JP3183305B2 - 成形材料原料用ポリアミドイミドの製造方法 - Google Patents

成形材料原料用ポリアミドイミドの製造方法

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JP3183305B2 JP15793492A JP15793492A JP3183305B2 JP 3183305 B2 JP3183305 B2 JP 3183305B2 JP 15793492 A JP15793492 A JP 15793492A JP 15793492 A JP15793492 A JP 15793492A JP 3183305 B2 JP3183305 B2 JP 3183305B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶融成形性に優れた成形
材料原料用ポリアミドイミドの製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミドイミド樹脂は、耐熱
性、機械的強度、電気特性、耐薬品性に優れたプラスチ
ック材料であり従来ワニス、フイルム等として使用され
てきた。芳香族トリカルボン酸無水物とジイソシアネー
トよりポリアミドイミドを溶媒中で製造する方法につい
ては、最初、特公昭44ー19274号公報に開示され
た、この方法により従来の芳香族トリカルボン酸無水物
ハライドとジアミンからポリアミドイミドを製造する方
法に必要であった高温、長時間の後処理を施すことなく
高い耐熱性と強靭性を有するポリアミドイミドを得るこ
とが可能となった。またこの方法はハロゲン残基がポリ
アミドイミドに残存しないため、最近の電子、電気用途
には好適な方法でもある。しかしながらこの方法は、溶
媒にN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒を使用する
ため、ジイソシアネートとの副反応が起こり好ましくな
く、このため非アミド系溶媒を用いる方法が提案された
(特公昭54ー44719号公報、特開昭57ー125
220号公報)。
【0003】しかしながら、これらの従来技術により製
造されたポリアミドイミドは、ワニス、キャストフイル
ム等の用途には、好適であっても溶融成形性に劣るため
溶融成形加工用途には不適であった。すなわち、単独で
プレス成形する際のプレス温度はポリアミドイミドの分
解点温度に近い高温を必要とし、さらには、ポリフェニ
レンスルフィド、ナイロン等の他樹脂と溶融ブレンドす
ることによりポリマーアロイを製造しても、溶融成形性
に劣った材料しか得られないのが実状であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する問題点は、芳香族トリカルボン酸無水物とジイソシ
アネートを溶媒中で重合しポリアミドイミドを製造する
に際して溶融成形性に優れた成形材料原料用ポリアミド
イミドを製造する条件を見いだすことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】芳香族トリカルボン酸無
水物とジイソシアネートを溶媒中で重合する場合、従来
技術において、重合温度は、120℃〜180℃(特開
昭57ー125220)、好適な重合温度は、130℃
(特公昭44ー19274)とされている。100℃よ
り低い場合は、重合度が上がらず、200℃より高い場
合はゲル化がおこりいずれも脆いポリアミドイミドしか
得られないためである。また得られたポリアミドイミド
の溶融成形性については何等の記述もない。
【0006】本発明者らが従来技術の好適な重合条件す
なわち、130℃における芳香族トリカルボン酸無水物
とジイソシアネートの溶媒中での重合を検討したとこ
ろ、強靭なポリアミドイミドが得られたが、溶融成形性
に劣ったものであった。また本発明者らがこの条件下で
芳香族トリカルボン酸無水物とジイソシアネートとの溶
媒中に於ける重合反応を詳細に検討したところ、本重合
反応は、芳香族トリカルボン酸無水物のカルボキシル基
