JP3268221B2 - 検体希釈液 - Google Patents

検体希釈液

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は臨床検査に使用され
る複合凝固因子測定のための血液凝固時間を測定する際
に使用する検体希釈液に関する。
【0002】
【従来の技術】血液凝固能は様々な疾患、抗凝固剤、あ
るいは外傷などにより大きく影響される。たとえばビタ
ミンKは肝臓で合成されるため、肝臓に疾患を持つ場合
には、ビタミンKの作用によって活性化される血液凝固
第II、第VII、第X因子の活性が低下する。そのた
め血液凝固能の測定を行い、これらの血液凝固因子の活
性を調べ、その結果から肝臓の障害を知ることができ
る。また、外科手術時には血液凝固能を一定の範囲に低
下させるためにヘパリン等の薬剤を投与するが、この時
も血液凝固能を測定することによりヘパリン等の投与量
をコントロールしている。
【0003】人、動物の血液凝固能を測定する方法とし
て様々な方法が用いられている。例えば、血液凝固時間
の測定、抗原抗体反応を利用した各血液凝固因子の定量
などがある。この中で血液凝固時間の測定はその簡便さ
から広く普及している。
【0004】血液凝固時間は血液凝固反応を開始してか
ら、血液が凝固し該反応が終了するまでの時間である。
血液凝固反応は、血液凝固因子の関与する反応が何段に
もわたり順次に起きるカスケード反応である。ある血液
凝固因子の濃度が低いとその血液凝固因子が関与する反
応は遅く進行する。それに伴い、得られる血液凝固時間
は正常の場合と比して遅延する。従って、血液凝固時間
を測定し正常人の血液凝固時間と比較することにより血
液中の血液凝固因子濃度の異常を知ることができる。例
えば、血液凝固反応の引き金となる物質等を測定したい
血漿試料あるいは全血試料(以下血液試料と呼ぶ)と反
応させ、その血液凝固時間を測定すれば血液凝固能及び
血液凝固因子の不足の有無を知ることができる。この原
理を用いた血液凝固能の測定法としてプロトロンビン時
間法(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間法
(APTT)などが挙げられる。
【0005】また、血液凝固反応の引き金となる物質等
と共に、特定の血液凝固因子を取り除いた吸着血漿を血
液試料と反応させ、血液凝固時間を測定することによ
り、吸着血漿に存在しない血液凝固因子の量のみが血液
凝固時間に反映される測定方法もある。この方法を利用
した血液凝固能の測定項目として複合凝固因子測定と呼
ばれるものがある。該測定に用いる測定用試薬中には、
血液凝固第II、第VII、第X因子を取り除いた吸着
血漿が含有されている。従って、該測定によって血液中
の血液凝固第II、第VII、第X因子の欠乏を血液凝
固時間の延長で知ることができるわけである。尚、前述
したように、血液凝固第II、第VII、第X因子の活
性低下と肝機能障害とが関連しているため、複合凝固因
子の測定により肝機能障害を見極めることができる。こ
れが、複合凝固因子測定の特長の1つとなっている。
【0006】ところで、従来用いられてきたこれらの血
液凝固時間の測定方法は、主に試薬溶液を用いた測定方
法であり現在も広く使用されている。この方法は、まず
凍結乾燥試薬に水等を加えて再生して試薬溶液を調製
し、血液試料に該試薬溶液を添加して反応させ、該反応
液の濁度変化あるいは粘度変化を測定して血液凝固時間
を測定する方法である。
【0007】以下に、複合凝固因子測定用試薬を例にと
って具体的に説明する。複合凝固因子測定用試薬は主成
分として組織トロンボプラスチン、牛吸着血漿、カルシ
ウム塩を含むもので、一般に凍結乾燥試薬として市販さ
れている。使用方法は以下の通りである。まず、該凍結
乾燥試薬を水溶液にした複合凝固因子測定用試薬溶液を
調製しておき、予備加温しておく。次に、同じく予備加
温しておいた血液試料に、該試薬溶液を添加し、添加直
後から濁度変化あるいは粘度変化を測定する。そして、
フィブリンの析出により凝固し始めると、反応系の濁度
および粘度が変化する。ある一定の濁度あるいは粘度変
化が生じた点を血液凝固反応の終点とし、血液試料を添
