JP3242455B2 - 缶蓋殺菌方法 - Google Patents

缶蓋殺菌方法

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JP3242455B2
JP3242455B2 JP21244692A JP21244692A JP3242455B2 JP 3242455 B2 JP3242455 B2 JP 3242455B2 JP 21244692 A JP21244692 A JP 21244692A JP 21244692 A JP21244692 A JP 21244692A JP 3242455 B2 JP3242455 B2 JP 3242455B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品や飲料等を充填す
る缶の端板部として使用される缶蓋の殺菌方法に関し
特に、無菌充填法を適用するための前処理としての缶蓋
の殺菌に適した缶蓋殺菌方法に関する
【0002】
【従来の技術】缶に食品や飲料等を充填して密封する場
合、一般的には充填密封後に加熱殺菌するという方法が
とられているが、この方法では、缶に用いられている塗
料等の耐熱性の問題から加熱温度が制限されるため、殺
菌のために長時間加熱せざるを得ず、そのために内容物
の風味が損なわれることがあり、また、高温をかけるこ
とのできない内容物を充填するのには不都合である等の
問題がある。そこで、従来から例えばミルクを紙カート
ンに充填する場合等に適用されているような無菌充填
法、すなわち、あらかじめ適当な手段により殺菌した内
容物を、あらかじめ殺菌処理した容器内に充填するとい
う方法が、缶に食品や飲料等を充填する場合にも採用さ
れることがある。
【0003】このような無菌充填法を缶に対する充填に
適用する場合に、缶を密封するための缶蓋についても、
あらかじめ無菌状態としておくことが必要となり、その
ための缶蓋の殺菌手段として、従来、多数重ねられた状
態で輸送されてくる成形済の缶蓋を、一枚づつ分離し、
その進行方向に対して缶蓋面が直交するように一枚づつ
隔離して連続的に搬送し、その搬送経路中において高温
スチーム等を吹き付けることにより、各缶蓋を殺菌する
ということが行われている(特開昭54−68378号
公報、特開昭56−104669号公報)。しかしなが
ら、缶蓋を直接高温スチームでその細部にわたり殺菌す
るためには、長時間缶蓋を高温スチームに曝す必要があ
り、しかも、缶蓋を一枚づつ殺菌しなければならないた
め、極めて長時間を要し、缶蓋殺菌処理効率が著しく低
下してしまうという問題がある。
【0004】一方、搬送中の蓋材に過酸化水素水等の
菌液を噴霧し、その後熱風を吹き付けることにより殺菌
液を蒸発乾燥させて除去するという技術は従来知られて
おり、具体的には、傾斜した搬送用ガイドに沿って、殺
菌剤噴出部、無菌熱風噴出部等が設けられ、搬送用ガイ
ドにより移動する蓋材に、殺菌剤噴出部から過酸化水素
水等の殺菌液を吹き付け、その後熱風乾燥をするという
技術が従来公知であり(特開昭63−44429号公
報)、また、容器の蓋等を外気から遮断された殺菌室内
に導入し、該殺菌室内をコンベアにより搬送中に、噴霧
ノズルより噴霧された過酸化水素水等の殺菌液の細かい
霧粒をその表面に付着させ、その後熱風乾燥をするいう
技術が従来公知である(特開昭59−115220号公
報、特開昭62−28326号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、飲料用の缶
等において一般に広く使用されている缶蓋、すなわち、
図5に示されているような、平らなフラット部104の
他に、缶本体の胴部との巻き締め接合を行うためのカー
ル部102、開缶を行う際に用いるタブの陰になるタブ
周り部分106、タブを支持するリベットが固定された
リベットホール103、環状凹部を形成するカウンター
シンク部105等を有するような複雑な表面形状の缶蓋
に対して殺菌液を噴霧して付着させる場合、缶蓋の各部
分にわたって殺菌液を良好に進入させるためには、上記
の従来技術にも示されているように、搬送用ガイドによ
り移動する蓋材に殺菌剤噴出部から過酸化水素水等の
