JP3195892B2 - ベルト式変速装置 - Google Patents

ベルト式変速装置

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JP3195892B2 JP18531395A JP18531395A JP3195892B2 JP 3195892 B2 JP3195892 B2 JP 3195892B2 JP 18531395 A JP18531395 A JP 18531395A JP 18531395 A JP18531395 A JP 18531395A JP 3195892 B2 JP3195892 B2 JP 3195892B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転軸上の固定シ
ーブに対し可動シーブを接離させてベルト巻付け径を変
える変速プーリと定速プーリとを組み合わせたベルト式
変速装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、芝刈り機や農業機械等におい
て、エンジンやモータの動力を変速して駆動車輪或いは
各種の作業機構に伝達するために、ベルト伝動を利用し
たベルト式変速装置が多用されている。このベルト式変
速装置の一例として、従来、例えば実開昭57―164
352号公報に示されるように、互いに平行に配置され
た1対の回転軸の各々に、回転軸の各々に対して回転一
体にかつ摺動不能に固定された固定シーブと、各回転軸
に固定シーブとの間に断面略V字状のベルト溝を形成す
るように対向配置されて回転一体にかつ摺動自在に支持
された可動シーブとからなり、一方の可動シーブの固定
シーブへの向きと他方の可動シーブの固定シーブへの向
きとが互いに逆向きに設定された1対の変速プーリを設
けるとともに、これら両変速プーリのベルト溝間に伝動
ベルトを巻き掛け、両変速プーリ間のベルトの緩み側ス
パンを押圧するテンションプーリを有するテンション機
構を設け、上記各変速プーリの可動シーブ背面側に、各
々、回転軸回りに回動可能な回動カムと固定体に連結さ
れて回動不能な固定カムとからなり回動カムの固定カム
に対する回動により可動シーブを固定シーブに接離する
ように移動させるカム機構を配設し、両カム機構の回動
カムをロッド及び変速軸で連結することにより、一方の
変速プーリの可動シーブがそれに対向する固定シーブに
接近すると、他方の変速プーリの可動シーブがそれと対
向する固定シーブから離れるように上記両カム機構の回
動カムを互いに連係して回動させ、各変速プーリの伝動
ベルトに対する有効半径(プーリ径)を変化させて両回
転軸間の速比を変化させるようにしたものが知られてい
る。
【0003】ところで、上記変速プーリでは、そのプー
リ径が変化するとき、可動シーブの固定シーブに対する
接離動作に伴い、ベルトはベルト溝における傾斜状の固
定シーブ側側面を基準としてそれに沿って半径方向に移
動するが同時に軸方向にも移動する。しかし、この変速
時のベルトの軸方向の移動により、相手側のプーリでの
ベルト位置に対して位置ずれが生じてミスアラインメン
トし易くなり、ベルトの偏摩耗や寿命低下を招くという
問題がある。
【0004】また、変速プーリのベルト溝における固定
シーブ側側面及び可動シーブ側側面の傾斜角度が互いに
同じであるため、ベルトのプーリ半径方向の移動範囲を
広げて変速範囲を大きくするには、上記ベルト溝の各側
面の傾斜角度(回転軸と直交する方向に対する傾斜角
度)を小さくするか、或いはベルトの幅を大きくする必
要があり、前者の場合には変速操作力が極めて大きくな
り、後者の場合にはベルトが座屈し易くなる。
【0005】そこで、従来、変速プーリと定速プーリと
を組み合わせ、その変速プーリにおけるベルト溝の固定
及び可動シーブ側の各側面の傾斜角度を互いに異なら
せ、固定シーブ側の傾斜角度を可動シーブ側よりも小さ
くすることにより、ミスアラインメントの低減及び変速
