JP2019174336A - 懸濁性に優れ、迅速診断が可能な着色セルロース微粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】迅速診断が可能なイムノクロマト診断キットの製造に用いることができる着色セルロース微粒子の提供。【解決手段】平均粒子径が50〜500nmであり、発色強度が0.2〜1.0であり、かつ、親水度が5.0〜50.0であることを特徴とする着色セルロース微粒子。セルロースにカルボキシル基が導入されている、着色セルロース微粒子。カルボキシル基の導入量が0.01〜1.00mmol/gである、着色セルロース微粒子。着色セルロース微粒子にリガンドが物理吸着している、着色セルロース微粒子。カルボキシル基を介してリガンドが化学結合している、着色セルロース微粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、着色セルロース微粒子、及びそれを用いたイムノクロマト診断キットに関する。より詳しくは、本発明は、懸濁性に優れ、迅速診断が可能なイムノクロマト診断キットの製造に用いることができる着色セルロース微粒子に関する。
高分子からなる微粒子は、粒径、機械的強度、粒径の分布、形状、凝集程度の制御のし易さから、様々な分野に利用されており、例えば、トナー、包装材のブロッキング防止材、絶縁フィラー、結晶核剤、クロマトグラフィー用充填剤、研磨剤等が挙げられる。近年では、免疫診断試薬用担体、液晶ディスプレーのスペーサー、分析機器の校正用標準粒子、多孔膜の検定用標準粒子等の用途にも応用されている。
高分子からなる微粒子は、とりわけ免疫診断薬用担体用途において使用量が増大している。中でもイムノクロマトグラフ方法を用いた診断(以下、「イムノクロマト診断キット」という。)は、妊娠検査薬のように、医薬部外品として医療関係者以外の一般人も利用できるキットが多数発売され、それ以外でもアデノ、ロタ、ノロ等の各種ウィルス、B型、C型各種の肝炎検査、O−157等の病原性菌群といった様々な検査のPOCT(Point―Of―Care―Testing:患者近傍で医師又は他の医療担当者が検査を実施し迅速に結果を得ること)の手段として、需要が高まっている。
イムノクロマト診断キットでは、金属コロイドやポリスチレン由来の着色ラテックスからなる発色微粒子で標識した抗体又は抗原を、クロマト基材上で抗原又は抗体と免疫反応を起こさせ、複合体を形成させつつ展開させ、次いで、予めクロマト基材上の所定の検出位置に、抗体又は抗原を担持させておき(以下、TLともいう。)、展開した複合体を補足することにより顕色させる。これにより得られるシグナル、例えば、目視可能な線や、専用の分析装置で読み取り可能な蛍光により、診断を行う。これまで種々の検討がなされ、簡便な検査方法として確立しているが、医療現場ではPOCTにおける医療従事者の負担を減少させる必要から、診断の迅速化が望まれている。
通常、イムノクロマト診断キットにおける迅速化に関しては、シグナルを如何に速く得るかが議論される。一般的なイムノクロマト診断キットにおいては、発色微粒子で標識した抗体又は抗原は、乾燥された状態で保存されており、そこに液体である検体が加わることで液体中に再懸濁し、クロマト基材上を、時間をかけて流れていく。一般的な迅速化の手法としては、検体を迅速に吸収しクロマト基材に速く展開させる、クロマト基材の孔径を大きくして展開を速くする、吸収を速くして展開を速くする、などが挙げられる。
しかしながら、一般的なイムノクロマト診断キットではシグナルは一定の時間をかけて増大していくため、所定の検査時間(例えば、15分後)にシグナルの読み取りを行い、シグナルが確認されない、すなわち陰性と判断しても、一定時間経過後(例えば、30分後)にはシグナルが現れてしまう場合がある。このような現象はしばしば医療現場に混乱をもたらすため、所定の検査時間後はシグナルの変化がないことが好ましい。
以下の特許文献1では、色が濃い有機着色微粒子を用いることで検出感度を上げることで、検査の迅速化を達成している。しかしながら、特許文献1には、上記のような経時的なシグナル変化は言及されていない。
以下の特許文献2では、所定の時間でシグナルを測定し、その結果からシグナル増加率を算出することで迅速診断を達成している。特許文献2の図2には経時的なシグナル変化が記載されているが、かかる図2を見れば明らかなように20分前後までシグナルが伸び続けている。機械を用いれば、検査時間後のシグナル変化は問題にならないかもしれないが、かかる機械は高価であり、また、同時に何人もの診断を行うことは難しいという問題がある。
特許第5788330号公報 特開2015−68764号公報
前記した技術の現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、迅速診断が可能なイムノクロマト診断キットの製造に用いることができる着色セルロース微粒子を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、所定の粒子サイズ、所定の色の濃さ、所定の親水度、及び好ましくは所定のカルボキシル含有量を有する着色セルロース微粒子であって、抗体で標識された乾燥状態にあるものの液体検体への懸濁が驚くほど速くなることを発見し、かかる着色セルロース微粒子をイムノクロマト診断キットに適応したところ、シグナルの経時変化がより速くプラトーに達し、イムノクロマト診断キットの迅速化を達成できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]平均粒子径が50〜500nmであり、発色強度が0.2〜1.0であり、かつ、親水度が5.0〜50.0であることを特徴とする着色セルロース微粒子。
[2]セルロースにカルボキシル基が導入されている、前記[1]に記載の着色セルロース微粒子。
[3]前記カルボキシル基の導入量が0.01〜1.00mmol/gである、前記[2]に記載の着色セルロース微粒子。
[4]前記着色セルロース微粒子にリガンドが物理吸着している、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の着色セルロース微粒子。
[5]前記カルボキシル基を介してリガンドが化学結合している、前記[2]又は[3]に記載の着色セルロース微粒子。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の着色セルロース微粒子を含むイムノクロマト診断キット。
本発明の着色微粒子では、着色セルロース微粒子の平均粒子径、発色強度、微粒子表面の親水度、及び好ましくはカルボキシル基含有量を緻密に制御することで、抗体で標識された乾燥状態にある着色微粒子の懸濁が驚くほど速くなる結果、イムノクロマト診断キットの診断時間を短縮できる。
本発明の着色セルロース微粒子では、微粒子表面に染料が多量に存在するために、セルロースの水酸基同士の水素結合の発生を抑制でき、その結果、乾燥状態からの懸濁が驚くほど速くなる。また、本発明の着色セルロース微粒子は、特許文献1に記載の微粒子よりも発色強度が小さいにも拘わらず、微粒子表面に多量に染料が存在することで、抗体を十分に担持することができ、発色微粒子として用いた際にイムノクロマト診断キットの検出感度を維持することができる。