部分とイソシアネート基の反応によるアミド基生成反応
と、芳香族トリカルボン酸無水物の酸無水物基とイソシ
アネート基の反応による直接的イミド基生成反応からな
り、両反応は、重合の過程においてほぼ同時に進行し、
ポリアミドイミドを生成することを見いだした。すなわ
ち本重合反応は、アミド化反応とイミド化反応とが同時
に進行し、複雑な中間体を経る反応である。またこのこ
とが溶融成形性が劣るポリアミドイミドが生成する理由
と推定された。また検討の結果アミド基生成反応とイミ
ド基生成反応ではアミド基生成反応のほうがイミド基生
成反応より反応速度が速く、このため重合の初期では、
アミド基生成反応がイミド基生成反応より優先的に起こ
りやすいことも見いだした。
【0007】この知見に基づき、アミド基生成反応とイ
ミド基生成反応を分離する方法を検討したところ条件を
適当に制御することによりこのことは可能であることが
見いだされた。すなわちアミド基生成が実質的に終了す
るまでイミド基の生成反応が起こらないように条件を制
御しこの後条件を変更しイミド基生成反応を行うことに
より、両反応が同時に進行することなくポリアミドイミ
ドを製造し得ることを見いだした。またこの方法により
得られたポリアミドイミドは、溶融成形性に優れかつ強
靭であることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、芳香族トリカルボン
酸無水物と芳香族ジイソシアネートとを原料に、溶媒中
で一般式(1)で示されたポリアミドイミドを製造する
に際して、実質的にアミド基の生成が終了してからイミ
ド基の生成反応を行うことを特徴とする、溶融成形性に
優れた成形材料原料用ポリアミドイミドの製造方法に係
わる。
【0009】本発明は実質的にアミド基の生成が終了し
てからイミド基の生成反応を行うことに特徴がある、こ
の方法は具体的には、重合温度、時間、触媒添加方法を
最適に制御することにより行えるが、基本的には、アミ
ド基の生成が実質的に終了するまでイミド基の生成反応
が起こらない条件でアミド化を行い、ついでイミド化を
行う条件であれば差し支えない。アミド基の生成が実質
的に終了するまでイミド化反応を開始しないためには、
アミド基の生成とイミド基の生成を重合の間追跡する必
要があるが、この方法は公知の赤外分光法、ガスクロマ
トグラム法等により可能でありいずれの方法であっても
構わない。
【0010】本発明の製造方法においてイミド化反応を
開始する時点のアミド化反応の反応率は、70%以上終
了している事が必要であり、好ましくは80%以上が、
より好ましくは90%以上が、最も好ましくは、95%
以上終了していることが望ましい。
【0011】重合温度は、重要な条件でありこれを制御
することにより、本発明の製造方法を行うことは好まし
い方法である。本発明者らが鋭意検討の結果、重合温度
を一段目(アミド化反応)を50℃〜100℃の温度範
囲内に、二段目(イミド化反応)を100℃〜200℃
の温度範囲内に二段階で設定し重合を行うことにより、
実質的にアミド基の生成が終了してからイミド基が生成
し、溶融成形加工性に優れかつ強靭なポリアミドイミド
が容易に製造し得ることを見いだした。各段における温
度は、その温度範囲内であればいかように設定してもよ
い、例えば昇温であっても、一定温度であってもまたこ
れの組み合せであっても構わない。しかしながら好まし
いのは一定温度で反応を行うことである。また本発明の
目的を達成するために必要な各段における温度範囲は前
述の通りであるが、好ましい温度範囲は一段目が60℃
100℃であり二段目は105℃〜180℃である。
より好ましくは、一段目は80℃〜100℃であり、二
段目は110℃〜130℃である。各段における温度が
これより低い場合はアミド基およびイミド基生成反応が
完結せずその結果ポリアミドイミドの重合度が上がらず
脆いものとなり、高い場合はアミド基生成反応とイミド
基生成反応が同時に進行し、溶融成形加工性に劣ったも
のとなる。
【0012】重合時間は一段目30分〜5時間、二段目
は、30分〜10時間が通常の条件であるが、好ましく
