JP2020125909A - 粒径の揃った着色セルロース微粒子 - Google Patents

粒径の揃った着色セルロース微粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】インビトロ診断方法、特にイムノクロマトにおける標識として使用する場合に、ばらつきを軽減し、バックグラウンド発色を軽減し、検出感度を向上することができる、すなわち、高感度であり、高い再現性を有するものとなる、分散安定性に優れる着色セルロース微粒子の提供。【解決手段】平均粒径が10nm以上1000nm未満であり、粒径のCV値が10%未満である、着色セルロース微粒子。該着色セルロース微粒子を含む診断薬キット、並びに該着色セルロース微粒子を使用する工程を含むインビトロ診断方法。【選択図】なし

Description

本発明は、粒径の揃った着色セルロース微粒子、これを用いた診断薬キット、及びインビトロ診断方法に関する。
現在、ナイロン、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、セルロースなど数多くの高分子微粒子が様々な用途に用いられている。その具体的な用途を挙げようとすれば数限りないが、例えば、滑り性付与剤、トナー、塗料用艶消し剤、光拡散用の添加剤、包装材のブロッキング防止材、絶縁フィラー、結晶核剤、クロマトグラフィー用充填剤、研磨剤及びその他の各種添加剤等である。さらに近年では、液晶ディスプレーのスペーサー、分析機器の校正用標準粒子及び多孔膜の検定用標準粒子、診断薬用担体等の用途も拡大している。
これら高分子微粒子の中でもセルロースは、その他の合成高分子にはない様々な特徴を有している。その特徴の具体例としては(1)化学的に比較的安定であり溶解しにくいこと、(2)耐熱性を有し高温でも溶解しないこと、(3)吸水性、吸油性の両方を有する両親媒性ポリマーであること、(4)天然物由来であり、人体に対し無害であるとみなされていること、(5)賦型性、成形性を有していること、(6)蛋白質などの物質との相互作用を起こしにくく吸着を起こさないこと、(7)水酸基を多く有し化学修飾が容易であること、(8)容易に燃焼し有害物の発生がないこと、(9)生分解性のポリマーであり環境に対し無害であると見なされていること、等が挙げられる。
上記(1)〜(9)の特徴を生かしセルロース微粒子は様々な用途に適応されている。具体的な用途を記載しようとすれば数限りないが、例えば、各種分画用カラム充填剤、酵素支持体、微生物培養担体、細胞培養担体、濾材、吸着剤、医薬物賦型材、医薬物崩壊材、医薬物増量剤、増粒基材、食品用増粘調整剤、チキソ性付与材、分散安定剤、プラスチック増量剤、フィラー、化粧用ファウンデーション基材、外装塗料用改質材、コート剤、焼成法触媒製造用成型剤、繊維壁用素材、感圧複写紙用配合剤、等の多方面に及んでいる。
以下の特許文献1に記載されるように、本願発明者らは、上記セルロースの特徴と小さな粒径を併せ持つ併せ持ったセルロース微粒子を見出している。このセルロース微粒子は様々な用途への応用が期待できる。特にイムノクロマト診断において、高い発色性、迅速性、また、リガンドとの結合方法として物理吸着以外にも、化学結合など任意の方法を選ぶことができるため、様々な検査対象物質に対し応用できることなどの性能を有していることが分かっている。
しかしながら、特許文献1に記載された着色セルロース微粒子の粒径のCV値は22%以上であり、粒径が揃ったものとはいえず、また、特許文献1には、粒径のCV値と、該着色セルロース微粒子を標識として用いたイムノクロマト診断の検出感度や再現性との関係については考察されていない。
国際公開第2011/062157号
前記した従来技術に鑑み、本発明が解決しょうとする課題は、インビトロ診断方法、特にイムノクロマトにおける標識として使用する場合に、ばらつきを軽減し、バックグラウンド発色を軽減し、検出感度を向上することができる、すなわち、高感度であり、高い再現性を有するものとなる、分散安定性に優れる着色セルロース微粒子を提供することである。
本発明者らは、前記した課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、原料のセルロースを溶解させ、サイズ排除クロマトグラフィーによって分子量による分画を行った後に凝固、再度、溶解させ凝固することにより粒径が揃った微粒子を得ることに成功し、これを診断薬用担体としてイムノクロマトに適用したところ、分散安定性に優れるため、イムノクロマトキットのアッセイのバラつきを抑えることができ、さらにバックグラウンドの発色が軽減でき、高感度、高い再現性を有するイムノクロマトキットとなることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]平均粒径が10nm以上1000nm未満であり、かつ、粒径のCV値が10%未満である、着色セルロース微粒子。
[2]遠心沈降速度が0.1cm/分以上0.7cm/分以下である、前記[1]に記載の着色セルロース微粒子。
[3]前記着色セルロース微粒子の着色成分が染料である、前記[1]又は[2]に記載の着色セルロース微粒子。
