JP3218150B2 - 非着色性ポリカーボネート樹脂 - Google Patents

非着色性ポリカーボネート樹脂

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JP3218150B2
JP3218150B2 JP16362894A JP16362894A JP3218150B2 JP 3218150 B2 JP3218150 B2 JP 3218150B2 JP 16362894 A JP16362894 A JP 16362894A JP 16362894 A JP16362894 A JP 16362894A JP 3218150 B2 JP3218150 B2 JP 3218150B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、着色度の少ないポリカ
ーボネートに関するものであり、詳しくは塩基性触媒に
対して、塩基性触媒を中和する酸性物質を添加し、2価
フェノールと炭酸ジエステルとを溶融エステル交換重縮
合させて得られるポリカーボネート中に含まれる特定の
化合物が少ないことから、着色度の少ないポリカーボネ
ート樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】高分子
量ポリカーボネートは、幅広い用途、特に射出成形用又
は窓ガラスの代わりのガラスシートとしての用途を有す
る汎用エンジニアリングサーモプラスチックスである。
【0003】界面重縮合法は、一般的にポリカーボネー
トの製造に効果的であるが、有毒なホスゲンを使用する
ことや塩素イオンが、生成するポリカーボネートに残存
することなどの欠点を有する。
【0004】これらの欠点を除くために、有毒なホスゲ
ンの代わりにホスゲンのダイマーである液体のトリクロ
ロメチルクロロホルメートを用いて特殊な2価フェノー
ルと界面重縮合反応でポリカーボネートを製造すること
が特開昭63−182336号公報に開示されている。
【0005】しかしながら、特殊な2価フェノールとし
て9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン
類についての記載があるのみである。また、有毒なホス
ゲンの代わりにトリホスゲンを用いて2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパンからポリカーボネート
を得ることがAngew. Chem.(アンゲバンテ・ヘミー),
99,922(1987) に記載されているが、ホスゲンが発生す
る反応機構も提唱されている。
【0006】また、特開昭60-51719公報(特公昭64-100
03号公報)には、特定の含窒素塩基性化合物、即ち、水
酸化第4級アンモニウム及びホウ酸エステルを含む混合
物を触媒として用いたポリカーボネートの製造法が提案
されていて、用いられる触媒の重合活性が低いものの、
比較的淡色なポリカーボネートが得られる。しかし、触
媒の重合活性が低いと重合に時間がかかるので工業的に
生産性が低く、重合中に分岐構造などの副反応を起こし
やすくなり、樹脂が着色するという問題点があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、毒性のホスゲンを用いずにポリカーボネート樹
脂中に含まれる特定の化合物を少なくすることにより、
着色の少ないポリカーボネート樹脂を見出し、本発明を
完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、エステル交換触媒の存在
下、酸性化合物としてホウ酸及び亜リン酸水素アンモニ
ウム、又は亜リン酸水素アンモニウムを添加して、2価
フェノールと炭酸ジエステルとから溶融エステル交換法
によって重縮合して得られ、且つp−ヒドロキシアセト
フェノンの含有量が 20ppm以下であるポリカーボネート
樹脂に関する。
【0009】本発明の製造法によって製造されたポリカ
ーボネート樹脂は、p−ヒドロキシアセトフェノンの含
有量が 20ppm以下である。更に、空気中 160℃で30日間
加熱(以下ヒートエージングテストという)した後のp
−ヒドロキシアセトフェノンの含有量は250ppm以下であ
ることが好ましい。
【0010】本発明のポリカーボネート樹脂で作成した
0.5mmシートは、ヒートエージングテスト後の切断数
(s30)が0.25以下である。また、本発明のポリカーボネ
ート樹脂で作成した2mmシートは、ヒートエージングテ
スト後の黄色度(YI30) と加熱前の黄色度(YI0)との比
(YI30/YI0)が20以下であり、ヒートエージングテスト
後の黄色度(YI30) が30以下である。それぞれの値を超
えると、ポリカーボネート樹脂のヒートエージング時の
物性低下を招く。
【0011】本発明に使用しうるエステル交換触媒とし
ては塩基性触媒が好ましく、例えば、含窒素塩基性化合
物、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の
中から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせが挙げら
れる。含窒素塩基性化合物の中では特に、電子供与性ア
ミン及びそれらの塩の中から選択された1種又は2種以
上の触媒が好ましい。
【0012】電子供与性アミンの代表的例としては、4
−(4−メチル−1−ピペリジニル)ピリジン、N,N
−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノ
ピリジン、4−ピロリジノピリジン、4−アミノピリジ
ン、2−アミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2
−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、4−ヒド
ロキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2
−メトキシイミダゾール、2−メルカプトイミダゾー
ル、アミノキノリン、ヘンズイミダゾール、イミダゾー
ル、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾー
ル、ジアザビシクロオクタン (DABCO) 、1,8−
ジアザ−ビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン (D
BU) 、4−(4−メチルピロリジニル)ピリジン等を
用いることができる。
【0013】さらに、上記電子供与性アミン化合物の対
イオンを形成する酸の代表例としては、炭酸、酢酸、ギ
酸、硝酸、亜硝酸、しゅう酸、硫酸、リン酸、フッ素ホ
ウ素酸、水素ホウ素酸がある。
【0014】また、アルカリ金属化合物の代表例として
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素
リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウ
ム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ス
テアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステア
リン酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸リチウム、
ホウ酸カリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ
素リチウム、水素化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素
ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、
安息香酸リチウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水
素二カリウム、リン酸水素二リチウム、ビスフェノール
Aの二ナトリウム塩、二カリウム塩、二リチウム塩、フ
ェノールのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等が
挙げられるが、好ましくはホウ酸リチウム、水酸化リチ
ウムが用いられる。
【0015】アルカリ土類金属化合物の代表例として
は、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネ
シウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、
炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ス
トロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マ
グネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸バリウム、酢酸
マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カル
シウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシ
ウム、ステアリン酸ストロンチウム、ホウ酸マグネシウ
ム等が挙げられるが、これらの中でもホウ酸マグネシウ
ムなどのホウ酸アルカリ土類金属塩が好ましい。
【0016】また、本発明に使用しうる塩基性物質を中
和する酸性化合物はホウ酸、亜リン酸水素アンモニウム
であり、これらの1種又は2種の組み合わせでもよい。
【0017】本発明で用いられる炭酸ジエステルの代表
例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカー
ボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−
クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス
(ビフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、
ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシク
ロヘキシルカーボネート等が挙げられる。これらのうち
特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0018】また、上記のような炭酸ジエステルは、50
モル%以下の量のジカルボン酸エステルを含有してもよ
い。即ち、テレフタル酸ジフェニル又はイソフタル酸ジ
フェニル等を含有してもよい。この様な場合には、ポリ
エステルカーボネートが得られる。
【0019】また、本発明で用いられる2価フェノール
の代表例としては、下記の一般式(I) 〜(IV)で表される
化合物が挙げられる。
【0020】
【化1】
【0021】(式中、R1〜R5はそれぞれ水素原子又は炭
素数1〜8の直鎖又は枝分かれを含むアルキル基又はフ
ェニル基であり、 Xはハロゲン原子であり、n=0〜
4、m=1〜4である。) 上記一般式(I) で表される化合物に分類される2価フェ
ノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)オクタン、4,4'−ジヒドロキシ−2,2,
2−トリフェニルエタン、2,2−ビス(3,5−ジブ
ロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられ
る。
【0022】上記一般式(II)で表される化合物に分類さ
