JP3159234B2 - 水性シリコーン変性アクリレート重合体エマルジョン - Google Patents

水性シリコーン変性アクリレート重合体エマルジョン

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JP3159234B2
JP3159234B2 JP23864194A JP23864194A JP3159234B2 JP 3159234 B2 JP3159234 B2 JP 3159234B2 JP 23864194 A JP23864194 A JP 23864194A JP 23864194 A JP23864194 A JP 23864194A JP 3159234 B2 JP3159234 B2 JP 3159234B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、撥水性、耐水性、耐候
性、顔料分散性、光沢保持性、耐汚染性、密着性に優れ
た皮膜を形成し得る水性シリコーン変性アクリレート重
合体エマルジョンに関するものである。さらに詳しく
は、本発明は、5重量%以上の量のアクリル酸または、
メタクリル酸の炭素数5〜12のシクロアルキルエステ
ル、或いはそれらの混合物を含む特定のアクリレート単
量体と該アクリレート単量体と共重合可能なコモノマー
とを夫々90重量%〜100重量%及び0重量%〜10
重量%で含む単量体系(A)を、スルホン酸基又はスル
ホネート基を有するエチレン性不飽和単量体、硫酸エス
テル基を有するエチレン性不飽和単量体、及びそれらの
混合物よりなる群から選ばれる乳化剤(B)の存在下、
水性媒体中において乳化重合に付すことにより得られる
アクリレート重合体エマルジョンであって、該乳化重合
中か又は該乳化重合後に、シリコーン構造を有する特定
の変性剤(C)を用いてシリコーン変性されてなる水性
シリコーン変性アクリレート重合体エマルジョンに関す
る。本発明の水性シリコーン変性アクリレート重合体エ
マルジョンは、塗料、建材の下地処理材又は仕上げ材、
接着剤、感圧性粘着剤、紙加工剤、又は編織布の仕上げ
剤として有用であり、特に塗料用、建材の仕上げ材とし
て有用である。
【0002】
【従来の技術】水性塗料用の樹脂として乳化重合より得
られる水性アクリレート重合体エマルジョンは常温ある
いは加熱乾燥下で成膜し、比較的耐久性の良好な皮膜を
形成することから多く用いられている。しかし、屋外や
紫外線に曝露された場合、アクリレート重合体エマルジ
ョンまたはアクリレート重合体エマルジョンに顔料が配
合された塗料より得られた皮膜は、つやの低下が速く、
また光沢保持性も低いものであった。
【0003】上記の問題を解決するため、水性アクリレ
ート重合体エマルジョンにシリコーンを導入することに
より、例えば、紫外線、酸素、水または種々の溶剤に対
する抵抗性を高め、耐久性を改善することが知られてい
る。先行技術としてカナダ国特許第842947号、米
国特許第3706697号明細書、特開平3−2552
73号公報および特開平6−122734号公報に開示
のエマルジョンがあるが、これらのエマルジョンより得
られる皮膜は耐水性に劣る。これは、用いられている乳
化剤が、水性アクリレート重合体エマルジョンのエマル
ジョン粒子に対する反応性がないため、エマルジョン粒
子に吸着しているだけなので、エマルジョン粒子中への
水の侵入を招きやすいためである。
【0004】ヨーロッパ特許第401496号では、ス
ルホン酸基を有するエチレン性不飽和単量体が用いられ
ているが、アクリル酸エステルとほぼ同量の多量のスチ
レンを使うため紫外線に曝露されると変色してしまい、
更に耐候性に劣るという欠点がある。また米国特許第5
214095号明細書では、エチレン性不飽和単量体と
加水分解性シランとを水性媒体中での乳化重合反応系へ
同時に導入するため、生成する水性エマルジョンの分散
安定性が悪いという問題があった。この水性エマルジョ
ンに安定性改良剤として分散剤、乳化剤を添加しても、
成膜助剤や無機顔料を混和する場合、水性エマルジョン
が凝集するか、あるいは凝集せずに混和できても光沢に
優れる皮膜を得ることができなかった。また安定性改良
剤を多く必要とするため、耐水性の良い皮膜は得られな
かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の水
性アクリレート重合体エマルジョンは耐水性や耐候性に
劣り、又、この水性エマルジョンに顔料が配合されたも
のから得られる皮膜は、塗装直後でもつやにおいて不満
足なものであり、さらに長期にわたり曝露されると、と
くに紫外線に曝露されるとそのつやはますます低下して
しまうという問題があった。更に、最近の当業界の要求
特性はますます厳しいものとなってきており、より一層
の改良が求められている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ア
クリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びそれらの
混合物からなる群から選ばれるアクリレート単量体を含
特定のアクリレート単量体と該アクリレート単量体と
共重合可能なコモノマーとを夫々90重量%〜100重
量%及び0重量%〜10重量%で含む単量体系(A)
を、スルホン酸基又はスルホネート基を有するエチレン
性不飽和単量体、硫酸エステル基を有するエチレン性不
飽和単量体、及びそれらの混合物よりなる群から選ばれ
る乳化剤(B)の存在下で、水性媒体中において乳化重
合に付すことにより得られる水性アクリレート重合体エ
マルジョンであって、該乳化重合中か、又は該乳化重合
後に、(式[I] 、[II]を示すシランを規定するR基を仮
にアルキル基と総称した場合に、)式[I] のモノアルキ
ルトリアルコキシシランと、環状シラン及び/又は式[I
