JP3217452B2 - ポリベンズイミダゾール被膜の形成方法 - Google Patents

ポリベンズイミダゾール被膜の形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリベンズイミダゾー
ル(以下、「PBI」ともいう)の被膜を形成する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】PBIは安定な複素環式ポリマーであ
り、その製造方法は多数の米国特許、例えば米国再発行
特許第26,065号、米国特許第3,313,783
号、第3,509,108号、第3,518,234
号、第3,555,389号、第3,433,772
号、第3,408,336号、第3,578,644
号、第3,549,603号、第3,708,439
号、第4,154,919号、第4,312,976
号、第4,377,546号及び第4,549,388
号に記載されている。また、PBIの製造方法はJ.
P.Critchley、G.J.Knightおよび
W.W.Wright著「耐熱性ポリマー−技術的に有
用な材料(Heat−Resistant Polym
ers−Technologically Usefu
l Materials)」Plenum Pres
s、New York(1983)、第259〜322
頁にも解説されている。
【0003】PBIは、熱変形温度が435℃であり、
ポリテトラフルオロエチレン(以下「PTFE」ともい
う)やシリコーンゴムよりも耐熱性が著しく高いもので
ある。またPBIの摩耗係数は100時間、PV=50
000において29であり耐摩耗性に優れている。従っ
て、PBIを種々の物質の表面に施すことによって、高
耐熱性、高耐薬品性、高摩耗性等に優れた材料を提供す
ることが可能となる。
【0004】しかし、PBIは、その融点が分解温度5
80℃に極めて近いので、容易に安定した熱溶融状態が
得られない。そのため、PBIを公知のホットメルト法
で塗工することは困難である。また、PBIは優れた耐
薬品性を有するので、溶剤希釈法で塗工することも困難
であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記問題点に鑑み、本
発明は膜強度及び基材との接着性に優れたPBI被膜を
形成する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく本
発明のPBI被膜を形成する方法は、以下の(1)及び
(2)の工程; (1)基体上に、PBI溶液の塗膜を形成する工程;及
び(2)前記塗膜の温度を50〜70℃から150〜2
20℃にまで徐々に上昇させることにより前記塗膜を乾
燥させる工程;を含むことを特徴とする。
【0007】本発明において用いられるPBIは、好ま
しくは以下の構造式で示されるポリ−2,2’−(m−
フェニレン)−5,5’−ビベンゾイミダゾールであ
る; また、本発明において用いられるPBIの分子量につい
ては特に制限はないが、数平均分子量が2000〜10
0000のPBIを用いると特によい結果が得られる。
【0008】本発明において、PBI塗膜を塗布するた
めに用いられるPBI溶液の溶剤には、PBIの乾式紡
糸液の生成において一般に用いられる溶剤を使用するこ
とができる。好ましくは、該溶剤は、N,N−ジメチル
アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド及びN−メチル−2−ピロリドンからな
る群から選択された少なくとも一種の溶剤である。本発
明において最も好ましい溶剤は、N,N−ジメチルアセ
トアミドである。
【0009】また、本発明においては、該溶剤に、更に
テルペン及び/又はケトン類を混合溶剤として添加して
