JP3185129B2 - 柱一体型柱脚固定基礎構造並びにその施工方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は主として鉄骨構造住
宅等の建造物の基礎として適切な基礎構造並びにその施
工方法に関するものであり、特に柱と地中梁とを一体化
することで、建造物の強度を向上することができ、更に
工期を短縮することのできる基礎構造並びその施工方法
に係るものである。

【０００２】

【発明の背景】建築物、構築物の基礎は、その要求され
る耐荷重や地盤面の状況、更には施工場所の環境等によ
って種々の形態が選択されるものであって、大別すると
フーチング基礎、独立基礎、ベタ基礎等が選択的に用い
られている。しかしながら、これらはいずれも主として
荷重を受ける部材として鉄筋を用いているものであるか
ら、鉄筋の配筋施工に手間がかかるとともに、この基礎
上に設置する構造躯体の固定用アンカーボルトの正確な
設定も行い難い。またフーチング基礎、独立基礎の場合
には、施工場所の掘削深さ、いわゆる根切り寸法を深く
取らなければならなかった。加えて掘削深さを大きく取
るにあたっては、関連して鉄骨配筋の作業性や、その後
のコンクリート型枠の組み立て、取り外しの作業性を考
慮して、広範囲（例えば基礎側面から数百ｍｍ以上余裕
をもった範囲）を掘削する必要があった。このことは掘
削作業の手間や残土処理の面で大きな負担が生ずるばか
りでなく、例えば隣地との境界に著しく接している場合
などには、基礎工事のための掘削は隣地居住者とのトラ
ブルの原因ともなりかねない。更にはコンクリートの養
生が済んで基礎が完全に構築された後でなければ、鉄骨
建て方に移ることができないため、ある程度の工期を要
していた。

【０００３】本発明者はこのような背景から、特願平６
−２０１３３１号「構築用基礎並びにその施工方法」の
提案に及んでいる。このものは基礎の強度メンバーとし
て形鋼を用い、施工能率が良く、アンカーボルトの正確
な設定が行え、且つ基礎高さを低く抑えることができ根
切り寸法が浅くて済み、狭範囲の掘削で済むため、前記
問題点の解決を成し得るものであった。しかしコンクリ
ートの養生が済んで基礎が完全に構築された後でなけれ
ば、鉄骨建て方に移ることができないため、ある程度の
工期を要する点に関しては改善の余地が残されている。

【０００４】

【開発を試みた技術課題】本発明はこのような背景を認
識してなされたものであって、柱と地中梁を一体化する
ことで建造物の強度を向上することができ、更に工期を
短縮することのできる、新規な柱一体型柱脚固定基礎構
造並びにその施工方法の開発を技術課題としたものであ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】すなわち請求項１記載の
柱一体型柱脚固定基礎構造は、鉄骨建築物において、あ
らかじめ掘削した根代に打設した捨てコンクリート上に
立てた柱と、この柱に対して地中梁を連結して成る柱一
体型柱脚固定基礎ユニットの周辺にコンクリートを打設
した基礎構造であり、柱の下部が基礎構造の一部を構成
するとともに、この柱に対して地上において梁、柱等の
骨材が連結され、これらの骨材は基礎構造と一体となっ
て構成された基礎構造において、前記根代における柱の
設置位置の下方は他の部分より深く掘り込まれ、この位
置に、固定金物によって高さ調整自在に設定し得るアン
カー位置決めプレートを設け、このアンカー位置決めプ
レートにアンカーボルトを取り付けるアンカーボルトプ
レートを載置状態に設置するとともに、前記アンカーボ
ルトに対して前記柱の下端部に固定されたベースプレー
トを固定して成ることを特徴として成るものである。こ
の発明によれば、柱等の骨材が基礎構造の一部として一
体的に構成されるため、建造物の強度が向上する。また
柱の位置決め及び設置を容易に行うことができる。また
平坦でない割栗石等に対しても、強固に且つ正確な位置
にアンカーボルトを設置することができる。

【０００６】また請求項２記載の柱一体型柱脚固定基礎
構造は、前記要件に加え、前記アンカーボルトプレート
にはレベル調節体を具えることを特徴として成るもので
ある。この発明によれば、柱の設置高を正確に設定する
ことができ、更に柱の転倒を防ぐことができる。

