JP3180246B2 - 鉄筋コンクリート構造物の構築方法および構築部材 - Google Patents

鉄筋コンクリート構造物の構築方法および構築部材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、壁に構造スリット
を持つ鉄筋コンクリート構造物の構築方法に関するもの
である。
【0002】従来、鉄筋コンクリート構造物としての建
物を構築するに際し、地震時などに生ずる変位を吸収す
る目的で、図12に示すようにその建物を構成する鉄筋コ
ンクリートの壁22に構造的なスリット21を配設するいわ
ゆる“スリットウォール”として構成することがある。
図中30は柱、31は梁を示す。
【0003】このスリットウォールの製作は、図13に示
すように外壁コンクリート打設時に、その壁型枠23ある
いはPC壁板型枠内のスリット設置部分にコンクリート
24を遮るための金具25あるいは木材などを取り付けて縁
切りし、次に前記壁型枠23あるいはPC壁板型枠の中に
コンクリート24を打設する方法や、図14に示すようにス
リット位置に目地26を入れておき、壁型枠23の脱型後に
カッターを入れてスリット部分のコンクリートを斫る方
法がある。
【0004】また、PCF板(プレキャストコンクリー
ト型枠板)27を使用する場合はこのPCF板27を設置し
てコンクリート打設の型枠を形成してから図15に示すよ
うにスリット位置を金物等のパッカー28等で縁切りして
コンクリートを打設する方法もある。
【0005】さらに、図16に示すように壁を構成するP
C板29をあらかじめ製作し、それを前記スリットの位置
において所定の幅を確保して取り付ける方法もある。
【0006】また、このようなスリットウォールの施工
に係わらず、一般的に鉄筋コンクリート建物において外
壁の構築にPCF板を使用する場合にも、既に構築され
た既設最上階の上にこれから構築される新設階の外壁と
なるPCF板を建て起こし、転倒防止のために押引きサ
ポートなどの支保工を用いて固定する必要が生じる。
【0007】そしてPCF板の高さが所定値を超えると
きには既製の押引きサポートなどではPCF板の上端部
を支えるには支保工の長さが不足するためにPCF板上
部を支持することができないので、PCF板上部を仮設
の鉄骨など堅固な支持材で固定し、新設階の壁あるいは
梁床などのコンクリートを打設し一定期間の経過時にP
CF板を支持している仮設鉄骨などの支持材を取り外す
などの方法が一般的である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記図12〜図
15に示すように壁を構築する際に、その壁型枠あるいは
PC壁板型枠内のスリット設置部分にコンクリートを遮
るための木材あるいは金具などを取り付ける方法では、
これら壁型枠あるいはPC壁板型枠内に取り付けた木材
あるいは金具などが、コンクリートを打設する際に移動
するおそれがありスリットの位置精度を確保するのが難
しい。特に、図15の場合にはノロ漏れのおそれがあり、
柱30が在来工法になって施工の合理化ができない。
【0009】また、図16に示すように壁を構成するPC
板29をスリットの位置において所定の幅を確保して取り
付ける方法では、PCの柱30との脇にスリットができて
しまうため意匠上の問題がある。
【0010】さらに、スリットウォールの施工に係わら
ず一般的に鉄筋コンクリート建物において外壁の構築に
PCF板を使用する場合については、PCF板の上端部
に鉄骨などの支持材を取り付ける作業及びPCF板の上
端部から取り外す作業は重量物を扱う作業であるため、
また高所での作業であるために危険を伴うことが多い。
そして、支持材をPCF板の上端部から取り外す作業は
既に構築された既設階の中で行われることから、限られ
た作業空間において大きな資材を扱うことを強いられる
ので、極めて面倒である。
【0011】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消
し、建物を構成する鉄筋コンクリートの壁に構造的なス
リットを配設するのに、スリット位置精度を簡単に確保
でき、また、このようなスリットが設置された壁を迅速