[4]物理吸着によりリガンドが結合されている、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の着色セルロース微粒子。
[5]反応性活性基による化学結合によりリガンドが結合されている、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の着色セルロース微粒子。
[6]前記反応性活性基が、原子数3以上のスペーサー構造を有する、前記[5]に記載の着色セルロース微粒子。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかに記載の着色セルロース微粒子を含む診断薬キット。
[8]イムノクロマト診断キットである、前記[7]に記載の診断薬キット。
[9]前記[1]〜[6]のいずれかに記載の着色セルロース微粒子を使用する工程を含むインビトロ診断方法。
[10]イムノクロマトである、前記[9]に記載のインビトロ診断方法。
本発明に係る着色セルロース微粒子は、本粒径の均一性に優れており、かつ、該微粒子一つ一つに結合する抗体の数が均一となることで、分散安定性が向上し、イムノクロマトにおいて、目詰まりが改善し、バックグラウンドの発色の軽減が可能となる。それゆえ、本発明に係る着色セルロース微粒子は、イムノクロマト等のインビトロ診断方法における誤診の軽減と迅速性の向上を可能にする。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の着色セルロース微粒子は、平均粒径が10nm以上1000nm未満であり、かつ、粒径のCV値が10%未満であることを特徴とする。
本実施形態の着色セルロース微粒子の粒径とは、所定条件下、着色セルロース微粒子の分散体を、粒度分布測定装置を用いて測定することによって得たものを指す。また、本明細書中、用語「平均粒径」とは、上記測定値の体積平均メジアン径である。粒度分布測定装置の測定原理は特に限定されない。また、分散媒も特に制限されず、測定の際に着色セルロース微粒子を分散させるが、これを溶解しないものであればよい。
本実施形態の着色セルロース微粒子の平均粒径は、10nm以上1000nm未満であり、均一性及び凝集の少なさの観点からは、好ましくは10〜400nmである。平均粒径が1000nm以上であると、イムノクロマトキットに用いた際に展開が遅く、評価の迅速化に繋がらず、また、展開膜上に捕捉されやすくなり、バックグラウンド自体が発色してしまうことで期待する検出箇所での発色が不明瞭になる傾向にある。他方、平均粒径が10nm未満の着色セルロース微粒子を作製することは困難である。
粒径のCV(Coefficient of Variation)値(%)とは、着色セルロース微粒子の分散液の粒度分布における多分散度を体積基準で表したものであり、以下の式(1):
CV値(%)=(粒度分布測定装置より求めた体積粒度分布における標準偏差)/(粒度分布測定装置より求めた体積平均メジアン径)×100 …式(1)
によって定義される。CV値が小さいほど、粒度分布がシャープであることを示し、それだけセルロース微粒子の大きさが揃っていることを意味する。
本実施形態の着色セルロース微粒子の粒径のCV値は、10%未満であり、より好ましくは1%以上5%以下である。
本実施形態の着色セルロース微粒子の着色前のセルロース微粒子を構成するセルロースの種類は、特に限定されず、再生セルロース、精製セルロース、天然セルロース等のセルロースであることができる。しかしながら、粒径、粒径のCV値、重合度、真球度、遠心沈降速度、凝集定数等の調整の容易性の観点から、再生セルロース又は精製セルロースが好ましい。
また、本実施形態の着色セルロース微粒子の着色前のセルロース微粒子の調製方法は特に限定されるものではない。以下の実施例では、セルロースをその良溶媒に溶解し、水、有機溶媒、アンモニア等を混合した凝固液を用いることでセルロース微粒子を調製した。この方法を用いることにより得られるセルロース微粒子の粒径は、凝固液の組成によって調整することが可能となる。
セルロース微粒子の調製方法の具体例を提示すれば以下の通りである。
まず、セルロースリンターをセルロースの良溶媒に溶解させる。良溶媒として、公知の方法で調製したLiCl/DMAc(塩化リチウムとジメチルアセトアミドの混合溶液)を用いることができる。その後、溶解したセルロースの分子量を揃える。分子量を揃える方法は特に限定されるものではないが、溶解したセルロースを、サイズ排除クロマトグラフィーを用いてサイズ分画する方法が挙げられる。具体的には、原料のセルロースをLiCl/DMAcに溶解させた後、サイズ排除クロマトグラフィーによって分画することで、セルロースの分子量の多分散度を低下させる。このとき、分画を行うことによってセルロースの分子量を揃えるが、着色セルロース微粒子の粒径のCV値を10%未満にするためには、GPCによって算出した多分散度が2以下であることが好ましい。その後、セルロース溶液を凝固させ、銅アンモニア溶液に溶解させ、セルロース原料とする。凝固液としては有機溶媒+水+アンモニア混合系を主に用いる。