JP4235247B1 - 製缶用高強度薄鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ASTMによる規制をクリアしながら強度と延性を両立させた加工性に優れた製缶用高強度薄鋼板を提供する。
【解決手段】製品板厚tが0.1〜0.5mmである製缶用高強度薄鋼板において、質量%で、 C:0.04−0.13、Si:0.01超−0.03、Mn:0.1−0.6、P:0.02以下、S:0.02以下、Al:0.01−0.2、N:0.001−0.02、を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有し、鋼組織がフェライト主体のフェライトとマルテンサイトとの複合組織であって、マルテンサイト分率を5%以上、30%未満とし、マルテンサイト粒径d(μm)と製品板厚t(mm)とが、下記式(A)を満たし、30T硬度が60以上であることを特徴とする。
1.0<(1−EXP(−t*3.0))*4/d―――――式(A)
【選択図】図1

Description

本発明は、食缶や飲料缶の素材として用いられる製缶用高強度薄鋼板及びその製造方法に関するものである。ここで高強度薄鋼板とは、引張り強度が590MPa以上の薄鋼板を意味するものである。
製缶用鋼板としては一般的に、製品板厚tが0.1〜0.5mmの冷圧薄鋼板が使用されている。製缶用鋼板は高強度となるほど製品板厚tを薄くすることができるため、できるだけ高い強度が要求される。
このため従来は、2回冷延法により製缶用高強度薄鋼板を製造するのが一般的であった。この方法は、例えば特許文献1、特許文献2に示されるように、鋼板を1回冷延後に焼鈍したうえ、さらに2回目の冷延を施して硬度を所定の値に調製する方法である。このほか、粗大粒からなる軟質熱延板を冷延する方法なども提案されている。
しかしこれらの従来技術により製造された製缶用高強度薄鋼板は、加工性が極めて低いという欠点を有しており、製缶工程において成形不良を生じ易い。特に最終工程が冷延である場合には成品は延性の低い冷延組織から成るため、この傾向が著しい。また冷延後に歪取り焼鈍を行う方法も提案されているが、鋼板は再結晶させられることはないため、延性が低いままであることは同様である。
従ってこれらの製缶用高強度薄鋼板は曲げ加工を主体とし、延性をあまり要求されない場合には使用できるものの、大きな延性が要求される場合には使用することができない。さらに近年においては缶用素材に薄肉化が急激に進んでいるため、鋼板の延性はますます低下する傾向にあり、食缶や飲料缶のデザイン変化に対応できないという問題がある。このように、製缶用鋼板には強度と延性がともに要求されている。
なお、自動車用鋼板においても強度と延性がともに要求されており、この技術分野においては、特許文献3に示されるように、延性に優れたフェライト相と硬質の析出相との2相(DP)組織とすることにより、延性と強度とを両立させることが提案されている。しかし自動車用鋼板とは異なり、食缶や飲料缶の鋼板については人体への無害性の観点から、ASTMが合金成分を厳しく制限しているため、自動車用鋼板の製法を製缶用高強度薄鋼板に適用することはできない。例えば、特許文献3の発明では1.5〜3.5%のMnを含有させて結晶粒を微細化しているが、ASTMではMnの上限は0.6%と規定されており、規格外となる。
また製品板厚tを0.1〜0.5mmと薄くすると、自動車用鋼板において発現するような伸び改善が得られない。これは極薄材においては板厚が薄いためにマルテンサイトとフェライト界面の応力集中が起こり易いためと考えられる。しかもASTMをクリアできるように合金成分を低減させると、マルテンサイトの粒径が大きくなる。これらの理由により、自動車用鋼板のDP技術を製缶用高強度薄鋼板に適用し、強度と延性とを両立させることは不可能であった。
特公昭38−8563号公報 特開平8−5039号公報 特開2004−285366号公報
