JP2942400B2 - ポリイソシアネート化合物、それを用いて得られた光学材料及び光学製品 - Google Patents
ポリイソシアネート化合物、それを用いて得られた光学材料及び光学製品Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリイソシアネート化合
物、それを用いて得られた光学材料及び光学製品に関す
る。本発明のポリイソシアネート化合物は例えば光学用
プラスチックレンズ材料の有用な原料として用いられ
る。また、上記ポリイソシアネート化合物を用いて得ら
れた本発明の光学材料は、高屈折率、低分散で、光学的
特性に優れており、レンズ、プリズム、光ファイバー、
記録媒体用基板、フィルターなどの光学製品に好ましく
用いられる。さらに、高屈折率の特徴を生かした、グラ
ス、花ビン等の装飾品も、ここでいう光学製品に含まれ
る。
物、それを用いて得られた光学材料及び光学製品に関す
る。本発明のポリイソシアネート化合物は例えば光学用
プラスチックレンズ材料の有用な原料として用いられ
る。また、上記ポリイソシアネート化合物を用いて得ら
れた本発明の光学材料は、高屈折率、低分散で、光学的
特性に優れており、レンズ、プリズム、光ファイバー、
記録媒体用基板、フィルターなどの光学製品に好ましく
用いられる。さらに、高屈折率の特徴を生かした、グラ
ス、花ビン等の装飾品も、ここでいう光学製品に含まれ
る。
【0002】
【従来の技術】プラスチックレンズはガラスに比べると
軽量で割れにくく、染色が容易なため近年、各種レンズ
等の光学用途に使用されている。そのためのプラスチッ
クレンズ材料としてはポリエチレングリコールビスアリ
ルカーボネート(CR−39)やポリメチルメタクリレ
ート(PMMA)が一般に用いられている。これらのプ
ラスチック材料の屈折率は1.50以下であり、例えば
レンズ材料に用いた場合、度数が強くなるとレンズの肉
厚を厚くしなければならなくなり、軽量といったプラス
チックの優位性が失われるばかりでなく、眼鏡用レンズ
とした場合は審美性が悪くなるので好ましくなかった。
また特に、凹レンズの場合はレンズの周囲の厚さが厚く
なり複屈折や色収差が生じ、好ましくなかった。そのた
め、比重の低いプラスチックの特徴を生かしつつ、レン
ズの厚さを薄くでき、かつ色収差の少ない高屈折率、低
分散プラスチック材料が望まれている。そのための材料
としては、テトラクロロメタキシリレンジチオールや
1,3,5−トリメルカプトベンゼンと、ジイソシアネ
ート化合物との重合体が特開昭63−46213号公報
に開示されている。また、ペンタエリスリトールテトラ
キスチオプロピオネートとジイソシアネートとの重合体
が特開昭64−26622号公報に開示されている。さ
らには、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオ
ネートとビニル化合物との重合体が特開昭63−309
509号公報に開示されている。
軽量で割れにくく、染色が容易なため近年、各種レンズ
等の光学用途に使用されている。そのためのプラスチッ
クレンズ材料としてはポリエチレングリコールビスアリ
ルカーボネート(CR−39)やポリメチルメタクリレ
ート(PMMA)が一般に用いられている。これらのプ
ラスチック材料の屈折率は1.50以下であり、例えば
レンズ材料に用いた場合、度数が強くなるとレンズの肉
厚を厚くしなければならなくなり、軽量といったプラス
チックの優位性が失われるばかりでなく、眼鏡用レンズ
とした場合は審美性が悪くなるので好ましくなかった。
また特に、凹レンズの場合はレンズの周囲の厚さが厚く
なり複屈折や色収差が生じ、好ましくなかった。そのた
め、比重の低いプラスチックの特徴を生かしつつ、レン
ズの厚さを薄くでき、かつ色収差の少ない高屈折率、低
分散プラスチック材料が望まれている。そのための材料
としては、テトラクロロメタキシリレンジチオールや
1,3,5−トリメルカプトベンゼンと、ジイソシアネ
ート化合物との重合体が特開昭63−46213号公報
に開示されている。また、ペンタエリスリトールテトラ
キスチオプロピオネートとジイソシアネートとの重合体
が特開昭64−26622号公報に開示されている。さ
らには、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオ
ネートとビニル化合物との重合体が特開昭63−309
509号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開昭63−46213号公報や特開昭64−26622
号公報に記載のイソシアネート化合物は屈折率が高いも
のの、アッベ数が低く、また、これとチオール化合物と
の重付加体はアッベ数が低く、耐候性に劣るといった欠
