JP3238269B2 - 高屈折率プラスチックレンズ用組成物およびレンズ - Google Patents

高屈折率プラスチックレンズ用組成物およびレンズ

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JP3238269B2
JP3238269B2 JP03449594A JP3449594A JP3238269B2 JP 3238269 B2 JP3238269 B2 JP 3238269B2 JP 03449594 A JP03449594 A JP 03449594A JP 3449594 A JP3449594 A JP 3449594A JP 3238269 B2 JP3238269 B2 JP 3238269B2
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mercaptomethyl
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high refractive
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啓也 川内
勝好 笹川
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、眼鏡用レンズ等の各種
光学用レンズなどに用いられる、耐熱性に優れ、さら
に、低吸水性で、表面硬度に優れた高屈折率プラスチッ
クレンズ、および、該レンズを製造するための組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックレンズは、無機レンズに比
べて軽量で、割れにくく、染色が可能なため、近年、眼
鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子分野で急速に普及
してきている。現在、これらの目的に広く用いられてい
る樹脂としては、ジエチレングリコールビスアリルカー
ボネート(以下、DACと略称する)を注型重合したD
AC樹脂がある。このDAC樹脂は、軽量であること、
染色性に優れていること、切削性および研磨性等の加工
性が良好であること、等の特徴を有しており、ファッシ
ョン性豊かなニーズに対応できるものである。しかしな
がら、DAC樹脂は、屈折率が無機レンズに比べて低い
ため、ガラスレンズと同等の光学特性を得るには、レン
ズの中心厚、コバ厚、および曲率を大きくする必要があ
り、全体的に肉厚になることは避けられない。このた
め、より高い屈折率をもつレンズ用樹脂が望まれてい
た。
【0003】DAC樹脂レンズよりも屈折率が高いレン
ズとして、ポリウレタンレンズが知られている。本発明
者らは、このポリウレタンレンズとして、例えば、US
P−4775733号公報(特開昭63−46213号
公報)において、キシリレンジイソシアネート化合物と
ポリチオール化合物との重合物からなるポリウレタンレ
ンズを提案しており、眼鏡用レンズなどの光学用レンズ
に広く普及している。また、更に屈折率の高いポリウレ
タンレンズとして、例えば、USP−5191055号
公報(特開平2−270859号公報)に記載のトリチ
オール化合物とポリイソシアネート化合物との重合体か
らなるポリウレタンレンズを提案している。しかしなが
ら、これらのポリウレタンレンズは、一般にオレフィン
基のラジカル重合型の樹脂、例えば、DAC樹脂に比べ
て、耐熱性が劣るため、通常、60〜90℃程度の熱加
工を必要とするレンズの染色や表面コートなどの後加工
の際に、レンズの変形が起こり易く、熱加工温度を低く
保たなければならないという欠点がある。
【0004】これに対して、ポリウレタン樹脂の耐熱性
を向上させる方法としては、特開平2−275901号
公報、EP408459号公報(特開平3−56525
号公報)等が知られている。しかしながら、特開平2−
275901号公報に記載されている2種類の脂肪族ポ
リチオール化合物と芳香族ポリイソシアネート化合物と
の重合物からなるポリウレタン樹脂は、屈折率が1.5
7〜1.61程度と低く、また、この方法により得られ
るポリウレタン樹脂は、吸水率が高いため、中心厚の薄
いレンズでは、吸水してレンズの中心部に変形を起こす
ことがある。さらに、得られる樹脂の表面硬度が低く、
成型したレンズにキズがつきやすいという欠点を有して
いる。また、EP−408459号公報に記載されてい
る3個以上の反応基を有するポリチオール化合物とポリ
イソシアネート化合物との重合物からなるポリウレタン
樹脂は、耐熱性が高すぎるため、通常の方法ではレンズ
を染色するのが困難である。
【0005】更に、チオール成分として1−(2−メル
カプトエチルオキシ)−2,4−ビス(メルカプトメチ
ル)ベンゼン、1,2,4−または1,3,5−トリス
(メルカプトメチル)シクロヘキサンを単独で使用する
場合には、イソシアナート成分としてキシリレンジイソ
シアナートを使用することは、得られるポリウレタン樹
脂の耐熱性が高過ぎることに由来する染色性の悪さ、ア
ッベ数の低さや白濁の点から好ましくない。さらにま
た、耐熱性を向上させる目的で使用されるチオール成分
は、固体になることがある。例えば、本願発明において
好ましく用いられるペンタキス(メルカプトメチル)ベ
ンゼン、ヘキサキス(メルカプトメチル)ベンゼン、あ
るいは、2,6,2",6"−テトラキス(メルカプトメチ
ル)−1,1':3',1"−テルフェニルは、融点が高く、
溶解性に劣るため、チオール成分として単独で使用する
場合には、レンズの成型操作上、取扱いが非常に煩雑に
なり、作業性に劣る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
イソシアネート化合物とポリチオール化合物との重合物
からなるポリウレタンレンズにおいて、その染色や表面
