JP3248389B2 - ネック成形性に優れた溶接缶用極薄鋼板 - Google Patents

ネック成形性に優れた溶接缶用極薄鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、飲料缶等の溶接缶に用
いられる極薄鋼板に関し、特に抵抗シーム溶接によって
缶の溶接を行った後における、ネックイン加工後のフラ
ンジ加工を行う工程での、ネック成形性に優れた溶接缶
用極薄鋼板に関する。
【0002】
【従来技術】従来から、缶の接合には、はんだづけ、樹
脂接着による方法、抵抗シーム溶接による方法が採用さ
れている。その中で、鋼板の歩留まり向上のために接合
代を少なくできる溶接による方法が主流となっており、
果汁あるいはコーヒー等の各種飲料缶をはじめとして、
食料缶あるいはエアゾール缶等に広く用いられている。
【0003】このような溶接缶は、缶胴のサイドシーム
部を抵抗シーム溶接によって接合した缶で、はんだ缶お
よび接着缶に比べてラップ部分が薄いので巻締め性が向
上すること、サイドシーム部分が強いこと、印刷よけが
狭くできるので印刷効果に優れること、はんだ飛び込み
がないことなど多くの利点を有している。
【0004】ところで、この溶接缶は、溶接した缶胴に
蓋をつけるために、缶胴の両端を直径方向外側に向かっ
て延出するフランジ部を形成する工程があり、これをフ
ランジ加工と称している。このフランジ加工を行う際、
フランジ割れという欠陥を生じて缶の内容物が漏れるこ
とがある。したがって、このフランジ加工においてフラ
ンジ割れが発生しにくいこと、すなわちフランジ加工性
が良好であることが要求される。
【0005】さらに、最近では、蓋材の使用量を節減す
る目的から、小さい径の蓋を使用することが多くなって
いる。この場合、缶胴の両端を直径方向内側に絞り込む
工程があり、これをネックイン加工と呼ぶ。缶胴径より
小さい径の蓋を使用する場合、ネックイン加工を数回繰
り返して階段状のネック部を成形するか、または加工度
の高いネックイン加工を一回施して、その後にフランジ
加工を行う。このようなネックイン加工では部分座屈が
発生しにくく、その後のフランジ加工においてフランジ
割れが発生しにいことが要求されるが、このような性能
を総称してここではネック成形性と称し、先のフランジ
加工性と区別する。ネックイン後のフランジ加工性は、
ネックイン工程での局部的な歪みが加わり、特に溶接部
やその近傍では、通常のフランジ加工より厳しい加工と
なる。
【0006】これらのフランジ割れの原因として、缶胴
接合不良、鋼板の加工性不良、鋼板の介在物などがあ
る。一方、省資源の観点と缶のコストダウンの要求か
ら、缶用素材の板厚は薄くなる傾向にある。素材の薄肉
化は実質的に缶の強度を低下させるため、従来よりも鋼
板の硬さを高くして対処している。このため、板厚が薄
くなることによるフランジ加工性の劣化を考慮する必要
がある。
【0007】近年、このようなことを考慮した鋼板とし
て、熱延鋼板を冷間圧延後、焼鈍し、再度冷間圧延を行
ういわゆる2回冷延方式による製造方法で製造されたも
の(ダブルレジュース材、以下DR材と略称する)は、
溶接後のネックインのない単なるフランジ加工において
すら、フランジ割れを生じることが多い。
【0008】これらの問題を解決する方法としては、従
来の通念的な鋼板の加工性を改善する方法である鋼板中
の炭素量や介在物量をなるべく低減させることが考えら
れ、事実、フランジ割れ多発に対する対策として、低炭
素化および介在物含有量を注意深く制御すること等の手
段が講じられている。
【0009】しかし、低炭素化および介在物を減少させ
る清浄化のための処理(例えば真空脱ガス処理など)は
製鋼コストの増大等の不都合をもたらし、しかも低炭素
化は本質的に材料の軟質化を意味するものであって、上
述した「極薄ながら十分な強度を得るために硬質化す
る」という技術要請に対しては不利である。
【0010】鋼の硬質化と加工性の両方を考慮した技術
として、従来、セメンタイトを微細化することにより溶
接熱影響部の軟化を抑制しつつフランジ加工性を改善す
る方法(特公平5−8264号公報)や、鋼板組織の粒
径を粗大化することにより溶接熱影響部の軟化を抑制し
てフランジ加工性を改善する方法(特公昭62−156