かつ安全に構築することができ、さらに、スリットウォ
ールの施工に係わらず一般的に鉄筋コンクリート建物に
おいて外壁にPCF板を使用する場合についても、PC
F板上端の支持材を取り付ける作業及び取り外す作業の
遂行が安全になる、あるいは支持材の簡素化が可能な鉄
筋コンクリート構造物の構築方法および構築部材を提供
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、第1に、すでに構築された既設階の柱の上端
部に、これから構築される新設階の柱とその柱に付随す
る壁のうち、柱近傍の壁部分を一体として製作したもの
として、壁部を袖壁付PC柱の袖壁部分として柱部の面
外側に左右に張り出すように取り付け、この壁部上部は
柱部の上端よりも上に突出し、また、下端は柱部の下部
よりも短く、壁部の内側面は柱部の上端から水平方向お
よび垂直上方向に凹部を形成し、この凹部内からは壁補
強筋を突出させた袖壁付PC柱を立設し、この袖壁付P
C柱の間に、その柱に付随する壁のうち柱近傍の壁部分
以外の部分を構成するPC壁板を立設し、このPC壁板
を袖壁付PC柱に一体化した壁にファスナーを用いて固
定し、PC壁板と袖壁付PC柱に一体化した壁との間、
または、PC壁板相互の間にはスリットを確保するこ
と、第2に、PC壁板は複数枚を立設し、その相互をフ
ァスナーを用いて固定すること、第3に、袖壁付PC柱
に一体化した壁および柱に付随する壁のうち柱近傍の壁
部分以外の部分を構成するPC壁板はこれをPCF板と
し、ファスナーは本設もしくは仮設のファスナーである
ことを要旨とするものである。
【0013】また、鉄筋コンクリート構造物の構築部材
としては、第1に、すでに構築された既設階の柱の上端
部に立設するこれから構築される新設階の柱部材であ
り、その柱に付随する壁のうち、柱近傍の壁部分を一体
として製作して袖壁付PC柱として、壁部を袖壁付PC
柱の袖壁部分として柱部の面外側に左右に張り出すよう
に取り付け、この壁部上部は柱部の上端よりも上に突出
し、また、下端は柱部の下部よりも短く、壁部の内側面
は柱部の上端から水平方向および垂直上方向に凹部を形
成し、この凹部内からは新設階のはりのコンクリートと
の一体を図る壁補強筋を突出させたこと、第2に、柱部
材は中に配筋された主筋の上端部を所定長さ突出して、
この柱部材の上に連続して構築される新設階の柱部材の
主筋と連結される複数本の鉄筋継手を形成したことを要
旨とするものである。
【0014】請求項1〜3記載の本発明によれば、壁に
構造スリットを持つ鉄筋コンクリート構造物を構築する
のに、すでに構築された既設階の柱の上端部に、これか
ら構築される新設階の柱と、その柱に付随する壁のう
ち、柱から最初のスリットまでの部分を一体として製作
した袖壁付PC柱を立設し、この袖壁付PC柱の間に、
その柱に付随する壁のうち袖壁付PC柱と一体化された
部分以外のPC壁板を立設し、この袖壁付PC柱にファ
スナーを用いて固定することによって壁の構造スリット
を設置するので、スリット位置精度の平易な確保、及び
スリットが設置された壁の安全な構築が可能になる。
【0015】請求項3記載の本発明によれば、既に構築
された既設階の柱の上端部にこれから構築される新設階
の柱と、その柱に付随する壁のうち柱から最初のPCF
板の継ぎ目までの部分をPCF板により柱と一体として
製作した袖壁付PC柱を立設し、この壁付PC柱の間
に、その柱に付随する壁のうち袖壁付PC柱と一体化さ
れた部分以外の壁を構成するPCF壁1枚あるいは複数
枚を立設し、この袖壁付PC柱に本設もしくは仮設のフ
ァスナーを用いて固定するので、PCF板上端の支持材
を取り付ける作業及び取り外す作業の遂行が安全にな
り、あるいは支持材が簡素化される。
【0016】請求項4および請求項5記載の本発明によ
れば、すでに構築された既設階の柱の上端部に立設する
柱はPC柱であり、その柱に付随する壁のうち、柱近傍
の壁部分を一体として製作した袖壁付PC柱としたの
で、この袖壁付PC柱を立設し、その間に、その柱に付
随する壁のうち袖壁付PC柱と一体化された部分以外の
PC壁板を立設し、ファスナーを用いて固定することに
よって簡単に壁が形成でき、また、構造スリットを設置