この凝固液を、攪拌しながら、予め調製しておいた銅アンモニアセルロース溶液に、加えて、セルロースを凝固させ、さらに硫酸を加え、中和、再生を行うことで、目的のセルロース微粒子を含有したスラリーを得ることができる。得られるスラリーは、再生に用いた酸の残留により酸性であり、さらに中和で発生したアンモニウム塩などの不純物を含んでいるため、セルロース微粒子と媒体からなるセルロース分散液へと精製する操作が必要となる。精製操作として遠心分離−デカンテーション−分散媒液体による希釈の処理の繰り返しを用いることができる。この際に用いる分散媒液体の種類も特に限定されず、目的に応じて様々な親水性の溶媒を用いることが可能である。得られたセルロース微粒子の分散液中のセルロース微粒子は、精製操作の過程において凝集する場合もあるので、この場合には剪断などによる分散処理を行うことができる。また、剪断を与える手段としては高圧ホモジナイザーを用いることができる。このようにして得られたセルロース微粒子の分散体について、粒度分布測定装置を用いて、平均粒径と粒径のCV値を測定する。
本実施形態の着色セルロース微粒子の遠心沈降速度は、イムノクロマト性能を向上させるために、0.1cm/分以上0.7cm/分以下であることが好ましく、より好ましくは0.3cm/分以上0.7cm/分以下、さらに好ましくは0.3cm/分以上0.5cm/分以下である。原料となるセルロースの分子量の多分散度を小さくすれば、遠心沈降速度を小さくすることができる。
<着色方法>
本実施形態の着色セルロース微粒子の調製における着色方法も特に限定されるものではなく、着色成分として、染料、顔料、など様々なものを用いることができる。中でも発色強度を高くできる観点から、着色成分としては、染料が好ましく、直接染料、含金染料、酸性染料、反応染料、塩基性染料、分散染料、硫化染料、植物染料、ナフトール染料等、各種の染色剤を用いることができる。本実施形態においては、セルロース微粒子を濃色に染めることができ、かつ、長期間安定であるもの、すなわち湿潤堅牢度に優れたものとするため共有結合にて染着させるのが望ましいという観点から、着色成分として、反応染料を用いることが好ましい。
本実施形態の着色セルロース微粒子を構成するセルロース微粒子の単位重量当たりの表面積(比表面積)は著しく大きいため、染着量を極めて大きくすることができ、着色セルロース微粒子のうち10wt%以上が着色成分であるものを得ることもできる。しかしながら、発色性と経済性の観点から、着色成分の含有量は、着色セルロース微粒子の10wt%〜80wt%が好ましく、より好ましくは20wt%〜80wt%であり、さらに好ましくは30wt%〜80wt%である。
本実施形態の着色セルロース微粒子に対する着色成分の割合(含有量)は、着色前後の重量変化から算出することができる。着色の方法として染色を用い、その過程で、遠心分離を用いる場合、全ての微粒子を回収できない場合もあるが、この場合には回収できた微粒子の重量と染色前の微粒子の重量から着色成分の割合を算出するものとする。例えば、1.0gのセルロース微粒子を染色して2.0gの着色セルロース微粒子が得られた場合、着色成分の含有量は50wt%となる。また、必要に応じて、セルロース微粒子と着色成分を分離する操作、例えば、酸やアルカリ処理による共有結合の切断や、微粒子を膨潤させる、その他、最適な洗浄操作などによりセルロース微粒子と着色成分を分離して算出することも可能である。
<リガンド>
本明細書中、用語「リガンド」とは、特定の検査対象物質に選択的かつ特異的に結合する性質を持つ物質である。その種類は特に限定されるものではないが、例えば、抗体、抗原、酵素、遺伝子、ホルモン、細胞、核酸、ペプチド、タンパク質などが挙げられる。
<染色によるリガンドの物理吸着>
本実施形態においては、染料を用いてセルロース微粒子を濃色に染色するだけでリガンドの物理吸着が可能である。染色だけでは物理吸着性能が不十分な場合は、必要に応じてセルロースの誘導体化と組み合わせることで親水疎水バランスを調整してもよい。セルロース微粒子を濃色に染色するだけでリガンドの物理吸着が可能になる理由は明らかでないが、染色によりセルロースが疎水化されるためと推定する。一般的に、フィルムなどでは接触角を測定することで親水疎水の程度を知ることができるが、ナノ微粒子では接触角を測定することは困難である。そこでモデル的に平坦なセルロースであるセロハン(登録商標)を濃色に染色し接触角を測定したところ、未染色のセルロースの接触角が20〜30度程度であるのに対し、十分に染色したセロハン(登録商標)では、染料の染着量に比例して40〜100度にも達することが確認できた。一般的な染料は、ベンゼン、ナフタレン、アントラキノン、アゾなど疎水性が強い構造を持つ。本実施形態では、繊維の染色条件では通常考えられないような大量の染料をセルロースに結合させる結果、抗体が物理吸着できるほどの疎水化が達成できたと予想される。タンパク質定量法で一般的なローリー法を用いて、結合しているマウスIgG抗体を定量したところ、本実施形態の着色セルロース微粒子のように十分に染色されている場合、抗体の結合を確認することができた。他方、染色強度が低すぎた場合、未染色粒子との差が認められず、抗体結合量は低い傾向にあった。
