JP2002293940A - ポリアリーレンスルフィドの製造法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィドの製造法

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JP2002293940A
JP2002293940A JP2001098379A JP2001098379A JP2002293940A JP 2002293940 A JP2002293940 A JP 2002293940A JP 2001098379 A JP2001098379 A JP 2001098379A JP 2001098379 A JP2001098379 A JP 2001098379A JP 2002293940 A JP2002293940 A JP 2002293940A
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polyarylene sulfide
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solvent
polymer phase
sulfide
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JP2001098379A
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English (en)
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Masaya Okamoto
正哉 岡本
Minoru Chiga
実 千賀
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Japan Petroleum Energy Center JPEC
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Petroleum Energy Center PEC
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分子量かつ熱安定性に優れるポリアリ
ーレンスルフィドの製造法を提供すること。 【解決手段】 極性有機溶媒中で、ジハロゲン化芳香族
化合物と金属硫化物とからポリアリーレンスルフィドを
製造する方法において、重合反応終了後に酸水溶液を添
加することなく、溶融状態でポリマー相と溶媒相を分離
した後、ポリマー相を精製することを特徴とするポリア
リーレンスルフィドの製造法

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリアリーレンスル
フィド(以下、PASと略称することがある)樹脂の製
造方法に関し、さらに詳しくは、高分子量かつ熱安定性
に優れるPAS樹脂を連続的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアリーレンスルフィド、中でもポリ
フェニレンスルフィドは、機械的強度,耐熱性等に優れ
ると共に、良好な電気的特性や高い剛性を有するエンジ
ニアリングプラスティックとして知られており、電子・
電気機器部品の素材等の各種材料として広く用いられて
いる。特にポリフェニレンスルフィドと無機フィラーか
らなる樹脂組成物の成形品は、様々な用途に用いられて
いる。PASは、一般に、N−メチル−2−ピロリドン
(NMP)等の極性有機溶媒中でp−ジクロロベンゼン
等のジハロゲン化芳香族化合物と硫化ナトリウム、硫化
リチウム等のアルカリ金属硫化物とを反応させることに
より得られる。このような方法においては、通常、重合
反応終了後、ポリマー相を分離する前に酸水溶液を添加
することにより、未反応の硫化リチウムや反応中生成す
る水酸化物を中和させ、反応を完全に停止させることが
行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように、重合反応終了後に酸水溶液を添加した場合、反
応は停止するが、一方で、溶媒中に含まれる不純物等に
より、生成したポリマーが分解する恐れがあり、高分子
量かつ熱安定性に優れるPASを得るという点において
未だ十分ではなかった。本発明は上記課題に鑑みてなさ
れたものであり、極性有機溶媒中でジハロゲン化芳香族
化合物と金属硫化物とを反応させるPASの製造におい
て、高分子量かつ熱安定性に優れるPASを製造する方
法を提供することを目的とする。また、本発明は高分子
量かつ熱安定性に優れるPAS及びその組成物を提供す
ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑みて鋭意検討した結果、極性有機溶媒中でジハロゲ
ン化芳香族化合物と金属硫化物とを反応させてポリアリ
ーレンスルフィドを製造する際、重合反応終了後、酸水
溶液などの反応停止剤を添加することなく、そのままポ
リマー相と溶媒相を分離した後、ポリマー相を精製する
ことにより上記本発明の目的を達成し得ることを見出
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
極性有機溶媒中で、ジハロゲン化芳香族化合物と金属硫
化物とからポリアリーレンスルフィドを製造する方法に
おいて、重合反応終了後に酸水溶液を添加することな
く、溶融状態でポリマー相と溶媒相を分離した後、ポリ
マー相を精製することを特徴とするポリアリーレンスル
フィドの製造法に関するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を更に詳細に説明
する。 1.ポリアリーレンスルフィド(PAS)の製造方法 本発明の製造法は、極性有機溶媒中で、ジハロゲン化芳
香族化合物と金属硫化物とからポリアリーレンスルフィ
ドを製造する方法において、重合反応終了後に酸水溶液
を添加することなく、溶融状態でポリマー相と溶媒相を
分離した後、ポリマー相を精製することを特徴とするも
のである。
【0006】(1)原料成分 ジハロゲン化芳香族化合物 本発明の製造方法に用いられるジハロゲン化芳香族化合
物としては、例えばm−ジハロベンゼン,p−ジハロベ
ンゼン等のジハロゲンベンゼン類;2,3−ジハロトル
エン,2,5−ジハロトルエン,2,6−ジハロトルエ
ン,3,4−ジハロトルエン,2,5−ジハロキシレ
ン,1−エチル−2,5−ジハロベンゼン,1,2,
4,5−テトラメチル−3,6−ジハロベンゼン,1−
ノルマルヘキシル−2,5−ジハロベンゼン,1−シク
ロヘキシル−2,5−ジハロベンゼンなどのジハロゲン
アルキル置換ベンゼン類又はジハロゲンシクロアルキル
置換ベンゼン類;1−フェニル−2,5−ジハロベンゼ
ン,1−ベンジル−2,5−ジハロベンゼン,1−p−
トルイル−2,5−ジハロベンゼン等のジハロゲンアリ
ール置換ベンゼン類;4,4’−ジハロビフェニル等の
ジハロゲンビフェニル類;1,4−ジハロナフタレン,
1,6−ジハロナフタレン,2,6−ジハロナフタレン
等のジハロゲンナフタレン類などが挙げられる。
【0007】 極性有機溶媒 本発明に用いられる極性有機溶媒としては、たとえば、
アミド化合物、ラクタム化合物、尿素化合物、有機イオ
ウ化合物、環式有機リン化合物等の極性有機化合物を、
単独であるいはこれらの混合溶媒として、好適に使用す
ることができる。これらの極性有機溶媒のうち、前記ア
ミド化合物としては、例えば、N,N−ジメチルホルム
アミド,N,N−ジエチルホルムアミド,N,N−ジメ
チルアセトアミド,N,N−ジエチルアセトアミド,
N,N−ジプロピルアセトアミド,N,N−ジメチル安
息香酸アミド等を挙げることができる。
【0008】また、前記ラクタム化合物としては、例え
ば、カプロラクタム,N−メチルカプロラクタム,N−
エチルカプロラクタム,N−イソプロピルカプロラクタ
ム,N−イソブチルカプロラクタム,N−ノルマルプロ
ピルカプロラクタム,N−ノルマルブチルカプロラクタ
ム,N−シクロヘキシルカプロラクタム等のN−アルキ
ルカプロラクタム類,N−メチル−2−ピロリドン(N
MP),N−エチル−2−ピロリドン,N−イソプロピ
ル−2−ピロリドン,N−イソブチル−2−ピロリド
ン,N−ノルマルプロピル−2−ピロリドン,N−ノル
マルブチル−2−ピロリドン,N−シクロヘキシル−2
−ピロリドン,N−メチル−3−メチル−2−ピロリド
ン,N−エチル−3−メチル−2−ピロリドン,N−メ
チル−3,4,5−トリメチル−2−ピロリドン,N−
メチル−2−ピペリドン,N−エチル−2−ピペリド
ン,N−イソプロピル−2−ピペリドン,N−メチル−
6−メチル−2−ピペリドン,N−メチル−3−エチル
−2−ピペリドンなどを挙げることができる。また、前
記尿素化合物としては、たとえば、テトラメチル尿素,
N,N' −ジメチルエチレン尿素,N,N' −ジメチル
プロピレン尿素などを挙げることができる。
【0009】さらに、前記有機イオウ化合物としては、
たとえば、ジメチルスルホキシド,ジエチルスルホキシ
ド,ジフェニルスルホン,1−メチル−1−オキソスル
ホラン,1−エチル−1−オキソスルホラン,1−フェ
ニル−1−オキソスルホランなどを、また、前記環式有
機リン化合物としては、たとえば、1−メチル−1−オ
キソホスホラン,1−ノルマルプロピル−1−オキソホ
スホラン,1−フェニル−1−オキソホスホランなどを