することが可能となる。また、柱部材は上端部から突出
した複数本の鉄筋継手で、新設階の柱部材の主筋と連結
を簡単に行なうことができる。
【0017】本発明の構築方法を用いた場合、さらに、
該袖壁付PC柱の間に新設階のはりを構築するはり型枠
を架け渡すとともに、このはり型枠間に新設階の床型
枠、あるいは床スラブの一部となるPC床型枠を架け渡
し、新設階のはり補強筋と床補強筋を設置し、次に前記
はり型枠の中及び床型枠の上にコンクリートを打設して
建物を構築し、一定期間の後に仮固定したファスナーを
取り外すことになるが、請求項3記載の本発明の構築部
材によれば、壁補強筋を袖壁付PC柱の壁部から突出さ
せることで、簡単に壁部と新設階のはりのコンクリート
との一体を図ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面について本発明の実施
の形態を詳細に説明する。図1〜図5は鉄筋コンクリー
ト構造物の構築方法の施工手順を示す斜視図である。
【0019】先に本発明で使用する構築部材について説
明すると、図8〜図10は鉄筋コンクリートにて構築され
た袖壁付PC柱8の一例を示し、これは、構築された既
設階の柱の上端部に立設するものとして、柱部1に対し
て付随する壁のうち、柱近傍の壁部2の部分を工場にお
いて一体のものとして製作した。
【0020】この壁部2は袖壁付PC柱8の袖壁部分で
あり、柱部1の面外側に左右に張り出すように取り付け
られ、壁部2の上部は柱部1の上端よりも上に突出し、
また、下端は柱部1の下部よりも短い。この壁部2の外
側面には建物の外装材としてあらかじめ工場における製
作時にタイル34を埋め込んだ。
【0021】柱部1の上端からはこの柱部1の上に連続
して構築される新設階の柱の主筋と連結される複数本の
鉄筋継手3を突設した。この鉄筋継手3は柱部1のコン
クリート中に配筋された主筋の上端部を所定長さ突出し
て形成する。また、柱部1の下端面にはこの柱部1の下
に既に構築された既設階の柱主筋の鉄筋継手と柱部lの
柱主筋を連結するためのスリーブ4を埋設した。
【0022】壁部2の内側面は柱部1の上端から水平方
向および垂直上方向に凹部2aを形成し、この凹部2a
内からは壁補強筋5を突出させた。この壁補強筋5は新
設階のはりのコンクリートと壁部2を一体のものとする
ためのものである。
【0023】次にこのような袖壁付PC柱8を用いて行
う本発明の鉄筋コンクリート構造物の構築方法について
説明する。
【0024】最初に、既に構築された既設最上階の床上
に、この上に立設される前記袖壁付PC柱8および通常
のPC柱9(図4参照)の位置を決める墨出しを行う。
【0025】次に図2に示すように一定期間の経過時に
袖壁付PC柱8やPC柱9の下端部のスリーブ4内に充
填されたグラウト材の強度を確認した後に、クレーン33
で袖壁付PC柱8及びPC柱9を吊り上げ、墨出し位置
に合わせて立て付けるとともに、既に構築された既設階
の床上に突出した鉄筋継手3を袖壁付PC柱8及びPC
柱9の下端部に埋設されたスリーブ4に挿入し、鉄筋継
手3と袖壁付PC柱8及びPC柱9内の主筋を一体的に
連結する。図中7は既設階の袖壁付PC柱及びPC壁板
の上端で、床上に突出したものであり、その高さは新設
階における壁の水平スリットの高さとなっている。ま
た、10は袖壁付PC柱8及びPC柱9の転倒防止と位置
精度微調整を目的として取り付けられる支保工であり、
押引きサポートなどが使用されている。
【0026】図3に示すように、クレーン33でPC壁板
11を吊り上げ、隣接する袖壁付PC柱8の間に立て付
け、PC壁板11と袖壁付PC柱8及び既設階の袖壁付P
C柱及びPC壁板の上端7のうちPC壁板との間隔を所
定の大きさに調整した後に、支保工13とファスナー14で
固定する。PC壁板11は新設階の袖壁付PC柱8間に渡
されるものとして、取付の際にその両側の柱の袖壁、あ
るいは既設階の床上に突出したPC板との問隔を所定長
さ開けることにより、変位吸収を目的とした構造スリッ
トを設置ならしめる。また、このPC壁板11には前記壁
部2と同様に内側面に凹部11aを形成し、この凹部11a
内からは前記壁補強筋5と同様の目的で設けられた壁補