点がある。また、特開昭63−309509号公報に記
載の重合体も屈折率、アッベ数が低く、耐熱性に劣ると
いった欠点がある。従って、本発明の目的は上記欠点を
解消した新規なポリイソシアネート化合物、それを原料
とした新規な光学材料及び光学製品を提供することにあ
る。
開昭63−46213号公報や特開昭64−26622
号公報に記載のイソシアネート化合物は屈折率が高いも
のの、アッベ数が低く、また、これとチオール化合物と
の重付加体はアッベ数が低く、耐候性に劣るといった欠
点がある。また、特開昭63−309509号公報に記
載の重合体も屈折率、アッベ数が低く、耐熱性に劣ると
いった欠点がある。従って、本発明の目的は上記欠点を
解消した新規なポリイソシアネート化合物、それを原料
とした新規な光学材料及び光学製品を提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するためになされたものであり、本発明の新規なポ
リイソシアネート化合物は一般式(I)に示されること
を特徴とする。
達成するためになされたものであり、本発明の新規なポ
リイソシアネート化合物は一般式(I)に示されること
を特徴とする。
【0005】
【化4】
【0006】ただし、式中、Rは炭素数1〜3のアルキ
ル基であり、n1 は0〜3の整数であり、n2 は0〜2
の整数であり、n3 は2〜4の整数であり、置換基(I
I)及び(III)はジチオラン環の2,4,5−位に
任意に付加させることができる。
ル基であり、n1 は0〜3の整数であり、n2 は0〜2
の整数であり、n3 は2〜4の整数であり、置換基(I
I)及び(III)はジチオラン環の2,4,5−位に
任意に付加させることができる。
【0007】
【化5】
【0008】
【化6】
【0009】また、本発明の新規な光学材料は、上記一
般式(I)で示されるポリイソシアネート化合物
(a1 )を含むイソシアネート成分(A)と、一分子内
に二つ以上のヒドロキシル基を有する化合物(b1 )、
一分子内に二つ以上のメルカプト基を有する化合物(b
2 )及び一分子内に一つ以上のヒドロキシル基と一つ以
上のメルカプト基を有する化合物(b3 )のうち少なく
とも一種を含む(チ)オール成分(B)とを重合させる
ことにより得られることを特徴とする。ここで、(チ)
オール成分とはチオール成分とオール成分の両者を意味
するものである。
般式(I)で示されるポリイソシアネート化合物
(a1 )を含むイソシアネート成分(A)と、一分子内
に二つ以上のヒドロキシル基を有する化合物(b1 )、
一分子内に二つ以上のメルカプト基を有する化合物(b
2 )及び一分子内に一つ以上のヒドロキシル基と一つ以
上のメルカプト基を有する化合物(b3 )のうち少なく
とも一種を含む(チ)オール成分(B)とを重合させる
ことにより得られることを特徴とする。ここで、(チ)
オール成分とはチオール成分とオール成分の両者を意味
するものである。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
新規ポリイソシアネート化合物は脂環式スルフィドであ
るジチオラン環を有することを特徴としている。このジ
チオラン環は、ポリイソシアネート化合物自体の屈折率
及びアッベ数を高めるので、このポリイソシアネート化
合物を用いて光学材料を製造した場合に、その光学材料
の屈折率及びアッベ数をも高める。また、このポリイソ
シアネート化合物のジチオラン環は剛直であるため、こ
のポリイソシアネート化合物を用いて光学材料を製造し
た場合、その光学材料に高耐熱性、優れた機械的物性を
与える。
新規ポリイソシアネート化合物は脂環式スルフィドであ
るジチオラン環を有することを特徴としている。このジ
チオラン環は、ポリイソシアネート化合物自体の屈折率
及びアッベ数を高めるので、このポリイソシアネート化
合物を用いて光学材料を製造した場合に、その光学材料
の屈折率及びアッベ数をも高める。また、このポリイソ
シアネート化合物のジチオラン環は剛直であるため、こ
のポリイソシアネート化合物を用いて光学材料を製造し
た場合、その光学材料に高耐熱性、優れた機械的物性を
与える。
【0011】一般式(I)においてRを炭素数1〜3の
アルキル基及びn1が0〜3の整数に限定した理由を述
べる。Rの炭素数及びn1 が4以上となるとポリイソシ
アネート化合物の屈折率が低下し、これを原料として得
られた光学材料の屈折率が低下し、耐熱性も低下する傾
向にあり好ましくない。また、一般式(I)において、
n2 とn3 がそれぞれ0〜2と2〜4と記載しているの
は、置換基(II)と置換基(III)をジチオラン環
の2、4,5−位に任意に付加させることができること
を示している。本発明のポリイソシアネート化合物は一
般式(I)において、n1 =1、n2 =0、n3 =2
