JP3181639B2 - ナイロン66編織物 - Google Patents

ナイロン66編織物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は風合及び発色性の優れた
ナイロン66編織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、単糸デニールが0.8デニール以
下のいわゆるポリアミド系極細繊維を使用した皮革状
物、スウェード調編織物、ビーチスキン、スパンライク
織物等の布帛が急速に進歩し、柔軟でかつしなやかなタ
ッチをもった製品として、市場で好評を博している。し
かしながら、このような極細繊維を用いた編織物は、単
糸デニールが細くなればなるほど同一重量に対する表面
積が急激に増加し、繊維表面での光の乱反射が起こるた
め、被染物中の染料の光吸収率が低下し被染物の見掛け
の発色温度が低下する問題点を有している。
【0003】この問題点は単糸デニールが0.8デニー
ル以下になると顕著に現われ、従来から使用されている
数デニールの単糸デニールのフィラメントから成る編織
物と同程度の見掛けの発色性を与えるためには、数倍〜
数十倍の染料を使用する必要がある。従来、ポリアミド
系の極細繊維より成る編織物は主に酸性染料、含金染
料、分散染料で染色されているが、前記の如く多量の染
料が使用されているため染色堅牢度が悪く、しかも編織
物内部へ多量の染料が入るので風合も硬くなってくる。
更には染色コストも大幅に高くなる。
【0004】スポーツウェア,インナーウェア,アウタ
ーウェア,手袋,靴,鞄等においては最近の傾向として カラフルでしかも染色堅牢度の高いもの 運動追随性の点からは、伸長回復性のよいもの 体表面からの発汗に対して、快適性を保つため、汗
をすばやく体表面から運び去る吸水性の良いもの が求められる。
【0005】しかし、このフィラメント数を多くするこ
とは、必然的に糸の表面積を急激に大きくすることでも
あり、そのための弊害が幾つかあることが判っている。
特にナイロン6でフィラメント数を増やそうとすると、
経時変化による黄変や、脆化等の欠点が表面化したり、
染色堅牢度の低下が大きく、中淡色での分散染料処理は
殆ど実用的でない。濃色では酸性染料、含金染料が用い
られるため、通常の堅牢度はタンニン、吐酒石でフィッ
クス処理を行なえば実用レベルにすることができるが、
繊維表面がフィックス剤でコーティングされた状態とな
って編織物の風合が粗硬となり好ましくない。
【0006】一方、従来のナイロン66フィラメント
で、同様にフィラメント数を増やす場合は、ナイロン6
6フィラメントの特性として、常圧染色(沸点付近)で
は染色斑が起き易く、それを防ぐには加圧下での染色が
必須となる。しかしながら、従来のナイロン66フィラ
メントを加圧下で染色すると、12%以上の繊維収縮が
起こり、常圧染色されたものと比べて風合の硬いものと
なって好ましくない。また、加圧下での染色は、スパン
デックスと共用し交編織をする場合に、スパンデックス
のパワーの低下を招き、実際には実施が不可能であり、
その結果ナイロン66フィラメントのスポーツウェアで
の展開が著しくせばめられる結果となっている。
【0007】の要求に対しては、ナイロン6よりもナ
イロン66が染色堅牢度が高い点から好ましく、近年多
用されるようになっているが、染色性において濃色では
特に高圧染色が必要とされるという問題点を有してい
る。の要求に対しては、経編、丸編、織物等数多くの
商品分野で巻縮加工糸を用いるか、ポリウレタン弾性糸
との共用が一般的であり、伸長回復性の点では、ポリウ
レタン弾性糸が優れている。しかし、上記のように染色
加工時の温度に制限があり、ポリウレタン弾性糸と共用
し、その優れた性質を十分に引き出すには、共用相手素
材の選択に制限がある。
【0008】の要求に対しては、上記のように吸水性
を付与することが効果的で、このためには、綿、ウール
等の吸湿性の天然繊維を用いることが一般的であった。
