JP3198529B2 - ナフトール変性フェノール樹脂の製造方法 - Google Patents

ナフトール変性フェノール樹脂の製造方法

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晴昭 陶
憲 七海
拓二 伊藤
健 斑目
伸介 萩原
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日立化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性、電気絶縁性に優
れた成形材料用樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤等に好適に
利用できるナフトール変性フェノール樹脂の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】フェノール樹脂は、ノボラック型フェノ
ール樹脂とレゾール型フェノール樹脂に大別され、その
何れもが有機又は無機基材結合材として優れた性能を有
している。近年、フェノール樹脂に対する要求性能も、
より高耐熱、高強度、低吸湿など厳しいものになってい
る。これらの性能を向上させるためにナフトールなどの
縮環構造を有するものを導入することが考えられるが、
レゾール樹脂、ノボラック樹脂を合成するための従来の
触媒である酸あるいは金属酸化物、金属塩化物、金属水
酸化物、アミン類などを単独で用いた場合には、ナフト
ールの反応性がフェノールに比べて大きいためにナフト
ールがフェノール樹脂と共縮合しにくく、分子量の大き
なものが得られないなどの問題点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は分子量を大き
くしても共縮合が円滑に進み、かつゲル化しないナフト
ール変性フェノール樹脂の製造方法を提供することを目
的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明はフェ
ノール類(P)とナフトール類(N)とホルムアルデヒ
ド(F)とを、PとNの割合をPが95〜20モル%、
Nが5〜80モル%となるようにし、かつ反応モル比
{F/(P+N)}が0.5〜2.0の範囲内になるよ
うにして、遷移金属、IIA族元素、IIIA族元素、
IVA族元素、VA族元素及びVIA族元素の中から選
ばれた金属元素と弱酸ないし強酸の存在下で反応させる
ことを特徴とするナフトール変性フェノール樹脂の製造
方法を提供するものである。本発明の製造方法によれ
ば、フェノール類、ナフトール類とホルムアルデヒドを
金属と酸を触媒に用いて付加縮合反応させることにより
フェノール樹脂分子の化学構造、分子量、分子量分布を
制御できる。
【0005】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発
明において、ホルムアルデヒドに対する95〜20モル
%のフェノール類と5〜80モル%のナフトール類の反
応モル比{F/(P+N)}は0.5〜2.0とする必
要があり、好ましくは0.8〜1.3である。ナフトー
ル類の割合が上記範囲より小さいとナフトール変性の意
味がなく、大きいと溶液重合を行う必要性がある。ま
た、反応モル比が0.5未満であると分子量が小さくな
り、2.0を超えると未反応フェノールの量がふえる。
【0006】F/(P+N)比を0.5〜2.0の範囲
にするのに使用されるホルムアルデヒド源のホルムアル
デヒド濃度は特に限定されない。ホルムアルデヒド源と
しては、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキ
サンなどが使用される。本発明で用いられるフェノール
としては、フェノール、クレゾール、ノニルフェノー
ル、tert−ブチルフェノール又はキシレノール使
用できる。ナフトール類としては、1−ナフトール又は
2−ナフトールが用いられる。
【0007】次に、本発明のフェノール樹脂の製造方法
において、触媒として使用される金属元素としては、ク
ロム、ニッケル、コバルト、亜鉛、鉄、銅などの遷移金
属、マグネシウムなどのIIA族元素、アルミニウム、
ガリウム、インジウムなどのIIIA族元素、珪素、ゲ
ルマニウム、錫、鉛などのIVA族元素、ヒ素、アンチ
モンなどのVA族元素、セレン、テルルなどのVIA族
元素などが挙げられる。これらの金属は、これに限定さ
れるものではなく、また反応系において単独又は任意の
2種類以上の混合物として使用できる。上記触媒の使用
