JPH0961433A - 血液凝固時間測定用乾燥試薬 - Google Patents

血液凝固時間測定用乾燥試薬

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JPH0961433A
JPH0961433A JP21506395A JP21506395A JPH0961433A JP H0961433 A JPH0961433 A JP H0961433A JP 21506395 A JP21506395 A JP 21506395A JP 21506395 A JP21506395 A JP 21506395A JP H0961433 A JPH0961433 A JP H0961433A
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blood coagulation
reagent
coagulation time
measuring
concentration
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JP21506395A
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Shin Watanabe
伸 渡辺
Takashi Maehara
喬 前原
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗凝固剤を含む血しょうまたは血液検体と混
合し血液凝固反応を行ったときにもカルシウムイオンの
不足を生じず、従来必要であった血液検体の希釈をする
ことなく安定で精度良く測定を行う血液凝固時間測定用
乾燥試薬。 【解決手段】 牛脳あるいはウサギ脳等由来の組織トロ
ンボプラスチン、塩化カルシウム等のカルシウム塩、四
三酸化鉄等の磁性粒子および牛等由来の吸着血漿を主構
成成分とする血液凝固時間測定用乾燥試薬において、当
該試薬中に含まれるクエン酸等の抗凝固剤の濃度が1m
M以下であることを特徴とする前記乾燥試薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は臨床検査に使用され
る凝固因子活性を測定するための血液凝固時間測定乾燥
試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】血液の凝固能は様々な疾患、抗凝固剤、
あるいは外傷などにより大きく影響されることがわかっ
ている。たとえばビタミンKは肝臓で合成されるため、
肝臓に疾患を持つ場合には、ビタミンKの作用によって
活性化される血液凝固第II、VII、X因子の活性が
低下する。そのため血液の凝固能の測定を行い、これら
の血液凝固因子の活性を調べることが行われる。また、
外科手術時には血液の凝固能を一定の範囲に低下させる
ためにヘパリン等の薬剤を投与することが行われる。こ
の時も血液の凝固能を測定することによりヘパリン等の
投与量をコントロールすることが行われる。
【0003】人、動物の血液凝固能を測定する方法とし
て様々な方法が用いられている。例えば、血液凝固時間
の測定、各血液凝固因子の定量などがある。この中で血
液凝固時間の測定はその簡便さから広く普及している。
【0004】血液凝固反応は何段もの反応が順次に起き
るカスケード反応である。血液凝固因子の濃度が低いと
その血液凝固因子が関与する反応に要する時間が長くな
る。そのため血液の凝固時間を測定し正常人の凝固時間
と比較することにより血液凝固因子の濃度の異常を知る
ことができる。そのため、血液凝固反応の引き金となる
物質を測定したい血漿試料あるいは全血試料(以下血液
試料と呼ぶ)と混合し、その凝固時間を測定すれば血液
凝固因子の不足の有無を、さらに血液凝固能を知ること
ができる。この原理を用いた血液凝固能の測定項目とし
てプロトロンビン時間法(PT)、活性化部分トロンビ
ン時間法(APTT)などがある。
【0005】さらに、血液凝固反応の引き金となる物質
と共に、吸着血漿と呼ばれる、特定の血液凝固因子を取
り除いた血漿を血液試料と混合し凝固時間を測定するこ
とにより、吸着血漿に存在しない血液凝固因子だけの量
を凝固時間として測定することができる。この方法を利
用した血液凝固能の測定項目としてトロンボテスト、ヘ