加してから該終点までの時間を血液凝固時間として求め
る。このようにして求めた血液凝固時間が複合凝固因子
測定用試薬の血液凝固時間である。この血液凝固時間は
複合凝固因子の活性に応じて変化し、活性が低いほど時
間は延長する。
【0008】一方、近年乾燥試薬を用いた簡便な血液凝
固アッセイシステムが開発された(特表平3−5040
76号公報)。該アッセイシステムの原理は、血液凝固
時間測定用試薬成分と磁性粒子とを含有させた乾燥状態
の試薬(以下、乾燥試薬ともいう)を作成し、該乾燥試
薬に血液試料を添加し、その直後に振動磁場と静止磁場
の組み合わせから成る磁場中に置いて磁性粒子を運動さ
せ、同時にこの磁性粒子の運動シグナルを光学的に測定
して凝固を検知するものである。該アッセイシステムで
は、従来の血液凝固時間の測定方法では必要であった血
液凝固時間測定用試薬溶液の調製、予備加温等が不要で
あるという長所を有する。
【0009】血液凝固時間測定用乾燥試薬の試薬成分と
磁性粒子は、通常図1及び図2に示すようなカード様の
形状の反応スライド中に乾燥状態で充填されている。測
定方法は、この乾燥試薬を専用測定装置にセットし、そ
の後スライドの血液試料添加口1から血液試料を滴下す
る。血液試料により血液凝固時間測定用乾燥試薬が溶解
すると血液凝固反応が開始し、また試薬中の磁性粒子も
運動を開始する。磁性粒子の運動は測定装置により光学
的に観測され、運動シグナルが最大値から一定の割合だ
け減衰した時点、あるいは運動シグナルの変化量が急激
に変化し始める時点(変曲点)などを血液凝固反応の終
点とし、血液試料を添加してから該終点までの時間を血
液凝固時間として測定を行う(図3参照)。
【0010】上記公報には、このシステムを使用する種
々の血液凝固時間測定用乾燥試薬が示されている。又、
複合凝固因子測定用の血液凝固時間測定用乾燥試薬につ
いては特開平6−337267に示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】血液凝固反応にはカル
シウムイオンが必須である。血液凝固時間測定用の血液
試料には、測定開始までに自然に血液凝固反応が進行し
凝固してしまわないように、カルシウムイオンのキレー
ト化剤の一種であるクエン酸イオンを含有させて保存し
ている。そのため、一般に複合凝固因子測定用試薬に
は、血液凝固反応の必須成分であるカルシウム塩を血液
試料中のクエン酸イオンに対して十分高い濃度で含有さ
せ、測定中に血液凝固反応が安定に進行するように勘案
されている。
【0012】従来用いられてきた複合凝固因子測定用試
薬溶液による測定(以下、従来法と略す)においては一
般に血液試料30μlに対して試薬溶液250μlを反
応させる。従って、測定時、血液試料は約9倍に希釈さ
れているわけである。これに対して、前出の複合凝固因
子測定用の血液凝固時間測定用乾燥試薬においては、血
液試料をそのまま試薬と反応させるため、クエン酸イオ
ン濃度は従来法に対して約9倍高い状態となっている。
そのため、該乾燥試薬では、従来法の試薬と比して試薬
中にカルシウム塩を高濃度で含有させている。該乾燥試
薬を用いる方法と従来法との間に一応の相関性があるの
はこの効果によるものである。
【0013】しかしながら、臨床現場から該乾燥試薬と
同一の組成の試薬を用いて従来法との相関性をさらに向
上させ、且つ精度を上げる方法が強く要望されてきた。
すなわち現行乾燥試薬では従来法との相関性が未だ不完
全であるという評価がなされていた。
【0014】そこで、本発明者らは、緩衝剤を含有する
水溶液で血液試料を希釈してから乾燥試薬で測定を行う
と、反応系中のキレート化剤であるクエン酸イオン濃度
が低減された状態で反応が進行するのでこの問題点を解
決することができるのではないかと考えた。しかしなが
ら、検討の結果、従来法との相関性は向上せず、逆に測
定値が大きくばらつくという結果になったのである。即
ち、単に緩衝剤を含有した水溶液で検体を希釈し、その
希釈検体を乾燥試薬の試料として用いるだけでは、かか
る問題点を解消できないことが分かった。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意研究し、従来法との測定値と乖離す