コートなどの後加工における熱的条件の選択の自由度を
高めるため、その耐熱性を向上させる方法を提供し、さ
らに、低吸水性で、表面硬度に優れたレンズを提供する
ことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課
題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明に到っ
たものである。即ち、本発明は、成分(a)として一般
式(1)(化6)で表されるポリイソシアナートの少な
くとも一種以上、成分(b)として式(2)(化6)で
表される1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チ
オ〕−3−メルカプトプロパン、成分(c)として5個
または6個のメルカプトメチル基で置換された芳香族化
合物、3個または4個のメルカプトメチル基で置換され
たシクロヘキサン誘導体、1−(2−メルカプトエチル
オキシ)−2,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン
または2,6,2",6"−テトラキス(メルカプトメチ
ル)−1,1':3',1"−テルフェニルよりなる群から選
ばれる少なくとも一種以上、の三成分を含む単量体混合
物からなる高屈折率プラスチックレンズ用組成物、およ
び該組成物を重合して得られる含硫ウレタン系樹脂から
なる高屈折率プラスチックレンズに関するものである。
【0008】
【化6】 (上式中、Xは水素原子またはメチル基を示し、Rは塩
素原子、臭素原子、メチル基またはエチル基を示し、m
は0〜4、nは2〜4の整数を示す)
【0009】また、本発明は、上記の高屈折率プラスチ
ックレンズ用組成物において、成分(c)に適した新規
な化合物、即ち、式(3)(化7)で表されるペンタキ
ス(メルカプトメチル)ベンゼン、式(4)(化7)で
表される1−(2−メルカプトエチルオキシ)−2,4
−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、および、式
(5)(化7)で表される1,3,5−トリス(メルカ
プトメチル)シクロヘキサンに関するものである。
【0010】
【化7】
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おける成分(a)は、一般式(1)で表される化合物で
あり、具体的には、o−キシリレンジイソシアナート、
m−キシリレンジイソシアナート、p−キシリレンジイ
ソシアナート、α,α,α’,α’−テトラメチル−p
−キシリレンジイソシアナート、α,α,α’,α’−
テトラメチル−m−キシリレンジイソシアナート、1,
3,5−トリス(イソシアナートメチル)ベンゼン、及
びこれらの核塩素化物、臭素化物、メチル化物またはエ
チル化物等、例えば、4−クロル−m−キシリレンジイ
ソシアナート、4,5−ジクロル−m−キシリレンジイ
ソシアナート、2,3,5,6−テトラブロム−p−キ
シリレンジイソシアナート、4−メチル−m−キシリレ
ンジイソシアナート、4−エチル−m−キシリレンジイ
ソシアナート等が挙げられる。これらの一部は市販され
ている。成分(b)である式(2)で表される1,2−
ビス〔(2−メルカプトエチル)チオ〕−3−メルカプ
トプロパンは、特開平2−270859号公報に記載の
方法、即ち、エピハロヒドリンと2−メルカプトエタノ
ールを反応させ、ついでチオ尿素を反応させる方法によ
り、容易に製造される。
【0012】成分(c)である5個または6個のメルカ
プトメチル基で置換された芳香族化合物としては、ペン
タキス(メルカプトメチル)ベンゼン、ヘキサキス(メ
ルカプトメチル)ベンゼン等が挙げられる。ヘキサキス
(メルカプトメチル)ベンゼンは、文献記載の公知化合
物であり、安価かつ容易に入手できる化合物から、文献
記載の方法により簡便に製造できる。すなわち、H. J.
Backer, Rec. Trav.Chim., 54, 745 (1935) に記載の方
法でヘキサメチルベンゼンを臭素によりヘキサキス(ブ
ロモメチル)ベンゼンに変換し、H. J. Backer, Rec. T
rav. Chim.,54, 905 (1935) に記載されている様にチ
オ尿素と反応後、アルカリ水溶液中での加水分解によっ
て製造することができる。また、2,6,2",6"−テト
ラキス(メルカプトメチル)−1,1':3',1"−テルフ
ェニルも文献記載の公知化合物であり、安価かつ容易に
入手できる化合物から、文献、例えば、T. Vinod, J. O
rg. Chem., 55, 881 (1990) に記載の方法により簡便に
製造できる。すなわち、2,6−ジメチルブロモベンゼ
ンと2,6−ジクロロヨードベンゼンをグリニャール反
応により縮合させ、メチル基をN−ブロムスクシンイミ
ドでブロモメチル基に変換し、チオ尿素と反応後、アル
カリ水溶液中での加水分解によって製造することができ
る。
【0013】3個または4個のメルカプトメチル基で置
換されたシクロヘキサン誘導体としては、例えば、1,
2,3−トリス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、
1,2,4−トリス(メルカプトメチル)シクロヘキサ
ン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)シクロヘ
キサン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチ
ル)シクロヘキサン、1,2,4,5−テトラキス(メ
ルカプトメチル)シクロヘキサン等を挙げることができ
る。このうち、1,2,4−トリス(メルカプトメチ
ル)シクロヘキサンは文献記載の公知化合物であり、安
価かつ容易に入手できる化合物から、文献、例えば、A.
