JP2003165911A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物

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JP2003165911A
JP2003165911A JP2001367373A JP2001367373A JP2003165911A JP 2003165911 A JP2003165911 A JP 2003165911A JP 2001367373 A JP2001367373 A JP 2001367373A JP 2001367373 A JP2001367373 A JP 2001367373A JP 2003165911 A JP2003165911 A JP 2003165911A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性及び耐熱性に優れ、成形品のウェルド
部の外観が良好な難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供す
る。 【解決手段】 本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、
(A)熱可塑性樹脂を100質量部、(B)リン化合物
を0.3〜8質量部及び(C)リン化合物を1〜30質
量部含有する。(A)熱可塑性樹脂の種類は特に限定さ
れないが、ゴム質重合体の存在下に少なくとも芳香族ビ
ニル単量体をグラフト重合させたグラフト重合体及び/
又は少なくとも芳香族ビニル単量体を重合させてなるポ
リスチレン系樹脂であることが好ましい。また、更に芳
香族ポリカーボネート樹脂を含有することがより好まし
い。(B)リン化合物は、特定の一般式で表わされる芳
香族系リン化合物であり、(C)リン化合物は特定の一
般式で表わされる縮合リン酸エステル化合物等である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性及び耐熱性
に優れ、且つ成形品のウェルド部の外観が良好な難燃性
熱可塑性樹脂組成物に関する。本発明は、オフィスオー
メーション(OA)・家電分野、電気・電子・通信分
野、コンピュータ分野、雑貨分野、サニタリー分野、車
両分野などにおいて利用することができる。尚、本発明
の難燃性熱可塑性樹脂組成物をピンポイントゲートを用
いて射出成形した成形品は、電子部品内蔵機器のハウジ
ングとして好適である。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂、或いはABS樹脂と芳香族
ポリカーボネート樹脂との混合物等で代表される熱可塑
性樹脂に、トリフェニルフォスフェート、縮合リン酸エ
ステル等を配合し、難燃化した樹脂組成物は、優れた電
気特性及び機械特性等を有し、OA機器、電気・電子分
野などを中心に多くの用途で使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来より用い
られている難燃性樹脂組成物は、耐熱性が必ずしも十分
ではなく、ウェルド部の外観にも劣ることが課題となっ
ている。本発明は、上記の従来技術の課題を背景になさ
れたものであり、難燃性及び耐熱性等に優れ、成形品の
ウェルド部の外観が良好であり、広範な用途において使
用することができる難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供す
ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の難燃性熱可塑性
樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂 100質量部、
(B)前記一般式(1)及び前記一般式(2)の少なく
とも一方から選ばれる少なくとも1種の芳香族系リン化
合物 0.3〜8質量部、及び(C)前記一般式(7)
で表わされる縮合リン酸エステル化合物及びホスファゼ
ン化合物の少なくとも一方から選ばれる少なくとも1種
のリン化合物 1〜30質量部、を含有することを特徴
とする。
【0005】本発明では、上記(A)熱可塑性樹脂が、
ゴム質重合体の存在下に少なくとも芳香族ビニル単量体
をグラフト重合させたグラフト重合体、及び少なくとも
芳香族ビニル単量体を重合させてなるポリスチレン系重
合体、の少なくとも一方である難燃性熱可塑性樹脂組成
物とすることができる。また、上記(A)熱可塑性樹脂
が、更に芳香族ポリカーボネート樹脂を含有する難燃性
熱可塑性樹脂組成物とすることができる。
【0006】
【発明の効果】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物によ
れば、十分な難燃性及び耐熱性、特にヒートサグ、高温
での曲げ弾性率等の実用的な耐熱性を有し、且つウェル
ド部の外観に優れる成形品を提供することができる。ま
た、熱可塑性樹脂が特定のグラフト重合体及び/又はス
チレン系重合体である場合は、更に、これに加えて芳香
族ポリカーボネート樹脂を含有する場合は、より優れた
機械的強度及び難燃性等を有する難燃性熱可塑性樹脂組
成物とすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。 [1]熱可塑性樹脂 上記「(A)熱可塑性樹脂」は特に限定されず、すべて
の熱可塑性樹脂を使用することができる。具体的には、
ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン及びポリプロピレン
等のポリオレフィン樹脂、ポリアミド6、ポリアミド6
6、ポリアミド46,ポリアミド9T(T;テレフタル
酸成分)、ポリアミド6T(T;テレフタル酸成分)等
のポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート及びポ
リエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリ
フェニレンスフィルド、芳香族ポリカーボネート、ポリ
メタクリレート等のアクリル系樹脂、並びに変性ポリフ
ェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。この熱可塑性
樹脂としては、ポリスチレン系樹脂及び/又は芳香族ポ
リカーボネート樹脂を使用することが好ましい。これら
の熱可塑性樹脂は1種のみであってもよく、2種以上が
併含されていてもよい。
【0008】ポリスチレン系樹脂としては、ゴム質重合
体の存在下に少なくとも芳香族ビニル単量体をグラフト
重合させたグラフト重合体及び/又は少なくとも芳香族
ビニル単量体を重合させたポリスチレン系重合体を使用
することができる。即ち、グラフト重合の際に、共重合
可能な他のビニル単量体をグラフト重合させたグラフト
共重合体及び/又は芳香族ビニル単量体の重合の際に、
共重合可能な他のビニル単量体を共重合させたポリスチ
レン系共重合体を用いることもできる。
【0009】グラフト重合時に使用されるゴム質重合体
としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンラン
ダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合
体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブチ
レン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン−ス
チレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチ
レンブロック共重合体などの共役ジエン系(共)重合
体、これら共役ジエン系(共)重合体の水素添加物、エ
チレン−プロピレン−(非共役ジエン)共重合体、エチ
レン−ブテン−1−(非共役ジエン)共重合体、ポリウ
レタン系ゴム、アクリル系ゴム及びシリコーン系ゴムな
どが挙げられる。これらのゴム質重合体は1種のみであ
ってもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0010】これらのうち、ポリブタジエン、スチレン
−ブタジエン共重合体、アクリル系ゴム、エチレン−プ
ロピレン−(非共役ジエン)共重合体、水素添加ジエン
系(共)重合体及びシリコーン系ゴムが好ましく用いら
れる。
【0011】ゴム質重合体は、一般に粒子状であり、そ
の平均粒子径は、600〜3000Å、特に1500〜
8000Åであることが好ましい。更に、トルエン不溶
分により表されるゴム質重合体のゲル分率は、通常、9
8質量%以下(0質量%であってもよい。)であり、4
0〜98質量%、特に50〜95質量%、更には60〜
90質量%であることが好ましい。ゲル分率が40〜9
8質量%であれば、より優れた耐衝撃性及び表面の光沢
等を有する成形品とすることができる。尚、このゲル分
率は、トルエン100mlにゴム質重合体1gを投入
し、室温で48時間静置した後、100メッシュの金網
でろ過してトルエンを除去し、80℃で6時間乾燥し、
秤量してトルエン可溶分(g)を求め、次式により算出
することができる。 トルエン不溶分(%)=〔1(g)−トルエン可溶分
(g)〕×100 ゲル分率は、ゴム質重合体の重合時に、分子量調整剤の
種類及び量、重合時間、重合温度、重合転化率などを適
宜設定することにより調整することができる。
【0012】芳香族ビニル単量体としては、スチレン、
α−メチルスチレン、O−メチルスチレン、ビニルトル
エン、メチル−α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン
等が挙げられ、特に、スチレン及びα−メチルスチレン
が好ましい。グラフト重合に用いる全単量体の5〜50
質量%、特に20〜30質量%をα−メチルスチレンと
すれば、難燃性熱可塑性樹脂組成物の耐熱性をより向上
させることができる。また、下記の共重合可能な他の単
量体も含め、ビニル単量体の全量を100質量%とした
場合の、芳香族ビニル単量体の割合は40〜92質量
%、特に50〜80質量%、更には50〜75質量%で
あることが好ましい。但し、メチメタクリレートを共重
合させ、透明性に優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物とす
る場合は、このメチルメタクリレートを30〜80質量
%、特に40〜75質量%とし、芳香族ビニル単量体の
割合を10〜30質量%、特に15〜25質量%とする
ことが好ましい。
【0013】共重合可能な他のビニル単量体としては、
以下の各種のものが挙げられる。 (1)アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニ
ルシアン化合物、(2)無水マレイン酸、無水イタコン
酸、無水シトラコン酸等の不飽和酸無水物、(3)アク
リル酸、メタクリル酸等の不飽和酸、(4)メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等
の不飽和酸エステル、(5)マレイミド、N−メチルマ
レイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイ
ミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N
−シクロヘキシルマレイミド等の不飽和ジカルボン酸の
イミド化合物、(6)グリシジルアクリレート、グリシ
ジルメタクリレート、アクリルグリシジルエーテル等の
エポキシ基を有する不飽和化合物、(7)3−ヒドロキ
シ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス
−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロ
キシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−
プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシスチレン等
のヒドロキシル基を有する不飽和化合物、(8)アクリ
ルアミド、ロタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミ
ド、(9)アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、
メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピ
ル、アミノスチレン等のアミノ基を有する不飽和化合
物、(10)ビニルオキサゾリン等のオキサゾリン基を
有する不飽和化合物。これらの共重合可能な他のビニル
単量体は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用す
ることもできる。
【0014】グラフト重合体又はポリスチレン系重合体
における単量体の組み合わせとしては下記を例示するこ
とができる。 スチレン/アクリロニトリル、 スチレン/アクリロニトリル/α−メチルスチレン、 スチレン/N−フェニルマレイミド、 スチレン/アクリロニトリル/N−フェニルマレイミ
ド。 尚、スチレン/無水マレイン酸共重合体、或いはスチレ
ン/アクリロニトリル/無水マレイン酸共重合体の酸無
水物基を、アニリン等のアミン化合物によって完全又は
部分イミド化することにより、上記又はと同様の共
重合体が得られ、これらの共重合体を使用することも好
ましい。
【0015】グラフト重合体のグラフト率は、20〜1
50%、特に30〜120%、更には40〜120%で
あることが好ましい。このグラフト率(%)は、ゴム質
重合体にグラフト結合した単量体の、ゴム質重合体に対
する割合であり、次式により求められる。 グラフト率(%)=[(T−S)/S]×100 [但し、Tはアセトン2mlにグラフト重合体1gを投
入し、振とう機により常温で2時間振とうした後、遠心
分離器(回転数;23,000rpm)で60分間遠心
分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の
質量であり、Sはグラフト重合体1gに含まれるゴム質
重合体の質量である。]
【0016】また、グラフト重合体のアセトン可溶分、
並びにポリスチレン系重合体の極限粘度[η](溶媒と
してメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、
0.2〜1.2dl/g、特に0.2〜1dl/g、更
には0.3〜1dl/gであることが好ましい。
【0017】(A)熱可塑性樹脂として、これらの特定
のグラフト重合体若しくはグラフト共重合体及び/又は
ポリスチレン系重合体若しくはポリスチレン系共重合体
を用いる場合は、耐衝撃性の面からグラフト重合体若し
くはグラフト共重合体、又はグラフト重合体若しくはグ
ラフト共重合体/ポリスチレン系重合体若しくはポリス
チレン系共重合体の組み合わせ、を用いることが好まし
い。尚、グラフト重合体若しくはグラフト共重合体に含
有されるゴム質重合体は、5〜30質量%であることが
好ましい。本発明において、グラフト重合体、ポリスチ
レン系重合体は、一般的な重合法である乳化重合、塊状
重合、塊状懸濁重合、溶液重合等の方法によって製造す
ることができる。グラフト重合体の場合は特に乳化重合
が好ましい。
【0018】芳香族ポリカーボネート樹脂としては、2
価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させてなる
ポリカーボネート樹脂を使用することができる。2価フ
ェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
スルホン酸等が挙げられる。好ましい2価フェノール
は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン
系であり、ビスフェノールAが特に好ましい。
【0019】カーボネート前駆体としては、カルボニル
ハライド、炭酸ジエステル、ビスハロホルメート等が挙
げられ、具体的には、ホスゲン、ジフェニルカーボネー
ト、2価フェノールのジビスクロロホルメート等が挙げ
られる。これら2価フェノールとカーボネート前駆体と
を反応させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する
際、2価フェノールは1種のみでもよく、2種以上を併
用してもよい。また、この芳香族ポリカーボネート樹脂
は、1種のみであってもよく、2種以上の芳香族ポリカ
ーボネート樹脂の混合物であってもよい。
【0020】芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分
子量は、通常、10,000〜40,000であり、1
2,000〜30,000であることが好ましい。この
粘度平均分子量(M)は、塩化メチレン100mlに芳
香族ポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解させ
た溶液を用いて測定した比粘度(ηsp)を次式に挿入
して算出することができる。 粘度平均分子量(M)=([η]×8130)
1.205 ここで、[η]=[(ηsp×1.12+1)1/2
1]/(0.56×C) 但し、[η]は極限粘度であり、Cは樹脂濃度である。
【0021】以下、芳香族ポリカーボネート樹脂を製造
するための界面重合法(溶液法)について簡単に説明す
る。 (1)ポリカーボネート前駆体としてホスゲンを用いる
界面重合法 この方法では、通常、酸結合剤及び有機溶媒の存在下で
反応させる。酸結合剤としては、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、又はピリジ
ン等のアミン化合物が使用される。有機溶媒としては、
塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素
が用いられる。更に、反応促進のため、第3級アミン、