菌液を吹き付けるようなもの(特開昭63−44429
号公報)では、缶蓋の両面を殺菌液噴霧装置に対向させ
るために缶蓋進行方向に対して缶蓋面が平行になるよう
に配置し、缶蓋両面に殺菌液を直接水滴状にして充分吹
き付けるように構成しなければならず、また、外気から
遮断された殺菌室内で噴霧ノズルより噴霧された過酸化
水素水等の殺菌液の細かい霧粒をその表面に付着させる
もの(特開昭59−115220号公報、特開昭62−
28326号公報)では、殺菌液の霧粒を充満させるた
めの密閉構造の殺菌室を設ける必要があり、その殺菌室
内の殺菌液の霧粒が充満した雰囲気中に缶蓋を充分時間
をかけて曝すように構成する必要がある。
【0006】その結果、前者のものでは、缶蓋を1枚づ
つ進行方向に対してその両面が平行になるように配置す
ることにより、搬送経路が長くなって搬送効率が悪くな
り、しかも殺菌液を大きな水滴状にして大量に吹き付け
るため、殺菌剤の水切り部等も必要となる。また、後者
のものでは、殺菌室内の殺菌液の霧粒が外部に漏れない
ような密閉された構造の殺菌室を設けることが必要とな
り、いずれのものにおいても、殺菌装置自体が大型化す
るとともに、殺菌経路を通過させるための缶蓋搬送時間
が長くなって作業効率が落ちるという問題がある。
【0007】本発明は、上記のような従来の缶蓋殺菌方
法の持つ問題を解決することを目的としており、複雑な
表面形状の缶蓋を細部にわたり短時間で充分に殺菌する
ことのできる缶蓋殺菌方法を提供することを目的として
いる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決しかつ目的を達成するために、缶蓋を、その進行方
向に対して缶蓋面が直交するように、一枚づつ隔離して
連続的に搬送する缶蓋搬送経路中において、先ず、搬送
中の缶蓋群の側方から殺菌液を噴霧し、該缶蓋群を挟ん
で噴霧位置に対向する位置で、噴霧された殺菌液の吸引
することにより、各缶蓋の間に霧状の殺菌液の流れを生
じさせて殺菌液を缶蓋の表面に付着させるとともに、噴
霧された余分の殺菌液を吸引によって缶蓋搬送経路から
排除し、次いで、殺菌液処理済の各缶蓋を加熱してその
表面に付着した殺菌液を蒸発乾燥させて除去することを
特徴とする缶蓋殺菌方法を提供するものであり、さら
に、そのような缶蓋殺菌方法をより好適に実施するため
に、殺菌液として2.0〜15.0重量%の過酸化水素
水を、缶蓋全表面の付着量が15〜100mg/100
cm2 となるように噴霧し、殺菌液処理済の各缶蓋を、
缶蓋温度が100〜200℃となるように加熱するとい
う実施態様を有するものである。
【0009】
【作 用】上記のような本発明の缶蓋殺菌方法によれ
、缶蓋を、その進行方向に対して缶蓋面が直交するよ
うに、例えばその間隔を10mm程度に、高密度でしか
も比較的短時間で搬送しながら殺菌液で処理しても、各
缶蓋間に噴霧された殺菌液が流れとなって強制的に入り
込むため、噴霧ノズルをそれぞれの缶蓋面に対向するよ
うに配置しなくても、各缶蓋の細部にまで殺菌液を充分
に付着させることができ、しかも、缶蓋に付着しなかっ
た余分な殺菌液は吸入されて排除されるため、殺菌液を
その周りに拡散させることがなく、殺菌装置の周りの作
業環境を悪化させることがない。
【0010】さらに、そのような本発明の缶蓋殺菌方法
において、殺菌液である過酸化水素水の噴霧条件を、
2.0〜15.0重量%の濃度で、かつ缶蓋の全表面に
対し15〜100mg/100cm2 の付着量となるよ
うに設定し、缶蓋の加熱温度を100〜200℃とすれ
ば、比較的低い濃度の過酸化水素水を使用して、加熱処
理時に液滴痕が残存する程噴霧量を多くせずに、缶蓋の
塗膜が変色しない程度の加熱で、完全な殺菌効果を得る
ことができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の缶蓋殺菌方法の実施例につい
て図面を参照しながら説明する。まず、図1〜図4によ
って、本発明の缶蓋殺菌方法の実施に使用する缶蓋殺菌
装置の一例について説明すると、缶蓋殺菌装置10は、
図1に示ように、缶蓋殺菌装置10内における缶蓋搬
送手段12と、該缶蓋搬送手段12の前部に配置された