挙げることができる。これら各種の極性有機化合物は、
それぞれ一種単独で、または二種以上を混合して、さら
には、本発明の目的に支障のない範囲で他の溶媒成分と
混合して使用することができる。前記各種の極性有機溶
媒の中でも、好ましいのはN−アルキルカプロラクタム
及びN−アルキルピロリドンであり、特に好ましいのは
N−メチル−2−ピロリドンである。 金属硫化物 金属硫化物としては、硫化ナトリウム,硫化リチウム、
硫化カリウム等のアルカリ金属化合物に代表される金属
硫化物を主として用いることができる。これらは一種単
独で、または二種以上を混合して用いてもよい。また、
アルカリ土類金属硫化物や他の硫黄源を併用して用いる
こともできる。
【0010】 その他 本発明においては、その効果を損なわない範囲で、コモ
ノマー、分岐剤,末端停止剤などをジハロゲン化合物と
併用してもよい。コモノマ−や分岐剤を共重合してもよ
い。コモノマーとしては、2,3−ジクロロフェノー
ル、2,3−ジブロモフェノール、2,4−ジクロロフ
ェノール、2,4−ジブロモフェノール、2,5−ジク
ロロフェノール、2,5−ジブロモフェノール、2,4
−ジクロロアニリン、2,4−ジブロモアニリン、2,
5−ジクロロアニリン、2,5−ジブロモアニリン、
3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、
3,3’−ジブロモ−4,4’−ジアミノビフェニル、
3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニ
ル、3,3’−ジブロモ−4,4’−ジヒドロキシビフ
ェニル、ジ(3−クロロ−4アミノ)フェニルメタン、
m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、o−ジ
クロロベンゼン、o−ジブロモベンゼン、4,4’−ジ
クロロジフェニルエ−テル、4,4’−ジクロロジフェ
ニルルホン等が挙げられる。また、分岐剤としては、
1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリク
ロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン等が挙げ
られる。
【0011】末端停止剤としては、クロロベンゼン、ブ
ロモベンゼン、ヨードベンゼン、p−ブロモフェノー
ル、m−ブロモフェノール、o−ブロモフェノール、p
−クロロフェノール、m−クロロフェノール、o−クロ
ロフェノール、p−フルオロフェノール、m−フルオロ
フェノール、o−フルオロフェノール、p−ヨードフェ
ノール、m−ヨードフェノール、o−ヨードフェノール
等のハロゲン化フェノールなどが挙げられ、中でもクロ
ロベンゼン、ブロモベンゼン、p−ブロモフェノール、
p−クロロフェノールが好ましい。 (2)ポリアリーレンスルフィドの製造 原料の使用量 本発明においては、金属硫化物とジハロゲン化芳香族化
合物を主原料成分としてポリアリーレンスルフィドを製
造するが、この際、重合反応終了後の重合液中のジハロ
ゲン化芳香族化合物の使用量は、金属硫化物に対してモ
ル比で0.8〜1.2の範囲とすることが好ましく、より好
ましくは0.9〜1.1、特に好ましくは0.95〜1.05で
ある。このモル比が上記範囲を逸脱する場合は、高分子
量で、熱安定性に優れたPASを得ることができないこ
とがある。
【0012】本発明においては、極性溶媒に対する金属
硫化物の溶解性を向上させる目的で、反応系に水を添加
することができる。その使用量は、金属硫化物に対して
モル比で0.05〜4.0とすることが好ましく、より好ま
しくは0.1〜3.0である。このモル比が0.05未満であ
ると、反応が不十分となるおそれがあり、このモル比が
4.0を超えると、高分子量のPASを得ることができな
いおそれがある。本発明においては、反応を促進させる
ために上記原料以外に、アルカリ金属化合物等の金属水
酸化物、アルカリ金属N−メチルアミノ酪酸塩等の金属
N−メチルアミノ酪酸塩を添加してもよい。これらの添
加物使用量は、金属硫化物に対してモル比で0.01〜1.
0とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8
である。
【0013】 反応条件 本発明の製造方法における上記重合反応は、230〜2
90℃、好ましくは240〜280℃、より好ましくは
250〜270℃における一段反応で行ってもよいが、
重縮合の前に、180〜230℃、好ましくは190〜
220℃、より好ましくは195〜215℃で予備重合
を行うことが好ましい。重縮合の反応時間は、0.5〜1
0時間、好ましくは1.0〜10時間、より好ましくは1.
