JP3255309B2 - 熱安定性と金型耐腐食特性に優れた樹脂組成物 - Google Patents

熱安定性と金型耐腐食特性に優れた樹脂組成物

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JP3255309B2
JP3255309B2 JP04979393A JP4979393A JP3255309B2 JP 3255309 B2 JP3255309 B2 JP 3255309B2 JP 04979393 A JP04979393 A JP 04979393A JP 4979393 A JP4979393 A JP 4979393A JP 3255309 B2 JP3255309 B2 JP 3255309B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリカーボネート樹脂
とABS樹脂とを必須成分とする樹脂組成物で、その優
れた物理的特性を維持しつつ、滞留時の熱安定性及び金
型腐食特性を改良した組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂は、耐熱性や耐衝
撃性に優れているため、自動車部品、電気・電子機械部
品、精密機械部品などの広い分野で使用されているが、
高価であり、また成形性や低温での耐衝撃性に劣とるな
どの欠点がある。一方、ABS樹脂(アクリロニトリル
ーブタジエンースチレン系共重合体)は、機械的強度、
成形性に優れた安価な材料であるが、耐熱性や高度の耐
衝撃性を要求される自動車部品やOA部品などの部材に
用いるには、耐熱性や耐衝撃性が不十分であり、用途が
限定されている。
【0003】これらのお互いの欠点を補う方法として、
ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とからなる樹脂組成
物とする方法が知られている。この方法により、ポリカ
ーボネート樹脂の短所であった成形性や低温での耐衝撃
性が改良されるとともに、ABS樹脂の短所であった耐
熱性や不十分であった耐衝撃性が改良される。しかしな
がら、新たな問題点として、滞留時の熱安定性が低下す
る問題点が現れた。該樹脂組成物の滞留時の熱安定性を
改良する方法として、無機酸、有機酸及び有機酸無水物
から選択された一種以上の酸化合物を添加する方法(特
開昭56-131657 )、有機フォスフォン酸もしくは、リン
酸エステル金属塩を含有させる方法(特開昭55-123647,
特開昭54-40854)等が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの方法により、
確かに滞留時の熱安定性は改良されてきたが、その改良
と共に従来はあまり成形されなかった大型の成形物や薄
肉の成形物にも使用されるケースが増えてきた。これら
成形しにくい大きな成形物や薄肉の成形物を成形する場
合、成形温度等が従来より高目に設定されたり、大型の
射出成形機が使用されなど成形条件が樹脂に対して厳し
くなり、その結果、成形時の樹脂の滞留時間が長くなり
フラッシュ等の外観不良が発生しやい問題が再発し、ま
た金型の腐食の発生する問題点も顕著になってきてい
る。
【0005】そこで、本発明者はこれらの課題を改良す
べく鋭意検討を重ねた結果ポリカーボネート樹脂とAB
S樹脂とを必須成分とする樹脂組成物の耐熱性や耐衝撃
性を何ら損なうことなく、従来改良された品質を越えさ
らに一層、滞留時の熱安定性を改良し、併せて金型耐腐
食特性をも改良した樹脂組成物を見出し、本発明に到達
したものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明はポリ
カーボネート樹脂とABS樹脂を必須成分とする樹脂組
成物において、該ABS樹脂が式1で定義されるアルカ
リ金属指数が1以下、式2で定義されるアルカリ土類金
属指数が30以下かつ塩素含有量が500ppm以下で
あることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。
【数3】
【数4】 なお上記の式1及び式2において、23、39、24、
40の数値はナトリウム、カリウム、マグネシウム及び
カルシウムの各原子量であり、0.95、1.33、
0.65、0.99の数値はナトリウム、カリウム、マ
グネシウム及びカルシウムの各イオン半径(単位はÅ)
を表す。
【0007】以下に本発明をさらに詳細に説明する。本
発明におけるポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポ
リカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ー芳
香族ポリカーボネートなどが挙げられるが、好ましく
は、2,2−ビス(4−オキシフェニル)アルカン系、
ビス(4−オキシフェニル)エーテル系、ビス(4−オ