(4,5−位)の場合、4,5−ジヒドロキシメチル−
1,3ジチオランを出発物質として次式に示される方法
により合成することができる。この出発物質は文献テト
ラヘドロン レターズ(Tetrahedron Le
tters)、1985年、5265頁記載の方法によ
り容易に合成される。
アルキル基及びn1が0〜3の整数に限定した理由を述
べる。Rの炭素数及びn1 が4以上となるとポリイソシ
アネート化合物の屈折率が低下し、これを原料として得
られた光学材料の屈折率が低下し、耐熱性も低下する傾
向にあり好ましくない。また、一般式(I)において、
n2 とn3 がそれぞれ0〜2と2〜4と記載しているの
は、置換基(II)と置換基(III)をジチオラン環
の2、4,5−位に任意に付加させることができること
を示している。本発明のポリイソシアネート化合物は一
般式(I)において、n1 =1、n2 =0、n3 =2
(4,5−位)の場合、4,5−ジヒドロキシメチル−
1,3ジチオランを出発物質として次式に示される方法
により合成することができる。この出発物質は文献テト
ラヘドロン レターズ(Tetrahedron Le
tters)、1985年、5265頁記載の方法によ
り容易に合成される。
【0012】
【化7】
【0013】ただし、式中MはNa、K、Agなどの金
属元素である。上記で合成方法を示した、n1 =1、n
2 =0、n3 =2(4,5−位)のポリイソシアネート
化合物以外の一般式(I)のポリイソシアネート化合物
として、以下のものが挙げられる。ただし、これらに限
定されるものではない。
属元素である。上記で合成方法を示した、n1 =1、n
2 =0、n3 =2(4,5−位)のポリイソシアネート
化合物以外の一般式(I)のポリイソシアネート化合物
として、以下のものが挙げられる。ただし、これらに限
定されるものではない。
【0014】
【化8】
【0015】
【化9】
【0016】
【化10】
【0017】次に一般式(I)のポリイソシアネート化
合物を用いて得られる本発明の光学材料について述べる
と、この光学材料は、一般式(I)で示されたポリイソ
シアネート化合物(a1 )を含む成分イソシアネート成
分(A)と、一分子内に二つ以上のヒドロキシル基を有
する化合物(b1 )、一分子内に二つ以上のメルカプト
基を有する化合物(b2 )及び一分子内に一つ以上のヒ
ドロキシル基と一つ以上のメルカプト基を有する化合物
(b3 )のうちの少なくとも一種を含む(チ)オール成
分(B)とを重合反応させることにより得られる。
合物を用いて得られる本発明の光学材料について述べる
と、この光学材料は、一般式(I)で示されたポリイソ
シアネート化合物(a1 )を含む成分イソシアネート成
分(A)と、一分子内に二つ以上のヒドロキシル基を有
する化合物(b1 )、一分子内に二つ以上のメルカプト
基を有する化合物(b2 )及び一分子内に一つ以上のヒ
ドロキシル基と一つ以上のメルカプト基を有する化合物
(b3 )のうちの少なくとも一種を含む(チ)オール成
分(B)とを重合反応させることにより得られる。
【0018】イソシアネート成分(A)には、光学材料
の物性等を適宜改良するために、一般式(I)で示され
る化合物以外に、一分子内に二つ以上のイソ(チオ)シ
アネート基を有する化合物を一種もしくは二種以上含ん
でいてもよい。これらの化合物としては、具体的にはキ
シリレンジイソ(チオ)シアネート、3,3′−ジクロ
ロジフェニル−4,4′−ジイソ(チオ)シアネート、
4,4′−ジフェニルメタンジイソ(チオ)シアネー
ト、ヘキサメチレンジイソ(チオ)シアネート、イソフ
ォロンジイソ(チオ)シアネート、2,2′,5,5′
−テトラクロロジフェニル−4,4′−ジイソ(チオ)
シアネート、トリレンジイソ(チオ)シアネート、1,
3−ビス(イソ(チオ)シアネートメチル)シクロヘキ
サン等が挙げられる。なお、上記イソ(チオ)シアネー
トとは、イソシアネートとイソチオシアネートの両者
を、また、イソ(チオ)シアネート基とは、イソシアネ
ート基とイソチオシアネート基の両者を意味する。一般
式(I)で示される化合物の使用量は、イソシアネート
成分(A)の総量に対して、0.1〜100mol%で
あり、好ましくは5〜100mol%である。
の物性等を適宜改良するために、一般式(I)で示され
る化合物以外に、一分子内に二つ以上のイソ(チオ)シ
アネート基を有する化合物を一種もしくは二種以上含ん
でいてもよい。これらの化合物としては、具体的にはキ
シリレンジイソ(チオ)シアネート、3,3′−ジクロ
ロジフェニル−4,4′−ジイソ(チオ)シアネート、
4,4′−ジフェニルメタンジイソ(チオ)シアネー
ト、ヘキサメチレンジイソ(チオ)シアネート、イソフ
ォロンジイソ(チオ)シアネート、2,2′,5,5′
