JP3628054B2 - ポリチオール誘導体およびそれを用いたレンズ - Google Patents

ポリチオール誘導体およびそれを用いたレンズ Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規なポリチオール誘導体に関するものである。本発明のポリチオール誘導体は、農医薬等の原料、各種の樹脂添加剤、プラスチックレンズの原料等として有用な化合物であり、特に、眼鏡用レンズ等の各種光学用レンズなどの用途においては、耐熱性に優れ、さらに低吸水性で、表面硬度に優れた非常に高い屈折率を有するプラスチックレンズを製造するための原料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
ポリチオール化合物は、従来、農医薬等の原料、各種の樹脂添加剤等の用途に用いられてきたが、近年、特にプラスチックレンズの原料として、使用されるようになってきた。
プラスチックレンズは、無機レンズに比べて軽量で、割れにくく、染色が可能で、切削性および研磨性等の加工性が良好であるため、近年、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子分野で急速に普及してきている。
しかし、ファッション性豊かなニーズに対応できるためには、レンズの中心厚、コバ厚、および曲率を下げ、全体的に肉薄であることが必要である。この点から光学材料としての樹脂材料には、ますます高い屈折率が求められている。
高屈折率レンズ用モノマーとしては、既にポリウレタンレンズが知られている。例えば、USP−4775733号公報(特開昭63−46213号公報)では、キシリレンジイソシアネート化合物とポリチオール化合物との重合物からなるポリウレタンレンズが提案されており、眼鏡用レンズなどの光学用レンズに広く普及している。また、更に屈折率の高いポリウレタンレンズとしては、例えば、USP−5191055号公報(特開平2−270859号公報)に記載のトリチオール化合物〔1,2−ビス((2−メルカプトエチル)チオ)−3−メルカプトプロパン〕とポリイソシアネート化合物との重合体からなるポリウレタンレンズが提案されている。
【0003】
しかし、これらのポリウレタンレンズは、一般にオレフィン基のラジカル重合型の樹脂、例えば、DAC(ジエチレングリコールビスアリールカーボネート)樹脂に比べて、耐熱性が劣るため、通常、60〜90℃程度の熱加工を必要とするレンズの染色や表面コートなどの後加工の際に、レンズの変形が起こり易く、熱加工温度を低く保たなければならないという欠点がある。
ポリウレタン樹脂の耐熱性を向上させる方法としては、特開平2−275901号公報、EP408459号公報(特開平3−56525号公報)等に記載の方法が知られている。しかしながら、例えば、特開平2−275901号公報に記載されている2種類の脂肪族ポリチオール化合物と芳香族ポリイソシアネート化合物との重合物からなるポリウレタン樹脂は、屈折率が1.57〜1.61程度と低いという欠点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、各種の用途、例えば、ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物との重合物からなるポリウレタンレンズにおいて、極めて有用なポリチオール誘導体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明に到ったものである。
すなわち、本発明は以下の事項を含む
[1] 下記一般式(1)
R―(CHSH)(1)
(式中、Rは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜3の低級アルカントリイル、または低級アルカンテトライルを表し、nは3または4の整数を表す)で表される化合物が、下記式(2)〜(7)(化1)いずれかであるポリチオール誘導体。
【化1】
Figure 0003628054
[2] [1]記載のポリチオール誘導体とポリイソシアネートを反応、硬化させて得られる高屈折率プラスチックレンズ。
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における一般式(1)で表される化合物は、新規なポリチオール誘導体であり、具体的には、下記式(2)〜(7)(化2)で表される化合物、即ち、2−メルカプトメチル−1,3−プロパンジチオール、2,4,5−トリス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ブタンジチオール、4,4−ビス(メルカプトメチル)−3,5−ジチアヘプタン−1,7−ジチオール、2,3−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ブタンジチオール、2,6−ビス(メルカプトメチル)−3,5−ジチアヘプタン−1,7−ジチオール等を挙げることができる。
【0007】
【化2】
Figure 0003628054
【0008】
本発明のポリチオール誘導体のうち、式(2)で表される2−メルカプトメチル−1,3−プロパンジチオールは、以下のようにして合成することができる例えば、1,3−ジクロロ−2−(クロロメチル)プロパンを、適当なチオール化試薬と反応させることで合成することができる。チオール化試薬としては、チオ尿素とアルカリ性水溶液、チオ硫酸塩と鉱酸水溶液、ジチオカルバミン酸塩、ジチオ炭酸O−アルキル塩、トリチオ炭酸塩、水硫化物等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