殺菌液処理手段14と、缶蓋搬送手段12の後部に配置
された加熱処理手段16とにより構成されている。
【0012】缶蓋搬送手段12は、図2に示ように、
搬送経路に沿って3本の螺旋溝付きスクリュー70,7
2,74を、缶蓋18を中心に逆倒三角形状に平行に配
置したもので、横方向に重ね合わされた状態で輸送され
てきた各缶蓋18の端縁が各スクリュー70,72,7
4の螺旋溝に入ることにより、各缶蓋18が軽く回転で
きるように両側方および下方から支持され、スクリュー
70,72,74の1ピッチ当たりにそれぞれ缶蓋18
が1枚保持されることによって、缶蓋進行方向に対して
缶蓋面が直交し、且つ隣接する缶蓋面との間隔が10m
m程度となるように隔離された状態で、各缶蓋が殺菌液
処理手段14に導入されるように構成されている。この
ような缶蓋搬送手段の構成は、従来の高温スチーム等の
吹き付けによる缶蓋の殺菌(特開昭54−68378号
公報、特開昭56−104669号公報)において使用
されている缶蓋搬送手段と同様の構成を有するものであ
る。
【0013】なお上記の缶蓋搬送手段12の具体的な
仕様については以下の通りである。
【0014】殺菌液処理手段14は、図1に示よう
に、殺菌液噴霧部14aと吸引部14bとからなり、殺
菌液噴霧部14aは、図示していないコンプレッサより
送られる圧搾空気を濾過するフィルタ20,過酸化水素
水タンク22,純水タンク24,ミキサー26,貯蔵タ
ンク28,自動供給装置30,薬液タンク32,流量計
34,流量調節弁36,噴霧ノズル38等により構成さ
れており、噴霧ノズル38は、具体的には、図2と図3
により示すように、搬送中の缶蓋18の上部に、4本の
噴霧ノズル38a,38b,38c,38dとして配置
される。吸引部14bは、図1に示ように、缶蓋搬送
手段12の下方に配置された集霧ダクト43およびこれ
に続くブロア44,ミスト凝集器46,排気処理装置4
8等により構成されている。
【0015】この殺菌液処理手段14の領域において、
殺菌液噴霧部14aと吸引部14bとの間に位置する缶
蓋搬送手段12には、図2および図3(A)に示よう
に、各スクリュー70,72,74に対応して、スクリ
ューに付着した余剰殺菌液を除去するためのブローオフ
ノズル76,78,80が、スクリューの回転方向と対
向する方向へ圧搾空気を送るように、各スクリュー7
0,72,74に近接して配置され、各ブローオフノズ
ル76,78,80から送られる圧搾空気による余剰殺
菌液除去効率を向上させるためのブレード82,84,
86,88,90,92が、各スクリュー1本に対して
2本づつ設けられている。
【0016】なお上記の殺菌液処理手段14の具体的
な仕様については以下の通りである。 処理部の長さ 250mm(缶蓋通過時間:2.5秒) 殺菌液噴霧ノズル 個数 4本 方式 2流体方式 パターン 平吹き 粒径 40〜80μm ブローオフノズル 個数 3本(1本/スクリュー) ブレード 個数 6枚(2枚/スクリュー) 排気量 約100m3 /時間
【0017】加熱処理手段16は、図1に示ように、
エアフィルター50,ブロア52,エアフィルター5
4,ヒーター56等により構成される高温空気の供給部
と、ブロア58,放冷器60,フィルター62等により
構成される排気部とからなり、該排気部は、使用済の高
温空気を排気して冷却した後、加熱処理手段16の最後
部に位置する冷却処理部63に供給するように構成され
ている。なお、加熱処理手段16中には、その加熱温度
を監視するための温度センサー66が設置されている。
この加熱処理手段16の要部については、具体的には、
図4に示すように、缶蓋搬送手段12のスクリュー7
0,72およびスクリュー72,74の各間隙に、高温
空気の供給部から供給される高温空気を搬送中の各缶蓋
18に吹き付けるための熱風ノズル96,98が配置さ
れており、この高温空気の吹き付けによる缶蓋18の浮
き上がりを防止するためのガイド100が、缶蓋搬送手
段12の上方に配置されている。
【0018】なお上記の加熱処理手段16の具体的な
仕様については以下の通りである。 処理部の長さ 320mm(缶蓋通過時間:3.2秒) 熱風ノズル 個数 2本 長さ 300mm 口径 2mmφ×5mmピッチ 吹出し量 約120m3 /時間
