JP2997244B1 - ポリイソシアネート化合物及びその製造方法 - Google Patents

ポリイソシアネート化合物及びその製造方法

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JP2997244B1 JP10213570A JP21357098A JP2997244B1 JP 2997244 B1 JP2997244 B1 JP 2997244B1 JP 10213570 A JP10213570 A JP 10213570A JP 21357098 A JP21357098 A JP 21357098A JP 2997244 B1 JP2997244 B1 JP 2997244B1
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Abstract

【要約】 【課題】 高屈折率、低分散で、光学特性に優れる光学
材料の原料として有用な新規なポリイソシアネート化合
物、および、このものを効率よく製造する方法を提供す
る。 【解決手段】 一般式(I) 【化1】 (nは1〜4の整数を示す。)で表されるポリイソシア
ネート化合物、および1,2,3−トリメルカプトプロ
パンと末端にハロゲン原子またはビニル基を有する脂肪
族カルボン酸低級アルキルエステル、あるいは1,2,
3−トリハロゲノプロパンと末端にメルカプト基を有す
る脂肪族カルボン酸低級アルキルエステルを用い、トリ
カルボン酸エステル体、トリカルボニルヒドラジド体を
経て、目的のポリイソシアネート化合物を製造する方法
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリイソシアネー
ト化合物およびその製造方法に関する。さらに詳しく
は、本発明は、高屈折率、低分散で、光学特性に優れる
光学材料の原料として有用な新規なポリイソシアネート
化合物、および、このものを効率よく製造する方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチックはガラスに比べると、軽量
で割れにくく、染色が容易であるため、近年、各種レン
ズ等の光学用途に使用されている。光学用プラスチック
材料としては、ポリエチレングリコールビスアリルカー
ボネート(CR−39)やポリメチルメタクリレート
(PMMA)が一般に用いられている。しかしながら、
これらのプラスチック材料は屈折率が1.5以下である
ため、例えばレンズ材料に用いた場合、度数が強くなる
ほどレンズの肉厚を厚くしなければならず、軽量である
というプラスチックの優位性が損なわれてしまうばかり
か、審美性の点でも好ましくなかった。また特に凹レン
ズにおいては、レンズの周囲の厚さ(コバ厚)が厚くな
り、複屈折や色収差が生じやすいなどの問題があった。
【0003】そこで、比重の小さいプラスチックの特徴
を生かし、レンズの肉厚を薄くできるようにするため、
屈折率の高いプラスチック材料が望まれていた。そのよ
うな性能を有する材料としては、例えば(1)キシリレ
ンジイソシアネート化合物とポリチオール化合物とから
なる重合体(特開昭63−46213号公報)、(2)
脂肪族直鎖状含硫二官能イソシアネート化合物とポリチ
オール化合物とからなる樹脂(特開平2−153302
号公報)、(3)脂肪族分岐状含硫二官能イソシアネー
ト化合物とポリチオール化合物とからなる重合体(特開
平10−45707号公報)などが開示されている。し
かしながら、上記(1)の重合体は、重合相手となるポ
リチオール化合物との組合わせを限定することにより、
屈折率は高くなるものの、アッベ数が低くなり、色収差
が大きくなるという問題が生じる。
【0004】一方、(2)の樹脂および(3)の重合体
は、屈折率が高く、色収差の点での改善もみられるが、
耐溶剤性に劣るという欠点を有している。
【0005】さらに、これらは、二官能性イソシアネー
ト化合物から得られた未架橋の重合体であるため、耐溶
剤性を向上させるには、別途特殊な架橋剤を必要とし、
重合相手となるポリチオール化合物の種類が制限される
のを免れないという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、高屈折率でかつ低分散である上、耐溶剤
性に優れる光学材料を与えることができる新規なポリイ
ソシアネート化合物、およびこのものを効率よく製造す
る方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の目