パプラスチンテストと呼ばれるものがある。これらの測
定項目の試薬は吸着血漿に含まれない血液凝固第II,VI
I,X因子の欠乏による血液の凝固時間の延長を測定する
ことができる。
【0006】ところで、従来用いられてきたこれらの血
液凝固時間の測定方法は、主に溶液状の試薬を用いた測
定方法であり現在も広く使用されている。この方法は、
まず溶液状の試薬を調整し、これに血液試料を添加して
反応させ、該反応液の濁度変化あるいは粘度変化を測定
して凝固を判定する方法である。
【0007】たとえば、トロンボテスト測定試薬を例に
とって説明すれば以下のとおりである。主成分として組
織トロンボプラスチン、牛吸着血漿、カルシウム塩を含
むもので、凍結乾燥された形で市販されている。該乾燥
品血液凝固時間測定試薬を水溶液にした血液凝固時間測
定試薬溶液を調製しておき、予備加温しておく。次に、
同じく予備加温しておいた血液試料に、該血液凝固時間
測定試薬を混合し、混合開始直後から濁度変化あるいは
粘度変化を測定し始める。フィブリンの析出により血液
試料と血液凝固時間測定試薬の混合物が凝固を開始する
と、濁度あるいは粘度が変化し、これが起きるまでの時
間を測定して凝固時間を求める。上記のようにして求め
た凝固時間が血液凝固時間測定試薬の凝固時間である。
この時間は用いた血液凝固時間測定試薬が測定しようと
する血液凝固因子の活性に応じて変化し、活性が低いほ
ど時間は延長する。
【0008】一方、近年乾燥試薬を用いた簡便な血液凝
固アッセイシステムが開発された(特表平3−5040
76号公報)。該アッセイシステムの原理は、血液凝固
試薬に磁性粒子を含有させた乾燥状態の試薬を作成し、
概血液凝固時間測定用乾燥試薬に血液試料を添加し、そ
の直後に振動磁場と静止磁場の組み合わせから成る磁場
中に置いて磁性粒子を運動させ、同時にこの磁性粒子の
運動シグナルを光学的に測定して凝固を検知するもので
ある。上記公報には、該システムを使用し、種々の血液
凝固時間測定用乾燥試薬が示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この技術を応
用して血漿成分を含有する血液凝固時間測定用乾燥試薬
を調製した場合に、測定する血液試料を予めpH緩衝液等
で希釈しなければ測定することができないという欠点が
あった。このため測定手順が非常に煩雑になり非効率
的、また希釈液のコストがかかるなどの欠点を有してい
た。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために日夜鋭意研究した。その結果、驚くべき
ことに血液凝固時間測定用乾燥試薬中の抗凝固剤の濃度
が1mM以下のときに希釈を行なわなくても測定が可能
であることを見いだし、本発明を完成した。
【0011】すなわち本発明は、組織トロンボプラスチ
ン、カルシウム塩、磁性粒子および吸着血漿を主構成成
分とする血液凝固時間測定用乾燥試薬において、当該乾
燥試薬中に含まれる抗凝固剤の濃度が1mM以下である
ことを特徴とする前記乾燥試薬である。
【0012】本発明の血液凝固時間測定乾燥試薬中の各
構成成分の含量は任意に決定すればよいが、以下の説明
では血液試料25μlに対して使用される代表的数値を
例示する。
【0013】本発明の組織トロンボプラスチンとは、牛
脳、兎脳等から抽出された血液凝固因子であり、血液試
料の凝固を開始させる成分である。一般に組織トロンボ
プラスチンは2×10-8〜2×10-3gで使用される
が、血液凝固反応の進行がより安定する点から2×10
-6〜2×10-4gが好適である。
【0014】本発明のカルシウム塩は血液凝固反応に必
須のカルシウムイオンの供給源であり、例えば塩化カル
シウムや乳酸カルシウム等が具体的に挙げられる。一般
に該カルシウム塩は1.1×10-6〜2.2×10-4g
で使用されるが、血液凝固反応の進行がより安定する点
から1.1×10-6〜1.2×10-4gが好適である。
【0015】本発明の吸着血漿はヒト、牛等の血液から
遠心処理等により血球を除き、さらに血液凝固時間測定
試薬で測定を行いたい血液凝固因子を除去して調製した
ものである。血液凝固因子を除去するためには、例えば
硫酸バリウム粉末で吸着除去する方法、除去したい血液
凝固因子に特異的に吸着する抗体を担持させた担体を用
