs
ゲート接触層7の表面に形成された表面酸化膜14をエ
ッチング処理により除去する際に、クエン酸水溶液を用
いているので、従来一般的に用いられるエッチャントで
ある塩酸やBHFなどを用いた場合に比べて良好な特性
が得られるようになる。また、この場合において、クエ
ン酸水溶液を用いることが、InAlAsゲート接触層
7の表面のAl原子の組成が低下することを防止してい
るので、ショットキー接触を良好なものとしている。
【0032】さて、発明者らは、上述の効果を裏付ける
データとして、次のような比較検討を行なった。すなわ
ち、本発明の特徴であるクエン酸水溶液エッチングを用
いて形成したTi−InAlAs縦形ショットキーダイ
オードのショットキー特性を表1に示す。このTi−I
nAlAs縦形ショットキーダイオードは、InAlA
s/InGaAs系HEMTのゲート部分である金属−
InAlAsショットキー接触をモデル化したものであ
る。
【0033】
【表1】
【0034】また、クエン酸水溶液エッチングの代わり
に、塩酸およびBHFを用いた場合についても比較のた
めに示した。縦形ショットキーダイオードの構成は、n
形InP基板上にn形In0.52Al0.48As層
(100nm)とノンドープIn0.52Al0.48
As層(500nm)を分子線エピタキシャル(MB
E)法で積層し、裏面オーミック電極にAu−Ge/N
i/Auアロイ電極を、ショットキー電極に直径0.2
mmのTi/Pt/Au電極を形成したものである。こ
のショットキー電極形成前に、ノンドープIn0.52
Al0.48As層表面の酸化膜をクエン酸水溶液、塩
酸あるいはBHFでエッチングした。
【0035】表1から明らかなように、本実施形態にお
けるクエン酸水溶液エッチング処理を行なったものが、
理想係数nの値が1.10と最も1に近い値となり、シ
ョットキー障壁φBの値が0.65eVと最も高い値と
なり、さらに、逆方向電流密度の値が4.8×10−4
A/cmと最も小さい値となっており、総じて良好な
Ti−InAlAsショットキー接触を得ることができ
ているのがわかる。
【0036】次に、InAlAs表面をクエン酸水溶液
でエッチングした場合と、BHFでエッチングした場合
について、エッチング前後のInAlAs表面をX線励
起光電子分光法(XPS)で組成分析した結果について
のべる。図4はその結果を組成比で示すもので、この図
に示されるように、BHFを用いた場合、エッチング前
に比べてAlの組成比が大きく減少しているのがわか
る。一方、クエン酸水溶液を用いた場合には組成比の大
きな変化は見られない。
【0037】この場合、一般に、Alを全く含まないI
nAs化合物半導体では、金属と接触してもショットキ
ー障壁を形成せず、オーミック接触となることが知られ
ており、(例えば、最新化合物半導体ハンドブック、発
行所;株式会社サイエンスフォーラム、監修;生駒俊
明、pp.165など)、InAlAs表面のAl組成
の減少が、ショットキー障壁φBを低くし、逆方向電流
を大きくしている原因と考えられる。この点において、
クエン酸水溶液によりエッチング処理を行なう本実施形
態の場合においては、Alの組成比の低下を防止しなが
ら表面酸化膜をエッチングすることができるので、良好
なショットキー障壁φBの値を得ることができるものと
考えられる。
【0038】また、クエン酸水溶液あるいはBHFでI
nAlAs層表面の酸化膜をエッチングしたTi−In
AlAs縦形ショットキーダイオードについて、100
℃で10分間あるいは300℃で60分間熱処理した後
のショットキー特性を、表2および表3に示す。この結
果からわかるように、BHFでエッチング処理を行なっ
た場合には、理想係数nの値、ショットキー障壁φBの
値および逆方向電流密度の値のすべてに渡ってショット
キー特性の低下が顕著であるのに対し、クエン酸水溶液
をエッチング薬液として用いた場合には、耐熱性が良好
であると共に、ショットキー特性の向上が見られる。
【0039】
【表2】
【表3】
【0040】さらに、図5(a),(b)には、クエン
酸水溶液あるいはBHFでInAlAs層表面の酸化膜
をエッチング処理したTi−InAlAs縦形ショット
キーダイオードについて、熱的な安定性を確認するため
に、125℃にて恒温保存したときの時間経過に伴うシ
ョットキー特性の変動を測定した結果を示している。図
5(a)は、ショットキー障壁φBの値の経時変動を示
し、同図(b)は逆方向電流密度の値の経時変動を示し
ている。この結果、やはり、クエン酸水溶液をエッチャ
ントとした場合のものが良好な特性を示していることが
わかる。なお、図示はしないが、理想係数nの値につい