トリチオ炭酸ナトリウムを用いる場合、反応は、水、DMF、THF、エタノール、メタノール等の反応を妨害しない溶媒中で自由に行うことができる。反応は、室温以上、溶媒の沸点以下の任意の温度で実施可能であるが、50℃以上、溶媒の沸点以下で行うのが望ましい。通常、反応は数時間内で完了する。1,3−ジクロロ−2−(クロロメチル)プロパンは、S.LATOURらの方法〔SYNTHESIS (1987)742〕、即ち、トリス(クロロメチル)ニトロメタンを、トリブチル錫ハイドライドで還元して得ることができる。また、このトリス(クロロメチル)ニトロメタンは、G.FORTらの方法〔J.Chem.Soc.(1945)1902〕により、容易に入手できるトリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタンの塩化チオニルによる塩素化反応で得ることができる。
【0009】
式(3)で表される2,4,5−トリス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオランは、2,4,5−トリス(ヒドロキシメチル)−1,3−ジチオランを、2,4,5−トリス(アルキルスルフォニルオキシメチル)−1,3−ジチオラン、2,4,5−トリス(アリールスルフォニルオキシメチル)−1,3−ジチオランまたは2,4,5−トリス(ハロゲノメチル)−1,3−ジチオランに導き、これをチオール化試薬と反応させることで得ることができる。ここで、2,4,5−トリス(アルキルスルフォニルオキシメチル)−1,3−ジチオラン、または2,4,5−トリス(アリールスルフォニルオキシメチル)−1,3−ジチオランは、2,4,5−トリス(ヒドロキシメチル)−1,3−ジチオランを対応するスルホン酸ハライドと、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、ピリジン、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等の適当な塩基共存下で、反応させることで得ることができる。反応は、ジクロロメタン、THF等の反応を阻害しない溶媒を用いて行うこともできる。
2,4,5−トリス(ハロゲノメチル)−1,3−ジチオランは、2,4,5−トリス(ヒドロキシメチル)−1,3−ジチオランを、塩化スルフリル、臭化スルフリル、塩化チオニル、臭化チオニル、ジアザカルボン酸ジエチル−トリフェニルホスフィン−沃化ナトリウム、四ハロゲン化炭素−トリフェニルホスフィン等の適当なハロゲン化試薬と反応させることで製造できる。
【0010】
チオール化試薬としては、チオ尿素とアルカリ性水溶液、チオ硫酸塩と鉱酸水溶液、ジチオカルバミン酸塩、ジチオ炭酸O−アルキル塩、トリチオ炭酸塩、水硫化物塩等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、チオ尿素と反応させ、S−アルキルイソチウロニウム塩とした後、これをアルカリ水溶液中で加水分解する方法が最も望ましい。チオ尿素との反応は、水、DMF、THF、エタノール、メタノール等の反応を妨害しない溶媒中で自由に行うことができるが、エタノールが望ましい。反応は室温以上、溶媒の沸点以下の任意の温度で実施可能であるが、50℃以上、溶媒の沸点以下で行うのが望ましい。通常、反応は数時間以内に完了する。
また、加水分解に用いられるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、アンモニア水等を例示することができるが、アンモニア水または水酸化ナトリウム水溶液を用いるのが望ましい。反応は、水、エタノール、メタノールなど反応を妨害しない溶媒中で自由に行うことができるが、水が望ましい。反応は室温以上、溶媒の沸点以下の任意の温度で実施可能であるが、50℃以上、溶媒の沸点以下で行うのが望ましい。
【0011】
2,4,5−トリス(ヒドロキシメチル)−1,3−ジチオランは、1,3−ジチオラン−2,4,5−トリカルボン酸エステルを還元することで製造することができる。還元剤としては、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム−塩化アルミニウム、水素化リチウムアルミニウム、ボラン・アミン錯体等を用いることができるが、水素化リチウムアルミニウムを用いるのが望ましい。反応は、THF、エーテル、ジオキサン、ジグリム等の反応を妨害しない溶媒中で自由に行うことができるが、溶解度の点からTHFが望ましい。反応は室温以上、溶媒の沸点以下の任意の温度で実施可能であるが、50℃以上、溶媒の沸点以下で行うのが望ましい。
また、1,3−ジチオラン−2,4,5−トリカルボン酸エステルは、市販されている2,3−ジメルカプトコハク酸を、対応する低級アルコール中で酸触媒と共に、容易に入手可能なグリオキシル酸またはグリオキシル酸エステルまたはその低級アルキルアセタールと反応させることで製造することができる。酸触媒としては、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体、硫酸、塩酸などを例示することができるが、硫酸を用いるのが望ましい。低級アルコールとしては、エタノール、メタノール、プロパノール等を例示することができるが、エタノールが望ましい。またこの時、反応を阻害しない限り、適当な溶媒を加えても良い。また、モレキュラーシーブスや無水硫酸ナトリウムのような脱水剤を用いて、副生する水を除いても良い。反応は室温以上、溶媒の沸点以下の任意の温度で実施可能であるが、脱水剤を併用し、溶媒の沸点で加熱還流下で行うのが望ましい。