れる2価フェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec-ブチルフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン等が
挙げられる。
【0023】上記一般式(III) で表される化合物に分類
される2価フェノールとしては、1,1'−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、
1,1'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソ
プロピルベンゼン等が挙げられる。
【0024】上記一般式(IV)で表される化合物に分類さ
れる2価フェノールとしては、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0025】さらに、上記一般式 (I)〜(IV)で表される
化合物の中から選択された2種又は3種以上の2価フェ
ノールを組み合わせたポリカーボネート共重合体を製造
することも可能である。
【0026】本発明の方法は、炭酸ジエステルと2価フ
ェノールを電子供与性アミン及びそれらの塩の中から選
ばれた1種又は2種以上の触媒に対して、塩基性触媒を
中和する酸性化合物を添加し、溶融エステル交換重縮合
反応させることにより実施される。
【0027】この反応が進む温度は、 100℃以上〜約 3
00℃までの範囲である。好ましくは130℃〜 280℃の範
囲である。反応温度が 100℃未満であると反応速度が遅
くなり、 300℃を超えると副反応が起こりやすくなる。
【0028】そこで、着色に関与する特定の化合物を少
なくすることに寄与する酸性化合物は、使用する触媒の
モル数量に対して0.01〜500 倍モル必要とする。塩基性
触媒が含窒素塩基性化合物の場合は、好ましくは0.01〜
10倍モルであり、塩基性触媒がアルカリ金属化合物又は
アルカリ土類金属化合物の場合は、好ましくは5〜200
倍モルである。0.01倍モル未満であると熱安定化に効果
なく、 500倍モルを超えると重合度があがらなくなるの
で好ましくない。
【0029】酸性化合物の添加時期は、原料モノマーで
ある2価フェノールと炭酸ジエステルおよびエステル交
換触媒を仕込むときに、同時に添加しても良く、また、
反応開始後、重合体の相対粘度(ポリマー濃度 0.5g/
dl、20℃、メチレンクロリド濃度で測定)が約 1.1以上
に達した任意の時点で加えることが出来る。
【0030】また、本発明においては、上記のようにし
て得られたポリカーボネートに耐熱防止剤としてリン化
合物やヒンダードフェノール化合物を配合して、着色度
の少ない熱安定化されたポリカーボネート組成物を得る
こともできる。
【0031】本発明に使用しうるリン化合物の代表例と
しては、トリエチルホスファイト、トリイソプロピルホ
スファイト、トリイソデシルホスファイト、トリドデシ
ルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、
ジフェニルイソデシルホスファイト、トリフェニルホス
ファイト、トリス−トリルホスファイト、フェニル−ビ
ス(4−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(4−
オクチルフェニル)ホスファイト、トリス(4−(1−
フェニルエチル)フェニル)ホスファイト、トリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、下
記式で表されるテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスフォナイト、
【0032】
【化2】
【0033】下記式で表されるペンタエリスリトール−
ジ〔(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)
ホスファイト〕、
【0034】
【化3】
【0035】下記式で表されるペンタエリスリトール−
ジ〔(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイ
ト〕、
【0036】
【化4】
【0037】下記式で表されるテトラキス(2,4−ジ
−t−ブチルフェニル)−4,4'−(2,2−ジフェニ
ルプロパン)ホスフォナイト、
【0038】
【化5】
【0039】下記式で表されるジアルコキシフェニルリ
ン酸
【0040】
【化6】
【0041】(式中、R6、R7は炭素数1〜20の直鎖又は
枝分れを含むアルキル基又はアルキル基置換フェニル
基、Phはフェニル基、nは1〜5の整数を示す。)等で
ある。また、上記のリン化合物を2種又はそれ以上組み
合わせて用いることも出来る。
【0042】リン化合物の添加時期は、原料モノマーを
仕込む時に、同時に添加してもよく、また、反応開始後
任意の時点で添加することも可能である。また、加える
リン化合物の量は2価フェノールに対して10〜1000ppm
が好ましい。10ppm 未満であると熱安定化に効果はな
く、1000ppm を超えると物性に悪影響を及ぼすので好ま
しくない。
【0043】本発明に使用しうるヒンダードフェノール
化合物の代表例としては、オクタデシルプロピオネート
−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、
トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル
−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステルを
はじめ、下式の (A)〜(C) で表される化合物等が挙げら
れる。
【0044】
【化7】
【0045】また、前記のヒンダードフェノール化合物
を2種又はそれ以上の組み合わせで用いることも出来
る。
【0046】ヒンダードフェノール化合物の添加時期
は、リン化合物の添加時期と同じでも良く、また別々の