範囲の増大を図るようにしたものが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、その反面、定
速プーリでのベルト巻付け径が変化しないので、変速プ
ーリのベルト巻付け径の変化に伴うベルトの緩みスパン
の変位が大きくなる。このため、上記のように両プーリ
間のベルト緩み側スパンを押圧する場合、そのベルトの
緩み側スパンをベルト背面側から押圧する構造では、変
速プーリのベルト巻付け径が最小となったときにベルト
緩み側スパンが張り側スパンに干渉する虞れがあり、一
方、逆に、ベルト緩み側スパンをベルト内面側から押圧
する構造では、変速プーリのベルト巻付け径が最小とな
ると緩み側スパンが大きく外側に広がり、変速装置の大
きさが増大するのは禁じ得ない。従って、これらの理由
により、実際には変速範囲を無闇に大きくすることはで
きず、その限度があった。
【0007】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、上記のように変速プ
ーリと定速プーリとを組み合わせたベルト式変速装置に
対し、そのテンション機構の配置構造を工夫することに
より、コンパクトで簡単な構造で、ベルト式変速装置の
変速範囲を増大できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的の達成のた
め、この発明では、テンション機構を両プーリ間に配置
するのではなく、一方のプーリの外側に配置するように
した。
【0009】すなわち、請求項1の発明では、互いに平
行に配置された少なくとも1対の回転軸と、上記一方の
回転軸上に設けられ、回転軸に軸方向に移動不能にかつ
回転一体に支持された固定シーブ、及び該固定シーブと
の間に断面略V字状のベルト溝をあけて対向配置され、
回転軸に軸方向に移動可能に支持された可動シーブを有
する変速プーリと、上記他方の回転軸上に設けられ、上
記変速プーリの固定シーブ側に位置する第1シーブ、可
動シーブ側に位置する第2シーブ、及び該両シーブ間に
形成されたベルト溝を有する定速プーリと、上記変速プ
ーリ及び定速プーリのベルト溝に巻き掛けられた伝動ベ
ルトと、この伝動ベルトを押圧してベルト張力を与える
テンション機構とを備え、上記変速プーリの可動シーブ
の固定シーブに対する接離動作によりベルト溝でのベル
ト巻付け径を変化させて両回転軸の速比を変えるように
したベルト式変速装置が対象である。
【0010】そして、上記変速プーリのベルト溝におけ
る固定シーブ側側面の回転軸と直交する平面に対する傾
斜角度を、可動シーブ側側面の傾斜角度よりも小とす
る。
【0011】また、定速プーリのベルト溝における第1
シーブ側側面の回転軸と直交する平面に対する傾斜角度
を、変速プーリのベルト溝における固定シーブ側側面の
傾斜角度と一致させ、かつ第2シーブ側側面の傾斜角度
は、変速プーリのベルト溝における可動シーブ側側面の
傾斜角度と一致させる。
【0012】さらに、上記テンション機構は、上記一方
のプーリに対し他方のプーリと反対側に配置されかつ一
方のプーリと接離する方向に移動可能なテンションプー
リと、このテンションプーリを一方のプーリから離隔す
る方向に付勢する付勢手段とを備えているものとする。
【0013】この構成では、変速プーリの可動シーブを
固定シーブに対し接離することで、該プーリでのベルト
巻付け径が変化して変速され、この変速時にベルトはベ
ルト溝における固定シーブ側側面に沿って軸方向に移動
しながら半径方向に移動する。そして、上記ベルト溝に
おける固定シーブ側側面の回転軸と直交する平面に対す
る傾斜角度は、可動シーブ側側面の傾斜角度よりも小さ
いので、ベルトがベルト溝を巻付け径の最小値と最大値
との間を半径方向に移動しても軸方向には大きく移動し
ない。このため、変速に伴う定速プーリでのベルト位置
との間のずれが小さくなり、よってミスアラインメント
を低減することができる。
【0014】また、変速プーリのベルト溝における固定
シーブ側側面の傾斜角度が小さいので、その分、ベルト
をその軸方向の僅かな移動量によりベルト溝で半径方向