10号公報、特開昭60−24327号公報、特開昭6
3−310922号公報)、あるいは炭素当量(Ce
q)と二次冷間圧延率を制御することにより溶接後の結
晶粒粗大化を抑制し、フランジ加工性を改善する方法
(特開昭59−25934号公報)が提案されている。
【0011】しかしながら、これらの技術はフランジ加
工に先立つネックイン加工に対して何等考慮がなされて
いない。また、上記技術のうち特公昭62−15610
号公報、特公平5−8264号公報、特開昭59−25
934号公報に開示された技術については、熱影響部の
軟化抑制に対しては効果があるものの、Cを多量に含有
するため、溶接時の入熱により最も高温となりオーステ
ナイト変態を伴う組織変化を生じる部分(いわゆるナゲ
ット部)が硬化してフランジ加工性を損ない、フランジ
加工性が不十分であるという問題がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
に鑑みてなされたものであって、溶接製缶にあたって、
ネックイン加工の後のフランジ加工の工程でフランジ割
れを起こさず、特に薄い板厚で高強度な極薄溶接缶用鋼
板を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者ら
は、上記課題を解決するためにフランジ加工の際の割れ
発生原因を詳細に調査した結果、フランジ割れを抑制す
るためには、素材成分、特に炭素当量Ceqと硬さとを
ある特定の範囲内に制御することが有効であることを見
出した。
【0014】溶接缶の溶接部は他の部分よりも板厚が厚
く、その境界部分は形状的に応力集中が生じる部分であ
る。溶接時の入熱、加圧により組織および機械特性が変
化した部分(接合部およびその近傍、以下、熱影響部と
称する)と、溶接の影響を実質的に受けていない部分
(以下、母材と称する)との境界部が、形状的に応力が
集中する部位とほぼ同じ位置になる場合が多いため、こ
の部分は本質的にネックインおよびフランジ加工に対し
て不利であり、溶接缶製造工程で問題となるフランジ割
れは、溶接部近傍で生じる場合が多い。
【0015】この部位に関して本発明者らは、詳細に調
査研究を実施した結果、熱影響部の硬さを母材の硬さと
同等に制御することで応力集中を緩和し、前述したネッ
ク成形性を改善し得ること、およびそのためには素材成
分特に炭素当量Ceqと硬さとをある特定の範囲内に制
御することが有効であることを見出したのである。
【0016】熱影響部は、その組織変化の挙動から、変
態を伴う組織変化を生じるいわゆるナゲット部と、変態
を伴わない再結晶等の変化を生じる周辺部とに大別され
る。適正な電流範囲でシーム溶接がなされた場合、接合
部中央のナゲット部では最も高温となるため、素材の組
織はオーステナイト変態してオーステナイト単相または
フェライトとオーステナイトの二相となり、その後冷却
され室温で安定な相に変態する。ナゲット部の溶接後の
組織は、主に素材成分、特に炭素当量(Ceq=[%
C]+1/6[%Mn]+1/5[%Cr])に依存す
る。素材の他条件(粒径、加工歪の大小、析出物サイズ
等)や溶接条件(昇温速度、最高到達温度、冷却速度
等)も組織変化に寄与するが、一般的な溶接製缶工程の
条件範囲では、Ceqの寄与の度合と比較して、これら
の寄与の度合は小さい。
【0017】Ceqは、溶接後の冷却過程における焼入
れ性の指標とされており、これにより溶接後の組織を推
測することができる。CeqにおけるMnおよびCrの
寄与度(係数)は一般的な値であり、本発明でも妥当な
値である。Ceqが高ければ、マルテンサイトやベイナ
イトといった硬質な低温変態相が析出しやすくなるため
ナゲット部が硬くなる傾向にある。また逆にCeqが低
ければ、軟質なフェライトを析出し、さらに粒成長を生
じて粗粒となるためナゲット部は軟らかくなる傾向にあ
る。
【0018】高い強度が要求される場合、加工硬化を利
用したDR材が用いられることが多いが、ナゲット部で
は組織の変態によって加工歪の効果が失われる。母材硬
さとナゲット部硬さとを同等にし、ネック成形性を満足
するためには、変態強化、すなわち硬質な低温変態相を
析出させることによって強度を補う必要がある。