任意の時期でもよい。また、加えるヒンダードフェノー
ル化合物の量は2価フェノールに対して10〜2000ppm が
好ましい。 10ppm未満であると熱安定化に効果はなく、
2000ppm を超えると物性に悪影響を及ぼすので好ましく
ない。
【0047】触媒として用いる電子供与性アミン、アル
カリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の中から選
ばれる1種又は2種以上の組み合わせの合計量は、反応
系中に存在する2価フェノール1モルに対して10-8〜10
-1モルが好ましく、更に好ましくは10-6〜10-2モルであ
る。10-8モル未満であると触媒作用が少なくポリカーボ
ネートの重合速度が遅くなり、10-1モルより多くなると
触媒として生成するポリカーボネート中に残存する率が
高くなるので、ポリカーボネートの物性低下を招く。
【0048】上記のようなポリカーボネートを得るため
に、炭酸ジエステルの必要量は、2価フェノール1モル
に対して1.01〜1.5 倍モル、好ましくは1.015 〜1.20倍
モル用いて、生成するポリカーボネートの末端を炭酸エ
ステルで封止することが好ましい。
【0049】
【実施例】以下に本発明を実施例について説明するが、
本発明はこれらの実施例によって限定されるものではな
い。
【0050】比較例A ニッケル張り製槽型反応器に、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン4560g(20モル)、ジフェニ
ルカーボネート4391.5g(20.5モル)、N,N−ジメチ
ル−4−アミノピリジン 489mg(4×10-3モル)、ホウ
酸1.2366g(2×10-2モル)を加え、窒素下 160℃で融
解後、1時間攪拌し、徐々に減圧にしながら昇温させ、
最終的に1Torr、 270℃、4時間重縮合させ、生成する
フェノールを留去し、更に縦型二軸セルフクリーニング
型反応機で50分反応させることにより、無色透明なポリ
カーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹
脂の粘度平均分子量(Mv)を測定すると、Mv=29,000であ
った。また、末端水酸基濃度は18モル%であった。ポリ
カーボネート樹脂中に含まれる着色性化合物を表1に示
す。
【0051】粘度平均分子量の測定方法は、20℃におけ
る塩化メチレン溶液の固有粘度〔η〕をウベローデ粘度
計を用いて測定し、次式を用いて粘度平均分子量Mvを計
算した。 〔η〕=1.11×10-4(Mv)0.82 比較例B 比較例A と全く同様の条件下で、ホウ酸1.2366g(2×
10-2モル)の代わりにホウ酸12.366g(2×10-1モル)
を加え、比較例Aと同様の方法で重縮合反応を行い、無
色透明なポリカーボネート樹脂を得た。得られた樹脂の
粘度平均分子量(Mv)は24,600であった。また、末端水酸
基濃度は14モル%であった。ポリカーボネート樹脂中に
含まれる着色性化合物を表1に示す。
【0052】比較例C 比較例A と全く同様の条件下で、N,N−ジメチル−4
−アミノピリジン 489mg(4×10-3モル)、ホウ酸1.23
66g(2×10-2モル)の代わりにホウ酸リチウム1.72mg
(2×10-4モル)、ホウ酸20mg(3.2×10-3モル)を加
え、比較例Aと同様の方法で重縮合反応を行い、無色透
明なポリカーボネートを得た。得られた樹脂の粘度平均
分子量(Mv)は27,500であった。また、末端水酸基濃度は
11モル%であった。ポリカーボネート樹脂中に含まれる
着色性化合物を表1に示す。
【0053】比較例D 比較例A と全く同様の条件下で、N,N−ジメチル−4
−アミノピリジン 489mg(4×10-3モル)、ホウ酸1.23
66g(2×10-2モル)の代わりにN,N−ジメチル−4
−アミノピリジン 245mg(2×10-3モル)とN,N−ジ
メチル−4−アミノピリジンの炭酸塩 368mg(2×10-3
モル)、ホウ酸 250mg(4×10-3モル)を加え、比較例
と同様の方法で重縮合反応を行い、無色透明なポリカ
ーボネートを得た。得られた樹脂の粘度平均分子量(Mv)
は28,400であった。また、末端水酸基濃度は16モル%で
あった。ポリカーボネート樹脂中に含まれる着色性化合
物を表1に示す。
【0054】実施例 比較例A と全く同様の条件下で、ホウ酸1.2366g(2×
10-2モル)の代わりに亜リン酸水素アンモニウム1.98g
(2×10-2モル)を加え、比較例Aと同様の方法で重縮
合反応を行い、無色透明なポリカーボネートを得た。得
られた樹脂の粘度平均分子量(Mv)は26,000であった。ま
た、末端水酸基濃度は23モル%であった。ポリカーボネ
ート樹脂中に含まれる着色性化合物を表1に示す。
【0055】比較例E 比較例A で用いた反応器に、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン2280g(10モル)、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパ
ン3400g(10モル)、ジフェニルカーボネート4349g
(20.3モル)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン
489mg(4×10-3モル)、ホウ酸1.2366g(2×10-2
ル)を加え、比較例Aと同様な方法で共重合ポリカーボ
ネート(ランダム性は約50%)を得た。得られた樹脂の
粘度平均分子量(Mv)は26,500であった。また、末端水酸
基濃度は18モル%であった。ポリカーボネート樹脂中に
含まれる着色性化合物を表1に示す。ランダム性は13C-
NMR によりカーボネート結合の炭素のケミカルシフトか
ら測定した。
【0056】比較例F 比較例A の原料に加え、リン化合物としてトリス (2,