【0019】つぎに、上記のような缶蓋殺菌装置によっ
て実施される缶蓋殺菌方法の一実施例について説明す
る。まず、横方向に重ね合わされた状態で缶蓋殺菌装置
10に搬送されてきた缶蓋18を、缶蓋殺菌装置10の
缶蓋搬送手段12によって、重ね合わされた状態の各缶
蓋18を一枚づつ分離し、缶蓋進行方向に対して缶蓋面
が直交し、且つ隣接する缶蓋面との間隔が10mm程度
となるように隔離して、殺菌液処理手段14に導入する
(図1の右方向から左方向へ搬送)。
【0020】殺菌液処理手段14においては、過酸化水
素水タンク22内の過酸化水素水と純水タンク24内の
純水とをミキサー26により混合して適当濃度に調整し
た希薄過酸化水素水とし、これを殺菌液として貯蔵タン
ク28に貯蔵しておき、この貯蔵タンク28から自動供
給装置30により希薄過酸化水素水を薬液タンク32に
適宜供給するとともに、コンプレッサからの圧搾空気を
フィルタ20を介して薬液タンク32に供給して、薬液
タンク32内の希薄過酸化水素水に圧力をかけて噴霧ノ
ズル38に供給し、噴霧ノズル38から希薄過酸化水素
水を霧状にして噴霧する。なお、噴霧ノズル38からの
噴霧量は流量計34により監視され、流量調節弁36に
より適量に調整される。
【0021】霧状に噴霧された希薄過酸化水素水は、噴
霧ノズル38に対向して殺菌液処理手段14の下部に配
置された集霧ダクト43から、ブロア44の吸引によっ
て吸引し、その結果、噴霧ノズル38により噴霧された
霧状過酸化水素水は、図3(B)に示ように、一定方
向の流れに従って強制的に各缶蓋18の間に進入し、ノ
ズル38が直接缶蓋面に対向していないにもかかわら
ず、各缶蓋18の細部に至るまで均一に缶蓋各部に付着
する。なお、噴霧ノズル38により噴霧されたが缶蓋1
8間に進入しなかった希薄過酸化水素水の残霧は、また
殺菌液処理手段14の上部から排気ブース40およびブ
ロア42により排気し、集霧ダクト43からブロア44
によって吸引された希薄過酸化水素水は、ミスト凝集器
46により気液分離して、気体部分については排気処理
装置48により排気し、液体部分については廃液処理を
行なう。
【0022】また、缶蓋搬送手段12のスクリュー7
0,72,74に付着した余剰殺菌液については、ブロ
ーオフノズル76,78,80によりスクリューの回転
方向と対向する方向へ圧搾空気を送ることにより吹き飛
ばし、さらにブレード82,84,86,88,90,
92の板面に沿って遅滞なく除去して、それら除去され
た余剰殺菌液は、ダクト43を介してミスト凝集器46
に送る。したがって、余剰殺菌液は缶蓋搬送経路から確
実に除去され、従来のように缶蓋のシューターに余剰殺
菌液の水滴が付着し、この水滴が更に缶蓋に再付着する
ことによって缶蓋に液滴痕を残すというようなことはな
い。殺菌液処理手段14を通過した缶蓋18は、次い
で、缶蓋搬送手段12により加熱処理手段16に導入さ
れる。
【0023】加熱処理手段16においては、エアフィル
ター50,ブロア52,エアフィルター54,ヒーター
56を介して高温空気を供給し、該高温空気を、搬送手
段12のスクリュー70,72の間およびスクリュー7
2,74の間のそれぞれから熱風ノズル96、98によ
って、搬送されている缶蓋18に吹き付ける。この高温
空気の吹き付けによる缶蓋18の浮き上がりは、缶蓋1
8の上部に配置したガイド100によって防止される。
そして、この加熱処理手段16において使用済みの高温
空気は、二重壁部の内壁と外壁との間を通して排気口9
9から排出し、ブロア58によって放冷器60に送り、
放冷器60により冷却後フィルター62を介して加熱処
理手段16の最後部の冷却処理部63に供給して、蓋の
冷却を行うために使用する。加熱処理手段16における
温度は、温度センサー66により監視されており、常に
一定に温度を保つように調整されている。
【0024】以上、上記の缶蓋殺菌装置によって実施さ
れる本発明の缶蓋殺菌方法の一実施例について説明した
が、さらに、殺菌液の濃度と加熱温度には密接な関係が
あり、殺菌液と加熱の相乗作用により極めて効率的な殺
菌を行うことができるという点に着目して、より好適に
本発明の缶蓋殺菌方法を実施するための実施態様につい
