JP2896261B2 - ビニル化合物、それを用いて得られた光学材料用重合体及び光学製品 - Google Patents
ビニル化合物、それを用いて得られた光学材料用重合体及び光学製品Info
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Description
を用いて得られた光学材料用重合体及びこの重合体を用
いた光学製品に関する。本発明の新規ビニル化合物は、
例えば光学材料の有用な原料として用いられる。また、
上記の新規ビニル化合物を用いて得られた本発明の光学
材料用重合体は、高屈折率、低分散を示し、光学特性に
優れている。そのためこの重合体は、プラスチックレン
ズ、プリズム、光ファイバー、情報記録用基板、着色フ
ィルター、赤外吸収用フィルターなどの光学製品に好ま
しく用いられる。
割れにくく、染色が容易である。そのため近年、各種レ
ンズ等の光学用途に使用されている。光学用プラスチッ
ク材料としては、ポリエチレングリコールビスアリルカ
ーボネート(CR−39)やポリメチルメタクリレート
(PMMA)が一般に用いられている。しかし、これら
のプラスチック材料の屈折率は1.50以下である。そ
のため、例えばレンズ材料に用いた場合、度数が強くな
るほどレンズの肉厚を厚くしなければならなくなり、軽
量であるというプラスチックの優位性が損なわれてしま
う。そればかりか、肉厚の大きい眼鏡レンズは審美性が
悪く好ましくなかった。また特に、凹レンズの場合はレ
ンズの周囲の厚さが厚くなり複屈折や色収差が生じ、好
ましくなかった。
を生かしつつ、レンズの厚さを薄く出来るように高屈折
率、低分散のプラスチック材料が望まれている。そのよ
うな性能を有する材料として、テトラクロロメタキシリ
レンジチオールや1、3、5─トリメルカプトベンゼン
とジイソシアネート化合物との重合体が知られている
(特開昭63─46213号公報)。また、ペンタエリ
スリトールテトラキスメルカプトプロピオネートとジイ
ソシアネートとの重合体も知られている(特開昭64─
26622号公報)。さらには、ペンタエリスリトール
テトラキスメルカプトプロピオネートとビニル化合物と
の重合体が知られている(特開昭63─309509号
公報)。さらに特開平3─236386号公報には、ポ
リチオール化合物及びそれを用いた光学材料が開示され
ている。
開昭63─46213号公報に記載のチオール化合物は
屈折率が高いもののアッベ数が低い。そのためこのチオ
ール化合物を原料とした重付加体もアッベ数が低く、さ
らに耐光性に劣るといった欠点がある。また、特開昭6
4─26622号公報や特開昭63─309509号公
報に記載のチオール化合物はアッベ数は大きいものの、
屈折率が低い。そのためこれを原料とした重合体は屈折
率が低く、さらに耐熱性に劣るといった欠点がある。
ール化合物は、イソシアネート化合物と重合することに
より、高屈折率かつ高アッベ数の重合体を得える(例え
ば、nD=1.66,νD=32)。しかし、さらに屈折
率及びアッベ数の高い材料が望まれている。
ベ数が高い、新規なビニル化合物及び、それを用いて屈
折率、アッベ数が高く、耐光性、耐熱性、透明性に優れ
た光学材料用重合体及び光学製品を提供することにあ
る。
(1)で示される新規なビニル化合物に関する。
単位を含有する光学材料用重合体に関する。
ビニル化合物は、一般式(1)で示されるように、脂環
式スルフィドである1,4─ジチアン環を有することを
特徴としている。この1,4─ジチアン環によって屈折
率及びアッベ数が高められているので、このビニル化合
物をモノマーとした重合体も屈折率、アッベ数が高めら
れる。また、このビニル化合物中の1,4─ジチアン環
は剛直であるため、このビニル化合物をモノマーとして
重合体を製造した場合、その重合体に高耐熱性、優れた
機械物性を与え得る。さらに本発明のビニル化合物はビ