に大きく移動させることができ、同じベルト幅を保ちつ
つ変速装置での変速比を大きくすることができる。
【0015】さらに、伝動ベルトを押圧してベルト張力
を与えるテンション機構のテンションプーリは、一方の
プーリに対し他方のプーリと反対側位置に該一方のプー
リと接離する方向に移動可能に配置され、かつ付勢手段
によって一方のプーリから離隔する方向に付勢されてい
るので、変速プーリの変速動作に伴うベルトの変位はテ
ンションプーリの移動によって吸収され、変速プーリの
ベルト巻付け径が小さいときには、テンションプーリが
上記付勢手段に付勢されて一方のプーリから離隔する一
方、変速プーリのベルト巻付け径が大きくなると、テン
ションプーリが付勢手段の付勢力に抗して一方のプーリ
に引き寄せられる。このようにテンション機構のテンシ
ョンプーリを両プーリの外側に配置することで、両プー
リ間に配置する場合のように、ベルトの緩み側スパンが
張り側スパンと干渉したり、張り側スパンと反対側に大
きく張り出したりすることはなく、よって変速装置の大
きさをコンパクトで簡単な構造としながら、その変速範
囲を増大させることができる。
【0016】また、変速プーリの伝動状態から、可動シ
ーブを固定シーブと離隔させてプーリを開き、ベルトを
ベルト溝底部に落とし込んでベルト張力をなくし、その
伝動力を零とするいわゆるニュートラル状態に切り換え
るとき、固定シーブ側側面の傾斜角度が小さくて回転軸
に対して起立状態に近いので、可動シーブの僅かな移動
によってベルトをベルト溝底部に一気に落とし込むこと
ができ、ニュートラル状態への切換応答性を高めること
ができる。
【0017】請求項2の発明では、上記テンション機構
は、基端部を揺動中心として先端部が一方のプーリと接
離する方向に沿って揺動可能なテンションアームを備え
たものとし、このテンションアームの先端部にテンショ
ンプーリを軸支する。
【0018】一方、請求項3の発明では、テンション機
構は、一方のプーリと接離する方向に沿ってスライド移
動可能なスライダを備えたものとし、このスライダにテ
ンションプーリを軸支する。
【0019】これらの発明では、テンション機構におけ
るテンションプーリの支持構造及びそのベルトに対する
押圧構造を具体化することができる。特に、請求項3の
発明では、テンションプーリを支持するスライダがプー
リと接離する方向に沿ってスライド移動するので、請求
項2の発明のテンションアームに比べ、両回転軸を通る
平面に沿った方向の変速装置の大きさをコンパクトにす
ることができる。
【0020】請求項4の発明では、上記変速プーリを駆
動プーリとし、定速プーリは従動プーリとする。そし
て、テンション機構のテンションプーリは、定速プーリ
対し変速プーリと反対側に配置する。
【0021】こうすることで、変速時にテンションプー
リは定速プーリに対し接離するようになり、テンション
プーリが移動しても定速プーリでのベルトの巻付け範囲
は大きく変動せず、変速に拘らず安定したベルト伝動状
態を保つことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)図1及び図2は本発明の実施形態1に係
るベルト式変速装置Tを示し、この変速装置Tは例えば
芝刈り機等に搭載されるものである。
【0023】図1及び図2において、1は一方の回転軸
としての駆動軸、2は該駆動軸1と所定の軸間距離(例
えば177mm)をあけて平行に配置された他方の回転
軸としての従動軸で、この従動軸2は芝刈り機等の図外
の駆動車輪或いは各種の作業機構に連結されている。こ
れら両軸1,2は図1で反時計回り方向に回転する。
【0024】上記駆動軸1上には例えば100mmの最
大プーリ径を有する駆動プーリとしての変速プーリ4が
設けられている。この変速プーリ4は固定シーブ5及び
可動シーブ6を有し、固定シーブ5は、そのボス部5a
にて駆動軸1に軸方向に移動不能にかつ回転一体に支持
されている。一方、可動シーブ6はその背面側(固定シ
ーブ5と反対側)に延びるボス部6aにて、上記固定シ
ーブ5のボス部5a(駆動軸1)上に固定シーブ5と接