P. Kozikowsky, 他,J. Med. Chem., 36,3035 (1993)
に記載の方法により簡便に製造できる。すなわち、トリ
ス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンとチオ酢酸をア
ゾジカルボン酸ジイソプロピルとトリフェニルホスフィ
ンで縮合し、チオ酢酸エステル誘導体とし、これを還元
的に脱エステルして製造することができる。
【0014】本発明のレンズ用組成物において、成分
(c)に適した新規な化合物であるペンタキス(メルカ
プトメチル)ベンゼンは、次の方法でペンタキス(ブロ
モメチル)ベンゼンより製造することができる。すなわ
ち、ペンタキス(ブロモメチル)ベンゼンをチオ尿素と
反応後、アルカリ水溶液中での加水分解によって得るこ
とができる。ここで、チオ尿素との反応はテトラヒドロ
フラン、低級アルコール等の溶媒中で行うことができる
が、溶解度などからエタノール等が望ましい。反応は、
室温以上、溶媒の沸点以下で実施可能だが、加熱還流下
が望ましい。アルカリ水溶液中での加水分解では、塩基
として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウ
ムなどを用いることができるが、水酸化ナトリウム水溶
液、水酸化カリウム水溶液が望ましい。加水分解反応
も、室温以上、溶媒の沸点以下で実施可能だが、加熱還
流下が望ましい。どちらの反応も反応時間は、通常3〜
10時間である。また、ペンタキス(ブロモメチルベン
ゼン)は広く市販されているペンタメチルベンゼンを、
N−ブロムスクシンイミドまたは臭素と反応することに
より得ることができる。この時、反応溶媒として、臭素
化剤に対して不活性な溶媒ならば支障なく用いることが
できるが、四塩化炭素などが望ましい。反応は室温以
上、溶媒の沸点以下で実施可能だが、加熱還流下が望ま
しい。反応を促進するために、過酸化ベンゾイル等を添
加したり光照射しても良い。
【0015】1−(2−メルカプトエチルオキシ)−
2,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼンは、次の方
法で製造することができる。すなわち、ヒドロキシフタ
ル酸と2ークロロエタノールの反応により、(2−ヒド
ロキシエチルオキシ)フタル酸を製造し、これを還元反
応により1−(2−ヒドロキシエチルオキシ)−2,4
−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼンに変換、さらに臭
素化剤との反応で1−(2−ブロムエチルオキシ)−
2,4−ビス(ブロムメチル)ベンゼンに変換し、チオ
尿素と反応後、アルカリ水溶液中での加水分解によって
得ることができる。ヒドロキシフタル酸と2ークロロエ
タノールの反応は塩基の存在下に実施する。溶媒として
は、水、低級アルコールなどを用いることができるが水
が望ましい。反応は、溶媒の凝固点以上、沸点以下で実
施可能だが、室温が望ましい。塩基として水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、ピリジンなどを
用いることができるが、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウムが望ましい。
【0016】(2−ヒドロキシエチルオキシ)フタル酸
の還元反応は、ボラン・メチルスルフィド錯体、水素化
リチウムアルミニウム等を用いることができるが、ボラ
ン・メチルスルフィド錯体が望ましい。反応溶媒として
はテトラヒドロフラン、ジグリム、エーテル、ジオキサ
ン、ジクロロメタン等を用いることが可能だが、テトラ
ヒドロフランが望ましい。臭素化剤との反応には、臭化
水素酸、三臭化リン、臭化チオニル、四臭化炭素とトリ
フェニルフォスフィン等を用いることができるが、三臭
化リンが望ましい。試薬は原料に対して1等量以上を用
いて実施できるが、1.5から2等量の範囲が望まし
い。反応溶媒としてはエーテル、テトラヒドロフラン、
ジクロロメタン、ジクロロエタン等を用いることができ
るが、ジクロロエタンが望ましい。反応は氷冷下から反
応溶媒の沸点以下で実施可能だが、室温が望ましい。反
応時間は通常2〜24時間である。ここで、チオ尿素と
の反応はテトラヒドロフラン、低級アルコール等の溶媒
中で行うことができるが、溶解度などからエタノールな
どが望ましい。反応は室温以上、溶媒の沸点以下で実施
可能だが、加熱還流下が望ましい。アルカリ水溶液中で
の加水分解では、塩基として水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、炭酸カリウムなどを用いることができるが、
水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液が望ま
しい。加水分解反応も室温以上、溶媒の沸点以下で実施
可能だが、加熱還流下が望ましい。どちらの反応も反応
時間は通常3〜10時間である。
【0017】1,3,5−トリス(メルカプトメチル)
シクロヘキサンは、次の方法で製造することができる。
すなわち、市販の1,3,5−シクロヘキサントリカル
ボン酸を還元反応により、1,3,5−シクロヘキサン
トリメタノールとし、これをさらに臭素化剤との反応で
1,3,5−トリス(ブロモメチル)シクロヘキサンに
変換し、チオ尿素と反応後、アルカリ水溶液中での加水
分解によって得ることができる。還元反応は、水素化ホ
ウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウムとルイス酸、水
素化リチウムアルミニウム等を用いることができるが、
水素化リチウムアルミニウムが望ましい。反応溶媒とし
ては、テトラヒドロフラン、ジグリム、エーテル、ジオ
キサン等を用いることが可能だが、テトラヒドロフラン
が望ましい。臭素化剤との反応には、臭化水素酸、三臭
化リン、臭化チオニル、四臭化炭素とトリフェニルフォ
スフィン等を用いることができるが、三臭化リンが望ま