は、一段目30分〜2時間、二段目1時間〜8時間であ
る。重合時間がこれらより短すぎると重合度が上がら
ず、長すぎると溶融成形性が損なわれる。
【0013】本発明方法を行うためのもう一つの効果的
な方法は、触媒を使用する方法である。すなわちアミド
基の生成が実質的に終了するまでイミド基の生成反応が
起こらないような温度条件下で無触媒、少量の触媒存在
下で、あるいはトリエチルアミンなどの非環状第三級ア
ミンに代表される弱塩基性アミンなどの弱い触媒の存在
下でアミド化を行い、次いで触媒を添加、追加、あるい
は1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−
7などの環状第三級アミンに代表される強塩基性アミン
などの強い触媒を新たに添加してイミド化を行う方法で
ある。この目的のためには、従来技術に記載されている
各種触媒を使用することができるが、溶融成形加工性を
損なわないためには、その使用量は必要最小限に制限さ
れるべきであり、アミド基生成とイミド基生成反応の分
離が十分に行える限り、また重合速度が十分な実用水準
にある限り触媒は使用しないことが好ましい。好ましい
触媒を具体的に例示するならば、ピリジン、キノリン、
イソキノリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、
トリブチルアミン、N,N−ジエチルアミン、γ−ピコ
リン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、
トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ〔5,
4,0〕ウンデセン−7等の第三級アミン、また酢酸コ
バルト、ナフテン酸コバルト、オレイン酸ナトリウム、
等の弱酸の金属塩、重金属塩、アルカリ金属塩等をあげ
ることができる。
【0014】本発明で使用する芳香族トリカルボン酸無
水物とは次の一般式(2)で表される化合物である。
【0015】
【化2】
【0016】(式中Arは少なくとも一つの炭素6員環
を含む3価の芳香族基示す。)一般式(1)、(2)で
Arの具体例としては、次の化3に示したものがあげら
れる。
【0017】
【化3】
【0018】これらのうち好ましいものは次の化4に示
したものである。
【0019】
【化4】
【0020】本発明で使用されるジイソシアネート化合
物とは次の一般式(3)で表される化合物である。 O=C=N−R−N=C=O (3) 一般式(3)において、Rは2価の芳香族および/また
は脂肪族基であり、その具体例としては次の化5及び化
6に示したものがあげられる。
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】
【0023】これらのうち好ましいものとしては次の化
7に示したものがあげられ、
【0024】
【化7】
【0025】また特に好ましいものとしては次の化8に
示したものがあげられる。
【0026】
【化8】
【0027】最も好ましいものは次の化9に示したもの
である。
【0028】
【化9】
【0029】また本発明のポリアミドイミドの製造に際
しては、芳香族トリカルボン酸無水物の0〜50モル%
未満を、次の一般式(4)で表される、ジカルボン酸や
一般式(5)で表される芳香族テトラカルボン酸無水物
で置き換えることも可能である。好ましいものは一般式
(4)のジカルボン酸である。
【0030】
【化10】
【0031】一般式(4)において、Rは2価の芳香族
および/または脂肪族基であり、その具体例については
前述した通りであるが、これらのうち好ましいものとし
ては次の化11に示したものがあげられ、
【0032】
【化11】
【0033】また特に好ましいものとしては次の化12
に示したものがあげられる。
【0034】
【化12】
【0035】
【化13】
【0036】一般式(5)において、Ar1 は少なくと
も一つの炭素6員環を含む4価の芳香族基である、Ar
1 の具体例としては次の化14に示したものがある。