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、ASTMによる規制をクリアしながら強度と延性を両立させた加工性に優れた製缶用高強度薄鋼板を提供することを目的とするものである。なお、ASTMによる缶用鋼板の合金成分の規制上限値は次の通りである。
C:0.13%、Mn:0.60%、P:0.020、S:0.03%、Si:0.020%、Cu:0.60%、Ni:0.15%、Cr:0.10%、Mo:0.05%、Al:0.20%、その他:0.02%。
上記の課題を解決するためになされた請求項1の発明は、製品板厚tが0.1〜0.5mmである製缶用高強度薄鋼板において、質量%で、
C:0.04−0.13、
Si:0.01超−0.03、
Mn:0.1−0.6、
P:0.02以下、
S:0.02以下、
Al:0.01−0.2、
N:0.001−0.02、
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有し、
鋼組織がフェライト主体のフェライトとマルテンサイトとの複合組織であって、
マルテンサイト分率を5%以上、30%未満とし、
マルテンサイト粒径d(μm)と製品板厚t(mm)とが、下記式(A)を満たし、
30T硬度が60以上であることを特徴とするものである。
1.0<(1−EXP(−t*3.0))*4/d―――――式(A)
また請求項2の発明は、製品板厚tが0.1〜0.5mmである製缶用高強度薄鋼板において、質量%で、
C:0.04−0.13、
Si:0.01超−0.03、
Mn:0.1−0.6、
P:0.02以下、
S:0.02以下、
Al:0.01−0.2、
N:0.001−0.02、
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有し、
鋼組織がフェライト主体のフェライトとマルテンサイトとの複合組織であって、
マルテンサイト分率を5%以上、30%未満とし、
マルテンサイト粒径d(単位μm)と製品板厚t(mm)とマルテンサイト硬さ(Hv)とが、下記式(B)を満たし、
30T硬度が60以上であることを特徴とするものである。
1.0<{(1−EXP(−t*3.0))*2400/Hv}/d―――――式(B)
また請求項3のように、鋼組成中にさらに、質量%で、
Mo:0.05以下、
Ni:0.15以下、
Cr:0.10以下、
V:0.02以下、
B:0.02以下、
Nb:0.02以下、
Ti:0.02以下、
の1種または2種以上を含有させて焼き入れ性を向上させることができる。
請求項4は請求項1〜3の何れかに記載の製缶用高強度薄鋼板の製造方法の発明であって、仕上げ温度Ar3以上で熱間仕上げ圧延を行い、その後750℃以下の温度で巻き取った後、冷延率80%以上で冷間圧延を行い、焼鈍工程においてAr1以上、870℃以下の温度にて3分以下保持した後、750℃から400℃の温度域を100℃/秒以上の冷却速度として300℃以下まで冷却することを特徴とするものである。
なお、請求項4の発明では請求項5のように、熱間仕上げ圧延の仕上げ温度がAr3以上、920℃以下であり、その後の冷却工程における850℃から600℃までの平均冷却速度が20℃/秒以上であり、巻き取り温度が550℃以下であることが好ましい。
請求項1〜2の発明によれば、製品板厚tに対応させてマルテンサイト粒径dを制御したので、ASTMによる規制をクリアしながら、強度と延性を両立させた製缶用高強度薄鋼板を得ることができる。なお請求項2の発明は、製品板厚tとともにマルテンサイト硬さHvを考慮してマルテンサイト粒径dを制御したもので、強度と延性をより高いレベルで両立させることができる。
請求項3の発明によれば、マルテンサイトの析出を促進する合金元素を添加したことにより焼き入れ性が改善されたり、強度不足を補う合金元素を添加したことにより、強度を高めることができる。なお缶はリサイクルされて再利用されるが、請求項3の合金成分中には、リサイクル工程において障害となる元素(除去しにくい元素)は含まれていない。
請求項4、5の発明によれば、冷間圧延を2回繰り返すことなく、請求項1〜3に記載のようにマルテンサイト粒径dが制御された製缶用高強度薄鋼板を効率良く製造することができる。
