JP3209616B2 - 破砕抵抗性を有する粒状ポリフェニレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

破砕抵抗性を有する粒状ポリフェニレンスルフィドの製造方法

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JP3209616B2
JP3209616B2 JP18210493A JP18210493A JP3209616B2 JP 3209616 B2 JP3209616 B2 JP 3209616B2 JP 18210493 A JP18210493 A JP 18210493A JP 18210493 A JP18210493 A JP 18210493A JP 3209616 B2 JP3209616 B2 JP 3209616B2
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洋 飯塚
卓之 甲藤
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呉羽化学工業株式会社
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粒状ポリフェニレンス
ルフィドの製造方法に関する。さらに詳しくは、重合終
了後の後処理作業性、溶融加工時の取扱性に優れた、破
砕抵抗性を有する粒状ポリフェニレンスルフィドの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド(以下、PP
Sと略称する)は、耐熱性、機械的特性、耐薬品性、耐
油性、耐熱水性等に優れたエンジニアリング・プラスチ
ックスとして、繊維、シート、フィルム、その他の各種
成形品の材料として、電気・電子分野、自動車分野、機
械・精密機械分野などの広範な分野に用いられている。
PPSの代表的な製造方法は特公昭45ー3368号公
報に開示されている。しかし、この方法で製造されたP
PSは重合度が低くて、フィルム、シート、繊維などに
は成形加工することが困難であった。更に、この方法に
よって得られるPPSは微粉状であって、重合後の後処
理工程、加工工程などに於ける取扱いが厄介であった。
【0003】高重合度のPPSを得ることを目的とした
改良重合方法が種々提案されている。最も代表的な方法
として、反応系に重合助剤としてアルカリ金属カルボン
酸塩を添加する、特公昭52ー12240号公報等に開
示された方法を挙げることができる。高重合度の線状P
PSが得られる点以外に、これらの方法で注目すべきこ
とは、PPSが平均粒子径数百ミクロンの顆粒状で得ら
れる点である。PPSが顆粒状で得られることにより、
後処理工程、加工工程などが非常に容易になる。しかし
ながら、特公昭52ー12240号公報等に開示された
方法では、高重合度のPPSを得るためには、高価な酢
酸リチウムや安息香酸ナトリウム等の重合助剤を多量に
使用することが必要である。それ故、製造コストが嵩ん
で工業的に不利になる。またこの方法では処理排水に有
機酸が混入し、公害を生ずる恐れがある。
【0004】更に改良された重合方法として、特公昭6
3ー33775号公報等に開示された方法を挙げること
ができる。これらの方法では、重合諸条件中、特に共存
水量と反応温度を重合前段と重合後段で顕著に変化させ
る。この方法により著しく高分子量の粒状PPSを、重
合助剤は用いずに、安価に製造することができる。特公
昭52ー12240号公報および特公昭63ー3377
5号公報等に開示された方法に共通する欠点として、こ
れらの方法を電子・電気部品の封止などに使用される低
重合度PPSの製造に適用した場合に、微細で、破砕し
易い粒状PPSしか得られないこと等を挙げることがで
きる。得られたPPSは後処理工程、加工工程で更に微
細化が進み、取扱いが厄介である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、取扱い
に適した粒状を有し、後処理工程、加工工程等で破砕し