しかし、これらの天然繊維は、紡績糸の形で供給され、
そのため細さに限界があるため、ファッション性に富む
編織物を得ることは困難である。そのため、これまで合
成繊維に吸水性を付与する数多くの工夫が検討されてき
た。
【0009】例えばフィラメントの形状を、毛細管現象
の起こりやすいように、中空にしたり、表面にクラック
を入れたり、多孔質にする等の研究がなされた。またナ
イロンフィラメントにグラフト重合等の化学的手段で吸
湿、吸水性を付与する後加工法が検討された。しかし、
これらの極めて特殊な断面形状をもつフィラメントや、
特殊な後加工を施した編織物は当然製造しにくく、コス
ト高になり、さらに糸の持つべき基本的物性のうちの、
いくつかを犠牲にせざるを得ない場合が多く、広く使用
に耐える物とは言い難かった。これにひきかえ、フィラ
メント数を増すことは、適当な吸水性を付与できるばか
りでなく基本的物性を失うこともないため、有利であ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、発色性が良
く、柔軟で、しなやかで、かつ、超長綿の風合いを有す
るナイロン66編織物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の現状
に鑑み、このような問題点を解決すべく鋭意検討した結
果、特定の単糸デニールを有するナイロン66繊維を流
体噴射加工を行うことにより、得られた編織物が非常に
ソフト、超長綿の風合を有する事を見出し、本発明をな
すに至った。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明について、以下、具体的に
説明する。本発明は、ナイロン66編織物において、上
記ナイロン66がマルチフィラメントであって、繊維の
初期モジュラスが210〜350kg/mm2 、力学的
損失正接(tanδ)のピーク高さ(tanδ)max と
ピーク 温度(Tmax 〔℃〕)がTmax+320(tan
δ)max≦132であり、かつ、単糸デニールが0.1
〜 0.8デニールであり、流体噴射加工された、ルー
プ毛羽を有する嵩高糸であることを特徴とするナイロン
66編織物である。
【0013】本発明に用いるナイロン66マルチフィラ
メントは初期モジュラスは210〜350kg/mm2
であることが必要である。初期モジュラスが210kg
/mm2以下ではフィラメントの強度、モジュラスが低
く、寸法安定性も悪くなり、実用に耐えられない編織物
となる。また、350kg/mm2以上では編織物の風
合が従来の編織物と同じ程度に硬くなり、かつ発色性も
低くなり、本発明の目的を達し得ない。さらに好ましく
は250〜330kg/mm2である。
【0014】ナイロン66フィラメントの初期モジュラ
スを210〜350kg/mm2とするには、紡速、延
伸比等の紡糸条件により繊維の中心部における複屈折率
Δnを45×10-3〜52×10-3とすればよい。ここ
で複屈折率とは、後述する方法により、干渉顕微鏡によ
って測定されるものをいう。また、本発明に用いるナイ
ロン66マルチフィラメントは力学的損失正接(tan
δ)のピーク高さ(tanδ)maxとピーク温度(Tmax
〔℃〕)がTmax+320(tanδ)maxが132を越
えない範囲にあることが必要である。
【0015】力学的損失正接(tanδ)のピーク高さ
(tanδ)maxとピーク温度(Tmax〔℃〕)がTmax
と320(tanδ)maxとの合計が132を越えない
範囲ではフィラメントの発色性が低下し、かつ染斑が発
生する。繊維の染色性については、無定形領域の微細構
造を定量的に評価する方法の一つである力学的損失正接
(tanδ)−温度(T)曲線(例えば、上出健二、真
鍋征一、繊維学会誌34巻3号P70〜79(197
8))と関係があり、特定の(tanδ)max,Tmaxを
有するナイロン66フィラメントは極めて染色性が良
く、かつ均染性に優れている。
【0016】その染色性が良く、かつ均染性が優れてい