ニルスルフィド誘導体であり、この誘導体はラジカル付
加重合によるバルク重合か可能である。そのためジチア
ン環で高められた屈折率を、ビニルスルフィドによりさ
らに高めることができ、得られた重合体は屈折率、アッ
ベ数が高くなる傾向にある。本発明のビニル化合物のう
ち、nが1の化合物を例に、その合成法を以下のスキー
ムに従って説明する。
反応させて環化二量化した臭素化脂環式スルフィドを得
る。このスルフィドにチオ尿素を反応させイソチウロニ
ウム塩を生成させる。このイソチウロニウム塩を水酸化
ナトリウム水溶液で加水分解した後、塩酸酸性にするこ
とによりチオール化合物を得ることができる。そして、
このチオール化合物をエタノール中ナトリウムエトキサ
イドでナトリウム塩とする。次いでこのナトリウム塩を
ビニルブロマイドと反応させることにより目的とするビ
ニル化合物を得ることができる。
て得られる本発明の光学材料用重合体について説明す
る。この重合体は実質的に一般式(2)で示されるモノ
マー単位からなる単独重合体であるか、又は一般式
(2)のモノマー単位以外のラジカル付加重合性モノマ
ー単位を含有する共重合体である。
マー単位量は重合体に対する所望の物性によって適宜選
択することができ、0.1%以上100%未満とするこ
とができる。0.1%以上あれば架橋剤として、例え
ば、重合体の屈折率及びアッベ数を高め、さらには、耐
熱性を付与したり、機械特性を向上することが可能だか
らである。共重合体に要求される物性に応じて適宜選択
することができる。特に好ましくは5%以上である。
位からなる重合体に一般式(2)のモノマー単位を、含
有させることにより得られる共重合体の屈折率及びアッ
ベ数を高める方法も提供する。一般式(2)のモノマー
単位の含有量は、得られる共重合体に要求される物性に
より適宜選択することができ、通常の0.1%以上であ
れば一般式(2)のモノマー単位の添加効果が得られ
る。
(メタ)アクリル酸エステル、スチレン誘導体等を例示
できる。(メタ)アクリル酸エステルは、例えば下記一
般式(3)で示す化合物を挙げることができるが、これ
らに限定されるものではない。
は無置換のアルキル基、好ましくは炭素数1〜6の低級
アルキル基、置換又は無置換のアリール基、又は置換又
は無置換のフェニル基である。nは1、2又は3であ
る。)ラジカル付加重合性モノマーの具体例としては、
2,3─ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、フェ
ニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレ
ート、クロロフェニル(メタ)アクリレート、トリブロ
モフェニル(メタ)アクリレート、3─メタクリロイル
オキシメチルチオフェン、トリシクロ〔5,2,1,0
2,6 〕デカニル(メタ)アクリレート、エチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、2,2─ビス〔4─(メ
タ)アクリロキシフェニル〕プロパン、2,2─ビス
〔4─(メタ)アクリロキシフェニル〕スルフォン、メ
チルチオ(メタ)アクリレート、ベンジルチオ(メタ)
アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エポキシ
(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレ
ート、ウレタン(メタ)アクリレート、スチレン、クロ
ロスチレン、ジブロモスチレン、ジビニルベンゼン等が
挙げられる。
のため、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光染料等の添加
剤を適宜加えることもできる。
合体の製造法の一例を以下に示す。一般式(1)で示さ