5〜10時間である。この反応時間が0.5時間未満であ
ると、反応が不十分となるため、分子量が十分に高くな
らないおそれがあり、また、反応時間が10時間を超え
ても特にそれ以上の効果が得られるものでもない。
【0014】本発明においては、重合槽の使用段数に特
に制限はなく多段のものも使用可能であり、温度条件を
二以上の多段に変化させてもよい。本発明に用いられる
重合槽、攪拌翼には特に制限はないが、重合槽は完全混
合に適した形状が好ましく、攪拌翼は、フルゾーン等の
大型翼が好ましい。重合反応後の重合溶液にはPASが
固化しない程度に水を添加し、洗浄操作を行うことがで
きる。水量は重合溶液の量、温度により異なるが、冷却
しすぎてPASが固化、析出しない量であれば良い。洗
浄槽は通常攪拌させて、重合溶液と水とが良く混合する
ようにすることが好ましい。洗浄溶液は、ポリマーに付
着している不純物、副生成物がそれに溶解してポリマー
に悪影響を与えないものであるならば特に制限はなく、
たとえば、メタノール,アセトン,ベンゼン,トルエ
ン,水,NMPを挙げることができる。中でも水が好ま
しい。
【0015】上記PASの製造においては、従来、重合
反応終了後に酸水溶液を添加することにより、未反応の
金属硫化物等を中和して反応を完全に停止させた後に分
離槽に供給され、ポリマー相と溶媒相に分離していた
が、本発明においては、重合反応終了後、上記酸水溶液
を添加しないでそのままポリマー相と溶媒相を分離す
る。この場合、重合反応終了後、攪拌を停止し、そのま
まポリマー相と溶媒相を分離することもできるし、ま
た、重合反応終了後にNMPなどの極性溶媒を添加して
ポリマー相と溶媒相を分離してもよい。このうち、分離
の際、ポリマー相と溶媒相の比重差を大きくするなどの
点から、極性溶媒を添加する方法が好ましい。また、極
性溶媒とともに水を使用することもできる。上記ポリマ
ー相と溶媒相の分離に用いられる極性溶媒としては、前
記重合反応に使用される極性有機溶媒と同様のものがい
ずれも使用できる。
【0016】本発明においては、上述のように、重合反
応終了後に、得られた重合反応混合物をポリマー相と溶
媒相とに分離するが、この場合、上記重合反応混合物を
連続的に分離槽に導入し、ポリマー相と溶媒相の分離操
作を行うことが好ましい。本発明においては、上述のよ
うにポリマー相と溶媒相を分離した後に、ポリマーの精
製を行う。その方法については、特に制限はないが、一
般には、極性溶媒、水、酸等からなる溶液を添加し、ポ
リマー相を溶融洗浄して行うことが好ましい。その他、
ポリマー相を冷却させ、固化させた後、極性溶媒、酸等
からなる溶液でポリマー粒子を膨潤させて精製すること
もできる。上記の方法において使用できる酸としては、
例えば、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸などが好ましく挙げら
れる。なお、より十分な洗浄、分離効果を得るために、
上記洗浄、分離、精製工程は、任意の回数繰り返しても
良い。
【0017】本発明において、洗浄および分離工程を終
了したポリマー相には、まだ溶媒が含まれるため、溶媒
の除去をすることが好ましい。この溶媒除去操作として
は、特に制限はなく、公知のPAS製造方法で用いられ
る溶媒除去方法(たとえば特開平7−33878号公報
等に開示されたフラッシュ法)に準拠することができ
る。前記溶媒除去操作を終えたPASは、溶融状態で、
または適当な方法で冷却して固化、粒状にして取り出す
ことができる。冷却法としては、空冷,水冷,油冷等を
挙げることができる。
【0018】2.ポリアリーレンスルフィド(PAS) 本発明の製造方法によって得られるPASは、固有粘度
(η)が0.10以上、好ましくは0.17以上であ
り、メルトインデックス(MI)が0〜1000g/1
0分である高分子量のものである。また、このような樹
脂は、熱安定性が優れるため種々の過酷な用途にも使用
できる。なお、前記固有粘度は、上記方法で得られたポ
リアリーレンスルフィドをα−クロルナフタレンに0.