る範囲はTmaxと320(tanδ)maxとの合計が13
2を越えない範囲であり、ナイロン66フィラメントを
4000m/分以上の速度で高速紡糸をすること等によ
って得られる。ナイロン66フィラメントは高速紡糸す
ることによって結晶部の配向が進み、強度、モジュラ
ス、寸法安定性等の機械的な性質が衣料用として満足な
ものとなり、一方、非晶部の配向が進まず染色性が向上
して均染性が増すものと考えられる。
【0017】本発明に用いるナイロン66フィラメント
の単糸デニールは、0.1〜0.8デニールの範囲にあ
ることが必要である。0.8デニール以上では得られた
編織物の風合が硬く柔軟でかつしなやかなタッチの編織
物にはなり得ない。また、これを基布とする皮革状物は
硬いものしか得られない。また、0.1デニールより細
い場合はフィラメントの紡糸性が悪く、毛羽も多発し、
工業的な生産が難しいのが現状である。好ましくは、
0.2〜0.6デニールである。
【0018】本発明に用いるナイロン66フィラメント
は、良好な風合に加え、更に高級感を出して超長綿風合
にするために、流体噴射加工による嵩高糸として使用す
ることが必要である。流体噴射加工する場合、芯糸と鞘
糸に給糸量差をつけずに行なう方法或いは鞘糸のオーバ
ーフィード率を芯糸のオーバーフィード率より大きくし
て行なう方法のいずれでもよいが風合改善の効果を大き
くするためには鞘糸のオーバフィード率を芯糸のオーバ
ーフィード率より大きくする方法がよい。
【0019】流体噴射加工糸を使って織物とした場合は
超長綿の風合をもったものとなる。なお、経糸又は緯糸
に用いる場合は経糸に用いた方がより超長綿の風合が発
現できるので好ましい。本発明のナイロン66編織物を
染色加工する際には、染色温度を80〜110℃とする
ことが必要である。染色温度が80℃以下では染料の吸
着が平衡に達せず、発色性の悪いものとなり、本発明の
目的を達成しない。また、染色温度が110℃以上にな
ると発色性は良くなるが、編織物を構成する本発明に用
いるナイロン66フィラメントの強度は極端に低下し、
実用に耐えられないものになる。好ましくは90〜10
5℃である。
【0020】本発明のナイロン66編織物は、編成、製
織等の適当な方法を用いて編織物とするが、その際ナイ
ロン66フィラメントを単独(100%)で用いてもよ
いし、当然、編織物に要求される性能を実現させるため
に、他の素材と混用してもよい。すなわち、経編機での
製編において、フロント筬に、セルロース繊維を用い、
バック筬に本発明に用いるナイロン66フィラメントを
用いてハーフトリコットを得る方法、又はフロント筬、
バック筬ともに本発明に用いるナイロン66フィラメン
トを用いて、ハーフトリコットを得る方法、フロント筬
に本発明に用いるナイロン66フィラメントを用い、バ
ック筬にポリウレタン弾性糸を用いて、いわゆる2ウェ
イトトリコットとする方法でもよい。
【0021】更には、経糸にナイロン66フィラメント
を用い緯糸に綿糸を用いて、平織り組織の織物を得る方
法、ナイロン66フィラメントとポリウレタン弾性糸を
用い、いわゆるベア天竺の編織物を得る方法等が例とし
挙げられるが、特に限定はしない。染色加工は一般に行
なわれている方法が取り得るが、110℃以下での染色
が必要であり、本発明に用いるナイロン66フィラメン
トはこの条件でも十分な発色濃度が得られ、染色堅牢度
十分である。
【0022】このようにして得られた編織物は、前記
からの三つの要求特性を満たしランジェリー、肌着等
のインナーウェア、レオタード、アスレチックウェア、
水着等のスポーツウェア、手袋、靴、鞄、アンダーウェ
ア等に最適である。次に、本発明のナイロン66編織物
の製造方法の1例を説明する。ヘキサメチレンジアミン
とアジピン酸より重合されるポリヘキサメチレンジアパ
ミドのポリマーを4000m/分以上の速度で溶融紡糸
し、必要に応じて延伸を行い、複屈折率Δnが45×1
-3〜52×10-3を示す単糸デニールが0.1〜0.
