JP3235757B2 - タイヤ用滑り止め装置およびその製造方法 - Google Patents

タイヤ用滑り止め装置およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、着脱が容易なタイヤ用
滑り止め装置およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のタイヤ用滑り止め装置としては、
鋼材からなるタイヤチェーンや、網状の合成樹脂にスパ
イクピンを植設したものが知られている。いずれにあっ
ても、タイヤのトレッド表面およびトレッド表面に近い
サイドウェール部を囲むように装着される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、タイヤの裏側
と表側に、それぞれタイヤのトレッド表面の外周径より
小径で締め付け固定用のバンド等が必要であり、このバ
ンドをタイヤの裏側に装着する作業が困難であった。こ
のために、滑り止め装置の着脱には、車体をジャッキで
持ち上げ、タイヤを地面から離した状態で行なうという
煩らわしさがあった。
【0004】本発明は、上記従来の滑り止め装置の事情
に鑑みてなされたもので、着脱が比較的に簡単なタイヤ
用滑り止め装置およびその製造方法を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明のタイヤ用滑り止め装置は、タイヤのトレ
ッド表面に装着される滑り止め装置であって、弾性と耐
摩耗性を有する線材を、タイヤ周方向に対して左右交互
に間隔を設けてタイヤのトレッド表面に沿うようにU字
状に突出屈曲してU字状部を形成し、前記間隔の部分を
前記トレッド表面に対して直交する面でタイヤ中心方向
に凸状に突起屈曲してずれ防止突起部を形成し、前記屈
曲部分は全て曲線で形成し、屈曲された前記線材で前記
トレッド表面の外周径よりやや小径な円状に形成しまた
は円状に形成し得るように連結分離自在として構成され
ている。
【0006】そして、本発明のタイヤ用滑り止め装置の
製造方法は、弾性と耐摩耗性を有する金属線材で交互に
向きが逆のU字状の部分が連続する曲線蛇行形状を形成
する第1工程と、同一側に突出するU字状の部分を蛇行
の長さ方向で1つ置きに長さ方向を軸として同一回転方
向で180°ねじって、左右交互に同一面上にU字状部
を突出形成するとともに逆向きであったU字状の部分の
底部分を前記同一面に直交して突起させてずれ防止突起
部を形成する第2工程と、屈曲された前記線材を前記ず
れ防止突起部が突起される側を内側に向けて装着するタ
イヤのトレッド表面の外周径よりやや小径な円状に形成
しまたは円状に形成し得るように連結分離自在に形成す
る第3工程と、からなる。
【0007】
【作 用】タイヤのトレッド表面の外周径よりやや小径
の円状に形成されるので、弾力に抗して径を少し大きく
すればトレッド表面の外周に弾接させ得る。そして、タ
イヤ中心方向に凸状に突起屈曲したずれ防止突起部をタ
イヤの縦溝に挿入すれば、トレッド表面からの横へのず
れが阻止される。さらに、左右交互にU字状に突出屈曲
したU字状部が、雪面や凍土に対して従前のタイヤチェ
ーンと同様の作用をなし、滑り止めとして機能する。し
かも、全ての屈曲部分を曲線で形成するので、応力集中
を生じることがない。
【0008】そして、製造方法にあっては、交互に向き
が逆のU字状の曲線蛇行形状の金属線材を、同一側に突
出するU字状部を1つ置きに同一回転方向で180°ね
じると、逆向きであったU字状部の底部分が直交して突
起してずれ防止突起部が同時に形成される。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1乃至図4を参照
して説明する。図1は、本発明のタイヤ用滑り止め装置
の外観斜視図であり、図2は、形状の詳細図であって、
(a)は部分正面図であり(b)は部分側面図であり、
図3は、タイヤに装着した図であり、(a)は断面図で
あり(b)は側面図であり、図4は、本発明のタイヤ用
滑り止め装置の製造方法を示し、(a)は第1工程を示
し(b)は第2工程を示す。
【0010】まず、本発明のタイヤ用滑り止め装置の構
造につき説明する。弾性と耐摩耗性を有する金属線材
(例えばリン青銅)を中心線に対して同一ピッチで間隔
を設けて左右交互に同一面上に互いに逆に向いたU字状