て、以下に詳しく説明する。
【0025】まず、図5に示ような形状の缶蓋18に
ついて、そのそれぞれの部位と殺菌効果の関係について
検討した結果については次の通りである。Bacill
us subtilis ver.niger ATC
C9372の胞子を塗布し(塗布菌数2.0×104
蓋)、図1の装置を用いて比較的温和な条件で殺菌試験
を行った。なお、処理量は300枚/分(噴霧処理:5
秒、加熱処理:6.4秒)とし、過酸化水素水濃度は2
%、噴霧量は10ml/ノズル・分(ノズル3本)、噴
霧圧力3kg/cm2 、加熱温度は200℃〜230℃
である。その結果を次の表に示す(菌残存缶蓋枚数/テ
スト枚数)。
【0026】
【表1】
【0027】上記表1より明らかなように、リベットホ
ール、あるいはタブ周りの殺菌が極めて困難であること
が理解される。そこで、缶の内面側となる側であり、特
に菌に付着が問題となるリベットホールを指標として、
殺菌条件の検討を進めた。すなわち、図1の缶蓋殺菌装
置において、殺菌液として過酸化水素水を用いた場合に
ついて、その濃度、加熱温度と殺菌効果の関係について
の試験結果を次の表2に示す。なお、殺菌処理の評価
は、B.subtillisを1.9×104 個/1枚
となるように缶蓋(直径約60mm)に塗布し、殺菌処
理後に菌が発見された場合には×、殺菌処理後に菌が発
見されなかった場合には○を付した。また、温度は缶蓋
到達温度であり、雰囲気温度よりも通常50〜100℃
低い。
【0028】
【表2】
【0029】上記表2により示た殺菌効果の試験結果
と、過酸化水素水濃度については、30%となると50
℃程度の加熱条件では過酸化水素水の残留が観察される
ことや、製造コストの点とから考えても、低い方が好ま
しく、加熱温度については、230℃とすると缶蓋の塗
膜が変色して好ましくない等のことから、加熱温度は1
00〜200℃、過酸化水素水濃度は2.0〜15.0
%が好適であるものと考えられる。さらに、加熱温度を
150℃、過酸化水素水濃度を5.0%に固定した場合
の、噴霧量(缶蓋全表面へ付着させる量)と殺菌効率と
の関係についての試験結果は表3に示す通りである。
【0030】
【表3】
【0031】上記表3により明らかなように、全部缶蓋
の内外面に付着するとした場合の過酸化水素水の噴霧量
については、缶蓋の全表面100cm2 当たり15mg
以上必要であることがわかるが、噴霧量が缶蓋の全表面
100cm2 当たり100mgを越えると、缶蓋上に比
較的大きな水滴として凝集し、加熱処理時に液滴痕が残
存する場合があるので、15〜100mg/100cm
2 とすることが好適であるものと考えられる。
【0032】なお、図6は、各噴霧量を10ml、15
ml、20ml(ml/ノズル・分×3本)とした場合
(この噴霧量は缶蓋表面に付着する量と付着しない量と
の合計噴霧量)のそれぞれの蓋の菌残存枚数が0となる
条件を比較して示したものである。同図より明らかなよ
うに、噴霧量を増加させる程、濃度値は低くても殺菌効
率は向上するが、20ml/ノズル・分となると、場合
によっては缶蓋表面に大きな液滴痕となって過酸化水素
水が付着するため好ましくない。なお、ここで20ml
/ノズル・分×3本は、缶蓋全表面の付着量として、1
20mg/100cm2 以上に相当する。以上の各試験
結果からみて、本発明の缶蓋殺菌方法を実施するにあた
り、殺菌液として2.0〜15.0重量%の過酸化水素
水を噴霧して、これを缶蓋の全表面に対する付着量が1
5〜100mg/100cm2 となるように缶蓋に付着
させるとともに、殺菌液処理済の各缶蓋を、缶蓋温度が
100〜200℃となるように加熱するということが、
比較的低い濃度の過酸化水素水を使用して、加熱処理時
に液滴痕が残存したり、缶蓋の塗膜が変色したりするこ
となく、完全な殺菌効果を得ることができるための好適
な条件であるということが理解される。
【0033】なお、上記の実施態様に従って実際に缶蓋
殺菌試験を行ったところ、殺菌効果を5Dに設定した場
合、缶蓋温度を140℃まで上昇(加熱時間5秒)させ
ることで達成された。これに対し、同様の殺菌効果を得
るために従来のスーパースチームを用いた場合には、缶