難い粒状PPSを製造する方法を見いだすことを本発明
の課題とした。
【0006】本発明者らは、特公昭52ー12240号
公報および特公昭63ー33775号公報等に開示され
たPPSの重合方法について鋭意検討した結果、これら
の方法では、工程中に、(1)生成PPSが重合溶媒に
溶解して、PPSの濃度が濃厚な相と希薄な相とが共存
する状態、即ち、相分離状態が出現すること、(2)攪
拌動力により液滴状に分散したPPS濃厚相が、冷却す
る過程で固化し、粒状PPSとして固定されること、お
よび(3)低重合度のPPSを製造する際には、固化し
たPPS濃厚相が、冷却過程で、攪拌動力により粉砕さ
れて更に微細化すること、などを見いだした。
【0007】そして、低重合度のPPSでも微細化を起
こし難いPPS粒子を得るためには、前記の相分離状態
(通常、高温・高圧の状態である)にある重合混合物か
ら、極性有機溶媒および/または相分離剤の少なくとも
一部を蒸発させることによって、重合混合物の温度をP
PS濃厚相が固化する温度以下に急冷し、PPS濃厚相
を急速固化させることが有効であることを見いだし、本
発明に到達した。
【0008】
【課題を解決するための手段】かくして本発明では、ポ
リフェニレンスルフィド、極性有機溶媒および相分離剤
を含み、該ポリフェニレンスルフィドが希薄な溶液相と
濃厚な溶液相とが共存する相分離状態にある高温・高圧
混合物(少なくとも上記の三成分を含む混合物を、以
下、PPS混合物と言う)から、該極性有機溶媒および
/または該相分離剤の少なくとも一部を蒸発させること
により、該PPS混合物の温度を該濃厚相が固化する温
度以下に冷却し、冷却固化により形成されたポリフェニ
レンスルフィド粒子を篩を用いて分離・回収することを
特徴とする微細化し難い、(即ち、破砕抵抗性を有す
る)粒状ポリフェニレンスルフィドの製造方法が提供さ
れる。
【0009】以下に、本発明を更に詳しく説明する。 (PPS混合物)本発明の対象となるPPS混合物はP
PS、極性有機溶媒および相分離剤を含む。PPSは、
一般式 −Ph−S− (Phは、フェニレン基を示し、
Sは硫黄原子を示す)で表されるフェニレンスルフィド
繰り返し単位を含有するポリマーであり、p−フェニレ
ンスルフィド単位を50モル%以上含むポリマーが好ま
しい。
【0010】本発明に於ける極性有機溶媒とは、PPS
を溶解し得る溶媒であり、一例を挙げれば、N−メチル
ー2ーピロリドン(以下、NMPと呼ぶ)、N−エチル
ー2ーピロリドン、ピロリドン、1,3ージメチルー2
ーイミダゾリジノン、カプロラクタム、N−メチルカプ
ロラクタム、ヘキサメチル ホスホール アミド、テト
ラメチル尿素、スルホラン、N,N′ージメチル アセ
トアミド、N ,N′ーエチレン ジピロリドンなどが
ある。この中では、NMP、1,3ージメチルー2ーイ
ミダゾリジノンが好ましい。
【0011】本発明に於ける相分離剤とは、それ自身単
独でまたは少量の水などの共存下に前記極性有機溶媒に
溶解し、PPSの極性有機溶媒に対する溶解性を低下さ
せる作用を有する化合物である。相分離剤それ自身は、
PPSの溶媒ではない化合物である。一例を挙げれば、
水、メタノール、エタノール、エチレングリコール等の
一価および多価のアルコール類、パラフィン系炭化水素
類、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸リチ
ウム、プロピオン酸ナトリウム、リチウム 2ーメチル
プロピオネート、ルビジウム ブチレート、リチウム
バレエート、ナトリウム バレエート、セシウム ヘキ
サノエート、リチウム ヘプタノエート、リチウム 2
ーメチルオクタノエート、カリウム ドデカノエート、
ルビジウム 4ーエチル テトラデカノエート、ナトリ
ウム オクタノエート、リチウムシクロヘキサン カル
ボキシレート、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウ
ム、安息香酸カリウムなどのカルボン酸アルカリ金属塩
類、塩化リチウム、弗化カリウム、塩化カルシウムなど