−テトラクロロジフェニル−4,4′−ジイソ(チオ)
シアネート、トリレンジイソ(チオ)シアネート、1,
3−ビス(イソ(チオ)シアネートメチル)シクロヘキ
サン等が挙げられる。なお、上記イソ(チオ)シアネー
トとは、イソシアネートとイソチオシアネートの両者
を、また、イソ(チオ)シアネート基とは、イソシアネ
ート基とイソチオシアネート基の両者を意味する。一般
式(I)で示される化合物の使用量は、イソシアネート
成分(A)の総量に対して、0.1〜100mol%で
あり、好ましくは5〜100mol%である。
【0019】オール成分(B)に使用されるヒドロキシ
ル基含有化合物(b1 )としては、具体的にはエチレン
グリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジ
ヒドロキシベンゼン、カテコール、4,4′−ジヒドロ
キシフェニルスルフィド、2−ヒドロキシエチルスルフ
ィド等が挙げられる。またチオール成分(B)に使用さ
れるメルカプト基含有化合物(b2 )としては、1,2
−エタンジチオール、1、3−プロパンジチオール、テ
トラキスメルカプトメチルメタン、ペンタエリスリトー
ルテトラキスメルカプトプロピオネート、ペンタエリス
リトールテトラキスメルカプトアセテート、2,5−ジ
メルカプトメチル−1,4−ジチアン、1,2−ベンゼ
ンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−
ベンゼンジチオール、1,3,5−ベンゼントリチオー
ル、1,2−ジメルカプトメチルベンゼン、1,3−ジ
メルカプトメチルベンゼン、1,4−ジメルカプトメチ
ルベンゼン、1,3,5−トリメルカプトメチルベンゼ
ン、トルエン−3,4−ジチオール、トリス(3−メル
カプトプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。ま
た、(チ)オール成分(B)に使用されるヒドロキシル
基及びメルカプト基含有化合物(b3 )としては、2−
メルカプトエタノール、2,3−ジメルカプトプロパノ
ール、1,2−ジヒドロキシ−3−メルカプトプロパ
ン、4−メルカプトフェノール等が挙げられる。
ル基含有化合物(b1 )としては、具体的にはエチレン
グリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジ
ヒドロキシベンゼン、カテコール、4,4′−ジヒドロ
キシフェニルスルフィド、2−ヒドロキシエチルスルフ
ィド等が挙げられる。またチオール成分(B)に使用さ
れるメルカプト基含有化合物(b2 )としては、1,2
−エタンジチオール、1、3−プロパンジチオール、テ
トラキスメルカプトメチルメタン、ペンタエリスリトー
ルテトラキスメルカプトプロピオネート、ペンタエリス
リトールテトラキスメルカプトアセテート、2,5−ジ
メルカプトメチル−1,4−ジチアン、1,2−ベンゼ
ンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−
ベンゼンジチオール、1,3,5−ベンゼントリチオー
ル、1,2−ジメルカプトメチルベンゼン、1,3−ジ
メルカプトメチルベンゼン、1,4−ジメルカプトメチ
ルベンゼン、1,3,5−トリメルカプトメチルベンゼ
ン、トルエン−3,4−ジチオール、トリス(3−メル
カプトプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。ま
た、(チ)オール成分(B)に使用されるヒドロキシル
基及びメルカプト基含有化合物(b3 )としては、2−
メルカプトエタノール、2,3−ジメルカプトプロパノ
ール、1,2−ジヒドロキシ−3−メルカプトプロパ
ン、4−メルカプトフェノール等が挙げられる。
【0020】イソシアネート成分(A)と(チ)オール
成分(B)の使用割合(イソシアネート成分(A)/
(チ)オール成分(B))は、(イソ(チオ)シアネー
ト基)/(メルカプト基+ヒドロキシル基)の比率が
0.95〜1.05の範囲内であるのが好ましい。さら
に、耐候性改良のため、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着
色防止剤、蛍光染料などの添加剤を適宜加えてもよい。
また、重合反応性向上のための触媒を適宜使用してもよ
く、有機スズ化合物、アミン化合物などが効果的であ
る。
成分(B)の使用割合(イソシアネート成分(A)/
(チ)オール成分(B))は、(イソ(チオ)シアネー
ト基)/(メルカプト基+ヒドロキシル基)の比率が
0.95〜1.05の範囲内であるのが好ましい。さら
に、耐候性改良のため、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着
