JP3665939B2 - 自動車用タイヤの滑り止め装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は自動車用タイヤの滑り止め装置に関し、特に力の弱い女性や老人にも簡単にかつ軽く扱えるようにした滑り止め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
雪路走行時や凍結路走行時にはタイヤに滑り止め装置を装着し、走行の安全性を確保するのが一般的である。かかるタイヤの滑り止め装置には、一対のサイド部材間に複数の滑り止め帯を所定の間隔をあけて梯子状に取付けたラダー型の滑り止め装置と、複数のネット状体の両端を連結部材によって順次連結したネット型の滑り止め装置とが知られている。
【0003】
通常、この種の滑り止め装置ではこれをタイヤ外周に被せて両側の対向する端部をフック等の着脱可能な連結部材で連結して環状となした後、そのタイヤ外輪側に所定の間隔をあけて取付けられた複数の金具に順次弾性バンドを引っ掛けて緊締することが行われるが、かかる弾性バンドはその引張力を弱く設定すると滑り止め装置とタイヤト外周との密着性が確保できず、遠心力によって滑り止め装置の浮き上がりが懸念される一方、引張力を強く設定すると女性や老人等の場合には弾性バンドによる締付け作業が困難になるという不具合がある。
【0004】
そこで、従来のネット型の滑り止め装置では、各滑り止め体のタイヤ外輪側に第1ないし第4の締付け突片を突設し、第1と第2、第3と第4の締付け突片間を引き寄せた状態でリンク部材で連結する一方、第2と第3の締付突片には一対のロックアームの外端を連結し、ロックアームの他端をロックプレートの回転中心部より対称に離間した位置に枢支し、ロックプレートの回転にて第2、第3の締付け突片を引き寄せることができるようにした方式が提案されている(特公平5ー58921号公報、参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のネット型の滑り止め装置は各ネット状体をウレタン等の合成樹脂材料を用いて製造する傾向にあるが、女性や老人にも簡単に持ち運ぶことができ、しかも容易に取扱えるように軽量かつ軟質にすることが要請される。
【0006】
しかし、上記従来公報記載の滑り止め装置はその軽量軟質化を図ろうとすると、ロックプレートを両側方のロックアームで支持している関係上、回動操作する際にロックプレートが安定せず、上下左右にふらついて上手くロックプレートに操作力が伝わらず、力の弱い女性や老人には操作し難いという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑み、力の弱い女性や老人にも簡単かつ確実にかつ軽く扱えるようにした自動車用タイヤの滑り止め装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明に係る自動車用タイヤの滑り止め装置は、複数のネット状体を長手方向に配列しかつその隣接する両端を相互に連結部材で連結してなる滑り止め本体をタイヤ外周に被せ、その対向する両端を着脱可能な連結部材で環状に連結した後、環状の滑り止め本体のタイヤ外輪側を緊締するようにした自動車用タイヤの滑り止め装置において、複数の各ネット状体にはタイヤ外輪側の両端部分にネット状体の長手方向に向けて撓み得る第1、第2の可撓突片が、タイヤ外輪側の中央に支持突片が形成され、第1と第2の可撓突片には締付けアームの一端が回動可能に軸支されている一方、支持突片の先端部位には回動プレートの中央が回動可能に軸支され、回動プレートの両側部位には締付けアームの他端が回動可能に軸支されており、支持突片にて支持された状態における回動プレートの支軸回りの回動にて第1、第2の可撓突片が支持突片側に引き寄せられるようになしたことを特徴とする。
【0009】
ネット状体は軽量軟質の合成樹脂材料、例えば軟質ウレタンで薄肉軽量に製作するのがよい。回動プレート及び第1、第2の締付けアームの材質は特に限定されず、金属材料や合成樹脂材料で製作することができる。
【0010】
回動プレートと第1、第2の締付けアームとは第1、第2の可撓突片の引寄せ状態において相互の相対位置が安定し、走行中の衝撃等に起因して回動プレートの逆回動が発生し難くなっているのが望ましい。そこで、回動プレート又は第3の可撓突片には第1又は第2の締付けアームと当接して回動プレートの逆転を阻止するロック突部を設けるのがよい。
【0011】
ロック突部は第1、第2の締付けアームのいずれか一方と当接させてもよく、両方と当接させるようにしてもよい。このロック突部は第1、第2の締付けアームが回動プレートに揺動可能に連結されているので、回動プレートに設けることもできるが、製作作業を考慮すると、支持突片に設けるのがよい。
【0012】