【０００７】更にまた請求項３記載の柱一体型柱脚固定
基礎構造は、前記要件に加え、前記柱一体型柱脚固定基
礎ユニットにはコンクリートの上面に突出した状態のブ
ラケットを具え、また前記骨材には同様のブラケットを
具え、これらのブラケットを鋼材等で連結することで耐
力壁の骨組み部材を構成することを特徴として成るもの
である。この発明によれば、骨組み部材が柱一体型柱脚
固定基礎構造の一部を構成するようになり、ここに構築
される耐力壁の強度を向上することができる。

【０００８】更にまた請求項４記載の柱一体型柱脚固定
基礎構造は、前記請求項３記載の要件に加え、前記ブラ
ケットは、コンクリートに対しては、その接着作用がな
されていないアンボンド状態としたことを特徴として成
るものである。この発明によれば、耐力壁に負荷がかか
った場合のコンクリートの破損を防ぐことができる。

【０００９】更にまた請求項５記載の柱一体型柱脚固定
基礎構造の施工方法は、根代の底部に対して固定金物を
垂直に突き刺し、この固定金物に支持されるアンカー位
置決めプレートの高さ調整を行ない、このアンカー位置
決めプレートにアンカーボルトプレートを載置して固定
あるいは仮止めした後に捨てコンクリートを打設し、こ
の捨てコンクリート上に立てた柱に対して地中梁を連結
して成る柱一体型柱脚固定基礎ユニットが構成された時
点で、あるいはこの柱一体型柱脚固定基礎ユニットに対
して梁、柱等の骨材の一部もしくは全部を組み付けた時
点で、前記柱一体型柱脚固定基礎ユニットの周辺にコン
クリートを打設することを特徴として成るものである。
この発明によれば、捨てコンクリートの養生後には、
柱、梁等の骨部材の組み付けを効率的に進めることがで
き、建造物全体の工期を短縮することができる。また平
坦でない割栗石等に対しても、強固に且つ正確な位置に
アンカーボルトを設置することができ、捨てコンクリー
トからアンカーボルトが突出した状態とすることができ
る。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下本発明を図示の実施の形態に
基づいて具体的に説明する。この説明にあたっては、ま
ず柱一体型柱脚固定基礎構造の構成を述べ、その後、柱
一体型柱脚固定基礎構造の施工方法の説明を行う。図１
は柱一体型柱脚固定基礎構造１並びにそれに関連する構
築建造物等を含めた全体形状を示すものであって、柱一
体型柱脚固定基礎構造１は建造物２における柱３を構成
部材として成る。そしてこのものは図２、３に示すよう
に、施工現場における地面を掘削した根代５内に潜るよ
うに形成されるものであり、根代５の底部は割栗石６を
適宜ランマー等によって押圧し、更にその上に捨てコン
クリート７等を設ける。

【００１１】このような根代５は請求項１で定義したよ
うに、柱３の設置位置の下方は他の部分より深く掘り込
まれ、この位置に錨型のアンカーボルト２１を設ける。
アンカーボルト２１は請求項１で定義したように、アン
カーボルトプレート２０に固定される。このアンカーボ
ルトプレート２０は図４に示すように一例として、中央
に固定金物孔２０ｂを設けた正方形の鋼板の四隅に、突
出部を設けたほぼ十字形の板部材であり、個々の突出部
にはアンカーボルト孔２０ａを設ける。

【００１２】このようなアンカーボルトプレート２０の
保持にあたっては、固定金物２６及びアンカー位置決め
プレート２５を用いる。固定金物２６は一端側を鋭利
に、もう一端側にネジを切った棒状部材であり、ネジの
部分にはナット２６ａを螺合させる。またアンカー位置
決めプレート２５は中央に固定金物孔２５ａを設けた円
板部材である。

【００１３】また請求項２で定義したように前記アンカ
ーボルトプレート２０にはレベル調節体２２を具える。
このものは本出願人による特願平６−２０１３３１号
「構築用基礎並びにその施工方法」において開示したも
のであり、一例として図４（ａ）に示すように円筒状の
固定カップ２３をアンカーボルトプレート２０に溶接す
るとともに、この内側に入れ子状に可動カップ２４をね
じ込むようにしたものである。すなわち図４（ｂ）に示
すように固定カップ２３に設けられた調節メネジ２３ａ
に対し、可動カップ２４の外周に設けられた調節オネジ
２４ａをねじ込み、そのねじ込み加減によって可動カッ
プ２４を調節自在としたものである。もちろんレベル調
節体２２はこのような構成に限らず、例えば円筒状ある
いは角筒状の固定カップ２３の外側部等に調節用のボル
トを設け、ボルトの突出加減によって可動カップ２４の
高さを設定する等してもよい。