【0012】
式(4)で表される2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ブタンジチオールは、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ブタンジオールを、2,2−ビス(アルキルスルホニルオキシメチル)−1,4−ジ(アルキルスルホニルオキシ)ブタン、2,2−ビス(アリールスルホニルオキシメチル)−1,4−ジ(アリールスルホニルオキシ)ブタンまたは2,2−ビス(ハロゲノメチル)−1,4−ハロゲンブタンに導き、これを適当なチオール化試薬と反応させることで合成することができる。チオール化試薬としては、チオ尿素とアルカリ性水溶液、チオ硫酸塩と鉱酸水溶液、ジチオカルバミン酸塩、ジチオ炭酸O−アルキル塩、トリチオ炭酸塩、水硫化物等を例示することができるが、トリチオ炭酸ナトリウムを用いるのが望ましい。この場合、反応は、水、DMF、THF、エタノール、メタノール等の反応を妨害しない溶媒中で自由に行うことができる。反応は室温以上、溶媒の沸点以下の任意の温度で実施可能であるが、50℃以上、溶媒の沸点以下で行うのが望ましい。通常、反応は数時間以内で完了する。
2,2−ビス(アルキルスルホニルオキシメチル)−1,4−ジ(アルキルスルホニルオキシ)ブタンまたは2,2−ビス(アリールスルホニルオキシメチル)−1,4−ジ(アリールスルホニルオキシ)ブタンは、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、ピリジン、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等の適当な塩基共存下で、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ブタンジオールと対応するスルホン酸ハライドとを、反応させることで得ることができる。ここで、反応は、ジクロロメタン、THF等の反応を阻害しない溶媒を用いて行うこともできる。
2,2−ビス(ハロゲノメチル)−1,4−ハロゲンブタンは、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ブタンジオールと、適当なハロゲン化剤との反応で製造することができる。ハロゲン化剤としては、塩化スルフリル、臭化スルフリル、塩化チオニル、臭化チオニル、ジアザカルボン酸ジエチル−トリフェニルホスフィン−沃化ナトリウム、四ハロゲン化炭素−トリフェニルホスフィン等を用いることができる。
【0013】
原料として用いる2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ブタンジオールは、メルガーらによって開示された方法(特開平5−286877号)によって得ることができる。すなわち、塩基触媒共存下、4−ヒドロキシブタナールをホルムアルデヒドと反応させた反応物を、そのまま接触水素添加反応で還元して製造することができる。4−ヒドロキシブタナールは、R.PAULらの方法〔Bull.Chem.Soc.France,(1950)668〕により、市販されているジヒドロフランを、塩酸水溶液中で加水分解して製造することができる。
【0014】
式(5)で表される4,4−ビス(メルカプトメチル)−3,5−ジチアヘプタン−1,7−ジチオールは、4,4−ビス(ヒドロキシメチル)−3,5−ジチアヘプタン−1,7−ジオールを、4,4−ビス(アルキルスルホニルオキシメチル)−1,7−ジアルキルスルホキシ−3,5−ジチアヘプタン、4,4,−ビス(アリールスルホニルオキシメチル)−1,7−ジアリールスルホキシ−3,5,−ジチアヘプタン、または4,4,−ビス(ハロゲノメチル)−1,7−ジハロゲン−3,5,−ジチアヘプタンに、適当なチオール化試薬を反応させることで合成することができる。チオール化試薬としては、チオ尿素とアルカリ性水溶液、チオ硫酸塩と鉱酸水溶液、ジチオカルバミン酸塩、ジチオ炭酸O−アルキル塩、トリチオ炭酸塩、水硫化物等を例示することができる。これらのうち、チオ尿素と反応させ、S−アルキルイソチウロニウム塩とした後、これをアルカリ水溶液中で加水分解する方法が最も望ましい。チオ尿素との反応は、水、DMF、THF、エタノール、メタノール等の反応を妨害しない溶媒中で自由に行うことができるが、エタノールが望ましい。反応は室温以上、溶媒の沸点以下の任意の温度で実施可能であるが、加熱還流下で行うのが望ましい。加水分解に用いられるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、アンモニア水等を例示することができるが、アンモニア水または水酸化ナトリウム水溶液を用いるのが望ましい。反応は、水、エタノール、メタノール等の反応を妨害しない溶媒中で自由に行うことができるが、水が望ましい。反応は室温以上、溶媒の沸点以下の任意の温度で実施可能である。通常、反応は数時間以内で完了する。
【0015】
4,4−ビス(ヒドロキシメチル)−3,5−ジチアヘプタン−1,7−ジオールは、市販の1,3−ジヒドロキシアセトン(2量体)と市販の2−メルカプトエタノールを、適当な酸触媒の存在下に反応させて得ることができる。酸触媒としては、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体、硫酸、塩酸等を例示することができるが、硫酸を用いるのが望ましい。この時反応を阻害しない限り、適当な溶媒を加えても良い。また、モレキュラーシーブスや無水硫酸ナトリウムのような脱水剤を用いて副生する水を除いても良い。反応は室温以上、溶媒の沸点以下の任意の温度で実施可能であるが、脱水剤を併用し、トルエンまたはベンゼンを溶媒として、その沸点で加熱還流下に行うのが望ましい。