【0037】
【化14】
【0038】一般式(2)、(3)、(4)、(5)で
表される各構造単位はポリアミドイミド樹脂中に異なっ
たAr、R、R、Ar1 に対応する一種以上が存在して
いてもよい。すなわち本発明のポリアミドイミド樹脂は
各種の共重合体の形態をとり得る。
【0039】本発明に用いられる溶媒は、生成するポリ
アミドイミドに相溶性を有するN−メチルピロリドン、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、 ジメ
チルスルフォキシド、ジメチルスルホラン、テトラメチ
レンスルホン、ジフェニルスルフォン、γーブチロラク
トン等と、ポリアミドイミドと相溶性を有しない極性溶
媒具体的には、ニトロベンゼン、ニトロトルエン、アセ
トニトリル、ベンゾニトリル、アセトフェノン、ニトロ
メタン、ジクロロベンゼン、アニソール等に大別される
が、これらは、混合して使用してもさしつかえない、ま
た好ましいものは、ポリアミドイミドと相溶性を有する
溶媒である。またこれらの溶媒は、モノマー原料の溶媒
に対する割合で、0.1〜3モル/リットルで好適に使
用される。
【0040】また本発明の製造を実施するにあたり、溶
媒、モノマー等から構成される重合系の含有水分は、5
00PPM以下に保つことが好ましく、より好ましく
は、100PPM、最も好ましくは、50PPM以下に
保たれる。系内含有水分の量がこれらより多いと、強靭
性、溶融成形加工性を損なうからである。
【0041】本発明において良好な溶融成形加工性と強
靭性を有するポリアミドイミを製造するためには、芳香
族トリカルボン酸無水物成分(前述のジカルボン酸、テ
トラカルボン酸無水物を含むことができる)とジイソシ
アネート成分は、それぞれのモル数を、A、Bとしたと
き両者のモル比は、0.9<A/B<1.1に保たれる
ことが好ましい。より好ましくは、0.99<A/B<
1.01に保たれるべきである。
【0042】本発明の実施に際して、分子量調整剤の少
量の使用は何等制限されるものではない、代表的な分子
量調節剤としては、安息香酸等のモノカルボン酸類、無
水フタル酸、無水コハク酸、ナフタレンジカルボン酸無
水物等のジカルボン酸無水物類、フェニルイソシアネー
ト等のモノイソシアネート類、フェノール類といった一
官能性化合物が挙げられる。
【0043】本発明により得られるポリアミドイミドの
重合度はジメチルホルムアミド中30℃で濃度1g/d
lで測定した還元粘度で表示するならば、0.15dl
/gから1.0dl/gが好適に用いられ、より好まし
くは0.2dl/gから0.6dl/gが、最も好まし
くは、0.2dl/gから0.5dl/gが好適に使用
される。
【0044】本発明により得られるポリアミドイミド
は、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類、
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘプタ
ン、トルエン等の脂肪族、芳香族炭化水素類により沈
澱、洗浄することにより回収されるが、重合溶媒を直接
濃縮して得ても構わない、さらには、ある程度まで濃縮
した後、押出機等により減圧下に溶媒を除去しペレット
化する方法も有力である。
【0045】本発明の方法により製造される、ポリアミ
ドイミドはワニス、塗料、フイルムとしても使用可能で
あるが、溶融成形加工性に優れている特徴を活かし、単
独でプレス、押出、射出成形等の溶融成形加工用途に成
形材料原料として使用するのに好適であり得られる成形
品は強靭なものが得られる。またナイロン6、ナイロン
66、ナイロンMXD/6 等の結晶性ナイロン、非晶
性ナイロン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォ
ン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポ
リフェニレンエーテル等の他の樹脂と溶融混練すること
により、いわゆるポリマーアロイとして用いるのにも、