【００１４】次にこのような状態の根代５に設けられる
柱一体型柱脚固定基礎構造１について更に詳細に述べ
る。図５中符号１Ａは柱一体型柱脚固定基礎構造１の主
たる強度メンバーである柱一体型柱脚固定基礎ユニット
であって、このものは地中梁１１と柱ユニット３Ａとを
組み合わされて成る。まず柱３は角鋼管やＨ形鋼、Ｉ形
鋼等の形鋼を適用するものであって、本実施の形態にお
いては一例として角鋼管を使用している。そして柱３の
端部付近には、柱３の設置個所に応じて、柱３の側面の
うちの２〜４面に対して、一例としてＨ形鋼を適用した
梁接続ユニット１１Ａが溶接される。この梁接続ユニッ
ト１１Ａに対しては地中梁１１が接続されるため、梁接
続ユニット１１Ａは地中梁１１と同形のものが好まし
く、適宜ボルト孔１１ｄが穿設される。

【００１５】更にまた柱３の端部にはベースプレート４
が溶接される。このものは一例として矩形状の鋼板であ
り、前記アンカーボルト２１を挿入するためのボルト孔
４ａが穿設される。このように柱３に対して梁接続ユニ
ット１１Ａ及びベースプレート４が溶接され、一体化し
たものを柱ユニット３Ａと定義する。

【００１６】次に地中梁１１について説明する。このも
のは一例としてＨ形鋼、Ｉ形鋼等の形鋼を適用したもの
であって、上フランジ１１ａ、下フランジ１１ｂ、更に
その両者の間に直交するように設けられるウェブ１１ｃ
とから成る。そして請求項３で定義したように、柱一体
型柱脚固定基礎構造１を構築した際に、コンクリート８
の上面に突出した状態となるブラケット１８を溶接す
る。このブラケット１８は、図３、５、６に示すように
一例として接続穴１８ａを適宜の数穿設した矩形状ない
し多角形状の板部材であり、上フランジ１１ａ、柱３及
び後述する梁４２の適宜の位置に設けられる。

【００１７】また地中梁１１は一例として下鉄筋１２を
あらかじめ溶着した状態で工場生産されるものであっ
て、下鉄筋１２は例えば１２ｍｍ程度の鉄筋を適宜のピ
ッチで井桁状に組み合わせ、結束線にて接続して構成し
たものである。更に上フランジ１１ａには上鉄筋１３を
設けるものであり、このものはあらかじめ井桁状に組み
合わされた鉄筋を地中梁１１を設置した状態でその上方
に置き、適宜の個所で地中梁１１の上フランジ１１ａに
対して溶接して固着する。

【００１８】更にまた地中梁１１は下フランジ１１ｂに
スペーサ１４を設けるものであって、例えばスペーサ１
４は角管状の部材を溶接した固定スペーサ１４ａと連結
ボルトを適用した可調スペーサ１４ｂとする。もちろん
すべてを可調スペーサ１４ｂによって構成してもよい
し、固定スペーサ１４ａのみとしてもよい。また固定ス
ぺーサ１４ａはあくまで仮寸法を得るものとし、正確な
設定のために固定スペーサ１４ａ毎に隣接して可調スペ
ーサ１４ｂを設けてもよい。