【0016】
式(6)で表される2,3−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ブタンジチオールは、2,3−ビス(クロロメチル)−1,4−クロロブタンまたは2,3−ビス(ブロモメチル)−1,4−ブロムブタンを、適当なチオール化試薬と反応させることで合成することができる。チオール化試薬としては、チオ尿素とアルカリ性水溶液、チオ硫酸塩と鉱酸水溶液、ジメチルジチオカルバミン酸塩、ジチオ炭酸O−アルキル塩、トリチオ炭酸塩、水硫化物塩等を例示することができるが、トリチオ炭酸ナトリウムを用いるのが望ましい。この場合、反応は、水、DMF、THF、エタノール、メタノール等の反応を妨害しない溶媒中で自由に行うことができるが、DMFが望ましい。反応は室温以上、溶媒の沸点以下の任意の温度で実施可能であるが、50℃以上、溶媒の沸点以下で行うのが望ましい。通常、反応は数時間以内で完了する。
2,3−ビス(クロロメチル)−1,4−クロロブタンまたは2,3−ビス(ブロモメチル)−1,4−ブロムブタンは、Weingesらの方法〔Ber.Chem.101(1968)3012〕により容易に合成することができる。すなわち、市販のマロン酸ジエチルを金属ナトリウムで2量化して得た1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸テトラエチルを、エーテル中で水素化リチウムアルミニウムで還元して2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ブタンジオールを合成した後、それぞれピリジン溶媒中で塩化チオニル、臭化チオニルを反応することで製造できる。
【0017】
式(7)で表される2,6−ビス(メルカプトメチル)−3,5−ジチアヘプタン−1,7−ジチオールは、2,6−ビス(クロロメチル)−1,7−ジクロロ−3,5−ジチアヘプタンを、適当なチオール化試薬と反応させることで合成することができる。チオール化試薬としては、チオ尿素とアルカリ性水溶液、チオ硫酸塩と鉱酸水溶液、ジチオカルバミン酸塩、ジチオ炭酸O−アルキル塩、トリチオ炭酸塩、水硫化物等を例示することができるが、チオ尿素と反応させS−アルキルイソチウロニウム塩とした後、これをアルカリ水溶液中で加水分解する方法が最も望ましい。チオ尿素との反応は、水、DMF、THF、エタノール、メタノール等の反応を妨害しない溶媒中で自由に行うことができるが、エタノールが望ましい。反応は室温以上、溶媒の沸点以下の任意の温度で実施可能であるが、50℃以上、溶媒の沸点以下で行うのが望ましい。通常、反応は数時間以内で完了する。
加水分解に用いられるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、アンモニア水等を例示することができるが、アンモニア水または水酸化ナトリウム水溶液を用いるのが望ましい。反応は、水、エタノール、メタノール等の反応を妨害しない溶媒中で自由に行うことができるが、水が望ましい。反応は室温以上、溶媒の沸点以下の任意の温度で実施可能であるが、50℃以上、溶媒の沸点以下で行うのが望ましい。
【0018】
2,6−ビス(クロロメチル)−1,7−ジクロロ−3,5−ジチアヘプタンは、J.C.Patrickらによって開示された方法(USP−2527377号)により得ることができる。すなわち、1,3−ジクロロ−2−メルカプトプロパンとパラフォルムアルデヒドから、濃塩酸を触媒として合成することができる。また、1,3−ジクロロ−2−メルカプトプロパンは、T.Kuwamuraらの方法〔Bull.Chem.Soc.JPN.45(1972)1244〕により、市販されているエピクロルヒドリンより製造できる。すなわち、エピクロルヒドリンをチオ尿素と反応させクロロプロピレンスルフィドとし、これに塩酸ガスを通じて反応させ製造することができる。
【0019】
次に、本発明のポリチオール誘導体を用いて得られるレンズについて述べる。一般式(1)で表されるポリチオール誘導体は、少なくとも1種類のポリイソシアナート誘導体と単量体混合物を構成し、高屈折率プラスチックレンズ用組成物として用いることができる。この時、物性改善のために、一般式(1)以外のポリチオールを併用することもできる。その場合、一般式(1)以外のポリチオールの割合は、全ポリチオールの50モル%以下である。
ポリイソシアナート化合物としては、具体的には、o−キシリレンジイソシアナート、m−キシリレンジイソシアナート、p−キシリレンジイソシアナート、1,3,5−トリス(イソシアナートメチル)ベンゼン、およびこれらの核塩素化物、臭素化物、メチル化物またはエチル化物等、例えば、4−クロル−m−キシリレンジイソシアナート、4,5−ジクロル−m−キシリレンジイソシアナート、2,3,5,6−テトラブロム−p−キシリレンジイソシアナート、4−メチル−m−キシリレンジイソシアナート、4−エチル−m−キシリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ノルボルネンジイソシアナート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)等が挙げられる。これらの一部は市販されている。
【0020】