離するように軸方向に移動可能に支持されており、両シ
ーブ5,6は各々の間に断面略V字状のベルト溝7をあ
けて対向配置されている。
【0025】上記固定シーブ5の背面側(可動シーブ6
と反対側)の駆動軸1上にはVプーリからなる入力プー
リ11が回転一体に取り付けられ、この入力プーリ11
はVベルト(図示せず)を介して芝刈り機等における図
外の駆動源に連結されている。
【0026】一方、可動シーブ6のボス部6a上にはリ
ング状のカラー13がベアリング12を介して可動シー
ブ6と軸方向に移動一体に支持されている。このカラー
13外周の一部にはピン14が取り付けられ、このピン
14には駆動軸1及び従動軸2を軸線と直交して結ぶ方
向に延びる変速レバー15の中間部が揺動可能に連結さ
れている。このレバー15の基端部はケース等の固定部
(図示せず)に支持軸16により揺動可能に支持され、
レバー15の先端部には操作入力部17が設けられてお
り、この操作入力部17を操作して変速レバー15を支
持軸16回りに回動させることで、カラー13及びベア
リング12を介して可動シーブ6を軸方向に移動させ、
図1及び図2で実線にて示す如く、変速レバー15を支
持軸16回りに図で時計回り方向に回動させてLo位置
に切り換えたときには、可動シーブ6を固定シーブ5か
ら離隔させて変速プーリ4を開き、そのベルト巻付け径
(プーリ径)を最小プーリ径(例えば40mm)まで小
さくする一方、仮想線にて示す如く、変速レバー15を
支持軸16回りに反時計回り方向に回動させてHi位置
に切り換えたときには、可動シーブ6を固定シーブ5に
接近させて変速プーリ4を閉じ、そのプーリ径を上記最
大プーリ径まで大きくするようにしている。
【0027】一方、従動軸2上には上記変速プーリ4の
最大プーリ径と同じプーリ径(例えば100mm)を有
する従動プーリとしての定速プーリ20がボス部20a
にて回転一体にかつ軸方向に移動不能に支持されてい
る。この定速プーリ20の外周部には、上記変速プーリ
4の固定シーブ5側に位置する第1シーブ21と、同様
に可動シーブ6側に位置する第2シーブ22とが対向し
て形成され、該両シーブ21,22間に断面略V字状の
ベルト溝23が設けられている。
【0028】さらに、上記定速プーリ20に対し変速プ
ーリ4と反対側には後述の伝動ベルト27を押圧してベ
ルト張力を与えるテンション機構31が配置されてい
る。このテンション機構31は、変速装置Tのケース等
の固定体(図示せず)に基端部が駆動軸1及び従動軸2
と平行の軸心をもって支持されたテンションアーム32
を備え、このテンションアーム32は、基端部を揺動中
心として先端部を定速プーリ20と接離する方向(図1
左右方向)に沿って揺動可能とされている。このテンシ
ョンアーム32の先端部には支持軸40が取り付けら
れ、この支持軸40には所定プーリ径(例えば40m
m)のテンションプーリ33がベアリング41によって
回転自在に支持されており、このテンションプーリ33
は、定速プーリ20と接離する方向に移動可能とされ
る。
【0029】上記テンションプーリ33の外周部には、
上記変速プーリ4の固定シーブ5側に位置する第1シー
ブ34と、同様に可動シーブ6側に位置する第2シーブ
35とが対向して形成され、該両シーブ34,35間に
断面略V字状のベルト溝36が設けられている。
【0030】また、上記テンションアーム32の中間部
と、その定速プーリ20に対し反対側にある上記固定体
との間には付勢手段としての引張りばねからなるテンシ
ョンスプリング43が架設されており、このテンション
スプリング43により、テンションプーリ33を定速プ
ーリ20から離隔する図1左方向に付勢するようにして
いる。
【0031】上記定速プーリ20のベルト溝23及びテ
ンションプーリ33のベルト溝36と変速プーリ4のベ
ルト溝7とは各軸1,2の軸線方向(図2左右方向)に
対応していて、これらベルト溝7,23,36間には断
面略V字状の伝動ベルト27が巻き掛けられている。具
体的には、ベルト27は変速プーリ4とテンションプー