第1、第2の可撓突片とその中間の支持突片との間に距離がある場合には締付けアームの寸法が長くなってしまう。そこで、第1、第2の可撓突片は支持突片に向けて延びる締付け片部を設け、締付け片部の先端に第1、第2の締付けアームの一端を回動可能に軸支するのがよい。
【0013】
さらに、凍結路や雪道等では周囲の気温が低く、回動プレートを簡単に回動操作して滑り止め装置を短時間のうちにタイヤに装着できるのが望ましい。そこで、回動プレートには中央の支軸に対して対称な位置に一対の操作孔う形成し、一対の操作孔に操作治具の一対の突起を嵌め込んで回動プレートを回動操作できるようにするのがよい。
【0014】
【作用及び発明の効果】
本発明によれば、回動プレートをネット状体中央の支持突片に軸支したので、回動プレートを回動操作する際に、回動プレートの位置を安定させることができる。その結果、ネット状体を軽量かつ軟質に製作しても回動プレートが上下左右に動くことがなく、回動プレートを回転させる操作力がそのまま回動プレートに伝わるので、女性や老人等の力の弱い人でも回動プレートを軽く操作できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図7は本発明の好ましい実施形態を示す。図において、滑り止め本体10は4枚のネット状体11・・・からなり、ネット状体11は軟質の合成樹脂材料、例えば軟質ウレタンを用いて薄肉で軽量のネット形状に製作され、各ネット状体11・・・はその長手方向に配列されてそのタイヤ外輪側及びタイヤ内輪側の隣接する端部が金属製リング(連結部材)12・・・によって相互に連結されている。
【0016】
滑り止め本体10の最外方の一方のネット状体11のタイヤ外輪側及びタイヤ内輪側の端部には先端部分がJ字状をなす金属製フック(着脱可能な連結部材)13、13が取付けられ、反対側のネット状体11のタイヤ外輪側及びタイヤ内輪側の端部にはフック穴14、14が形成され、これにフック13、13の先端J字状部分が引っ掛けられて滑り止め本体10を環状に連結できるようになっている。
【0017】
また、4枚の各ネット状体11・・・の表面には適当な箇所に滑り止め金具15・・・が取付けられて滑り止め性が向上されるようになっている。
【0018】
さらに、4枚の各ネット状体11・・・のタイヤ外輪側及び内輪側には両端に第1、第2の可撓突片16、17が、中央に支持突片18が各々ネット状体11の一部を延設させることにより一体に形成され、第1、第2の可撓突片16、17は支持突片18に向けて延びる締付け片部19、20が一体に形成され、第1、第2の可撓突片16、17は締付け片部19、20を引っ張られることによりネット状体11の長手方向に向けて撓み得るようになっている。
【0019】
タイヤ外輪側の第1、第2の可撓突片16、17の締付け片部19、20の先端には第1、第2の締付けアーム21、22の一端が連結ピン24によって回動可能に軸支され、又支持突片18の先端部位には三角形状の支持ベース25が一体的に形成され、支持ベース25にはほぼ長方形状をなす回動プレート26の中央が連結ピン(支軸)27によって回動可能に軸支され、回動プレート26の両側部位には第1、第2の締付けアーム21、22の他端が連結ピン(支軸)28によって回動可能に軸支されている。
【0020】
また、支持突片18の支持ベース25の先端にはロック突部29が盛り上がり形成され、該ロック突部29は第1、第2の可撓突片16、17の引寄せ状態において回動プレート26の逆回動時に第1の締付けアーム21と当接して回動プレート26の逆回動を阻止するようになっている。
【0021】
さらに、回動プレート26には中央の連結ピン27を中心にして対称な位置に一対の操作孔30、30が形成され、図7に示す操作治具31の一対の突起32、32を操作孔30、30に嵌め込んで回動プレート26を回動操作できるようになっている。
【0022】
他方、タイヤ内輪側の支持突片18の先端部位には一対の連結穴を有する連結片部33が一体に形成され、連結片部33と第1、第2の可撓突片16、17の締付け片部19、20とは金属製リング(連結部材)34、34によって相互に引き寄せた状態で連結されている。
【0023】
滑り止め装置をタイヤに装着する場合、滑り止め本体10をタイヤ40の外周面に被せるが、滑り止め本体10を構成する4枚のネット状体11・・・を軟質軽量に製作しているので、軽く持ち運んで滑り止め本体10を簡単にタイヤ40の外周面に被せることができる。
【0024】
次に、タイヤ40の内輪側に手をまわし、滑り止め本体10の一端側のネット状体11のフック穴14に、他端側のネット状体11のフック13の先端J字状部分を引っ掛けた後、タイヤ40の外輪側でも同じく滑り止め本体10の一端側のネット状体11のフック穴14に、他端側のネット状体11のフック13の先端J字状部分を引っ掛け、滑り止め本体10を環状に連結する。
【0025】