量については特に限定しない。一般にはフェノール類と
ナフトール類の合計1モルに対して、0.0001〜
0.05モル、好ましくは0.0005〜0.002モ
ルの量で使用される。併用する酸触媒は特に限定するも
のではないが、蓚酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、塩
酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸などを用いる。上記
酸触媒の使用量については特に限定しないが、用いる金
属元素の0.0001〜100倍モル使用することが好
ましい。
【0008】本発明におけるナフトール変性フェノール
樹脂の反応条件については特に限定しないが、一般には
100〜110℃の温度で還流下に実施するのが好まし
い。還流下の反応時間は使用した触媒の種類や量により
異なるが通常は1〜50時間である。還流反応終了後、
反応生成物を230℃以下の温度で減圧脱水し、任意の
軟化点になったときに生成樹脂を反応釜から取り出して
冷却することによって、所望のノボラック型フェノール
樹脂を得ることができる。
【0009】以上のようにして得られたノボラック型フ
ェノール樹脂は、成形材料、エポキシ樹脂硬化剤、鋳物
用樹脂、摩擦材料など、種々の用途に応用できる。
【0010】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1 攪拌機、冷却器、温度計を備えた2リットルのフラスコ
に1−ナフトール72g、フェノール423g、37%
ホルムアルデヒド323g、アルミニウム粉末0.3
g、蓚酸2.52gを加え4時間還流反応させた後、2
00℃まで昇温しながら、700mmHgで減圧脱水
し、500gの固形の樹脂を得た。本発明で、分子量及
び分子量分布測定に用いたGPC装置は日立製高速液体
クロマトグラフィL6000及び島津製作所製データ解
析装置C−R4Aである。GPCカラムとしては昭和電
工製KF−804L 2本を使用した。上記の分析装置
によりMn=904、Mw/Mnは3.3となった。
(以下、数平均分子量をMn、重量平均分子量をMwと
略称する。)
【0011】実施例2 攪拌機、冷却器、温度計を備えた2リットルのフラスコ
に1−ナフトール215g、フェノール329g、37
%ホルムアルデヒド162g、86%パラホルムアルデ
ヒド77g、ガリウム0.3g、蓚酸0.3gを投入し
加熱する。36時間還流反応させた後、200℃まで昇
温しながら、700mmHgで減圧脱水し、510gの
固形の樹脂を得た。Mn=776、Mw/Mnは3.1
となった。
【0012】
【0013】実施例4 攪拌機、冷却器、温度計を備えた2リットルのフラスコ
に1−ナフトール360g、フェノール235g、37
%ホルムアルデヒド162g、86%パラホルムアルデ
ヒド77g、アルミニウム粉末0.3gとコハク酸1.
5gを投入し加熱する。パラホルムアルデヒドは徐々に
溶解し100℃付近で完全に溶解する。5時間還流反応
させた後、220℃まで昇温しながら、700mmHg
で減圧脱水し、510gの固形の樹脂を得た。Mn=9
68、Mw/Mnは6.2となった。
【0014】実施例5 攪拌機、冷却器、温度計を備えた2リットルのフラスコ
に1−ナフトール360g、フェノール235g、37
%ホルムアルデヒド162g、86%パラホルムアルデ
ヒド140g、アルミニウム粉末0.3g、蓚酸2.5
gを投入し加熱する。3時間還流反応させた後、200
℃まで昇温しながら、700mmHgで減圧脱水し、5
00gの固形の樹脂を得た。Mn=982、Mw/Mn
は4.0となった。
【0015】実施例6 攪拌機、冷却器、温度計を備えた2リットルのフラスコ
に2−ナフトール215g、フェノール329g、37
%ホルムアルデヒド122g、86%パラホルムアルデ
ヒド70g、アルミニウム粉末0.3gと蓚酸1.3g
を投入し加熱する。パラホルムアルデヒドは徐々に溶解
し100℃付近で完全に溶解する。5時間還流反応させ
た後、200℃まで昇温しながら、700mmHgで減
圧脱水し、490gの固形の樹脂を得た。Mn=50
5、Mw/Mnは2.0となった。
【0016】実施例7 攪拌機、冷却器、温度計を備えた2リットルのフラスコ
に2−ナフトール72g、フェノール423g、37%
ホルムアルデヒド162g、86%パラホルムアルデヒ
ド77g、アルミニウム粉末0.3g、蓚酸1.25g
を投入し加熱する。パラホルムアルデヒドは徐々に溶解
し100℃付近で完全に溶解する。3時間還流反応させ