本発明のポリチオール誘導体を、レンズ用樹脂組成物の一成分として用いる場合、各成分の使用割合、即ち、ポリイソシアナートと、一般式(1)の化合物を含むポリチオールとの使用割合は、NCO基/SH基の当量比で、0.5〜1.5の範囲、好ましくは、0.6〜1.4、特に好ましくは、0.7〜1.3の範囲である。
レンズの作製は、一般式(1)で表されるポリチオール誘導体の少なくとも一種を含むポリチオールと、ポリイソシアナート化合物の少なくとも一種とを含む単量体混合物に、必要に応じて、添加剤を加えて、公知の注型重合法、すなわち、ガラス製または金属製のモールドと樹脂製ガスケットを組み合わせたモールド型の中に混合液を注入し、加熱して硬化させることにより行なわれる。この時、成型後の樹脂の取り出しを容易にするために、モールドに公知の離型処理を施しても差し支えない。
注型重合における重合温度及び重合時間は、モノマーの組成、添加剤の種類、量によっても異なるが、一般的には、5〜20℃から昇温を開始し、100℃〜130℃程度まで8〜30時間で昇温する。
【0021】
本発明で得られるレンズは、必要に応じて、反射防止、高硬度付与、耐摩耗性向上、耐薬品性向上、防曇性付与、あるいは、ファッション性付与等の改良を行なうため、表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処理、染色処理、調光処理等の物理的あるいは化学的処理を施すことができる。また、本発明で得られるレンズは、通常の分散染料を用い、水または溶媒中で容易に染色が可能である。染色の際、更に染色を容易にするために染色浴に染色助剤であるキャリヤーを加えてもよい。
本発明のポリチオール誘導体を用いて得られる含硫ウレタン樹脂は、極めて低分散で、高屈折率、耐熱性に優れ、かつ、無色透明であり、軽量で、耐候性、耐衝撃性に優れ、更に、低吸水性で、表面硬度に優れた特徴を有しており、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子材料のみでなく、グレージング材料、塗料、接着剤の材料としても好適である。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これによって何等制限されるものではない。尚、実施例中に示す部は、重量部を示す。
得られたレンズの性能試験は以下の試験法により評価した。
・屈折率、アッベ数:プルフリッヒ屈折計を用い、20℃で測定する。
・外 観:目視により、着色、透明性を観察する。
・耐熱性:サーモメカニカルアナライザー、TAS300(理学電機製)を用いて、試験片に5g加重し、2.5℃/分で加熱して、その熱変形開始温度を測定する。
・染色性:三井東圧染料(株)製のプラスチックレンズ用分散染料であるML−Yellow、ML−Red、ML−Blueを各々、5g/Lの水溶液に調製した染色槽を使って、95℃で5分間浸漬し、9mmの厚さの平板を染色する。
染色後、スペクトロフォトメーター、U−2000(日立製作所製)を用いて、400〜700nmの透過率を測定する。
総合評価として染色性が良好なものを(○)、染色性に劣るか、全く染色できないものを(×)とする。
・染色耐熱性:95℃の染色浴に5分間浸積した後、レンズが変形しているか否かを目視により観察する。
・吸水率:JIS−K−7209に基づいて、試験片を作製し、室温で、水中に48時間浸漬し、その後の重量変化から吸水率を測定する。
・表面硬度:JIS−K−5401の塗膜用鉛筆引っ掻き試験機を使用して、鉛筆硬度を測定する。
【0023】
実施例1 2−メルカプトメチル−1,3−プロパンジチオールの製造
水硫化ナトリウム・7水塩36.7g、水酸化ナトリウム19.2g、二硫化炭素29mlを、DMF100ml中で反応し、ここへ、1,3−ジクロロ−2−(クロロメチル)プロパン16gをDMF25mlに溶解して加えた。100℃で3時間反応し、室温まで冷却して、反応液を水250mlにあけ、酢酸エチル100mlで抽出し、水50mlで2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧下に濃縮して淡黄色の油状物として得た。これを減圧下に蒸留(82℃、0.5mmHg)し、微黄色透明の2−メルカプトメチル−1,3−プロパンジチオール12gを得た。
H−NMR(CDCl):
δ=1.28(m,3H),1.84(m,1H),2.73(m,6H) ppm
【0024】
実施例2 2,4,5−トリス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオランの製造
2,3−ジメルカプトコハク酸50gを、エタノール500ml、トルエン500mlの混合溶媒に溶解し、濃硫酸0.1mlを添加して、加熱還流下で10時間反応した。この時モレキュラーシブス4Aを用いて脱水した。この反応液にジエトキシ酢酸エチル150mlを加え、2日間加熱還流下に反応した。ロータリーエバポレータにて大半のエタノールを留去し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、溶媒を減圧下に留去し、淡黄色の油状物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(C−200、ヘキサン:アセトン=4:1)で精製し、1,3−ジチオラン−2,4,5−トリカルボン酸トリエチルを微黄色油状物として得た(48g)。
H−NMR(CDCl):
δ=1.28(m,9H),3.62(m,1H),3.84(m,1H),4.16(m,6H),5.15(m,1H)ppm.