のアルカリ金属またはアルカリ土類金属ハロゲン化物な
どが有る。これらは単独でまたは混合物として使用され
る。
【0012】PPS混合物中に含まれるPPS、極性有
機溶媒および相分離剤の比率は、前記の相分離状態を出
現させ得る比率であって、且つ、取扱い易い、適度な粒
状のPPSの製造に適した比率である。例示すれば、極
性有機溶媒1kgに対してPPSは、通常、0.05〜
1kgである。この限定値を外れると、PPS濃度が薄
過ぎたり濃過ぎたりして取扱いが厄介になる。0.1〜
0.8kgであれば好ましく、0.2〜0.6kgであ
れば更に好ましい。相分離剤の使用比率は、使用する相
分離剤の種類によって異なるが、極性有機溶媒1kgに
対して、通常、0.2〜20モルである。この限定値を
外れると、相分離状態が出現し難かったり、PPSが溶
解し難くなったり、費用が嵩んだりして好ましくない。
0.4〜15モルであれば好ましい。尚、PPS混合物
中のPPS、極性有機溶媒および相分離剤は必須成分で
あって、本発明の目的を損なわない範囲ならば、他の物
質を共存させても良い。
【0013】本発明で、好適に使用されるPPS混合物
としては、特公昭45ー3368号公報、特公昭52ー
12240号公報および特公昭63ー337775号公
報等に開示された方法、およびこれらの方法に準じた方
法で製造されたPPS混合物を例示することができる。
これらのPPS混合物が前述の相分離状態を出現させ得
る比率でPPS、極性有機溶媒および相分離剤を含んで
いない場合には、不足成分を追加してから、本発明の粒
状PPSの製造方法を適用すればよい。通常は、極性有
機溶媒または相分離剤を補充することにより目的は達せ
られる。これらの方法のうち、特公昭63ー33775
号公報に開示された方法は特に好ましい。
【0014】以下に、特公昭63ー33775号公報等
に開示された方法に準じたPPS混合物の製造方法を例
示する。この方法では、アルカリ金属硫化物とジハロ芳
香族化合物とを極性有機溶媒中で反応させてPPSを得
る反応を、少なくとも、以下のように二段階で行う。 (1)仕込アルカリ金属硫化物1モル当たり約0.5〜
10モルの水の存在下、約180〜235℃の温度で、
ジハロ芳香族化合物の転化率約50モル%以上になるま
で反応させる工程、(2)仕込アルカリ金属硫化物1モ
ル当たり約2.5〜10モルの水を共存させ、約245
〜290℃の温度に設定して反応を継続させる工程。
【0015】アルカリ金属硫化物としては、硫化リチウ
ム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、
硫化セシウムおよびこれらの混合物を例示することがで
きる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水
性混合物として、あるいは無水の形で用いることができ
る。これらのアルカリ金属硫化物の中に微量含まれるこ
とがあるアルカリ金属重硫化物と反応させるために、少
量のアルカリ金属水酸化物を添加してこれらをアルカリ
金属硫化物へ転換することができる。尚、アルカリ金属
硫化物の前駆体として、重硫化リチウム、重硫化ナトリ
ウム、重硫化カリウム、重硫化ルビジュウム、重硫化セ
シウムおよびこれらの混合物と等モル量のアルカリ金属
水酸化物とを同時に用いることもできる。これらのアル
カリ金属硫化物およびアルカリ金属重硫化物の中では、
硫化ナトリウム、重硫化ナトリウムが安価であって工業
的には好ましい。
【0016】ジハロ芳香族化合物としては、o−,m
−,p−ジハロベンゼン、2,5ージハロトルエン、
1,4−ジハロナフタリン、1ーメトキシー2,5−ジ
ハロベンゼン、4,4′ージハロビフェニル、3,5−
ジハロ安息香酸、4,4′−ジハロジフェニルエーテ
ル、4,4′−ジハロジフェニルスルホン、4,4′−
ジハロジフェニルスルフォキシド、4,4′−ジハロジ
フェニルケトンなどが例示される。ここでハロゲン原子
は弗素、塩素、臭素および沃素原子をさし、同一分子中
に複数個のハロゲン原子が含まれる場合には異なっても
