JP3806026B2 - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性及び耐熱性に優れ、且つ成形品のウェルド部の外観が良好な難燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。
本発明は、オフィスオーメーション(OA)・家電分野、電気・電子・通信分野、コンピュータ分野、雑貨分野、サニタリー分野、車両分野などにおいて利用することができる。尚、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物をピンポイントゲートを用いて射出成形した成形品は、電子部品内蔵機器のハウジングとして好適である。
【0002】
【従来の技術】
ABS樹脂、或いはABS樹脂と芳香族ポリカーボネート樹脂との混合物等で代表される熱可塑性樹脂に、トリフェニルフォスフェート、縮合リン酸エステル等を配合し、難燃化した樹脂組成物は、優れた電気特性及び機械特性等を有し、OA機器、電気・電子分野などを中心に多くの用途で使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来より用いられている難燃性樹脂組成物は、耐熱性が必ずしも十分ではなく、ウェルド部の外観にも劣ることが課題となっている。
本発明は、上記の従来技術の課題を背景になされたものであり、難燃性及び耐熱性等に優れ、成形品のウェルド部の外観が良好であり、広範な用途において使用することができる難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、(A)ゴム質重合体の存在下に少なくとも芳香族ビニル単量体をグラフト重合させたグラフト重合体、及び少なくとも芳香族ビニル単量体を重合させてなるポリスチレン系重合体の少なくとも一方である熱可塑性樹脂を100質量部、(B)前記一般式(1)で表される芳香族系リン化合物を0.3〜4.0質量部、及び(C)前記一般式(7)で表わされる縮合リン酸エステル化合物及びホスファゼン化合物の少なくとも一方から選ばれる少なくとも1種のリン化合物を4.5〜30質量部含有することを特徴とする。
【0005】
他の本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、(A)ゴム質重合体の存在下に少なくとも芳香族ビニル単量体をグラフト重合させたグラフト重合体、及び少なくとも芳香族ビニル単量体を重合させてなるポリスチレン系重合体の少なくとも一方である熱可塑性樹脂を100質量部、(B)前記一般式(1)で表される芳香族系リン化合物を0.5〜4.8質量部、及び(C)前記一般式(7)で表わされる縮合リン酸エステル化合物及びホスファゼン化合物の少なくとも一方から選ばれる少なくとも1種のリン化合物を5〜20質量部含有することを特徴とする
また、上記(A)熱可塑性樹脂が、更に芳香族ポリカーボネート樹脂を含有する難燃性熱可塑性樹脂組成物とすることができる。
【0006】
【発明の効果】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物によれば、十分な難燃性及び耐熱性、特にヒートサグ、高温での曲げ弾性率等の実用的な耐熱性を有し、且つウェルド部の外観に優れる成形品を提供することができる。
また、熱可塑性樹脂が特定のグラフト重合体及び/又はスチレン系重合体である場合は、更に、これに加えて芳香族ポリカーボネート樹脂を含有する場合は、より優れた機械的強度及び難燃性等を有する難燃性熱可塑性樹脂組成物とすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
[1]熱可塑性樹脂
上記「(A)熱可塑性樹脂」は特に限定されず、すべての熱可塑性樹脂を使用することができる。具体的には、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46,ポリアミド9T(T;テレフタル酸成分)、ポリアミド6T(T;テレフタル酸成分)等のポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリフェニレンスフィルド、芳香族ポリカーボネート、ポリメタクリレート等のアクリル系樹脂、並びに変性ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。
この熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂及び/又は芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することが好ましい。
これらの熱可塑性樹脂は1種のみであってもよく、2種以上が併含されていてもよい。
【0008】
ポリスチレン系樹脂としては、ゴム質重合体の存在下に少なくとも芳香族ビニル単量体をグラフト重合させたグラフト重合体及び/又は少なくとも芳香族ビニル単量体を重合させたポリスチレン系重合体を使用することができる。即ち、グラフト重合の際に、共重合可能な他のビニル単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体及び/又は芳香族ビニル単量体の重合の際に、共重合可能な他のビニル単量体を共重合させたポリスチレン系共重合体を用いることもできる。