次いで、この1,3−ジチオラン−2,4,5−トリカルボン酸トリエチル21gを、THF200mlに溶解し、水素化リチウムアルミニウム25gをTHF400mlに懸濁したものへ、反応温度が30℃を超えないように氷浴で冷却しながら滴下した。室温で3時間反応後、2時間加熱還流下に反応した。室温まで冷却して、少量の水を滴下して反応を停止し、不溶物を濾去した。飽和塩化アンモニウム水溶液で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。
得られた無色透明の油状物を、塩化メタンスルホニル15mlとピリジン60ml中で、−5℃で終夜反応し、反応物を氷水中にあけ、クロロホルム50mlで2回抽出した。クロロホルム層を10%塩酸−氷水と水、次いで3%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた黄色透明の油状物を、チオ尿素17gとエタノール500ml中、加熱還流下に6時間反応した。反応液を減圧下で約100mlにまで濃縮し、5℃で終夜放置し、析出した白色結晶を濾取し風乾した。
この結晶を窒素気流下で、7%水酸化ナトリウム水溶液2lに溶解し、加熱還流下に8時間反応した。反応液を氷浴で冷却し、10%硫酸水溶液でpH=5にした。これをクロロホルム100mlで3回抽出し、水50mlで2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン=2:1)で精製して、無色透明の硬いガラス状物として2,4,5−トリス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン11.5gを得た。
H−NMR(CDCl):
δ=1.15(m,3H),3.86(m,6H),3.55(m,2H),4.52(m,1H)ppm.
【0025】
実施例3 2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジメルカプトブタンの製造
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ブタンジオール30gを、ピリジン143gに溶解し、塩化メタンスルホニル93mlを−5℃で滴下し、同温で終夜反応した。反応物を氷水200g中にあけ、クロロホルム50mlで2回抽出した。クロロホルム層を10%塩酸−氷水と水、次いで3%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮し、2,2−ビス(メタンスルホニルオキシメチル)−1,4−ジ(メタンスルホニルオキシ)ブタンを黄色油状物として得た。
水硫化ナトリウム・7水塩73g、水酸化ナトリウム20g、二硫化炭素60mlをDMF220ml中で反応し、ここへ、先に製造した粗2,2−ビス(メタンスルホニルオキシメチル)−1,4−ジ(メタンスルホニルオキシ)ブタンをDMF50mlに溶解して滴下した。100℃で3時間反応し、室温まで冷却して反応液を氷水500ml中にあけ、酢酸エチル100mlで3回抽出し、水100mlで2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して淡黄色の油状物として得た。これを窒素気流下にて亜鉛末2g、濃塩酸10mlと共に室温で1時間激しく撹拌後、不溶物を濾去してクロロホルム中にあけ、水洗して無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して無色透明の油状物を得た。減圧下(80℃、0.3mmHg)で、2時間処理して不純物を除去し、無色透明油状物の2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジメルカプトブタン22gを得た。
H−NMR(CDCl):
δ=1.91(m,4H),2.84(m,2H),3.77(m,8H)ppm.
【0026】
実施例4 4,4−ビス(メルカプトメチル)−3,5−ジチアヘプタン−1,7−ジチオールの製造
1,3−ジヒドロキシアセトン(2量体)14.1gと2−メルカプトエタノール25gを、濃硫酸1滴を酸触媒とし、ベンゼン100ml中で、加熱還流下に12時間反応させた。熱時、活性炭2gを加えて褐色タール状物を除き、熱濾過して、濾液を室温で1日放置して、白色結晶状の4,4−ビス(ヒドロキシメチル)−3,5−ジチアヘプタン−1,7−ジオール10.5gを得た。
H−NMR(CDCl):
δ=2.24(m,4H),2.78(m,4H),4.06(m,8H)ppm.