4dl/gの濃度になるように溶解し、206℃の温度
でウベローデ粘度計を使用して測定された値である。
【0019】また、本発明における熱安定性の評価方法
としては、PASとNMPとの混合物を用い、この混合
物を高温(265℃)で8時間に保持して、PASの固
有粘度[η]の変化を見る方法が好適である。この場合
PASとNMPとの混合割合は、任意であるが、再現性
を高めるために通常両者を等量(質量)、例えば、2.5
gずつ配合して行う。また、上記固有粘度[η]は、こ
の種の樹脂の溶解性を考慮すると、206℃に於ける値
で表示するのが便利である。本発明の製造方法により得
られるPASは、例えば、構造式−Ar−S−(ただし
Arはアリーレン基)で示される繰り返し単位を70モ
ル%以上含有する重合体である。その代表的なものは、
下記構造式(I)
【0020】
【化1】
【0021】(式中、R1 は炭素数6以下のアルキル
基、アルコキシ基、フェニル基、カルボン酸/金属塩、
アミノ基、ニトロ基、フッ素,塩素,臭素等のハロゲン
原子から選ばれる置換基であり、mは0〜4の整数であ
る。また、nは平均重合度を示し10〜200の範囲で
ある)で示される繰り返し単位を70モル%以上有する
PPS、あるいは下記構造式(II)
【0022】
【化2】
【0023】(式中、nは一般式(I)のnと同じであ
る。)で表されるPPSを挙げることができる。PAS
は一般にその製造法により実質上線状で分岐、架橋構造
を有しない分子構造のものと、分岐や架橋構造を有する
構造のものが知られているが、本発明の製造方法はその
何れのタイプのものについても有効である。PASとし
ては、繰り返し単位としてパラフェニレンスルフィド単
位を70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上
含有するホモポリマーまたはコポリマーが挙げられる。
共重合構成単位としては、例えばメタフェニレンスルフ
ィド単位、オルソフェニレンスルフィド単位、p,p'
−ジフェニレンケトンスルフィド単位、p,p' −ジフ
ェニレンスルホンスルフィド単位、p,p' −ビフェニ
レンスルフィド単位、p,p' −ジフェニレンエーテル
スルフィド単位、p,p' −ジフェニレンメチレンスル
フィド単位、p,p' −ジフェニレンクメニルスルフィ
ド単位、ナフチルスルフィド単位などが挙げられる。ま
た、本発明のポリアリーレンスルフィドとしては、前記
の実質上線状ポリマーの他に、モノマーの一部分として
3個以上の官能基を有するモノマーを少量混合使用して
重合した分岐または架橋ポリアリーレンスルフィドや、
また、これを前記の線状ポリマーにブレンドした配合ポ
リマーも対象とすることができる。
【0024】本発明のPAS樹脂組成物は、上記の方法
により得られたPAS20〜90重量%と無機フィラー
80〜10重量%からなるものであり、好ましくはPA
S20〜70重量%と無機フィラー80〜30重量%、
より好ましくはPAS40〜70重量%と無機フィラー
60〜30重量%からなるものである。無機フィラーと
しては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン
酸カリウムウイスカ、炭化ケイ素ウイスカ、マイカセラ
ミック繊維、ウオストナイト、マイカ、タルク、シリ
カ、アルミナ、カオリン、クレー、シリカアルミナ、カ
ーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、炭酸リ
チウム、二硫化モリブデン、黒鉛、酸化鉄、ガラスビー
ズ、燐酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、燐酸マグネシウム、窒化ケイ素、ハイドロタルサイ
ト等を挙げることができる。これらの無機フィラーを一
種又は二種以上組み合わせて使用することができる。ま
た、これらの中にあっては、特にガラス繊維がよい。
【0025】ガラス繊維としては、特に制限はなく、ア
ルカリガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラスの
いずれでもよく、また、繊維長は好ましくは0.1〜8m
m、より好ましくは0.3〜6mmであって、繊維径は好
ましくは0.1〜30μm、より好ましくは0.5〜25μ
mである。繊維長が0.1mmより小さければ補強効果が
低いし、8mmより大きければ、流動性が低下する。ま
た、繊維径は0.1μmより小さければ流動性が低下す
るし、30μmより大きければ強度が低下する。更に、
ガラス繊維の形態としては、特に制限はなく、例えばロ
ービング、ミルドファイバー、チョップトストランドな
どの各種のものが挙げられる。これらのガラス繊維は単
独でも二種以上を組み合わせて用いることもできる。ま
た、ガラス繊維には、樹脂との親和性を高めるために、
アミノシラン系、エポキシシラン系、ビニルシラン系、
メタクリルシラン系等のシラン系カップリング剤やテト
ラメチル・オルソチタネート、テトラエチル・オルソチ
タネートほかチタネート系カップリング剤、クロム錯化
合物、ホウ素化合物で表面処理されたものであってもよ
い。
【0026】本発明のPAS樹脂組成物の調製方法とし
ては特に制限はないが、PAS、無機フィラー及び必要
に応じて用いられるシランカップリング剤、酸化防止
剤、熱安定剤、滑剤、可塑剤、導電性付与剤、着色剤、
含量等の添加剤を配合し、タンブラーブレンダー,ヘン
シェルミキサーなどで混合し、さらに単軸押出機や多軸
押出機を用いて溶融混練造粒するか、あるいはニーダ
ー,バンバリーミキサーなどで溶融混練造粒することに
より、調製することができる。本発明の成形体は、上記
PAS樹脂組成物を射出成形法や押出し成形法などの方
法により製造することができる。本発明により得られた
ポリアリーレンスルフィドは、各種成形品の材料、たと
えばフィルム、繊維、機械部品、電気部品、電子部品な
どの材料として好適に利用することができる。
【0027】
【実施例】以下に、本発明を実施例によってさらに具体
的に説明する。なお、PDCB濃度、PASの固有粘度
及び熱安定性は、以下の方法により評価した。 [熱安定性評価方法]PASを2.5gとNMP2.5gを
内容積10ミリリットルの小型耐圧セル(SUS316
製)に投入し密栓した。このセルをオイルバス中で26
5℃まで昇温し、この温度で8時間保持した。その後、
セルを取り出し冷却して、PASを取り出し、水洗・乾
燥したものの固有粘度[η]を、下記の方法で測定し、
処理前の[η]との差で評価した。 〔固有粘度の測定〕試料0.04±0.001gをα−クロ
ロナフタレン10ミリリットル中に235℃,15分間
内で溶解させ、206℃の恒温槽内で得られる粘度と、
ポリマ−を溶解させていないα−クロロナフタレンの粘
度との相対粘度を測定した。この値を用いて次式に従っ
て固有粘度[η]を算出した。 [η](デシリットル/g)= ln(相対粘度)/ポ
リマ−濃度
【0028】実施例1 攪拌機付き1Lオートクレーブに、硫化リチウム23.