<反応性活性基によるリガンドの化学結合>
本実施形態においては、リガンドの結合方法として物理吸着だけでなく化学結合を選択してもよい。一般的には、物理吸着は操作が簡便でありコストが安いというメリットがあるが、以下のような問題が発生する可能性も指摘されている。例えば、リガンドの結合部位が一定にならず反応の選択性が失われてしまう、界面活性剤の存在化で結合していたリガンドが外れてしまう、等の問題がある。そこで、それらの問題が生じないように、状況に応じてリガンドと共有結合を形成する、化学結合の方式を採ることができる。また化学結合の方式では、リガンドの結合量を物理吸着よりも更に多くすることができる場合がある。
<反応性活性基>
本実施形態の着色セルロース微粒子にリガンドを共有結合させるために、反応性活性基を用いることができる。反応性活性基の代表的な例としては、カルボキシル基、アミノ基、アルデヒド基、チオール基、エポキシ基、水酸基などが挙げられる。反応性活性基に特に制限はないが、カルボキシル基、及びアミノ基が好ましい。カルボキシル基の場合には、カルボジイミドを用いてリガンドのアミノ基と共有結合を形成することができる。反応性活性基を導入するタイミングは染色前に予め導入しておいても構わないし、染色後に導入してもよい。導入する部位としてはセルロース微粒子でも、染料部分であっても構わない。また、染料の構造の一部を反応性活性基としておいても構わない。
反応性活性基の導入の有無は、赤外分光分析装置によって確認することができる。例えば、カルボキシル基の場合、遊離酸型であれば1730cm−1前後の吸収で確認できる。また、アミノ基の場合、1級アミノ基であれば1600cm−1前後の吸収で確認できる。但し、反応性活性基の導入量を定量することは非常に困難である。これは大量の染料成分が存在するためであり、一般的な定量方法では定量することができない。本実施形態では、赤外分光分析装置で導入の有無のみを判断した。
<スペーサー構造>
反応性活性基は、原子数3以上のスペーサー構造を有することが好ましい。本願発明者らは、高度に濃色化された着色セルロース微粒子に反応性活性基を導入し、リガンドを化学結合させ、これをイムノクロマトに用いる際に、原子数3以上のスペーサー構造を有すると感度がより向上することを見出した。この理由は明らかでないが、例えば、大量に存在する染料の立体障害や電荷の影響による、リガンドと検査対象物質の間の選択的反応の妨害が、抑制されたためと推定される。
スペーサー構造とは、反応性活性基と着色セルロース微粒子との間に存在する原子を指す。かかるスペーサー構造は、反応性活性基の一部と見ることもできる。また、スペーサー構造が分岐している場合は主鎖の原子数を指すものとする。例えば、一般的に知られているカルボキシメチルセルロースはセルロースの水酸基の一部がカルボキシメチル基に置換したものである。この場合の反応性活性基はカルボキシル基であり、スペーサー構造は-CH2-、すなわち原子数1のスペーサー構造となる。
<イムノクロマト>
本実施形態の着色セルロース微粒子はイムノクロマトグラフによる免疫測定法(インビトロ診断方法)や診断薬キットに好適に用いられる。
以下、イムノクロマトグラフの代表例を説明するが、これに限るものでなく、サンドイッチアッセイ全般に適用できる。イムノクロマトグラフは、概して、被検出物質である抗原又は抗体と特異的に結合する抗体又は抗原に、金属コロイドやポリスチレン由来の着色ラテックスからなる発色微粒子(但し、本実施形態では、着色セルロース微粒子である。)を標識として予め結合させる。他方、クロマト基材上の所定箇所に、抗原又は抗体に特異的に反応する抗体又は抗原をライン状に塗布する。検査時において、前記の標識−抗体又は抗原を、被検出物質である抗原又は抗体と接触させることにより、複合体を形成させ、これをクロマト基材上で展開させるが、この複合体は、ライン状に塗布した1次抗体により捕捉が可能である(サンドイッチアッセイ)。
このとき標識物質も捕捉されるため、所定箇所での顕色が起こることになる。目視による被検出物質の有無が判定できることから、簡便な検査方法として、近年、広く普及している。また、抗原又は抗体を用いる免疫反応だけでなく、被検出物質と特異的な反応を起こすリガンドを用いることにより様々な検査が可能になる。免疫診断薬以外にも、生化学的な分析、遺伝学的な分析等、任意の分析反応など様々な分野でイムノクロマトは利用されている。
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。
まず初めに、本発明に係る着色セルロース微粒子の分散体、及び着色セルロース微粒子の測定法について説明する。特に記載のない限り全ての操作は25℃の環境下で行った。
(1)平均粒径
着色セルロース微粒子の粒径とは、着色セルロース微粒子が液体に分散し溶液を、粒子粒度分布測定装置を用いて測定して得た粒径を意味する。「平均粒径」は、測定値の体積平均メジアン径の値を指す。粒度分布測定装置には各種の測定原理を応用したものがあるが、本実施形態では、動的光散乱法による粒度分布測定装置を用い、後述するように、実施例では日機装社製の「ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150」を用いた。