いて吸着除去する方法などがある。一般に吸着血漿は8
×10-5〜1.5×10-3gの範囲で使用されるが、血
液凝固反応の進行がより安定する点から2×10-4〜6
×10-4gが好適である。
【0016】本発明の磁性粒子はその運動シグナルで血
液凝固時間測定乾燥試薬と血液試料との混合液の粘度上
昇および低下をモニターするためのものである。好適に
用いられる例を例示すれば、四三酸化鉄粒子、三二酸化
鉄粒子、ニッケル粒子、コバルト粒子等の強磁性体があ
る。得られるシグナルの強度が大きく安定している点か
ら四三酸化鉄粒子が特に好ましい。磁性粒子の大きさは
一般に平均粒子径10μm以下が使用されるが、得られ
るシグナルの強度がより大きい点から平均粒子形0.4
〜0.9μmである粒子が好適に使用できる。磁性粒子
の含量は通常2×10-6〜1×10-3gで使用される
が、血液凝固反応の進行がより安定する点から2×10
-5〜6×10-4gが好適である。
【0017】本発明の血液凝固時間測定乾燥試薬には、
必要であれば上記以外の物質も添加することが可能であ
る。例えば、試薬中のpHを一定に保つためのpH緩衝
剤、凍結乾燥後の血液試料に対する溶解性を増すための
溶解補助剤を任意に添加することができる。
【0018】本発明の対象とする血液凝固時間測定用乾
燥試薬において、主に原料として用いられる上述の吸着
血漿から抗凝固剤が混入する。当該抗凝固剤は、原料と
して用いられる吸着血漿が保存中に血液凝固反応を起こ
さないために添加されており、一般にカルシウムキレー
ト剤であるクエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウムな
どが使用されている。抗凝固剤が血液凝固反応に必須の
成分であるカルシウムとキレート(錯体)を生成するこ
とによりその役割を果たす。混入している抗凝固剤の濃
度は一般に10mM程度である。これは測定時には数mMの
濃度となる。さらに測定する血液試料にも一般に抗凝固
剤約10mMが添加されており、測定時の血液試料と混合
された試薬中の抗凝固剤濃度は15〜20mM程度とな
る。そのため吸着血漿をそのまま使用すると抗凝固剤と
カルシウムイオンのキレートが生成し、カルシウムイオ
ンの不足をまねき、血液凝固反応が阻害される。不足す
るカルシウムイオンを補給するために大過剰のカルシウ
ム塩を試薬に添加するとイオン強度が増大し、やはり血
液凝固反応は阻害されるという不具合を生じる。そのた
め抗凝固剤の濃度を小さくするのが最善の手段であると
本発明者らは考えた。
【0019】測定する血液試料に含まれている抗凝固剤
の量は一般に一定の濃度である。例えば、クエン酸を抗
凝固剤として用いる場合には3.13%あるいは3.8
%になるように添加することが一般に行なわれている。
もちろん、血液試料により若干のばらつきはあるが、本
発明の血液凝固時間測定用乾燥試薬中の抗凝固剤の濃度
を1mM以下とすることにより、測定する血液試料中に
含まれている抗凝固剤の影響の少ない正確な測定を行な
うことができる。
【0020】本発明の血液凝固時間測定用乾燥試薬の原
料である吸着血漿中の抗凝固剤濃度を1mM以下にする
方法としては吸着による方法、透析による方法など公知
のさまざまな方法を用いることができるが、一般に透析
が好適に用いられる。たとえば、セルロースチューブに
吸着血漿を入れ、両端をふさぎ、任意の成分の緩衝液中
に数時間放置することにより、セルロースチューブ中の
吸着血漿に含まれる抗凝固剤の濃度を低減させることが
できる。このとき、透析後の吸着血漿に含まれる抗凝固
剤の濃度は、透析を行う時間、緩衝液中の塩濃度やpH、
緩衝液と吸着血漿の体積比などにより制御することがで
きる。また、透析は原料である吸着血漿に対して行うほ
かに、組織トロンボプラスチン、カルシウム塩、磁性粒
子、吸着血漿などの混合物に対して行い、抗凝固剤の濃
度を低減させることもできる。
【0021】本発明の血液凝固時間測定試薬として特に
好適な例を例示すれば、血液試料25μlに対して組織
トロンボプラスチン2×10-4g、カルシウム塩として
乳酸カルシウム8×10-5g、ウシ吸着血漿5×10
-4g、平均粒径0.5μmの四三酸化鉄粒子2×10-4g
を主構成成分とした時に、抗凝固剤濃度が0.1mM以下