本発明の製缶用高強度薄鋼板は、質量%で、C:0.04−0.13、Si:0.01超−0.03、Mn:0.1−0.6、P:0.02以下、S:0.02以下、Al:0.01−0.2、N:0.001−0.02を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有するものであるから、先ず各成分の数値限定の理由を説明する。
C:0.04〜0.13%
Cは缶用鋼板に必要な強度を確保するために、0.04%以上とする。しかし0.13%を超えるとASTMをクリアできないので、Cは0.04〜0.13%の範囲に限定した。より好ましくは,目的とする鋼板の強度レベルにもよるが,C量が多くなると得られるマルテンサイトの強度が高くなる傾向になるため,伸びと強度をバランスよく両立させるためには,C量は,0.04以上、0.07未満であることが好ましい。
Si:0.01超−0.03%
Siは、熱間圧延および冷間圧延における変形抵抗を増加させる元素であり、強度を確保するためには0.01%を超える量を含有させることが必要であり、より好ましくは0.015%以上とする。上限はASTMの定める0.03%とした。
Mn:0.1−0.6%
Mnは、Sによる熱間割れを防止し、熱延板の強度増加を抑制しつつ、冷延鋼板の強度を増加させ、さらに結晶粒を微細化する有用な元素であり、少なくとも0.1%を含有させる必要がある。Mnを0.1%以上含有させることにより、巻取温度での保熱または巻取り温度から徐冷程度の熱履歴でも比較的短時間に、マルテンサイト変態を生じやすくなる。上限はASTMの定める0.60%とした。より好ましくは,目的とする強度レベルにもよるが,Mnは固溶強化元素であるため,添加量の増大により強度を向上させる傾向にあるため,伸びと強度を両立させるためには0.1以上、0.5未満であることが好ましい。
P:0.02%以下
Pは、鋼板の延性を低下させる元素であり、また、Pは鋼中で偏析する傾向が強く、偏析に起因した脆化をもたらす。このため、Pはできるだけ低減することが好ましく、本発明ではその上限を0.02%とした。この上限はASTMの定める値と一致する。
S:0.02 %以下
Sは、鋼中では介在物として存在し、鋼板の延性を低下させ、さらには耐食性の劣化をもたらすため、できるだけ低減することが好ましく、本発明では本発明ではその上限を0.02%とした。この上限はASTMの定める値と一致する。
Al:Al:0.01−0.2%
Alは、脱酸剤として作用し、鋼の清浄度を向上させ、また、組織を微細化する作用を有する有用な元素である。このような効果を得るためには0.01%以上含有させることが望ましい。またその上限はASTMの定める0.2%とした。
N:0.001−0.02%
Nは、固溶強化、歪時効硬化により鋼板の強度(降伏強さおよび引張強さ)を上昇させる作用を有する元素であり、このような効果を得るためには0.001%以上を含有させる必要がある。また0.02%を越えて含有させると、スラブ割れや鋼板の内部欠陥の増加を招くので好ましくない。
本発明では上記の基本的な鋼組成に更に、質量%で、Mo:0.05以下、Ni:0.15以下、Cr:0.10以下、V:0.02以下、B:0.02以下の1種または2種以上を含有させることができる。これらは何れも鋼板の焼き入れ性を向上させるための成分であり、強度増加に有効であるが、その上限はASTMにより上記のように制限されている。これらの成分の添加は必須ではないが、目的とする強度が高い場合には適宜添加することが望ましい。過剰の添加はフェライトを抑制して延性の低下に繋がるので、その意味からも上記の範囲が適切である。
また本発明では上記の基本的な鋼組成に更に、質量%で、Nb:0.02以下、Ti:0.02以下の1種または2種を含有させることができる。これらは何れも析出強化元素であり、強度増加を図るうえで有効である。これらの成分の上限値もASTMにより上記のように制限されている。上記した焼き入れ性を向上させるための成分と、析出強化成分とは単独で用いても、併用してもよい。