【0009】
グラフト重合時に使用されるゴム質重合体としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体などの共役ジエン系(共)重合体、これら共役ジエン系(共)重合体の水素添加物、エチレン−プロピレン−(非共役ジエン)共重合体、エチレン−ブテン−1−(非共役ジエン)共重合体、ポリウレタン系ゴム、アクリル系ゴム及びシリコーン系ゴムなどが挙げられる。
これらのゴム質重合体は1種のみであってもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0010】
これらのうち、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル系ゴム、エチレン−プロピレン−(非共役ジエン)共重合体、水素添加ジエン系(共)重合体及びシリコーン系ゴムが好ましく用いられる。
【0011】
ゴム質重合体は、一般に粒子状であり、その平均粒子径は、600〜3000Å、特に1500〜8000Åであることが好ましい。更に、トルエン不溶分により表されるゴム質重合体のゲル分率は、通常、98質量%以下(0質量%であってもよい。)であり、40〜98質量%、特に50〜95質量%、更には60〜90質量%であることが好ましい。ゲル分率が40〜98質量%であれば、より優れた耐衝撃性及び表面の光沢等を有する成形品とすることができる。
尚、このゲル分率は、トルエン100mlにゴム質重合体1gを投入し、室温で48時間静置した後、100メッシュの金網でろ過してトルエンを除去し、80℃で6時間乾燥し、秤量してトルエン可溶分(g)を求め、次式により算出することができる。
トルエン不溶分(%)=〔1(g)−トルエン可溶分(g)〕×100
ゲル分率は、ゴム質重合体の重合時に、分子量調整剤の種類及び量、重合時間、重合温度、重合転化率などを適宜設定することにより調整することができる。
【0012】
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、O−メチルスチレン、ビニルトルエン、メチル−α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられ、特に、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。グラフト重合に用いる全単量体の5〜50質量%、特に20〜30質量%をα−メチルスチレンとすれば、難燃性熱可塑性樹脂組成物の耐熱性をより向上させることができる。また、下記の共重合可能な他の単量体も含め、ビニル単量体の全量を100質量%とした場合の、芳香族ビニル単量体の割合は40〜92質量%、特に50〜80質量%、更には50〜75質量%であることが好ましい。但し、メチメタクリレートを共重合させ、透明性に優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物とする場合は、このメチルメタクリレートを30〜80質量%、特に40〜75質量%とし、芳香族ビニル単量体の割合を10〜30質量%、特に15〜25質量%とすることが好ましい。
【0013】
共重合可能な他のビニル単量体としては、以下の各種のものが挙げられる。
(1)アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物、
(2)無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和酸無水物、
(3)アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和酸、
(4)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等の不飽和酸エステル、
(5)マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の不飽和ジカルボン酸のイミド化合物、
(6)グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する不飽和化合物、
(7)3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシスチレン等のヒドロキシル基を有する不飽和化合物、
(8)アクリルアミド、ロタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、
(9)アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノスチレン等のアミノ基を有する不飽和化合物、
(10)ビニルオキサゾリン等のオキサゾリン基を有する不飽和化合物。
これらの共重合可能な他のビニル単量体は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用することもできる。
【0014】
