JP3223575B2 - 化合物半導体とその製造方法 - Google Patents
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Description
原料とする化合物半導体薄膜の気相成長により、化合物
半導体層を形成する方法に係わり、特に成長層の平坦化
及び選択成長用保護膜上への堆積を抑制するのに適した
化合物半導体の製造方法に関するものである。
次元ガスを用いたデバイスや量子効果デバイスが精力的
に開発されている。これらのデバイスを作製するために
は、精密に成長速度を制御する必要があり、通常は分子
線エピタキシャル成長(MBE)法や有機金属気相成長
(MOVPE)法が用いられている。実際に、これらの
成長法を用いて、原子層レベルで急峻なヘテロ界面が形
成されている。これらの構造を素子に応用するとき、ヘ
テロ界面の平坦性は素子特性に大きな影響を与える。例
えばAlを含んだ化合物界面では、Alを含んだ化合物
分子のマイグレーション距離が短いため平坦性が悪く、
その界面での電子の移動度を劣化させるなどの課題があ
る。また、最近さらに素子構造を最適化させるために選
択成長が用いられているが、選択成長の利点としては、
ダメージレス、比較的低温でのプロセスであるため、品
質の高い選択成長領域を得ることができ、高性能の素子
が得られることにある。MBE法では選択成長が非常に
困難であるために、通常はMOVPE法で選択成長が行
われている。
うときに、保護膜上に多結晶を堆積させないようにする
ために、成長条件、混晶比及びマスク幅等に大きな制約
を受ける。特にAlを含んだ化合物の場合、Alの混晶
比を上げるほど、そしてマスク幅が大きくなるほど、保
護膜上に堆積しやすくなり、望みの素子構造を得られな
くなってしまうという課題が生じていた。
かる課題を解決すべく鋭意検討の結果、ハロゲン元素を
含まない水素化物及びハロゲン元素を含まない有機金属
を成長用原料とするIII−V族化合物半導体薄膜の気相
成長法において、III族有機金属原料ガスと、エッチン
グに用いる、ハライドガス及び/又はハロゲンガスを交
互に成長室内に導入することを繰り返すことにより成長
面を平坦化させたり、広い範囲にわたりマスク上に多結
晶を堆積させずに高品質な結晶成長が可能となることを
見出し本発明に到達した。すなわち本発明の目的は、成
長面の平坦性が向上し、素子特性の優れた半導体の製造
方法を提供することにあり、そしてかかる目的は、ハロ
ゲン元素を含まない水素化物及びハロゲン元素を含まな
い有機金属を成長用原料とするIII−V族化合物半導体
薄膜の気相成長法において、III族有機金属原料ガス
と、ハライドガス及び/又はハロゲンガスを交互に成長
室内に導入することを繰り返して薄膜を成長させること
を特徴とする半導体の製造方法、により容易に達成され
る。
の製造方法に用いられる化合物半導体原料としては、一
般に用いられるハロゲン元素を含まない水素化物及びハ
ロゲン元素を含まない有機金属であれば特に限定されな
い。一般的には、ハロゲン元素を含まない水素化物とし
ては、アルシン(AS H3 )、ホスフィン(PH3 )等
が用いられ、ハロゲン元素を含まない有機金属としては
トリメチルガリウム(TMG)、トリエチルガリウム
(TEG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリ
メチルインジウム(TMI)等が用いられる。
水素化物及びハロゲン元素を含まない有機金属を成長用
原料とするIII−V族化合物半導体薄膜の気相成長法に
おいて、III族有機金属原料ガスと、ハライドガス及び
/又はハロゲンガスを交互に成長室内に導入して薄膜を
成長させることを特徴としている。この操作により、成
長層表面の平坦化や保護膜上への多結晶の成長が生じな
くなるのである。ここでハロゲン元素を含まない原料を
用いるのは、例えば、III 族またはV族の原料を塩化ガ
リウム(GaCl)、ジエチルガリウムクロライド