部10,10…を突出屈曲して形成させる。そして、間
隔が設けられた部分をU字状部10,10…が含まれる
面と直交する面で同一側に曲線で凸状に突起屈曲してず
れ防止突起部12,12…を形成させる。なお、屈曲部
分は全て曲線で形成され、その曲率半径は大きいことが
望ましい。さらに、かかる形状に屈曲された金属線材の
両端を連結し、装着すべきタイヤのトレッド表面の外周
径より5〜7%だけ小径の円状に形成される。
【0011】なお、屈曲された金属線材の両端は、連結
分離自在に連結部材14が設けられて、連結状態で装着
すべきタイヤのトレッド表面の外周径よりやや小径の円
状に形成し得るようにしても良い。
【0012】かかる構成において、円状に形成された本
発明のタイヤ用滑り止め装置20を、弾力に抗して径を
拡大してタイヤ30のトレッド表面32に巻き付け、ず
れ防止突起部12,12…をトレッド表面32の縦溝3
4に挿入させ、図3のごとき状態とする。すると、タイ
ヤ30の回転に対して、ずれ防止突起部12,12…が
弾力により縦溝34内に溜まる作用によりタイヤ用滑り
止め装置20が横にずれるようなことがない。また、ト
レッド表面32に沿って左右交互に突出されるU字状部
10,10…が従前のタイヤチェーンと同様に作用し
て、雪面や凍土を確実にグリップして滑り止めとして作
用する。ここで、U字状部10,10…で路面をグリッ
プすることで本発明のタイヤ用滑り止め装置20は、タ
イヤ周方向に伸びと縮みの変形が加わるが、屈曲部が全
て曲線で形成されるために過度な応力集中が生じること
がなく、金属線材の弾性変形で充分に吸収され、破損す
ることがない。
【0013】ところで、本発明のタイヤ用滑り止め装置
20をタイヤ30に装着させるには、車体をジャッキで
持ち上げてタイヤ30を路面から離して装着しても良い
ことは勿論であるが、車体を持ち上げずにタイヤ30が
路面に接地したままでも充分に可能である。すなわち、
円状に形成された本発明のタイヤ用滑り止め装置20の
一部をタイヤ30の接地部分に沿わせ、てこの作用を用
いた適宜な道具によって径を大きくして接地部分以外の
トレッド表面32上に載せてずれ防止突起部12,12
…をタイヤ30の縦溝34に挿入するようにする。そし
て、この状態のままタイヤ30を1/4〜1/2だけ回
転させ、縦溝34に挿入されていないずれ防止突起部1
2,12…をタイヤ30の縦溝34に挿入すれば、装着
は完了する。
【0014】また、取り外すには、タイヤ30の接地部
分以外のトレッド表面32の縦溝34からずれ防止突起
部12,12…を抜き出してトレッド表面32の側方に
位置させ、さらにタイヤを1/4〜1/2だけ回転させ
れば容易に作業が完了する。
【0015】このように、本発明のタイヤ用滑り止め装
置20は、タイヤ30への装着および取り外し作業が、
従来のものに比較して容易である。なお、円状に形成さ
れた本発明のタイヤ用滑り止め装置20は、四輪車等の
タイヤ30が車軸により片持ちばりで支持されるものに
は装着できるが、両端をスポークでそれぞれ支持された
車軸による両持ちばりの二輪車等のタイヤ30には装着
することができない。そこで、屈曲された金属線材の両
端に適宜な連結部材14を設けて、開放状態で一端を車
軸とスポークで囲まれる空間を通過させて連結すること
で円状に形成し得るようにすれば、二輪車等のタイヤ用
滑り止め装置20としても適用できる。
【0016】次に、本発明のタイヤ用滑り止め装置20
の製造方法の一例につき説明する。まず、第1工程で、
約4.0mmφの弾性と耐摩耗性を有する金属線材を、
約3cmのピッチで交互に向きが逆のU字状の部分が連
結する曲線蛇行形状を図4(a)のごとく形成する。そ
の幅は、約4.5cmであり、U字状の部分の底部の曲
率半径は約1.2cmである。幅4.5cmは、装着す
べきタイヤ30のトレッド表面32の幅の1/2よりや
や小さい寸法である。
【0017】そして、第2工程で、同一側に突出するU
字状の部分を1つ置きに同一回転方向で180°ねじっ
て左右交互の同一面上にU字状部10,10…を突出形
成させる。すると、逆向きであったU字状の部分の底部
分がほぼ90°ねじられ、U字状部10,10…の面に
直交して突起されて、図4(b)のごとく、ずれ防止突
起部12,12…が同時に形成される。
【0018】さらに、第3工程で、ずれ防止突起部1