溶融混練が容易であり、得られる材料の溶融成形性が優
れていることから好適に使用される。
【0046】
【本発明の作用および効果】本発明の製造方法で得られ
たポリアミドイミドは、溶融成形加工性に優れかつ強靭
であり成形材料用途に好適に使用される。このすぐれた
特性を有するポリアミドイミドは、本発明のアミド基生
成が実質的に終了するまでイミド基の生成反応が起こら
ないように条件を制御しこの後、条件を変更しイミド基
生成反応を行うことにより、両反応が実質的に同時に進
行することなくポリアミドイミドを製造する方法よりも
たらされる。
【0047】
【実施例】以下実施例、および比較例によって本発明の
製造方法を更に詳細に説明する。
【0048】実施例1 水分含有量15ppmのN−メチルピロリドン3リット
ルを、5リットルの攪拌機、温度計、先端に塩化カルシ
ウムを充填した乾燥管を装着した還流冷却器を備えた反
応器に仕込んだ。ここに無水トリメリット酸555g
(50モル%)、次いで2,4−トリレンジイソシアネ
ート503g(50モル%、イソシアネート基として1
00モル%)を加えた。無水トリメリット酸添加時の系
内水分は30ppmであった。最初、室温から20分を
要して内容物温度を90℃とし、この温度で重合を行い
ながら2,4−トリレンジイソシアネートのイソシアネ
ート基の減少量とイミド基の生成量を測定した。方法
は、少量の反応液を注射器でサンプリングし赤外分光法
でイソシアネート基の2276cm-1の吸収とイミド基
の1780cm-1の吸収を定量することによって行っ
た。50分間重合を行ったところでイソシアネート基の
量は、50モル%に減少した、この時イミド基の吸収
は、全く認められなかった、これによりイミド化反応が
起こる以前にアミド化反応が終了したことを確認した。
この後10分を要して115℃に昇温した。この温度に
保ったままで重合を4時間継続した。この時点でイソシ
アネート基の吸収はすべて消滅しイミド基の理論吸収量
が認められた。重合終了後ポリマー溶液をN−メチルピ
ロリドンを加えて2倍に希釈し、これをN−メチルピロ
リドンの2倍容のメタノール中に強力な攪拌下に滴下し
た。析出したポリマーを吸引ろ別し、さらにメタノール
中に再分散させてよく洗浄後、ろ別し200℃で減圧乾
燥を行いポリアミドイミド樹脂を得た。ジメチルホルム
アミド溶液(濃度1.0g/dl)でこのものの30℃
における還元粘度を測定したところ0.25dl/gで
あった。このポリアミドイミドを加熱溶融プレス成形を
行ったところ、プレス成形可能下限温度は、380℃で
あり、得られたフイルムの引張強度は、200Mpaで
あった。
【0049】実施例2 水分含有量15ppmのN−メチルピロリドン3リット
ルを、実施例1と同一の反応器に仕込んだ。ここに無水
トリメリット酸555g、次いで2,4−トリレンジイ
ソシアネート503gを加えた。無水トリメリット酸添
加時の系内水分は20ppmであった。最初、室温から
20分を要して内容物温度を90℃とし、この温度で5
0分間重合を行った。この時点でイソシアネート基の量
は、50モル%に減少した、この時イミド基の吸収は、
全く認められなかった、これによりイミド化反応が起こ
る以前にアミド化反応が終了したことを確認した。この
後15分を要して115℃に昇温したこの温度に保った
まま重合を8時間継続した、この時点でイソシアネート
基の吸収はすべて消滅しイミド基の吸収の理論量が認め
られた。重合終了後、実施例1と同様に処理してポリア
ミドイミド粉末を得た。ジメチルホルムアミド溶液(濃
度1.0g/dl)でこのものの30℃における還元粘
度を測定したところ0.3dl/gであった。このポリ
アミドイミドを加熱溶融プレス成形を行ったところ、プ
レス成形可能下限温度は、380℃であり、得られたフ
イルムの引張強度は、200Mpaであった。
【0050】実施例3 水分含有量15ppmのN−メチルピロリドン3リット
ルを、実施例1と同一の反応器に仕込んだ。ここに無水
トリメリット酸555g、次いで2,4−トリレンジイ
ソシアネート503gを加えた。無水トリメリット酸添
