JP3236206B2 - 血液凝固時間測定用乾燥試薬 - Google Patents

血液凝固時間測定用乾燥試薬

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は臨床検査に使用され
る凝固因子活性を測定するための血液凝固時間測定用乾
燥試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】血液の凝固能は様々な疾患、抗凝固剤、
あるいは外傷などにより大きく影響されることがわかっ
ている。たとえばビタミンKは肝臓で合成されるため、
肝臓に疾患を持つ場合には、ビタミンKの作用によって
活性化される血液凝固第II、VII、X因子の活性が
低下する。そのため血液の凝固能の測定を行い、これら
の血液凝固因子の活性を調べることが行われる。また、
外科手術時には血液の凝固能を一定の範囲に低下させる
ためにヘパリン等の薬剤を投与することが行われる。こ
の時も血液の凝固能を測定することによりヘパリン等の
投与量をコントロールすることが行われる。
【0003】人、動物の血液凝固能を測定する方法とし
て様々な方法が用いられている。例えば、血液凝固時間
の測定、各血液凝固因子の定量などがある。この中で血
液凝固時間の測定はその簡便さから広く普及している。
【0004】血液凝固反応は何段もの反応が順次に起き
るカスケード反応である。血液凝固因子の濃度が低いと
その血液凝固因子が関与する反応に要する時間が長くな
る。そのため血液の凝固時間を測定し正常人の凝固時間
と比較することにより血液凝固因子の濃度の異常を知る
ことができる。そのため、血液凝固反応の引き金となる
物質を測定したい血漿試料あるいは全血試料(以下血液
試料と呼ぶ)と混合し、その凝固時間を測定すれば血液
凝固因子の不足の有無を、さらに血液凝固能を知ること
ができる。この原理を用いた血液凝固能の測定項目とし
てプロトロンビン時間法(PT)、活性化部分トロンビ
ン時間法(APTT)などがある。
【0005】さらに、血液凝固反応の引き金となる物質
と共に、吸着血漿と呼ばれる、特定の血液凝固因子を取
り除いた血漿を血液試料と混合し凝固時間を測定するこ
とにより、吸着血漿に存在しない血液凝固因子だけの量
を凝固時間として測定することができる。この方法を利
用した血液凝固能の測定項目としてトロンボテスト、ヘ
パプラスチンテストと呼ばれるものがある。これらの測
定項目の試薬は吸着血漿に含まれない血液凝固第II,VI
I,X因子の欠乏による血液の凝固時間の延長を測定する
ことができる。
【0006】ところで、従来用いられてきたこれらの血
液凝固時間の測定方法は、主に溶液状の試薬を用いた測
定方法であり現在も広く使用されている。この方法は、
まず溶液状の試薬を調製し、これに血液試料を添加して
反応させ、該反応液の濁度変化あるいは粘度変化を測定
して凝固を判定する方法である。
【0007】たとえば、トロンボテスト測定試薬を例に
とって説明すれば以下のとおりである。主成分として組
織トロンボプラスチン、牛吸着血漿、カルシウム塩を含
むもので、凍結乾燥された形で市販されている。該乾燥
品血液凝固時間測定試薬を水溶液にした血液凝固時間測
定試薬溶液を調製しておき、予備加温しておく。次に、
同じく予備加温しておいた血液試料に、該血液凝固時間
測定試薬を混合し、混合開始直後から濁度変化あるいは
粘度変化を測定し始める。フィブリンの析出により血液
試料と血液凝固時間測定試薬の混合物が凝固を開始する
と、濁度あるいは粘度が変化し、これが起きるまでの時
間を測定して凝固時間を求める。上記のようにして求め
た凝固時間が血液凝固時間測定試薬の凝固時間である。
この時間は用いた血液凝固時間測定試薬が測定しようと
する血液凝固因子の活性に応じて変化し、活性が低いほ
ど時間は延長する。