イムノクロマト診断キットの、0〜10の11段階の目視グレードを示す写真である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の着色セルロース微粒子の「平均粒子径」とは、動的光散乱法で測定した場合の体積平均メジアン径を指し、平均粒子径が50〜500nmの範囲にある。平均粒子径がこの範囲にあると、微粒子の表面積が大きいためにイムノクロマト診断キットとして用いる場合にテストラインがより濃くなる、すなわち検出感度が高くなる。平均粒子径が50nm未満であると、表面積が小さくなるため、微粒子一個あたりの発色強度が低下し、その結果、検出感度が下がる場合があり、また、微粒子の凝集が起こる場合もある。以上の点から平均粒子径の下限は70nmが好ましく、より好ましくは80nmである。他方、微粒子径が500nmより大きくなると、微粒子が凝集した際にメンブレンの孔に詰まりやすくなってしまう。その結果、プラトーに達する時間が長くかかったり、検査後にメンブレン表面が着色し検査結果の判断に悪影響を及ぼしたり、検出感度が悪くなったりする場合がある。以上の点から平均粒子径の上限は450nmが好ましく、より好ましくは400nmである。尚、ここで述べている平均粒子径はあくまで平均値であり、粒子径分布の一部が上記範囲から外れていても構わない。
粒子径の評価に体積平均を用いる理由は、イムノクロマト診断キットにおいてあまりに大きな微粒子はメンブレン中に詰まってしまうが、体積平均であれば大きい微粒子ほど影響が大きくなるので大きい微粒子が僅かに存在するだけでもその影響が反映されるためである。粒子径の評価方法としては体積平均以外にも、数平均、面積平均など様々な表し方がある。当然ながら表し方が異なると粒子径の値も変わってくるが、本明細書では、体積平均を採用する。
本明細書中、「発色強度」とは、微粒子の色の濃さを定義した値であり、本実施形態の着色セルロース微粒子では、発色強度は0.2〜1.0の範囲にある。発色強度が、この範囲にあるとバックグラウンドがきれいになる時間が短いため、シグナルがプラトーに達する時間が速くなる。発色強度が0.2未満であると、発色強度が低すぎて検出感度が低下してしい、また、微粒子表面のセルロース量が多くなるために、セルロース同士の水素結合が多くなり懸濁が遅くなってしまうため、プラトーに達する時間が長くなってしまう。以上の点から発色強度の下限は0.3が好ましく、より好ましくは0.4である。他方、発色強度が1.0より大きくなると疎水性が強くなり、ニトロセルロースのメンブレン中の移動に時間がかかるためにプラトーに達する時間が長くなってしまう。以上の点から、発色強度の上限は0.90が好ましく、より好ましくは0.80である。
発色強度の測定方法は、濃度既知の微粒子の純水分散液を調製し、光路長10mmとして、400〜800nmの範囲で積分球を用いた可視吸光度測定を行い、得られた吸光度曲線のピーク値(ABS)を測定し、得られた値を発色微粒子の重量パーセントで割り返し、発色微粒子0.01wt%辺りの吸光度に換算した値として測定するものである。例えば、調製した微粒子の濃度が0.0045wt%であり、吸光度曲線のピーク値が1.0であるとき、その発色強度は(1×0.01)÷0.0045=2.2となる。
本実施形態において、微粒子の色の濃さの測定に、積分球を用いた可視吸光度測定を行う理由は、液体に分散した状態の微粒子の色の濃さを最も正確に測定できるためである。微粒子の色の濃さを測る方法としては、微粒子を乾燥させて得られた固体を測色計などで測定する方法もあるが、このような方法では微粒子の色の濃さを正確に測定できない。例えば、金属コロイドなどは粒子径に応じて色調や最大波長が異なり、乾燥した凝集状態は、液体に分散した状態の色の濃さを正確に反映できない。また、液体中に同じ粒子濃度で分散させても凝集が発生すると色の濃さは薄くなる。更に、可視吸光度測定を行う際に積分球を用いる理由は、粒子自体の散乱による影響を除去するためである。通常の可視吸光度測定は透過光を測定する方法であり、入射光に対し着色成分による吸収だけでなく微粒子自体の散乱による影響も反映されてしまう。例えば、イムノクロマト診断キットに一般的に使われる金コロイドは、粒子径が40nm〜60nm、時には100nmのものが用いられる場合もあるが、いずれも粒子径が小さいため散乱光の影響はほとんどない。それに対しラテックス粒子は粒子径が大きく明らかに散乱光の影響が大きい。上記のような理由から、粒子径や粒子素材が違う場合に微粒子自体の色の濃さをより正確に反映するために、積分球を用いた可視吸光度測定を本実施形態では採用する。
本実施形態では、着色セルロース微粒子の疎水性親水性の程度を表す指標として、「親水度」を測定した。本明細書中、「親水度」とは、微粒子表面の濡れやすさ、すなわち水との親和性を表す指標である。この値が大きいほど親水性である。
本実施形態の着色セルロース微粒子の「親水度」は、5.0〜50.0の範囲である。この範囲にあると、抗体を十分担持でき、かつセルロース同士の水素結合も抑制できるため、検出感度を維持しつつ、液体検体への懸濁が速くプラトーに達する時間も速くなる。親水度が5.0未満であると、疎水性が強すぎて微粒子同士が凝集しやすくなり、懸濁が遅くなってしまうため、プラトーに達する時間も遅くなってしまう。以上の点から親水度の下限は8.0であることが好ましく、より好ましくは10.0である。親水度が30.0より大きいと、セルロース同士の水素結合が生じやすくなり、懸濁が遅くなってしまうためプラトーに達する時間も遅くなってしまう。以上の点から親水度の上限は45.0が好ましく、より好ましくは40.0である。
本明細書中、「微粒子」とは、長径(L)と短径(D)の長さが近く形状が球に近い構造体を指す。具体的にはL÷Dで表されるL/D比が1.0〜3.0である構造体を指す。L/Dがこの範囲にあるとイムノクロマト診断キットとして用いる場合に目詰まりを起こしにくくなり、プラトーに達する時間が速くなり、より好ましくは1.0〜2.0、更に好ましくは1.0〜1.5、最も好ましくは1.0〜1.3である。測定方法としては、粒子の電子顕微鏡画像を撮影し、100個の粒子の長径(L)と短径(D)を測定し、その100個の平均値を算出する。
本明細書中、「カルボキシル基の導入量」とは、着色セルロース微粒子1gあたりに導入されたカルボキシル基の量のことである。かかる導入量は0.01〜1.00mmol/gであることが好ましい。この範囲にあることで、抗体やブロッキング剤に用いるタンパク質などが微粒子と化学的に強固にかつ多量に結合可能となるため、高感度化を維持しつつ迅速化も可能となる。導入量が0.01mmol/g未満であると、抗体などのタンパク質の結合量が十分でないため、検出感度が低下するおそれがある。以上の点からカルボキシル基の導入量の下限は0.10mmol/gが好ましく、より好ましくは0.20mmol/gである。他方、カルボキシル基の導入量が1.00mmol/gを超えると、微粒子上の抗体量が多すぎて、抗体間での水素結合などによって微粒子が凝集し、懸濁性、分散性が悪くなる結果、プラトーに達する時間も長くなってしまう。以上の点からカルボキシル基の導入量の上限は0.90mmol/gが好ましく、より好ましくは0.80mmol/gである。