第4級アンモニウム塩等の触媒を使用することができ
る。また、分子調節剤としては、フェノール、p−te
rt−ブチルフェノール及び4−(2−フェニルイソプ
ロピル)フェノール等のアルアルキル置換フェノールな
どの末端停止剤を用いることが好ましい。
【0022】反応温度は、通常、0〜40℃、反応時間
は10分〜5時間、反応中のphは9以上に保つことが
好ましい。尚、結果として分子鎖末端のすべてが末端停
止剤に由来の構造を有している必要はない。
【0023】(2)カーボネート前駆体として炭酸ジエ
ステルを用いるエステル交換反応(溶融重合法) この方法では、不活性ガス雰囲気下に所定割合の2価フ
ェノール成分及び必要に応じて分岐剤等を炭酸ジエステ
ルと加熱しながら撹拌し、生成するアルコール類又はフ
ェノール類を留出させることにより反応が行われる。反
応温度は生成するアルコール類又はフェノール類の沸点
等により異なるが、通常、120〜350℃である。反
応は、その初期から、減圧下に生成するアルコール類又
はフェノール類を留出させながら進行させ、完結させ
る。また、反応を促進するために、アルカリ金属化合
物、含窒素塩基性化合物等のエステル交換反応に一般に
用いられる触媒を使用することもできる。
【0024】エステル交換反応に使用される炭酸ジエス
テルとしては、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカ
ーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチ
ルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカー
ボネート等が挙げられる。これらのうちではジフェニル
カーボネートが特に好ましい。更に、末端停止剤とし
て、ジフェニルカーボネート、メチル(2−フェニルオ
キシカルボニルオキシ)ベンゼンカルボキシレート等
を、反応の初期段階で、又は反応の途中で添加するこ
と、及び反応終了直前に各種の触媒失活剤を添加するこ
と等も好ましい。
【0025】芳香族ポリカーボネート樹脂は、界面重合
法及び溶融重合法のいずれで製造されたものを用いても
よいが、界面重合法によるポリカーボネート樹脂には、
溶媒及びその変性体、触媒、触媒失活剤及びそれらの変
性体、並びに反応副生成物などの塩素化合物等が少なか
らず残存している。残存塩素化合物は精製によりある程
度は除去することができるが、僅かな塩素化合物が残存
することは避けられない。この芳香族ポリカーボネート
樹脂に含まれる塩素化合物は、難燃性熱可塑性樹脂組成
物に難燃剤として配合される縮合リン酸エステル化合物
と相互に作用し、組成物の加水分解を引き起こす可能性
があることから、使用する芳香族ポリカーボネート樹脂
に含まれる塩素化合物の含有量は、塩素原子に換算して
300ppm以下にまで低減されていることが好まし
い。
【0026】塩素化合物の含有量の少ない芳香族ポリカ
ーボネート樹脂とするためには、例えば、ポリカーボネ
ート樹脂をアセトンにより処理したり、ポリカーボネー
ト樹脂の粉末をペレット化する際、ベント付押出機の途
中に水を強制的に注入して脱塩素化を行う方法等が挙げ
られる。また、ポリカーボネート樹脂を含む溶液を貧溶
剤により沈殿させる方法、或いは乾燥処理を強化する方
法等、従来の種々の方法により塩素化合物の含有量を低
減させることもできる。
【0027】更に、芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体
と温水とを容器に投入し、撹拌しながらポリカーボネー
ト樹脂の有機溶媒溶液を連続的に供給し、この溶媒を蒸
発させることにより、ポリカーボネート樹脂の有機溶媒
溶液からポリカーボネート樹脂粉粒体を製造する方法に
おいて、容器内の温度を下記式に示されたT(℃)又
はT(℃)の範囲内に保持し、撹拌翼等の回転数を6
0〜100rpmとし、且つ撹拌能力を5〜10kw/
hr・mとした場合に、塩素化合物の含有量を低減す
ることができるばかりでなく、粉体が少なく、ろ過性が
良好で、乾燥性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂と
することができるため好ましい。 0.0018×M+37≦T(℃)≦0.0018
×M+42 (M;粘度平均分子量であり、10,000〜20,
000である。) 0.0007×M+59≦T(℃)≦0.0007
×M+64 (M;粘度平均分子量であり、20,000以上であ
る。)
【0028】[2]芳香族系リン化合物 上記「(B)リン化合物」は、前記一般式(1)及び一
般式(2)の少なくとも一方から選ばれる少なくとも1
種の芳香族系リン化合物である。尚、一般式(1)及び
一般式(2)において、低級アルキル基とは、炭素数1
〜4の、直鎖アルキル基又は分岐アルキル基である。こ
の(B)成分としては、10−(2,5−ジヒドロキシ
フェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェ
ナントレン−10−オキシド、10−(2,3−ジヒド
ロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスフ
ァフェナントレン−10−オキシド、10−(2,4−
ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−
ホスファフェナントレン−10−オキシド等が挙げられ
る。これらのうちでは10−(2,5−ジヒドロキシフ
ェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナ
ントレン−10−オキシドが特に好ましい。これらの
(B)成分は1種のみであってもよく、2種以上が併含
されていてもよい。
【0029】(B)成分は、(A)成分を100質量部
とした場合に、0.3〜8質量部であり、0.5〜6質
量部、特に0.5〜4.8質量部、更には0.5〜4質
量部であることが好ましい。(B)成分の含有量が0.