もよい。本発明において用いられる、そのようなテルペ
ン類には、例えば、ケロシンがある。一方、本発明にお
いて用いられる、そのようなケトン類には、メチルエチ
ルケトンがある。このように、異なる沸点及び粘度を有
する二種以上の溶剤を混合することによって、溶剤の溶
解性を損なうことなく、PBI塗膜の乾燥効率や被膜厚
のコントロールが改善される。つまり、例えば、N,N
−ジメチルアセトアミドは、沸点167℃と、高温溶剤
に分類される溶剤なので、低沸点溶媒と混合することに
よって、乾燥効率が改善され、且つ、残留溶媒及び加熱
蒸発による気泡の発生を軽減することができる。
【0010】本発明においてPBIを溶剤に溶解させる
には、例えば、オートクレーブ等を用いた高温高圧条件
下にて、及び/又は、ホモジナイズドミキサーやサンド
ミル等の強制撹拌が可能な装置を用いる。
【0011】本発明の方法において、PBI溶液を基体
に塗布するためには、公知の如何なる塗工方法をも使用
し得る。そのような方法は、例えば、ディップコーティ
ング、静電塗装、スプレーコーティング、ロール塗装等
である。
【0012】基体の表面に塗布されたPBI溶液の塗膜
は、次いで乾燥される。本発明において用いられる溶剤
は、高沸点溶剤であるので(例えば、N,N−ジメチル
アセトアミドの揮発点は63℃であり、沸点は167℃
である)、常乾は適当でない。また、塗膜を急激に昇温
すると、残留溶剤や溶剤の加熱蒸発によって塗膜内部及
び表面に気泡が発生し易いので、強靭な被膜を得ること
ができない。そこで、本発明の発明者らは、塗膜の乾燥
条件について鋭意研究を重ねた結果、昇温速度と気泡発
生に相関関係があることを見出した。更に、この昇温速
度は、PBI被膜の膜厚に依存し、より好適な条件にお
いて、より良質なPBI被膜が得られることを見出し
た。
【0013】即ち、本発明においてPBI溶液の塗膜を
乾燥する場合には、塗膜の温度を50〜70℃から15
0〜220℃にまで徐々に上昇させることが必要であ
る。好ましくは、出発温度は55〜65℃であり、最終
温度は190〜210℃である。昇温速度は、塗膜の膜
厚に依存するが、一般に、15℃/分以下である。塗膜
の厚さと好ましい昇温速度の関係を表1に示す。
【0014】 表1から明らかなように、好ましい昇温速度は、厚さが
大きくなるにつれて小さくなる。膜厚が1〜5000μ
mの場合には、昇温速度は0.5〜15℃/分であるこ
とが好ましい。なお、温度上昇カーブは必ずしも直線的
に上向きである必要はなく、例えば、一時的に水平な状
態を有したり、昇温の傾きが変化したり、階段状に上昇
してもよく、また、曲線的にゆるやかに上昇してもよ
い。
【0015】均一且つ強靭なPBI塗膜を得るために
は、PBI塗膜を乾燥する際の溶剤の粘度を適当な値に
保持することが好ましい。また、気泡を発生させずに、
できる限り速やかに溶剤を揮発させることが好ましい。
このために、基体及び/又はPBI溶液を、50〜10
0℃、好ましくは60〜70℃に予備加熱しておくこと
が好ましい。
【0016】更に好ましくは、基体及びPBI溶液を5
5〜65℃に予備加熱した後に、該PBI溶液を該基体
に塗布し、次いで、塗膜の温度を徐々に上昇させ、溶剤
の沸点を上回る温度にまで上昇させる。最終温度は、1
90〜210℃であることが好ましい。
【0017】本発明において、好ましくは、上記の工程
に加えて更に、上記の乾燥の最終温度に達した後に、更
にPBI塗膜の温度を上昇させる後加熱工程を行っても
よい。この後加熱工程における熱縮合及び/又は架橋に
より、より高分子量のPBI被膜が得られる。このよう
にして得られたPBI被膜は、より強靭なものであり、
種々の分野において有用なものである。この後加熱工程
は、300〜500℃で一定時間加熱することによって