しい。反応溶媒としては、エーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等を用いることが
できるが、ジクロロエタンが望ましい。反応は氷冷下か
ら反応溶媒の沸点以下で実施可能だが、室温が望まし
い。ここで、チオ尿素との反応は、テトラヒドロフラ
ン、低級アルコール等の溶媒中で行うことができるが、
溶解度などからエタノールなどが望ましい。反応は室温
以上、溶媒の沸点以下で実施可能だが、加熱還流下が望
ましい。アルカリ水溶液中での加水分解では、塩基とし
て水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムな
どを用いることができるが、水酸化ナトリウム水溶液、
水酸化カリウム水溶液が望ましい。加水分解反応も室温
以上、溶媒の沸点以下で実施可能だが、加熱還流下が望
ましい。
【0018】本発明における各成分の使用割合、即ち、
成分(a)の一般式(1)で表されるポリイソシアナー
トと、成分(b)の式(2)で表されるポリチオールお
よび成分(c)のポリチオール化合物との使用割合は、
NCO基/SH基のモル比率で、0.5〜1.5の範囲
で、好ましくは0.7〜1.3、最も好ましくは0.9
〜1.1の範囲である。また、成分(c)のポリチオー
ル化合物は、ポリチオール成分全体に対して、5〜70
重量%の範囲で、好ましくは8〜60重量%、最も好ま
しくは10〜50重量%の範囲である。この成分(c)
のチオール化合物が、ポリチオール成分全体に対して、
5重量%未満では充分な耐熱性の向上が得難く、また、
70重量%を越えると耐熱性が高くなりすぎるため、通
常の方法では容易に染色するのが困難となる、あるいは
成分(c)の溶解度の点で操作が困難になる傾向があ
る。成分(c)のチオール化合物の使用割合は、使用さ
れる成分(a)の化合物、成分(c)の化合物によっ
て、また得られるレンズに要求される諸物性により適宜
決められる。
【0019】本発明の組成物においては、重合反応の促
進のための重合触媒、耐候性改良のための紫外線吸収
剤、酸化防止剤、着色防止剤、蛍光染料、光安定剤、油
溶染料などの添加剤を、必要に応じて、適宜加えてもよ
い。本発明のレンズの作製は、成分(a)の一般式
(1)で表されるポリイソシアナートの少なくとも一種
以上と、成分(b)の式(2)で表されるポリチオール
と、成分(c)のポリチオール化合物の少なくとも一種
以上とを含む単量体混合物に、必要に応じて、添加剤を
加えて、公知の注型重合法、すなわち、ガラス製または
金属製のモールドと樹脂製ガスケットを組み合わせたモ
ールド型の中に混合液を注入し、加熱して硬化させるこ
とにより行なわれる。この時、成型後の樹脂の取り出し
を容易にするために、モールドに公知の離型処理を施し
ても差し支えない。また、レンズの作製時における作業
性を簡便にするため、成分(c)の化合物を、予め、成
分(b)の化合物と混合しておいても良い。特に、成分
(c)が固体である場合には、予め、成分(b)の化合
物に溶解しておくことが好ましい。この場合には、成分
(b)の化合物が低粘度の液体であるため、容易に、成
分(c)の化合物を溶解させることができる。
【0020】注型重合における重合温度及び重合時間
は、モノマーの組成、添加剤の種類、量によっても異な
るが、一般的には、5〜20℃から昇温を開始し、10
0℃〜130℃程度まで8〜30時間で昇温する。本発
明で得られるレンズは、必要に応じて、反射防止、高硬
度付与、耐摩耗性向上、耐薬品性向上、防曇性付与、あ
るいは、ファッション性付与等の改良を行なうため、表
面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コー
ト処理、染色処理、調光処理等の物理的あるいは化学的
処理を施すことができる。また、本発明で得られるレン
ズは、通常の分散染料を用い、水または溶媒中で容易に
染色が可能である。染色の際、更に染色を容易にするた
めに染色浴に染色助剤であるキャリヤーを加えてもよ
い。本発明の含硫ウレタン樹脂は、極めて低分散で、高
屈折率、耐熱性に優れ、かつ、無色透明であり、軽量
で、耐候性、耐衝撃性に優れ、更に、低吸水性で、表面
硬度に優れた特徴を有しており、眼鏡レンズ、カメラレ
ンズ等の光学素子材料のみでなく、グレージング材料、
塗料、接着剤の材料としても好適である。
【0021】
【実施例】以下、実施例により、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明は、これによって何等制限されるも
のではない。尚、実施例中に示す部は、重量部を示す。
得られたレンズの性能試験は以下の試験法により評価し
た。 ・屈折率、アッベ数:プルフリッヒ屈折計を用い、20
℃で測定した。 ・外 観:目視により観察した。 ・耐熱性:サーモメカニカルアナライザー TAS300 (理
学電機製)を用い、試験片に5g加重し、2.5 ℃/分で
加熱して、その熱変形開始温度を測定した。 ・染色性:三井東圧染料(株)製のプラスチックレンズ
用分散染料であるML−Yellow、ML−Red 、ML−Bl
ue、を各々5g/Lの水溶液に調製した染色槽を使っ
て、95℃で5分間浸漬し9mmの厚さの平板を染色し
た。染色後、スペクトロフォトメーター U-2000 (日立
製作所製)を用いて400〜700nmの透過率を測定し
た。総合評価として染色性が良好なものを(○)、染色
性に劣るか、全く染色できないものを(×)とした。 ・染色耐熱性:95℃の染色浴に5分間浸積した後、レ
ンズが変形しているか否かを目視により観察した。 ・吸水率:JIS−K−7209に基づいて、試験片を
作製し、室温で、水中に48時間浸漬し、その後の重量
変化から吸水率を測定した。 ・表面硬度:JIS−K−5401の塗膜用鉛筆引っ掻
き試験機を使用して、鉛筆硬度を測定した。
【0022】実施例1 ペンタキス(メルカプトメチ
ル)ベンゼンの製造 ペンタメチルベンゼン7gを、四塩化炭素500mlに溶
解し、加熱還流下にてN−ブロムスクシンイミド46.