グラフト重合体又はポリスチレン系重合体における単量体の組み合わせとしては下記を例示することができる。
▲1▼スチレン/アクリロニトリル、
▲2▼スチレン/アクリロニトリル/α−メチルスチレン、
▲3▼スチレン/N−フェニルマレイミド、
▲4▼スチレン/アクリロニトリル/N−フェニルマレイミド。
尚、スチレン/無水マレイン酸共重合体、或いはスチレン/アクリロニトリル/無水マレイン酸共重合体の酸無水物基を、アニリン等のアミン化合物によって完全又は部分イミド化することにより、上記▲3▼又は▲4▼と同様の共重合体が得られ、これらの共重合体を使用することも好ましい。
【0015】
グラフト重合体のグラフト率は、20〜150%、特に30〜120%、更には40〜120%であることが好ましい。このグラフト率(%)は、ゴム質重合体にグラフト結合した単量体の、ゴム質重合体に対する割合であり、次式により求められる。
グラフト率(%)=[(T−S)/S]×100
[但し、Tはアセトン2mlにグラフト重合体1gを投入し、振とう機により常温で2時間振とうした後、遠心分離器(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量であり、Sはグラフト重合体1gに含まれるゴム質重合体の質量である。]
【0016】
また、グラフト重合体のアセトン可溶分、並びにポリスチレン系重合体の極限粘度[η](溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、0.2〜1.2dl/g、特に0.2〜1dl/g、更には0.3〜1dl/gであることが好ましい。
【0017】
(A)熱可塑性樹脂として、これらの特定のグラフト重合体若しくはグラフト共重合体及び/又はポリスチレン系重合体若しくはポリスチレン系共重合体を用いる場合は、耐衝撃性の面からグラフト重合体若しくはグラフト共重合体、又はグラフト重合体若しくはグラフト共重合体/ポリスチレン系重合体若しくはポリスチレン系共重合体の組み合わせ、を用いることが好ましい。尚、グラフト重合体若しくはグラフト共重合体に含有されるゴム質重合体は、5〜30質量%であることが好ましい。
本発明において、グラフト重合体、ポリスチレン系重合体は、一般的な重合法である乳化重合、塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合等の方法によって製造することができる。グラフト重合体の場合は特に乳化重合が好ましい。
【0018】
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、2価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させてなるポリカーボネート樹脂を使用することができる。
2価フェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン酸等が挙げられる。好ましい2価フェノールは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系であり、ビスフェノールAが特に好ましい。
【0019】
カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、炭酸ジエステル、ビスハロホルメート等が挙げられ、具体的には、ホスゲン、ジフェニルカーボネート、2価フェノールのジビスクロロホルメート等が挙げられる。
これら2価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する際、2価フェノールは1種のみでもよく、2種以上を併用してもよい。また、この芳香族ポリカーボネート樹脂は、1種のみであってもよく、2種以上の芳香族ポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。
【0020】
芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、通常、10,000〜40,000であり、12,000〜30,000であることが好ましい。この粘度平均分子量(M)は、塩化メチレン100mlに芳香族ポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解させた溶液を用いて測定した比粘度(ηsp)を次式に挿入して算出することができる。
粘度平均分子量(M)=([η]×8130)1.205
ここで、[η]=[(ηsp×1.12+1)1/2−1]/(0.56×C)
但し、[η]は極限粘度であり、Cは樹脂濃度である。
【0021】
以下、芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するための界面重合法(溶液法)について簡単に説明する。
(1)ポリカーボネート前駆体としてホスゲンを用いる界面重合法