蓋到達温度を240℃、維持時間を15秒以上(加熱
としては30秒以上)とすることが必要となり、本発
明により大幅な殺菌時間短縮が行われたことが実証され
た。
【0034】以上、本発明を施例に基づいて説明した
が、本発明は、上記の施例に限定されるものではな
く、例えば、上記の缶蓋殺菌装置においてはスクリュー
に付着した余剰過酸化水素水を除去するためにブローオ
フノズルおよびブレードを設けたが、ブレードの代わり
にバキュームダクトを設けることも可能である等、特許
請求の範囲に記載された限りにおいて、種々の実施態様
をとることが可能なものである。
【0035】
【発明の効果】以上説明したような本発明の缶蓋殺菌方
によれば、高密度でしかも比較的短時間で搬送しなが
ら殺菌液で処理しても、各缶蓋の細部にまで殺菌液を充
分に付着させることができ、しかも、殺菌液をその周り
に拡散させることがなく、殺菌装置の周りの作業環境を
悪化させることがない。なお、そのような缶蓋殺菌方法
において、殺菌液である過酸化水素水の噴霧条件を
2.0〜15.0重量%の濃度で、かつ缶蓋の全表面に
対し15〜100mg/100cm2 の付着量となるよ
うにし、缶蓋の加熱温度を100〜200℃とすれば、
比較的低い濃度の過酸化水素水の使用により、加熱処理
時に缶蓋に殺菌液の液滴痕が残存することなく、缶蓋の
塗膜の変色もなく、しかも完全な殺菌効果を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の缶蓋殺菌方法を実施するための装置の
一例を示す概略説明図。
【図2】図1に示した装置における殺菌処理手段の要部
と缶蓋搬送手段の一部を示す斜視図。
【図3】図1に示した装置の殺菌処理手段における殺菌
液の噴霧実施状態を示す(A)横断面説明図と(B)側
面説明図
【図4】図1に示した装置における加熱処理手段の要部
と缶蓋搬送手段の一部とを示す横断面説明図。
【図5】缶蓋の断面図。
【図6】過酸化水素水の濃度,噴霧量,雰囲気温度と殺
菌効率の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
10 缶蓋殺菌装置 12 缶蓋搬送手段 14 殺菌液処理手段 14a 噴霧部 14b 吸引部 16 加熱処理手段 18 缶蓋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−122097(JP,A) 特開 昭62−28326(JP,A) 特開 昭59−221227(JP,A) 特開 昭63−44429(JP,A) 特開 昭63−152525(JP,A) 特開 平4−239434(JP,A) 特開 昭56−104669(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B65B 55/04 A23C 3/02 B65B 55/06 B65B 55/24 B65B 55/10 B65B 55/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 缶蓋を、その進行方向に対して缶蓋面が
    直交するように、一枚づつ隔離して連続的に搬送する缶
    蓋搬送経路中において、先ず、搬送中の缶蓋群の側方か
    殺菌液を噴霧し、該缶蓋群を挟んで噴霧位置に対向す
    る位置で、噴霧された殺菌液の吸引することにより、各
    缶蓋の間に霧状の殺菌液の流れを生じさせて殺菌液を缶
    蓋の表面に付着させるとともに、噴霧された余分の殺菌
    液を吸引によって缶蓋搬送経路から排除し、次いで、殺
    菌液処理済の各缶蓋を加熱してその表面に付着した殺菌
    液を蒸発乾燥させて除去することを特徴とする缶蓋殺菌
    方法。
  2. 【請求項2】 殺菌液として2.0〜15.0重量%の
    濃度の過酸化水素水を、缶蓋全表面の付着量が15〜1
    00mg/100cm2 となるように噴霧し、殺菌液処
    理済の各缶蓋を、缶蓋温度が100〜200℃となるよ
    うに加熱することを特徴とする請求項1に記載の缶蓋殺
    菌方法。
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