キシフェニル)スルホン系、9,9−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)フルオレノン系、イソフォロン系などの
ビスフェノール及びこれらの核アルキル化誘導体、核ハ
ロゲン化誘導体から選ばれた1種以上のホモ及びコポリ
カーボネートである。これらポリカーボネート樹脂は,
粘度平均分子量が15000以上、好ましくは1800
0以上のものである。
【0008】本発明におけるABS樹脂とは、共役ジエ
ン含有エラストマー100重量部の存在下で、スチレ
ン、αーメチルスチレン、ハロゲン叉はアルキル基の置
換した核置換スチレン等の芳香族ビニル単量体、アクリ
ロニトリル、メタアクリロニトリル、フマロニトリル等
のシアン化ビニル単量体及びメタクリル酸メチル、メタ
クリル酸シクロヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル
酸ブチル、フマル酸ジメチル等の不飽和カルボン酸アル
キルエステル単量体からなる群より選ばれた2種以上の
単量体10〜200重量部と、必要に応じてメチルビニ
ルエーテル、マレイミド、N−フェニルマレイミド等の
その他の共重合可能な単量体0〜50重量部とを共重合
してなる共重合体である。
【0009】前記ABS樹脂における共役ジエン含有エ
ラストマーとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレ
ン、天然ゴム、ブタジエンースチレン共重合体、ブタジ
エンーアクリロニトリル共重合体、クロロプレン重合
体、イソプレンースチレン共重合体、アクリル酸アルキ
ルーブタジエン共重合体及びこれら共重合体の部分水素
添加物等を挙げることができ、1種または2種以上の単
独重合体又は共重合体を用いることができる。
【0010】前記ABS樹脂は、通常、乳化グラフト重
合法で製造され、乳化剤やラテックス析出剤の残留量が
多くなりがちであった。先の式1、式2で定義したアル
カリ金属、アルカリ土類金属、及びハロゲン化物等の不
純物量が所定の範囲に入るように製造するには、ラテッ
クス析出剤の種類や量及び析出物の洗浄条件を最適化す
ることである。好ましくは、アルカリ金属塩のみでの析
出は避け、しかもハロゲン化合物の使用割合が少ない析
出剤組成を用いることである。具体的には、硫酸マグネ
シュウムと硫酸併用析出剤が好ましい。残留の許容され
不純物量の量は、それぞれアルカリ金属指数は1以下、
好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.5以下であ
り、アルカリ土類金属指数は30以下、好ましくは25
以下、特に好ましくは20以下である。更に塩素量は5
00ppm以下、好ましくは400ppm以下、特に好
ましくは300ppm以下である。
【0011】ABS樹脂中に残留するアルカリ金属指数
が1を超えたり、アルカリ土類金属指数が30を超えた
りするいずれの場合も、たとえ、安定剤を添加しも、滞
留時の熱安定性をさらに一層改良することが難しくな
る。また、塩素量が500ppmを超えると添加剤を添
加しても、金型耐腐食特性の改良効果が乏しくなる。
【0012】なおABS樹脂中に残留するアルカリ金属
としては、主にナトリウム及びカリウムであり、リチウ
ム、ルビジウム、セシウム、フランジウム等の残存量は
微量であるので、本発明では、アルカリ金属としてナト
リウム及びカリウムの残存量に限定することとする。同
様に、ABS樹脂中に残留するアルカリ土類金属は、殆
どがマグネシウム及びカルシウムであり、ベリリウム、
ストロンチウム、バリウム、ラジウム等は微量であるの
で、本発明では、アルカリ土類金属としてマグネシウム
及びカルシウムに限定することとする。
【0013】樹脂組成物中に含まれる、これらアルカリ
金属、アルカリ土類金属、塩素は公知の分析法で定量す
ることができる。例えば、カリウム、カルシウム、塩素
の定量はエネルギー分散型もしくは波長分散型X線分光
法で、ナトリウムとマグネシウムの定量は灰化後、原子
吸光法で実施することができる。
【0014】本発明において、ポリカーボネート樹脂と
ABS樹脂との割合は、目的とする成形品の用途、製品
の剛性、衝撃強度、耐熱性、価格、成形性などの関係か
ら種々の混合割合に設定しうるが、ポリカーボネート樹
脂95〜5重量%、好ましくは90〜10重量%、特に
好ましくは85〜15重量%、ABS樹脂5〜95重量
%、好ましくは10〜90重量%、特に好ましくは15
〜85重量%である。ポリカーボネート樹脂の割合が5
重量%未満では、耐熱性及び耐衝撃性の向上効果が乏し
く、また95重量%を越えると成形性や耐熱水性の低下
する傾向が現れる。
【0015】また、本発明において必須成分であるポリ
カーボネート樹脂とABS樹脂の合計量100重量部当
たり、他の熱可塑性樹脂0〜100重量部、好ましくは
0〜70重量部、特に好ましくは0〜50重量部を併用