1g(0.503モル)、無水水酸化リチウム1.96
g(81.8ミリモル)及びN−メチル−2−ピロリド
ン(NMP)188ccを仕込み、215℃に保った。
これにパラジクロロベンゼン(PDCB)77.6g
(0.528モル)、水6.46g(0.359モル)
及びNMP75.3ccを予め100℃に加熱した後投
入した。200℃で5時間予備重合し、その後260℃
に昇温し、回転数320rpmで攪拌しつつ3時間重合
した。重合終了後、260℃のNMP280ccを加
え、1時間攪拌した後、攪拌を停止し、冷却後、液相を
分離した。次いで、ポリマー相にNMP200cc,水
30cc、塩化アンモニウム5gを加え、260℃に昇
温し、10分間攪拌した後攪拌を停止し、更に冷却した
後、溶媒相を分離しポリマーを得た。得られたポリマー
について固有粘度[η]、Δηを評価した。結果を第1
表に示す。
【0029】実施例2 実施例1において、重合が終了した時点で、260℃の
NMP280cc、水30cc、塩化アンモニウム5g
を加え、1時間攪拌した後攪拌を停止させ、更に冷却し
た後、液相を分離し、ポリマーを得た以外は実施例1と
同様の操作を行った。実施例1と同様に評価を行った結
果を第1表に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】本発明の製造法におけるように、重合反
応終了後に酸水溶液を添加することなく、溶融状態でポ
リマー相と溶媒相を分離することにより、高分子量でし
かも熱安定性に優れるPASを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA62 AB03 AB18 AB21 AB26 AB28 AB30 AH12 AH17 AH19 4J002 CL06X CN01W DA016 DA026 DA036 DE116 DE136 DE146 DE186 DE236 DE246 DE286 DG046 DG056 DH046 DJ006 DJ016 DJ036 DJ046 DJ056 DL006 FA04X FA046 FA066 FA086 FD01X FD016 GK01 GM00 GQ00 4J030 BA03 BB28 BB29 BB31 BD21 BD22 BG04 BG26 BG31

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極性有機溶媒中で、ジハロゲン化芳香族
    化合物と金属硫化物とからポリアリーレンスルフィドを
    製造する方法において、重合反応終了後に酸水溶液を添
    加することなく、溶融状態でポリマー相と溶媒相を分離
    した後、ポリマー相を精製することを特徴とするポリア
    リーレンスルフィドの製造法。
  2. 【請求項2】 重合反応終了後に、極性有機溶媒を添加
    し、溶融状態でポリマー相と溶媒相を分離した後、ポリ
    マー相を精製することを特徴とする請求項1記載の製造
    法。
  3. 【請求項3】 重合反応終了後に、溶融状態でポリマー
    相と溶媒相を分離した後に酸水溶液を添加してポリマー
    相を精製することを特徴とする請求項1または2に記載
    の製造法。
  4. 【請求項4】 重合反応終了後に、重合反応混合物を連
    続的に分離槽に導入し、ポリマー相と溶媒相を分離する
    請求項1〜3のいずれかに記載の製造法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の製造法
    により得られたポリアリーレンスルフィド20〜90重
    量%及び無機フィラー80〜10重量%からなるポリア
    リーレンスルフィド樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のポリアリーレンスルフ
    ィド樹脂組成物を成形してなる成形体。
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