この方法では、通常、酸結合剤及び有機溶媒の存在下で反応させる。酸結合剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、又はピリジン等のアミン化合物が使用される。有機溶媒としては、塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。更に、反応促進のため、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等の触媒を使用することができる。また、分子調節剤としては、フェノール、p−tert−ブチルフェノール及び4−(2−フェニルイソプロピル)フェノール等のアルアルキル置換フェノールなどの末端停止剤を用いることが好ましい。
【0022】
反応温度は、通常、0〜40℃、反応時間は10分〜5時間、反応中のphは9以上に保つことが好ましい。尚、結果として分子鎖末端のすべてが末端停止剤に由来の構造を有している必要はない。
【0023】
(2)カーボネート前駆体として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応(溶融重合法)
この方法では、不活性ガス雰囲気下に所定割合の2価フェノール成分及び必要に応じて分岐剤等を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌し、生成するアルコール類又はフェノール類を留出させることにより反応が行われる。反応温度は生成するアルコール類又はフェノール類の沸点等により異なるが、通常、120〜350℃である。反応は、その初期から、減圧下に生成するアルコール類又はフェノール類を留出させながら進行させ、完結させる。また、反応を促進するために、アルカリ金属化合物、含窒素塩基性化合物等のエステル交換反応に一般に用いられる触媒を使用することもできる。
【0024】
エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート等が挙げられる。これらのうちではジフェニルカーボネートが特に好ましい。更に、末端停止剤として、ジフェニルカーボネート、メチル(2−フェニルオキシカルボニルオキシ)ベンゼンカルボキシレート等を、反応の初期段階で、又は反応の途中で添加すること、及び反応終了直前に各種の触媒失活剤を添加すること等も好ましい。
【0025】
芳香族ポリカーボネート樹脂は、界面重合法及び溶融重合法のいずれで製造されたものを用いてもよいが、界面重合法によるポリカーボネート樹脂には、溶媒及びその変性体、触媒、触媒失活剤及びそれらの変性体、並びに反応副生成物などの塩素化合物等が少なからず残存している。残存塩素化合物は精製によりある程度は除去することができるが、僅かな塩素化合物が残存することは避けられない。この芳香族ポリカーボネート樹脂に含まれる塩素化合物は、難燃性熱可塑性樹脂組成物に難燃剤として配合される縮合リン酸エステル化合物と相互に作用し、組成物の加水分解を引き起こす可能性があることから、使用する芳香族ポリカーボネート樹脂に含まれる塩素化合物の含有量は、塩素原子に換算して300ppm以下にまで低減されていることが好ましい。
【0026】
塩素化合物の含有量の少ない芳香族ポリカーボネート樹脂とするためには、例えば、ポリカーボネート樹脂をアセトンにより処理したり、ポリカーボネート樹脂の粉末をペレット化する際、ベント付押出機の途中に水を強制的に注入して脱塩素化を行う方法等が挙げられる。また、ポリカーボネート樹脂を含む溶液を貧溶剤により沈殿させる方法、或いは乾燥処理を強化する方法等、従来の種々の方法により塩素化合物の含有量を低減させることもできる。
【0027】
更に、芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体と温水とを容器に投入し、撹拌しながらポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液を連続的に供給し、この溶媒を蒸発させることにより、ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液からポリカーボネート樹脂粉粒体を製造する方法において、容器内の温度を下記式に示されたT(℃)又はT(℃)の範囲内に保持し、撹拌翼等の回転数を60〜100rpmとし、且つ撹拌能力を5〜10kw/hr・mとした場合に、塩素化合物の含有量を低減することができるばかりでなく、粉体が少なく、ろ過性が良好で、乾燥性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂とすることができるため好ましい。
0.0018×M+37≦T(℃)≦0.0018×M+42
(M;粘度平均分子量であり、10,000〜20,000である。)
0.0007×M+59≦T(℃)≦0.0007×M+64
(M;粘度平均分子量であり、20,000以上である。)
【0028】
[2]芳香族系リン化合物
上記「(B)リン化合物」は、前記一般式(1)で表される芳香族系リン化合物である。尚、一般式(1)において、低級アルキル基とは、炭素数1〜4の、直鎖アルキル基又は分岐アルキル基である。
この(B)成分としては、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド等が挙げられる。これらのうちでは10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドが特に好ましい。