カルボキシル基の導入量は、蛍光測定法、中和滴定法、赤外分光法などにより算出することができる。本実施形態では、抗体やタンパク質と反応可能なカルボキシル基の量を正確に測定するために、主に蛍光測定法を使用する。カルボキシル基と反応した場合のみ発光する蛍光試薬を使用する。まず、カルボキシル基量が既知のサンプルで、カルボキシル基の量と発光強度との関係について検量線を作成する。その後、蛍光試薬を微粒子に反応させる。その微粒子の蛍光強度を測定し、発光強度を得る。得られた発光強度を検量線に代入して、カルボキシル基の量を算出する。
カルボキシル基を導入する際のカルボキシル化剤としては、特に限定されるものではないが、具体例としては以下のものが挙げられる:2−ブロモ酢酸、3−ブロモプロピオン酸、4−ブロモ酪酸、5−ブロモペンタン酸、6−ブロモヘキサン酸、7−ブロモヘプタン酸、8−ブロモオクタン酸、11−ブロモウンデカン酸、18−ブロモステアリン酸、16−ヘプタデセン酸、5−ヘキセン酸、エピクロロヒドリン、4−アミノ酪酸、3−アミノプロピオン酸、5−アミノペンタン酸、6−アミノヘキサン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、アジピン酸、エイコサン二酸、1,8−オクタンジカルボン酸、1,4−ブタンジカルボン酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸、2−クロロ酢酸、3−クロロプロピオン酸、4−クロロ酪酸、5−クロロペンタン酸、6−クロロヘキサン酸、7−クロロヘプタン酸、8−クロロオクタン酸、11−クロロウンデカン酸、18−クロロステアリン酸、アミノ−PEG12−プロピオン酸、アミノ−PEG8−プロピオン酸、アミノ−PEG4−プロピオン酸、α,w−ビス≪2−〔(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)アミノ〕エチル≫ポリエチレングリコール、HO−PEG12−COOH,HO−PEG12−プロピオン酸、HO−PEG8−プロピオン酸、O−(2−カルボキシエチル)ポリエチレングリコール、COOH−PEG12−COOH、ポリ(エチレングリコール)ビス(カルボキシメチル)エーテル、プロピオン酸―PEG12−プロピオン酸、プロピオン酸―PEG8−プロピオン酸、プロピオン酸―PEG4−プロピオン酸。この中で好ましくは、3−ブロモプロピオン酸、4−ブロモ酪酸、5−ブロモペンタン酸、6−ブロモヘキサン酸、7−ブロモヘプタン酸、8−ブロモオクタン酸、11−ブロモウンデカン酸、18−ブロモステアリン酸、アジピン酸、エイコサン二酸、1,8−オクタンジカルボン酸、1,4−ブタンジカルボン酸、1,6―ヘキサンジカルボン酸であり、より好ましくは8−ブロモオクタン酸、11−ブロモウンデカン酸、18−ブロモステアリン酸、アジピン酸、エイコサン二酸、1,8−オクタンジカルボン酸。
本実施形態の着色セルロース微粒子において、微粒子表面に染料が局在化していることを表す指標として「表面セルロースの残存率」を測定した。「表面セルロースの残存率」とは、染色前のセルロース微粒子の表面のセルロース量を100とし、着色後にセルロース成分がどの程度表面に残っているかを示すものである。
「表面セルロース残存率」は15%以下であることが好ましい。この範囲にあることで、セルロース同士の水素結合が起こりにくくなるために、懸濁が速くプラトーに達する時間も短くなる。他方、表面セルロース残存率が15%より大きいと、セルロース同士の水素結合が起こりやすくなり、懸濁に時間がかかるために、プラトーに達する時間も長くなってしまう。以上の点から「表面セルロース残存率」の上限は12%が好ましく、より好ましくは10%である。
本実施形態の「着色セルロース微粒子の製造方法」は、特に限定されない。微粒子をまず成形し、色素、染料などの着色成分を担持させる方法、微粒子を成形し、金属コロイドや顔料などのより小さい発色微粒子を担持させる方法、微粒子の成形時に色素、染料、顔料、金属コロイドなどの着色成分も一緒に加えて成形する方法などが挙げられる。中でも粒子径の調整、色の濃さの調整、色の種類の調整、微粒子表面状態の調整などの微粒子の特徴の調整のしやすさから、微粒子をまず成形し、色素、染料などの着色成分を担持させる方法が好ましい。また、担持させる着色成分としては、担持の容易さから染料が好ましい。
着色成分に染料を用いる場合、「染料の種類」は特に限定されない。反応染料、直接染料、含金染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、硫化染料、植物染料、ナフトール染料、蛍光染料などの染料を用いることができる。もちろん任意の染料を組み合わせても構わない。中でもセルロースの水酸基と共有結合で結合する反応性染料が、大量に染料を保持できる点や安定性の面から特に好ましい。
セルロース微粒子をまず成形し、その後に着色成分を担持させる場合、「セルロース微粒子の成形方法」は特に限定されない。天然のセルロースをボールミルや高圧ホモジナイザーで物理的に微細化する方法、酸やアルカリなどで化学的に処理し微細化する方法、セルロースをその良溶媒に一度溶解させ粒子状に成形する方法などが挙げられる。また、誘導体化されたセルロースを溶解、粒子状に成形し、誘導体化された置換基を水酸基に戻しセルロース微粒子を調製してもよい。更にそれらの成形方法を組み合わせてもよい。また「セルロースの種類」も特に限定されるものではなく、再生セルロース、精製セルロース、天然セルロース、誘導体化された置換基を水酸基に戻したセルロースなどを用いることができる。中でも粒子径の調整、粒子形状の調整などの点から良溶媒に一度溶解させ粒子状に成形する方法が好ましく、セルロースの種類としては再生セルロースが好ましい。
セルロースをその良溶媒に一度溶解させ粒子状に成形する場合、「セルロースを溶解させる良溶媒の種類」も特に限定されるものではなく、銅アンモニア溶液、ビスコース溶液、N−メチルモルホリン、各種のイオン性液体などセルロースを溶解することのできる様々な良溶媒を用いることができる。中でも粒子径の調整、粒子形状の調整などの点から銅アンモニア溶液が好ましい。また、溶解させたセルロースを粒子に成形する方法も特に限定されるものではない。本実施形態では相分離による方法を選択した。
本明細書中、「リガンド」とは、特定の検査対象物質に選択的かつ特異的に結合する性質をもつ物質である。その種類は特に限定されるものではないが、例えば、抗体、酵素、遺伝子、ホルモン、核酸、ペプチド、タンパク質などが挙げられる。
着色セルロース微粒子は、抗体などの被検出物に特異的に結合する物質を担持する必要があるが、その担持方法は特に限定されない。例えば、物理的な吸着による担持、共有結合による担持、それらの組み合わせによる担持などが挙げられる。担持する物質の種類や量も特に限定されない。担持する物質の種類としては抗体が最も一般的であり好ましい。また、担持する方法としては、容易さの観点からは物理的な吸着による担持が、安定性や性能などの観点からは共有結合による担持が好ましい。