た後、200℃まで昇温しながら、700mmHgで減
圧脱水し、450gの固形の樹脂を得た。Mn=63
5、Mw/Mnは2.6となった。
【0017】実施例8 攪拌機、冷却器、温度計を備えた2リットルのフラスコ
に2−ナフトール72g、フェノール423g、37%
ホルムアルデヒド162g、86%パラホルムアルデヒ
ド140g、ガリウム0.5g、蓚酸2gを投入し加熱
する。パラホルムアルデヒドは徐々に溶解し100℃付
近で完全に溶解する。6時間還流反応させた後、220
℃まで昇温しながら、700mmHgで減圧脱水し、5
00gの固形の樹脂を得た。Mn=1400、Mw/M
nは5.4となった。
【0018】比較例1 攪拌機、冷却器、温度計を備えた2リットルのフラスコ
に1−ナフトール215g、フェノール215g、37
%ホルムアルデヒド162g、86%パラホルムアルデ
ヒド140g、5規定塩酸20mlを投入し加熱する。
パラホルムアルデヒドは徐々に溶解し100℃付近で完
全に溶解する。3時間還流反応させた後、180℃まで
昇温しながら、700mmHgで減圧脱水したがゲル化
した。
【0019】比較例2 攪拌機、冷却器、温度計を備えた2リットルのフラスコ
に2−ナフトール72g、フェノール423g、37%
ホルムアルデヒド162g、86%パラホルムアルデヒ
ド140g、蓚酸アルミニウム5.5gを投入し加熱す
る。パラホルムアルデヒドは徐々に溶解し100℃付近
で完全に溶解する。6時間還流反応させた後、160℃
まで昇温しながら、700mmHgで減圧脱水したが、
ゲル化した。
【0020】
【発明の効果】本発明により分子量が大きく、かつ共縮
合したナフトール変性フェノール樹脂を合成することが
可能になった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斑目 健 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化 成工業株式会社 下館研究所内 (72)発明者 萩原 伸介 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化 成工業株式会社 下館研究所内 (56)参考文献 特開 平4−332714(JP,A) 特開 平4−149222(JP,A) 特開 平4−149223(JP,A) 特開 平3−111416(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 8/00 - 8/38

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール類(P)とナフトール類
    (N)とホルムアルデヒド(F)とを、PとNの割合を
    Pが95〜20モル%、Nが5〜80モル%となるよう
    にし、かつ反応モル比{F/(P+N)}が0.5〜
    2.0の範囲内になるようにして、遷移金属、IIA族
    元素、IIIA族元素、IVA族元素、VA族元素及び
    VIA族元素の中から選ばれた金属元素と弱酸ないし強
    酸の存在下で反応させることを特徴とするナフトール変
    性フェノール樹脂の製造方法。
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US07/879,363 US5206333A (en) 1991-05-07 1992-05-07 Method of producing a naphthol-modified phenolic resin of highly increased molecular weight

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KR20120046271A (ko) * 2009-07-23 2012-05-09 아사히 유키자이 고교 가부시키가이샤 쉘 몰드용 페놀계 수지 조성물 및 쉘 몰드용 레진 코티드 샌드 그리고 그것을 사용하여 얻어지는 쉘 몰드용 주형
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JP2012111806A (ja) * 2010-11-22 2012-06-14 Sumitomo Bakelite Co Ltd 摩擦材用フェノール樹脂組成物、摩擦材用フェノール樹脂の製造方法及び摩擦材

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