これらの(B)成分は1種のみであってもよく、2種以上が併含されていてもよい。
【0029】
(B)成分は、(A)成分を100質量部とした場合に、0.3〜8質量部であり、0.5〜6質量部、特に0.5〜4.8質量部、更には0.5〜4質量部であることが好ましい。(B)成分の含有量が0.3質量部未満であると、難燃性熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が劣り、成形品のウェルド外観も低下する。一方、この含有量が8質量部を越えると、成形品のウェルド外観が劣る。
【0030】
[3]縮合リン酸エステル化合物及び/又はホスファゼン化合物
上記「(C)リン化合物」は、前記一般式(7)で表わされる縮合リン酸エステル化合物及び/又はホスファゼン化合物である。
一般式(7)で表わされる縮合リン酸エステル化合物は、1種のみからなっていてもよいし、2種以上の異なる縮合リン酸エステルの混合物であってもよい。また、R6〜R9が有するフェニル基は、芳香環を形成する炭素に結合している水素原子がアルキル基等により置換されていてもよい。また、Xは、ジヒドロキシ化合物であるレゾルシノール又はビスフェノールAからヒドロキシル基を除いた各々の残基である。
【0031】
縮合リン酸エステル化合物が混合物の場合、nは混合物における平均値(平均重合度)を表し、平均重合度nは、0.5〜1.2、特に0.7〜1.2、更には0.9〜1.1であることが好ましい。平均重合度nが0.5未満であると、難燃性熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低下し、成形品のシルバー不良等の外観不良を生じ易い。一方、平均重合度nが1.2を越える縮合リン酸エステル化合物は製造が困難である。そのため高価であり、経済的に使用し難い。
これらの縮合リン酸エステルは1種のみであってもよく、2種以上が併含されていてもよい。
【0032】
縮合リン酸エステル化合物としては、下記式(8)、式(9)及び式(10)で表される化合物が好ましく、式(10)で表される化合物が特に好ましい。
【0033】
【化8】
Figure 0003806026
【0034】
【化9】
Figure 0003806026
【0035】
【化10】
Figure 0003806026
【0036】
ホスファゼン化合物としては、例えば、"Studies in Inorganic Chemistry 6 Phosphorus (Third Edition)" (ELSEVIER)に記載された下記一般式(11)で表される直鎖状ホスファゼン化合物及び/又は下記一般式(12)で表される環状ホスファゼン化合物が挙げられる。
【0037】
【化11】
Figure 0003806026
【0038】
【化12】
Figure 0003806026
(但し、一般式(11)及び一般式(12)において、nは0〜15、好ましくは1〜10の整数であり、R10〜R24はアルキル基、アリル基、アルコキシル基、アリロキシル基、アミノ基及びヒドロキシル基から選ばれる官能基である。また、アルコキシル基、アリロキシル基は、アルキル基、アリル基、アミノ基及びヒドロキシル基などで修飾されていてもよい。)
【0039】
ホスファゼン化合物の具体例としては、プロポキシホスファゼン、フェノキシホスファゼン、メチルフェノキシホスファゼン、アミノホスファゼン、フルオロアルキルホスファゼン等が挙げられる。また、その合成方法及び入手のし易さなどから、フェノキシホスファゼンが特に好ましい。これらは1種のみであってもよいし、2種以上の混合物であってもよいし、直鎖状ホスファゼンと環状ホスファゼンとの混合物であってもよい。更に、同一分子内のRがすべて同種の官能基であってもよいし、各々が2種以上の異なった官能基であってもよい。このような置換ホスファゼン化合物の具体例としては、分子内の一部をフェノキシ基で置換し、その後にプロポキシ基で置換したホスファゼン、即ち、フェノキシプロポキシホスファゼンなどが挙げられる。尚、市販のホスファゼンは一般にクロロホスファゼンをアルコール、或いはフェノール等で置換することにより合成されたものである。
【0040】
(C)リン化合物としては、縮合リン酸エステル化合物及びホスファゼン化合物の一方を用いてもよいし、これらを併用することもできるが、縮合リン酸エステル化合物がより好ましい。この(C)リン化合物の含有量は、1〜30質量部であり、5〜20質量部、特に7〜20質量部、更には10〜15質量部であることが好ましい。(C)の含有量が1質量部未満であると、難燃性が不十分となり、30質量部を越えると、難燃性熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低下し、成形品のウェルド外観が劣る。
【0041】