れる化合物もしくは必要に応じ前記のラジカル付加重合
性モノマーを混合した組成物に0.01〜10重量部の
重合開始剤を加え、均一に混合させた後、所定の形状を
成すガラス製モールドに注入し、加熱もしくは紫外線照
射により重合を行う。重合開始剤としては、加熱もしく
は紫外線照射によりラジカルを発生するものを用いるこ
とができる。加熱により重合を行う場合は、アゾビスイ
ソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、
過酸化ベンゾイル等が用いられ、重合温度は0〜150
℃、重合時間は0.5〜72時間とすることができる。
また、紫外線照射により重合を行う場合は、2,2’─
ジエトキシアセトフェノン、2─ヒドノキシ─2─メチ
ル─1─フェニルプロパン─1─オン、ベンゾフェノ
ン、ヒドノキシシクロヘキシルフェニルケトン、2─ク
ロロチオキサントン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケ
タール等が開始剤として用いられ、照射強度は0.1〜
100mW/cm2 、照射時間は1分〜10時間とする
ことができる。
散の通常の染料を用い、水もしくは有機溶媒中で容易に
染色が可能である。さらに染色を容易にするために、キ
ャリアーを加えたり、又は加熱しても良い。このように
して得られた重合体は、光学材料として好適である。ま
た、ハードコート、反射防止膜を施すことにより、表面
を改質することもできる。
関する。光学製品としてはレンズ、プリズム、光ファイ
バー、情報記録用基板、着色フィルター、赤外線吸収用
フィルター等を例示できるが、これらに限定されるもの
ではない。本発明の重合体の光学製品への成形法は、従
来公知の方法をこのまま用いることができ、例えば、キ
ャスト、切削研磨、エクストルーション等を挙げること
ができる。
する。 (物性の評価)実施例において得られたビニル化合物及
びその重合体並びに比較例で得られた重合体の物性評価
は以下のようにして行った。
ベ屈折率計3Tを用いて20℃にて測定した。 耐熱性: リガク社製TMA装置により0.5mmφの
ピンを用いて10gfの荷重でTMA測定を行ない、1
0℃/分の昇温で得られたチャートのピーク温度により
評価した。 耐光性: サンシャインカーボンアークランプを装備し
たウエザーメーターにレンズをセットし、200時間経
過したところでレンズを取り出し、試験前のレンズと色
相を比較した。評価基準は変化なし(○)、わずかに黄
変(△)、黄変(×)とした。 光学歪: シュリーレン法による目視観察を行った。歪
の無いものを○、歪のあるものを×とした。
チアン(一般式(1)のn=1)の製造例。 22.9g(0.157mol)のジアリルジスルフィ
ドを780mlの塩化メチレンに溶かした溶液に25.
0g(0.157mol)の臭素を−78℃にて1時間
かけて滴下した。その後、−20℃に昇温し、その温度
にて8時間攪拌した後、減圧下で塩化メチレンを除去し
た。その残査に100mlのエタノールと23.9g
(0.314mol)のチオ尿素を加え、1.5時間還
流した。生成した沈澱をろ別し、エタノールで数回洗浄
した後乾燥させた。水73mlにこの沈澱を分散させ、
窒素雰囲気下で還流させながら64.2gの15%水酸
化ナトリウム水溶液を1時間かけて滴下し、その後さら
に1時間還流させた。冷却後、反応混合物を6N塩酸で
酸性にしベンゼンで抽出した。抽出物からベンゼンを減
圧下で除き、残査を0.22mmHgで蒸留し沸点が1
21.5℃の留分22.6gを得た。このものを0.8
Mのナトリウムエトキサイド─エタノール溶液133m
lに溶解し、27.3g(0.255mol)のビニル
ブロマイドを加え密閉した後、80℃で24時間反応さ
せた。反応混合物を大量の水中に投じ、ベンゼンで抽出
した。抽出物からベンゼンを減圧下で除き、残査を0.