(2)粒度分布(平均粒径、CV値(%))
日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150を用いて着色セルロース微粒子の分散体について粒度分布を測定した。特に記載のない限り、着色セルロース微粒子を分散させる液体として水を用い、着色セルロース微粒子の濃度は約0.1wt%で測定した。体積平均メジアン径を平均粒径とし、CV値(%)は、以下の式(1):
CV値(%)=(粒度分布測定装置より求めた体積粒度分布における標準偏差)/(粒度分布測定装置より求めた体積平均メジアン径)×100 …式(1)
により算出した。
(3)多分散度
着色セルロース微粒子を構成するセルロースの分子量分布の多分散度とは、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を用いて(Mw/Mn)で表され、1に近いほど分子量分布が揃っていることを表す。これらの分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(東ソー(株)製 TSK gel-α-M)で測定する。また、セルロース微粒子の調製方法において原料セルロースをサイズ排除クロマトグラフィーで分画することによって多分散度を1に近い値にすることが可能である。
(4)発色強度
発色強度とは、着色セルロース微粒子の分散液を光路長10mmとして、400nm〜800nmの範囲で積分球を用いた可視吸光度測定を行い、分散媒のバックグラウンド成分を差し引くことで、分散基質自体の吸光度曲線を得、その最大値(ABS)を分散基質の重量パーセントで割り返し、0.01wt%当りで算出した値として定義する。積分球を用いることで、粒子の散乱光の影響を低減させることができるため、得られた値は微粒子の発色度合いの指標足り得、この数値が大きいほど発色が明瞭であると判断できる。本実施形態の着色セルロース微粒子の発色強度は1.0以上であるが、大きい程好ましい。発色強度を増大させるには、分散する染料や顔料として発色が高いものを用いるか、染色回数を増やすなどの手段を選択することができる。しかしながら、発色強度を5.0以上にするためには、一般的な染料を用いた数回の染色では到達できないため、経済性を考慮すれば発色強度は1.0〜5.0であり、より好ましくは1.5〜5.0であり、さらに好ましくは2.0〜5.0である。発色強度が1.0より小さい場合は、発色が弱いため、イムノクロトキットに用いた際に検出部位の視認性に劣り、検査結果の信頼性を損ねてしまう。
(5)遠心沈降速度
遠心沈降速度とは分散安定性の指標である。遠心沈降速度は以下のように測定した。着色セルロース粒子10mgを13ml(水面の高さが10cm)の水中で、超音波ホモジナイザーで1分間分散させ10000×gで遠心分離を行い、上清が完全に透明になるまでの時間を測定、水の高さ10cmを時間で割ることで、遠心沈降速度cm/minを算出した。この値が小さいほど分散性が優れることを表している。
[実施例1]
セルロースリンター(粘度平均分子量1.1×10)を既報の方法でLiCl/DMAcに溶解させた後、サイズ排除クロマトグラフィー(東ソー(株)製 TSK gel-α-M)を用いてセルロースの分子量の多分散度を1.8になるまで分画し水に析出した後、再度銅アンモニア溶液に溶解させ、さらに水及びアンモニアで希釈して、セルロース濃度0.37wt%の銅アンモニアセルロース溶液を調製した。この銅アンモニアセルロース溶液の銅濃度は0.13wt%、アンモニア濃度は1.00wt%であった。さらにアセトン濃度26.5wt%、アンモニア濃度0.20wt%、水濃度73.3wt%の凝固液を調製した。マグネティックスターラーを用い凝固液5000gをゆっくり攪拌しながら、予め調製しておいたセルロース濃度0.37wt%の銅アンモニアセルロース溶液500gを添加した。5秒程度攪拌を継続した後に10wt%の硫酸1000gを加え中和、再生を行い、目的のセルロース微粒子を含有したスラリー26500gを得た。得られたスラリーを10000rpmの速度で10分間遠心分離した。沈殿物をデカンテーションにより取り出し、脱イオン水を注入して攪拌し、再び遠心分離した。pHが7.0になるまでこの操作を数回繰り返し、その後、高圧ホモジナイザーによる分散処理を行い、セルロース微粒子分散体150gを得た。またそのセルロース微粒子分散体を凍結乾燥することでセルロース微粒子を得た。尚、全ての操作は25℃の環境下で行った。
<セルロース微粒子の染色(着色)>