【0008】一方、近年乾燥試薬を用いた簡便な血液凝
固アッセイシステムが開発された(特表平3−5040
76号公報)。該アッセイシステムの原理は、血液凝固
試薬に磁性粒子を含有させた乾燥状態の試薬を作成し、
該血液凝固時間測定用乾燥試薬に血液試料を添加し、そ
の直後に振動磁場と静止磁場の組み合わせから成る磁場
中に置いて磁性粒子を運動させ、同時にこの磁性粒子の
運動シグナルを光学的に測定して凝固を検知するもので
ある。上記公報には、該システムを使用し、種々の血液
凝固時間測定用乾燥試薬が示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この技術を応
用して血漿成分を含有する血液凝固時間測定用乾燥試薬
を調製した場合に、該血液凝固時間測定用乾燥試薬測定
中に磁性粒子の著しい凝集を起こし、結果として得られ
る運動シグナルが極度に減少するという欠点を有してい
た。上記血液凝固アッセイシステムにおいては磁性粒子
の運動を光学的に検出するため、特に赤血球を含有する
著しく着色した血液試料では、運動シグナルは測定不可
能な程度にまで減少するという不具合を生じた。そのた
め測定を行なうためには非常に時間を要する赤血球の分
離操作を必要としていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために日夜鋭意研究した。その結果驚くべきこ
とに、血漿成分を含む血液凝固時間測定用乾燥試薬中に
含有させる磁性粒子として、被覆剤で被覆された磁性粒
子を使用することにより、磁性粒子の凝集を防ぐことが
でき、着色した血液試料でも実用的な運動シグナルが得
られ十分に測定が可能となることを見いだし、本発明を
完成した。
【0011】 即ち、本発明は、組織トロンボプラスチ
ン、カルシウム塩、吸着血漿、および磁性粒子を含有し
てなる血液凝固時間測定用乾燥試薬であって、該血液凝
固時間測定用乾燥試薬に血漿試料又は全血試料を添加
し、その直後に振動磁場と静止磁場の組み合わせから成
る磁場中に置いて試薬中の磁性粒子を運動させ、同時に
該磁性粒子の運動シグナルを光学的にモニターすること
によって試料中の凝固因子の量又は活性の指標となる凝
固時間を測定することができる血液凝固時間測定用乾燥
試薬において、前記磁性粒子が被覆剤で被覆されている
ことを特徴とする血液凝固時間測定用乾燥試薬である。
【0012】本発明の血液凝固時間測定用乾燥試薬中の
各構成成分の含量は任意に決定すればよいが、以下の説
明では血液試料25μlに対して使用される代表的数値
を例示する。
【0013】本発明における組織トロンボプラスチンと
は、牛脳、兎脳等から抽出された血液凝固因子であり、
血液試料の凝固を開始させる成分である。一般に組織ト
ロンボプラスチンは2×10-8〜2×10-3gで使用さ
れるが、血液凝固反応の進行がより安定する点から2×
10-6〜2×10-4gが好適である。
【0014】本発明におけるカルシウム塩は血液凝固反
応に必須のカルシウムイオンの供給源であり、例えば塩
化カルシウムや乳酸カルシウム等が具体的に上げられ
る。一般に該カルシウム塩は1×10-6〜2×10-4g
で使用されるが、血液凝固反応の進行がより安定する点
から1×10-6〜1×10-4gが好適である。
【0015】本発明における吸着血漿はヒト、牛等の血
液から遠心処理等により血球を除き、さらに血液凝固時
間測定試薬で測定を行いたい血液凝固因子を除去して調
製したものである。血液凝固因子を除去するためには、
例えば硫酸バリウム粉末で吸着除去する方法、除去した
い血液凝固因子に特異的に吸着する抗体を担持させた担
体を用いて吸着除去する方法などがある。一般に吸着血
漿は8×10-5〜1.5×10-3gの範囲で使用される
が、血液凝固反応の進行がより安定する点から2×10
-4〜6×10-4gが好適である。