本実施形態の「イムノクロマト診断キット」とは、様々な検体中の検査対象物質の有無を簡便に検出するものである。当該診断キットの種類としては、ラテラルフロー式やフロースルー式が挙げられる。発色微粒子やサンプルパッドを用いるものであれば特に限定されないが、好ましくはラテラルフロー式である。また、ラテラルフロー式の中でも、ディップスティックタイプとカセットタイプがあるが、それらのタイプは特に限定されない。診断キットの構成は、特に限定されるものではなく、当該分野で一般的に用いられる構成であればいずれでも構わない。発色微粒子とサンプルパッド以外の部材の種類は、当該分野で用いられるものであれば特に限定されず、例えば、コンジュゲートパッド(抗体感作発色微粒子を含む)、ニトロセルロース等のメンブレン、吸収パッド、及び台紙が挙げられる。また、必要に応じそれら部材を一部省いても構わない。また、本実施形態の着色セルロース微粒子は、イムノクロマト診断キット以外にも、ラテックス凝集法の微粒子としても使用可能である。
イムノクロマト診断キットを使用する診断方法には、イムノクロマト診断キットを用いて行われる様々な診断がある。診断対象は特に限定されるものではなく、人用、動物用、食品用、植物用、その他環境検査など様々な診断対象の検査に用いることができる。一般的な診断の手順では、検査対象から検体試料を採取し、必要であればそれを抽出やろ過などの前処理を行い、サンプルパッドに滴下し、検査開始から所定時間待ち、検査対象物質の有無によって異なる発色より診断結果を判断する。もちろんこの手順に限定されず、同じような手順、原理の診断にも用いることができる。好ましいのは、検体試料を予めろ過しておくことで余分な異物や夾雑物を除去でき、それによりより一層の診断時間の短縮化や、診断精度の向上が期待できる。
イムノクロマト診断キットで診断できる対象は特に限定されるものではないが、具体例としては以下のものが挙げられる:癌マーカー、ホルモン、感染症、自己免疫、血漿蛋白、TDM、凝固・線溶、アミノ酸、ペプチド、蛋白、遺伝子、細胞、などが挙げられる。より具体的には、CEA、AFP、フェリチリン、β2マイクロ、PSA、CA19−9、CA125、BFP、エラスターゼ1、ペプシノーゲン1・2、便潜血、尿中β2マイクロ、PIVKA−2、尿中BTA、インスリン、E3、HCG、HPL、LH、HCV抗原、HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HBe抗原、HBe抗体、HTLV−1抗体、HIV抗体、トキソプラズマ抗体、梅毒、ASO、A型インフルエンザ抗原、A型インフルエンザ抗体、B型インフルエンザ抗原、B型インフルエンザ抗体、ロタ抗原、アデノウィルス抗原、ロタ・アデノウィルス抗原、A群レンサ球菌、B群レンサ球菌、カンジダ抗原、CD菌、クリプトロッカス抗原、コレラ菌、髄膜炎菌抗原、顆粒菌エラスターゼ、ヘリコバクターピロリ抗体、O157抗体、O157抗原、レプトスピラ抗体、アスペルギルス抗原、MRSA、RF、総IgE、LEテスト、CRP、IgG,A,M、IgD、トランスフェリン、尿中アルブミン、尿中トランスフェリン、ミオグロビン、C3・C4、SAA、LP(a)、α1−AC、α1−M、ハプトグロビン、マイクロトランスフェリン、APRスコア、FDP、Dダイマー、プラスミノーゲン、AT3、α2PI、PIC、PAI−1、プロテインC、凝固第X3因子、IV型コラーゲン、ヒアルロン酸、GHbA1c、その他の各種抗原、各種抗体、各種ウィルス、各種菌、各種アミノ酸、各種ペプチド、各種蛋白質、各種DNA、各種細胞、各種アレルゲン、各種残留農薬、各種有害物。
以下、セルロース微粒子の作製方法、セルロース微粒子の着色方法、カルボキシル基の導入方法、イムノクロマト診断キットの作製方法などの一例を記載する、もちろん、本実施形態はそれらによって何ら限定されるべきではない。
〔セルロース微粒子の作製方法〕
セルロースリンターをセルロースの良溶媒に溶解させる。本実施形態では良溶媒として公知の方法で調製した銅アンモニア溶液を用いる。そして凝固液としては有機溶媒+水+アンモニア混合系を主に用いる。この凝固液を攪拌しながら、調製しておいた銅アンモニアセルロ−ス溶液を加えて凝固を行う。さらに硫酸を加え中和、再生を行うことで、目的のセルロ−ス微粒子を含有したスラリーを得ることができる。この際スラリーは再生に用いた酸の残留により酸性であり、さらに中和で発生したアンモニウム塩などの不純物を含んでいるため、セルロース微粒子と媒体からなるセルロース分散液へと精製する操作が必要となる。本実施形態では、この精製操作として遠心分離−デカンテーション−分散媒液体による希釈の処理の繰り返しを用いる。得られたセルロース微粒子分散液中のセルロース微粒子は、精製操作の過程において凝集する場合もあるので、この場合は剪断などによる分散処理を行うことができる。本実施形態では、剪断を与える手段としては高圧ホモジナイザーを用いる。
〔セルロース微粒子の着色方法〕
得られたセルロース微粒子の水分散体に対し、硫酸ナトリウム、反応性染料を加え、マグネティックスターラーで撹拌しながら恒温槽で適温に昇温する。昇温後にアルカリとして炭酸ナトリウムを加え染色を開始する。所定時間経過後に目的の着色セルロース微粒子を含有したスラリーを得ることができる。この際スラリーはアルカリ性であり、さらに硫酸ナトリウム、未反応の染料などを含んでいるため、着色セルロース微粒子と媒体からなる着色セルロース微粒子分散液へと精製する操作が必要となる。前記同様に遠心分離による精製を行い、着色セルロース微粒子分散液を得る。得られた着色セルロース微粒子分散液中の着色セルロース微粒子は、精製操作の過程において凝集する場合もあるので、この場合は剪断などによる分散処理を行うことができる。本実施形態では、剪断を与える手段としては高圧ホモジナイザーを用いる。特許文献1では、染色後に毎回水酸化ナトリウムで洗浄を行っていた。これにより微粒子表面の染料が脱離するうえに、セルロース微粒子自身も膨潤してしまう。その結果、表面セルロース残存率が大きくなるために、セルロース同士の水素結合が起こりやすくなってしまっていた。本実施形態では、以上の理由から微粒子の膨潤を起こすことなく微粒子表面にのみ染料を存在させるために水酸化ナトリウム洗浄を行わずに微粒子を染色する方法を採用した。これにより、狙い通り表面のセルロース残存率が低下し、セルロース同士の水素結合の発生が抑制されたために、イムノクロマト診断キットがプラトーに達する時間が速くなった。また、この反応の際の炭酸ナトリウムの量と染料の量のバランスにより親水度を制御できることも判明した。これにより、本実施形態では、過度に粒子が疎水性になることで起こる粒子同士の凝集を抑制しつつ、抗体はしっかり担持できる親水度を保つことが可能となった。
〔着色セルロース微粒子へのカルボキシル基の導入方法〕