3質量部未満であると、難燃性熱可塑性樹脂組成物の耐
熱性が劣り、成形品のウェルド外観も低下する。一方、
この含有量が8質量部を越えると、成形品のウェルド外
観が劣る。
【0030】[3]縮合リン酸エステル化合物及び/又
はホスファゼン化合物 上記「(C)リン化合物」は、前記一般式(7)で表わ
される縮合リン酸エステル化合物及び/又はホスファゼ
ン化合物である。一般式(7)で表わされる縮合リン酸
エステル化合物は、1種のみからなっていてもよいし、
2種以上の異なる縮合リン酸エステルの混合物であって
もよい。また、R6〜R9が有するフェニル基は、芳香環
を形成する炭素に結合している水素原子がアルキル基等
により置換されていてもよい。また、Xは、ジヒドロキ
シ化合物であるレゾルシノール又はビスフェノールAか
らヒドロキシル基を除いた各々の残基である。
【0031】縮合リン酸エステル化合物が混合物の場
合、nは混合物における平均値(平均重合度)を表し、
平均重合度nは、0.5〜1.2、特に0.7〜1.
2、更には0.9〜1.1であることが好ましい。平均
重合度nが0.5未満であると、難燃性熱可塑性樹脂組
成物の耐熱性が低下し、成形品のシルバー不良等の外観
不良を生じ易い。一方、平均重合度nが1.2を越える
縮合リン酸エステル化合物は製造が困難である。そのた
め高価であり、経済的に使用し難い。これらの縮合リン
酸エステルは1種のみであってもよく、2種以上が併含
されていてもよい。
【0032】縮合リン酸エステル化合物としては、下記
式(8)、式(9)及び式(10)で表される化合物が
好ましく、式(10)で表される化合物が特に好まし
い。
【0033】
【化8】
【0034】
【化9】
【0035】
【化10】
【0036】ホスファゼン化合物としては、例えば、"S
tudies in Inorganic Chemistry 6Phosphorus (Third E
dition)" (ELSEVIER)に記載された下記一般式(11)
で表される直鎖状ホスファゼン化合物及び/又は下記一
般式(12)で表される環状ホスファゼン化合物が挙げ
られる。
【0037】
【化11】
【0038】
【化12】 (但し、一般式(11)及び一般式(12)において、
nは0〜15、好ましくは1〜10の整数であり、R
10〜R24はアルキル基、アリル基、アルコキシル
基、アリロキシル基、アミノ基及びヒドロキシル基から
選ばれる官能基である。また、アルコキシル基、アリロ
キシル基は、アルキル基、アリル基、アミノ基及びヒド
ロキシル基などで修飾されていてもよい。)
【0039】ホスファゼン化合物の具体例としては、プ
ロポキシホスファゼン、フェノキシホスファゼン、メチ
ルフェノキシホスファゼン、アミノホスファゼン、フル
オロアルキルホスファゼン等が挙げられる。また、その
合成方法及び入手のし易さなどから、フェノキシホスフ
ァゼンが特に好ましい。これらは1種のみであってもよ
いし、2種以上の混合物であってもよいし、直鎖状ホス
ファゼンと環状ホスファゼンとの混合物であってもよ
い。更に、同一分子内のRがすべて同種の官能基であっ
てもよいし、各々が2種以上の異なった官能基であって
もよい。このような置換ホスファゼン化合物の具体例と
しては、分子内の一部をフェノキシ基で置換し、その後
にプロポキシ基で置換したホスファゼン、即ち、フェノ
キシプロポキシホスファゼンなどが挙げられる。尚、市
販のホスファゼンは一般にクロロホスファゼンをアルコ
ール、或いはフェノール等で置換することにより合成さ
れたものである。
【0040】(C)リン化合物としては、縮合リン酸エ
ステル化合物及びホスファゼン化合物の一方を用いても
よいし、これらを併用することもできるが、縮合リン酸
エステル化合物がより好ましい。この(C)リン化合物
の含有量は、1〜30質量部であり、5〜20質量部、
特に7〜20質量部、更には10〜15質量部であるこ
とが好ましい。(C)の含有量が1質量部未満である
と、難燃性が不十分となり、30質量部を越えると、難
燃性熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低下し、成形品のウ
ェルド外観が劣る。
【0041】本発明では、それぞれ所定量の(B)リン
化合物と(C)リン化合物とを併用することによって、
十分な難燃性を有するとともに、より優れた耐熱性を備
える難燃性熱可塑性樹脂組成物とすることができる。ま
た、熱可塑性樹脂として芳香族ポリカーボネート樹脂を
併用することによって、更に優れた難燃性及び耐熱性を
併せ有する難燃性熱可塑性樹脂組成物とすることができ
る。具体的には、後記の方法により測定した難燃性を少
なくともV−2レベルとすることができ、後記の方法に
より測定した耐熱性を1〜20mm、特に1〜15mm
とすることができる。更に、熱可塑性樹脂として芳香族
ポリカーボネート樹脂を併用し、フッ素系難燃剤と充填
剤とを配合することにより、難燃性をV−0レベルとす