行う。特に好ましくは320〜370℃で行う。また、
後加熱工程は、PBI塗膜の乾燥工程終了後に、一旦冷
却してから行ってもよい。
【0018】上記の最終温度で乾燥した後、又は上記の
後加熱工程を行った後に、急激に冷却すると、乾燥又は
後加熱時に発生した熱歪みや、PBIと基材との熱膨張
差による収縮が発生し、PBI被膜表面に割れやひび等
が生じ易い。これを防ぐために、一定の冷却速度を設定
し、徐冷することが好ましい。このようにして冷却され
た本発明のPBI被膜は、その後に急激な昇温・冷却を
行っても、上記の割れやひび等が生じない、強靭な被膜
となる。
【0019】本発明の別の態様としては、基体とPBI
被膜との間に中間層を設けることもできる。中間層を設
けることで、基体とPBI被膜の密着性が向上する場合
があるからである。中間層としては、例えば、PTFE
やシリコーンゴムを用いることができる。
【0020】本発明においては、PBI溶液に内添フィ
ラーや結着樹脂物質などを含有せしめることができる。
PBI溶液に内添フィラーを含有させることでPBIの
自己潤滑性および電気伝導性を向上させることができ
る。そのような内添フィラーは例えばSiC、各種金属
粉、グラファイト等のカーボン及びガラスである。自己
潤滑性を向上させることで被膜表面の滑り性が改善され
る。一方、電気伝導性を向上させることで、被膜表面の
静電気の発生、蓄積が防止される。例えば、PBIにグ
ラファイトを内添することでPBIの体積固有抵抗値を
106〜8〜1014Ωcmにまで下げることができ
る。
【0021】また、PBIは表面硬度がロックウエル硬
さKスケールで110と非常に硬いが、PBI溶液に結
着樹脂物質を含有させることによって弾性および表面硬
度を改善することができる。弾性および表面硬度を改善
することによって、塗膜表面が他の素材と接触する場合
における接触面積に自由度を持たせることが可能とな
る。そのよう結着樹脂物質は例えば、HTV(High
Temperature Vulcanized)シ
リコーンゴム、RTV(Room Temperatu
re Vulcanized)シリコーンゴム、LTV
(Low Temperature Vulcaniz
ed)シリコーンゴム,PTFEのようなフッ素含有モ
ノマーのホモポリマーまたはフッ素含有モノマーと他の
モノマーとの共重合体である。
【0022】本発明において、PBI溶液が塗布される
基体には特に制限はないが、好ましくは、アルミニウム
合金、鋼及びステンレス等の金属、セラミックス、ゴム
類及びプラスチック類などが用いられる。また、基体の
形状には特に制限はないが、例えば、ロール状、ロープ
状、板状、シート状、球状等が挙げられる。
【0023】本発明によるPBI被膜は、種々の分野へ
の適用が可能である。例えば、電子写真式複写機やプリ
ンター用のトナー定着装置におけるロールや紙分離爪、
或いはフライパン等に適用される。
【0024】以下実施例により、本発明を更に詳細に説
明する。
【0025】
【実施例1】PBIとしてポリ−2,2’−(m−フェ
ニレン)−5,5’−ビベンゾイミダゾール(Cela
zole(登録商標)、ヘキストセラニーズ社製)を用
いた。これをホモジナイズドミキサーを用い、常温、1
80rpm、8時間の条件でN,N−ジメチルアセトア
ミドに溶解せしめて濃度10重量%のPBI溶液を調製
した。基体には、直径30mmのアルミニウムロールを
用いた。PBI溶液を60℃に予備加熱した後に、室温
(23℃)のアルミニウムロール表面にPBI溶液をロ
ールコーターによって塗布した。次いで、出発温度60
℃から7℃/分の昇温速度で塗膜を乾燥させた。最終温
度は、200℃であった。この結果、アルミニウムロー
ルの表面に、膜厚20μmのPBI被膜が得られた。こ
のようにして得られたPBI被膜の熱伝達係数は、0.