2gを5回に分けて2時間ごとに加えた。N−ブロムス
クシンイミドを加えるたびに、過酸化ベンゾイル0.1
gを加えた。反応は直射日光の下で行い、計24時間加
熱還流下に撹拌した。放冷後、濾過して濾液を減圧下に
濃縮し、粗ペンタキス(ブロムメチル)ベンゼン17.
9gを得た(HPLC分析より純度約87%)。これを
そのままエタノール270mlに溶解し、チオ尿素13.
1gを加え、加熱還流下に6時間反応した。氷冷して、
析出した結晶を濾取し、これを水酸化カリウム53gを
含む水250mlに溶解し、再び加熱還流下に6時間反応
した。反応後、氷浴にて冷却し、20%硫酸で酸性に
し、氷冷して、析出した結晶を濾取し、水洗した。大量
のエタノールから再結晶して、淡黄色粉末状結晶のペン
タキス(メルカプトメチル)ベンゼン5.3gを得た。
融点175−8℃。 NMR(D6 −DMSO):7.34ppm(s,1
H) 3.8−4.4ppm(m,10H) 3.0−3.5ppm(m,5H) IR(KBr):3350,2930,1450,10
40cm-1
【0023】実施例2 1−(2−メルカプトエチルオ
キシ)−2,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼンの
製造 ヒドロキシフタル酸15gを、水酸化ナトリウム16.
5gを含む水110mlに溶解し、室温で撹拌しつつ、2
−クロロエタノール16.5mlを滴下し、そのまま終夜
反応後、10%硫酸で中和し、析出した(2−ヒドロキ
シエチルオキシ)フタル酸を濾取し乾燥した(収量1
5.1g)。これを、テトラヒドロフラン300mlに溶
解し、ボラン・ジメチルスルフィド錯体15gを滴下し
還元した。室温で24時間反応後、水にあけ、クロロホ
ルムにて抽出、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、
濃縮し、1−(2−ヒドロキシエチルオキシ)−2,4
−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼンを無色の油状物と
して得た(収量9.6g)。これをそのままエーテル3
00ml溶解し、三臭化リン14.8gを加え、室温で終
夜反応した。反応液を3回水洗し、無水硫酸ナトリウム
で乾燥後、濃縮して、1−(2−ブロムエチルオキシ)
−2,4−ビス(ブロムメチル)ベンゼンを淡黄色油状
物として得た(収量2.1g)。これをエタノール50
mlに溶解し、チオ尿素2.5gと、加熱還流下に16時
間反応後、濃縮して得られた残さを、6%水酸化ナトリ
ウム水溶液で加熱還流下に6時間加水分解し、10%硫
酸で中和してクロロホルムで抽出した。これを水洗し、
無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮して、1−(2−メ
ルカプトエチルオキシ)−2,4−ビス(メルカプトメ
チル)ベンゼン1.75gを得た。 NMR(D6 −DMSO):7.1−7.44ppm
(m,3H) 4.lppm(m,2H) 3.5−3.9ppm(m,6H) IR(KBr):3300,2850,1660,13
20,770cm-1
【0024】実施例3 1,3,5−トリス(メルカプ
トメチル)シクロヘキサンの製造 市販の1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸20
gを、水素化リチウムアルミニウム8gのテトラヒドロ
フラン(200ml)懸濁液に加え、加熱還流下に8時間
反応した。反応後、水を加えて処理し、濾過して、濾液
を濃縮し、1,3,5−シクロヘキサントリメタノール
11gを無色の油状物として得た。これをジクロロエタ
ン150mlに溶解し、三臭化リン15mlを滴下した。室
温で終夜反応し、反応液を3回水洗し、無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥後、濃縮して、1,3,5−トリス(ブロモ
メチル)シクロヘキサン15gを淡黄色の油状物として
得た。これをエタノール150mlに溶解し、チオ尿素
9.5gを加えて加熱還流下に14時間反応した。反応
液をそのまま濃縮し、得られた残さを、6%水酸化ナト
リウム水溶液330mlに溶解し、加熱還流下に6時間加
水分解し、10%硫酸で中和し、100mlのクロロホル
ムで3回抽出した。これを水洗し、無水硫酸ナトリウム
で乾燥後、濃縮して、1,3,5−トリス(メルカプト
メチル)シクロヘキサン4.2gを得た。 NMR(CDCl3 ):3.4−3.6ppm(m,3
H) 2.3−2.7ppm(m,6H) 1.2−1.9ppm(m,9H) IR(KBr):3250,1650,1540,13
70,1120,750cm-1
【0025】実施例4 m−キシリレンジイソシアナート 22.8部(0.1
2モル)、1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チ
オ〕−3−メルカプトプロパン 17.7部(0.06
8モル)、ペンタキス(メルカプトメチル)ベンゼン
2.0部(0.0076モル)、ジブチルチンジラウレ
ート0.01重量%(混合物の全量に対して)を混合し
て均一液とし、十分に脱泡した後、離型処理を施したガ
ラスモールドとガスケットよりなるモールド型に注入し
た。ついで、40℃から120℃まで徐々に昇温しなが
ら、20時間かけて加熱硬化させた。重合終了後、徐々