的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、高屈折率お
よび低分散に寄与する硫黄原子を主骨格に有し、かつ重
合官能基であるイソシアネートを3つ有するポリイソシ
アネート化合物が新規な化合物であり、その目的に適合
しうること、そして、このものは、特定の方法により、
効率よく得られることを見出し、この知見に基づいて本
発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、一般式(I)
【化11】 (式中、3個のnは同一の整数で、1〜4を示す。)で
表されることを特徴とするポリイソシアネート化合物を
提供するものである。
【0009】また、このポリイソシアネート化合物は、
下記の本発明の方法(製造方法1、2および3)によ
り、製造することができる。
【0010】まず、本発明の製造方法1は、1,2,3
−トリメルカプトプロパンに、一般式(II) X−CH2−(CH2m−COOR1 …(II) (式中、Xはハロゲン原子、R1は低級アルキル基、m
は0〜3を示す。)で表されるハロゲノ脂肪族カルボン
酸低級アルキルエステルを反応させて、一般式(III)
【化12】 (式中、3個のnは同一の整数で、1〜4を示し、R1
は前記と同じである。)で表されるトリカルボン酸エス
テル体を得たのち、一般式(IV)
【化13】 (式中、nは前記と同じである。)で表されるトリカル
ボニルヒドラジド体に導き、次いでカルボニルヒドラジ
ド基をイソシアネート基に変換することを特徴とする、
一般式(I)
【化14】 (式中、nは前記と同じである。)で表されるポリイソ
シアネート化合物の製造方法である。
【0011】次に、本発明の製造方法2は、1,2,3
−トリハロゲノプロパンに、一般式(V) HS−CH2−(CH2m−COOR1 …(V) (式中、R1は低級アルキル基、mは0〜3を示す。)
で表されるメルカプト脂肪族カルボン酸低級アルキルエ
ステルを反応させて、一般式(III)
【化15】 (式中、3個のnは同一の整数で、1〜4を示し、R1
は前記と同じである。)で表されるトリカルボン酸エス
テル体を得たのち、一般式(IV)
【化16】 (式中、nは前記と同じである。)で表されるトリカル
ボニルヒドラジド体に導き、次いでカルボニルヒドラジ
ド基をイソシアネート基に変換することを特徴とする、
一般式(I)
【化17】 (式中、nは前記と同じである。)で表されるポリイソ
シアネート化合物の製造方法である。
【0012】さらに、本発明の製造方法3は、1,2,
3−トリメルカプトプロパンに、一般式(VI) CH2=CH−(CH2k−COOR2 …(VI) (式中、R2は低級アルキル基、kは0〜2を示す。)
で表される脂肪族不飽和カルボン酸低級アルキルエステ
ルを反応させて、一般式(VII)
【化18】 (式中、R2は前記と同じであり、3個のkは同一の整
数で、0〜2を示す。)で表されるトリカルボン酸エス
テル体を得たのち、一般式(VIII)
【化19】 (式中、kは前記と同じである。)で表されるトリカル
ボニルヒドラジド体に導き、次いでカルボニルヒドラジ
ド基をイソシアネート基に変換することを特徴とする、
一般式(I−a)
【化20】 (式中、kは前記と同じである。)で表されるポリイソ
シアネート化合物の製造方法である。
【0013】本発明のポリイソシアネート化合物は、一
般式(I)
【化21】 (式中、3個のnは同一の整数で、1〜4を示す。)で
表される新規化合物である。一般式(I)から明らかな
ように、この新規化合物は、プロパンの1、2および3
位にそれぞれ硫黄原子が結合している構造を基本骨格と
し、さらに3つのイソシアネート基を有するものであ
る。このように硫黄原子を基本骨格に含むことにより、
ポリイソシアネート化合物自体の屈折率およびアッベ数
が高められるので、このポリイソシアネート化合物を用
いて光学材料を製造した場合に、その光学材料の屈折率
およびアッベ数をも高める。また、このポリイソシアネ
ート化合物は、3つのイソシアネート基を有することか
ら、それ自体架橋剤となるため、このポリイソシアネー
ト化合物を用いて光学材料を製造した場合、副成分とし
て他の架橋剤を加えなくても、その光学材料に高耐溶剤
性だけでなく、高耐熱性や優れた機械的物性を与えるこ
とができる。このポリイソシアネート化合物の中で、特
に一般式(I)におけるnが1または2のものが好適で
ある。
【0014】前記一般式(I)で表される本発明のポリ