強筋12を突出させた。
【0027】図3中13はPC壁板11のPC板の倒れ防止
と位置精度の微調整を目的とした支保工であり、押引き
サポートなどが使用されている。前記ファスナー14は袖
壁付PC柱8とPC壁板11を固定する、本設及び仮設の
ものであり、板間のスリット幅を一定に保持すること、
及びPC壁板11の階高が高いためにその支保工13の長さ
が入手しやすい既製品では足りない場合に、倒れ止めと
なって、PC壁板11が面方向に受ける力を、堅固に保持
された袖壁付PC柱8に伝えることを目的としている。
また、図中15はファスナー14を固定する作業などを行う
ための高所作業車である。
【0028】前記PC壁板11はこれが複数枚ある場合に
は、クレーン33でPC壁板11を吊り上げ、隣接する袖壁
付PC柱8あるいはPC壁板11の隣に立て付け、高所作
業車15に乗った作業員が支保工13とファスナー14で固定
する作業を繰り返す。
【0029】さらに、PC壁板11や壁部2がPCF板で
ある場合もある。
【0030】図4に示すように、袖壁付PC柱8及びP
C柱9の間にはり型枠16を架け渡すとともに、はり型枠
16の下にこのはり型枠16を支持する支保工17を立設して
支持する。また、新設階の床型枠18をはり型枠16の間に
架け渡すとともに床型枠18の下に支保工を立設して支持
する。
【0031】図5に示すように、はり型枠16内に新設階
のはり補強鉄筋19を架け渡し、新設階の床補強鉄筋20を
敷き込み、はり型枠16内及び床型枠18上にコンクリート
を打設する。そして、一定期間の後に、ファスナー14の
内で仮固定のものを取り外す。図11にこのようにして施
工した鉄筋コンクリート構造物の要部を示すが、袖壁付
PC柱8の壁部2とPC壁板11間にはスリット21が精度
よく確保できる。
【0032】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の鉄筋コンク
リート構造物の構築方法および構築部材は、建物を構成
する鉄筋コンクリートの壁に構造的なスリットを配設す
るのにスリット位置精度を簡単に確保でき、また、この
ようなスリットが設置された壁を迅速かつ安全に構築す
ることができ、さらに、スリットウォールの施工に係わ
らず一般的に鉄筋コンクリート建物において外壁にPC
F板を使用する場合についても、PCF板上端の支持材
を取り付ける作業及び取り外す作業の遂行が安全にな
る、あるいは支持材の簡素化が可能なものである。これ
に加えて壁補強筋を袖壁付PC柱の壁部から突出させる
ことで、簡単に壁部と新設階のはりのコンクリートとの
一体を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鉄筋コンクリート構造物の構築方法の
1実施形態を示す第1段階工程の斜視図である。
【図2】本発明の鉄筋コンクリート構造物の構築方法の
1実施形態を示す第2段階工程の斜視図である。
【図3】本発明の鉄筋コンクリート構造物の構築方法の
1実施形態を示す第3段階工程の斜視図である。
【図4】本発明の鉄筋コンクリート構造物の構築方法の
1実施形態を示す第4段階工程の斜視図である。
【図5】本発明の鉄筋コンクリート構造物の構築方法の
1実施形態を示す第5段階工程の斜視図である。
【図6】本発明の鉄筋コンクリート構造物の構築部材で
ある袖壁付PC柱の背面図である。
【図7】本発明の鉄筋コンクリート構造物の構築部材で
ある袖壁付PC柱の側面図である。
【図8】本発明の鉄筋コンクリート構造物の構築部材で
ある袖壁付PC柱の平面図である。
【図9】本発明の鉄筋コンクリート構造物の構築部材で
ある袖壁付PC柱の底面図である。
【図10】本発明の鉄筋コンクリート構造物の構築部材
である袖壁付PC柱の正面図である。
【図11】本発明の構築方法で施工した鉄筋コンクリー
ト構造物の要部の平面図である。
【図12】壁に構造スリットを持つ鉄筋コンクリート構
造物の説明図である。
【図13】構造スリットの設け方の従来例の第1例を示
す平面図である。
【図14】構造スリットの設け方の従来例の第2例を示
す平面図である。
【図15】構造スリットの設け方の従来例の第3例を示
す平面図である。
【図16】構造スリットの設け方の従来例の第4例を示