こうして滑り止め本体10のタイヤ40の外周への装着が済むと、操作治具31を手にもってその一対の突起32、32を回動プレート26の一対の操作孔30、30に差し込み、操作治具31を図6の(a) の矢印A方向に捻ると、回動プレート26が連結ピン27の回りに回動し、第1、第2の締付けアーム21、22はその内端側の連結ピン28、28が回動プレート26の連結ピン27の回りに回動しつつ、図6の(a) の矢印Bに示すように、支持突片18側に引き寄せられる。
【0026】
その際、回動プレート26は支持突片18によって下方を支持されており、前後左右に動くことがないので、操作治具31を捻る力がそのまま回動プレート26に伝わるので、回動プレート26を軽く操作できる。
【0027】
回動プレート26が図6の(b) に示す状態になると、第1、第2の締付けアーム21、22が完全に引き寄せられ、それに伴って第1、第2の可撓突片16、17も支持突片18側に引き寄せられる。他のネット状体11・・・についても同様の操作を行うと、滑り止め本体10のタイヤ外輪側を確実に緊締でき、走行中に滑り止め本体10の浮き上がりが懸念されることがない。
【0028】
滑り止め装置を外す場合には上記と逆の操作を行えばよいが、回動プレート26が軽量軟質の支持突片18に支持されているので、回動プレート26を捻る際に、支持突片18の一部を弾性変形させて第1、第2の締付けアーム21、22にロック突部29を乗り越えさせることができる。
【0029】
従って、ネット状体11を軽量かつ軟質に製作しても回動プレート26を軽くかつ確実に操作できるので、軽量で取扱いの容易な滑り止め装置が得られることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による滑り止め装置のタイヤへの装着状態を示す概略斜視図である。
【図2】 上記滑り止め装置の全体構成を示す図である。
【図3】 上記滑り止め装置におけるネット状体を示す要部平面図である。
【図4】 上記滑り止め装置における支持突片を示す図である。
【図5】 図4の断面図である。
【図6】 上記滑り止め装置におけるタイヤ外輪側の緊締前及び緊締後の状態を示す図である。
【図7】 上記滑り止め装置の操作治具を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 滑り止め本体
11 ネット状体
16 第1の可撓突片
17 第2の可撓突片
18 支持突片
19 第1の締付け片部
20 第2の締付け片部
21 第1の締付けアーム
22 第2の締付けアーム
26 回動プレート
27 連結ピン(支軸)
29 ロック突部
30 操作孔
31 操作治具
32 突起
40 タイヤ

Claims (4)

  1. 複数のネット状体を長手方向に配列しかつその隣接する両端を相互に連結部材で連結してなる滑り止め本体をタイヤ外周に被せ、その対向する両端を着脱可能な連結部材で環状に連結した後、環状の滑り止め本体のタイヤ外輪側を緊締するようにした自動車用タイヤの滑り止め装置において、
    複数の各ネット状体(11 ・・・) にはタイヤ外輪側の両端部分にネット状体の長手方向に向けて撓み得る第1、第2の可撓突片(16 ・・・、17・・・) が、タイヤ外輪側の中央に支持突片(18 ・・・) が各々形成され、第1と第2の可撓突片(16 、17) には第1、第2の締付けアーム(21 、22) の一端が回動可能に軸支されている一方、支持突片(18)の先端部位には回動プレート(26)の中央が回動可能に軸支され、回動プレート(26)の両側部位には第1、第2の締付けアーム(21 、22) の他端が回動可能に軸支されており、回動プレート(26)が支持突片(18)によって支持された状態でその支軸(27)の回りに回動されることにより第1、第2の可撓突片(16 、17) が支持突片(18)側に向けて引き寄せられるようになしたことを特徴とする自動者用タイヤの滑り止め装置。
  2. 回動プレート(26)又は支持突片(18)には第1又は第2の締付けアーム(21 、22) と当接して回動プレート(26)の逆回動を阻止するロック突部(29)が設けられている請求項1記載の自動車用タイヤの滑り止め装置。
  3. 第1、第2の可撓突片(16 、17) は支持突片(18)に向けて延びる締付け片部(19 、20) を有し、締付け片部(19 、20) の先端に第1、第2の締付けアーム(21 、22) の一端が回動可能に軸支されている請求項1記載の自動車用タイヤの滑り止め装置。
  4. 回動プレート(26)には中央の支軸(27)に対して対称な位置に一対の操作孔(30 、30) が形成されており、一対の操作孔(30 、30) に操作治具(31)の一対の突起を(32 、32) 嵌め込んで回動プレート(26)を回動操作可能となした請求項1ないし3のいずれかに記載の自動車用タイヤの滑り止め装置。
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