リ33との間に亘り両プーリ4,33間の1対のスパン
間に定速プーリ20を挟み込むように掛けられ、その張
り側となる図1下側のスパンの定速プーリ20に対する
巻掛け角度範囲は、緩み側となる図1上側のスパンの定
速プーリ20に対する巻掛け角度範囲よりも大とされて
いる。そして、上記変速レバー15の揺動に伴って変速
プーリ4の可動シーブ6を固定シーブ5に対して接離動
作させることにより、変速プーリ4のベルト溝7でのベ
ルト巻付け径を変化させ、駆動軸1及び従動軸2間の速
比を変えるようにしている。
【0032】そして、上記変速プーリ4のベルト溝7に
おいて固定シーブ側側面8の駆動軸1と直交する平面P
に対する傾斜角度θfは、可動シーブ側側面9の同傾斜
角度θmよりも小さく設定され(θf<θm)、例えば
θm=13°に対しθf=2°とされている。
【0033】また、上記定速プーリ20のベルト溝23
における第1シーブ側側面24の従動軸2と直交する平
面Pに対する傾斜角度θ1は、テンションプーリ33の
ベルト溝36における第1シーブ側側面37の従動軸2
と直交する平面Pに対する傾斜角度と共に、上記変速プ
ーリ4のベルト溝7における固定シーブ側側面8の傾斜
角度θfと一致し(θ1=θf)、第2シーブ側側面2
5の傾斜角度θ2は、テンションプーリ33のベルト溝
36における第2シーブ側側面38の傾斜角度と共に、
変速プーリ4のベルト溝7における可動シーブ側側面9
の傾斜角度θmと一致している(θ2=θm)。
【0034】また、ベルト27の断面形状も各プーリ
4,20,33のベルト溝7,23,36の断面形状と
相似形とされ、そのプーリ4,20,33との伝動面で
ある左右側面の一方の傾斜角は上記傾斜角度θf(=θ
1)に、また他方の傾斜角はθm(=θ2)にそれぞれ
一致している。
【0035】したがって、この実施形態の場合、芝刈り
機等のエンジンやモータ等の駆動源からの動力が入力プ
ーリ11から駆動軸1に伝達され、この動力は駆動軸1
から変速プーリ4、伝動ベルト27及び定速プーリ20
を介して従動軸2に伝達されてその間に変速され、しか
る後、従動軸2から駆動車輪或いは各種の作業機構に伝
達される。
【0036】上記変速時には、操作入力部17の操作に
より変速レバー15が支持軸16回りに回動されて、カ
ラー13及びベアリング12を介して変速プーリ4の可
動シーブ6が軸方向に移動し、変速レバー15を支持軸
16回りに図で時計回り方向に回動させてLo位置に位
置付けたときに(図1及び図2で実線にて示す状態)、
可動シーブ6が固定シーブ5から離隔して変速プーリ4
が開き、そのプーリ径が小さくなって駆動軸1の回転数
が減速されて従動軸2に伝えられ、両軸1,2間の速比
が小さくなる。一方、仮想線にて示す如く、変速レバー
15を支持軸16回りに反時計回り方向に回動させてH
i位置に位置付けたときには、可動シーブ6が固定シー
ブ5に接近して変速プーリ4が閉じ、そのプーリ径が大
きくなって駆動軸1の回転数が増速されて従動軸2に伝
えられ、両軸1,2間の速比が大きくなる。
【0037】そして、このような変速プーリ4の変速動
作に伴ってベルト27の位置が変わるが、このベルト変
位は上記テンションプーリ33の移動によって吸収され
る。すなわち、変速レバー15のLo位置で変速プーリ
4のベルト巻付け径が小さいときには、図1に実線にて
示すように、テンションプーリ33がテンションスプリ
ング43の引張りばね力に付勢されて定速プーリ20か
ら離隔するように移動する一方、変速レバー15のHi
位置で変速プーリ4のベルト巻付け径が大きくなると、
図1に仮想線にて示すように、テンションプーリ33が
テンションスプリング43の付勢力に抗して定速プーリ
20に引き寄せられる。
【0038】上記変速プーリ4の変速時、可動シーブ6
の軸方向の移動に伴い、ベルト27はベルト溝7におけ
る固定シーブ側側面8に沿って軸方向に移動しながら半
径方向に移動する。上記ベルト溝7における固定シーブ
側側面8の駆動軸1と直交する平面Pに対する傾斜角度