【００１９】次に柱３と梁接続ユニット１１Ａ並びに梁
接続ユニット１１Ａと地中梁１１を接続するために好ま
しい構成について説明する。まず地中梁１１が、地中梁
１１同士を連接して、あるいは直交状態に突き合わされ
て接続されることを考慮すると、図６（ａ）に示すよう
にその先端にガゼットプレート１５を設けてもよい。こ
のガゼットプレート１５は上フランジ１１ａと下フラン
ジ１１ｂとの間において、ウェブ１１ｃに対して直交す
るように張り出すように設けたものであって、これに対
応して接続される他の地中梁１１の先端側のウェブ１１
ｃにはガゼットプレート１５と重なり合う部分にボルト
孔１５ａを穿設する。そしてこれら両者はボルトナット
１７によって固着されるのである。もちろんガゼットプ
レート１５がフランジ端面までしか形成されていないと
きには、図６（ｂ）に示すように別途スプライス１６を
介在させて固定するようにしてももとより差し支えな
い。また長手方向に接続させるにあたっては、図６
（ｃ）に示すようにウェブ１１ｃにボルト孔１５ａを形
成し、ここにスプライス１６をあてがって連続するよう
に固定する。このようにして柱３と梁接続ユニット１１
Ａ並びに梁接続ユニット１１Ａと地中梁１１を組み合わ
せて柱一体型柱脚固定基礎ユニット１Ａを形成するので
あるが、この組み合わせにあたってはボルトナット１７
の数を増やすこと等により剛接続状態にすることが好ま
しい。

【００２０】このような状態の柱一体型柱脚固定基礎ユ
ニット１Ａに対してこれを囲繞するようにコンクリート
８が打ち込まれて柱一体型柱脚固定基礎構造１が完成状
態となっているのである。この状態では前記柱３及びブ
ラケット１８がコンクリート８から突出した状態となる
ものである。そして図２に示すように、柱３に組み付け
た梁４２に設けたブラケット１８と柱一体型柱脚固定基
礎構造１におけるブラケット１８との間に間柱４３を設
け、更に柱一体型柱脚固定基礎構造１におけるブラケッ
ト１８と、柱３または梁４２におけるブラケット１８と
を筋交い４１によって接続し、耐力壁４０の骨組み部材
を構成する。

【００２１】なお後述する施工方法の説明に先立ち、コ
ンクリート８の打設の際に必要な型枠３０について説明
する。このものは図１２に示すような組立状態のものを
型枠３０として定義するものであって、これを構成する
各分断された型枠部材は型枠板３１と定義する。この型
枠板３１は全体としてほぼ平板状を成し、図７に示すよ
うにその上端縁のみを一例として外側にチャンネル状に
屈曲させて上縁部３２を構成したものである。そして上
縁部３２から型枠板３１の外面側に沿うように垂直に補
強パイプ３３を一例として型枠板３１の長手方向に二カ
所程度配設する。また各型枠板３１は隣接する型枠板３
１と組み合わされて一定形状の型枠３０を構成するもの
であるから、その接続が行い得るように一部上縁部３２
に対してジョイント用切欠３４を設ける。

【００２２】これらの各型枠板３１を接続するためにジ
ョイント金具３５が設けられるものであって、図１２に
示すようなコ字状断面をした直線用ジョイント金具３５
ａや平面形状を矩形状に形成して断面形状をコ字状とし
たコーナー用ジョイント金具３５ｂが適用される。更に
型枠板３１を組み付けて型枠３０を構成した際におい
て、対向する型枠板３１を所定寸法に押さえるための押
さえ枠３６を用意する。このものは杆状部材であって、
その両端にコ字状の型枠板３１への嵌込部３６ａを具え
る。またこの型枠板３１の下端部の移動を阻止するため
に押さえ砂３７を用いることが好ましい。このものは型
枠板３１の近くにおいて根代５の側壁面等の間に充填し
て型枠板３１の移動を阻止するのである。

【００２３】次に本発明の柱一体型柱脚固定基礎構造の
施工方法について説明する。 （１）工場における加工 本発明の柱一体型柱脚固定基礎構造１は、その構成部材
を工場において加工しておくことが好ましく、またこの
ような加工を行うことにより、現場での作業を簡素化し
得るものであり、現場と工場との間を何度も行き来する
いわゆる出戻り作業のわずらわしさから解放され、単独
の多機能工によって基礎工事を完了することができる。
そして工場における加工の対象は柱ユニット３Ａ、地中
梁１１であり、以下これらの加工について説明する。

【００２４】(２) 柱ユニットの準備（図５参照） 柱ユニット３Ａの加工は一例として鋼材を適宜の寸法に
切断して梁接続ユニット１１Ａとした上、柱３の側面の
うちの二〜四面に対して溶接し、更に柱３の下端部には
ベースプレート４を溶接して柱ユニット３Ａを構成す
る。更に梁接続ユニット１１Ａの下フランジ１１ｂに対
して結束線で井桁状に接続した下鉄筋１２を、溶接加工
であらかじめ組み付けておく。また同時にガゼットプレ
ート１５を溶接することも好ましい。更にウェブ１１ｃ
に対して地中梁１１を組み付けるためのボルト孔１１ｄ
を穿設しておく。