ることができ、耐熱性を1〜10mm、特に1〜8m
m、更には1〜5mmとすることができる。
【0042】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物には、
難燃性をより向上させるため、フッ素系樹脂、及びシロ
キサン化合物又はポリシロキサンなどを難燃剤として含
有させることができる。フッ素系樹脂としては、ポリモ
ノフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリト
リフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テ
トラフルオロエチレン/フルオロプロピレン共重合体等
が挙げられる。また、含フッ素単量体と、この単量体と
共重合可能な種々の単量体との共重合体を用いることも
できる。これらの難燃剤は1種のみを用いてもよいし、
2種以上を併用することもできる。その含有量は、難燃
性熱可塑性樹脂組成物を100質量%とした場合に、
0.05〜5質量%とすることができる。
【0043】更に、必要に応じて充填剤を含有させるこ
ともできる。この充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊
維、ワラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、ガラ
スビーズ、ガラスフレーク、ミルドファイバー、酸化亜
鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー等が上げら
れる。これらは1種のみであってもよいし、2種以上を
併用してもよい。充填剤の含有量は、難燃性熱可塑性樹
脂組成物を100質量部とした場合に、3〜200質量
部とすることができる。尚、タルク、ワラストナイト等
は、難燃性熱可塑性樹脂組成物の外観を大きく損なうこ
とがないため、特に好ましい。
【0044】また、難燃性熱可塑性樹脂組成物の物性、
外観等を損なわない範囲で、アンチモン系難燃剤、ハロ
ゲン系難燃剤、カップリング剤、抗菌剤、防カビ剤、酸
化防止剤、耐候剤、耐光剤、可塑剤、顔料、染料等の着
色剤、及び帯電防止剤などの種々の配合剤等を含有させ
ることもできる。
【0045】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、各
種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フ
ィーダールーダー等により、各成分を混練することによ
り調製することができる。好ましい製造方法は、押出機
又はバンバリーミキサーを用いる方法である。更に、各
々の成分を混練するに際しては、それらの成分を一括し
て混練してもよく、押出機で多段に配合する等、数回に
分けて順次配合しつつ混練してもよい。尚、バンバリー
ミキサー、ニーダーなどで混練した後、押出機によりペ
レット化することもできる。
【0046】上記のようにして調製された難燃性熱可塑
性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、真空成形、異形
成形、発泡成形、圧縮成形、インジェクションプレス成
形及びブロー成形などにより、各種の成形品とすること
ができる。尚、射出成形においてはピンポイントゲート
を使用することが、生産性に優れることから特に好まし
い。
【0047】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 [1]物性等の評価 (1)燃焼性(難燃性)の評価 UL94規格に定められた方法により、長さ5インチ×
幅1/2インチ×厚さ1/16インチの試験片について
垂直燃焼試験を行った。表1ではV試験に適合したもの
をV−2又はV−0とし、V試験不適合で燃焼したもの
をBとした。 (2)耐熱性の評価 長さ107mm×幅12.5mm×厚さ3.2mmの試
験片の一方の末端部を固定し、他方の末端部に30gの
荷重を加え、70℃で70時間放置した後のたわみ量
(mm)を測定した。たわみ量の大きいものは耐熱性が
劣る。 (3)ウェルド外観 射出成形により中央に貫通孔を有するサイド1点ゲート
の平板を成形し、貫通孔周縁のウェルドを目視で評価し
た。評価基準は、○;ウェルドが目立たず良好、×;ウ
ェルドが目立つ、である。
【0048】[2]難燃性熱可塑性樹脂組成物の成分 (1)(A)熱可塑性樹脂 製造例1(グラフト共重合体の製造) ポリブタジエンラテックス(平均粒径;3500Å、ゲ
ル分率;85%)40質量部、スチレン45質量部、ア
クリロニトリル15質量部を用いて乳化重合した後、凝
固させ、洗浄、乾燥してグラフト共重合体(表1ではA
と表記する。)を得た。このグラフト共重合体のグラ
フト率は60%、溶媒としてメチルエチルケトンを使用
し、30℃で測定したアセトン可溶分の極限粘度は0.