良いものとする。これらの化合物は、一種または二種以
上を混合して使用することもできる。就中、p−ジクロ
ロベンゼンに代表されるp−ジハロベンゼンを主成分と
するものが好ましい。ジハロ芳香族化合物の使用量は仕
込アルカリ金属硫化物1モル当たり0.90〜1.10
モル、好ましくは0.95〜1.05モルである。
【0017】極性有機溶媒としては、前記の極性有機溶
媒が使用できる。極性有機溶媒の使用量は仕込アルカリ
金属硫化物1モル当たり約0.2〜2kgである。この
範囲の極性有機溶媒の使用量であれば、前記のPPS混
合物が得られる。
【0018】尚、PPSの末端を形成させ、或いは分子
量を調節する目的で、重合反応開始前または重合反応進
行中または重合反応終了後の適切な時期にモノハロ化合
物を添加することができる。モノハロ化合物を例示する
と、モノハロプロパン、モノハロブタン、モノハロヘプ
タン、モノハロヘキサン、アリールハライド、クロロプ
レン等のモノハロ置換飽和および不飽和脂肪族炭化水素
類、モノハロシクロヘキサン、モノハロデカリン等のモ
ノハロ置換飽和環状炭化水素類、モノハロベンゼン、モ
ノハロナフタレン等のモノハロ置換芳香族炭化水素類お
よびハロゲン原子以外にも官能基を有するこれらの置換
体などがある。ここでハロゲン原子は弗素、塩素、臭素
および沃素原子をさす。これらは本発明の目的を損なわ
ない範囲で使用される。
【0019】更に、PPSに架橋または分枝構造を導入
する目的で、またはPPSの末端を形成させる目的で、
重合反応開始前または重合反応進行中または重合反応終
了後の適切な時期にトリハロ以上のポリハロ化合物を添
加することも可能である。ポリハロ化合物を例示する
と、1,2,3ートリハロベンゼン、1,2,4ートリ
ハロベンゼン、1,3,5ートリハロベンゼン、2,
4,6ートリハロトルエン、1,2,3,4ーテトラハ
ロベンゼン、ヘキサハロベンゼン、1,3,5ートリハ
ロー2,4,6ートリメチルベンゼン、2,2′,4,
4′ーテトラハロビフェニル、2,2′,6,6′テト
ラハロー3,3′,5,5′ーテトラメチルビフェニ
ル、1,2,3,4ーテトラハロナフタレン、1,2,
4ートリハロー6ーメチルナフタレンなどおよびこれら
の混合物が挙げられる。ここでハロゲン原子は弗素、塩
素、臭素および沃素原子をさす。尚、同一分子中に複数
個のハロゲン原子が含まれる場合には異なってもよいも
のとする。これらは本発明の目的を損なわない範囲で使
用される。
【0020】(相分離状態、PPS濃厚相の固化温度)
本発明の方法では、相分離状態にあるPPS混合物か
ら、極性有機溶媒および/または相分離剤の少なくとも
一部を蒸発させる。この操作によって、PPS混合物の
温度は、PPS濃厚相が固化する温度以下に、急激に冷
却されてPPS濃厚相が急速固化し、破砕抵抗性を有す
る粒状PPSが得られる。
【0021】本発明で言う相分離状態とは、PPSが極
性有機溶媒に溶解した状態であって、且つ、PPS濃度
が希薄な溶液相と濃厚な溶液相とが共存している状態を
いう。 PPS濃厚相および希薄相中のPPSの濃度
は、用いる極性有機溶媒、相分離剤およびPPSの種類
によって異なる。PPS、NMPおよび水からなるPP
S混合物の例では、PPS濃厚相中のPPS濃度は、通
常、約50重量%前後、希薄相中のPPS濃度は、通
常、5重量%以下になる。
【0022】本発明で言うPPS濃厚相が固化する温度
とは、PPS混合物の温度が低下するに従って、前述の
PPS濃厚相液滴が固さを帯びてきて、ついには濃厚相
液滴同士が合一、分散できなくなる温度であって、必ず
しもPPS濃厚相中のPPSが結晶化する温度を意味し
ない。PPS濃厚相中でPPSの結晶化が起こる場合に
は、耐圧試料容器を用いて、DSC(示差走査熱量計)
測定すれば、PPS濃厚相の固化温度を容易に知ること
ができる。例えば、直鎖状ポリ(p−フェニレンスルフ
ィド)、NMPおよび水からなるPPS混合物の場合、
約260℃に加熱して相分離状態を出現させた後、降温
しながらDSC測定を行うと、約235℃付近に発熱ピ
ークが観測される。これがPPS濃厚相の固化温度に相