θfは、可動シーブ側側面9の傾斜角度θmよりも小さ
いので、ベルト27がベルト溝7を巻付け径の最小値と
最大値との間を半径方向に移動しても軸方向には大きく
移動しないようになる。このため、変速状態での変速プ
ーリ4と定速プーリ20との各々のベルト27の位置ず
れが極めて小さくなり、よって両プーリ4,20間での
ベルト27のミスアラインメントを低減することができ
る。
【0039】また、上記変速プーリ4のベルト溝7にお
ける固定シーブ側側面8の傾斜角度θfが可動シーブ側
側面9の同角度θmに比べ小さいので、その分、ベルト
27をその軸方向の僅かな移動量によりベルト溝7で半
径方向に大きく移動できる。その結果、同じベルト幅で
あれば、変速プーリ4の変速比を大きくすることができ
る。
【0040】さらに、伝動ベルト27を押圧してベルト
張力を与えるテンション機構31のテンションプーリ3
3は、定速プーリ20に対し変速プーリ4と反対側位置
に該定速プーリ20と接離する方向に移動可能に配置さ
れ、かつテンションスプリング43の引張りばね力によ
って定速プーリ20から離隔する方向に付勢されている
ので、このようにテンションプーリ33を変速プーリ4
及び定速プーリ20の外側に配置することで、両プーリ
4,20間に配置する場合のように、ベルト27の緩み
側スパンが張り側スパンと干渉したり、張り側スパンと
反対側に大きく張り出したりすることはなく、よって変
速装置Tの大きさをコンパクトで簡単な構造としなが
ら、その変速比の増大を図ることができる。
【0041】また、上記テンションプーリ33は、従動
プーリである定速プーリ20に対し駆動プーリである変
速プーリ4と反対側に配置されているので、テンション
プーリ33が定速プーリ20と接離するように移動して
も定速プーリ20でのベルト27の巻付け範囲は大きく
変動しない。よって変速に拘らず変速及び定速プーリ
4,20間で安定したベルト伝動状態を保つことができ
る。
【0042】上記変速プーリ4の可動シーブ6を固定シ
ーブ5から最大限に離隔してプーリ4を開いたときに
は、ベルト27がベルト溝7の底部に落ち込んでベルト
27張力がなくなり、駆動軸1及び従動軸2間の伝動力
が零となるニュートラル状態となる。このニュートラル
状態に伝動状態から変速プーリ4を切り換える際、上記
固定シーブ側側面8の傾斜角度θfが小さいので、可動
シーブ6の離隔動作によってベルト27をベルト溝7の
底部に一気に落とし込んで、即座にベルト伝動状態を遮
断することができ、ニュートラル状態への切換応答性を
高めることができる。
【0043】また、定速プーリ20のベルト溝23にお
ける第1シーブ側側面24の従動軸2と直交する平面P
に対する傾斜角度θ1、及びテンションプーリ33のベ
ルト溝36における第1シーブ側側面37の上記平面P
に対する傾斜角度が共に変速プーリ4のベルト溝7にお
ける固定シーブ側側面8の傾斜角度θfに、また第2シ
ーブ側側面25の傾斜角度θ2、及びテンションプーリ
33のベルト溝36における第2シーブ側側面38の平
面Pに対する傾斜角度が共に可動シーブ側側面9の傾斜
角度θmにそれぞれ一致しているので、この定速プーリ
20及びテンションプーリ33のベルト溝23,36
は、上記変速プーリ4に対応して用いられる伝動ベルト
27の断面形状に対応することとなり、そのベルト27
の各側面をそれぞれ定速プーリ20及びテンションプー
リ33のベルト溝23,36の各側面24,25,3
7,38に隙間なくしかもベルト27の変形を招くこと
なく密接させ得、よって、伝動ベルト27が異形のもの
であっても定速プーリ20に良好なベルト伝動を行わせ
ることができる。
【0044】(実施形態2)図3及び図4は本発明の実
施形態2を示し(尚、図1及び図2と同じ部分について
は同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、テン
ション機構31をアームタイプからスライドタイプへ変
えたものである。
【0045】すなわち、この実施形態では、定速プーリ
20に対し変速プーリ4と反対側に両軸1,2を直交状