イソシアネート化合物としては、具体的には、下記の構
造のものが挙げられる。
【0015】
【化22】 この一般式(I)で表されるポリイソシアネート化合物
の製造方法としては、所望の構造を有するポリイソシア
ネート化合物が得られる方法であればよく、特に制限は
ないが、以下に示す本発明の方法1、2および3に従え
ば極めて効率よく製造することができる。
【0016】製造方法1: この製造方法1においては、まず、1,2,3−トリメ
ルカプトプロパンに、一般式(II) X−CH2−(CH2m−COOR1 …(II) (式中、Xはハロゲン原子、R1は低級アルキル基、m
は0〜3を示す。)で表されるハロゲノ脂肪族カルボン
酸低級アルキルエステルを反応させて、一般式(III)
【化22】 (式中、3個のnは同一の整数で、1〜4を示し、R1
は前記と同じである。)で表されるトリカルボン酸エス
テル体を得る。
【0017】この反応においては、ハロゲン化水素捕捉
剤の存在下、1,2,3−トリメルカプトプロパン1モ
ルに対し、実質上3モルの一般式(II)で表されるハロ
ゲノ脂肪族カルボン酸低級アルキルエステルを反応させ
るのがよい。この場合、必要に応じ、適当な溶媒を使用
することができる。
【0018】次に、このようにして得られた一般式(II
I)で表されるトリカルボン酸エステル体に、ヒドラジ
ン一水和物などを反応させて、一般式(IV)
【化24】 (式中、nは前記と同じである。)で表されるトリカル
ボニルヒドラジド体に導く。この際、必要に応じ、低級
アルコールなどの溶媒を用いることができる。
【0019】最後に、このようにして得られた一般式
(IV)で表されるトリカルボニルヒドラジド体を、例え
ば塩酸水溶中で亜硝酸と反応させたのち、熱転移させ
て、カルボニルヒドラジド基をイソシアネート基に変換
することにより、目的の一般式(I)
【化25】 (式中、nは前記と同じである。)で表されるポリイソ
シアネート化合物が得られる。
【0020】製造方法2: 製造方法2においては、まず、1,2,3−トリハロゲ
ノプロパンに、一般式(V) HS−CH2−(CH2)m−COOR1 …(V) (式中、R1は低級アルキル基、mは0〜3を示す。)
で表されるメルカプト脂肪族カルボン酸低級アルキルエ
ステルを反応させて、一般式(III)
【化23】 (式中、3個のnは同一の整数で、1〜4を示し、R1
は前記と同じである。)で表されるトリカルボン酸エス
テル体を得る。
【0021】この反応においては、ハロゲン化水素捕捉
剤の存在下、1,2,3−トリハロゲノプロパン1モル
に対し、実質上3モルの一般式(V)で表されるメルカ
プト脂肪族カルボン酸低級アルキルエステルを反応させ
るのがよい。この場合、必要に応じ、適当な溶媒を使用
することができる。
【0022】次に、このようにして得られた一般式(II
I)で表されるトリカルボン酸エステル体を、前記製造
方法1と同様にして、カルボニルヒドラジド体に導いた
のち、カルボニルヒドラジド基をイソシアネート基に変
換することにより、目的の一般式(I)で表されるポリ
イソシアネート化合物が得られる。
【0023】製造方法3: 製造方法3は、一般式(I)におけるnが2〜4である
ポリイソシアネート化合物を製造する方法である。この
製造方法3においては、まず1,2,3−トリメルカプ
トプロパンに、一般式(VI) CH2=CH−(CH2k−COOR2 …(VI) (式中、R2は低級アルキル基、kは0〜2を示す。)
で表される脂肪族不飽和カルボン酸低級アルキルエステ
ルを反応させて、一般式(VII)
【化24】 (式中、R2は前記と同じであり、3個のkは同一の整
数で、0〜2を示す。)で表されるトリカルボン酸エス
テル体を得る。
【0024】この反応においては、ラジカル系やアニオ
ン系触媒の存在下、1,2,3−トリメルカプトプロパ
ン1モルに対し、実質上3モルの一般式(VI)で表され
る脂肪族不飽和カルボン酸低級アルキルエステルを反応
させるのがよい。この場合、必要に応じ、適当な溶媒を
使用することができる。
【0025】次に、このようにして得られた一般式(VI
I)で表されるトリカルボン酸エステル体に、ヒドラジ
ン一水和物などを反応させて、一般式(VIII)
【化28】 (式中、kは前記と同じである。)で表されるトリカル
ボニルヒドラジド体に導く。この際、必要に応じ、低級
アルコールなどの溶媒を用いることができる。
【0026】最後に、このようにして得られた一般式
(VIII)で表されるトリカルボニルヒドラジド体を、例
えば塩酸水溶中で亜硝酸と反応させたのち、熱転移させ