本発明では、それぞれ所定量の(B)リン化合物と(C)リン化合物とを併用することによって、十分な難燃性を有するとともに、より優れた耐熱性を備える難燃性熱可塑性樹脂組成物とすることができる。また、熱可塑性樹脂として芳香族ポリカーボネート樹脂を併用することによって、更に優れた難燃性及び耐熱性を併せ有する難燃性熱可塑性樹脂組成物とすることができる。具体的には、後記の方法により測定した難燃性を少なくともV−2レベルとすることができ、後記の方法により測定した耐熱性を1〜20mm、特に1〜15mmとすることができる。更に、熱可塑性樹脂として芳香族ポリカーボネート樹脂を併用し、フッ素系難燃剤と充填剤とを配合することにより、難燃性をV−0レベルとすることができ、耐熱性を1〜10mm、特に1〜8mm、更には1〜5mmとすることができる。
【0042】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物には、難燃性をより向上させるため、フッ素系樹脂、及びシロキサン化合物又はポリシロキサンなどを難燃剤として含有させることができる。フッ素系樹脂としては、ポリモノフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/フルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。また、含フッ素単量体と、この単量体と共重合可能な種々の単量体との共重合体を用いることもできる。これらの難燃剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。その含有量は、難燃性熱可塑性樹脂組成物を100質量%とした場合に、0.05〜5質量%とすることができる。
【0043】
更に、必要に応じて充填剤を含有させることもできる。この充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、ワラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ミルドファイバー、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー等が上げられる。これらは1種のみであってもよいし、2種以上を併用してもよい。充填剤の含有量は、難燃性熱可塑性樹脂組成物を100質量部とした場合に、3〜200質量部とすることができる。尚、タルク、ワラストナイト等は、難燃性熱可塑性樹脂組成物の外観を大きく損なうことがないため、特に好ましい。
【0044】
また、難燃性熱可塑性樹脂組成物の物性、外観等を損なわない範囲で、アンチモン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、カップリング剤、抗菌剤、防カビ剤、酸化防止剤、耐候剤、耐光剤、可塑剤、顔料、染料等の着色剤、及び帯電防止剤などの種々の配合剤等を含有させることもできる。
【0045】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等により、各成分を混練することにより調製することができる。好ましい製造方法は、押出機又はバンバリーミキサーを用いる方法である。更に、各々の成分を混練するに際しては、それらの成分を一括して混練してもよく、押出機で多段に配合する等、数回に分けて順次配合しつつ混練してもよい。尚、バンバリーミキサー、ニーダーなどで混練した後、押出機によりペレット化することもできる。
【0046】
上記のようにして調製された難燃性熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、真空成形、異形成形、発泡成形、圧縮成形、インジェクションプレス成形及びブロー成形などにより、各種の成形品とすることができる。尚、射出成形においてはピンポイントゲートを使用することが、生産性に優れることから特に好ましい。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]物性等の評価
(1)燃焼性(難燃性)の評価
UL94規格に定められた方法により、長さ5インチ×幅1/2インチ×厚さ1/16インチの試験片について垂直燃焼試験を行った。表1ではV試験に適合したものをV−2又はV−0とし、V試験不適合で燃焼したものをBとした。
(2)耐熱性の評価
長さ107mm×幅12.5mm×厚さ3.2mmの試験片の一方の末端部を固定し、他方の末端部に30gの荷重を加え、70℃で70時間放置した後のたわみ量(mm)を測定した。たわみ量の大きいものは耐熱性が劣る。
(3)ウェルド外観
射出成形により中央に貫通孔を有するサイド1点ゲートの平板を成形し、貫通孔周縁のウェルドを目視で評価した。
評価基準は、○;ウェルドが目立たず良好、×;ウェルドが目立つ、である。
【0048】
[2]難燃性熱可塑性樹脂組成物の成分
(1)(A)熱可塑性樹脂
製造例1(グラフト共重合体の製造)
ポリブタジエンラテックス(平均粒径;3500Å、ゲル分率;85%)40質量部、スチレン45質量部、アクリロニトリル15質量部を用いて乳化重合した後、凝固させ、洗浄、乾燥してグラフト共重合体(表1ではAと表記する。)を得た。このグラフト共重合体のグラフト率は60%、溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定したアセトン可溶分の極限粘度は0.45dl/gであった。
【0049】
製造例2(グラフト共重合体の製造)