態に結ぶ方向に延びる筒部材45が固定体に固定されて
いる。この筒部材45の定速プーリ20と反対側部分に
は直径方向に対向する位置に筒部材45の長さ方向に延
びる長孔からなる1対のガイド孔46,46が形成され
ている。筒部材45の内部には円柱状のスライダ48が
摺動可能に嵌挿され、このスライダ48には直径方向に
延びる支持軸40が貫通固定され、この支持軸40の両
端部は上記筒部材45の外側にガイド孔46,46を摺
動可能に挿通された状態で突出している。そして、上記
支持軸40において筒部材45の外側に位置する一端部
にはテンションプーリ33がベアリング41を介して回
転自在に支持されている。また、上記筒部材45内にお
いて、その定速プーリ20側の端部と、上記スライダ4
8の同端部との間には圧縮ばねからなるテンションスプ
リング43が縮装されており、このテンションスプリン
グ43の圧縮ばね力によりテンションプーリ33を定速
プーリ20から離隔するように付勢している。
【0046】したがって、この場合、テンションプーリ
33を支持するスライダ48が定速プーリ20と接離す
る方向に沿って筒部材45内をスライド移動するので、
上記実施形態1のようにテンションアーム32を有する
テンション機構31に比べ、両回転軸1,2を通る平面
に沿った方向の変速装置Tの大きさをコンパクトにする
ことができる利点がある。
【0047】尚、上記各実施形態では、定速プーリ20
に対し変速プーリ4と反対側にテンション機構31を配
置しているが、これとは逆に、テンション機構31を変
速プーリ4に対し定速プーリ20と反対側に配置するこ
とも可能である。
【0048】
【発明の効果】以上説明のように、請求項1の発明によ
ると、固定及び可動シーブ間にベルト溝を有する変速プ
ーリを定速プーリと組み合わせ、両プーリのベルト溝間
にベルトを掛けて変速するベルト式変速装置に対し、変
速プーリのベルト溝における固定シーブ側側面の傾斜角
度を可動シーブ側側面の傾斜角度よりも小さくし、定速
プーリのベルト溝の断面形状を変速プーリのベルト溝の
断面形状に一致させ、ベルトを押圧してベルト張力を与
えるテンションプーリを、一方のプーリに対し他方のプ
ーリと反対側に一方のプーリと接離する方向に移動可能
に配置し、このテンションプーリを一方のプーリから離
隔する方向に付勢する付勢手段を設けたことにより、変
速プーリ及び定速プーリの組合わせにより、変速に伴う
両プーリ間のベルト位置のミスアラインメントが小さ
く、しかもニュートラル状態への切換応答性の速い特徴
を持つベルト式変速装置に対し、簡単でコンパクトな構
造で、その変速比の増大を実現することができるという
優れた効果が得られる。
【0049】請求項2の発明では、基端部を揺動中心と
して先端部が一方のプーリと接離する方向に沿って揺動
可能なテンションアームを設け、このテンションアーム
の先端部にテンションプーリを軸支した。また、請求項
3の発明では、一方のプーリと接離する方向に沿ってス
ライド移動可能なスライダを設け、このスライダにテン
ションプーリを軸支した。これらの発明によると、テン
ション機構を具体化することができる。特に、請求項3
の発明によると、両回転軸を通る平面に沿った方向の変
速装置の大きさのコンパクト化を図ることができる。
【0050】請求項4の発明によると、変速プーリを駆
動プーリとし、定速プーリを従動プーリとして、テンシ
ョンプーリを定速プーリ対し変速プーリと反対側に配
置したことにより、テンションプーリの移動に伴う定速
プーリでのベルトの巻付け範囲変動を抑えて安定したベ
ルト伝動状態を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るベルト式変速装置の
模式正面図である。
【図2】変速装置の断面図である。
【図3】本発明の実施形態2に係る変速装置のテンショ
ン機構を示す正面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【符号の説明】