本発明の製缶用高強度薄鋼板は、上記した鋼組成を有し、製品板厚tが0.1〜0.5mmのものである。製品板厚tが0.1mm未満では現行の技術では製缶が困難であり、0.5mmを越えるものは薄鋼板の概念を外れるので、製品板厚tを0.1〜0.5mmとした。より好ましくは、製品板厚tは0.1〜0.3mmの範囲である。
本発明の製缶用高強度薄鋼板は、鋼組織がフェライト主体のフェライトとマルテンサイトとの複合組織である。フェライトは鋼板の加工性を高めるための必須の相であり、これを主相とする。一方、マルテンサイトは鋼板の強度を高めるために本発明において必須の相であり、これらフェライトとマルテンサイトとの2相組織とすることによって、延性と強度とを両立させる。
なおマルテンサイト分率は、5%以上30%未満とすることが好ましい。マルテンサイトが5%未満であると強度が不足し、30%を越えると相対的にフェライト分率が低下して加工性が低下するからである。
本発明の製缶用高強度薄鋼板では、マルテンサイト粒径d(μm)を製品板厚t(mm)との関係で制御し、請求項1の発明では下記式(A)を満たすようにする。
1.0<(1−EXP(−t*3.0))*4/d―――――式(A)
後述の実施例1の表2について、横軸に板厚、縦軸にマルテンサイト粒径をとって伸びが5%以上のものを合格として○、5%未満を不合格として×としてプロットしたものが図1で、合否の境界を自然対数で近似したものが前述の式(A)である。すなわち、製品板厚tが0.1mmに近づくとマルテンサイト粒径dの上限は1μmに近づき、製品板厚tが0.3mmに近づくとマルテンサイト粒径dの上限は2.5μmに近づく。このように製品板厚tを考慮してマルテンサイト粒径dの上限を規制したのは、製品板厚tに比較して硬質のマルテンサイト粒径dが大きくなると、加工性が低下するためである。
また請求項2の発明では、上記(A)式の4/dを2400/Hvとし、置き換えた式全体をマルテンサイト粒径d(μm)で割った下記式(B)を満たすようにする。
1.0<{(1−EXP(−t*3.0))*2400/Hv}/d―――――式(B)
後述の実施例2の表3について、製品板厚t(mm)=0.22mmの場合で横軸にマルテンサイトの超微小ビッカース硬度、縦軸にマルテンサイト粒径をとって伸びが5%以上のものを合格として○、5%未満を不合格として×としてプロットしたものが図2で、合否の境界を自然対数で近似したものが前述の式(B)である。
ここでHvはマルテンサイト超微小ビッカース硬度であり、測定方法は例えば島津製作所製HMV−1ADにて測定荷重を組織にあわせて10g以下として測定される硬度である。超微小ビッカース硬度Hvが300よりも大きくなるとマルテンサイト粒径dの上限は上式で規定される値よりも小さくなることとなる。
30T硬度はJIS2241の30Tに基づいて評価するもので、30T硬度が60未満だと缶の胴部に用いた場合に強度不足となるため60以上が必要であり、後述の100℃/秒以上の冷却速度や300℃以下まで冷却により達成する。上限は特に定めないが、現状の急冷によって達成できる30T硬度の上限は90程度であり、これを上限と見る。尚、より好ましくは伸びと強度のバランスから65〜85である。
以下に本発明の製缶用高強度薄鋼板の製造方法を説明する。
本発明の製缶用高強度薄鋼板は、基本的に熱延、巻取り、冷延、焼鈍、急冷の工程を経て製造されるもので、熱延をできるだけ低温で行うことによって熱延板の結晶粒径を小さくし、これを80%以上の高い冷延率で冷延することによって結晶粒径を小さくし、焼鈍工程でオーステナイト変態を生じさせ、急冷速度を適切に制御することによって微細なマルテンサイトを発生させる。
まず熱延は、熱間仕上げ圧延の仕上げ温度をAr3以上として行う。冷延鋼板の粒径を微細化するためには熱延板の結晶粒の微細化が効果的であり、このためには熱延温度はできるだけ低くすることが好ましく、920℃以下とすることが好ましい。しかし熱延温度がAr3以下となるとフェライト−オーステナイトの2相域での圧延となるために熱延板の表層に粗大粒が発生してしまい、その後の工程においてマルテンサイト粒径dの微細化ができなくなるから、熱間仕上げ圧延温度はAr3以上、920℃以下とすることが好ましい。