色防止剤、蛍光染料などの添加剤を適宜加えてもよい。
また、重合反応性向上のための触媒を適宜使用してもよ
く、有機スズ化合物、アミン化合物などが効果的であ
る。
【0021】一例として本発明のポリイソシアネート化
合物を用いた本発明の光学材料の製造について述べると
以下の通りである。上記イソシアネート成分(A)、
(チ)オール成分(B)及び添加剤や触媒の均一混合物
を公知の注型重合法、すなわちガラス製または金属製の
モールドと樹脂製のガスケットを組み合わせた型の中に
注入し、加熱して硬化させる。この時、成形後の樹脂の
取り出しを容易にするためにあらかじめモールドを離型
処理したり、イソシアネート成分(A)及び(チ)オー
ル成分(B)の混合物中に離型剤を混合してもよい。重
合温度は、使用する化合物により異なるが、一般には−
20〜+150℃で、重合時間は0.5〜72時間であ
る。本発明の光学材料は通常の分散染料を用い、水もし
くは有機溶媒中で容易に染色が可能であり、この際さら
に染色を容易にするために、キャリアーを加えたり加熱
してもよい。このようにして得られた光学材料は、これ
に限定されるものではないが、プラスチックレンズとし
て特に好ましく用いられる。
合物を用いた本発明の光学材料の製造について述べると
以下の通りである。上記イソシアネート成分(A)、
(チ)オール成分(B)及び添加剤や触媒の均一混合物
を公知の注型重合法、すなわちガラス製または金属製の
モールドと樹脂製のガスケットを組み合わせた型の中に
注入し、加熱して硬化させる。この時、成形後の樹脂の
取り出しを容易にするためにあらかじめモールドを離型
処理したり、イソシアネート成分(A)及び(チ)オー
ル成分(B)の混合物中に離型剤を混合してもよい。重
合温度は、使用する化合物により異なるが、一般には−
20〜+150℃で、重合時間は0.5〜72時間であ
る。本発明の光学材料は通常の分散染料を用い、水もし
くは有機溶媒中で容易に染色が可能であり、この際さら
に染色を容易にするために、キャリアーを加えたり加熱
してもよい。このようにして得られた光学材料は、これ
に限定されるものではないが、プラスチックレンズとし
て特に好ましく用いられる。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。 (物性の評価)実施例及び比較例において得られたポリ
イソシアネート化合物及びその光学材料(重合体)の物
性評価は以下の様にして行った。 屈折率(nD )とアッベ数(νD ) アタゴ社製アッベ屈折率計3Tを用いて20℃にて測定
した。 外観 肉眼により観察した。 耐候性 サンシャインカーボンアークランプを装備したウエザー
メーターにレンズ(光学材料を用いた光学製品)をセッ
トし200時間経過したところでレンズを取り出し、試
験前のレンズと色相を比較した。評価基準は変化なし
(〇)、わずかに黄変(△)、黄変(×)とした。 耐熱性 リガク社製TMA装置により0.5mmφのピンを用い
て10gfの荷重でTMA測定を行い、10℃/min
の昇温で得られたチャートのピーク温度により評価し
た。 光学歪 シュリーレン法による目視観察を行った。歪のないもの
を〇、歪のあるものを×とした。
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。 (物性の評価)実施例及び比較例において得られたポリ
イソシアネート化合物及びその光学材料(重合体)の物
性評価は以下の様にして行った。 屈折率(nD )とアッベ数(νD ) アタゴ社製アッベ屈折率計3Tを用いて20℃にて測定
した。 外観 肉眼により観察した。 耐候性 サンシャインカーボンアークランプを装備したウエザー
メーターにレンズ(光学材料を用いた光学製品)をセッ
トし200時間経過したところでレンズを取り出し、試
験前のレンズと色相を比較した。評価基準は変化なし
(〇)、わずかに黄変(△)、黄変(×)とした。 耐熱性 リガク社製TMA装置により0.5mmφのピンを用い
て10gfの荷重でTMA測定を行い、10℃/min
の昇温で得られたチャートのピーク温度により評価し
た。 光学歪 シュリーレン法による目視観察を行った。歪のないもの
を〇、歪のあるものを×とした。
【0023】(実施例1) 本発明のポリイソシアネート化合物である4,5−イソ
シアネートメチル−1,3−ジチオラン(一般式(I)
においてn1 =1、n2 =0、n3 =2(4,5−
位))の製造例 4,5−ジヒドロキシメチル−1,3−ジチオランと三
臭化リンとの反応により得られた4,5−ジブロモメチ
ル−1,3−ジチオラン(58.4g、0.2mo
l)、銀シアネート(60g、0.4mol)及びベン
ゼン300mlの混合物を60℃で10時間加熱した。
冷却後、ろ過して固形物を除き、溶媒を留去した。その