次に、前記のようにして調製したセルロース微粒子の染色を行った。微粒子濃度を1.0wt%に調整したセルロース微粒子の分散体100gに対し、硫酸ナトリウム30g、反応性染料としてダイスター株式会社製 Levafix Navy CA Gr.(登録商標)(以下、青系Aともいう。)1g、を加え攪拌させながら恒温槽を用いて60℃まで昇温した。60℃に昇温後に炭酸ナトリウム4gを加え、2時間染色を行った。続いて得られた粗染色微粒子を水酸化ナトリウム5wt%水溶液で洗浄し、遠心分離で回収、純水にて水洗した後遠心分離で回収するという一連の操作を1サイクルとし、同様の操作を計3サイクルまで実施し、着色セルロース微粒子を得た。また、着色セルロース微粒子の分散体をマイクロフルイディックス社製油圧式超高圧ホモジナイザーM−110−E/Hを用いて分散処理した。その際の処理圧力は50MPaであり、高圧部であるチャンバーを10回通す操作を行った。
[実施例2]
凝固液として、テトラヒドロフラン濃度90wt%、水濃度10wt%を用いた以外は、実施例1と同様に、セルロース微粒子、及び着色セルロース微粒子を得た。
[実施例3]
凝固液として、テトラヒドロフラン濃度95wt%、水濃度5wt%を用いた以外は、実施例1と同様に、セルロース微粒子、及び着色セルロース微粒子を得た。
[比較例1]
原料のセルロースリンターを、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて分画せずに、そのまま用いた以外は、実施例1と同様に、セルロース微粒子、及び着色セルロース微粒子を得た。
[比較例2]
原料のセルロースリンターを、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて分画せずに、そのまま用いた以外は、実施例2と同様に、セルロース微粒子、及び着色セルロース微粒子を得た。
[比較例3]
原料のセルロースリンターを、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて分画せずに、そのまま用いた以外は、実施例3と同様に、セルロース微粒子、及び着色セルロース微粒子を得た。
[比較例4]
原料のセルロースリンターを、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて分画せずに、そのまま用いた以外は、実施例4と同様に、セルロース微粒子、及び着色セルロース微粒子を得た。
[比較例5]
原料のセルロースリンターを、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて分画する際に、セルロースの分子量の多分散度が2.4となるように分画した後、析出、再度銅アンモニア溶液に溶解させたものを原料として用いた以外は、実施例2と同様に、セルロース微粒子、及び着色セルロース微粒子を得た。
[比較例6]
比較例2と同様に着色セルロース微粒子の分散液を調製し、さらにミリポア社製ポリカーボネートフィルター「アイソポア」孔径0.4μmを用いて減圧濾過を行った。
濾過後の着色セルロース微粒子の平均粒径は347nm、CV値は11%、濾過後のセルロース微粒子はCV値が濾過前より小さくなっているものの、10%未満とすることはできなかった。
実施例1〜4、比較例1〜6で得た着色セルロース微粒子の平均粒径、粒径のCV値、発色強度を測定した。また、実施例1〜4、比較例1〜6の着色セルロース微粒子を用いて、以下の方法で、イムノクロマトグラフ用のキットを作製し、以下の性能評価を実施した。これらの測定、性能評価結果を以下の表1に示す。
<物理吸着による抗体結合着色セルロース微粒子の調製>
実施例1〜4、比較例1〜6で得た着色セルロース微粒子をリン酸緩衝液(以下、「PBS」という。)により、固形分濃度が1重量%となるように希釈し、得られた1重量%着色セルロース粒子リン酸緩衝液懸濁液1mlと、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(以下「hCG」という)に対するマウス由来のモノクローナル抗体(MedixBiochemica社製#5014抗hCG抗体)をPBSで100μg/mlに希釈して得られた抗体希釈液1mlとをエッペンドルフ遠沈管に採り、室温で2時間振とうして、着色セルロース粒子にモノクローナル抗体を結合させ、次いで、0.1重量%の濃度で牛血清アルブミン(以下、BSAという。)を含有するPBSを用いて3回、遠心洗浄し、最終的に2mlとなるように再分散させることにより、抗体結合着色セルロース微粒子分散液を得た。
<クロマトグラフ基材(メンブレン)の調製>
市販メンブランフィルター(ミリポア社製HF120、25mm×300mm)の一方
の端(以下、この一方の端はストリップの下端となる、他の一方の端はストリップ上端と
なる)から7mmの位置に液体噴射装置を用いて展開方向に垂直、すなわちメンブレン長
辺に平行に、テストライン用の抗体を幅約1mmとなるよう噴射印刷した。より詳しくは
テストライン抗体として、マウス由来の抗hα−サブユニット抗体(MedixBioc
hemica社製#6601)を用い、PBSにて0.5mg/mlに調整したものを、
1.0μL/cmとなるよう噴霧した。また、同様に下端から12mmの位置にはコント
ロールライン用の抗体を幅1mmで噴射印刷した。より詳しくはコントロールラインとし
て、ウサギ由来の抗マウス抗体(Daco社製Z0259)を用い、PBSにて0.5m
g/mlに調整したものを、1.0μL/cmとなるよう噴霧した。各々の抗体を噴霧し