45dl/gであった。
【0049】製造例2(グラフト共重合体の製造) ポリブタジエンラテックス(平均粒径;3500Å、ゲ
ル分率;85%)30質量部、スチレン16質量部、ア
クリロニトリル5質量部、メチルメタクリート49質量
部を用いて乳化重合した後、凝固させ、洗浄、乾燥して
グラフト共重合体(表1ではAと表記する。)を得
た。このグラフト共重合体のグラフト率は60%、製造
例1と同様にして測定したアセトン可溶分の極限粘度は
0.27dl/gであった。
【0050】製造例3(ポリスチレン系共重合体の製
造) スチレン75質量部、アクリロニトリル25質量部を用
いて溶液重合し、スチレン−アクリロニトリル共重合体
(表1ではAと表記する。)を得た。この共重合体の
製造例1と同様にして測定したアセトン可溶分の極限粘
度は0.45dl/gであった。
【0051】製造例4(ポリスチレン系共重合体の製
造) スチレン4質量部、アクリロニトリル25質量部、α−
メチルスチレン71質量部を用いて乳化重合し、スチレ
ン−アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合体
(表1ではAと表記する。)を得た。この共重合体の
製造例1と同様にして測定したアセトン可溶分の極限粘
度は0.36dl/gであった。
【0052】製造例5(ポリスチレン系共重合体の製
造) スチレン55質量部、N−フェニルマレイミド45質量
部を用いて溶液重合し、スチレン−N−フェニルマレイ
ミド共重合体(表1ではAと表記する。)を得た。こ
の共重合体の製造例1と同様にして測定したアセトン可
溶分の極限粘度は0.42dl/gであった。
【0053】製造例6(ポリスチレン系共重合体の製
造) スチレン21質量部、アクリロニトリル7質量部、メチ
ルメタクリレート72質量部を用いて溶液重合し、スチ
レン−アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合
体(表1ではAと表記する。)を得た。この共重合体
の製造例1と同様にして測定したアセトン可溶分の極限
粘度は0.25dl/gであった。
【0054】製造例7(芳香族ポリカーボネート樹脂の
製造) ビスフェノールAとホスゲンを用いて界面重合し、粘度
平均分子量22,000の芳香族ポリカーボネート樹脂
(表1ではAと表記する。)を得た。
【0055】製造例8(芳香族ポリカーボネート樹脂の
製造) ビスフェノールAとジフェニルカーボネートを用いて溶
液重合し、粘度平均分子量20,000の芳香族ポリカ
ーボネート樹脂(表1ではAと表記する。)を得た。
【0056】(2)(B)リン化合物 ジヒドロキシオキサホスファフェナントレン系リン化
合物;HCA−HQ[10−(2,5−ジヒドロキシフ
ェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナ
ントレン−10−オキシド](三光株式会社製)、表1
ではBと表記する。 ジヒドロキシオキサホスファフェナントレン系リン化
合物;HCA[9,10−ジヒドロキシ−9−オキサ−
10−ホスファフェナントレン−10−オキシド](三
光株式会社製)、表1ではBと表記する。 (3)(C)リン化合物 縮合リン酸エステル化合物;商品名「アデカスタブF
P−700」[旭電化株式会社製、表1ではCと表記
する。尚、この縮合リン酸エステル化合物では、一般式
(2)におけるxが下記式(13)で示される残基で
あり、nが1.1である。] 縮合リン酸エステル化合物;商品名「アデカスタブF
P−500」[旭電化株式会社製、表1ではCと表記
する。尚、この縮合リン酸エステル化合物では、一般式
(2)におけるxが下記式(14)で示される残基で
あり、nが1.0である。]
【0057】
【化13】
【0058】
【化14】
【0059】(4)その他の成分 タルク;商品名「P−4」(日本タルク株式会社製、
平均粒径;4.6μm)のエポキシシラン処理品(表1
ではDと表記する。) ワラストナイト;商品名「ワラストナイトSH−12
50」(キンセイマテック社製、平均粒径;4.5μ
m)のエポキシシラン処理品(表1ではDと表記す
る。) ポリテトラフルオロエチレン;商品名「ダイフロンF
201L」(ダイキン工業株式会社製、表1ではD
表記する。)
【0060】実施例1〜10及び比較例1〜5 上記の各々の成分を表1に記載の配合割合でヘンシェル
ミキサーにより3分間混合した後、ニ軸押出機(池貝鉄
工株式会社製、型式「PCM45」)を用いて設定温度
240℃で溶融混練した後、ペレット化した。次いで、
得られたペレットを十分に乾燥し、射出成形機により評
価用試験片を作製した。この試験片を使用し、前記の方
法で燃焼性、耐熱性及びウェルド外観を評価した。結果
を表1に併記する。
【0061】
【表1】
【0062】表1の結果によれば、実施例1〜10の難
燃性熱可塑性樹脂組成物は、いずれも十分な難燃性及び