後、残査を減圧蒸留すると、沸点109〜111℃/1
mmHgの無色透明な液体18.2g(収率42%)を
得た。このものはIRスペクトルよりイソシアネート基
による吸収があったため(2260cm-1)、目的物で
あることがわかった。この新規ポリイソシアネート化合
物のIRスペクトルを図1に示す。又、屈折率(nD )
とアッベ数(νD )はnD /νD =1.5872/3
9.1であった。
シアネートメチル−1,3−ジチオラン(一般式(I)
においてn1 =1、n2 =0、n3 =2(4,5−
位))の製造例 4,5−ジヒドロキシメチル−1,3−ジチオランと三
臭化リンとの反応により得られた4,5−ジブロモメチ
ル−1,3−ジチオラン(58.4g、0.2mo
l)、銀シアネート(60g、0.4mol)及びベン
ゼン300mlの混合物を60℃で10時間加熱した。
冷却後、ろ過して固形物を除き、溶媒を留去した。その
後、残査を減圧蒸留すると、沸点109〜111℃/1
mmHgの無色透明な液体18.2g(収率42%)を
得た。このものはIRスペクトルよりイソシアネート基
による吸収があったため(2260cm-1)、目的物で
あることがわかった。この新規ポリイソシアネート化合
物のIRスペクトルを図1に示す。又、屈折率(nD )
とアッベ数(νD )はnD /νD =1.5872/3
9.1であった。
【0024】(実施例2) 本発明の光学製品の製造例 実施例1で得られた4,5−ジイソシアネートメチル−
1,3−ジチオラン(表1中でDIDT−1と表示)
0.1mol、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−
ジチアン(表1中でDMMDと表示)0.1mol及び
ジブチルスズジラウレート(表1中でDBTDLと表
示)1×10-5molの混合物を均一に攪拌し、二枚の
レンズ成形用ガラス型に注入し、50℃で10時間、そ
の後60℃で5時間、さらに110℃で3時間加熱重合
させプラスチックレンズを得た。得られたプラスチック
レンズの諸物性を表1に示す。表1から、本実施例2の
重合体は無色透明であり、屈折率(nD )は1.67と
非常に高く、アッベ数(νD )も35と高い(低分散)
ものであり、耐候性、耐熱性(114℃)に優れ、光学
歪の無いものであった。
1,3−ジチオラン(表1中でDIDT−1と表示)
0.1mol、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−
ジチアン(表1中でDMMDと表示)0.1mol及び
ジブチルスズジラウレート(表1中でDBTDLと表
示)1×10-5molの混合物を均一に攪拌し、二枚の
レンズ成形用ガラス型に注入し、50℃で10時間、そ
の後60℃で5時間、さらに110℃で3時間加熱重合
させプラスチックレンズを得た。得られたプラスチック
レンズの諸物性を表1に示す。表1から、本実施例2の
重合体は無色透明であり、屈折率(nD )は1.67と
非常に高く、アッベ数(νD )も35と高い(低分散)
ものであり、耐候性、耐熱性(114℃)に優れ、光学
歪の無いものであった。
【0025】(実施例3〜10) 本発明の他の光学製品の製造例 表1に示したモノマー組成物を使用した以外は実施例2
と同様の操作を行い、プラスチックレンズを得た。これ
らのプラスチックレンズの諸物性を実施例2の重合体の
諸物性と共に表1に示す。表1から、本実施例3〜10
のプラスチックレンズは無色透明であり、屈折率
(nD )は1.61〜1.65と非常に高く、アッベ数
(νD )も37〜40と高い(低分散)ものであり、耐
候性、耐熱性(109〜121℃)に優れ、光学歪の無
いものであった。
と同様の操作を行い、プラスチックレンズを得た。これ
らのプラスチックレンズの諸物性を実施例2の重合体の
諸物性と共に表1に示す。表1から、本実施例3〜10
のプラスチックレンズは無色透明であり、屈折率
(nD )は1.61〜1.65と非常に高く、アッベ数
(νD )も37〜40と高い(低分散)ものであり、耐
候性、耐熱性(109〜121℃)に優れ、光学歪の無
いものであった。
【0026】(比較例1)ペンタエリスリトールテトラ
キスメルカプトプロピオネート(表1中でPETMPと
表示)0.1mol、m−キシリレンジイソシアネート
(表1中でXDIと表示)0.2mol及びジブチルス
ズジラウレート(表1中でDBTDLと表示)1×10
-5molの混合物を均一に攪拌し、二枚のレンズ成形用
ガラス型に注入し、50℃で10時間、その後60℃で
5時間、さらに120℃で3時間加熱重合させプラスチ
ックレンズを得た。得られたプラスチックレンズの諸物
性を表1に示す。表1から、本比較例のプラスチックレ
ンズは無色透明で光学歪も観察されなかったが(nD )
/(νD )が1.59/36と低く、耐熱性も86℃と