【００２５】(３）地中梁の準備（図５、６参照） 地中梁１１の加工は、好ましくは鋼材を適宜の寸法に切
断した上、下フランジ１１ｂに対して結束線で井桁状に
接続した下鉄筋１２を溶接加工であらかじめ組み付けて
おく。更にウェブ１１ｃに対して梁接続ユニット１１Ａ
を組み付けるためのボルト孔１１ｄを穿設しておく。ま
た同時にスペーサ１４を設けておくとともに、必要に応
じてガゼットプレート１５を溶接しておく。更にまた現
場において上フランジ１１ａ上に設置固定する上鉄筋１
３も、一定範囲で井桁状に組み合わせて溶接加工してお
く。

【００２６】（４）根代成形（図８参照） まず柱一体型柱脚固定基礎ユニット１Ａを設置するに先
立ち、これが設置される根代５を基準地盤面ＧＬから適
宜掘り込むのである。なおこの工法は本出願人による特
願平６−２０１３３１号「構築用基礎並びにその施工方
法」を適用したものであり、構築用基礎の耐荷重作用を
担う強度メンバーが形鋼を用いた地中梁１１であるか
ら、比較的高さ寸法を従来基準に比べて少なく設定で
き、根代５の成形作業は能率良く行い得る。また根代５
の深さが浅い場合には柱一体型柱脚固定基礎構造１の側
部から１００ｍｍ程度余裕をもって掘り込むだけでよい
から、根代５の掘込幅寸法も少なく設定できる。そして
柱３の設置位置の下方は、アンカーボルト２１及びこれ
を支持するアンカーボルトプレート２０、アンカーボル
ト位置決めプレート２５、固定金物２６等が位置するた
め、他の部分より深く掘り込む。このようにした後、底
部を常法に従い適宜そのままランマー等で整地するか、
割栗石６等を敷設した後、ランマーで突き固める等の作
業を行う。その後、水糸等により基準線Ｌ１を引く。

【００２７】（５）アンカーボルトの設置（図９参照） 次に基準線Ｌ１に従い、割栗石６に対してナット２６ａ
を具えた固定金物２６を垂直に突き刺す。更にこの固定
金物２６にアンカー位置決めプレート２５における固定
金物孔２５ａを嵌め込む。この状態でナット２６ａを適
宜回転させて、アンカー位置決めプレート２５の高さを
調節する。更に固定金物２６にアンカーボルトプレート
２０における固定金物孔２０ｂを嵌め込み、このものを
アンカー位置決めプレート２５に載置された状態とし、
アンカーボルトプレート２０上の基準線Ｌ２に従い適宜
方向を設定して固定あるいは仮止めする。次いでアンカ
ーボルト２１を上下からロックナット２１ｂで挟み込む
ようにしてアンカーボルトプレート２０に固定するので
あるが、もちろんあらかじめアンカーボルト２１をアン
カーボルトプレート２０に固定しておき、アンカー位置
決めプレート２５に載置するようにしてもよい。また根
代５内には必要に応じてメッシュ金網を敷設するように
してもよい。

【００２８】（６）捨てコンクリートの打設（図１０参
照） 上記のようにしてすべての柱３の設置位置の下方にアン
カーボルト２１を設置した後、捨てコンクリート７の打
設を行う。打設完了後は、根代５の深さは均一となり、
アンカーボルト２１及びレベル調節体２２が捨てコンク
リート７表面から突出した状態となる。

【００２９】（７）基準線の罫引き（図１０参照） その後、捨てコンクリート７用の基準線Ｌ３を設計寸法
に応じてトランジット等で正確に割り出し、通り状態の
基準線あるいは柱芯等の基準線を罫引くものである。