41W/m℃であり、熱変形温度は435℃であった。
その他の性能を表2に示す。
【0026】表2中、耐摩耗性は、特定硬度の鉛筆で被
膜表面を引掻き、被膜に傷がついたときの鉛筆の硬度を
示す。これにより、被膜強度、硬度が判定される。動摩
擦係数は、相手材にC1018スチールを用い、圧力7
kg/cm2、速度5m/s、並びに、相手材及びPB
I被膜の表面粗度16rmsの条件で測定した。また、
熱撓み温度は、18.5kg/cm2の荷重にて、AS
TM D695に準拠して行った。
【0027】
【実施例2】乾燥の最終温度である200℃に達した後
に、更に昇温をし、350℃にてPBIを架橋せしめた
他は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、膜厚
20μmのPBI被膜が得られた。このようにして得ら
れたPBI被膜の性能を表2に示す。本実施例のPBI
被膜は、実施例1のそれに比して耐摩耗性がより高いこ
とに注目すべきである。
【0028】
【実施例3】PBI溶液に15重量%のPTFE粉末
(Hostaflon(登録商標)TF9205、ヘキ
ストAG社製)を添加した他は、実施例1と同様の操作
を行った。その結果、膜厚20μmのPBI被膜が得ら
れた。このようにして得られたPBI被膜の性能を表2
に示す。本実施例のPBI被膜は、特に摩擦係数が著し
く低いことに注目すべきである。
【0029】
【実施例4】PBI溶液に15重量%のPTFE粉末
(Hostaflon TF9205)を添加した他
は、実施例2と同様の操作を行った。その結果、膜厚2
0μmのPBI被膜が得られた。このようにして得られ
たPBI被膜の性能を表2に示す。本実施例のPBI被
膜は、特に摩擦係数が著しく低いことに注目すべきであ
る。また、本実施例のPBI被膜は、実施例3のPBI
被膜に比して耐摩耗性がより高いことに注目すべきであ
る。
【0030】
【実施例5】実施例1と同様のPBIを用いた。PBI
をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解せしめて濃度2
0重量%のPBI溶液を調製した。基体には、直径30
mmのアルミニウムロールを用いた。室温(23℃)の
PBI溶液を、同じく室温(23℃)のアルミニウムロ
ール表面にロールコーターによって塗布した。次いで、
出発温度60℃から2℃/分の昇温速度で塗膜を乾燥さ
せた。最終温度は、200℃であった。この結果、アル
ミニウムロールの表面に、膜厚1mmのPBI被膜が得
られた。得られたPBI被膜の性能を表2に示す。
【0031】
【実施例6】実施例1と同様のPBIを用いた。PBI
をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解せしめて濃度3
0重量%のPBI溶液を調製した。基体には、直径30
mmのアルミニウムロールを用いた。PBI溶液を60
℃に予備加熱した後に、室温(23℃)のアルミニウム
ロール表面にPBI溶液をロールコーターによって塗布
した。次いで、出発温度60℃から1℃/分の昇温速度
で塗膜を乾燥させた。最終温度は、200℃であった。
この結果、アルミニウムロールの表面に、膜厚2mmの
PBI被膜が得られた。得られたPBI被膜の性能を表
2に示す。
【0032】
【実施例7】実施例1と同様のPBIを用いた。PBI
をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解せしめて濃度5
重量%のPBI溶液を調製した。基体には、直径30m
mのアルミニウムロールを用いた。PBI溶液を60℃
に予備加熱した後に、室温(23℃)のアルミニウムロ
ール表面にPBI溶液をロールコーターによって塗布し
た。次いで、出発温度60℃から10℃/分の昇温速度
で塗膜を乾燥させた。最終温度は、200℃であった。
この結果、アルミニウムロールの表面に、膜厚10μm
のPBI被膜が得られた。得られたPBI被膜の性能を
表2に示す。
【0033】
【実施例8】実施例1と同様のPBIを用いた。PBI
をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解せしめて濃度3
0重量%のPBI溶液を調製した。基体には、直径30
mmのアルミニウムロールを用いた。PBI溶液及びア
ルミニウムロールを60℃に予備加熱した後に、アルミ
ニウムロール表面にPBI溶液をロールコーターによっ
て塗布した。次いで、出発温度60℃から1℃/分の昇
温速度で塗膜を乾燥させた。最終温度は、200℃であ
った。この結果、アルミニウムロールの表面に、膜厚2
mmのPBI被膜が得られた。得られたPBI被膜の性
能を表2に示す。
【0034】
【比較例1】実施例1と同様のPBIを用いた。PBI
をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解せしめて濃度1
0重量%のPBI溶液を調製した。基体には、直径30
mmのアルミニウムロールを用いた。PBI溶液を60
℃に予備加熱した後に、室温(23℃)のアルミニウム
ロール表面にPBI溶液をロールコーターによって塗布
した。次いで、出発温度60℃から28℃/分の昇温速
度で塗膜を乾燥させた。最終温度は、200℃であっ
た。この結果、アルミニウムロールの表面に、膜厚20
μmのPBI被膜が得られた。
【0035】得られたPBI被膜には、加熱蒸発による
気泡の発生、及び残留溶剤が観察された。また、このP
BI被膜の基体との密着性は、実施例1で得られたPB