加時の系内水分は25ppmであった。最初、室温から
20分を要して内容物温度を90℃とした。この温度で
50分間重合を行った、この時点でイソシアネート基の
量は、50モル%に減少した、この時、イミド基の吸収
は、全く認められなかった、これによりイミド化反応が
起こる以前にアミド化反応が終了したことを確認した。
この後15分を要して125℃に昇温したこの温度に保
ったまま重合を4時間継続した、この時点でイソシアネ
ート基の吸収はすべて消滅しイミド基の吸収の理論量が
認められた。重合終了後実施例1と同様に処理してポリ
アミドイミド粉末を得た。ジメチルホルムアミド溶液
(濃度1.0g/dl)でこのものの30℃における還
元粘度を測定したところ0.3dl/gであった。この
ポリアミドイミドを加熱溶融プレス成形を行ったとこ
ろ、プレス成形可能下限温度は、380℃であり、得ら
れたフイルムの引張強度は、200Mpaであった。
【0051】実施例4 水分含有量10ppmのN−メチルピロリドン3リット
ルを、実施例1と同一の反応器に仕込んだ。ここに無水
トリメリット酸555g、次いで2,4−トリレンジイ
ソシアネート503gを加えた。無水トリメリット酸添
加時の系内水分は20ppmであった。最初、室温から
20分を要して内容物温度を90℃とし、この温度で4
0分間重合を行った。この時点でイソシアネート基の量
は、40モル%に減少した、この時イミド基の吸収は、
全く認められなかった、これによりこの時点でのアミド
化反応率は80%であることを確認した。この後5分を
要して115℃に昇温した昇温開始後10分でアミド化
反応率は、100%に達したが、イミド基の吸収は11
5℃に達してすぐ認められた。この温度に保ったまま重
合を4時間継続した、この時点でイソシアネート基の吸
収はすべて消滅しイミド基の吸収の理論量が認められ
た。重合終了後実施例1と同様に処理してポリアミドイ
ミド粉末を得た。ジメチルホルムアミド溶液(濃度1.
0g/dl)でこのものの30℃における還元粘度を測
定したところ0.25dl/gであった。このポリアミ
ドイミドを加熱溶融プレス成形を行ったところ、プレス
成形可能下限温度は、390℃であり、得られたフイル
ムの引張強度は、180Mpaであった。
【0052】実施例5 水分含有量10ppmのN−メチルピロリドン3リット
ルを、実施例1と同一の反応器に仕込んだ。ここに無水
トリメリット酸555g(50モル%)、次いでジフェ
ニルメタンジイソシアネート723.3g(50モル
%、イソシアネート基として100モル%)を加えた。
無水トリメリット酸添加時の系内水分は20ppmであ
った。最初、室温から20分を要して内容物温度を90
℃とし、この温度で50分間重合を行った。この時点で
イソシアネート基の量は、50モル%に減少した、この
時イミド基の吸収は、全く認められなかった、これによ
りイミド化反応が起こる以前にアミド化反応が終了した
ことを確認した。この後10分を要して115℃に昇温
したこの温度に保ったまま重合を4時間継続した、この
時点でイソシアネート基の吸収はすべて消滅しイミド基
の吸収の理論量が認められた。重合終了後実施例1と同
様に処理してポリアミドイミド粉末を得た。ジメチルホ
ルムアミド溶液(濃度1.0g/dl)でこのものの3
0℃における還元粘度を測定したところ0.45dl/
gであった。このポリアミドイミドを加熱溶融プレス成
形を行ったところ、プレス成形可能下限温度は、350
℃であり、得られたフイルムの引張強度は、180Mp
aであった。
【0053】実施例6 水分含有量10ppmのN−メチルピロリドン3リット
ルを、実施例1と同一の反応器に仕込んだ。ここに無水
トリメリット酸277.6g(25モル%)、イソフタ
ル酸 240.1g(25モル%)次いで2,4−トリ
レンジイソシアネート503g(50モル%、イソシア
ネート基として100モル%)を加えた。無水トリメリ
ット酸とイソフタル酸添加時の系内水分は25ppmで
あった。最初、室温から20分を要して内容物温度を9
0℃としこの温度で90分間重合を行った。この時点で