【0019】このように、所望の素材硬さを有する鋼板
をネック成形性に対して有利な特性の素材とするために
は、Ceqの大小によって変化する溶接後のナゲット部
硬さと母材硬さの両方の観点から慎重に検討されなけれ
ばならない。
【0020】一方、ナゲット周辺の熱影響部では再結晶
および粒成長が生じるため、素材がDR材であれば、加
工歪の効果が失われ、一般的にこの部位が軟化する。C
eqを制御して母材硬さとナゲット部硬さを同等とする
ことができても、母材とナゲットとの間に存在するこの
部位が軟化すれば、応力の集中が生じ、ネック成形性に
対して悪影響を及ぼす。この軟化部位を十分に狭くし、
実質的にネック成形性に有利な素材とするためには、再
結晶および粒成長を抑制する必要がある。
【0021】本発明者らがその効果を得る手段を検討し
た結果、Crの添加が有効であることを知見した。しか
しながらその添加量は、上述したCeqの最適な範囲内
で、かつ再結晶および粒成長の抑制に効果を発揮するこ
とができるよう、注意深く制御する必要がある。
【0022】本発明は、ネック成形性を改善するための
従来の通念のひとつであった素材の低炭素化の方向とは
まったく関係なく、素材鋼板の溶接熱影響部の機械特性
を改善することができる適正な成分組成によって、溶接
缶胴におけるネックイン加工やその後のフランジ加工等
における溶接部および溶接部近傍の局所変形能を著しく
改善することに成功したものである。
【0023】すなわち、本発明は上述した知見に基づい
てなされたものであって、重量%で、C:0.03〜
0.08%、Mn:0.10〜0.60%、Cr:0.
035〜0.100%、Si:0.05%未満、P:
0.04%未満、S:0.01〜0.04%、N:0.
0010〜0.010%、sol.Al:0.005〜
0.100%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純
物からなり、ロックウエル硬さ(HR30T)が70以
上85以下であり、炭素当量CeqをCeq=[%C]+
1/6[%Mn]+1/5[%Cr]で表した場合に、6
2.3≦HR30T−88.4Ceq≦68.2の関係
を満たすことを特徴とするネックイン加工後のフランジ
加工性に優れた溶接缶用極薄鋼板を提供するものであ
る。
【0024】本発明に従えば、ネック加工性に優れてい
るばかりでなく、缶のコストダウンや省資源の観点か
ら、缶胴用素材の板厚減少の要求に応え得る高強度の極
薄鋼板を提供することが可能であり、C、Mn、Crの
含有量と硬さとのバランスを変更することによって、ネ
ック加工性を損なうことなく、強度レベルの異なった各
種缶用鋼板を提供することができる。
【0025】以下、本発明について詳細に説明する。ま
ず各添加元素の限定理由について説明する。Cは、本発
明において最も重要な元素の一つであり、素材の強度と
溶接部特性を確保するために添加される。しかし、その
含有量が0.03%未満であると必要な強度を確保する
ことができず、逆にその含有量が多くなって0.08%
を超えると溶接時の入熱により硬質な相を必要以上に多
く析出し、ネック加工性に悪影響を及ぼす。したがっ
て、Cの含有量を0.03〜0.08%の範囲とする。
【0026】Mnは、Cと同様に素材の強度と溶接部特
性を確保するために重要な元素であるが、その含有量が
0.10%未満であると所望の効果を得ることができ
ず、逆にその含有量が多くなって0.60%を超えると
Cと同様にネック加工性に対して不利に働く。したがっ
て、Mnの含有量を0.10〜0.60%の範囲とす
る。
【0027】Crは、C、Mnと同様に溶接における変
態を伴う組織変化を制御して特性を確保するために有効
であるとともに、再結晶および粒成長を抑制することに
より、溶接ナゲット周辺部の軟化を抑制するために必要
な元素である。しかし、その含有量が0.035%未満
であると再結晶および粒成長抑制効果が得られず、逆に
0.100%を越えて含有させると、コストが増大する
ばかりでなく、焼鈍工程で未再結晶を生じて素材の加工
性を損なうなどの悪影響を及ぼす。したがって、Crの
含有量を0.035〜0.100%の範囲とする。
【0028】Siは、その含有量が0.05%以上にな
ると、めっき密着性が劣化し、耐食性が劣化するので、