得られた着色セルロース微粒子の水分散体に対し、有機溶媒、塩基を加え、マグネティックスターラーで撹拌しながら恒温槽で適温に昇温する。昇温後にカルボキシル基を有する反応剤を加え反応を開始する。所定時間経過後に目的のカルボキシル基導入親水化着色セルロース微粒子を含有したスラリーを得ることができる。この際スラリーは、有機溶媒、塩基、未反応の反応剤などを含んでいるため、カルボキシル基導入着色セルロース微粒子と媒体からなるカルボキシル基導入着色セルロース微粒子分散液へと精製する操作が必要となる。前記同様に遠心分離による精製を行い、カルボキシル基導入着色セルロース微粒子分散液を得る。得られたカルボキシル基導入着色セルロース微粒子分散液中のカルボキシル基導入着色セルロース微粒子は、精製操作の過程において凝集する場合もあるので、この場合は剪断などによる分散処理を行うことができる。本実施形態では、剪断を与える手段としては高圧ホモジナイザーを用いる。
〔イムノクロマト診断キットの作製方法〕
所定の濃度に調整した着色セルロース微粒子の分散液を準備し、緩衝液、抗体を加え、温度調整を行いながら一定時間撹拌し、着色セルロース微粒子に抗体を結合させる。一定時間撹拌後、更にブロッキング剤を加え温度調整を行いながら一定時間撹拌することで、着色セルロース微粒子のブロッキングを行う。ブロッキング剤としては、検査対象物質や検体又はそれを希釈する溶液の組成などに応じ様々なブロッキング剤を用いることができる。本実施形態で用いたカゼインは、着色セルロース微粒子のブロッキングに特に好ましい。抗体結合及びブロッキング後の着色セルロース微粒子を洗浄するため、遠心分離を行い、余剰な抗体とブロッキング剤が含まれた上澄み液と沈降した微粒子を分離し、上澄み液をデカンテーションにて除去する。沈降した微粒子に緩衝液などの液体を加え、必要に応じ超音波などで分散処理を行う。この遠心分離による沈降、上澄みの除去、液体の添加という一連の操作による洗浄を必要回数行い、抗体吸着&ブロッキングを行った微粒子を所定の濃度含有した分散液を調製する。この分散液に必要に応じタンパク質、界面活性剤、スクロースやトレハロースなどの糖を加え、得られた溶液をガラス繊維製のコンジュゲートパッドに一定量塗布し、乾燥させ、検出試薬含有部を調製する。また、再生セルロース連続長繊維不織布に必要に応じ緩衝液、界面活性剤、タンパク、検体試料中の夾雑物をトラップする試薬、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、などを塗布し、乾燥させ、サンプルパッドを調製する。更に所定の位置に抗体を固定化したニトロセルロース多孔膜製のメンブレン、検体を吸収するためのセルロース濾紙製の吸収パッドを調製する。それらをバッキングシートと呼ばれる接着部位を有するシートに固定化し、所定のサイズに裁断することでイムノクロマト診断キットを作製する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また、特に記載のない全ての操作は温度23℃、相対湿度55%RHの環境下で行った。
まず、実施例、比較例で用いた測定方法等を以下に説明する。
〔微粒子の平均粒子径〕
装置としては日機装社製のナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(動的光散乱式)を用いた。測定サンプルとして、微粒子0.01wt%、純水99.99wt%のサンプルを用いた。測定条件としては積算回数を30回、1測定辺りの測定時間を30秒とし、体積平均の粒子径分布を用いそのメジアン径を平均粒子径とした。
〔微粒子の発色強度〕
装置としては日本分光社製の紫外可視近赤外分光光度計JASCO V−650に同社製の積分球ユニットISV−722を取り付けた装置を用いた。測定するサンプルとして微粒子0.01wt%、純水99.99wt%のサンプルを用い、光路長10mmの石英セルにサンプルを入れ測定した。得られた吸光度ピークのうち、400〜800nm可視光範囲での最大値(ABS)を発色強度とした。
〔微粒子の親水度〕
微粒子分散液を濃度1%(wt/vol)に調整し、試料溶液とした。試料溶液を撹拌後、0.5mLを外径10mmのガラス製NMR管に移し、30℃に設定されたパルスNMR装置に設置した。パルスNMR装置はブルカー社製のMinispec mq20装置を用いた。各種パラメータを以下の通りに設定し測定した。
・観測核:
・測定する緩和時間:横緩和時間T2(ms)
・測定モード:CPMG法
・積算回数:32回
・Recycle Delay:10(s)
・90°−180°Pulse Separation(τ):2(ms)
得られた磁化減衰曲線(磁化強度の経時変化を示す曲線)を、Microsoft Excelの指数近似機能を用いて最小二乗法により下記式(1):
M(t)=M・exp(−t/T2) ・・・式(1)
{式中、M(t):ある時間tにおける信号強度、:信号強度の初期値、T2:緩和時間である。}にフィッティングした。
次に、縦軸に緩和時間の変化割合(Rsp値)を、横軸に微粒子の総表面積値(TSA値)をプロットしたグラフを作成した。最小二乗法により近似直線を作成し、その傾きを親水化度と定義し、微粒子の親水化度を比較した。Rsp値とTSA値の計算方法は以下のとおりである。
・Rsp値の計算方法
計算式 Rsp値=Rav÷Rb−1
Rav:平均緩和時定数(試料の緩和時間逆数)
Rb:バルク水分子の緩和時定数(ブランク水の緩和時間逆数)
・TSA値(m)の計算方法
計算式 TSA値=SA×V×Ψ×ρ
SA:微粒子の比表面積(m/g)
SA=6÷(ρ×d)
ρ:微粒子密度(g/cm
微粒子密度:1.4g/cm
ラテックス粒子密度:1.0g/cm
金コロイド粒子密度:19.3g/cm
d:微粒子直径(μm)
V:ラジオ波が照射される部分のNMR管体積(cm)(≒試料量)
Ψ:微粒子体積比
Ψ(微粒子体積比)=微粒子体積÷水の体積
微粒子体積=微粒子濃度(wt%)÷100÷微粒子密度
水の体積=(1−微粒子体積)÷水の密度(0.997g/cm
〔微粒子のL/D比測定〕
装置としては日本電子社製の走査型電子顕微鏡JSM-6700を用いた。微粒子0.01wt%、純水99.99wt%のサンプルを雲母板に滴下し、10秒経過させることで微粒子を雲母板上に吸着させ、キムワイプで余分な液体を吸い取り乾燥させた。得られた雲母板をプラチナでコーティングし、電子顕微鏡測定用のサンプルを調製した。加速電圧1.6kV、測定倍率5万倍で観測を行い、微粒子画像が100個以上になるように必要枚数の画像を撮影し、それぞれの微粒子の長径(L)と短径(D)を測定し、微粒子100個のL/Dの平均値を算出した。
〔微粒子の表面セルロースの残存率測定〕
装置としてはサーモフィッシャー社製のXPS分光装置ESCALAB250を用いた。微粒子0.01wt%、純水99.99wt%のサンプルを測定部に滴下し、10秒経過させることで微粒子を吸着させ、余分な液体を吸い取った。その後、2mmΦのマスキングを行ってXPS測定に供した。Survey Scanを100eV、Narrow Scanを20eVで行い相対元素濃度を求めた。下記式:
表面セルロース残存率 = 染色後の酸素原子濃度 / 染色前の酸素原子濃度 × 100
により「表面セルロースの残存率」を算出した。
例えば、染色前の酸素原子濃度が45atom%、染色後の酸素原子濃度が28atom%の場合、表面セルロース残存率は62%となる。