8デニールのナイロン66フィラメントを製造する。
【0023】このフィラメントは本発明でいう初期モジ
ュラス210〜350kg/mm2、力学的損失正接
(tanδ)のピーク高さ(tanδ)maxとピーク温
度(Tmax〔℃〕)がTmaxと320(tanδ)maxと
の合計が132を越えないという条件を満足する。次
に、このフィラメントを芯糸と鞘糸に給糸量差をつけず
に行なう方法或いは鞘糸のオーバーフィード率を芯糸の
オーバーフィード率より大きくして行なう方法にて流体
噴射加工し、編物あるいは織物に製布した後、編織物の
寸法を安定させるため、180〜190℃の熱風でプレ
セットを行い、次いで酸性染料、含金染料あるいは分散
染料を用いて80〜110℃の温度で染色し、最後に1
75〜185℃の熱風で仕上セットを行い、ナイロン6
6編織物を製造する。
【0024】この得られた編織物は柔軟でかつしなやか
なタッチの風合と超長綿風合をもち、しかも発色性及び
染色バラツキのない優れたものである。本発明のナイロ
ン66編織物は、必要に応じて起毛加工、コーティング
加工等仕上加工を施すことができる。ナイロン編織物の
起毛加工は通常編織物表面の乱れを防止する為に染色後
に行なわれる。
【0025】本発明で使用されるナイロン66フィラメ
ントは沸水収縮率が小さく染色加工時に編織物の組織が
緻密化しないことから従来のものと比べ起毛パイルを形
成し易いという特徴をもっている。さらにフィラメント
の伸度が大きいことから起毛パイルを形成する際に単繊
維が切断されにくいという特徴も合わせもっており、起
毛してからポリウレタン系樹脂等のコーティング加工で
の樹脂がコーティング面の反対側へ浸み透りにくいこ
と、繊維表面をコーティングしても風合変化が少ないも
のである。
【0026】また、本発明のナイロン66編織物は、ポ
リウレタン系重合体からなる微多孔質皮膜をコーティン
グして積層し皮革状物とすることができる。次に本発明
の編織物を加工し皮革状物を製造する方法の1例を説明
する。まず、本発明の編織物に積層する微多孔質皮膜の
材料を構成するポリウレタン系重合体とは1種又は2種
以上のジイソシアネート成分と1種又は2種以上のジオ
ール成分とを重合させて製造されるウレタン結合により
主鎖が構成される高分子を指すものである。
【0027】ここでジイソシアネートとしては、例えば
トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシ
アネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジ
イソシアネート、ビフェニルイソシアネート、エタンジ
イソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、シクロヘ
キサンジイソシアネート等が例示される。また、ジオー
ル成分としてはジカルボン酸と多価アルコールより形成
されるポリエステル、例えばアジピン酸とジエチレング
リコールとトリメチロールプロパンからのポリエステ
ル、アジピン酸とブチレングリコールとヘキサントリオ
ールからのポリエステル、アジピン酸とエチレングリコ
ールとプロピレングリコールからのポリエステル等のポ
リエステル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキ
レングリコール類、エチレングリコール、プロピレング
リコール、ブチレングリコール等のグリコール類等が例
示される。
【0028】また、成分の異なるポリウレタンを任意に
組み合わせて、ポリマーブレンドとして使用することも
可能である。ポリウレタン系重合体は、エーテル系とエ
ステル系があるが任意に使用できる。ポリウレタン系重
合体を希釈する溶媒としては、湿式凝固浴中の水と置換
しやすいジメチルホルムアミドが好ましい。ポリウレタ
ン系重合体としては、ジメチルホルムアミドを希釈溶媒
として10〜25重量%に調合して使用するのが好まし
い。10重量%以下においては、粘度が低く塗布量が一
定でなく均一な皮膜が形成できなく透湿性,耐水圧の性
能にバラツキが起こる。25重量%以上になると希釈溶
媒と湿式凝固浴中の水との置換速度が遅く均一な気孔が
形成されにくく満足できる透湿性が得られない。
【0029】皮革状物の製造方法は公知の方法を適用す
ればよく、例えば前記の本発明のナイロン66編織物に
ポリウレタン系重合体を塗布し水を用いて湿式凝固する