劣っていた。
キスメルカプトプロピオネート(表1中でPETMPと
表示)0.1mol、m−キシリレンジイソシアネート
(表1中でXDIと表示)0.2mol及びジブチルス
ズジラウレート(表1中でDBTDLと表示)1×10
-5molの混合物を均一に攪拌し、二枚のレンズ成形用
ガラス型に注入し、50℃で10時間、その後60℃で
5時間、さらに120℃で3時間加熱重合させプラスチ
ックレンズを得た。得られたプラスチックレンズの諸物
性を表1に示す。表1から、本比較例のプラスチックレ
ンズは無色透明で光学歪も観察されなかったが(nD )
/(νD )が1.59/36と低く、耐熱性も86℃と
劣っていた。
【0027】(比較例2、3)表1に示したモノマー組
成物を使用した以外は比較例1と同様の操作を行い、プ
ラスチックレンズを得た。これらのプラスチックレンズ
の諸物性を実施例2〜10、比較例1の重合体の諸物性
と共に表1に示した。表1から、本比較例2のプラスチ
ックレンズは屈折率が1.68と高く、耐熱性(128
℃)にも優れているが黄色であり、アッベ数が低い上に
耐候性に劣り、光学歪が観察された。また、本比較例3
のプラスチックレンズは、無色透明で、耐熱性(113
℃)、耐候性は優れていたが、屈折率が1.57と低
く、光学歪が観察された。
成物を使用した以外は比較例1と同様の操作を行い、プ
ラスチックレンズを得た。これらのプラスチックレンズ
の諸物性を実施例2〜10、比較例1の重合体の諸物性
と共に表1に示した。表1から、本比較例2のプラスチ
ックレンズは屈折率が1.68と高く、耐熱性(128
℃)にも優れているが黄色であり、アッベ数が低い上に
耐候性に劣り、光学歪が観察された。また、本比較例3
のプラスチックレンズは、無色透明で、耐熱性(113
℃)、耐候性は優れていたが、屈折率が1.57と低
く、光学歪が観察された。
【0028】
【発明の効果】本発明の新規ポリイソシアネート化合物
は、ジチオラン環を有するので、屈折率及びアッベ数が
高く、一分子内に二つ以上のヒドロキシル基を有する化
合物、一分子内に二つ以上のメルカプト基を有する化合
物及び一分子内に一つ以上のヒドロキシル基と一つ以上
のメルカプト基を有する化合物のうちの少なくとも一種
と容易に重合反応し光学材料を与える。また、このポリ
イソシアネート化合物を用いて得られた本発明の光学材
料は、ジチオラン環を主鎖に含むので、屈折率、アッベ
数が高く、耐熱性、耐候性、透明性に優れているので、
眼鏡レンズ、カメラレンズ等のレンズ、プリズム、光フ
ァイバー、光ディスク、磁気ディスク等に用いられる記
録媒体用基板、フィルターなどの光学製品に好ましく用
いられる。さらに、高屈折率の特徴を生かしたグラス、
花ビン等の装飾品にも用いられる。
は、ジチオラン環を有するので、屈折率及びアッベ数が
高く、一分子内に二つ以上のヒドロキシル基を有する化
合物、一分子内に二つ以上のメルカプト基を有する化合
物及び一分子内に一つ以上のヒドロキシル基と一つ以上
のメルカプト基を有する化合物のうちの少なくとも一種
と容易に重合反応し光学材料を与える。また、このポリ
イソシアネート化合物を用いて得られた本発明の光学材
料は、ジチオラン環を主鎖に含むので、屈折率、アッベ
数が高く、耐熱性、耐候性、透明性に優れているので、
眼鏡レンズ、カメラレンズ等のレンズ、プリズム、光フ
ァイバー、光ディスク、磁気ディスク等に用いられる記
録媒体用基板、フィルターなどの光学製品に好ましく用
いられる。さらに、高屈折率の特徴を生かしたグラス、
花ビン等の装飾品にも用いられる。
【図1】実施例1で得られたポリイソシアネート化合物
のIRスペクトルを示す図。
のIRスペクトルを示す図。
【表1】
【表2】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 339/06 C08G 18/32 C08G 18/38 G02B 1/04 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)
Claims (3)
- 【請求項1】 一般式(I)で示されることを特徴とす
るポリイソシアネート化合物。 【化1】 ただし、式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、
n1 は0〜3の整数であり、n2 は0〜2の整数であ
り、n3 は2〜4の整数であり、置換基(II)及び
(III)はジチオラン環の2,4,5−位に任意に付
加させることができる。 【化2】 【化3】 - 【請求項2】 請求項1に記載のポリイソシアネート化
合物(a1 )を含むイソシアネート成分(A)と、一分
子内に二つ以上のヒドロキシル基を有する化合物
(b1 )、一分子内に二つ以上のメルカプト基を有する