た後、1時間乾燥させ、ついで乳性カゼインを含むホウ酸緩衝液を用いたブロッキングを
行い、スクロースを含むTris−HCl緩衝液を用い洗浄を行い、室温で一晩定着をさ
せることで、クロマト用メンブレンを調製した。
<クロマト評価サンプル作製>
得られた、各実施例、比較例記載の染色粒子を用いたクロマト用メンブレンに、20×
300mmの濾紙性の吸収パッドを上端から5mmの間が重なるように長辺どうしで接触
させたのち、ギロチンカッターで5mm巾ごとに切断することでサンプルを作製した。単
純計算で60サンプルできることになる。
<クロマトグラフ評価>
[イムノクロマト診断キットの検出限界の測定]
5mm幅にカットしたイムノクロマト診断キットをプラスチックのハウジングに入れた。得られたハウジング入りの診断キットを、浜松ホトニクス社製のイムノクロマトリーダーC10066−10を用い測定した。検査対象物質にはヒト絨毛性ゴナドトロピン(以下「hCG」という。)を用い、hCGを、1重量%の牛血清アルブミン(以下「BSA」という。)を含む66mM、pH7.4のリン酸緩衝液(以下「PBS」という。)で希釈し、hCG濃度を3.20mIU/ml、1.60mIU/ml、0.80mIU/ml、0.60mIU/ml、0.50mIU/ml、0.25mIU/ml、0.125mIU/ml、0.100mIU/mlと段階的に薄くしていった陽性検体を調製した。この陽性検体120μlを診断キットのサンプル滴下部に滴下し、15分経過後のテストライン(TL)の発色強度をイムノクロマトリーダーで測定した。この測定を各濃度で5回行い、得られた値の平均値が陰性検体を測定した時の値+20mABS以上の場合は陽性判定、以下の場合は検出限界以下と見なした。この陽性判定が得られる下限のhCG濃度を検出限界とした。
[イムノクロマトキットのバックグラウンド評価]
凝集の有無の評価に用いた同一のキットについて、15分経過後のTLの2mm上流側のバックグラウンド強度と2mm下流側のバックグランウンド強度をイムノクロマトリーダーC10066(商品名、浜松フォトニクス社製)で測定した。その平均値をバックグラウンド強度とし、数値が高いほどバックグラウンドが悪化していると判断した。
[イムノクロマト診断キットの再現性の測定]
前記と同様に120μlの陽性検体を診断キットのサンプル滴下部に滴下し、15分経過後のTLの発色強度をイムノクロマトリーダーで測定した。この測定を20回行い、得られた値の平均値をTL強度、その標準偏差をTL強度標準偏差とした。再現性を表す指標%CVは下記式(2):
%CV=TL強度標準偏差/TL強度×100・・・式(2)
により算出した。
Figure 2020125909
実施例1〜4、比較例1〜6の全てにおいて、コントロールラインの発色が認められた。
実施例1、2、3、4において顕色10分後のTL強度、TL強度の標準偏差は、それぞれ、比較例1、2、3、4に比較して向上した。また、再現性も、実施例1、2、3、4において、それぞれ、比較例1、2、3、4に比較して向上した。また、検出限界濃度も、実施例1、2、3、4において、それぞれ、比較例1、2、3、4に比較して向上した。さらにバックグラウンドの評価も、実施例1、2、3、4において、それぞれ、比較例1、2、3、4に比較して向上した。このことから、幅広い粒径において粒子のCV値を低下し、さらに分散安定性を向上させることによって、イムノクロマトにおける、検出強度、再現性、感度、バックグラウンドの発色が向上することが分かる。また、比較例5では、粒径のCV値が10%を超えており、CV値が9%である実施例2に比較して性能が低下している。このことから、粒径のCV値は10%以下の時に大きくイムノクロマト性能を向上させることが分かる。
以下の実施例5〜8では、物理吸着に代えて、反応性活性基(カルボキシル基)を導入することにより、着色セルロース微粒子に抗体を結合させた。
[実施例5]
実施例1で得た着色セルロース微粒子の分散液の一部に純水、イソプロピルアルコール(和光純薬社製、試薬特級)を加え、分散媒体のイソプロピルアルコール:水の比が85:15となり、かつ、分散媒体中の粒子濃度が0.50wt%になるようにした。得られた着色セルロース微粒子の分散液20gを回転子と共に試験管に入れ、ガラス製還流管を取り付けた。約10℃の水道水を還流させ冷却しながら、着色セルロース微粒子分散液が50℃となるようウォーターバスにて30分間加熱した。尚、加熱はマグネティックスターラーを用いて緩やかに攪拌させながら行った。その後、40wt%の苛性ソーダ溶液74mgを攪拌しながら加え、さらに30分間攪拌を継続し、その後、クロロ酢酸ナトリウム(和光純薬社製)216mgを加えた。3時間の間、攪拌、および還流を継続し、カルボキシル基の導入を行った。3時間経過後、ウォーターバスによる加熱を止め、ナス型フラスコを氷水で冷やし、反応後スラリーの温度が20℃になるまで冷却した。冷却後に攪拌を継続しながら、10wt%塩酸を1.0g加えて反応後スラリーのpHを酸性にした。微粒子の洗浄と同様に遠心分離機を用いて、デカンテーション−脱イオン水による希釈を数回繰り返し、pHを6.0〜7.0とし、さらに高圧ホモジナイザーによる分散処理を行い、カルボキシル化着色セルロース微粒子分散液を得た。得られた分散液について平均粒径、粒径のCV値、遠心沈降速度、発色強度を測定した結果を、イムノクロマト性能評価結果とともに、以下の表2に示す。