((C2H5) 2GaCl)、三塩化ヒ素(AsCl3 )
等のハロゲン化物を用いると成長機構が複雑になり、精
密な成長速度の制御が困難になったり、Alを含んだ化
合物を成長する場合石英管が浸食されるといった課題が
生じてしまうためである。
ガスとしては、特に限定されないが、成長させる化合物
の母体元素を含まないものが好ましく、具体的には、ハ
ロゲンガスとしては、Cl2 ,I2,F2,Br2が挙げ
られ、ハライドガスとしてはハロゲン化水素ガス、ハロ
ゲン化硫化ガスが好ましく、具体的にはHBr,HI,
HF,HCl,CCl2 F2 ,SF6,CH3Cl,CC
l4等及びこれらの混合物が挙げられ、好ましくはHC
lである。該ハライドガス及び/又はハロゲンガスの使
用量は、通常の半導体薄膜表面のエッチングを行うより
少ない量でかまわないが、特に限定されず、成長室の大
きさ、成長部屋の温度等を勘案して当業者が任意に設定
すればよい。また流すガスの全圧は常圧以下が好まし
い。成長温度については一般に気相成長法に用いられる
条件であれば問題なく、一般的には500〜800℃好
ましくは600〜800℃程度である。
と、ハライドガス及び/又はハロゲンガスを交互に成長
室内に導入するが、1回のIII族有機金属原料ガスの供
給の継続時間は、1分以下が好ましく、より好ましくは
30秒以下である。該継続時間が1分を超えると成長表
面の平坦化等の本発明の効果が得られにくくなる。そし
てIII族有機金属原料ガスの供給を停止し、今度はハラ
イドガス及び/又はハロゲンガスを供給する。ハライド
ガス及び/又はハロゲンガスの供給時間もまた1分以下
が好ましく、特に好ましくは30秒以下である。両者の
供給を切り換える際のIII族有機金属原料ガスもハライ
ドガス及び/又はハロゲンガスも流していない時間は特
に限定しないが、長時間になると作業性が悪くなるため
10秒以下が好ましく、成長面上でIII族有機金属原料
ガスとハライドガス及び/又はハロゲンガスが混じらな
いよう、1〜10秒がより好ましい。
物半導体薄膜の成長に有効であるが、特にアルミニウム
を含むIII−V族化合物半導体薄膜の成長に適してい
る。アルミニウムを含む原料ガスとしては、公知の種々
の材料が使用できるが、反応が比較的簡単で、分解後に
生じるガスの挙動が明確、かつ比較的廉価なトリアルキ
ルアルミニウムが好ましい。またこの場合もハライドガ
ス及び/又はハロゲンガスとしてはHClが好ましい。
本発明のIII−V族化合物半導体薄膜をドーピングする
際のドーパントの種類としては公知の種々のものが使用
されるが、III族サイトに入るドーパントの場合に本発
明の効果が大きく現れ、具体的にはシリコン及び亜鉛で
あるをドープしたときに顕著である。そして本発明の効
果が特に顕著に現れるのは、シリコン及び亜鉛をドーパ
ントとしたアルミニウムを含むIII−V族化合物半導体
薄膜を製造する場合である。
元素を含まない有機金属を成長用原料とするIII−V族
化合物半導体薄膜の気相成長法において、III族有機金
属原料ガスと、ハライドガス及び/又はハロゲンガスを
少なくとも1回は交互に成長室内に導入することによ
り、従来のMOVPE法とほとんど変わらない成長条件
で成長させて、ヘテロ界面を平坦化させたり、表面モホ
ロジーやファセット表面が平坦に改善され、また広い範
囲にわたりマスク上に多結晶を堆積させずに高品質な結
晶成長が可能となる。
発明はその要旨を超えない限り実施例に限定されるもの
ではない。 [実施例]GaAs基板上にプラズマCVD法によっ
て、窒化珪素(SiNX)膜を100nm堆積させた
後、フォトリソグラフィー法を用いて部分的にGaAs
を露出させた。露出させたGaAsと、となりの同じく
露出させたGaAsとの間隔を2ミクロンから1mmま
で変化させた。このストライプパターンの様子を図1に
示す。
プログラムにより、SiドープしたAlAsを成長させ
た。III族有機金属原料ガスとしてはTMA(トリメチ
ルアルミニウム)、V族原料ガスとしてはアルシン(A