この4,4−ビス(ヒドロキシメチル)−3,5−ジチアヘプタン−1,7−ジオール7.8gをピリジン70mlに溶解し、塩化メタンスルホニル12mlを−5℃で滴下し、同温で終夜反応した。反応物を氷水100g中にあけ、クロロホルム30mlで3回抽出した。クロロホルム層を10%塩酸−氷水と飽和食塩水、次いで3%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮し、4,4−ビス(メタンスルホニルオキシメチル)−1,7−ジメタンスルホキシ−3,5−ジチアヘプタンを黄色油状物として得た。得られた粗4,4−ビス(メタンスルホニルオキシメチル)−1,7−ジメタンスルホキシ−3,5−ジチアヘプタンを、チオ尿素14.3gとエタノール80ml中、加熱還流下に6時間反応した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた油状物を、窒素気流下で濃アンモニア水16mlと80℃で6時間反応させた。トルエン100mlを加えて水洗、5%塩酸水溶液洗、水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。得られた粗アモルファス状物をヘキサン−ベンゼン(1:1)10mlで再結晶して、4,4−ビス(メルカプトメチル)−3,5−ジチアヘプタン−1,7−ジチオール3.3gを無色結晶として得た(融点111〜113℃)。
H−NMR(CDCl):
δ=1.44(m,4H),2.57(m,2H),2.87(m,8H),3.99(m,2H)ppm.
【0027】
実施例5 2,3−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ブタンジチオールの製造
2,3−ビス(クロロメチル)−1,4−クロロブタン33gを、DMF30mlに溶解し、水硫化ナトリウム・7水塩60g、水酸化ナトリウム35g、二硫化炭素48mlをDMF170ml中で反応した溶液の中に滴下した。100℃で3時間反応させ、室温まで冷却した後、反応液を氷水300ml中にあけ、酢酸エチル100mlで3回抽出し、水100mlで2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して淡黄色の油状物として得た。これを窒素気流下にて、亜鉛末2g、濃塩酸10mlと共に室温で1時間激しく撹拌後、不溶物を濾去して、クロロホルム中にあけ、水洗して無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して無色透明の油状物を得た。減圧下(80℃、0.3mmHg)で2時間処理して不純物を除去し、2,3−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ブタンジチオールを硬い無色透明油状物として得た。収量18g。
H−NMR(CDCl):
δ=1.88(m,4H),2.55(m,2H),3.81(m,8H)ppm.
【0028】
実施例6 2,6−ビス(メルカプトメチル)−3,5−ジチアヘプタン−1,7−ジチオール
2,6−ビス(クロロメチル)−1,7−ジクロロ−3,5−ジチアヘプタン25gを、チオ尿素26.5gとエタノール220ml中で、加熱還流下に6時間反応した。反応液を減圧下で約100mlにまで濃縮し、5℃に終夜放置し、析出した白色結晶を濾取し風乾した。この結晶20gを、窒素気流下で6%水酸化ナトリウム水溶液640mlに溶解し、加熱還流下に8時間反応した。反応液を氷浴で冷却し、10%硫酸水溶液でpH=5にした。これをクロロホルム100mlで3回抽出し、水50mlで2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた微黄色の粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン=2:1)で精製し、無色透明の硬いガラス状物として2,6−ビス(メルカプトメチル)−3,5−ジチアヘプタン−1,7−ジチオール6.6gを得た。
H−NMR(CDCl):
δ=1.65(m,4H),2.88(m,2H),3.45(m,8H),5.51(m,2H)ppm.