【0016】本発明における磁性粒子はその運動シグナ
ルで血液凝固時間測定用乾燥試薬と血液試料との混合液
の粘度上昇および低下をモニターするためのものであ
る。好適に用いられる例を例示すれば、四三酸化鉄粒
子、三二酸化鉄粒子、ニッケル粒子、コバルト粒子等の
強磁性体がある。得られるシグナルの強度が大きく安定
している点から四三酸化鉄粒子が特に好ましい。磁性粒
子の大きさは一般に平均粒子径10μm以下が使用され
るが、得られるシグナルの強度がより大きい点から平均
粒子径0.4〜0.9μmである粒子が好適に使用でき
る。磁性粒子の含量は通常2×10-6〜1×10-3gで
使用されるが、血液凝固反応の進行がより安定する点か
ら2×10-5〜6×10-4gが好適である。
【0017】本発明で被覆とは、以下の条件を満たして
いる場合のことを言う (1)被覆後は被覆剤にて被覆された磁性粒子を水で洗
っても被覆剤が水中に溶出しない。
【0018】(2)被覆剤にて被覆された磁性粒子を水
中に分散させたさせたときに、凝集をしない。
【0019】よって本発明の被覆剤として好適に使用で
きるのは以下のような化合物である。(1)の要件を満
たすためには疎水的表面を有している磁性粒子に付着し
やすいと考えられる疎水性基を有する化合物が被覆剤に
適している。(2)の要件を満たすためには、磁性粒子
同士の反発を起こすために被覆剤はイオン性基をも有し
ていることが望ましい。さらに、フィブリノーゲンは試
薬中で陰性荷電を有するため、被覆剤も陰性荷電を有す
る場合に両者が反発して最も良い効果が得られる。
【0020】これらの性質を持つ被覆剤として、カゼイ
ン、アルブミン、ゼラチン、アガロースなどの蛋白質、
ポリスチレンスルホン酸、デキストラン硫酸、アルギン
酸ソーダ、アルカリセルロース、カルボキシメチルセル
ロース、グアーガムのカルボキシメチル誘導体などのイ
オン性基をもつ水溶性高分子などを好適に用いることが
できる。入手の容易さおよび、血液凝固時間測定用乾燥
試薬としたときの運動シグナルの大きさから、四三酸化
鉄を磁性粒子として用いる場合には、カゼインが好適に
用いられる。
【0021】本発明の血液凝固時間測定用乾燥試薬にお
いて、被覆剤を磁性粒子表面に被覆する方法には様々な
方法を用いることができる。好適に用いられる方法とし
ては、任意の濃度の被覆剤水溶液中に磁性粒子を投入
し、攪拌機で攪拌する方法がある。
【0022】被覆剤が磁性粒子に被覆されたことは以下
のようにして確認する。
【0023】(1)被覆処理操作後の磁性粒子を水で洗
浄し、水中に被覆剤が溶出しないことを確認する。
【0024】(2)その後乾燥させて、処理前の乾燥状
態の磁性粒子の重量と比較し、重量が増加しているかど
うかを調べる。
【0025】(3)上記の重量測定で増加が認められれ
ば磁性粒子は被覆されている。
【0026】水中に被覆剤が溶出しないことの確認は以
下のようにして行う。
【0027】(1)あらかじめ被覆剤の紫外または可視
吸収スペクトルを測定しておく。
【0028】(2)被覆剤の吸光度が最大となる波長を
求める。
【0029】(3)上記波長での、磁性粒子の洗浄前後
での洗浄水の吸光度を測定し、変化がなければ被覆剤の
水中への溶出はない。
【0030】被覆剤にて被覆された磁性粒子が水中で凝
集しないことは、磁性粒子を分散させた水を光学顕微鏡
にて観察することで容易に行うことができる。
【0031】本発明の血液凝固時間測定用乾燥試薬に
は、必要であれば上記以外の物質も添加することが可能
である。例えば、試薬中のpHを一定に保つためのpH
緩衝剤、凍結乾燥後の血液試料に対する溶解性を増すた
めの溶解補助剤を任意に添加することができる。
【0032】本発明の血液凝固時間測定試薬として特に
好適な例を例示すれば、血液試料25μlに対して組織
トロンボプラスチン2×10-6〜2×10-4g、カルシ