〔微粒子のタンパク質担持量測定〕
装置としては日本分光社製の紫外可視近赤外分光光度計JASCO V−650を用いた。タンパク質の一例として牛血清アルブミン(以下、「BSA)という、シグマアルドリッチ社製、A7906)の吸着量の算出方法を示す。吸着量を測定したい微粒子の1.0wt%分散液を30.0μL、pH=5.0 濃度100mMのリン酸緩衝液(キシダ化学社製)270.0μL、1.0wt%のBSA溶液3.0μLを37℃で2時間反応させ、その後遠心分離により上澄み液を採取する。この上澄み液を市販のBCA試薬(和光純薬社製、297−73101)と反応させ、V−650により562nmの吸光度を測定し、上澄み液中のBSA量を算出する。その後仕込んだBSA量から上澄み液中のBSA量を引き、使用した微粒子量を除してどれだけ吸着したかを算出した。
〔コンジュゲートパッドへの抗体感作着色セルロース微粒子の含浸、乾燥〕
ポリエチレン製コンジュゲートパッド(Pall社製、6613)を大過剰の0.05重量%のTween−20(登録商標、シグマアルドリッチ社製、T2700)に浸漬し、余分な液を取り除いた後に50℃で60分乾燥させた。続いて高さ10mm、長さ300mmの形状にカットした。続いてマイクロピペットを用い0.038重量%の抗体感作着色セルロース粒子分散液780μLを均等に塗布し、50℃で60分乾燥させた。
〔サンプルパッドの前処理〕
再生セルロース連続長繊維不織布を、大過剰の2.0wt%のBSA(シグマアルドリッチ社製、A7906)と2.0wt%のTween−20(登録商標)を含有するPBS緩衝液(66mM、PH7.4)に含浸し、余分な液を取り除いた後に50℃で60分乾燥させた。続いて高さ20mm、長さ300mmの形状にカットした。
〔捕捉抗体塗布メンブレンの調製〕
ニトロセルロース膜(Millipore社製、SHF0900425)を幅25mm、長さ300mmの形状にカットした。液体塗布装置(武蔵エンジニアリング社製、300DS)を用い、0.1wt%抗hCG−βマウス抗体(MedixBiochemica社製、6601)を含むPBS溶液(66mM、PH7.4)を0.1μL/mmの割合で高さ12mmの部分に塗布した(テストライン、以下TL)。それと同時に、0.05wt%抗マウス抗体(Dako社製、Z0259)を含むPBS溶液(66mM、PH7.4)を0.1μL/mmの割合で高さ16mmの部分に塗布した(コントロールライン、以下CL)。続いて、37℃で30分間乾燥させた。
〔イムノクロマト診断キットの調製〕
バッキングカード(Adhesives Reserch社製、AR9020)に、調整した捕捉抗体塗布メンブレン、吸収パッド(Millipore社製、C083)、検出試薬を含有したコンジュゲートパッド、サンプルパッドを張り合わせた。続いて裁断機にて5mmの幅にカットし、幅5mm、高さ60mmのイムノクロマト診断キットを得た。
〔イムノクロマト診断キットのCLプラトー到達時間〕
5mm幅にカットしたイムノクロマト診断キットをプラスチックのハウジングに入れた。得られたハウジング入りの診断キットを、図1に示す0−10の11段階の目視グレードで判定した。1.0wt%のBSAを含む66mM、PH7.4のリン酸緩衝液(以下「PBS」という)120.0μLを診断キットのサンプル滴下部に滴下し、以降20秒毎に目視で測定を行い、CLの経時変化を測定した。目視グレードCLの発色強度が変化しなくなった時間を測定した。この測定を5回行い、平均の時間をCLプラトー到達時間とした。懸濁が速い微粒子ほどこのプラトー到達時間が短くなる。
〔イムノクロマト診断キットの発色時間〕
5mm幅にカットしたイムノクロマト診断キットをプラスチックのハウジングに入れた。得られたハウジング入りの診断キットを、図1に示す0−10の11段階の目視グレードで判定した。検査対象物質には抗hCG−βマウス抗体を用いた。前記hCG抗体を1.0wt%のBSAを含む66mM、PH7.4のリン酸緩衝液(以下「PBS」という)で希釈し、前記hCG抗体が10.0mIU/mLの陽性検体を調製した。この陽性検体120.0μLを診断キットのサンプル滴下部に滴下し、以降20秒毎に目視で測定を行い、TLの経時変化を測定した。目視グレードが1.0以上になった時間を測定した。ここで1.0以上とした理由は、個人差もあるが1.0以上になればTLの存在を確認できるからである。この測定を5回行い、平均の時間を発色時間とした。
〔イムノクロマト診断キットのプラトー到達時間〕
5mm幅にカットしたイムノクロマト診断キットをプラスチックのハウジングに入れた。得られたハウジング入りの診断キットを、図1に示す0−10の11段階の目視グレードで判定した。検査対象物質には抗hCG−βマウス抗体を用いた。前記hCG抗体を1.0wt%のBSAを含む66mM、PH7.4のリン酸緩衝液(以下「PBS」という)で希釈し、前記hCG抗体が10.0mIU/mLの陽性検体を調製した。この陽性検体120.0μLを診断キットのサンプル滴下部に滴下し、以降20秒毎に目視で測定を行い、TLの経時変化を測定した。目視グレードでTLの発色強度が変化しなくなった時間を測定した。この測定を5回行い、平均の時間をプラトー到達時間とした。
〔イムノクロマト診断キットの1.6mIU/mlの感度〕
5mm幅にカットしたイムノクロマト診断キットをプラスチックのハウジングに入れた。得られたハウジング入りの診断キットを、図1に示す0−10の11段階の目視グレードで判定した。検査対象物質には抗hCG−βマウス抗体を用いた。前記hCG抗体を1.0wt%のBSAを含む66mM、PH7.4のリン酸緩衝液(以下「PBS」という)で希釈し、前記hCG抗体が1.6mIU/mLの陽性検体を調製した。この陽性検体120.0μLを診断キットのサンプル滴下部に滴下し、5分後に目視で測定を行い、TLの濃さを測定した。この測定を5回行い、平均の目視グレードを感度とした。
〔実施例1〕
従来公知の方法で、セルロース濃度0.37wt%、銅濃度0.13wt%、アンモニア濃度1.00wt%の銅アンモニアセルロース溶液を調製した。さらにテトラヒドロフラン濃度89.00wt%、水濃度11.00wt%、の凝固液を調製した。
マグネティックスターラーを用い凝固液5000gをゆっくり攪拌しながら、調製しておいた銅アンモニアセルロース溶液500gを添加した。5秒程度攪拌を継続したのちに10wt%の硫酸1000gを加え中和、再生を行い、セルロース微粒子を含有したスラリー6500gを得た。
得られたスラリーを10000rpmの速度で10分間遠心分離した。沈殿物をデカンテーションにより取り出し、脱イオン水を注入して攪拌し、再び遠心分離した。PHが6.0〜7.0になるまでこの操作を数回繰り返し、その後高圧ホモジナイザーによる分散処理を行い、セルロース微粒子分散液150gを得た。得られたセルロース微粒子の平均粒子径を測定した結果、261nmであった。
次に、前記のようにして調製したセルロース微粒子の染色を行った。微粒子濃度を1.00wt%に調整したセルロース微粒子分散体100gに対し、硫酸ナトリウム30g、反応性染料(例えば、ダイスター株式会社製Levafix Red CA GR.(登録商標))1.00g、を加え攪拌させながら恒温槽を用いて60℃まで昇温した。60℃に昇温後に炭酸ナトリウム4gを加え、2時間染色を行った。遠心分離で回収、純水にて水洗した後遠心分離で回収するという一連の操作を1サイクルとし、同様の操作を計2サイクルまで実施し、着色セルロース微粒子を得た。