ても経時変動を測定した結果では、両者ともにほとんど
変動していないことがわかっている。
【0041】(第2の実施形態)図6ないし図8は本発
明の第2の実施形態を示すもので、以下第1の実施形態
と異なる部分について説明する。図6は製造工程の概略
の流れを示す図で、図7および図8は工程の流れにした
がって形成される素子の断面を模式的に示したものであ
る。本実施例では、InAlAs/歪InGaAsHE
MT15に適用した場合について説明する。
【0042】図8(b)は、InAlAs/歪InGa
AsHEMT15の断面構造を示している。なお、ここ
で、InAlAs/歪InGaAsHEMTは、チャネ
ル層としてIn0.8Ga0.2As層を用いるもの
で、このIn0.8Ga0.2As層はInPの格子定
数(5.869オングストローム)よりも大きい値に設
定されているもので、このような組成とすることで歪み
のない組成を有する第1の実施形態のものよりも高い電
子移動度や高いキャリア濃度を得ようとするもので、よ
り高性能で高周波化が可能な構成とすることができるも
のである。
【0043】図8(b)において、半絶縁性InP基板
16上に、下層側から順に、ノンドープIn0.52
0.48Asバッファ層17、ノンドープ歪In
0.8Ga0.2Asチャネル層18、ノンドープIn
0.53Ga0.47As電子分布制御層19、ノンド
ープIn0.52Al0.48Asスペーサ層20、S
iδ(デルタ)ドープ層21、ノンドープIn0.52
Al0.48Asゲート接触層22、高濃度Siドープ
In0.53Ga0.47Asオーミック接触層23が
MBE法等を用いて順次所定の膜厚で積層されている。
【0044】これらMBE法により積層された各層17
〜23は、InP基板16上で他の領域と分離するよう
にメサ状に形成されている。また、InGaAsオーミ
ック接触層23には上面側からゲート電極用の開口部2
3aが形成されInAlAsゲート接触層22の表面2
2aが露出されるようにリセス24が形成された状態と
されている。そして、InGaAsオーミック接触層2
3上には、ソース電極25とドレイン電極26としてA
u−Ge/Ni/Auノンアロイオーミック電極が形成
されており、リセス24に露出しているInAlAsゲ
ート接触層22にはTi/Pt/Auを蒸着してリフト
オフ法により形成したショットキー接触によるゲート電
極27が設けられている。InAlAsゲート接触層2
2の露出している部分には表面酸化膜28が形成されて
いる。
【0045】次に、このInAlAs/歪InGaAs
系HEMT15の製造方法について説明する。図7
(a)に示すように、上述したMBE法により半絶縁性
InP基板16上に各エピタキシャル層17〜23が形
成されると(図6中、工程1)、続いて、図7(b)に
示すように、素子間分離のためにメサエッチング処理が
行なわれ、この後、InGaAsオーミック接触層23
上にソース電極25とドレイン電極26が形成される
(図6中、工程2)。
【0046】続いて、図7(c)に示すように、リセス
形成用フォトレジスト29を用いて、リセス形成領域を
フォトリソグラフィ処理で開口させ、クエン酸水溶液
(50wt%):過酸化水素水=1:1のエッチャント
で、InGaAsオーミック接触層23を選択的にエッ
チングしてInAlAsゲート接触層22の表面を露出
させ、ソース電極25とドレイン電極26との間にリセ
ス24を形成する(図6中、工程3)。
【0047】その後、図8(a)に示すように、ゲート
電極形成用フォトレジスト30を新たに用いて、ゲート
電極27のパターンをフォトリソグラフィ処理により開
口形成し、この後、微細パターン部のフォトレジスト3
0残渣を除去するために弱いOプラズマ処理を行な
い、さらに、クエン酸水溶液(50wt%)でノンドー
プInAlAsゲート接触層22の表面に形成されてい
る表面酸化膜28をエッチング処理して除去する(図6
中、工程4)。そして、図8(b)に示すように、直ち
に電子線(EB)蒸着装置にてTi/Pt/Auを蒸着
し、リフトオフ法でゲート電極12を形成した(図1
中、工程5)。
【0048】このようにして製造したInAlAs/歪
InGaAs系HEMT15においては、第1の実施形
態のものと同様に、ゲート電極27のショットキー特性
としては良好なものが得られ、また、耐熱性にも優れて
いた。
【0049】本発明は、上記実施形態にのみ限定される
ものではなく、次のように変形また拡張できる。クエン
酸以外にも、InAlAsゲート接触層のAlの組成を
低下させないような酸系のエッチャントであれば使用す
ることができる。素子としては、HEMT以外にFET