る原因は各個別血液試料中のキレート化剤であるクエン
酸イオン濃度の多様性に関係していることをつきとめ
た。さらに測定値が大きくばらつく原因は、希釈した血
液試料を測定に用いることで反応系のカルシウムイオン
濃度が過剰状態となり、それによって血液凝固反応が阻
害されているためであることもつきとめた。そして本発
明者らはさらに研究を続け、その結果驚くべきことに、
キレート化剤を含有する水溶液からなる検体希釈液を用
いて血液試料を希釈した後、血液凝固時間測定用乾燥試
薬を用いて測定すると、かかる問題点を解消できること
を見出し、本発明を完成した。
【0016】即ち、本発明は、10〜30mMのキレー
ト化剤を含有する水溶液からなる複合凝固因子を測定す
るための乾燥試薬用検体希釈液である
【0017】他の発明は、10〜30mMのキレート化
剤を含有する緩衝液からなる複合凝固因子を測定するた
めの乾燥試薬用検体希釈液である。
【0018】本発明の複合凝固因子測定用検体希釈液
(以下、検体希釈液と略す)に含有されるキレート化剤
としては、公知のキレート化剤が使用できる。例えば、
クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、エ
チレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸二ナト
リウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレ
ンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢
酸二カリウム、エチレンジアミン四酢酸二リチウム、ジ
アミノプロパノール四酢酸並びにそのナトリウム塩、カ
リウム塩等のアルカリ金属塩、エチレンジアミン二酢酸
並びにそのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属
塩、エチレンジアミン二プロピオン酸並びにそのナトリ
ウム、カリウム等のアルカリ金属塩、グリコールエーテ
ルジアミン四酢酸などが具体的に挙げられる。水への溶
解性、再現性並びに従来溶液法との相関性の点で、クエ
ン酸ナトリウムまたはカリウムが最も好ましい。上記キ
レート化剤である酸又はそのアルカリ金属塩は、本発明
の検体希釈液中ではイオン状態(以下、キレート化剤イ
オンとも言う)で作用しているものと考えられる。
【0019】好適なキレート化剤の濃度は血液凝固時間
測定用乾燥試薬中に含まれるカルシウム塩の濃度により
異なるため限定することはできないが、例を挙げれば試
薬中のカルシウム塩濃度が20mMのときに10〜30
mMの範囲が好適である。
【0020】本発明に用いる緩衝液はpHを一定に保つ
ために緩衝剤を含有させたものである。血液凝固反応を
進行させるためには、検体希釈液と血液試料とを混合し
た後のpHが6〜9の間にある事が望ましい。一般に緩
衝剤としては2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1
−ピペラジニル]エタンスルホン酸、3−[4[(2−
ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスル
ホン酸、2−モルフォリノエタンスルホン酸等のGOO
D緩衝剤と呼ばれる一連の化合物、トリス(ヒドロキシ
メチル)アミノメタンなどが好適に使用される。緩衝剤
の濃度は、血液試料と混合した後にもpHを一定に保つ
ことができる濃度で、かつ血液凝固反応を著しく阻害し
ない濃度で使用される。その好適な範囲を示せば、一般
に5mM〜200mMの範囲で使用することができる。
また、緩衝液のpHは一般に7〜9の範囲で好適に使用
することができる。
【0021】本発明の検体希釈液には上記の構成成分の
ほかにイオン強度を調整するために塩化ナトリウム等の
無機塩を添加することもできる。イオン強度は血液凝固
反応の速度に影響を与えることが知られている。緩衝剤
濃度、キレート化剤濃度もイオン強度に関与するため、
無機塩の好適な濃度範囲は特に限定できないが、緩衝剤