ポリブタジエンラテックス(平均粒径;3500Å、ゲル分率;85%)30質量部、スチレン16質量部、アクリロニトリル5質量部、メチルメタクリート49質量部を用いて乳化重合した後、凝固させ、洗浄、乾燥してグラフト共重合体(表1ではAと表記する。)を得た。このグラフト共重合体のグラフト率は60%、製造例1と同様にして測定したアセトン可溶分の極限粘度は0.27dl/gであった。
【0050】
製造例3(ポリスチレン系共重合体の製造)
スチレン75質量部、アクリロニトリル25質量部を用いて溶液重合し、スチレン−アクリロニトリル共重合体(表1ではAと表記する。)を得た。この共重合体の製造例1と同様にして測定したアセトン可溶分の極限粘度は0.45dl/gであった。
【0051】
製造例4(ポリスチレン系共重合体の製造)
スチレン4質量部、アクリロニトリル25質量部、α−メチルスチレン71質量部を用いて乳化重合し、スチレン−アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合体(表1ではAと表記する。)を得た。この共重合体の製造例1と同様にして測定したアセトン可溶分の極限粘度は0.36dl/gであった。
【0052】
製造例5(ポリスチレン系共重合体の製造)
スチレン55質量部、N−フェニルマレイミド45質量部を用いて溶液重合し、スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体(表1ではAと表記する。)を得た。この共重合体の製造例1と同様にして測定したアセトン可溶分の極限粘度は0.42dl/gであった。
【0053】
製造例6(ポリスチレン系共重合体の製造)
スチレン21質量部、アクリロニトリル7質量部、メチルメタクリレート72質量部を用いて溶液重合し、スチレン−アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体(表1ではAと表記する。)を得た。この共重合体の製造例1と同様にして測定したアセトン可溶分の極限粘度は0.25dl/gであった。
【0054】
製造例7(芳香族ポリカーボネート樹脂の製造)
ビスフェノールAとホスゲンを用いて界面重合し、粘度平均分子量22,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(表1ではAと表記する。)を得た。
【0055】
製造例8(芳香族ポリカーボネート樹脂の製造)
ビスフェノールAとジフェニルカーボネートを用いて溶液重合し、粘度平均分子量20,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(表1ではAと表記する。)を得た。
【0056】
(2)(B)リン化合物
▲1▼ジヒドロキシオキサホスファフェナントレン系リン化合物;HCA−HQ[10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド](三光株式会社製)、表1ではBと表記する。
▲2▼ジヒドロキシオキサホスファフェナントレン系リン化合物;HCA[9,10−ジヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド](三光株式会社製)、表1ではBと表記する。
(3)(C)リン化合物
▲1▼縮合リン酸エステル化合物;商品名「アデカスタブFP−700」[旭電化株式会社製、表1ではCと表記する。尚、この縮合リン酸エステル化合物では、一般式(2)におけるxが下記式(13)で示される残基であり、nが1.1である。]
▲2▼縮合リン酸エステル化合物;商品名「アデカスタブFP−500」[旭電化株式会社製、表1ではCと表記する。尚、この縮合リン酸エステル化合物では、一般式(2)におけるxが下記式(14)で示される残基であり、nが1.0である。]
【0057】
【化13】
Figure 0003806026
【0058】
【化14】
Figure 0003806026
【0059】
(4)その他の成分
▲1▼タルク;商品名「P−4」(日本タルク株式会社製、平均粒径;4.6μm)のエポキシシラン処理品(表1ではDと表記する。)
▲2▼ワラストナイト;商品名「ワラストナイトSH−1250」(キンセイマテック社製、平均粒径;4.5μm)のエポキシシラン処理品(表1ではDと表記する。)
▲3▼ポリテトラフルオロエチレン;商品名「ダイフロンF201L」(ダイキン工業株式会社製、表1ではDと表記する。)
【0060】
実施例1〜10及び比較例1〜5
上記の各々の成分を表1に記載の配合割合でヘンシェルミキサーにより3分間混合した後、ニ軸押出機(池貝鉄工株式会社製、型式「PCM45」)を用いて設定温度240℃で溶融混練した後、ペレット化した。次いで、得られたペレットを十分に乾燥し、射出成形機により評価用試験片を作製した。この試験片を使用し、前記の方法で燃焼性、耐熱性及びウェルド外観を評価した。結果を表1に併記する。
【0061】
【表1】
Figure 0003806026
【0062】