ことによって微多孔質皮膜を形成させることで得られ
る。ポリウレタン系重合体の塗布方式は、特に限定され
ないが、一般的にはフローティングナイフコーター,ナ
イフオーバーロールコーター、リバースロールコータ
ー,ロールドクターコーター,グラビアロールコータ
ー,キスロールコーター,ニップロールコーター等を用
いてコーティングできる。
【0030】湿式凝固条件は20〜40℃の低温の水溶
液で凝固後、60〜80℃の高温で湯洗し完全に溶媒を
除去する方法が好ましい。低温のみで凝固する場合は凝
固に長時間を要し製造上好ましくない。また、高温のみ
で凝固する場合は、凝固速度が速く短時間で凝固する
が、発泡しやすく皮膜中に安定した気孔が形成されにく
く、性能的にバラツキの大きなものが得られる。編織物
に微多孔質皮膜を塗布した際に、皮膜が編織物内部及び
裏面に浸透しやすくなっては、風合、品位の面で好まし
くないので予め編織物にフッ素系、シリコーン系等の撥
水剤で前処理を施すことが好ましい。撥水剤の付着量
は、編織物の密度及び微多孔質皮膜の塗布時の粘度に影
響するが、0.04〜0.1重量%の範囲が好ましい。
0.04重量%以下では重合体溶液が編織物の裏面に浸
透しやすく、0.1重量%以上では編織物と微多孔質皮
膜の剥離強度が著しく低下する。
【0031】以下、本発明において用いた繊維の製造特
性及びその他の特性の測定方法を説明する。 (1)力学的損失正接(tanδ) 力学的損失正接(tanδ)の測定には、東洋ボールド
ウィン社製VIBRONDDV−IIc型を用いる。測
定周波数10c/min、乾燥空気中でtanδ−温度
(T)特性を測定する。tanδ−温度曲線からtan
δピーク高さ(tanδ)maxとtanδピーク温度Tm
ax(℃)が得られる。
【0032】(2)複屈折率(Δn) 複屈折率の測定には、カールツアイスイエナ社製透過型
干渉顕微鏡を用いる。波長549μ、温度25℃におい
て、繊維の中心部における、繊維軸に対して平行に振動
している光に対する屈折率n‖と繊維軸に対し垂直に振
動している光に対する屈折率n⊥の値から、複屈折率Δ
nは Δn=n‖−n⊥ で表わされる。なお、繊維の中心部とは円形断面及び異
形断面繊維とも、繊維断面を一平面と考えた際の重心部
分と定義する。
【0033】(3)強伸度,初期モジュラス 東洋ボールドウィン社製、TENSILON UTM−
III−100型引張試験機により常法で測定する。な
お、測定雰囲気は20℃、RH60%である。 (4)沸水収縮率 0.1g/d荷重下での試料長をL1とし、無荷重で沸
水中に30分間処理した後一昼夜放置し、再度0.1g
/dの荷重下で長さL2を測定する。沸水収縮率BWS
(%)は BWS(%)=(L1−L2)/L1×100 で表わされる。BWSが負の値の時は、沸水中で繊維の
伸長が生じたことを示す。
【0034】(5)染色バラツキ 試料を筒編地にし、ダイアシッドアリザリンライトブル
ー(Diacid Alizaline LightB
lue)4GL0.5%owfに酢酸と酢酸アンモニウ
ムとを加えてpH5.0に調整し、常温から60分間で
98℃に昇温し、更に10分間98℃に保った後、降温
し、染色地を得、スガ試験機製の色差計にて測色し、予
め用意してある基準糸との差の値をΔY(%)とし、全
試料の個々のΔY(%)値を基準偏差値σで表わし均染
性の指標とする。なお、ΔY(%)の値3%が、ほぼ1
NBSの色差に相当する。
【0035】()風合 従来の紡速で紡糸し延伸したナイロン6マルチフィラメ
ントより成る同一銘柄(デニール、フィラメント数、単
繊維断面等)同一組織及び規格のハーフトリコットの染
色仕上品の風合を○、従来の紡速で紡糸し延伸したナイ
ロン66マルチフィラメントより成るトリコットの風合
を×とした場合の官能判定で、◎、○、△、×、の4ラ
ンクで表わす。
【0036】超長綿風合の評価は、超超綿(エジプト
綿)使いの160番手双糸で平織(経密度120本/イ
ンチ、緯密度90本/インチ)を基準にして繊維製品評
価従事者20人の手でさわった感触で評価し超長綿並み
を◎,少し異なるを○,大分異なるを△,異なるを×の
4段階で表わす
【0037】
【実施例1】相対粘度(VR)40 のナイロン66チ
ップを290℃の温度で溶融紡糸し、紡糸速度4000
(m/分)、延伸比3.0で50d/ 96fのナイロ
ン66フィラメントを200本ずつ得、繊維の特性及び