ウム塩として乳酸カルシウム1×10-6〜1×10
-4g、ウシ吸着血漿2×10-4〜6×10-4g、0.5〜
3%カゼイン水溶液にて15〜60分間の被覆操作をし
た平均粒径0.4〜0.9μmの四三酸化鉄粒子2×1
-5〜6×10-4gを主構成成分とした血液凝固時間測
定試薬である。
【0033】本発明の血液凝固時間測定用乾燥試薬の調
製方法は特に限定されないが、例を挙げれば、前出の組
織トロンボプラスチン、吸着血漿およびカルシウム塩を
含む溶液を調製し、これに被覆剤を被覆した磁性粒子を
添加し、必要であればさらに添加剤を加え血液凝固時間
測定用乾燥試薬溶液を調製した後、該溶液を所定の反応
スライドに一定量分注して凍結乾燥することにより行う
ことができる。
【0034】血液凝固時間測定用乾燥試薬を分注する上
記反応スライドの材質は、血液凝固時間測定時、血液試
料と血液凝固時間測定用乾燥試薬からなる反応液の粘度
上昇を磁性粒子の運動シグナルの減衰として光学的にモ
ニターできるものであれば特に限定されず、好適に使用
できるものとしてはポリエチレンテレフタレートなどの
ポリエステル類、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリ
プロピレンなどのポリオレフィン類、ナイロン66など
のポリアミド類がある。
【0035】反応スライドの例示をすれば、図1および
図2に示すことができる。図1は反応スライドを上方か
ら見た図である。図1の点線で囲んだ部分が血液凝固時
間測定用乾燥試薬用溶液分注口と血液試料添加口とから
なる主要部である。主要部の構造を詳しく示したのが図
2である。ポリエチレンテレフタレート製白色基板(1
3)に透明ポリエチレンテレフタレート製スペーサ(1
2)を張り合わせ、上にさらに透明ポリエチレンテレフ
タレート製透明樹脂板(11)を張り合わせることで、
主要部を構成する。
【0036】前述の血液凝固時間測定用乾燥試薬溶液を
図1(1)に示す血液凝固時間測定用乾燥試薬用溶液分
注口から入れると、図1(2)の部分に該溶液が充填さ
れる。続いて、凍結乾燥または風乾することにより試薬
成分を反応スライド中に保持し、本発明の血液凝固時間
測定用乾燥試薬が作製できる。
【0037】血液凝固時間測定用乾燥試薬作成時に凍結
乾燥を行う場合は、前工程として凍結を行うことが均一
な品質の血液凝固時間測定用乾燥試薬を得るためには望
ましい。凍結方法は、血液凝固時間測定用乾燥試薬溶液
の凍結する温度以下で凍結すれば、特に限定することな
くどんな方法をも用いることができる。その例を挙げれ
ば、血液凝固時間測定用乾燥試薬溶液を分注した反応ス
ライドを冷凍庫にいれ、凍結する方法がある。
【0038】乾燥方法は、凍結乾燥あるいは風乾のどち
らでも用いることができるが作製後の血液凝固時間測定
用乾燥試薬の溶解性が均一にできる点から、凍結乾燥が
好適である。凍結乾燥方法を例示すると、真空状態で温
度を−40℃から30℃まで48時間で上昇させて凍結
乾燥する方法が使用できる。
【0039】本発明の血液凝固時間測定用乾燥試薬での
血液凝固時間の測定は、粘度変化を検知あるいは濁度変
化を検知することなどにより行うことができる。好適に
は血液凝固時間測定用乾燥試薬に一定量の血液試料を滴
下し、すぐに振動磁場と静止磁場の組み合わせから成る
磁場中に置いて磁性粒子を運動させ、同時に血液凝固時
間測定用乾燥試薬中に含まれる磁性粒子の運動シグナル
を光学的にモニターして凝固を検知する方法で行うこと
ができる。この様な測定は、市販の血液凝固時間測定装
置である商品名CG01((株)A&T販売)や商品名
COAG1(和光純薬工業(株)販売)等を使用して行
うことができる。
【0040】上記の方法で血液凝固時間を測定すると
き、凝固点は血液凝固時間測定用乾燥試薬中の磁性粒子