【００３０】（８）柱ユニットの搬入（図１１参照） このような状態で工場で加工しておいた柱ユニット３Ａ
を搬入し、アンカーボルト２１に対して取り付けてゆく
のであり、以下この工程について説明する。まず捨てコ
ンクリート７面から突出した状態のアンカーボルト２１
が、柱３の下部に溶接されたベースプレート４に設けた
ボルト孔４ａに対して嵌まり込むように柱３を上方より
落とし込み、柱３の荷重がレベル調節体２２によって支
持された状態とする。また事前にレベル調節体２２の高
さは適宜調節し、コンクリート８を打ち込んでおく。そ
してベースプレート４上の基準線Ｌ４と捨てコンクリー
ト７上の基準線Ｌ３とを合致させた状態で、アンカーボ
ルト２１にベースプレート４の上面からのみロックナッ
ト２１ｂの締め込みを行う。

【００３１】（９) 地中梁の搬入（図１１参照） このような状態で工場で加工しておいた地中梁１１を搬
入し、施工現場に応じて適宜の場所にこれを配設してゆ
く。この配設にあたっては地中梁１１上の基準線Ｌ５
を、捨てコンクリート７上の基準線Ｌ３に概ね合致させ
るように設置しておく。このようにした後、梁接続ユニ
ット１１Ａに対して地中梁１１を接続するものであっ
て、例えば直線上に接続させる場合にはウェブ１１ｃの
ボルト孔１５ａを利用してスプライス１６を両側からあ
てがい、適宜接続してゆく。なおこの接続はすべてのボ
ルトナット１７の締結を緊密にすることなく、一部を仮
止め状態としてもよい。また更に仮止め状態にできない
程度にずれている場合には、可調スペーサ１４ｂ等を調
節して上面の通りを出すいわゆる上端出しをしたり、更
に柱芯に合わせる柱芯出しの作業を行う。このようにし
て正確に地中梁１１が組み合わされた後には、接続部分
をいわゆる本締めをして固定状態を得る。なおこの作業
とともに、隣接する下鉄筋１２の端部同士を結束線によ
り接続する。

【００３２】(10) 上鉄筋の設置固定（図１１参照） 次に地中梁１１における上フランジ１１ａ上に工場で加
工しておいた上鉄筋１３を設置固定する。そして地中梁
１１毎に隣接する上鉄筋１３の端部を溶接して一体化す
る。

【００３３】（11）柱一体型柱脚固定基礎ユニットの形
成（図１、２参照） このようにして順次すべての柱ユニット３Ａ同士を地中
梁１１により連結することで、柱一体型柱脚固定基礎ユ
ニット１Ａを構成する。ここまでの状態でコンクリート
８を打ち込んで柱一体型柱脚固定基礎構造１を構成して
もよいが、請求項５で定義したように、柱一体型柱脚固
定基礎ユニット１Ａに対して梁４２、更に上階の柱３等
の骨材の一部もしくは全部を組み付ける。その後、ブラ
ケット１８に対してはコンクリート８に対してアンボン
ト状態（非固定状態）にするために、樹脂テープを巻く
等する。

【００３４】(12）型枠のセット（図１２参照） このような状態で設計寸法に応じて型枠３０をセットす
る。これはすでに述べた型枠板３１を上縁部３２を上方
にして適宜枠組みするように設けるものであって、それ
ら各型枠板３１はジョイント金具３５によって長手方向
に連続させるとともに、対向する型枠板３１は押さえ枠
３６によって一定の間隔を保つように保持する。またそ
の外面側を根代５との隙間を押さえ砂３７等を充填して
埋め、その押さえとするものである。

【００３５】(13）コンクリート打設並びに型枠外し
（図１２、７参照） このようにした後、常法に従いコンクリート８を打設す
る。そして一定時間、コンクリート８の養生を行い、型
枠３０の取り外しを行う。型枠３０の取り外しを行うに
あたっては、型枠板３１を接続しているジョイント金具
３５並びに押さえ枠３６を取り外した後、これを上方に
引き抜くようにする。特に本発明にあっては、柱一体型
柱脚固定基礎構造１の深さを浅くすることができるか
ら、このような上方への引き抜きによる型枠３０の取り
外しが可能となるのである。