の血液凝固時間測定試薬である。
【0022】本発明の血液凝固時間測定試薬の調製方法
は特に限定されないが、上記必須成分を含む水溶液を血
液凝固時間測定試薬溶液として調製した後、反応スライ
ドに一定量分注し、凍結乾燥する方法が一般的である。
【0023】血液凝固時間測定乾燥試薬を分注する上記
反応スライドの材質は、血液凝固時間測定時、血液試料
と血液凝固時間測定乾燥試薬からなる反応液の粘度上昇
を磁性粒子の運動シグナルの減衰として光学的にモニタ
ーできるものであれば特に限定されず、好適に使用でき
るものとしてはポリエチレンテレフタレートなどのポリ
エステル類、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロ
ピレンなどのポリオレフィン類、ナイロン66などのポ
リアミド類がある。
【0024】反応スライドの例示をすれば、図1および
図2に示すことができる。図1は反応スライドを上方か
ら見た図である。図1の点線で囲んだ部分が血液凝固時
間測定乾燥試薬用溶液分注口と血液試料添加口とからな
る主要部である。主要部の構造を詳しく示したのが図2
である。通常白色のポリエステル板Cに透明色のポリエ
ステル板を張り合わせ、次にBの上にさらに透明色のポ
リエステル板Aを張り合わせることで、主要部を構成す
る。
【0025】前述の血液凝固時間測定乾燥試薬溶液を図
1に示す分注口から入れると、Dの部分に該溶液が充填
される。続いて、凍結乾燥または風乾することにより試
薬成分を反応スライド中に保持し、本発明の血液凝固時
間測定乾燥試薬が作製できる。
【0026】本発明の血液凝固時間測定乾燥試薬の調製
方法は特に限定されないが、例を挙げれば、前出の組織
トロンボプラスチン、吸着血漿およびカルシウム塩を含
む溶液を調製し、これに磁性粒子を添加し、必要であれ
ばさらに添加剤を加え血液凝固時間測定乾燥試薬溶液を
調製した後、該溶液を所定の反応スライドに一定量分注
して乾燥することにより行うことができる。
【0027】血液凝固時間測定乾燥試薬作成時の凍結方
法は、血液凝固時間測定乾燥試薬溶液の凍結する温度以
下で凍結すれば、特に限定することなくどんな方法をも
用いることができる。その例を挙げれば、血液凝固時間
測定乾燥試薬溶液を分注した反応スライドを冷凍庫にい
れ、凍結する方法がある。
【0028】乾燥方法は、凍結乾燥あるいは風乾のどち
らでも用いることができるが作製後の血液凝固時間測定
乾燥試薬の溶解性が均一にできる点から、凍結乾燥が好
適である。凍結乾燥方法を例示すると、真空状態で温度
を−40℃から30℃まで48時間で上昇させて凍結乾
燥する方法が使用できる。
【0029】本発明の血液凝固時間測定乾燥試薬での血
液凝固時間の測定は、粘度変化を検知あるいは濁度変化
を検知することなどにより行うことができる。好適には
血液凝固時間測定乾燥試薬に一定量の血液試料を滴下
し、すぐに振動磁場と静止磁場の組み合わせから成る磁
場中に置いて磁性粒子を運動させ、同時に血液凝固時間
測定乾燥試薬中に含まれる磁性粒子の運動シグナルを光
学的にモニターして凝固を検知する方法で行うことがで
きる。この様な測定は、市販の血液凝固時間測定装置で
ある商品名CG−01[(株)A&T販売]や商品名C
OAG1[和光純薬工業(株)販売]等を使用して行う
ことができる。
【0030】上記の方法で血液凝固時間を測定すると
き、凝固点は血液凝固時間測定乾燥試薬中の磁性粒子の
運動シグナルの大きさの変化を元に判断することができ
る。凝固点としては、運動シグナルの大きさの減衰速度
が最大になる点、あるいはシグナルの大きさがその最大
値に対して任意の割合まで減衰した点等が採用される。
得られる凝固時間の再現性がより良好であることから、
シグナルの大きさの減衰速度が最大になる点が好適に使
用される。
【0031】
【作用】本発明の血液凝固時間測定用乾燥試薬は含有す
る抗凝固剤の濃度が低い。そのため抗凝固剤を含有する
血液試料と混合し、反応させたときにも、試薬中のカル
シウムイオンのすべてが血液試料中の抗凝固剤とキレー
トを形成することはなく、血液凝固反応を進行させるの
に十分な濃度のカルシウムイオンが存在することができ
る。そのため血液試料の希釈を行なわなくても測定が可
能になったと考えられる。
【0032】
【実施例】本発明を具体的に説明するために実施例を以