染色バラツキの測定を行った。その結果、以下の特性で
あった。 (tanδ)max :0.131 Tmax (℃) :90 Tmax +320( tanδ)max :132 △n(×10 -3 ) :48 強度(g/d) :4.2 伸度(%) :65 初期モジュラス(Kg/mm 2 ) :250 沸水収縮率(%) :3.0 染色バラツキσ(%) :0.47 得られたナイロン66マルチフィラメント50d/96
f(丸断面)を2本用い、下記の流体噴射処理条件で嵩
高糸を得た。
【0038】 加工速度 300m/分 流体噴射圧力 7.5kg/cm2 ノズル Hema jet TE−312K オーバーフィード率 15% 給糸方法 2本同時給糸 得られた嵩高糸の毛羽分布のループ個数を光電型毛羽測
定機で測定すると糸表面より0.35mm以上突出した
ループ個数が150個/m、0.6mm以上突出したル
ープ個数が50個/mであった。
【0039】次に、経糸として上記嵩高糸を116本/
インチで用い、緯糸として上記加工糸を92本/インチ
で用い平織物を製織し以下の染色仕上げ加工を行なっ
た。 リラックス精練 60℃×30分 染色 Alizaline Light Blue 4GL,3%owf 100℃×40分 生地仕上り密度は経が120本/インチ、緯が95本/
インチであった。
【0040】
【実施例2】経糸は実施例で得られた嵩高糸を用い、
緯糸にナイロン66マルチフィラメント50d/96f
の引揃え双糸を用い、実施例と同様の織設計で平織物
を製織し、同様の方法で染色仕上げ加工を行った。仕上
りの織密度は経が120本/インチ、緯が95本/イン
チであった。
【0041】
【実施例3】緯糸は実施例と同様の嵩高糸を用い、経
糸にナイロン66マルチフィラメント50d/96fの
引揃え双糸を用い、実施例と同様の織設計で平織物を
製織し、同様の方法で染色仕上げ加工を行った。仕上り
の織密度は経が120本/インチ、緯が95本/インチ
であった。
【0042】
【比較例1】経糸、緯糸とも50d/96fの引揃え双
糸とし実施例と同様の織設計で平織物を製織し、同様
の方法で染色仕上げ加工を行った。仕上りの織密度は経
が120本/インチ、緯が95本/インチであった。
施例1〜3及び比較例1の平織物についての風合を表1
に示す。表1に示すように、ソフト風合は実施例1〜3
及び比較例3で得られたものにあるが、超長綿風合のも
のは嵩高糸を経糸、緯糸の両方使用又は経糸あるいは緯
のみ使用にした場合に限られる。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明のナイロン66フィラメント編織
物及びナイロン66フィラメント編織物を仕上加工した
ものは発色性が良く、風合も柔軟でしなやかなタッチ
超長綿風合をもったものであり、アウターウェア、手
袋、靴、鞄等の幅広い分野にその効果を発揮できる。ま
た、本発明の製造方法により、染色加工工程で従来の極
細繊維と比較して染料の使用量が大幅に減少し、生産コ
ストが削減できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるナイロン66フィラメント、従
来の紡速で紡糸し延伸したナイロン66フィラメントの
tanδ−T曲線を模式的に示したグラフである。
【符号の説明】
A─本発明に用いるナイロン66フィラメント B─従来の紡速で紡糸し延伸したナイロン66フィラメ
ント
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D03D 15/00 D01F 6/60 D04B 1/16 D04B 21/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナイロン66編織物において、上記ナイ
    ロン66がマルチフィラメントであって、繊維の初期モ
    ジュラスが210〜350kg/mm2 、力学的損失正
    接(tanδ)のピーク高さ(tanδ)max とピーク
    温度(Tmax〔℃〕)がTmax+320(tanδ)max
    ≦132であり、かつ、単糸デニールが0.1〜 0.
    8デニールであり、流体噴射加工された、ループ毛羽を
    有する嵩高糸であることを特徴とするナイロン66編織
    物。
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