濃度、キレート化剤濃度と無機塩濃度との和が50mM
〜300mMの範囲で好適に使用することができる。
【0022】また、検体希釈液のpHを所望の値にする
ために水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ
性化合物または塩酸、硫酸、リン酸などの酸性化合物を
添加することができる。アルカリ性化合物あるいは酸性
化合物の添加濃度、量は緩衝剤の濃度、種類、所望する
pH等により異なる。
【0023】更に、本発明の検体希釈液の保存時の安定
性を向上させるためにアジ化ナトリウムなどの防腐剤を
使用することができる。防腐剤の濃度としては、例えば
アジ化ナトリウムを用いた場合には 0.1mM以下の
濃度で好適に使用することができる。
【0024】本発明の検体希釈液として特に好適な例を
例示すれば、緩衝剤として30mMの3−[4[(2−
ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスル
ホン酸、120mM塩化ナトリウム、21mMクエン酸
ナトリウムを主構成成分とした検体希釈液である。
【0025】キレート化剤を含有した検体希釈液を調製
する方法としては、特に限定されないが、撹拌しながら
蒸留水などの水或いは緩衝液中に所定量の上記各構成成
分を溶解させる方法が一般的に用いられる。。
【0026】本発明の検体希釈液を用いて血液試料を希
釈する方法は特に限定されることなく公知の方法が使用
できる。一般的には一定量の血液試料および検体希釈液
を試験管に入れて振とうして混合する。
【0027】本発明の検体希釈液を用いて血液試料を希
釈する際の希釈倍率は、使用する検体希釈液のキレート
化剤濃度によりその好適な範囲は異なるの限定すること
はできないが、具体的な例を示せば21mMのクエン酸
ナトリウムを含有する検体希釈液にて血液試料を希釈す
る際は2〜6倍の範囲が好適である。
【0028】複合凝固因子測定用の血液凝固時間測定用
乾燥試薬は特開平6−337267に示された方法にて
製造することが可能である。また、市販の試薬を使用す
ることも可能である。
【0029】血液凝固時間測定用乾燥試薬での血液凝固
時間の測定は、粘度変化を検知あるいは濁度変化を検知
することなどにより行うことができる。好適には血液凝
固時間測定用乾燥試薬に一定量の血液試料を滴下し、す
ぐに振動磁場と静止磁場の組み合わせから成る磁場中に
置いて磁性粒子を運動させ、同時に磁性粒子の運動シグ
ナルを光学的にモニターし、その経時変化を検知する方
法で行うことができる。この様な測定は、市販の血液凝
固時間測定装置であるCG01((株)エイアンドティ
ー社)やCOAG1(和光純薬工業(株)社)等を使用
して行うことができる。
【0030】上記の方法で血液凝固時間を測定すると
き、血液凝固反応の終点は血液凝固時間測定用乾燥試薬
中の磁性粒子の運動シグナルの大きさの変化を基に判断
することができる。血液凝固反応の終点としては、運動
シグナルの大きさの減衰速度が最大になる点、あるいは
運動シグナルの大きさがその最大値に対して任意の割合
まで減衰した点等が採用される。そのうち、得られる血
液凝固時間の再現性がより良好であることから、運動シ
グナルの大きさがその最大値に対して任意の割合まで減
衰した点が好適に使用される。
【0031】本発明の検体希釈液を用いて血液試料を希
釈した後、血液凝固時間測定用乾燥試薬を用いて測定す
ることで従来法との相関性が良好になる理由について
は、以下のように推察している。
【0032】血液試料を希釈することによって、血液試
料由来のキレート化剤イオン濃度が血液凝固反応に影響
しないほどに低減され、それに伴い、各個別血液試料中
のキレート化剤イオン濃度の多様性が消去される。さら
にそのことにより反応系に該検体希釈液由来のキレート
化剤イオン濃度だけが影響することになり、従来法と同
様に血液試料に関係なく反応系内にほぼ一定濃度のキレ
ート化剤イオンが存在するようになったからだと考えて
いる。
【0033】また、本発明の検体希釈液を用いて血液試
料を希釈した後、血液凝固時間測定用乾燥試薬を用いて
測定することで血液試料の測定値のばらつきが小さくな
る理由については以下のように推察している。