下に示すが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定
されるものではない。
【0033】実施例1〜10 表1に示した組成の四三酸化鉄粒子懸濁液を調製し、こ
れを図1に示された構造の反応スライドに25μlづつ
分注した。クエン酸濃度の調製は懸濁液をセルロースチ
ューブに入れ、表に示された濃度の乳酸カルシウム、各
種濃度クエン酸を含有するHEPES緩衝液に3時間以上浸
せきすることにより行なった。なお、表中に記載はない
が、四三酸化鉄は平均粒径0.5μmのものを使用し
た。反応スライドを凍結乾燥機に入れ、−40℃で10
時間静置し、その後凍結乾燥を開始した。凍結乾燥は真
空状態で温度を−40℃から30℃まで48時間で上昇
させることにより行なった。凍結乾燥後の血液凝固時間
測定用乾燥試薬は、デシケータ中で4℃にて保存し、測
定前に室温に戻してから測定を行なった。
【0034】標準曲線作製用測定検体として、ヒト標準
血漿((株)国際試薬:トロンボテスト活性値100
%)を用い、これを生理食塩水で2倍、4倍、8倍に希
釈し、トロンボテスト活性値を100%、50%、25
%、12.5%に調整した。なお、トロンボテスト活性
値とは、正常人の血液凝固能を100%として示す表示
方法であり、トロンボテスト測定では一般に用いられて
いるものである。
【0035】測定はCG-01((株)エイアンドティー販
売)を用いて行なった。取り扱い説明書に従い、血液凝
固時間測定用乾燥試薬にセットし試料を血液凝固時間測
定用乾燥試薬に25μl添加した。試料添加後の磁性粒
子の運動を反射散乱光の変化として測定すると、このシ
グナル強度は凝固に伴う粘度の増加に従い急激に小さく
なる。試料添加直後から図3に示したようにこのシグナ
ル強度の減衰速度が最大になる変曲点までを凝固時間と
し、結果を表2、図4、図5、図6、図7、図8に示し
た。
【0036】図4、図5、図6、図7、図8により、ク
エン酸濃度が1mM以下ではトロンボテスト活性値が増加
するにつれ、凝固時間が単調短縮する傾向があることが
示された。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】比較例1〜10 表3に示した組成の四三酸化鉄懸濁液を調製し、これを
図1に示された構造の反応スライドに25μlづつ分注
した。反応スライドを凍結乾燥機に入れ、実施例1〜1
0と同様の方法にて凍結乾燥した。を実施例1〜10と
同一濃度の検体を同様の方法で測定し、表4、図9、図
10、図11、図12、図13に示す結果を得た。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】図9、図10、図11、図12、図13よ
り、クエン酸濃度が1mMを越えるとトロンボテスト活性
値100%でふたたび凝固時間が延長する現象が見られ
るようになることが分かった。そのため1つの凝固時間
に対して2つのトロンボテスト活性値が対応することに
なり、血液の凝固能の測定として用いることができな
い。
【0043】以上の、実施例1〜10および比較例1〜
10の結果より、クエン酸濃度1mM以下のときに検体を
無希釈のまま良好に測定を行なうことができることが示
された。
【0044】実施例11 血液凝固因子感受性試験 表5に示す組成で実施例1と同様にして血液凝固時間測
定用乾燥試薬を作製し、血液凝固第X因子感受性を調べ
た。測定検体は正常血漿及び血液凝固第X因子欠乏血漿
(ジョージキング社)を用いて作製した。正常血漿を因
子含有率100%とし、因子欠乏血漿を因子含有率0%
として因子含有率10、20、50、75%となるよう
に2種の血漿を混合して用いた。実施例1〜10と同様
に測定を行なった。測定結果は図14に示した。
【0045】図14より、本発明の血液凝固時間測定用
乾燥試薬は血液凝固第X因子に対して十分な感受性を持
つことが示された。
【0046】
【表5】
【0047】実施例12 他法との相関 表5に示す組成で実施例1と同様にして血液凝固時間測
定用乾燥試薬を作製し、測定検体にヒト血漿40検体を
用いて他法測定試薬との相関を調べた。他法の測定試薬
としてはトロンボテストオーレン((株)エーザイ)
を、測定装置としてはKC-4(アメルング社)をそれぞれ