に冷却し、重合体をモールドより取り出した。得られた
樹脂は、無色透明で、耐衝撃性に優れ、屈折率nd
1.66、アッベ数νd =32であり、熱変形開始温度
は106℃であった。95℃の染色浴で染色してもレン
ズは変形しなかった。染色後の透過率は、ML−Yel
lowで30%、ML−Redで36%、ML−Blu
eで45%であり、染色性の総合評価は(○)であっ
た。48時間後の吸水率は0.02%であり、また、表
面硬度はHであった。
【0026】実施例5 m−キシリレンジイソシアナート 18.3部(0.1
0モル)、1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チ
オ〕−3−メルカプトプロパン 13.5部(0.05
2モル)、1−(2−メルカプトエチルオキシ)−2,
4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン 3.2部
(0.013モル)、ジブチルチンジラウレート0.0
1重量%(混合物の全量に対して)を混合して均一液と
し、十分に脱泡した後、離型処理を施したガラスモール
ドとガスケットよりなるモールド型に注入した。つい
で、40℃から120℃まで徐々に昇温しながら、20
時間かけて加熱硬化させた。重合終了後、徐々に冷却
し、重合体をモールドより取り出した。得られた樹脂
は、無色透明で、耐衝撃性に優れ、屈折率nd =1.6
6、アッベ数νd =35であり、熱変形開始温度は10
7℃であった。染色後の透過率は、ML−Yellow
で31%、ML−Redで39%、ML−Blueで4
3%であり、染色性の総合評価は(○)であった。48
時間後の吸水率は0.04%であり、また、表面硬度は
Hであった。
【0027】実施例6 m−キシリレンジイソシアナート 43.8部(0.2
3モル)、1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チ
オ〕−3−メルカプトプロパン 33.1部(0.13
モル)、ヘキサキス(メルカプトメチル)ベンゼン
5.0部(0.014モル)、ジブチルチンジラウレー
ト0.01重量%(混合物の全量に対して)を混合して
均一液とし、十分に脱泡した後、離型処理を施したガラ
スモールドとガスケットよりなるモールド型に注入し
た。ついで、40℃から120℃まで徐々に昇温しなが
ら、20時間かけて加熱硬化させた。重合終了後、徐々
に冷却し、重合体をモールドより取り出した。得られた
樹脂は、無色透明で、耐衝撃性に優れ、屈折率nd
1.66、アッベ数νd =33であり、熱変形開始温度
は109℃であった。染色後の透過率は、ML−Yel
lowで33%、ML−Redで39%、ML−Blu
eで45%であり、染色性の総合評価は(○)であっ
た。48時間後の吸水率は0.02%であり、また、表
面硬度はHであった。
【0028】実施例7 m−キシリレンジイソシアナート 44.7部(0.2
4モル)、1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チ
オ〕−3−メルカプトプロパン 33.0部(0.13
モル)、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)シク
ロヘキサン 8.0部(0.037モル)、ジブチルチ
ンジラウレート0.01重量%(混合物の全量に対し
て)を混合して均一液とし、十分に脱泡した後、離型処
理を施したガラスモールドとガスケットよりなるモール
ド型に注入した。ついで、40℃から120℃まで徐々
に昇温しながら、20時間かけて加熱硬化させた。重合
終了後、徐々に冷却し、重合体をモールドより取り出し
た。得られた樹脂は、無色透明で、耐衝撃性に優れ、屈
折率nd =1.65、アッベ数νd =33であり、熱変
形開始温度は107℃であった。染色後の透過率は、M
L−Yellowで29%、ML−Redで33%、M
L−Blueで45%であり、染色性の総合評価は
(○)であった。48時間後の吸水率は0.04%であ
り、また、表面硬度はHであった。
【0029】実施例8 m−キシリレンジイソシアナート 27.0部(0.1
4モル)、1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チ
オ〕−3−メルカプトプロパン 12.3部(0.04
8モル)、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)シ
クロヘキサン12.0部(0.056モル)、ジブチル
チンジラウレート0.01重量%(混合物の全量に対し
て)を混合して均一液とし、十分に脱泡した後、離型処
理を施したガラスモールドとガスケットよりなるモール
ド型に注入した。ついで、40℃から120℃まで徐々
に昇温しながら、20時間かけて加熱硬化させた。重合
終了後、徐々に冷却し、重合体をモールドより取り出し
た。得られた樹脂は、無色透明で、耐衝撃性に優れ、屈
折率nd =1.65、アッベ数νd =34であり、熱変
形開始温度は116℃であった。染色後の透過率は、M
L−Yellowで28%、ML−Redで31%、M
L−Blueで38%であり、染色性の総合評価は
(○)であった。48時間後の吸水率は0.05%であ
り、また、表面硬度はHであった。
【0030】実施例9 m−キシリレンジイソシアナート 22.4部(0.1