【0034】発明が解決しようとする課題の項にも述べ
たように、血液試料を希釈せずに測定を可能にするため
に、複合凝固因子測定用の血液凝固時間測定用乾燥試薬
には高濃度のカルシウム塩を含有させている。キレート
化剤イオンを含有しない希釈液にて血液試料を希釈した
場合には、血液試料中のキレート化剤イオン濃度は希釈
により薄まるため、反応系中のカルシウムイオンが過剰
状態となる。それにより血液凝固反応は阻害を受ける状
態となり、血液凝固時間は延長する。そのため、測定値
のばらつきは大きい。しかし、本発明の検体希釈液にて
血液試料を希釈すると、予めキレート化剤イオンが含ま
れているので過剰のカルシウムイオンはトラップされ、
カルシウムイオン濃度は血液凝固反応の進行に適切な濃
度となる。そのため、測定値のばらつきは小さくなるも
のと考えられる。
【0035】
【実施例】本発明を具体的に説明するために実施例を以
下に示すが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定
されるものではない。
【0036】実施例1 本発明の検体希釈液を用いて測
定した場合の同時再現性 表1に示した組成で分注用試薬溶液を調製し、これを図
1、図2に示す形状の反応スライドに22μlづつ分注
した。分注した反応スライドを凍結乾燥し、複合凝固因
子測定用の血液凝固時間測定用乾燥試薬(以下、TB試
薬と略す)を得た。凍結方法は、−40℃のフリーザー
にて1昼夜凍結する方法を用い、凍結乾燥は真空中にて
−40℃から40℃まで45時間で段階的に昇温させる
方法で行った。
【0037】
【表1】
【0038】次に、表2に示す組成にて本発明の検体希
釈液1、検体希釈液2を調製した。
【0039】
【表2】
【0040】それぞれの検体希釈液を用いて血液試料
(ヒト血漿)を3倍に希釈した。
【0041】尚、血液試料には「標準血漿正常域エーザ
イ」(エーザイ(株)社製)を用いた。TB試薬と各希
釈した血液試料(以下、希釈血漿と略す)とを用いて血
液凝固時間測定装置CG01((株)エイアンドティー
社製)で連続10回測定した。測定方法は、取扱説明書
に従いTB試薬をCG01測定部にセットし、希釈血漿
をTB試薬に25μl添加することで行った。
【0042】血液凝固時間の算出は、希釈血漿をTB試
薬に添加してから得られる磁性粒子の運動シグナルの経
時変化(以下、波形と略す)を解析することで行った。
具体的に説明すると希釈血漿を添加した直後の波形の不
安定な部分(希釈血漿を添加してから25秒間)を削除
し、該波形の最大地点から5%減衰した地点を血液凝固
反応の終点とし、希釈血漿を添加してから該終点までの
時間を血液凝固時間とする方法を採用した。
【0043】表3にそれぞれの血液凝固時間の測定結果
の平均値とCV値を示した。
【0044】
【表3】
【0045】表3に示す通り非常に良好な再現性を示す
ことがわかった。尚、図4に検体希釈液2を用いて希釈
血漿を測定した際の波形を示した。
【0046】比較例1 本発明と異なる希釈液を用いて
測定した場合の同時再現性 実施例1と同様の方法でTB試薬を作製した。次に、表
4に示す組成で水溶液Aを調整した。
【0047】
【表4】
【0048】水溶液Aを用いて血液試料(ヒト血漿)を
3倍に希釈した。また、蒸留水を用いて血液試料(ヒト
血漿)を3倍に希釈した。
【0049】尚、血液試料には「標準血漿正常域エーザ
イ」(エーザイ(株)社製)を用いた。
【0050】それぞれの希釈した血液試料を用いて、実
施例1と同様の方法にて同時再現性を調べた。表5にそ
れぞれの測定で得られた平均値とCV値を示す。
【0051】
【表5】
【0052】表5に示す通り、実施例1の結果と比して
明らかに劣る成績を示した。
【0053】比較例2 血漿検体を無希釈で測定した場
合の同時再現性 実施例1と同様の方法でTB試薬を作製した。尚、血液
試料には「標準血漿正常域エーザイ」(エーザイ(株)
社製)を用いた。
【0054】TB試薬と該血漿とを用いて、血液凝固時
間測定装置CG01((株)エイアンドティー社製)で
連続10回測定した。測定方法は、取扱説明書に従いT
B試薬をCG01測定部にセットし、該血漿をTB試薬