当する。PPS濃厚相の固化温度は、用いる極性有機溶
媒、相分離剤およびPPSの種類等の諸条件によって異
なる。
【0023】(極性有機溶媒および/または相分離剤の
蒸発)本発明の方法では、相分離状態にあるPPS混合
物から、極性有機溶媒および/または相分離剤の少なく
とも一部を蒸発させることにより、PPS混合物の温度
をPPS濃厚相の固化温度以下に冷却する。冷却速度が
急激である程、降温幅が大きい程、破砕抵抗性に優れた
粒状PPSが得られる。極性有機溶媒および/または相
分離剤の蒸発によるPPS混合物の降温幅は、用いる極
性有機溶媒、相分離剤の熱的性質の違いなどによって異
なる。従って、本発明の方法に於いて、極性有機溶媒お
よび/または相分離剤の少なくとも一部を蒸発させると
は、PPS濃厚相の固化を引き起こすのに必要な降温幅
に相当する量の極性有機溶媒および/または相分離剤を
蒸発させるという程度の意味に解釈されるべきである。
蒸発方法としては、相分離状態にあるPPS混合物(通
常、高温・高圧の状態にある)を、低圧力の空間に噴出
させる方法(フラッシュ法)が一般的である。相分離状
態にあるPPS混合物をフラッシュすることにより、極
性有機溶媒および/または相分離剤の少なくとも一部が
蒸発し、残りのPPS混合物の温度はPPS濃厚相の固
化温度以下に冷却される。PPS濃厚相が固化し、PP
S粒子を含んだスラリーが得られる。
【0024】(PPS粒子の回収)PPS粒子を回収す
るには、通常の方法、特公昭63ー33775号公報等
に開示された方法に従えば良い。即ち、該スラリーを冷
却後、適度な孔眼寸法の篩を用いてPPS粒子を回収
し、有機溶媒による洗浄、水による洗浄、および酸性の
水溶液または酸性の有機溶媒での洗浄等を適度に行った
後、乾燥すればよい。
【0025】分離状態にあるPPS混合物を、フラッ
シュし、スラリー状態を経ないで、直ちに篩に導い
て、PPS粒子を有機溶媒から分離した後、前記の洗
浄、乾燥等を行えば、より破砕抵抗性を有するPPS粒
子が得られるので好ましい。以下の推測は何等本発明を
限定するものでは無いが、フラッシュにより生成したス
ラリーを、そのまま高温下に置くことにより、得られた
PPS粒子の結晶化が進み、PPS粒子は破砕し易くな
るものと考えられる。
【0026】
【発明の効果】本発明の方法により、適度な粒度分布を
有し、破砕抵抗性を有する粒状PPSが得られる。この
PPSでは、微細化したPPS粒子による、濾過時のフ
ィルターの眼詰まり・眼抜け、乾燥時の粉立ち等が起こ
らないので、PPS重合後の後処理工程が容易になる。
又、乾燥粉体の取扱い時などにも、微細化せず、粉立ち
しないので成形加工工程が容易になる。
【0027】
【実施例】以下に実施例を示すが、本発明はこれらのみ
に限定されるものではない。 (平均粒子径)粒状PPSの平均粒子径は、次のように
して測定した。先ず、日本工業規格JIS K0069
の試験方法に準じて、試料の粒子径分布を測定し、積算
百分率グラフに表す。次いで、積算百分率が50%にな
る点をグラフ上から読み取って、平均粒子径とした。
【0028】(粉化率)PPS粒子の破砕抵抗性の目安
として、以下の定義による粉化率を用いた。予めJIS
−100メッシュの篩を用いて回収した、粒状PPS試
料50gをJIS−100メッシュのステンレス製篩に
移して、振盪機で10分間振盪し、篩を通過した試料の
重量、即ち、振盪により破砕されたPPSの重量を計
り、次式に従って粉化率を計算した。尚、振盪機による
振盪回数は約300回/分である。粉化率の低いPPS
程、破砕抵抗性が高い。
【0029】粉化率(%)={篩を通過した試料の重量
(g)/50(g)}×100
【0030】(PPS混合物の合成例)耐圧オートクレ
ーブに硫化ナトリウム3800g(22.43モル、純
度46.06重量%)、およびNMP6700gを仕込
み、攪拌しながら200℃まで徐々に昇温した。この結
果、水1561g、NMP916gを含む溜出液249
6gをオートクレーブから留去した。この操作の結果、
オートクレーブ内には、硫化ナトリウム21.90モ