耐熱性を有し、成形品のウェルド外観も優れている。
尚、実施例10では、優れた物性とともに十分な透明性
をも併せ有していた。また、特に、熱可塑性樹脂として
芳香族ポリカーボネート樹脂を併用し、(C)リン化合
物を多量に含有させ、且つフッ素系難燃剤を併用した実
施例6〜9では、難燃性及び耐熱性ともにより向上して
いることが分かる。更に、これら実施例6〜9のうち
で、フッ素系難燃剤に更に充填剤を併用した実施例8〜
9の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、より優れた耐熱性を
有している。
【0063】一方、(B)リン化合物の含有量が下限値
未満である比較例1では、耐熱性、ウェルド外観が劣
り、(B)リン化合物の含有量が上限値を越えている比
較例2では、ウェルド外観が劣っている。また、(C)
リン化合物の含有量が下限値未満である比較例3では、
難燃性が劣り、(C)リン化合物の含有量が上限値を越
えている比較例4では、耐熱性、ウェルド外観が劣って
いる。更に、(B)リン化合物として一般式(1)及び
一般式(2)に含まれない芳香族系リン化合物を用いた
比較例5でも、耐熱性、ウェルド外観が劣っている。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 51/04 C08L 51/04 69/00 69/00 (72)発明者 住本 典史 東京都中央区京橋一丁目18番1号 テクノ ポリマー株式会社内 (72)発明者 野呂 雅彦 東京都中央区京橋一丁目18番1号 テクノ ポリマー株式会社内 Fターム(参考) 4J002 AA001 AA011 BB031 BB121 BC021 BC031 BG061 BN061 BN121 BN141 BN151 BN231 CF061 CF071 CG001 CG002 CL001 CL011 CL031 CL061 CN011 EW047 EW136 EW157 FD01 FD13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)熱可塑性樹脂 100質量部、
    (B)下記一般式(1)及び下記一般式(2)の少なく
    とも一方から選ばれる少なくとも1種の芳香族系リン化
    合物 0.3〜8質量部、及び(C)下記一般式(7)
    で表わされる縮合リン酸エステル化合物及びホスファゼ
    ン化合物の少なくとも一方から選ばれる少なくとも1種
    のリン化合物 1〜30質量部、を含有することを特徴
    とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。 【化1】 (式中、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子又は
    低級アルキル基であり、Rは、水素原子、ハロゲン原
    子、ヒドロキシル基又は低級アルキル基である。x1は
    1〜4の整数であり、yは1〜5の整数である。x1が
    1の場合、RとR は同一であってもよいし、異なっ
    ていてもよい。x1が2〜4の場合、複数のR及びR
    の各々はそれぞれ同一であってもよいし、異なってい
    てもよい。yが2〜5の場合、複数のRの各々は同一
    であってもよいし、異なっていてもよい。) 【化2】 (式中、RびRは、水素原子、ハロゲン原子又は低
    級アルキル基である。x2は1〜4の整数である。x2が
    1の場合、RとRは同一であってもよいし、異なっ
    ていてもよい。x2が2〜4の場合、複数のR及びR
    の各々はそれぞれ同一であってもよいし、異なってい
    てもよい。Zは下記の式(3)、式(4)、式(5)及
    び式(6)から選ばれる1価の基である。) 【化3】 【化4】 【化5】 【化6】 【化7】 (式中、R,R,R及びRは、フェニル基又は
    キシレニル基であり、それぞれ同一であってもよいし、
    異なっていてもよい。Xは2価のレゾルシノール残基又
    はビスフェノールA残基である。nは0.5〜1.2で
    ある。)
  2. 【請求項2】 上記(A)熱可塑性樹脂が、ゴム質重合
    体の存在下に少なくとも芳香族ビニル単量体をグラフト
    重合させたグラフト重合体、及び少なくとも芳香族ビニ
    ル単量体を重合させてなるポリスチレン系重合体、の少
    なくとも一方である請求項1記載の難燃性熱可塑性樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 上記熱可塑性樹脂が、更に芳香族ポリカ
    ーボネート樹脂を含有する請求項2記載の難燃性熱可塑
    性樹脂組成物。
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