の運動シグナルの大きさの変化を基に判断することがで
きる。凝固点としては、運動シグナルの大きさの減衰速
度が最大になる点、あるいはシグナルの大きさがその最
大値に対して任意の割合まで減衰した点等が採用され
る。得られる凝固時間の再現性がより良好であることか
ら、シグナルの大きさの減衰速度が最大になる点が好適
に使用される。
【0041】
【作用】本発明の血液凝固時間測定用乾燥試薬は吸着血
漿をその原料として含む。吸着血漿にはフィブリノーゲ
ンが含まれている。そのため本発明の血液凝固時間測定
用乾燥試薬を作製する際にフィブリノーゲンが磁性粒子
に吸着されてしまうのを避けることができない。フィブ
リノーゲンが磁性粒子に吸着されていると、本発明の血
液凝固時間測定用乾燥試薬が血液試料により溶解した際
に磁性粒子が0.2〜0.5mm程度に凝集した固まりをつく
る。このような凝集を起こすと磁性粒子の運動は著しく
抑制される。そのため運動シグナルは非常に小さなもの
になってしまう。また、運動シグナルの検出は光学的に
行なうため着色した試料、たとえば赤血球を含む血液試
料を測定する場合にはさらに小さくなってしまう。磁性
粒子が被覆剤により被覆されているとフィブリノーゲン
の吸着が抑制され、凝集も起きないので運動シグナルの
低下が起きない。そのため赤血球を含む着色した試料で
も問題なく測定を行なうことが可能である。
【0042】
【実施例】本発明を具体的に説明するために実施例を以
下に示すが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定
されるものではない。
【0043】実施例1〜3 平均粒径0.5μmの四三酸化鉄(レアメタリックス社
製)50.0mgを、表1に示した各々の被覆剤水溶液5
ml中に投入し、攪拌しながら1時間放置した。これらの
四三酸化鉄懸濁液中の四三酸化鉄を遠心分離にて(3000
r.p.m.、3分)沈降させ、上澄みを取り除き、水5ml
を加え、再度10分間攪拌し、洗浄した。この洗浄操作
を3回繰り返した後、光学顕微鏡でこの懸濁液を観察す
ることにより凝集していないことを確認した。10分間
この懸濁液を静置し、その上済みの吸光度(波長280
nm)を測定したところ0.0であり、被覆剤は水中には
溶出していないことが確認された。この懸濁液を-40℃
に凍結し、-40℃から25℃に18時間にて昇温しながら
凍結乾燥を行った。凍結乾燥後の四三酸化鉄の重量は表
1に示したとおりいずれも増加しており、四三酸化鉄が
被覆剤にて被覆されていることが確認された。その後、
残った凍結乾燥後の四三酸化鉄に表2に示した組成の水
溶液5mlを加え、再度10分間攪拌して四三酸化鉄粒子
懸濁液を調製した。この懸濁液をを図1に示された構造
の反応スライドに25μlづつ分注した。反応スライド
を凍結乾燥機に入れ、−40℃で10時間静置し、その
後凍結乾燥を開始した。凍結乾燥は真空状態で温度を−
40℃から30℃まで48時間で上昇させることにより
行なった。凍結乾燥後の血液凝固時間測定用乾燥試薬
は、デシケータ中で4℃にて保存し、測定前に室温に戻
してから測定を行なった。
【0044】測定試料として、ヒト標準血漿((株)国
際試薬:トロンボテスト活性値100%)および赤血球
を含む血液試料として正常人より採取した血液を用い
た。
【0045】測定はCG01((株)エイアンドティー
販売)を用いて行なった。取り扱い説明書に従い、血液
凝固時間測定用乾燥試薬にセットし試料を血液凝固時間
測定用乾燥試薬に25μl添加した。試料添加後の磁性
粒子の運動を反射散乱光の変化として測定し、測定され
た運動シグナルを装置から出力させた。結果を表3に示
した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】比較例1 平均粒径0.5μmの四三酸化鉄50.0mgを表2に示し