上記の方法で調製した1.0重量%の着色セルロース微粒子 60μlを15mlの遠心管に入れ、更にトリス緩衝液(10mM、pH7.0)を540μl、0.1%の抗hCG-αマウス抗体(Fitzgerald社製、10-C25C)を60μl加え、ボルテックスで10秒撹拌した。続いて37℃に調整した乾燥機内に入れ120分間静置した。続いて1.0重量%のカゼイン(和光純薬工業社製、030−01505)を含有するブロッキング液(100mMホウ酸、pH8.5)を7.2ml加え、更に37℃の乾燥機内で60分間静置した。続いて遠心分離機(クボタ商事社製、6200)と遠心分離ローター(クボタ商事社製、AF−5008C)を用い、10,000gの遠心を15分間行い、感作粒子を沈降させた後に上澄みを除去した。続いてホウ酸緩衝液(50mMホウ酸、pH10.0)を7.2ml加え、超音波分散機(エスエムテー社製、UH−50)で10秒間処理した。続いて10,000gの遠心を15分間行い、感作粒子を沈降させた後に上澄みを除去した。また、別途スクロース(和光純薬工業社製、196−00015)1.8gと1.0重量%のカゼインブロッキング液2.4gを、ホウ酸緩衝液(50mMホウ酸、PH10.0)7.2mlに溶解させて得た緩衝液を用いて、感作粒子の分散液の重量を1.58gに調整し、0.038重量%の抗体感作着色セルロース粒子分散液を調整し、超音波分散機で10秒間処理した。狙い通り、微粒子間での水素結合などが起こりにくいために微粒子の分散性が非常によく約5分でTLがプラトーに達することができた。
〔実施例2〕
染色の際に反応性染料(例えば、ダイスター株式会社製Levafix Red CA GR.(登録商標))を0.30gに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で微粒子を作製した。微粒子間での水素結合などが起こりにくいために微粒子の分散性が非常によく約5分でTLがプラトーに達することができた。
〔実施例3〕
セルロースの凝固反応の際に、銅アンモニアセルロース溶液中のアンモニア濃度を8.50wt%に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で微粒子を作製した。微粒子間での水素結合などが起こりにくいために微粒子の分散性が非常によく約6分でTLがプラトーに達することができた。
〔実施例4〕
セルロースの凝固反応の際に、銅アンモニアセルロース溶液中のアンモニア濃度を8.50wt%、染色の際に反応性染料(例えば、ダイスター株式会社製Levafix Red CA GR.(登録商標))を0.30gに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で微粒子を作製した。微粒子間での水素結合などが起こりにくいために微粒子の分散性が非常によく約5分でTLがプラトーに達することができた。
〔実施例5〕
セルロースの凝固反応の際に、凝固液をアセトン濃度27.0wt%、水濃度0.2wt%、アンモニア濃度72.8wt%に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で微粒子を作製した。微粒子間での水素結合などが起こりにくいために微粒子の分散性が非常によく、かつ平均粒子径も小さいために微粒子が速やかにニトロセルロース膜上を移動し約4分でTLがプラトーに達することができた。
〔実施例6〕
セルロースの凝固反応の際に、凝固液をアセトン濃度27.0wt%、水濃度0.2wt%、アンモニア濃度72.8wt%、染色の際に反応性染料(例えば、ダイスター株式会社製Levafix Red CA GR.(登録商標))を0.30gに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で微粒子を作製した。微粒子間での水素結合などが起こりにくいために微粒子の分散性が非常によく、かつ平均粒子径も小さいために微粒子が速やかにニトロセルロース膜上を移動し約4分でTLがプラトーに達することができた。
〔実施例7〕
セルロースの凝固反応の際に、凝固液をジメチルスルホキシド濃度50.0wt%、水濃度50.0wt%に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で微粒子を作製した。微粒子間での水素結合などが起こりにくいために微粒子の分散性が非常によく、かつ平均粒子径も小さいために微粒子が速やかにニトロセルロース膜上を移動し約4分でTLがプラトーに達することができた。
〔実施例8〕
セルロースの凝固反応の際に、凝固液をジメチルスルホキシド濃度50.0wt%、水濃度50.0wt%に、染色の際に反応性染料(例えば、ダイスター株式会社製Levafix Red CA GR.(登録商標))を0.30gに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で微粒子を作製した。微粒子間での水素結合などが起こりにくいために微粒子の分散性が非常によく、かつ平均粒子径も小さいために微粒子が速やかにニトロセルロース膜上を移動し約3.5分でTLがプラトーに達することができた。
〔実施例9〕
実施例1と同様の方法で染色反応を行った後、着色セルロース微粒子へのカルボキシル基導入反応を行った。5.0wt%に調整した着色セルロース微粒子分散液10.0mLに対して、反応剤として6−ブロモヘキサン酸(東京化成社製,B1290)0.3g、N,N−ジメチルホルムアミド(東京化成社製、D0939)を50.0mL、塩基として炭酸ナトリウム(キシダ化学社製,000−71245)0.1gを加え、撹拌させながら恒温槽を用いて50℃まで昇温し、6時間反応させた。反応後、遠心分離で回収、2−プロパノール(東京化成社製、I0277)にて3回遠心分離による洗浄後、純水にて3回遠心分離による洗浄を行い、カルボキシル基導入着色セルロース微粒子を得た。得られた微粒子はカルボン酸ナトリウム型なので、0.1M HCl溶液(和光純薬社製、083−01115)を15.0mL、純水を35.0mL添加し、室温で2時間反応させる。その後遠心分離で回収、純水にて水洗した後遠心分離で回収した。pHが4.0以上になるまで水洗を実施し、カルボキシル基導入着色セルロース微粒子分散液を得た。