ル、水約27.2モル、NMP5784gが残ったこと
が分析の結果判明した。オートクレーブ内混合物に、p
−ジクロロベンゼン3413g(23.21モル)、水
102g、NMP4071gを添加し、220℃で4時
間30分間反応させた。ひき続きオートクレーブ内混合
物に、水986gを添加し、255℃に昇温して5時間
反応を継続した後、攪拌しながら室温まで冷却し、PP
S混合物(A)を得た。
【0031】前記のPPS混合物(A)の約半分から、
JISー100メッシュのステンレス製篩を用いて,粒
状PPSポリマーを回収した。回収ポリマーをアセトン
で3回、水で3回洗浄し、次いで、空気中105℃で1
6時間乾燥し、溶融粘度160ポイズ(310℃、剪断
速度1200/sec)の粒状PPS(B)を得た。平
均粒子径は320μm、粉化率は6.82%であった。
【0032】(実施例1)底部に抜き出し口の付いた耐
圧オートクレーブに、前記の粒状PPS(B)100
g、NMP500g、水72gを仕込、空間部分を窒素
置換した後、255℃に1時間保って、相分離状態を出
現させた。相分離状態にあるPPS混合物を、底部の抜
き出し口より抜き出し、別つのステンレス製容器中に、
大気圧下、噴出せさた。蒸発したNMP、水はコンデン
サーで凝縮・回収した。次いで、粒状PPSを含むスラ
リーから、JISー100メッシュの篩を用いて、直ち
に、粒状PPSを分離・回収した。回収PPSをアセト
ンで3回、水で3回洗浄し、次いで、空気中105℃で
16時間乾燥した。PPSの回収率は93.5%、平均
粒子径は460μm、粉化率は1.8%であった。
【0033】(実施例2)底部に抜き出し口の付いた耐
圧オートクレーブに、前記の粒状PPS(B)100
g、NMP500g、水72gを仕込、空間部分を窒素
置換した後、255℃に1時間保って、相分離状態を出
現させた。相分離状態にあるPPS混合物を、底部の抜
き出し口より抜き出し、別つのオートクレーブ中に、大
気圧下、噴出せさた。蒸発したNMP、水はコンデンサ
ーで凝縮・回収した。次いで、粒状PPSを含むスラリ
ーが入ったオートクレーブを200℃に昇温した後、攪
拌しながら室温まで冷却した。JISー100メッシュ
の篩を用いて、粒状PPSを分離・回収し、アセトンで
3回、水で3回洗浄し、次いで、空気中105℃で16
時間乾燥した。PPSの回収率は84.6%、平均粒子
径は360μm、粉化率は4.8%であった。
【0034】(実施例3)底部に抜き出し口の付いた耐
圧オートクレーブに、前記の粒状PPS(B)100
g、NMP500g、水72gを仕込、空間部分を窒素
置換した後、255℃に1時間保って、相分離状態を出
現させた。相分離状態にあるPPS混合物を、底部の抜
き出し口より抜き出し、直接、JISー100メッシュ
の篩上にフラッシュした。この操作により、PPS濃厚
相が固化すると同時に、粒状PPSは液状成分から分離
された。回収PPSをアセトンで3回、水で3回洗浄
し、次いで、空気中105℃で16時間乾燥した。PP
Sの回収率は95.2%、平均粒子径は620μm、粉
化率は0.93%であった。
【0035】(比較例1)底部に抜き出し口の付いた耐
圧オートクレーブに、前記の粒状PPS(B)100
g、NMP500g、水72gを仕込、空間部分を窒素
置換した後、255℃に1時間保って、相分離状態を出
現させた。次いで、攪拌を継続しながら室温まで放冷し
た。JISー100メッシュの篩を用いて、粒状PPS
を回収した。回収PPSをアセトンで3回、水で3回洗
浄し、次いで、空気中105℃で16時間乾燥した。P
PSの回収率は79.3%、平均粒子径は320μm、
粉化率は7.1%であった。
【0036】(実施例4)底部に抜き出し口の付いた耐
圧オートクレーブに、前記のPPS混合物(A)750
gを仕込、空間部分を窒素置換した後、255℃に1時
間保って、相分離状態を出現させた。相分離状態にある
PPS混合物を、底部の抜き出し口より抜き出し、別つ
のステンレス製容器中に、大気圧下、噴出せさた。蒸発
したNMP、水はコンデンサーで凝縮・回収した。次い