2モル)、1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チ
オ〕−3−メルカプトプロパン 16.5部(0.07
モル)、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)シク
ロヘキサン 4.0部(0.018モル)、ジブチルチ
ンジラウレート0.01重量%(混合物の全量に対し
て)を混合して均一液とし、十分に脱泡した後、離型処
理を施したガラスモールドとガスケットよりなるモール
ド型に注入した。ついで、40℃から120℃まで徐々
に昇温しながら、20時間かけて加熱硬化させた。重合
終了後、徐々に冷却し、重合体をモールドより取り出し
た。得られた樹脂は、無色透明で、耐衝撃性に優れ、屈
折率nd =1.65、アッベ数νd =33であり、熱変
形開始温度は111℃であった。染色後の透過率は、M
L−Yellowで29%、ML−Redで35%、M
L−Blueで44%であり、染色性の総合評価は
(○)であった。48時間後の吸水率は0.05%であ
り、また、表面硬度はHであった。
【0031】実施例10 m−キシリレンジイソシアナート 29.2部(0.1
6モル)、1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チ
オ〕−3−メルカプトプロパン 23.4部(0.09
モル)、2,6,2",6"−テトラキス(メルカプトメチ
ル)−1,1':3',1"−テルフェニル 4.1部(0.
01モル)、ジブチルチンジラウレート0.01重量%
(混合物の全量に対して)を混合して均一液とし、十分
に脱泡した後、離型処理を施したガラスモールドとガス
ケットよりなるモールド型に注入した。ついで、40℃
から120℃まで徐々に昇温しながら、20時間かけて
加熱硬化させた。重合終了後、徐々に冷却し、重合体を
モールドより取り出した。得られた樹脂は、無色透明
で、耐衝撃性に優れ、屈折率nd =1.66、アッベ数
νd =31であり、熱変形開始温度は112℃であっ
た。染色後の透過率は、ML−Yellowで33%、
ML−Redで39%、ML−Blueで47%であ
り、染色性の総合評価は(○)であった。48時間後の
吸水率は0.05%であり、また、表面硬度はHであっ
た。
【0032】比較例1 m−キシリレンジイソシアナート 17.9部(0.1
1モル)、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)シ
クロヘキサン 16.0部(0.063モル)混合して
均一液とし、十分に脱泡した後、離型処理を施したガラ
スモールドとガスケットよりなるモールド型に注入し
た。ついで、40℃から120℃まで徐々に昇温しなが
ら、20時間かけて加熱硬化させた。重合終了後、徐々
に冷却し、重合体をモールドより取り出した。得られた
樹脂は、黄色に着色し、極めて脆く、実用に適さなかっ
た。屈折率nd =1.66、アッベ数νd =36であ
り、熱変形開始温度は132℃であった。染色後の透過
率は、ML−Yellowで68%、ML−Redで7
5%、ML−Blueで78%であり、染色性の総合評
価は(×)であった。48時間後の吸水率は0.2%で
あり、また、表面硬度はHであった。
【0033】比較例2 m−キシリレンジイソシアナート 20.1部(0.1
1モル)、1−(2−メルカプトエチルオキシ)−2,
4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン 17.5部
(0.07モル)を混合して均一液とし、十分に脱泡し
た後、離型処理を施したガラスモールドとガスケットよ
りなるモールド型に注入した。ついで、40℃から12
0℃まで徐々に昇温しながら、20時間かけて加熱硬化
させた。重合終了後、徐々に冷却し、重合体をモールド
より取り出した。得られた樹脂は、耐衝撃性に優れるも
のの、白濁していた。屈折率nd =1.66、アッベ数
νd =33であり、熱変形開始温度は130℃であっ
た。染色後の透過率は、ML−Yellowで81%、
ML−Redで78%、ML−Blueで84%であ
り、染色されず、染色性の総合評価は(×)であった。
48時間後の吸水率は0.2%であり、また、表面硬度
はHであった。
【0034】比較例3 m−キシリレンジイソシアナート 64.1部(0.3
4モル)、ペンタキス(メルカプトメチル)ベンゼン
36.0部(0.14モル)を混合して、十分に脱泡し
た後、離型処理を施したガラスモールドとガスケットよ
りなるモールド型に注入した。ついで、40℃から12
0℃まで徐々に昇温しながら、20時間かけて加熱硬化
させた。重合終了後、徐々に冷却し、重合体をモールド
より取り出した。得られた樹脂は、ペンタキス(メルカ
プトメチル)ベンゼンが完全には溶解しておらず、不均
一で、黄褐色に濁り、全く実用に適さなかった。
【0035】比較例4 m−キシリレンジイソシアナート 65.4部(0.3
5モル)、1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チ
オ〕−3−メルカプトプロパン 60.1部(0.23
モル)、ジブチルチンジラウレート0.1重量%(混合
物の全量に対して)を混合して均一液とし、十分に脱泡
した後、離型処理を施したガラスモールドとガスケット
よりなるモールド型に注入した。ついで、40℃から1
20℃まで徐々に昇温しながら、20時間かけて加熱硬