T ベルト式変速機 1 駆動軸(回転軸) 2 従動軸(回転軸) 4 変速プーリ 5 固定シーブ 6 可動シーブ 7 ベルト溝 8 固定シーブ側側面 θf 傾斜角度 9 可動シーブ側側面 θm 傾斜角度 20 定速プーリ 21 第1シーブ 22 第2シーブ 23 ベルト溝 24 第1シーブ側側面 25 第2シーブ側側面 θ1,θ2 傾斜角度 P 軸と直交する平面 27 伝動ベルト 31 テンション機構 32 テンションアーム 33 テンションプーリ 43 テンションスプリング(付勢手段) 48 スライダ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 9/00 - 9/26 F16H 7/12 F16H 55/56

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに平行に配置された少なくとも1対
    の回転軸と、 上記一方の回転軸上に設けられ、回転軸に軸方向に移動
    不能にかつ回転一体に支持された固定シーブと、該固定
    シーブとの間に断面略V字状のベルト溝をあけて対向配
    置され、回転軸に軸方向に移動可能に支持された可動シ
    ーブとを有する変速プーリと、 上記他方の回転軸上に設けられ、上記変速プーリの固定
    シーブ側に位置する第1シーブと、可動シーブ側に位置
    する第2シーブと、該両シーブ間に形成されたベルト溝
    とを有する定速プーリと、 上記変速プーリ及び定速プーリのベルト溝に巻き掛けら
    れた伝動ベルトと、 上記伝動ベルトを押圧してベルト張力を与えるテンショ
    ン機構とを備え、 上記変速プーリの可動シーブの固定シーブに対する接離
    動作によりベルト溝でのベルト巻付け径を変化させて両
    回転軸の速比を変えるようにしたベルト式変速装置であ
    って、 上記変速プーリのベルト溝における固定シーブ側側面の
    回転軸と直交する平面に対する傾斜角度は、可動シーブ
    側側面の傾斜角度よりも小とされ、 定速プーリのベルト溝における第1シーブ側側面の回転
    軸と直交する平面に対する傾斜角度は、変速プーリのベ
    ルト溝における固定シーブ側側面の傾斜角度と一致し、
    かつ第2シーブ側側面の傾斜角度は、変速プーリのベル
    ト溝における可動シーブ側側面の傾斜角度と一致し、 上記テンション機構は、上記一方のプーリに対し他方の
    プーリと反対側に配置されかつ一方のプーリと接離する
    方向に移動可能なテンションプーリと、 上記テンションプーリを一方のプーリから離隔する方向
    に付勢する付勢手段とを備えていることを特徴とするベ
    ルト式変速装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のベルト式変速装置におい
    て、 テンション機構は、基端部を揺動中心として先端部が一
    方のプーリと接離する方向に沿って揺動可能なテンショ
    ンアームを備え、 上記テンションアームの先端部にテンションプーリが軸
    支されていることを特徴とするベルト式変速装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のベルト式変速装置におい
    て、 テンション機構は、一方のプーリと接離する方向に沿っ
    てスライド移動可能なスライダを備え、 上記スライダにテンションプーリが軸支されていること
    を特徴とするベルト式変速装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のベルト式変速装置におい
    て、 変速プーリが駆動プーリとされている一方、定速プーリ
    が従動プーリとされ、 テンション機構のテンションプーリは、定速プーリ
    し変速プーリと反対側に配置されていることを特徴とす
    るベルト式変速装置。
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