04mmHgで蒸留し沸点が140〜143℃の留分2
1.9g(アリルジスルフィドからの全収率53%)を
得た。このものの屈折率は1.625、アッベ数は3
0.8であった。以下にこの新規ビニル化合物の構造決
定のための分析結果を示す。
準物質;TMS) δ(ppm);2.9〜3.2(m,10H),5.1
9(d,2H),6.33(dd,2H)13 C−NMR(溶媒CDCl3 ) δ(ppm);31.3,35.3,38.3,11
2.4,131.4 IR(cm-1);867,909,1410,158
4,2906,3080
Rスペクトルを図1に、13C−NMRスペクトルを図2
に、IRスペクトルを図3に示す。 元素分析 C H S 計算値 45.4 6.06 48.5 測定値 45.2 6.04 48.7
チアン(表1においてTBDと略記する)100重量部
とアゾビスジメチルバレロニトリル(表1においてAD
VNと略記する)0.1重量部との均一混合物を上型と
下型及びガスケットによって構成されるレンズ成形型に
注入し、40℃で10時間、60℃で5時間、80℃で
3時間、120℃で3時間加熱し重合させてプラスチッ
クレンズを得た。得られたプラスチックレンズの諸物性
を表1に示す。
クレンズは無色透明であり、屈折率は1.678と高
く、アッベ数も34.8と高いものであり、耐熱性(1
43℃)、耐光性に優れ、光学歪の無いものであった。
と同様の操作を行ない、プラスチックレンズを得た。こ
れらのプラスチックレンズの諸物性を実施例2のプラス
チックレンズの諸物性と共に表1に示した。表1から、
本実施例3〜6のプラスチックレンズは無色透明であ
り、屈折率は1.601〜1.664と高く、アッベ数
も32.7〜41.8と高いものであり、耐熱性118
〜136℃)、耐光性に優れ、光学歪の無いものであっ
た。
する)43.5重量部、ペンタエリスリトールテトラキ
スメルカプトプロピオネート(表1でPETMPと略記
する)56.5重量部、ジブチルスズジラウレート(表
1でDBTLと略記する)0.05重量部との均一混合
物を上型と下型及びガスケットによって構成されるレン
ズ成形型に注入し、40℃で10時間、60℃で5時
間、80℃で3時間、120℃で3時間加熱し重合させ
プラスチックレンズを得た。得られたプラスチックレン
ズの諸物性を表1に示す。
は無色透明で光学歪も観測されなかったが、nD /νD
が1.594/36.1と低く、耐熱性も86℃と劣っ
ていた。
と同様の操作を行ない、プラスチックレンズを得た。こ
れらのプラスチックレンズの諸物性を比較例1のプラス
チックレンズの諸物性と共に表1に示した。表1から、
本比較例2の重合体は屈折率が1.672と高く、耐熱
性も94℃と優れているが、アッベ数が27.8と低
く、耐光性に劣り、光学歪が観測された。また、本比較
例3の重合体は、無色透明で光学歪は観測されず、耐光
性は優れていたが、屈折率が1.28と低く、耐熱性が
65℃と劣るものであった。
─ジチアン MMA: メチルメタクリレート CHMA: シクロヘキシルメタクリレート DCST: 2,6─ジクロロスチレン TCA: ビスアクリロキシメチルトリシクロ〔5,
2,1,02,6 〕デカン ADVN: アゾビスジメチルバレロニトリル AIBN: アゾビスイソブチロニトリル XDI: m−キシリレンジイソシアネート PETMP: ペンタエリスリトールテトラキスメルカ
プトプロピオネート 1,3,5−TMB: 1,3,5─トリメルカプトベ
ンゼン DAPE: ジアリリデンペンタエリスリット DBTL: ジブチルスズジラウレート
びアッベ数が高く、通常用いられているラジカル開始剤
で容易に重合反応し、重合体を与える。また、用いられ
た重合体も屈折率、アッベ数が高く、光学材料に適して
いる。本発明の重合体を用いると耐熱性、耐光性、透明
性に優れたレンズ、プリズムや光ファイバー、情報記録
媒体用基板、着色フィルター、赤外線吸収フィルター等
の光学製品を得ることができる。
Rスペクトルである。
Rスペクトルである。
トルである。
Claims (7)
- 【請求項1】 下記一般式(1)で示されるビニル化合
物。 【化1】 (式中、nは1、2又は3である) - 【請求項2】 nが1である請求項1記載の化合物。
- 【請求項3】 下記一般式(2)で示されるモノマー単
位を含有することを特徴とする光学材料用重合体。 【化2】 (式中、nは1、2又は3である) - 【請求項4】 実質的に一般式(2)で示されるモノマ
ー単位からなる単独重合体である請求項3記載の重合
体。 - 【請求項5】 ラジカル付加重合性モノマー単位をさら
に含有する共重合体である請求項3記載の重合体。 - 【請求項6】 請求項3記載の重合体を用いた光学製
品。 - 【請求項7】 重合体に下記一般式(2)で示されるモ
ノマー単位を含有させることを特徴とする重合体の屈折
率とアッベ数を高める方法。 【化3】 (式中、nは1、2又は3である)
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JPH05194486A JPH05194486A (ja) | 1993-08-03 |
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-
1992
- 1992-01-16 JP JP2573192A patent/JP2896261B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH05194486A (ja) | 1993-08-03 |
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