[実施例6]
反応性活性基を導入する着色セルロース微粒子として実施例2で作製したものを用いた以外は、実施例5と同様に反応性活性基を導入した着色セルロース微粒子を作製した。
[実施例7]
反応性活性基を導入する着色セルロース微粒子として実施例3で作製したものを用いた以外は、実施例5と同様に反応性活性基を導入した着色セルロース微粒子を作製した。
[実施例8]
反応性活性基を導入する着色セルロース微粒子として実施例4で作製したものを用いた以外は、実施例5と同様に反応性活性基を導入した着色セルロース微粒子を作製した。
<化学結合による抗体結合着色セルロース微粒子の調製>
2-モルホリノエタンスルホン酸(和光純薬社製)、苛性ソーダ、純水を用いてpHが5.2であり濃度が50mMの2-モルホリノエタンスルホン酸緩衝液(以下、「MES」という)を調製し、更に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(和光純薬社製、以下カルボジイミドという)をMES緩衝液に溶解させ、カルボジイミド濃度が20wt%となるよう調整した。実施例5〜8で得たカルボキシル化染色微粒子を、遠心分離機を用いて沈降させた後、前記MES緩衝液に再分散させ固形分濃度が1重量%となるように濃度を調整し、カルボキシル化着色セルロース微粒子MES緩衝液分散体を得た。カルボキシル化着色セルロース微粒子MES緩衝液分散体10gに対し、20wt%のカルボジイミド溶液1gを加え、恒温振盪槽を用い25℃の環境下で1時間反応させ、反応終了後に10,000rpmの速度で30分間遠心分離を行った。沈殿物をデカンテーションにより取り出し、リン酸緩衝液を加えて攪拌し、カルボジイミド活性化着色セルロース微粒子をリン酸緩衝液に分散させた。微粒子の洗浄と同様に遠心分離機を用いて、デカンテーション−リン酸緩衝液よる希釈を3回繰り返し、未反応のカルボジイミドを除去した。得られたカルボジイミド活性化着色セルロース微粒子を用い、物理吸着による抗体結合染色微粒子の調製と同様の手順で化学結合による抗体結合着色セルロース微粒子を調製した。
<クロマトグラフ評価>
実施例5〜8で得た化学結合による抗体結合着色セルロース微粒子のイムノクロマト用微粒子としての評価を行った。評価は前記と同様の手順で行った。
Figure 2020125909
実施例5〜8において、それぞれ、実施例1〜4に比較してTL強度、再現性、検出限界濃度、バックグラウンドについて向上が認められた。このことから、本発明の粒子は化学結合によるリガンド担持も可能であることが分かった。
本発明に係る着色セルロース微粒子は、本粒径の均一性に優れており、かつ、該微粒子一つ一つに結合する抗体の数が均一となることで、分散安定性が向上し、イムノクロマトにおいて、目詰まりが改善し、バックグラウンドの発色の軽減が可能となる。それゆえ、本発明に係る着色セルロース微粒子は、イムノクロマト等のインビトロ診断方法における誤診の軽減と迅速性の向上を可能にする。

Claims (10)

  1. 平均粒径が10nm以上1000nm未満であり、かつ、粒径のCV値が10%未満である、着色セルロース微粒子。
  2. 遠心沈降速度が0.1cm/分以上0.7cm/分以下である、請求項1に記載の着色セルロース微粒子。
  3. 前記着色セルロース微粒子の着色成分が染料である、請求項1又は2に記載の着色セルロース微粒子。
  4. 物理吸着によりリガンドが結合されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色セルロース微粒子。
  5. 反応性活性基による化学結合によりリガンドが結合されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色セルロース微粒子。
  6. 前記反応性活性基が、原子数3以上のスペーサー構造を有する、請求項5に記載の着色セルロース微粒子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の着色セルロース微粒子を含む診断薬キット。
  8. イムノクロマト診断キットである、請求項7に記載の診断薬キット。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の着色セルロース微粒子を使用する工程を含むインビトロ診断方法。
  10. イムノクロマトである、請求項9に記載のインビトロ診断方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022163124A1 (ja) * 2021-01-29 2022-08-04 東洋濾紙株式会社 イムノクロマトアッセイ用メンブレン、イムノクロマトアッセイ用テストストリップ、および検査方法

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