することができる。併用することができる他の熱可塑性
樹脂の量が100重量部を越えると耐熱性、耐衝撃性及
び成形性等の物性の少なくともいずれか1つの特性が損
なわれる。
【0016】本発明において、併用することができる他
の熱可塑性樹脂の例として、スチレン、αーメチルスチ
レン、ハロゲン叉はアルキル基の置換した核置換スチレ
ン等の芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル、メタア
クリロニトリル、フマロニトリル等のシアン化ビニル単
量体及びメタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキ
シル、フマル酸ジメチル等の不飽和カルボン酸エステル
単量体、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカル
ボン酸(無水物)、マレイミド、N−メチルマレイミ
ド、N−フェニルマレイミド等の不飽和ジカルボン酸イ
ミド化合物、メチルビニルエーテル等のビニルエーテル
化合物からなる群より選ばれた1種以上の単量体の単独
重合体及び/又は共重合体、AAS樹脂(アクリロニト
リルーアクリルゴムースチレン共重合体)、AES(ア
クリロニトリルーエチレン・プロピレン・ジエンエラス
トマーースチレン共重合体)、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキ
サンジメチレンテレフタレート、ビスフェノールAとフ
タル酸との縮合物等の芳香族ポリエステル樹脂、6−ナ
イロン、66−ナイロン、46−ナイロン、MXD6ナ
イロン、6・10ナイロン、12ナイロン、6Tナイロ
ン、6/6Tナイロン等のポリアミド樹脂、ポリフェニ
レン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4
−メチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、シンジオ
タクティック・ポリスチレン等が挙げられる。
【0017】前記の併用することができる熱可塑性樹脂
の中で、AAS樹脂やAES樹脂を併用すると耐候性が
向上し、スチレンー無水マレイン酸ーN−フェニルマレ
イミド共重合体の添加は耐熱性の向上をもたらし、ま
た、適当量のポリブチレンテレフタレートやポリエチレ
ンテレフタレートを併用すると、耐熱性や耐衝撃性を保
持したままウェルド強度や成形性をさらに向上させるこ
とができる。
【0018】勿論、本発明の樹脂組成物には、安定剤と
して亜リン酸やリン酸等の無機リン酸、ベンゼンフォス
ホン酸、エチルフォスホン酸、オクチルアシッドフォス
フェート、ジオクチルフォスフェート、ジブチル・ハイ
ドロジェンフォスファイト、ペンタエリスリトールジホ
スファイト系化合物、トリフェニルフォスフィン、トリ
フェニルフォスフィンオキシド、トリブチルフォスフィ
ンオキシド、トリフェニルフォスフェート、ジブチル・
ブチルフォスフェート、テトラキス(2,4−ジーt−
ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレンフォスフォナ
イト、トリラウリルチオフォスファイト等の有機燐化合
物、テレフタル酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、
トリメリット酸、トランスアニット酸、β,β’−ジチ
オカルボン酸等の有機カルボン酸無水フタル酸、無水ト
リメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ジフエン酸、
無水シクロペンタンカルボン酸、無水ノルボルネン−
2,3−ジカルボン酸、無水メチルエンドメチレンテト
ラヒドロフタル酸、スチレンと無水マレイン酸との低分
子共重合体、低分子ポリプロピレンの無水マレイン酸変
性物等の酸無水物、ペンタエリスリチルーテトラキス
(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベン
ジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2−t−ブ
チル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メ
チルベンジル)−4−メチルフエニルアクリレート等の
ヒンダードフェノール化合物、2,2−メチレンビス
((1,1,3,3−テトラメチルブチル)−4−(2
H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2
−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,
α−ジメチルベンジル)フェノール)−2H−ベンゾト
リアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒド
ロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2
−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール誘導
体、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペル
ジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタ
メチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチ
ル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、1
−(2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)−4−
(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオニルオキシ)−2,2,6,6−テトラ
メチルピペリジン等のヒンダードアミン化合物、ポリマ
ー型のヒンダードアミン化合物、2−ヒドロキシ−4−
n−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合
物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物等
を添加することができる。
【0019】これらの添加剤は勿論、2種類以上併用す
ることがもできる。これらの添加剤の配合量は、ポリカ
ーボネート樹脂とABS樹脂とを必須成分とする樹脂成
分100重量部に対して0〜5.0重量部,好ましくは
0.01〜3.0重量部、特に好ましくは0.02〜
2.0重量部である。この配合量が5.0重量部を越え
ると耐熱性や機械的性質が低下したり、該安定剤が成形
体表面にブリードしたりする短所が現れる。
【0020】上記の安定剤の中で、燐化合物、特に式3
で表されるペンタエリスリト−ルジホスファイト系化合
物を添加すると、滞留時の熱安定性を一層改良すること
ができる。式3において、R1 及びR2 がアリール基叉
はアラルキル基、特に2,6−ジ−t−ブチル−4−メ
チルフェニル基や2,6−ジ−t−ブチルフェニル基で
あることが好ましい。
【0021】
【化1】
【0022】本発明の樹脂組成物は、通常用いられる混
練機、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、混練押
出機、2軸押出機等により溶融混練することにより製造
することができるが、好ましくはベント付きの2軸押出
機をもちいる。また、溶融混練時の押出温度は特に制限
がなく、原料樹脂成分のガラス転移点や融点に応じて樹
脂温度を選定すべきである。特に好ましい樹脂温度は2
30℃から300℃の範囲である。
【0023】本発明の樹脂組成物には、必要ならば、顔
料、染料、滑剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、離型
剤、可塑剤、シリコーン化合物、難燃剤、難燃助剤、帯
電防止剤、カップリング剤やガラス繊維、ウィスカー、
カーボン繊維等の充填剤等を添加することができる。勿
論、これらのものを添加する場合には、アルカリ金属、
アルカリ土類金属及び塩素含有量の少ない品種を選別し
て使用することが、望ましい。
【0024】
【実施例及び比較例】以下に実施例を挙げて本発明を具
体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限さ
れるものではない。なお、本明細書記載の部はいずれも
重量基準で示したものである。また、実施例及び比較例
における物性の測定は次の方法によって行った。 (1) 耐熱性(ビカット軟化点):JIS K7206 (2) メルトフローインデックス(以下、MFRと略
す):JIS K7210に準拠、温度250℃、荷重
5kg (3) 滞留時の外観性:射出成形機住友ネスタール75T
を用い、成形温度を260℃に設定して、シリンダー内
に樹脂を30分間滞留後、55×90×2mmの大きさ
の試験片を,1点ゲートで成形し、フラッシュ発生状況
を目視で判定した。 ○ … フラッシュなし △ … 一部フラッシュ発生 × … プレート全面にフラッシュ発生 (4) 滞留時のアイゾット衝撃強度:射出成形機東芝IS
−55EPNを用い、成形温度を280℃に設定して、
シリンダー内に樹脂を2分間滞留後、ダンベルバーを成
形・切り出しを行い、アイゾット衝撃強度評価用試験片
とした。(試験品の厚み1/8インチ,温度23℃の
値) (5) 金型耐腐食特性:プラスチック成形金型用鋼として
広く使用されている大同特殊鋼製PDS3の金属片(2
0×30×2mm)を上から吊るし、樹脂組成物に浸漬す
るように工夫したステンレス製オートクレーブに樹脂組