この熱延鋼板は冷却され巻き取られるが、冷却工程における850℃から600℃までの平均冷却速度が20℃/秒以上であることが好ましい。これは熱延鋼板の結晶の粒径を細かくするためには、850℃から600℃までの冷却速度が重要であるからである。この温度域における平均冷却速度が20℃/秒よりも遅いと、粒径が大きくなるため、その後に微細化させることができなくなる。巻取り温度は750℃以下、好ましくは550℃以下とする。巻取り温度がこれよりも高くなると熱延段階においてフェライトとパーライトの層状組織が形成されて均一性が損なわれるため、その後に冷延や焼鈍を行っても加工性が低下するためである。
巻き取られた鋼板は次に冷延により0.1〜0.5mmの範囲内の所望板厚に加工されるが、本発明においてはこの冷間圧延における冷延率を80%以上という大きな値とする点が重要である。この冷延率が80%未満であると焼鈍時のフェライト粒径が大きくなってしまい、マルテンサイトを所定の細かさにすることができない。なお冷延ミルの性能上、冷延率を95%以上とすることは困難であるから、冷延率は80〜95%の範囲内、好ましくは83〜93%とする。
次の焼鈍と急冷は、フェライトとマルテンサイトとの複合組織を得るために重要な工程である。焼鈍工程においては冷延鋼板がAr1以上、870℃以下の温度にて3分以下保持される。保持温度がAr1以下であると焼鈍工程においてオーステナイト変態が起こらないので、急冷してもマルテンサイトを出すことができない。しかし保持温度が870℃以上となると焼鈍時の再結晶が進みすぎてフェライトが粗粒となり、マルテンサイトを所定の大きさ以下とすることができなくなる。なお保持時間を3分以下としたのは、再結晶の進行を抑制するためである。
最後の急冷工程では、750℃から400℃の温度域を100℃/秒以上の冷却速度として300℃以下まで冷却することによって、フェライト中に微細なマルテンサイトを析出させる。冷却速度がこれよりも遅いとマルテンサイトが形成されない。また100℃/秒以上の冷却速度で冷却する温度範囲を750℃から400℃としたのは、最も効率的にマルテンサイトを析出させるためであり、急冷開始温度が750℃よりも低いとフェライトの成長が進んでマルテンサイトの微細化が困難となる。また少なくとも400℃まで急冷を行わないと、マルテンサイトが生成されずに強度不足となる。このようにして300℃以下にまで冷却すれば結晶構造は安定し、フェライト中に微細なマルテンサイト粒が分散した本発明の製缶用高強度薄鋼板を得ることができる。なお400℃以下の温度域での冷却速度は任意である。
このようにして製造された製缶用高強度薄鋼板は請求項1、2に記載したマルテンサイト粒径dを備え、強度と延性を両立させることができる。しかも合金成分はASTMを満足しており、食缶や飲料缶の素材として安心して用いることができる。以下に本発明の実施例を示す。
表1に示す成分の鋼を溶製し、表2に示す製造条件にて製造した鋼板A1〜S1について、マルテンサイトの状態、式(A)の左辺の計算結果、30T硬度、伸びについて評価を行った。
Figure 0004235247
Figure 0004235247
ここでマルテンサイトの状態についてはレペラーエッチングにてマルテンサイトを同定し、1000倍の光学顕微鏡にて0.2μm×0.2μmの視野を少なくとも100視野に渡って画像解析を実施してマルテンサイト分率を求める。またマルテンサイト粒径は同様の測定で円相当直径を算出し平均化する。
硬度はJIS2241の30Tに基づいて評価する。30T硬度が60未満だと前述のように缶の胴部に用いた場合に強度不足となるため60以上を合格とする。伸びはJISZ2241のJIS5号片に基づいて材質試験を行い、前述のように伸びが5%以上のものを合格とし、5%未満を不合格とした。
表2から、成分および熱延〜冷延、焼鈍で所定の条件を満足し式(A)を満足した鋼はマルテンサイト粒径が小さく、伸びが確保されていることがわかる。