【0029】
実施例7
2−メルカプトメチル−1,3−プロパンジチオール20部(0.13モル)、m−キシリデンジイソシアナート36.6部(0.194モル)、ジブチルチンジラウレート0.01重量%(混合物の全量に対して)を混合して、均一液とし、十分に脱泡した後、離型処理を施したガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に注入した。
ついで、40℃から120℃まで徐々に昇温しながら、20時間かけて加熱硬化させた。重合終了後、徐々に冷却し、重合体をモールドより取り出した。
得られた樹脂は、無色透明で、屈折率n=1.64、アッベ数ν=34であり、熱変形開始温度は135℃だった。キャリヤーとして、2%ベンジルアルコールを用いた染色後の透過率は、ML−Yellowで25%、ML−Redで27%、ML−Blueで31%であり、染色性の総合評価は(○)であった。48時間後の吸水率は0.01%であり、また、表面硬度は2Hであった。
【0030】
実施例8
2,4,5−トリス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン25部(0.102モル)、m−キシリデンジイソシアナート28.8部(0.153モル)、ジブチルチンジラウレート0.01重量%(混合物の全量に対して)を混合して、均一液とし、十分に脱泡した後、離型処理を施したガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に注入した。
ついで、40℃から120℃まで徐々に昇温しながら、20時間かけて加熱硬化させた。重合終了後、徐々に冷却し、重合体をモールドより取り出した。
得られた樹脂は、無色透明で、屈折率n=1.65、アッベ数ν=33であり、熱変形開始温度は115℃だった。染色後の透過率は、ML−Yellowで29%、ML−Redで33%、ML−Blueで39%であり、染色性の総合評価は(○)であった。48時間後の吸水率は0.01%であり、また、表面硬度は2Hであった。
【0031】
実施例9
2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ブタンジチオール23部(0.11モル)、m−キシリデンジイソシアナート32.2部(0.171モル)、ジブチルチンジラウレート0.01重量%(混合物の全量に対して)を混合して均一液とし、十分に脱泡した後、離型処理を施したガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に注入した。
ついで、40℃から120℃まで徐々に昇温しながら、20時間かけて加熱硬化させた。重合終了後、徐々に冷却し、重合体をモールドより取り出した。
得られた樹脂は、無色透明で、屈折率n=1.65、アッベ数ν=33であり、熱変形開始温度は138℃であった。キャリヤーとして2%ベンジルアルコールを用いた染色後の透過率は、ML−Yellowで27%、ML−Redで30%、ML−Blueで35%であり、染色性の総合評価は(○)であった。48時間後の吸水率は0.01%であり、また、表面硬度は2Hであった。
【0032】
実施例10
4,4−ビス(メルカプトメチル)−3,5−ジチアヘプタン−1,7−ジチオール30部(0.103モル)、m−キシリデンジイソシアナート29部(0.155モル)、ジブチルチンジラウレート0.01重量%(混合物の全量に対して)を混合して均一液とし、十分に脱泡した後、離型処理を施したガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に注入した。
ついで、40℃から120℃まで徐々に昇温しながら、20時間かけて加熱硬化させた。重合終了後、徐々に冷却し、重合体をモールドより取り出した。
得られた樹脂は、無色透明で、屈折率n=1.67、アッベ数ν=31であり、熱変形開始温度は109℃であった。染色後の透過率は、ML−Yellowで33%、ML−Redで35%、ML−Blueで35%であり、染色性の総合評価は(○)であった。48時間後の吸水率は0.02%であり、また、表面硬度は2Hであった。
【0033】
実施例11
2,3−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ブタンジチオール23部(0.11モル)、m−キシリデンジイソシアナート32.2部(0.171モル)、ジブチルチンジラウレート0.01重量%(混合物の全量に対して)を混合して均一液とし、十分に脱泡した後、離型処理を施したガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に注入した。
ついで、40℃から120℃まで徐々に昇温しながら、20時間かけて加熱硬化させた。重合終了後、徐々に冷却し、重合体をモールドより取り出した。
得られた樹脂は、無色透明で、屈折率n=1.66、アッベ数ν=32であり、熱変形開始温度は124℃であった。キャリヤーとして2%ベンジルアルコールを用いた染色後の透過率は、ML−Yellowで28%、ML−Redで29%、ML−Blueで41%であり、染色性の総合評価は(○)であった。48時間後の吸水率は0.01%であり、また、表面硬度は2Hであった。
【0034】
実施例12
2,6−ビス(メルカプトメチル)−3,5−ジチアヘプタン−1,7−ジチオール33.4部(0.11モル)、m−キシリデンジイソシアナート26部(0.138モル)、ジブチルチンジラウレート0.01重量%(混合物の全量に対して)を混合して均一液とし、十分に脱泡した後、離型処理を施したガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に注入した。
ついで、40℃から120℃まで徐々に昇温しながら、20時間かけて加熱硬化させた。重合終了後、徐々に冷却し、重合体をモールドより取り出した。
得られた樹脂は、無色透明で、屈折率n=1.68、アッベ数ν=31であり、熱変形開始温度は120℃であった。キャリヤーとして2%ベンジルアルコールを用いた染色後の透過率は、ML−Yellowで30%、ML−Redで33%、ML−Blueで35%であり、染色性の総合評価は(○)であった。48時間後の吸水率は0.02%であり、また、表面硬度はHであった。
【0035】
【発明の効果】
本発明のポリチオール誘導体は、含硫ウレタン樹脂からなるプラスチックレンズの原料として用いた場合、極めて高い屈折率と高い耐熱性を合わせ持つ優れた高屈折率プラスチックレンズを提供することが可能である。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)
    R―(CHSH)(1)
    (式中、Rは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜3の低級アルカントリイル、または低級アルカンテトライルを表し、nは3または4の整数を表す)で表される化合物が、下記式(2)〜(7)(化1)いずれかであるポリチオール誘導体。
    Figure 0003628054
  2. 請求項1記載のポリチオール誘導体とポリイソシアネートを反応、硬化させて得られる高屈折率プラスチックレンズ。
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