2,12…が内側となるようにして、屈曲された金属線
材を装着すべきタイヤ30のトレッド表面32の外周径
より5〜7%だけ小さい径の円状に形成され、本発明の
タイヤ用滑り止め装置20が製造される。
【0019】かかる製造方法にあっては、第2工程で1
つ置きにU字状の部分を同一方向で180°ねじること
で、U字状部10,10…を形成するのと同時にずれ防
止突起部12,12…が形成され、製造工程が少なくて
良い。
【0020】なお、本発明のタイヤ用滑り止め装置20
は、金属線材で形成されたものに限られず、適宜な弾性
と耐摩耗性を有するFRP等の合成樹脂で形成されても
良い。そして、素材が合成樹脂であるならば、適宜な型
を用いて一工程で成形することもできる。また、素材と
して金属線材を用いて形成したものでも、適宜な型によ
って線材をねじることなしに屈曲のみにより形成しても
良いことは勿論である。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のタイヤ用
滑り止め装置は構成されているので、タイヤへの装着お
よび取り外しが容易である。しかも、ずれ防止突起部が
タイヤの縦溝に挿入されるとともに装置全体がトレッド
表面に弾接されており、横ずれ等により、タイヤの回転
中に外れることがない。また、屈曲部が全て曲線で形成
されるために過度の応力集中がなく、破損することがな
い。そして、左右のU字状部が雪面および凍土をグリッ
プして確実な滑り止め作用が得られる。
【0022】また、本発明のタイヤ用滑り止め装置の製
造方法にあっては、U字状の部分を180°ねじること
によりU字状部の形成と同時にずれ防止突起部が形成さ
れるので、少ない工程で製造することができる。しか
も、成形のための型が少なくて良く、安価に製造し得
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤ用滑り止め装置の外観斜視図で
ある。
【図2】形状の詳細図であって、(a)は部分正面図で
あり(b)は部分側面図である。
【図3】タイヤに装着した図であり、(a)は断面図で
あり(b)は側面図である。
【図4】本発明のタイヤ用滑り止め装置の製造方法を示
し、(a)は第1工程を示し(b)は第2工程を示す。
【符号の説明】
10 U字状部 12 ずれ防止突起部 14 連結部材 20 タイヤ用滑り止め装置 30 タイヤ 32 トレッド表面 34 縦溝
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60C 27/00 B60C 11/00 - 11/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タイヤのトレッド表面に装着される滑り
    止め装置であって、弾性と耐摩耗性を有する線材を、タ
    イヤ周方向に対して左右交互に間隔を設けてタイヤのト
    レッド表面に沿うようにU字状に突出屈曲してU字状部
    を形成し、前記間隔の部分を前記トレッド表面に対して
    直交する面でタイヤ中心方向に凸状に突起屈曲してずれ
    防止突起部を形成し、前記屈曲部分は全て曲線で形成
    し、屈曲された前記線材で前記トレッド表面の外周径よ
    りやや小径な円状に形成しまたは円状に形成し得るよう
    に連結分離自在として構成したことを特徴とするタイヤ
    用滑り止め装置。
  2. 【請求項2】 弾性と耐摩耗性を有する金属線材で交互
    に向きが逆のU字状の部分が連続する曲線蛇行形状を形
    成する第1工程と、同一側に突出するU字状の部分を蛇
    行の長さ方向で1つ置きに長さ方向を軸として同一回転
    方向で180°ねじって、左右交互に同一面上にU字状
    部を突出形成するとともに逆向きであったU字状の部分
    の底部分を前記同一面に直交して突起させてずれ防止突
    起部を形成する第2工程と、屈曲された前記線材を前記
    ずれ防止突起部が突起される側を内側に向けて装着する
    タイヤのトレッド表面の外周径よりやや小径な円状に形
    成しまたは円状に形成し得るように連結分離自在に形成
    する第3工程と、からなることを特徴としたタイヤ用滑
    り止め装置の製造方法。
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