に25μl添加することで行った。その後、実施例1と
同様の方法で同時再現性を調べた。表6に測定で得られ
た平均値とCV値を示す。
【0055】
【表6】
【0056】表6に示す通り、実施例1の結果と比して
明らかに劣る成績を示した。尚、図5に血漿を無希釈で
測定した際の波形を示した。
【0057】実施例2 従来法との相関性 血液試料としてヒト血漿92検体を用い、従来法で複合
凝固因子を測定した結果と本発明の検体希釈液で各々の
ヒト血漿を3倍希釈して実施例1のTB試薬で測定した
結果との相関性を調べた。また、同一のヒト血漿92検
体を用い、従来法で複合凝固因子を測定した結果と実施
例1のTB試薬を用いて各々のヒト血漿を無希釈で測定
した結果との相関性も調べ、前者の相関性と比較して効
果の確認を行った。尚、この検討に使用した本発明の検
体希釈液を表7に示す。
【0058】
【表7】
【0059】TB試薬を用いての測定方法、血液凝固時
間算出方法は実施例1と同様の方法で行った。また、本
実施例で採用した従来法は試薬として「Tコクサイ」
((株)国際試薬社製)、測定装置としてKC−10A
(アメルング社製)を使用し、それぞれの取扱説明書に
従って測定を行った。
【0060】図6に従来法で複合凝固因子を測定した結
果とヒト血漿を無希釈でTB試薬にて測定した結果との
相関図を、図7に従来法で複合凝固因子を測定した結果
と本発明の検体希釈液で3倍に希釈したヒト血漿でTB
試薬にて測定した結果との相関図を示した。
【0061】両者を比較すると明らかに本発明の希釈液
で3倍希釈して測定した方が従来法との相関性が良好な
ことが分かる。
【0062】
【発明の効果】本発明の検体希釈液を用いて血液試料を
希釈して血液凝固時間測定用乾燥試薬による血液凝固時
間測定を行うことにより、血液試料を希釈しない測定方
法にて使用する血液凝固時間測定用乾燥試薬と同一の組
成の血液凝固時間測定用乾燥試薬でばらつきが少なく、
信頼性の高い測定ができるようになった。
【0063】そのため、測定値の信頼性を上げるために
同一血液試料に対して複数回測定しなくてもよいという
大きな特長を持つ。このことは臨床検査の信頼性の向
上、コストダウンに大きな貢献をすることができ、本発
明の工業的意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本図は本発明の反応スライドの一例を示す図で
ある。
【図2】本図は本発明の反応スライドの構造の一例を示
す図である。
【図3】本図は血液凝固時間測定用乾燥試薬に血液試料
を添加した場合の磁性粒子の運動シグナル強度の変化を
示したものである。
【図4】本図は血液試料を本発明の検体希釈液にて希釈
して10回測定を行った時の運動シグナルの経時変化を
示した図である。
【図5】本図は血液試料を無希釈で10回測定を行った
時の運動シグナルの経時変化を示した図である。
【図6】本図は従来法による測定値をX軸にとり、ヒト
血漿を無希釈でCG01にて測定した測定値をY軸にと
り作成した相関図である。
【図7】本図は従来法による測定値をX軸にとり、ヒト
血漿を本発明の検体希釈液で希釈しCG01にて測定し
た測定値をY軸にとり作成した相関図である。
【符号の説明】
1 血液試料添加口 2 試薬充填部 3 試薬添加口 11 透明樹脂板 12 スペーサ 13 白色基板
フロントページの続き (56)参考文献 金井正光 編著 臨床検査法提要 改 訂第30版 平成5年8月20日発行第416 頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/48 - 33/98

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 10〜30mMのキレート化剤を含有す
    る水溶液からなる複合凝固因子を測定するための乾燥試
    用検体希釈液。
  2. 【請求項2】 10〜30mMのキレート化剤を含有す
    る緩衝液からなる複合凝固因子を測定するための乾燥試
    用検体希釈液。
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