イソシアネート基の量は、25モル%に減少した、この
時イミド基の吸収は、全く認められなかった、これによ
りイミド化反応が起こる以前にアミド化反応が終了した
ことを確認した。後15分を要して125℃に昇温した
この温度に保ったまま重合を4時間継続した、この時点
でイソシアネート基の吸収はすべて消滅しイミド基の吸
収の理論量が認められた。重合終了後実施例1と同様に
処理してポリアミドイミド粉末を得た。ジメチルホルム
アミド溶液(濃度1.0g/dl)でこのものの30℃
における還元粘度を測定したところ0.48dl/gで
あった。このポリアミドイミドを加熱溶融プレス成形を
行ったところ、プレス成形可能下限温度は、360℃で
あり、得られたフイルムの引張強度は、190Mpaで
あった。
【0054】実施例7 水分含有量15ppmのN−メチルピロリドン3リット
ルを、実施例1と同一の反応器に仕込んだ。ここに無水
トリメリット酸277.6g(25モル%)、イソフタ
ル酸 144g(15モル%)、アゼライン酸 10
8.8g(10モル%)、次いで2,4−トリレンジイ
ソシアネート 503g(50モル%、イソシアネート
基として100モル%)を加えた。無水トリメリット酸
とイソフタル酸添加時の系内水分は50ppmであっ
た。最初、室温から20分を要して内容物温度を90℃
とし、この温度で90分間重合を行った。この時点でイ
ソシアネート基の量は、25モル%に減少した、この時
イミド基の吸収は、全く認められなかった、これにより
イミド化反応が起こる以前にアミド化反応が終了したこ
とを確認した。この後15分を要して125℃に昇温し
たこの温度に保ったまま重合を4時間継続した、この時
点でイソシアネート基の吸収はすべて消滅しイミド基の
吸収の理論量が認められた。重合終了後実施例1と同様
に処理してポリアミドイミド粉末を得た。ジメチルホル
ムアミド溶液(濃度1.0g/dl)でこのものの30
℃における還元粘度を測定したところ0.48dl/g
であった。このポリアミドイミドを加熱溶融プレス成形
を行ったところ、プレス成形可能下限温度は、330℃
であり、得られたフイルムの引張強度は、160Mpa
であった。
【0055】
【0056】比較例1 水分含有量15ppmのN−メチルピロリドン3リット
ルを、実施例1と同じ反応器に仕込んだ。ここに無水ト
リメリット酸555g(50モル%)、次いで2,4−
トリレンジイソシアネート503g(50モル%、イソ
シアネート基として100モル%)を加えた。無水トリ
メリット酸添加時の系内水分は30ppmであった。最
初、室温から30分を要して内容物温度を130℃と
し、この温度で3時間重合を継続した。重合の間、実施
例1と同じ方法でイソシアネートの減少量とイミド基の
生成量を追跡した。130℃に温度が達した時点でイソ
シアネート基の減少量は、仕込の30モル%であるにも
かかわらず既にイミド基の吸収が相当量認められアミド
化とイミド化が同時に進行していることが確認された。
重合終了後実施例1と同様に処理してポリアミドイミド
粉末を得た。ジメチルホルムアミド溶液(濃度1.0g
/dl)でこのものの30℃における還元粘度を測定し
たところ0.3dl/gであった。このポリアミドイミ
ドを加熱溶融プレス成形を行ったところ、プレス成形可
能下限温度は、430℃であり、得られたフイルムの引
張強度は、180Mpaであった。
【0057】比較例2 比較例1を重合温度だけを変更して実施した。すなわ
ち、最初、室温から20分を要して内容物温度を115
℃とし、この温度で8時間重合を継続した。115℃に
達し10分経過した時点で比較例1と同様に分析したと
ころ、イソシアネート基の減少量は仕込の32モル%で
あるにもかかわらず、既にイミド基の吸収が相当量認め
られ、アミド化とイミド化の同時進行が確認された。重
合終了後実施例1と同様に処理してポリアミドイミド粉
末を得た。ジメチルホルムアミド溶液(濃度1.0g/
dl)でこのものの30℃における還元粘度を測定した
ところ0.25dl/gであった。このポリアミドイミ