I被膜に劣るものであった。結果を表2に示す。
【0036】
【比較例2】実施例1と同様のPBIを用いた。PBI
をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解せしめて濃度1
0重量%のPBI溶液を調製した。基体には、直径30
mmのアルミニウムロールを用いた。PBI溶液を60
℃に予備加熱した後に、室温(23℃)のアルミニウム
ロール表面にPBI溶液をロールコーターによって塗布
した。次いで、出発温度200℃を保持した状態で塗膜
を乾燥させた。この結果、アルミニウムロールの表面
に、膜厚20μmのPBI被膜が得られた。
【0037】得られたPBI被膜には、加熱蒸発による
気泡の発生、及び残留溶剤が観察された。また、このP
BI被膜の基体との密着性は、実施例1で得られたPB
I被膜に劣るものであった。結果を表2に示す。
【0038】
【比較例3】実施例1と同様のPBIを用いた。PBI
をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解せしめて濃度3
0重量%のPBI溶液を調製した。基体には、直径30
mmのアルミニウムロールを用いた。PBI溶液及びア
ルミニウムロールを60℃に予備加熱した後に、アルミ
ニウムロール表面にPBI溶液をロールコーターによっ
て塗布した。次いで、出発温度60℃から28℃/分の
昇温速度で塗膜を乾燥させた。最終温度は、200℃で
あった。この結果、アルミニウムロールの表面に、膜厚
2mmのPBI被膜が得られた。
【0039】得られたPBI被膜には、加熱蒸発による
気泡の発生、及び残留溶剤が観察された。また、このP
BI被膜の基体との密着性は、実施例1で得られたPB
I被膜に劣るものであった。結果を表2に示す。
【0040】
【比較例4】実施例1と同様のPBIを用いた。PBI
をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解せしめて濃度3
0重量%のPBI溶液を調製した。基体には、直径30
mmのアルミニウムロールを用いた。PBI溶液及びア
ルミニウムロールを60℃に予備加熱した後に、アルミ
ニウムロール表面にPBI溶液をロールコーターによっ
て塗布した。次いで、出発温度200℃を保持した状態
で塗膜を乾燥させた。この結果、アルミニウムロールの
表面に、膜厚2mmのPBI被膜が得られた。
【0041】得られたPBI被膜には、加熱蒸発による
気泡の発生、及び残留溶剤が観察された。また、このP
BI被膜の基体との密着性は、実施例1で得られたPB
I被膜に劣るものであった。結果を表2に示す。
【0042】
【0043】
【発明の効果】上述のように、本発明によれば、PBI
のもつ高強度、高耐熱性、高断熱性、耐薬品性、耐摩耗
性及び低摩擦性を塗膜形成によって容易に基材上に実現
し、表面が改質された新素材を提供することができる。
かかる素材は、特に高耐熱性や耐摩耗性が要求される電
子写真式複写機のトナー定着装置をはじめ、様々な分野
において有用なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−134048(JP,A) 特開 平2−153943(JP,A) 特開 平2−154451(JP,A) 米国特許4217404(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/04 - 7/06 B05D 7/00 - 7/24

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリベンズイミダゾール(PBI)の被
    膜を形成する方法であって、 (1)基体上に、PBI溶液の塗膜を形成する工程;及
    び(2)前記塗膜の温度を50〜70℃から150〜2
    20℃にまで15℃/分以下で上昇させることにより前
    記塗膜を乾燥させる工程;を含むことを特徴とする、前
    記方法。
  2. 【請求項2】 前記乾燥したPBI塗膜を300〜50
    0℃に加熱する工程を更に含むことを特徴とする、請求
    項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記PBI溶液が内添フィラーを含有す
    る、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記PBI溶液が結着樹脂物質を含有す
    る、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記PBIの溶液の溶剤が、N,N−ジ
    メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、
    ジメチルスルホキシド及びN−メチル−2−ピロリドン
    からなる群から選択された少なくとも一種である、請求
    項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記溶剤が、更にテルペン及び/又はケ
    トン類を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記基体及び/又は前記PBI溶液が、
    50〜100℃に予備加熱されている、請求項1〜6の
    いずれか一項に記載の方法。
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