その含有量を0.05%未満に規定する。Pは、その含
有量が多くなると、鋼板が過度に硬質化して加工性が劣
化するとともに、耐食性が劣化するので、その含有量を
そのような恐れのない0.04%未満に規定する。
【0029】Sは、その含有量が少なくなると、孔食を
起こしやすくなるため、少なくとも0.01%は必要で
ある。また、その含有量が0.04%を超えると熱間脆
性を引き起こしやすくなる。したがって、Sの含有量を
0.01〜0.04%の範囲とする。
【0030】Nは、その含有量が0.0010%未満と
なると鋼板が軟質化してDR材であっても必要な強度を
確保することができず、逆にその含有量が多くなって
0.0100%を超えると鋼板を過度に硬質化して加工
性を損なう。したがって、Nの含有量は0.0010〜
0.0100%の範囲とする。
【0031】sol.Alは、脱酸剤として作用する
が、その含有量が0.005%未満となると脱酸が不十
分となり、介在物量が増加し、逆に0.100%を超え
ると加工性に悪影響を及ぼす。したがって、sol.A
lの含有量を0.005〜0.100%の範囲とする。
【0032】次に、硬さ(HR30T)の限定理由につ
いて説明する。近年の缶用素材の薄肉化に対する製缶メ
ーカーの要求に応え、板厚が薄く、かつ充分な強度を有
する素材を提供するためには、HR30Tが70以上あ
ることが必要である。しかし、HR30Tが85を超え
ると、製缶に必要なネック加工性を確保することが困難
となる。したがって、硬さをHR30Tで70〜85の
範囲とした。
【0033】次に、炭素当量Ceqを硬さとの関係で本
発明の範囲に限定した理由について説明する。Ceq
は、前述したように、溶接時の入熱による組織の変態を
伴う変化(実質的には硬さの変化)を評価するのに適当
な指標である。図1に種々の鋼板のCeqと硬さとの関
係を示す。この図に示したネック加工性の評価から、本
発明の成分範囲を満足する鋼板が、必要とされる強度と
良好なネック加工性とを兼備したものとなるためには、
Ceqが、 62.3≦HR30T−88.4Ceq≦68.2 を満たす範囲内であることが必要であることが明らかで
ある。
【0034】本発明者らは、この範囲で良好な加工性が
得られる理由を解明するため、フランジ割れを生じた缶
胴の溶接部およびその近傍について詳細な検査を行っ
た。その結果、上記範囲から外れる範囲のうち、 HR30T−88.4Ceq<62.3 の範囲(範囲Aとする)で生じたフランジ割れ、および 68.2<HR30T−88.4Ceq の範囲(範囲Bとする)で生じたフランジ割れが、以下
に示す機構によって発生したことを知見した。
【0035】すなわち、範囲Aでは、素材のCeqが大
きく、C、Mnの含有量が大きいため、加工性を損なわ
ない範囲に硬さを制御するためには、二次冷間圧延率を
低くして、加工硬化による強化は適度に小さい範囲とす
る必要がある。このような鋼板をシーム溶接した場合、
Ceqが大きいためにナゲット部の硬さは比較的大き
く、加工硬化による強化度の小さい母材の硬さに対して
過剰となったため、応力集中を緩和することができず、
割れに至ったものである。
【0036】一方、範囲Bでは、素材のCeqが小さ
く、C、Mn含有量が小さいため、必要な硬さを得るた
めには、二次冷間圧延率を高くして、大きな加工硬化を
与える必要がある。このような鋼板をシーム溶接した場
合、Ceqが小さいためにナゲット部の硬さは比較的小
さく、加工硬化によって強化された母材の硬さに対して
不十分となったため、応力集中を緩和することができ
ず、割れに至ったものである。
【0037】これに対し、62.3≦HR30T−8
8.4Ceq≦68.2を満足する範囲では、加工硬化
により強化された母材の硬さとCeqに依存して決まる
ナゲット部硬さとの差が、ネック加工性に悪影響を及ぼ
さない十分に小さい範囲であったため、良好なネック加
工性を確保できたと考えられる。
【0038】このような知見から、本発明ではCeqを
HR30Tで表した硬さとの関係において、 62.3≦HR30T−88.4Ceq≦68.2 を満足する範囲とする。また、上述した本発明の成分範
囲を満足すれば、Ceqは0.054≦Ceq≦0.2
00の範囲を実質的に満たす。尚、HR30Tの制御は