成物20部を仕込み、窒素置換後、250℃ギアオーブ
ンに4hr放置した。室温に冷却後、オートクレーブを
開封し、取り出した金属片をテトラヒドロフラン溶媒中
で浸漬・洗浄して、腐食の状況を目視で判定した。 ○ … 金属片は試験前の状態と殆ど同等であった。 △ … 金属片は試験前と比較して、若干の変色が認め
られる。 × … 金属片は試験前と比較すると、変色が著しい。
【0025】まず、以下の実施例及び比較例において使
用した樹脂、燐化合物等の安定剤を示す。 (1) ABS樹脂の製造 ポリブタジエンラテックス80部(平均粒子径350m
μ、固形分50重量%)にアクリロニトリル18部、ス
チレン42部をグラフト重合して得たABS樹脂ラテッ
クスを塩化カルシウム水溶液で析出・水洗・濾過・乾燥
して得られた粉末をABS−1とする。同じABS樹脂
ラテックスを硫酸マグネシウム水溶液で析出・水洗・濾
過・乾燥して得られた粉末をABS−2とする。同様
に、硫酸と硫酸マグネシウムとのモル比が1:2,1:
1,2:1の析出剤の水溶液で析出・水洗・濾過・乾燥
して得られた粉末をそれぞれABS−3,ABS−4,
ABS−5とする。また、ABS−5の製造において、
析出物の水洗水の量を半減して得られた粉末をABS−
6とする。塩酸と硫酸マグネシウムとのモル比が2:1
の析出剤の水溶液で析出・水洗・濾過・乾燥して得られ
た粉末をABS−7とする。
【0026】(2) ポリカーボネート樹脂 ビスフェノールAタイプのポリカーボネートである三菱
瓦斯化学製ユーピロンE−2000を使用した。以下、
PCと略す。
【0027】(3) ポリブチレンテレフタレート樹脂 三菱化成製ノバドゥール5020を使用した。以下、P
BTと略す
【0028】(4) ポリエチレンテレフタレート樹脂 ユニチカ製NEH2050を使用した。以下、PETと
略す。
【0029】(5) スチレンー無水マレイン酸ーN−フェ
ニルマレイミド共重合体(スチレン48.8%,無水マ
レイン酸 3.8%,N−フェニルマレイミド 47.
4%)以下、ST−MIと略す。
【0030】(6) 燐化合物 ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリス
リトールジホスファイト 以下、PEP−24Gと略
す。ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト以下、PEP
−36と略す。トリラウリルトリチオホスファイト以
下、TLTPと略す。
【0031】(7) その他の安定剤 ペンタエリスリチルーテトラキス(3−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト)以下、Irganoxと略す。
【0032】実施例1〜11,比較例1〜3 第1表、2表、3表に示した配合で、ヘンシェルミキサ
ーに仕込、低速回転で3分間混合する。この混合物をベ
ント付きの35φ2軸押出機で溶融混練し、物性評価用
のペレットを製造し、前記した測定方法によって評価・
測定した結果を第1表、2表、3表に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【発明の効果】ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とを
必須成分とする樹脂組成物において、ABS樹脂中の不
純物量がアルカリ金属指数≦1かつアルカリ土類金属指
数≦30であるABS樹脂を使用することにより、滞留
時の外観性や耐衝撃性を改良することができた。一方、
塩素含有量が500ppm以下であるABS樹脂を使用
することにより、金型腐食特性を改良することがででき
た。これらアルカリ金属指数≦1、アルカリ金属指数≦
30かつ塩素含有量が500ppm以下であるABS樹
脂を使用することにより、滞留時の熱安定性と金型耐腐
食特性を両立させることができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 55/02 C08L 69/00 C08F 279/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカーボネート樹脂とABS樹脂を必
    須成分とする樹脂組成物において、該ABS樹脂が式1
    で定義されるアルカリ金属指数が1以下、式2で定義さ
    れるアルカリ土類金属指数が30以下かつ塩素含有量が
    500ppm以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂
    組成物。 【数1】 【数2】
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Cited By (1)

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