化させた。重合終了後、徐々に冷却し、重合体をモール
ドより取り出した。得られた樹脂は、無色透明で、耐衝
撃性に優れ、屈折率nd =1.66、アッベ数νd =3
3であり、熱変形開始温度は84℃であった。95℃の
染色浴で染色するとレンズは変形した。染色後の透過率
は、ML−Yellowで24%、ML−Redで31
%、ML−Blueで40%であり、染色性の総合評価
は(○)であった。
【0036】比較例5 m−キシリレンジイソシアナート 17.9部(0.0
95モル)、1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)
チオ〕−3−メルカプトプロパン 15.7部(0.0
62モル)、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)
シクロヘキサン0.60部(0.0024モル)、ジブ
チルチンジラウレート0.01重量%(混合物の全量に
対して)を混合して均一液とし、十分に脱泡した後、離
型処理を施したガラスモールドとガスケットよりなるモ
ールド型に注入した。ついで、40℃から120℃まで
徐々に昇温しながら、20時間かけて加熱硬化させた。
重合終了後、徐々に冷却し、重合体をモールドより取り
出した。得られた樹脂は、無色透明で、屈折率nd
1.65、アッベ数νd =33であり、熱変形開始温度
は88℃であった。95℃の染色浴で染色するとレンズ
は変形した。染色後の透過率は、ML−Yellowで
24%、ML−Redで30%、ML−Blueで34
%であり、染色性の総合評価は(○)であった。48時
間後の吸水率は0.2%であり、また、表面硬度はHで
あった。
【0037】
【発明の効果】本発明の三成分を含む単量体混合物から
なる高屈折率プラスチックレンズ用組成物を重合して得
られる含硫ウレタン樹脂からなるプラスチックレンズ
は、一般式(1)のポリイソシアナートと式(2)のポ
リチオールとを重合して得られるプラスチックレンズの
諸物性を、なんら損なうことなく、しかも、その欠点で
ある耐熱性を改善した、極めて優れた高屈折率プラスチ
ックレンズである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 18/00 - 18/87 G02B 1/04

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成分(a)として一般式(1)(化1)
    で表されるポリイソシアナートの少なくとも一種以上、 【化1】 (式中、Xは水素原子またはメチル基を示し、Rは塩素
    原子、臭素原子、メチル基またはエチル基を示し、mは
    0〜4、nは2〜4の整数を示す) 成分(b)として式(2)(化2)で表される1,2−
    ビス〔(2−メルカプトエチル)チオ〕−3−メルカプ
    トプロパン、 【化2】 成分(c)として5個または6個のメルカプトメチル基
    で置換された芳香族化合物、3個または4個のメルカプ
    トメチル基で置換されたシクロヘキサン誘導体、1−
    (2−メルカプトエチルオキシ)−2,4−ビス(メル
    カプトメチル)ベンゼンまたは2,6,2",6"−テトラ
    キス(メルカプトメチル)−1,1':3',1"−テルフェ
    ニルよりなる群から選ばれる少なくとも一種以上、の三
    成分を含む単量体混合物からなる高屈折率プラスチック
    レンズ用組成物。
  2. 【請求項2】 成分(a)がキシリレンジイソシアナー
    トであり、成分(c)が1,3,5−トリス(メルカプ
    トメチル)シクロヘキサンまたは1,2,4−トリス
    (メルカプトメチル)シクロヘキサンであることを特徴
    とする請求項1記載の高屈折率プラスチックレンズ用組
    成物。
  3. 【請求項3】 NCO基とSH基が、NCO基/SH基
    のモル比率で、0.5〜1.5であり、且つ、成分
    (c)がポリチオール全成分の5〜70重量%である
    求項1または2記載の高屈折率プラスチックレンズ用組
    成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のレンズ
    用組成物を重合して得られる含硫ウレタン系樹脂からな
    る高屈折率プラスチックレンズ。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の高屈折率プラスチックレ
    ンズ用組成物において、成分(c)に適した式(3)
    (化3)で表されるペンタキス(メルカプトメチル)ベ
    ンゼン。 【化3】
  6. 【請求項6】 請求項1記載の高屈折率プラスチックレ
    ンズ用組成物において、成分(c)に適した式(4)
    (化4)で表される1−(2−メルカプトエチルオキ
    シ)−2,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン。 【化4】
  7. 【請求項7】 請求項1記載の高屈折率プラスチックレ
    ンズ用組成物において、成分(c)に適した式(5)
    (化5)で表される1,3,5−トリス(メルカプトメ
    チル)シクロヘキサン。 【化5】
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