て、カルボニルヒドラジド基をイソシアネート基に変換
することにより、目的の一般式(I−a)
【化29】 (式中、kは前記と同じである。)で表されるポリイソ
シアネート化合物が得られる。なお、R1、R2で示され
る低級アルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基などである。また、一般式(I)
で表されるポリイソシアネート化合物は、前述の本発明
の方法以外に、ホスゲン法によっても製造することがで
きる。
【0027】次に、1例を挙げてホスゲン法を説明す
る。まず、ハロゲン化水素捕捉剤の存在下、1,2,3
−トリメルカプトプロパン1モルに対し、実質上3モル
のハロゲノアセトニトリルを反応させて、式(IX)
【化30】 で表される1,2,3−トリス(シアノメチルチオ)プ
ロパンを得る。次いで、これを水素添加して、式(X)
【化31】 で表される1,2,3−トリス(アミノエチルチオ)プ
ロパンに導いたのち、ホスゲンを反応させることによ
り、目的の式(I−b)
【化32】 で表される1,2,3−トリス(イソシアナートエチル
チオ)プロパンが得られる。
【0028】
【実施例】次に、実施例により、本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。得られたポリイソシアネート化合
物および光学材料(重合体)の物性は、以下に示す方法
に従って評価した。 (1)1H−NMRスペクトル(プロトン核磁気共鳴スペ
クトル) 日本電子製FT−NMR装置EX270型を用いて測定
した。 (2)IRスペクトル(赤外線吸収スペクトル) ニコレー製MAGNA−IR分光光度計560型を用い
て測定した。 (3)屈折率(nD)とアッベ数(νD) カルニュー社製精密屈折率計KPR−200型を用いて
20℃にて測定した。 (4)外観 肉眼により観察した。
【0029】(5)耐候性 サンシャインカーボンアークランプを装備したウエザー
メーターにレンズ(光学材料を用いた光学製品)をセッ
トし200時間経過したところでレンズを取り出し、試
験前のレンズと色相を比較し、下記の基準で耐候性を評
価した。 ○:変化なし △:わずかに黄変 ×:黄変 (6)耐溶剤性 アセトンを用いた拭き取りテストを行い、下記の基準で
耐溶剤性を評価した。 ○:変化がない ×:表面にあれや膨潤がみられる (7)光学歪 シュリーレン法による目視観察を行い、下記の基準で光
学歪を評価した。 ○:歪が認められない ×:歪が認められる
【0030】実施例1 1,2,3−トリス(イソシアナートエチルチオ)プロ
パンの製造 1,2,3−トリメルカプトプロパン28.0g(0.
20mol)とアクリル酸メチル51.7g(0.6m
ol)をクロロホルム300mlに溶解し、氷浴下、触
媒としてトリトンB(40重量%メタノール溶液)0.
6gを添加後、3時間還流撹拌した。放冷後、反応溶液
を希水酸化ナトリウム水溶液、水の順で洗浄し、硫酸マ
グネシウムにより乾燥してからクロロホルムを十分除去
することにより、無色透明な1,2,3−トリス(メチ
ルオキシカルボニルエチルチオ)プロパン71.5g
(0.18mol)を得た。
【0031】このエステル化合物をメタノール50ml
に溶解し、ヒドラジン一水和物81.0g(1.62m
ol)とメタノール90mlの混合溶液に室温で滴下
し、滴下終了後70℃で4時間撹拌した。放冷後、析出
した白色結晶を濾取し、メタノール−水より再結晶する
ことにより、1,2,3−トリス(ヒドラジノカルボニ
ルエチルチオ)プロパン69.4g(0.17mol)
を得た。
【0032】このヒドラジド化合物を7.2重量%塩酸
水溶液280gに溶解し、トルエン160mlとの懸濁
液に、亜硝酸ナトリウム36.1g(0.52mol)
を添加し、終了後、1時間撹拌を続けた。懸濁液から有
機相を取り出し、水洗、乾燥(硫酸マグネシウム)した
後、加熱することにより転移反応を完結させた。反応溶
液から溶媒であるトルエンを十分除去することにより、
無色透明な反応生成物46.0g(0.13mol)を
得た。この反応生成物は、1H−NMRスペクトル及び
IRスペクトルにより、目的のポリイソシアネート化合
物であることが分かった。この新規ポリイソシアネート
化合物の1H−NMRスペクトルを図1に、IRスペク
トルを図2に示す。
【0033】応用例1 実施例1で得られた1,2,3−トリス(イソシアナー
トエチルチオ)プロパン(表1中でSP−1と表示)
0.08mol、2,5−ビス(メルカプトメチル)−