た組成の水溶液5mlに投入し、10分間攪拌した。これ
を図1に示された構造の反応スライドに25μlづつ分
注した。反応スライドを凍結乾燥機に入れ、実施例1〜
3と同様の方法にて凍結乾燥した。これを用いて実施例
1〜3と同一濃度の試料を同様の方法で測定し、表3に
示す結果を得た。
【0050】表3より磁性粒子表面を被覆剤で被覆した
時は被覆しないときの2〜3倍の運動シグナル出力が得
られることが分かる。また、赤血球を含む血液試料にお
いては、被覆を行なわない磁性粒子を用いると出力がほ
とんど得られないことが分かった。すなわち赤血球を含
む血液試料の測定は、被覆剤で被覆された磁性粒子を使
用した血液凝固時間測定用乾燥試薬を用いなければ行な
うことができない。
【0051】実施例4 他法との相関 実施例1で作製した血液凝固時間測定用乾燥試薬を用
い、測定試料に赤血球を含むヒト血液試料52試料を測
定して他法との相関を調べた。本発明の血液凝固時間乾
燥試薬はCG01((株)エイアンドティー)を用い
て、血液試料は生理食塩水で2倍に希釈して測定した。
他法の測定試薬としてはトロンボテストオーレン
((株)エーザイ)を、測定装置としてはKC-4(アメル
ング社)をそれぞれの取り扱い説明書に従って使用し
た。測定結果を図4に示した。他法との相関は、 Y=1.48X ― 8.73 であり、相関係数は、0.9892であり、良好な相関性を示
した。
【0052】
【発明の効果】本発明の血液凝固時間測定用乾燥試薬は
被覆剤で被覆された磁性粒子を使用するために、原料中
の吸着血漿に含まれるフィブリノーゲンを原因とする磁
性粒子の凝集を生じない。そのため赤血球を含む血液試
料を測定しても十分な磁性粒子の運動シグナルを得るこ
とができる。よって、本発明の血液凝固時間測定用乾燥
試薬は採血した後に非常に時間を要する赤血球の分離操
作を行なう必要なく、そのまま測定を行なうことが可能
であるという大きな特長を持つ。このことは臨床検査の
迅速化、コストダウンに大きな貢献をすることができ、
本発明の工業的意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本図は本発明の反応スライドの一例を示す図で
ある。
【図2】本図は本発明の反応スライドの構造の一例を示
す図である。
【図3】本図は本発明の血液凝固時間測定用乾燥試薬に
血液試料を添加した場合のシグナル強度の変化を示した
ものである。
【図4】本図は実施例4における本法と他法の相関グラ
フで、縦軸が本発明の血液凝固時間測定用乾燥試薬によ
る凝固時間、横軸が他法での凝固時間である。
【符号の説明】
1 血液凝固時間測定用乾燥試薬用溶液添加口 2 測光部 3 血液試料添加口 11 透明樹脂板 12 スペーサ 13 白色基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/86

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組織トロンボプラスチン、カルシウム
    塩、吸着血漿、および磁性粒子を含有してなる血液凝固
    時間測定用乾燥試薬であって、該血液凝固時間測定用乾
    燥試薬に血漿試料又は全血試料を添加し、その直後に振
    動磁場と静止磁場の組み合わせから成る磁場中に置いて
    試薬中の磁性粒子を運動させ、同時に該磁性粒子の運動
    シグナルを光学的にモニターすることによって試料中の
    凝固因子の量又は活性の指標となる凝固時間を測定する
    ことができる血液凝固時間測定用乾燥試薬において、前
    記磁性粒子が被覆剤で被覆されていることを特徴とする
    血液凝固時間測定用乾燥試薬。
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