化合物(b2 )及び一分子内に一つ以上のヒドロキシル
基と一つ以上のメルカプト基を有する化合物(b3 )の
うちの少なくとも一種を含む(チ)オール成分(B)と
を重合させることにより得られる光学材料。 - 【請求項3】 請求項2記載の光学材料を使用したこと
を特徴とする光学製品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3293632A JP2942400B2 (ja) | 1991-10-14 | 1991-10-14 | ポリイソシアネート化合物、それを用いて得られた光学材料及び光学製品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3293632A JP2942400B2 (ja) | 1991-10-14 | 1991-10-14 | ポリイソシアネート化合物、それを用いて得られた光学材料及び光学製品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05105677A JPH05105677A (ja) | 1993-04-27 |
JP2942400B2 true JP2942400B2 (ja) | 1999-08-30 |
Family
ID=17797226
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3293632A Expired - Fee Related JP2942400B2 (ja) | 1991-10-14 | 1991-10-14 | ポリイソシアネート化合物、それを用いて得られた光学材料及び光学製品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2942400B2 (ja) |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5840308A (en) * | 1994-02-17 | 1998-11-24 | Merck Patent Gmbh | Antiviral or antifungal composition comprising an extract of pomegranate rind or other plants and method of use |
JP3538310B2 (ja) * | 1998-02-10 | 2004-06-14 | ペンタックス株式会社 | プラスチックレンズ |
JP3538332B2 (ja) * | 1998-02-10 | 2004-06-14 | ペンタックス株式会社 | プラスチックレンズ |
EP0972772B1 (en) | 1998-07-14 | 2002-06-19 | Hoya Corporation | Polyisocyanate compounds, process for producing the same and optical materials using the same |
EP0976727B1 (en) | 1998-07-28 | 2003-01-15 | Hoya Corporation | Polyisocyanate compound, process for producing the same and optical resin materials using the same |
DE69904270T2 (de) | 1998-07-29 | 2003-07-24 | Hoya Corp., Tokio/Tokyo | Polyisocyanatverbindungen, Verfahren zu ihrer Herstellung und diese enthaltende optische Harze |
JP5189769B2 (ja) * | 2007-01-22 | 2013-04-24 | 三井化学株式会社 | 含硫ポリイソシアナート化合物 |
JP5387518B2 (ja) * | 2010-06-18 | 2014-01-15 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 光学材料用組成物 |
JP5607709B2 (ja) * | 2012-12-14 | 2014-10-15 | 三井化学株式会社 | 化合物 |
-
1991
- 1991-10-14 JP JP3293632A patent/JP2942400B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05105677A (ja) | 1993-04-27 |
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