【００３６】また押さえ砂３７の押さえに対しては、型
枠３０の取り外しにあたって押さえ砂３７にホース等で
水を注入し、押さえ砂３７を全体として液状化すること
によりその押さえを解除した状態とすることが好まし
い。もちろんこのような工程を経なくても取り外せる場
合には、このような作業を行う必要はない。またこの実
施の形態で説明した型枠板３１の場合には、型枠板３１
における補強パイプ３３を利用し、ここに鋼棒等を差し
込んで、図７に示すようにこじるようにして型枠板３１
をコンクリート８面から剥離させ、これを上方に引き抜
く操作を行う。因みにこのような完成状態では図２、
３、１３に示すように柱一体型柱脚固定基礎ユニット１
Ａを一定範囲で覆うようにコンクリート８が打設され、
上方には柱３及びブラケット１８が突出した状態とな
る。

【００３７】以上述べた柱一体型柱脚固定基礎構造１に
あっては、当然設計段階において与条件としての負荷に
応じた寸法設定を行うが、本発明にあっては負荷増大に
対しては柱一体型柱脚固定基礎ユニット１Ａの寸法設定
を行うにあたり、あらかじめ規格化されて構成された地
中梁１１を並列的に配置して基礎の幅を広げるようにす
ることが好ましい。

【００３８】このような柱一体型柱脚固定基礎構造１に
対して図２に示すように、コンクリート８上面から突出
した状態のブラケット１８と梁４２におけるブラケット
１８との間に間柱４３を接続し、更にコンクリート８上
面から突出した状態のブラケット１８と柱３または梁４
２に設けたブラケット１８とを連結するように筋交い４
１を接続して、耐力壁４０の骨組み部材を構成する。

【００３９】

【発明の効果】本発明は以上述べたような構成を有する
ものであり、以下のような効果を奏する。まず柱３等の
骨材が基礎構造の一部として一体的に構成されるため、
建造物２の強度が向上する。また柱３の位置決め及び設
置を容易に行うことができる。更にまた平坦でない割栗
石６等に対しても、強固に且つ正確な位置にアンカーボ
ルト２１を設置することができる。更にまた柱３の設置
高を正確に設定することができ、更に柱３の転倒を防ぐ
ことができる。更にまた骨組み部材が柱一体型柱脚固定
基礎構造１の一部を構成するようになり、ここに構築さ
れる耐力壁４０の強度を向上することができる。更にま
た耐力壁４０に負荷がかかった場合のコンクリート８の
破損を防ぐ。更にまた捨てコンクリート７の養生後に
は、柱３、梁４２等の骨部材の組み付けを効率的に進め
ることができ、建造物２全体の工期を短縮することがで
きる。更にまた平坦でない割栗石６等に対しても、強固
に且つ正確な位置にアンカーボルト２１を設置すること
ができ、捨てコンクリート７からアンカーボルト２１が
突出した状態とすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の柱一体型柱脚固定基礎構造を透視して
示すとともに一の柱ユニットを拡大して示す平面図であ
る。