表1の結果によれば、実施例1〜10の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、いずれも十分な難燃性及び耐熱性を有し、成形品のウェルド外観も優れている。尚、実施例10では、優れた物性とともに十分な透明性をも併せ有していた。また、特に、熱可塑性樹脂として芳香族ポリカーボネート樹脂を併用し、(C)リン化合物を多量に含有させ、且つフッ素系難燃剤を併用した実施例6〜9では、難燃性及び耐熱性ともにより向上していることが分かる。更に、これら実施例6〜9のうちで、フッ素系難燃剤に更に充填剤を併用した実施例8〜9の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、より優れた耐熱性を有している。
【0063】
一方、(B)リン化合物の含有量が下限値未満である比較例1では、耐熱性、ウェルド外観が劣り、(B)リン化合物の含有量が上限値を越えている比較例2では、ウェルド外観が劣っている。また、(C)リン化合物の含有量が下限値未満である比較例3では、難燃性が劣り、(C)リン化合物の含有量が上限値を越えている比較例4では、耐熱性、ウェルド外観が劣っている。更に、(B)リン化合物として一般式(1)及び一般式(2)に含まれない芳香族系リン化合物を用いた比較例5でも、耐熱性、ウェルド外観が劣っている。

Claims (3)

  1. (A)ゴム質重合体の存在下に少なくとも芳香族ビニル単量体をグラフト重合させたグラフト重合体、及び少なくとも芳香族ビニル単量体を重合させてなるポリスチレン系重合体の少なくとも一方である熱可塑性樹脂を100質量部、
    (B)下記一般式(1)で表される芳香族系リン化合物を0.3〜4.0質量部、及び
    (C)下記一般式(7)で表わされる縮合リン酸エステル化合物及びホスファゼン化合物の少なくとも一方から選ばれる少なくとも1種のリン化合物を4.5〜30質量部含有することを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 0003806026
    (式中、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子又は低級アルキル基であり、Rは、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基又は低級アルキル基である。x1は1〜4の整数であり、yは1〜5の整数である。x1が1の場合、RとRは同一であってもよいし、異なっていてもよい。x1が2〜4の場合、複数のR及びRの各々はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。yが2〜5の場合、複数のRの各々は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
    Figure 0003806026
    (式中、R,R,R及びRは、フェニル基又はキシレニル基であり、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。Xは2価のレゾルシノール残基又はビスフェノールA残基である。nは0.5〜1.2である。)
  2. (A)ゴム質重合体の存在下に少なくとも芳香族ビニル単量体をグラフト重合させたグラフト重合体、及び少なくとも芳香族ビニル単量体を重合させてなるポリスチレン系重合体の少なくとも一方である熱可塑性樹脂を100質量部、
    (B)下記一般式(1)で表される芳香族系リン化合物を0.5〜4.8質量部、及び
    (C)下記一般式(7)で表わされる縮合リン酸エステル化合物及びホスファゼン化合物の少なくとも一方から選ばれる少なくとも1種のリン化合物を5〜20質量部含有することを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 0003806026
    (式中、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子又は低級アルキル基であり、Rは、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基又は低級アルキル基である。x1は1〜4の整数であり、yは1〜5の整数である。x1が1の場合、RとRは同一であってもよいし、異なっていてもよい。x1が2〜4の場合、複数のR及びRの各々はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。yが2〜5の場合、複数のRの各々は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
    Figure 0003806026
    (式中、R,R,R及びRは、フェニル基又はキシレニル基であり、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。Xは2価のレゾルシノール残基又はビスフェノールA残基である。nは0.5〜1.2である。)
  3. 上記熱可塑性樹脂が、更に芳香族ポリカーボネート樹脂を含有する請求項1又は2記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
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