1,4−ジチアン二量体(表1中でDBMDと表示)
0.12mol及びジブチルスズジラウレート(表1中
でDBTDLと表示)1.2×10-4molの混合物を
均一に撹拌し、レンズ成形用ガラス型に注入し、50℃
で10時間、その後60℃で5時間、さらに120℃で
3時間加熱重合させプラスチックレンズを得た。得られ
たプラスチックレンズの諸物性を表1に示す。表1か
ら、実施例1のポリイソシアネート化合物を用いて得ら
れた重合体は無色透明であり、屈折率(nD)は1.6
9と非常に高く、アッベ数(νD)も36と高い(低分
散)ものであり、耐候性及び耐溶剤性に優れ、光学歪の
無いものであった。
【0034】応用例2〜6 表1で示すように、実施例1で得られたポリイソシアネ
ート化合物SP−1[1,2,3−トリス(イソシアナ
ートエチルチオ)プロパン]、または1,2,3−トリ
ス(イソシアナートメチルチオ)プロパン(表1中にS
Pー2と表示)を含むモノマー組成物を使用した以外は
応用例1と同様の操作を行い、プラスチックレンズを得
た。これらのプラスチックレンズの諸物性を表1に示
す。表1から、得られたプラスチックレンズは無色透明
であり、屈折率(nD)は1.65〜1.70と非常に
高く、アッベ数(νD)も34〜39と高い(低分散)
ものであり、耐候性及び耐溶剤性に優れ、光学歪の無い
ものであった。
【0035】応用比較例1 ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトプロピオネ
ート(表1中でPETMPと表示)0.06mol、m
−キシリレンジイソシアネート(表1中でXDIと表
示)0.12mol及びジブチルスズジラウレート(表
1中でDBTDLと表示)1.2×10-4molの混合
物を均一に撹拌し、レンズ成形用ガラス型に注入し、5
0℃で10時間、その後60℃で5時間、さらに120
℃で3時間加熱重合させプラスチックレンズを得た。得
られたプラスチックレンズの諸物性を表1に示す。表1
から、応用比較例1のプラスチックレンズは無色透明で
光学歪も観察されず、耐溶剤性にも優れていたが、屈折
率が1.59と低かった。
【0036】応用比較例2〜3 表1に示したモノマー組成物を使用した以外は応用比較
例1と同様の操作を行い、プラスチックレンズを得た。
これらのプラスチックレンズの諸物性を表1に示した。
表1から、応用比較例2のプラスチックレンズは屈折率
が1.68と高く、耐溶剤性にも優れているが、黄色に
着色しており、アッベ数が25と低い上に、耐候性に劣
り、光学歪が観察された。また、応用比較例3のプラス
チックレンズは、無色透明で、屈折率が1.68と高
く、光学歪も観察されなかったが、アッベ数が29と低
い上に、耐溶剤性にも劣っていた。
【0037】
【表1】
【0038】[注1] SP−1:1,2,3−トリス(イソシアナートエチル
チオ)プロパン、 SP−2:1,2,3−トリス(イソシアナートメチル
チオ)プロパン、 IPDI:イソホロンジイソシアネート、 IMTM:ビス(イソシアナートメチルチオ)メタン、 DBMD:2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4
−ジチアン二量体、 BMMD:2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4
−ジチアン、 BMMC:2,5−ビス(メルカプトメチル)シクロヘ
キサン、 TMP:1,2,3−トリメルカプトプロパン、 DBTDL:ジ−n−ブチルチンジラウレート、 DBTDC:ジ−n−ブチルチンジクロライド、DMTDC:ジメチルチンジクロライド XDI:m−キシリレンジイソシアネート、 TDI:トリレンジイソシアネート、 TPDI:2,4−ジチアペンタン−1,3−ジイソシ
アネート PETMP:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メ
ルカプトプロピオネート)、 XDT:m−キシリレンジチオール、 PETMA:ペンタエリスリトールテトラキス(2−メ
ルカプトアセテート)
【0039】
【発明の効果】本発明の新規なポリイソシアネート化合
物は、硫黄原子を含む脂肪族鎖を基本骨格としているた
め、屈折率及びアッベ数が高く、3つのイソシアネート
基を有し、一分子内に2つ以上のヒドロキシル基を有す
る化合物、一分子内に2つ以上のメルカプト基を有する
化合物及び一分子内に1つ以上のヒドロキシル基と1つ
以上のメルカプト基を有する化合物のうちの少なくとも