の取り扱い説明書に従って使用した。測定結果を図15
に示した。この結果、他法との相関は、 Y=1.3773X ― 6.9832 であり、相関係数は、0.9444であった。
【0048】
【発明の効果】本発明の血液凝固時間測定用乾燥試薬は
含有する抗凝固剤の濃度が低いために、抗凝固剤を含有
する血液検体と反応させてもカルシウムイオンの不足を
生じない。そのため、血液検体の希釈という非常に繁雑
かつ時間を要する操作を行なわなくても安定して精度良
く測定をすることができるという特長を持つ。このこと
は臨床検査の迅速化、コストダウンに大きな貢献をする
ことができ、本発明の工業的意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本図は本発明の反応スライドの一例を示す図で
ある。
【図2】本図は本発明の反応スライドの構造の一例を示
す図である。
【図3】本図は本発明の血液凝固時間測定用乾燥試薬に
血液試料を添加した場合のシグナル強度の変化を示した
ものである。
【図4】本図は実施例1〜2の血液凝固時間測定用乾燥
試薬の標準曲線で、縦軸(対数)が凝固時間、横軸(対
数)がトロンボテスト活性値である。
【図5】本図は実施例3〜4の血液凝固時間測定用乾燥
試薬の標準曲線で、縦軸(対数)が凝固時間、横軸(対
数)がトロンボテスト活性値である。
【図6】本図は実施例5〜6の血液凝固時間測定用乾燥
試薬の標準曲線で、縦軸(対数)が凝固時間、横軸(対
数)がトロンボテスト活性値である。
【図7】本図は実施例7〜8の血液凝固時間測定用乾燥
試薬の標準曲線で、縦軸(対数)が凝固時間、横軸(対
数)がトロンボテスト活性値である。
【図8】本図は実施例9〜10の血液凝固時間測定用乾
燥試薬の標準曲線で、縦軸(対数)が凝固時間、横軸
(対数)がトロンボテスト活性値である。
【図9】本図は比較例1〜2の血液凝固時間測定用乾燥
試薬の標準曲線で、縦軸(対数)が凝固時間、横軸(対
数)がトロンボテスト活性値である。
【図10】本図は比較例3〜4の血液凝固時間測定用乾
燥試薬の標準曲線で、縦軸(対数)が凝固時間、横軸
(対数)がトロンボテスト活性値である。
【図11】本図は比較例5〜6の血液凝固時間測定用乾
燥試薬の標準曲線で、縦軸(対数)が凝固時間、横軸
(対数)がトロンボテスト活性値である。
【図12】本図は比較例7〜8の血液凝固時間測定用乾
燥試薬の標準曲線で、縦軸(対数)が凝固時間、横軸
(対数)がトロンボテスト活性値である。
【図13】本図は比較例9〜10の血液凝固時間測定用
乾燥試薬の標準曲線で、縦軸(対数)が凝固時間、横軸
(対数)がトロンボテスト活性値である。
【図14】本図は実施例11における血液凝固第X因子
感受性のグラフである。縦軸(対数)が凝固時間、横軸
(対数)が血液凝固第X因子含有率である。
【図15】本図は実施例12における本法と他法の相関
グラフで、縦軸が本発明の血液凝固時間測定用乾燥試薬
による凝固時間、横軸が他法での凝固時間である。
【符号の説明】
1 添加口 2 測光部 3 試薬添加口 11 透明樹脂板 12 スペーサ 13 白色基板

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組織トロンボプラスチン、カルシウム
    塩、磁性粒子および吸着血漿を主構成成分とする血液凝
    固時間測定用乾燥試薬において、当該乾燥試薬中に含ま
    れる抗凝固剤の濃度が1mM以下であることを特徴とす
    る前記乾燥試薬。
JP21506395A 1995-08-23 1995-08-23 血液凝固時間測定用乾燥試薬 Pending JPH0961433A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010518371A (ja) * 2007-02-01 2010-05-27 デーエスエム アイピー アセッツ ベー.ファウ. 被験液の凝固特性の測定における診断用組成物及びその使用
EP2884284A1 (en) * 2013-12-12 2015-06-17 C A Casyso AG Dry diagnostic reagent

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