sH3)、ハライドガスとしてはHClを用いた。この
時成長温度は700℃、成長圧力は0.1気圧であっ
た。またHClとTMAは等モル供給した。SiNX膜
で覆わない場合のAlAsの成長速度は1ミクロン/h
rである。まずアルシンとキャリアガスであるH2雰囲
気中で5秒間TMAを流し、次に1秒間のインターバル
の後、HClを5秒間流し、さらに1秒間のインターバ
ルを1周期とし、再び最初のTMAを5秒間流す工程に
戻る、というようにして図2のガスフロープログラムを
実行し、180周期繰り返した。この間アルシンとキャ
リアガスであるH2は常に供給し続け、Siのドーピン
グ源であるジシラン(Si2H6)は、1×1018/cm
3のドーピングに相当する量をTMAに同期させて供給
した。この結果、幅が500ミクロン以上のSiNX膜
上にごくわずかなAlAsの核形成がみられたが、幅が
500ミクロン未満のSiNX膜上には全くAlAsの
形成は見られず、露出したGaAs上のみに選択的にA
lAsが成長した。さらに成長させたAlAsのキャリ
ア濃度を測定したところ、9×1017/cm3であっ
た。
うなガスフロープログラムを用いる以外は実施例と同様
にしてAlAsを成長させた。この結果全てのSiNX
膜上にほぼ全面におよぶAlAsの多結晶の成長が見ら
れた。 [比較例2]交互供給を行わず、TMA、ジシラン、ア
ルシン、HClをH2雰囲気中で連続的に供給した以外
は実施例と同様にしてAlAsを成長させた。この結
果、選択成長に関しては、実施例と同様、幅が500ミ
クロン以上のSiNX膜上にごくわずかなAlAsの核
形成がみられたが、幅が500ミクロン未満のSiNX
膜上には全くAlAsの形成は見られず、露出したGa
As上のみに選択的にAlAsが成長した。しかしなが
ら成長させたAlAsのキャリア濃度を測定したとこ
ろ、1×1016/cm3以下となってしまった。
元素を含まない水素化物及びハロゲン元素を含まない有
機金属を成長用原料とするIII−V族化合物半導体薄膜
の気相成長法において、III族有機金属原料ガスと、成
長させる化合物の母体元素を含まないハライドガス及び
/又はハロゲンガスを少なくとも1回は交互に成長室内
に導入することにより、ヘテロ界面を平坦化させたり、
広い範囲にわたりマスク上に多結晶を堆積させずに高品
質な結晶成長が可能となる。本発明では、成長速度は微
量のHCl添加により数パーセント減少するが、従来の
MOVPEの再現性・制御性を充分に残しており、実用
上有効な手法である。
X 膜のストライプパターンの説明図である。
である。
ムである。
Claims (5)
- 【請求項1】 ハロゲン元素を含まない有機金属をII
I族成長原料とし、ハロゲン元素を含まない水素化合物
をV族の成長用原料とするIII−V族化合物半導体薄膜
の気相成長方法であって、V族成長用原料ガスがIII族
有機金属ガス導入時に成長室に導入されており、この時
にIII−V族化合物半導体薄膜が形成され、また該III族
有機金属原料ガスと、ハライドガス及び/又はハロゲン
ガスを交互に成長室内に導入することを繰り返し該薄膜
を成長させ、該III−V族化合物半導体薄膜にドーピン
グすることを特徴とする気相成長方法。 - 【請求項2】 成長方法が選択成長である請求項1記
載の気相成長方法。 - 【請求項3】 1回の前記III族原料ガスの成長室へ
の導入時間が1分以下である請求項1又は2記載の気相
成長方法。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の気相
成長方法において、1回の前記ハライドガス及び/又は
ハロゲンガスの成長室への導入時間が30秒以下で行わ
れることを特徴とする方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の気相
成長方法によって製造されたIII−V族化合物半導体。
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