1種と容易に重合反応し、三次元架橋された光学材料を
与える。また、このポリイソシアネート化合物を用いて
得られた光学材料は、硫黄原子を主鎖に含み、さらに架
橋されているので、屈折率、アッベ数が高く、耐候性、
耐溶剤性、透明性に優れ、光学歪が見られないことか
ら、眼鏡レンズ、カメラレンズ等のレンズ、プリズム、
光ファイバー、光ディスク、磁気ディスク等に用いられ
る記録媒体用基板、フィルターなどの光学製品に好まし
く用いられる。さらに、高屈折率の特徴を生かしたグラ
ス、花ビン等の装飾品にも用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた1,2,3−トリス(イソ
シアナートエチルチオ)プロパンの1H−NMRスペク
トル図である。
【図2】実施例1で得られた1,2,3−トリス(イソ
シアナートエチルチオ)プロパンのIRスペクトル図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08G 18/77 C08G 18/77 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 323/25 C07C 319/14 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、3個のnは同一の整数で、1〜4を示す。)で
    表されることを特徴とするポリイソシアネート化合物。
  2. 【請求項2】 一般式(I)において、nが1または2
    である請求項1に記載のポリイソシアネート化合物。
  3. 【請求項3】 1,2,3−トリメルカプトプロパン
    に、一般式(II) X−CH2−(CH2m−COOR1 …(II) (式中、Xはハロゲン原子、R1は低級アルキル基、m
    は0〜3を示す。)で表されるハロゲノ脂肪族カルボン
    酸低級アルキルエステルを反応させて、一般式(III) 【化2】 (式中、3個のnは同一の整数で、1〜4を示し、R1
    は前記と同じである。)で表されるトリカルボン酸エス
    テル体を得たのち、一般式(IV) 【化3】 (式中、nは前記と同じである。)で表されるトリカル
    ボニルヒドラジド体に導き、次いでカルボニルヒドラジ
    ド基をイソシアネート基に変換することを特徴とする、
    一般式(I) 【化4】 (式中、nは前記と同じである。)で表されるポリイソ
    シアネート化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】 1,2,3−トリハロゲノプロパンに、
    一般式(V) HS−CH2−(CH2m−COOR1 …(V) (式中、R1は低級アルキル基、mは0〜3を示す。)
    で表されるメルカプト脂肪族カルボン酸低級アルキルエ
    ステルを反応させて、一般式(III) 【化5】 (式中、3個のnは同一の整数で、1〜4を示し、R1
    は前記と同じである。)で表されるトリカルボン酸エス
    テル体を得たのち、一般式(IV) 【化6】 (式中、nは前記と同じである。)で表されるトリカル
    ボニルヒドラジド体に導き、次いでカルボニルヒドラジ
    ド基をイソシアネート基に変換することを特徴とする、
    一般式(I) 【化7】 (式中、nは前記と同じである。)で表されるポリイソ
    シアネート化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】 1,2,3−トリメルカプトプロパン
    に、一般式(VI) CH2=CH−(CH2k−COOR2 …(VI) (式中、R2は低級アルキル基、kは0〜2を示す。)
    で表される脂肪族不飽和カルボン酸低級アルキルエステ
    ルを反応させて、一般式(VII) 【化8】 (式中、R2は前記と同じであり、3個のkは同一整数
    で、0〜2を示す。)で表されるトリカルボン酸エステ
    ル体を得たのち、一般式(VIII) 【化9】 (式中、kは前記と同じである。)で表されるトリカル
    ボニルヒドラジド体に導き、次いでカルボニルヒドラジ
    ド基をイソシアネート基に変換することを特徴とする、
    一般式(I−a) 【化10】 (式中、kは前記と同じである。)で表されるポリイソ
    シアネート化合物の製造方法。
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