得られたカルボキシル基導入着色セルロース微粒子分散液に以下の方法で抗体を結合させた。2−モルホリノエタンスルホン酸(以下、「MES」という、東京化成社製、M0606)、苛性ソーダ、純水を用いてpH=6.0、濃度が100mMのMES緩衝液を調整した。調整したMES緩衝液を63.0μL、カルボキシル基導入親水化着色セルロース微粒子1.0wt%分散液を7.0μL、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(以下、「EDC」という、東京化成社製、D1601)の1.0wt%溶液を3.5μL、N−ヒドロキシスクシンイミド(以下、「NHS」という、東京化成社製、B0249)の1.0wt%溶液を7.0μL入れ、室温で15分間した。その後遠心分離により上澄み液を捨てて未反応のEDC、NHSを除去した。MES緩衝液を70.0μL入れ、微粒子を分散させた後、カルボキシル基導入着色セルロース微粒子に対して10.0wt%となるように抗hCG抗体(Fitzgelardh製、♯5014)をスピッツ管に添加し、37℃で2時間反応させた。その後、1.0wt%カゼイン(和光純薬工業社製、030−01505)を含有するブロッキング溶液(100mM ホウ酸緩衝液、PH=8.5)を840.0μLスピッツ管に添加し、37℃の乾燥機内で1時間静置した。1時間後、遠心分離機(クボタ商事社製、6200)と遠心分離ローター(クボタ商事社製、AF−5008C)を用い、14000gの遠心を30分間行い、抗体結合カルボキシル基導入着色セルロース微粒子を沈降させた後に、上澄み液を廃棄した。次いで、ホウ酸緩衝液(50mM、PH=10.0)を840.0μLスピッツ管に加え、超音波分散機(エスエムテー社製、UH−50)で10秒間処理し、抗体結合カルボキシル基導入着色セルロース微粒子を分散させた。十分に分散させたのち、14000gの遠心を20分間行い、上澄み液を廃棄した。抗体結合カルボキシル基導入着色セルロース微粒子の濃度が0.04wt%となるようにホウ酸緩衝液(50mM、PH=10.0)を添加し、超音波分散機により十分に分散させた。以上の方法により、抗体結合カルボキシル基導入着色セルロース微粒子を得た。微粒子間での水素結合などが起こりにくいために微粒子の分散性が非常によく、約5分でTLがプラトーに達することができた。
〔実施例10〕
カルボキシル化反応の際に、反応剤として6−ブロモヘキサン酸(東京化成社製,B1290)3.0gに変更したこと以外は実施例9と同様の方法で微粒子を作製した。微粒子間での水素結合などが起こりにくいために微粒子の再分散性が非常によく、かつ多量の抗体が微粒子に結合しているために、約3分でTLがプラトーに達し、感度も高い結果となった。
〔実施例11〕
カルボキシル化反応の際に、反応剤として6−ブロモヘキサン酸(東京化成社製,B1290)5.0gに変更したこと以外は実施例9と同様の方法で微粒子を作製した。微粒子間での水素結合などが起こりにくいために微粒子の分散性が非常によく、かつ多量の抗体が微粒子に結合しているために、約4分でTLがプラトーに達し、感度も高い結果となった。
〔比較例1〕
染色の際に反応性染料(例えば、ダイスター株式会社製Levafix Red CA GR.(登録商標))を4.00gに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で微粒子を作製した。発色強度が高すぎるためにTLがプラトーに達する時間が8分かかってしまった。
〔比較例2〕
染色の際に反応性染料(例えば、ダイスター株式会社製Levafix Red CA GR.(登録商標))を0.05gに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で微粒子を作製した。発色強度が低すぎ、親水度が高すぎるためにTLがプラトーに達する時間が8分かかってしまった。また、表面に染料が少ないため、抗体が吸着しにくく感度も低下した。
〔比較例3〕
セルロースの凝固反応において、凝固液をテトラヒドロフラン濃度97.0wt%、水濃度3.0wt%に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で微粒子を作製した。微粒子が大きすぎるために展開に時間がかかり、TLがプラトーに達するまでに約10分かかってしまった。
〔比較例4〕
微粒子の染色方法を次のように変更した。微粒子濃度を1.00wt%に調整したセルロース微粒子分散体100gに対し、硫酸ナトリウム30g、反応性染料(例えば、ダイスター株式会社製Levafix Red CA GR.(登録商標))1.00g、を加え攪拌させながら恒温槽を用いて60℃まで昇温した。60℃に昇温後に炭酸ナトリウム4gを加え、2時間染色を行った。続いて得られた粗着色微粒子を水酸化ナトリウム5%水溶液で洗浄し、遠心分離で回収、純水にて水洗した後遠心分離で回収するという一連の操作を1サイクルとし、同様の操作を計2サイクルまで実施し、着色セルロース微粒子を得た。それ以外は実施例1と同様の方法で微粒子を作製した。水酸化ナトリウムによる洗浄を加えたことで親水度、及び表面残存セルロース量が増加し、セルロース同士の水素結合が起こりやすくなったために、懸濁に時間がかかりTLがプラトーに達するまでに約8分かかってしまった。
〔比較例5、6〕
発色微粒子として、ラテックス(比較例6)、金コロイド(比較例7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、イムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。どちらの粒子も疎水性が高く、懸濁に時間がかかったために、TLがプラトーに達するまでに約8分かかってしまった。
実施例1〜11、比較例1〜6の粒子物性、粒子性能、イムノクロマト性能を以下の表1にまとめて示す。
本発明の着色セルロース微粒子は、微粒子表面に染料が多量に存在するために、セルロースの水酸基同士の水素結合の発生を抑制できるため、乾燥状態からの懸濁が驚くほど速くなり、また、微粒子表面に多量に染料が存在することで、抗体を十分に担持することができ、発色微粒子として用いた際にイムノクロマト診断キットの検出感度を維持することができる。それゆえ、本発明の着色セルロース微粒子は、イムノクロマト診断キットに好適に利用可能である。

Claims (6)

  1. 平均粒子径が50〜500nmであり、発色強度が0.2〜1.0であり、かつ、親水度が5.0〜50.0であることを特徴とする着色セルロース微粒子。
  2. セルロースにカルボキシル基が導入されている、請求項1に記載の着色セルロース微粒子。
  3. 前記カルボキシル基の導入量が0.01〜1.00mmol/gである、請求項2に記載の着色セルロース微粒子。
  4. 前記着色セルロース微粒子にリガンドが物理吸着している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色セルロース微粒子。
  5. 前記カルボキシル基を介してリガンドが化学結合している、請求項2又は3に記載の着色セルロース微粒子。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の着色セルロース微粒子を含むイムノクロマト診断キット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021132470A1 (ja) * 2019-12-25 2021-07-01 富士レビオ株式会社 イムノクロマト用ストリップ、イムノクロマト用装置、イムノクロマト用キット、及び被検物質検出方法

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