4−ジ−t−ブチルフェニル) フォスファイト100ppmを
さらに加え、比較例Aと同様に反応させて、無色透明な
ポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートが
未だ溶融状態にあるうちに、ヒンダードフェノール化合
物として、オクタデシルプロピオネート−3− (3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル) 200ppmを
加え、ギヤーポンプを通じて、ストランドカットした。
このようにして得られたポリカーボネートの粘度平均分
子量(Mv)は26,700であった。また、末端水酸基濃度は17
モル%であった。ポリカーボネート樹脂中に含まれる着
色性化合物を表1に示す。
【0057】比較例G 比較例A で用いた反応器に、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン4560g(20モル)、ジフェニル
カーボネート4391.5g(20.5モル)、N,N−ジメチル
−4−アミノピリジン 489mg(4×10-3モル)、ホウ酸
24.732g(4×10-1モル)を加え、窒素下 200℃で融解
後、1時間攪拌し、徐々に減圧にしながら昇温させ、最
終的に1Torr、 270℃、4時間重縮合させ、生成するフ
ェノールを留去し、更に縦型二軸セルフクリーニング型
反応機で80分反応させることにより、無色透明なポリカ
ーボネートを得た。得られたポリカーボネートの粘度平
均分子量(Mv)を測定すると、Mv=23,000であった。ま
た、末端水酸基濃度は28モル%であった。ポリカーボネ
ート樹脂中に含まれる着色性化合物を表1に示す。
【0058】比較例1比較例A で用いたホウ酸を加えずに比較例Aの方法で重
縮合反応を行い、無色透明のポリカーボネートを得た。
得られた樹脂の粘度平均分子量(Mv)は29,500であった。
また、末端水酸基濃度は48モル%であった。ポリカーボ
ネート樹脂中に含まれる着色性化合物を表1に示す。
【0059】比較例2比較例A で用いたホウ酸の量を 136g(2.2モル)に変更
して比較例Aの方法で重縮合反応を行い、淡黄色のポリ
カーボネートを得た。得られた樹脂の粘度平均分子量(M
v)は14,000であった。また、末端水酸基濃度は35モル%
であった。ポリカーボネート樹脂中に含まれる着色性化
合物を表1に示す。
【0060】実施例1、比較例A〜G及び比較例1〜2
で得られたポリカーボネートを用い、厚み0.5mm 、50mm
×50mmのシートをホットプレス急冷法で作成し、 160
℃、10日後、20日後、30日後の粘度平均分子量を測定し
た。また下記式より切断数(s)を求めた。また、厚み2m
m、50mm×50mmのシートを上記と同様の方法で作成し、1
60℃、10日後、20日後、30日後の色相(YI)を測定した。
【0061】
【数1】
【0062】色相(YI)は日本電色(株)300Aを用いて測
定した。
【0063】末端水酸基濃度の測定方法は13C-NMR を用
いて、測定モード・ゲーテッド・デカップリングで測定
し、114.80ppm と129.50ppm の比から算出した。
【0064】不純物濃度は下記のように測定した。 〔p−ヒドロキシアセトフェノンの測定法〕ガスクロマ
トグラフ装置(島津製作所GC-14A)を用いて測定した。
【0065】結果を表1に示す。
【0066】
【表1】

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エステル交換触媒の存在下、酸性化合物
    としてホウ酸及び亜リン酸水素アンモニウム、又は亜リ
    ン酸水素アンモニウムを添加して、2価フェノールと炭
    酸ジエステルとから溶融エステル交換法によって重縮合
    して得られ、且つp−ヒドロキシアセトフェノンの含有
    量が20ppm 以下であるポリカーボネート樹脂。
  2. 【請求項2】 空気中 160℃で30日間加熱した後のp−
    ヒドロキシアセトフェノンの含有量が250ppm以下である
    ことを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート樹
    脂。
  3. 【請求項3】 ポリカーボネート樹脂の2mmシートを、
    空気中 160℃で30日間加熱した後の黄色度(YI30) と加
    熱前の黄色度(YI0)との比(YI30/YI0)が20以下である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のポリカーボネー
    ト樹脂。
  4. 【請求項4】 ポリカーボネート樹脂の2mmシートを、
    空気中 160℃で30日間加熱した後の黄色度(YI30) が30
    以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項
    に記載のポリカーボネート樹脂。
  5. 【請求項5】 ポリカーボネート樹脂の0.5mmシート
    を、空気中 160℃で30日間加熱した後の切断数 (s30)が
    0.25以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか
    1項に記載のポリカーボネート樹脂。
  6. 【請求項6】 エステル交換触媒が塩基性触媒である請
    求項1〜5の何れか1項に記載のポリカーボネート樹
    脂。
  7. 【請求項7】 塩基性触媒が含窒素塩基性化合物、アル
    カリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の中から選
    ばれる1種又は2種以上の組み合わせである請求項1〜
    6の何れか1項に記載のポリカーボネート樹脂。
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