で、粒状PPSを含むスラリーから、JISー100メ
ッシュの篩を用いて、直ちに、粒状PPSを分離・回収
した。回収PPSをアセトンで3回、水で3回洗浄し、
次いで、空気中105℃で16時間乾燥した。回収PP
Sの平均粒子径は430μm、粉化率は1.6%であっ
た。
【0037】(実施例5)底部に抜き出し口の付いた耐
圧オートクレーブに、前記のPPS混合物(A)750
gを仕込、空間部分を窒素置換した後、255℃に1時
間保って、相分離状態を出現させた。相分離状態にある
PPS混合物を、底部の抜き出し口より抜き出し、直
接、JISー100メッシュの篩上にフラッシュした。
この操作により、PPS濃厚相が固化すると同時に、粒
状PPSは液状成分から分離された。回収PPSをアセ
トンで3回、水で3回洗浄し、次いで、空気中105℃
で16時間乾燥した。回収PPSの平均粒子径は510
μm、粉化率は1.02%であった。
【0038】(比較例2)底部に抜き出し口の付いた耐
圧オートクレーブに、前記のPPS混合物(A)750
gを仕込、空間部分を窒素置換した後、255℃に1時
間保って、相分離状態を出現させた。次いで、攪拌を継
続しながら室温まで放冷した。JISー100メッシュ
の篩を用いて、粒状PPSを回収した。回収PPSをア
セトンで3回、水で3回洗浄し、次いで、空気中105
℃で16時間乾燥した。回収PPSの平均粒子径は31
0μm、粉化率は6.9%であった。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリフェニレンスルフィド、極性有機溶
    媒および相分離剤を含み、該ポリフェニレンスルフィド
    が希薄な溶液相と濃厚な溶液相とが共存する相分離状態
    にある高温・高圧の混合物から、該極性有機溶媒および
    /または該相分離剤の少なくとも一部を蒸発させて、該
    混合物の温度を該濃厚相が固化する温度以下に冷却した
    後、冷却固化により形成されたポリフェニレンスルフィ
    ド粒子を含有するスラリーから、篩を用いて該ポリフェ
    ニレンスルフィド粒子を分離・回収することを特徴とす
    る破砕抵抗性を有する粒状ポリフェニレンスルフィドの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記相分離状態にある高温・高圧の混合
    物をより低圧力の雰囲気下へ噴出させることにより、
    該極性有機溶媒および/または該相分離剤の少なくとも
    一部を蒸発させ、該混合物の温度を該濃厚相が固化する
    温度以下に冷却することを特徴とする請求項1記載の破
    砕抵抗性を有する粒状ポリフェニレンスルフィドの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記相分離状態にある高温・高圧の混合
    物をより低圧力の雰囲気下へ噴出させて、該混合物の
    温度を該濃厚相が固化する温度以下に冷却した後、冷却
    固化により形成されたポリフェニレンスルフィド粒子を
    含むスラリーから、篩を用いてポリフェニレンスルフィ
    ド粒子を直ちに分離・回収する請求項記載の破砕抵抗
    性を有する粒状ポリフェニレンスルフィドの製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリフェニレンスルフィド、極性有機溶
    媒および相分離剤を含み、該ポリフェニレンスルフィド
    が希薄な溶液相と濃厚な溶液相とが共存する相分離状態
    にある高温・高圧の混合物を、より低圧力の雰囲気下で
    篩上に噴出させて、該混合物の温度を該濃厚相が固化す
    る温度以下に冷却するとともに、冷却固化により形成さ
    れたポリフェニレンスルフィド粒子を液状成分から分離
    ・回収することを特徴とする破砕抵抗性を有する粒状ポ
    リフェニレンスルフィドの製造方法。
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