【図２】同上柱一体型柱脚固定基礎構造を適用した建造
物の一部を拡大して示す縦断面図である。

【図３】同上柱一体型柱脚固定基礎構造における柱ユニ
ットの下部付近を拡大して示す縦断面図である。

【図４】アンカーボルトプレート、アンカー位置決めプ
レート及び固定金物等を拡大して示す分解斜視図並びに
固定カップの構造を示す半断面図である。

【図５】柱一体型地中梁における柱ユニットの下端部付
近を拡大して示す斜視図である。

【図６】地中梁の種々の接続状態を示す側面図である。

【図７】型枠外しの様子を示す縦断側面図並びにその一
部を拡大して示す斜視図である。

【図８】本発明の柱一体型柱脚固定基礎構造の施工方法
を段階的に示す説明図であって、このうち根代成形工程
を示す斜視図である。

【図９】同上アンカーボルトの設置工程を示す斜視図で
ある。

【図１０】同上捨てコンクリートの打設工程並びに基準
線の罫引き工程を示す斜視図である。

【図１１】同上柱ユニットの搬入工程、地中梁の搬入工
程、並びに上鉄筋の設置固定工程を併せ示す斜視図であ
る。

【図１２】同上型枠のセット並びにコンクリート打設工
程を併せ示す斜視図である。

【図１３】完成した柱一体型柱脚固定基礎構造を示す斜
視図である。

【符号の説明】

１ 柱一体型柱脚固定基礎構造 １Ａ 柱一体型柱脚固定基礎ユニット ２ 建造物 ３ 柱 ３Ａ 柱ユニット ４ ベースプレート ４ａ ボルト孔 ５ 根代 ６ 割栗石 ７ 捨てコンクリート ８ コンクリート １１ 地中梁 １１Ａ 梁接続ユニット １１ａ 上フランジ １１ｂ 下フランジ １１ｃ ウェブ １１ｄ ボルト孔 １２ 下鉄筋 １３ 上鉄筋 １４ スペーサ １４ａ 固定スペーサ １４ｂ 可調スペーサ １５ ガゼットプレート １５ａ ボルト孔 １６ スプライス １７ ボルトナット １８ ブラケット １８ａ 接続穴 ２０ アンカーボルトプレート ２０ａ アンカーボルト孔 ２０ｂ 固定金物孔 ２１ アンカーボルト ２１ｂ ロックナット ２２ レベル調節体 ２３ 固定カップ ２３ａ 調節メネジ ２４ 可動カップ ２４ａ 調節オネジ ２５ アンカー位置決めプレート ２５ａ 固定金物孔 ２６ 固定金物 ２６ａ ナット ３０ 型枠 ３１ 型枠板 ３２ 上縁部 ３３ 補強パイプ ３４ ジョイント用切欠 ３５ ジョイント金具 ３５ａ 直線用ジョイント金具 ３５ｂ コーナー用ジョイント金具 ３６ 押さえ枠 ３６ａ 嵌込部 ３７ 押さえ砂 ４０ 耐力壁 ４１ 筋交い ４２ 梁 ４３ 間柱 ＧＬ 基準地盤面 Ｌ１ 基準線 Ｌ２ 基準線 Ｌ３ 基準線 Ｌ４ 基準線 Ｌ５ 基準線

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E02D 27/00 E04B 1/58 511

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄骨建築物において、あらかじめ掘削し
   た根代に打設した捨てコンクリート上に立てた柱と、こ
   の柱に対して地中梁を連結して成る柱一体型柱脚固定基
   礎ユニットの周辺にコンクリートを打設した基礎構造で
   あり、柱の下部が基礎構造の一部を構成するとともに、
   この柱に対して地上において梁、柱等の骨材が連結さ
   れ、これらの骨材は基礎構造と一体となって構成された
   基礎構造において、前記根代における柱の設置位置の下
   方は他の部分より深く掘り込まれ、この位置に、固定金
   物によって高さ調整自在に設定し得るアンカー位置決め
   プレートを設け、このアンカー位置決めプレートにアン
   カーボルトを取り付けるアンカーボルトプレートを載置
   状態に設置するとともに、前記アンカーボルトに対して
   前記柱の下端部に固定されたベースプレートを固定して
   成ることを特徴とする柱一体型柱脚固定基礎構造。
2. 【請求項２】 前記アンカーボルトプレートにはレベル
   調節体を具えることを特徴とする請求項１記載の柱一体
   型柱脚固定基礎構造。
3. 【請求項３】 前記柱一体型柱脚固定基礎ユニットには
   コンクリートの上面に突出した状態のブラケットを具
   え、また前記骨材には同様のブラケットを具え、これら
   のブラケットを鋼材等で連結することで耐力壁の骨組み
   部材を構成することを特徴とする請求項１または２記載
   の柱一体型柱脚固定基礎構造。
4. 【請求項４】 前記ブラケットは、コンクリートに対し
   ては、その接着作用がなされていないアンボンド状態と
   したことを特徴とする請求項３記載の柱一体型柱脚固定
   基礎構造。
5. 【請求項５】 根代の底部に対して固定金物を垂直に突
   き刺し、この固定金物に支持されるアンカー位置決めプ
   レートの高さ調整を行ない、このアンカー位置決めプレ
   ートにアンカーボルトプレートを載置して固定あるいは
   仮止めした後に捨てコンクリートを打設し、この捨てコ
   ンクリート上に立てた柱に対して地中梁を連結して成る
   柱一体型柱脚固定基礎ユニットが構成された時点で、あ
   るいはこの柱一体型柱脚固定基礎ユニットに対して梁、
   柱等の骨材の一部もしくは全部を組み付けた時点で、前
   記柱一体型柱脚固定基礎ユニットの周辺にコンクリート
   を打設することを特徴とする柱一体型柱脚固定基礎構造
   の施工方法。