す平面図である。
【符号の説明】
1…柱部 2…壁部 2a…凹部 3…鉄筋継手 4…スリーブ 5…壁補強筋 7…既設階の袖壁付PC柱及びPC壁板の上端 8…袖壁付PC柱 9…PC柱 10…支保工 11…PC壁板 11a…凹部 12…壁補強筋 13…支保工 14…ファスナー 15…高所作業車 16…はり型枠 17…はり型枠の
支保工 18…床型枠 19…はり補強鉄
筋 20…床補強鉄筋 21…スリット 22…壁 23…壁型枠 24…コンクリート 25…金具 26…目地 27…PCF板 28…パッカー 29…PC板 30…柱 31…梁 32…ファスナー 33…クレーン 34…タイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸山 尭雄 神奈川県横浜市中区太田町四丁目51番地 鹿島建設株式会社 横浜支店内 (72)発明者 眞山 喜平 神奈川県横浜市中区太田町四丁目51番地 鹿島建設株式会社 横浜支店内 (72)発明者 高橋 弘文 神奈川県横浜市中区太田町四丁目51番地 鹿島建設株式会社 横浜支店内 (56)参考文献 特開 平5−59775(JP,A) 実開 平2−128743(JP,U) 特公 昭47−4671(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 1/16 E04B 1/04 E04G 21/14 E04B 2/56

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 すでに構築された既設階の柱の上端部
    に、これから構築される新設階の柱とその柱に付随する
    壁のうち、柱近傍の壁部分を一体として製作したものと
    して、壁部を袖壁付PC柱の袖壁部分として柱部の面外
    側に左右に張り出すように取り付け、この壁部上部は柱
    部の上端よりも上に突出し、また、下端は柱部の下部よ
    りも短く、壁部の内側面は柱部の上端から水平方向およ
    び垂直上方向に凹部を形成し、この凹部内からは壁補強
    筋を突出させた袖壁付PC柱を立設し、この袖壁付PC
    柱の間に、その柱に付随する壁のうち柱近傍の壁部分以
    外の部分を構成するPC壁板を立設し、このPC壁板を
    袖壁付PC柱に一体化した壁にファスナーを用いて固定
    し、PC壁板と袖壁付PC柱に一体化した壁との間、ま
    たは、PC壁板相互の間にはスリットを確保することを
    特徴とする鉄筋コンクリート構造物の構築方法。
  2. 【請求項2】 PC壁板は複数枚を立設し、その相互を
    ファスナーを用いて固定する請求項1記載の鉄筋コンク
    リート構造物の構築方法。
  3. 【請求項3】 袖壁付PC柱に一体化した壁および柱に
    付随する壁のうち柱近傍の壁部分以外の部分を構成する
    PC壁板はこれをPCF板とし、ファスナーは本設もし
    くは仮設のファスナーである請求項1または請求項2に
    記載の鉄筋コンクリート構造物の構築方法。
  4. 【請求項4】 すでに構築された既設階の柱の上端部に
    立設するこれから構築される新設階の柱部材であり、そ
    の柱に付随する壁のうち、柱近傍の壁部分を一体として
    製作して袖壁付PC柱として、壁部を袖壁付PC柱の袖
    壁部分として柱部の面外側に左右に張り出すように取り
    付け、この壁部上部は柱部の上端よりも上に突出し、ま
    た、下端は柱部の下部よりも短く、壁部の内側面は柱部
    の上端から水平方向および垂直上方向に凹部を形成し、
    この凹部内からは新設階のはりのコンクリートとの一体
    を図る壁補強筋を突出させたことを特徴とする鉄筋コン
    クリート構造物の構築部材。
  5. 【請求項5】 柱部材は中に配筋された主筋の上端部を
    所定長さ突出して、この柱部材の上に連続して構築され
    る新設階の柱部材の主筋と連結される複数本の鉄筋継手
    を形成した請求項4記載の鉄筋コンクリート構造物の構
    築部材。
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