ドを加熱溶融プレス成形を行ったところ、プレス成形可
能下限温度は、420℃であり、得られたフイルムの引
張強度は、180Mpaであった。
【0058】比較例3 比較例1を重合温度だけを変更して実施した。すなわ
ち、最初、室温から30分を要して内容物温度を125
℃とし、この温度で4時間重合を継続した。125℃に
達し5分経過した時点で比較例1と同様に分析したとこ
ろ、イソシアネート基の減少量は仕込の30モル%であ
るにもかかわらず、既にイミド基の吸収が相当量認めら
れ、アミド化とイミド化の同時進行が確認された。重合
終了後実施例1と同様に処理してポリアミドイミド粉末
を得た。ジメチルホルムアミド溶液(濃度1.0g/d
l)でこのものの30℃における還元粘度を測定したと
ころ0.3dl/gであった。このポリアミドイミドを
加熱溶融プレス成形を行ったところ、プレス成形可能下
限温度は、420℃であり、得られたフイルムの引張強
度は、150Mpaであった。
【0059】比較例4 実施例5を重合温度だけを変更して実施した。すなわ
ち、最初、室温から30分を要して内容物温度を125
℃とし、この温度で4時間重合を継続した。125℃に
達し10分経過した時点で比較例1と同様に分析したと
ころ、アミド化とイミド化の同時進行が確認された。重
合終了後実施例1と同様に処理してポリアミドイミド粉
末を得た。ジメチルホルムアミド溶液(濃度1.0g/
dl)でのこれらの30℃における還元粘度は0.4d
l/g、ポリアミドイミドのプレス成形可能下限温度は
400℃であり、得られたフイルムの引張強度は160
Mpaであった。
【0060】比較例5 実施例6を重合温度だけを変更して実施した。すなわ
ち、最初、室温から30分を要して内容物温度を125
℃とし、この温度で4時間重合を継続した。125℃に
達し10分経過した時点で比較例1と同様に分析したと
ころ、アミド化とイミド化の同時進行が確認された。重
合終了後実施例1と同様に処理してポリアミドイミド粉
末を得た。ジメチルホルムアミド溶液(濃度1.0g/
dl)でのこれらの30℃における還元粘度は0.45
dl/g、ポリアミドイミドのプレス成形可能下限温度
は400℃であり、得られたフイルムの引張強度は14
0Mpaであった。
【0061】比較例6 実施例7を重合温度だけを変更して実施した。すなわ
ち、最初、室温から30分を要して内容物温度を125
℃とし、この温度で4時間重合を継続した。125℃に
達し10分経過した時点で比較例1と同様に分析したと
ころ、アミド化とイミド化の同時進行が確認された。重
合終了後実施例1と同様に処理してポリアミドイミド粉
末を得た。ジメチルホルムアミド溶液(濃度1.0g/
dl)でのこれらの30℃における還元粘度は0.43
dl/g、ポリアミドイミドのプレス成形可能下限温度
は390℃であり、得られたフイルムの引張強度は14
0Mpaであった。
【0062】
【0063】
【0064】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伴 一 茨城県つくば市和台22番地 三菱瓦斯化 学株式会社総合研究所内 審査官 佐藤 健史 (56)参考文献 特開 平4−227917(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 18/34,73/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族トリカルボン酸無水物とジイソシ
    アネートとを原料に、溶媒中で一般式(1)で示される
    ポリアミドイミドを製造するに際して、実質的にアミド
    基の生成が終了してからイミド基の生成反応を行うこと
    を特徴とする、溶融成形性に優れた成形材料原料用ポリ
    アミドイミドの製造方法。 【化1】 (式中Arは少なくとも一つの炭素6員環を含む3価の
    芳香族基、Rは2価の芳香族および/または脂肪族基を
    示す。)
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