等にも適用することができるし、ショットキー障壁を有
する素子全般に適用することができる。熱処理は、10
0〜300℃の範囲で適宜行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す製造工程の概略
的な流れ図
【図2】素子の形成工程を示す模式的断面図(その1)
【図3】素子の形成工程を示す模式的断面図(その2)
【図4】XPS法によるエッチング表面の組成分析結果
を示す図
【図5】ショットキー障壁の値および逆方向電流の恒温
保存の経時変化測定結果図
【図6】本発明の第2の実施形態を示す図1相当図
【図7】図2相当図
【図8】図3相当図
【図9】従来例を示す図1相当図
【図10】ショットキー障壁を説明するためのバンドダ
イアグラム
【符号の説明】
1はInAlAs/InGaAs系HEMT、2,16
は半絶縁性のInP基板、3,17はノンドープIn
0.52Al0.48Asバッファ層、4はノンドープ
In0.53Ga0.47Asチャネル層、5,20は
ノンドープIn .52Al0.48Asスペーサ層、
6はSiドープIn0.52Al0.48Asキャリア
供給層、7,22はノンドープIn0.52Al
0.48Asゲート接触層、8,23は高濃度Siドー
プIn0.53Ga0.47Asオーミック接触層、
9,24はリセス、10,25はソース電極、11,2
6はドレイン電極、12,27はゲート電極、13はリ
セス/ゲート電極形成用フォトレジスト、14,28は
表面酸化膜あるいはプラズマダメージ層、15はInA
lAs/歪InGaAsHEMT、18はノンドープ歪
In0.8Ga0.2Asチャネル層、19はノンドー
プIn0.53Ga0.47As電子分布制御層、21
はSiδ(デルタ)ドープ層、29はリセス形成用フォ
トレジスト、30はゲート電極形成用フォトレジストで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−275656(JP,A) 特開 平7−7004(JP,A) 特開 平7−147289(JP,A) 特開 平8−264761(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 29/872 H01L 21/28 H01L 21/338 H01L 29/812

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化合物半導体のショットキー接触を形成
    する領域に対応して行なう化合物半導体の表面処理方法
    において、 前記化合物半導体の表面に対して前記ショットキー接触
    を形成する工程に先だってクエン酸によりエッチング処
    理を行なって表面酸化膜あるいはプラズマダメージ層を
    除去することを特徴とする化合物半導体の表面処理方
    法。
  2. 【請求項2】 組成中にAlを含む化合物半導体のショ
    ットキー接触を形成する領域に対応して行なう化合物半
    導体の表面処理方法において、 前記化合物半導体の表面領域に存在するAl原子の成分
    比率を低下させることのない酸系のエッチング液でエッ
    チング処理を行なって表面酸化膜あるいはプラズマダメ
    ージ層を除去することを特徴とする化合物半導体の表面
    処理方法。
  3. 【請求項3】 前記化合物半導体のショットキー接触を
    形成する部分はInAlAs層であることを特徴とする
    請求項1または2記載の化合物半導体の表面処理方法。
  4. 【請求項4】 前記化合物半導体のショットキー接触を
    形成する部分は、FETあるいはHEMT(High Elect
    ron Mobility Transistor )等の電圧制御形素子のゲー
    ト電極として用いられる部分であることを特徴とする請
    求項1ないし3のいずれかに記載の化合物半導体の表面
    処理方法。
  5. 【請求項5】 前記化合物半導体のショットキー接触を
    形成する部分は、リセスエッチング処理により露出され
    た表面であることを特徴とする請求項1ないし4のいず
    れかに記載の化合物半導体の表面処理方法。
  6. 【請求項6】 前記化合物半導体のショットキー接触を
    形成する部分に金属を積層して接触させることによりシ
    ョットキー接触を形成した後に、100〜300℃の範
    囲で熱処理を行なうことを特徴とする請求項1ないし5
    のいずれかに記載の化合物半導体の表面処理方法。
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