二次冷間圧延率の調整によって行う。
【0039】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。表
1に示す成分を有するスラブ(ただし、比較鋼5は欠
番)を、表2に示すように1.8から2.0mmの厚さ
まで熱間圧延した後、酸洗し、タンデム式冷間圧延機に
て0.188〜0.266mmまで圧延した。この鋼板
を焼鈍後、0.142〜0.179mmまで再度冷間圧
延し、錫めっきを施した。
【0040】このようにして得た鋼板を溶接のためのニ
スよけ部分を除いて塗装焼き付けし、缶胴寸法に切断し
た。次いで、この鋼板をスードロニック溶接機FBB−
5600を使用して溶接し、その後、缶胴ダイネッカー
を用いてネックイン加工を施した後、フランジ加工し、
その加工性を評価した。
【0041】加工性は、ネックイン後フランジ加工を施
した際のフランジ割れの発生率により、以下の基準で評
価した。 評価 フランジ割れ ○ 0ppm △ 1〜100ppm × 101ppm以上 その結果を表2に示す。また、硬さの値も表2に示す。
【0042】本発明の範囲(成分組成、硬さおよび6
2.3≦HR30T−88.4Ceq≦68.2)を満
足する本発明鋼はいずれも、表2に示すように溶接後の
ネックイン後のフランジ加工性がすぐれていることが確
認された。これに対して、比較鋼1,2,13は62.
3≦HR30T−88.4Ceq≦68.2を満足する
ものの、C,Crの含有量が本発明範囲外であり、比較
鋼3、12は62.3≦HR30T−88.4Ceq≦
68.2を満足せず、C,Crも本発明範囲外となって
いる。また、比較鋼1はHR30Tが70未満であり、
本発明範囲外である。他の比較鋼(ただし、比較鋼5は
欠番)は、いずれも62.3≦HR30T−88.4C
eq≦68.2を満足しない。これら比較鋼は、ネック
イン後のフランジ加工性の点で劣っているか、または十
分な素材硬さが得られないことが確認された。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
溶接製缶におけるネック成形性に優れ、かつ高強度を有
するために鋼板の薄肉化に適用することができる極薄溶
接缶用鋼板が提供される。本発明はこのように鋼板の板
厚を薄くできる点など、省資源、省エネルギーの面から
もその経済的価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】CeqとHR30Tとの関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 余村 吉則 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 渡辺 真介 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−253820(JP,A) 特開 平8−60298(JP,A) 特開 平8−92641(JP,A) 特開 平7−316719(JP,A) 特開 平4−350125(JP,A) 特開 平5−287443(JP,A) 特開 昭61−34159(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.03〜0.08%、
    Mn:0.10〜0.60%、Cr:0.035〜0.
    100%、Si:0.05%未満、P:0.04%未
    満、S:0.01〜0.04%、N:0.0010〜
    0.010%、sol.Al:0.005〜0.100
    %を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からな
    り、ロックウエル硬さ(HR30T)が70以上85以
    下であり、炭素当量CeqをCeq=[%C]+1/6
    [%Mn]+1/5[%Cr]で表した場合に、62.3≦
    HR30T−88.4Ceq≦68.2の関係を満たす
    ことを特徴とするネックイン加工後のフランジ加工性
    優れた溶接缶用極薄鋼板。
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