表1に示す成分の鋼を表3に示す製造条件にて製造した鋼板A21〜Q22について、マルテンサイトの状態、式(B)の左辺の計算結果、マルテンサイト極微笑ビッカース硬度、30T硬度、伸びについて評価を行った。
尚、各種評価方法は実施例1と同様の方法および基準にて実施した。
Figure 0004235247
表3から、熱延〜冷延、焼鈍で所定の条件を満足し式(B)を満足した鋼はマルテンサイト粒径が小さく、伸びが確保されていることがわかる。
伸びの良否について板厚とマルテンサイト粒径で整理した図である。 伸びの良否についてマルテンサイトの超微小ビッカース硬度とマルテンサイト粒径で整理した図である。

Claims (5)

  1. 製品板厚tが0.1〜0.5mmである製缶用高強度薄鋼板において、質量%で、
    C:0.04−0.13、
    Si:0.01超−0.03、
    Mn:0.1−0.6、
    P:0.02以下、
    S:0.02以下、
    Al:0.01−0.2、
    N:0.001−0.02、
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有し、
    鋼組織がフェライト主体のフェライトとマルテンサイトとの複合組織であって、
    マルテンサイト分率を5%以上、30%未満とし、
    マルテンサイト粒径d(μm)と製品板厚t(mm)とが、下記式(A)を満たし、
    30T硬度が60以上であることを特徴とする製缶用高強度薄鋼板。
    1.0<(1−EXP(−t*3.0))*4/d―――――式(A)
  2. 製品板厚tが0.1〜0.5mmである製缶用高強度薄鋼板において、質量%で、
    C:0.04−0.13、
    Si:0.01超−0.03、
    Mn:0.1−0.6、
    P:0.02以下、
    S:0.02以下、
    Al:0.01−0.2、
    N:0.001−0.02、
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有し、
    鋼組織がフェライト主体のフェライトとマルテンサイトとの複合組織であって、
    マルテンサイト分率を5%以上、30%未満とし、
    マルテンサイト粒径d(単位μm)と製品板厚t(mm)とマルテンサイト硬さ(Hv)とが、下記式(B)を満たし、
    30T硬度が60以上であることを特徴とする製缶用高強度薄鋼板。
    1.0<{(1−EXP(−t*3.0))*2400/Hv}/d―――――式(B)
  3. 鋼組成中にさらに、質量%で、
    Mo:0.05以下、
    Ni:0.15以下、
    Cr:0.10以下
    V:0.02以下、
    B:0.02以下、
    Nb:0.02以下、
    Ti:0.02以下、
    の1種または2種以上を含有させたことを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の製缶用高強度薄鋼板。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の製缶用高強度薄鋼板の製造方法であって、
    仕上げ温度Ar3以上で熱間仕上げ圧延を行い、その後750℃以下の温度で巻き取った後、冷延率80%以上で冷間圧延を行い、焼鈍工程においてAr1以上、870℃以下の温度にて3分以下保持した後、750℃から400℃の温度域を100℃/秒以上の冷却速度として300℃以下まで冷却することを特徴とする製缶用高強度薄鋼板の製造方法。
  5. 熱間仕上げ圧延の仕上げ温度がAr3以上、920℃以下であり、その後の冷却工程における850℃から600℃までの平均冷却速度が20℃/秒以上であり、巻き取り温度が550℃以下であることを特徴とする請求項4に記載の製缶用高強度薄鋼板の製造方法。
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