I]のジアルキルジアルコキシシランとの組合せの2種の
シランからなる特定のシリコーン構造を有する変性剤
(C)を用いてシリコーン変性されてなる水性シリコー
ン変性アクリレート重合体エマルジョンが、意外にも、
耐水性に優れ、且つ長期にわたってつやを保持できる皮
膜を与えることを知見し、上記の知見に基づいて本発明
を完成するに至ったものである。
【0007】従って、本発明の一つの目的は、撥水性、
耐水性、耐候性、顔料分散性、光沢保持性、耐汚染性、
密着性に優れた皮膜を形成し得る新規な水性シリコーン
変性アクリレート重合体エマルジョンを提供することに
ある。
【0008】即ち、本発明は、基本的に、単量体系
(A)を、乳化剤(B)の存在下、水性媒体中において
乳化重合に付すことにより得られるアクリレート重合体
エマルジョンであり、該乳化重合中か又は該乳化重合後
に、シリコーン構造を有する変性剤(C)を用いてシリ
コーン変性されてなる水性シリコーン変性アクリレート
重合体エマルジョンであって、 (i) 該単量体系(A)が、アクリル酸エステル、メタ
クリル酸エステル及びそれらの混合物よりなる群から選
ばれるアクリレート単量体、及び更にアクリルアミド単
量体、メタクリルアミド単量体、ビニル単量体、カルボ
ン酸基を有するエチレン性不飽和単量体、シアン化ビニ
ル、芳香族ビニル単量体、ハロゲン化ビニル、ブタジエ
ン及びエチレンからなる群から選ばれる、該アクリレー
ト単量体と共重合可能な少なくとも1種のコモノマーを
含み、該アクリレート単量体及び該コモノマーの合計重
量に対して、該アクリレート単量体の量及び該コモノマ
ーの量が、それぞれ90重量%〜100重量%及び0重
量%〜10重量%であり、且つ該アクリレ−ト単量体
が、該単量体系(A)の重量に対して5重量%以上の量
の、アクリル酸または、メタクリル酸の炭素数5〜12
のシクロアルキルエステル、或いはそれらの混合物を含
ものであり、 (ii) 該乳化剤(B)が、スルホン酸基又はスルホネー
ト基を有するエチレン性不飽和単量体、硫酸エステル基
を有するエチレン性不飽和単量体、及びそれらの混合物
よりなる群から選ばれ、 (iii) 該シリコーン構造を有する変性剤(C)が、式
[I] : R1-Si-(R23 ・・・[I] (式中、R1 は水素原子、炭素数1〜16の脂肪族炭化
水素基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数5〜6の
シクロアルキル基、ビニル基、炭素数1〜10のアクリ
ル酸アルキル基、または炭素数1〜10のメタクリル酸
アルキル基であり、各R2 はそれぞれ、独立して、炭素
数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、または水酸基
である)で表される、シリコーン構造を有するシラン
[I] からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、更
に環状シラン、及び式[II]: (R32 -Si-(R42 ・・・[II] (式中、各R3 はそれぞれ、独立して、水素原子、炭素
数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリ
ール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、ビニル基、
炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基又は炭素数1〜
10のメタクリル酸アルキル基であり、各R4 はそれぞ
れ、独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキ
シ基又はヒドロキシル基である)で表されるシラン[II]
からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、且つ該
シラン[I] の、上記環状シラン及びシラン[II]からなる
群より選ばれる少なくとも1種に対するモル比が少なく
とも10/100であ、 (iv) しかも、単量体系(A)と乳化剤(B)の合計重
量に対して、該単量体系(A)及び該乳化剤(B)を、
それぞれ80〜99. 95重量%及び0. 05〜20重
量%用い、又、上記のシリコーン構造を有する変性剤
(C)を下記の式(a)
【数3】 式中、(A)、(B)及び(C)は、(A)、(B)
及び(C)の合計重量に対する、単量体系(A)、乳化
剤(B)及び変性剤(C)のそれぞれの重量%であ
る。]で表わされる関係を満足する量用いることを特徴
とする、水性シリコーン変性アクリレート重合体エマル
ジョンを提供する。
【0009】
【0010】本発明の水性シリコーン変性アクリレート
重合体エマルジョンにおいては、単量体系(A)と乳化
剤(B)の合計重量に対して、該単量体系(A)を80
〜99. 95重量%、好ましくは90〜99.9重量%
用い、該乳化剤(B)を、0. 05〜20重量%、好ま
しくは0.1〜10重量%用いることが必要である
に、上記のシリコーン構造を有する変性剤(C)を下記
の式(a):
【数4】 〔式中、(A)、(B)及び(C)、(A)、(B)及
び(C)の合計重量に対する、単量体系(A) 、乳化剤
(B)及び変性剤(C)のそれぞれの重量%である。〕
で表わされる関係を満足する量用いることが必要であ
。また、該単量体系(A)、該乳化剤(B)及び該変
性剤(C)の合計重量の、該水性媒体の重量に対する比
は75/25以下であることが好ましく、30/70〜
70/30であることが更に好ましい。
【0011】本発明において、単量体系(A)は、アク
リル酸エステル、メタクリル酸エステル、及びそれらの
混合物よりなる群から選ばれるアクリレート単量体を含
、更にアクリルアミド単量体、メタクリルアミド単量
体、ビニル単量体、及びカルボン酸基を有するエチレン
性不飽和単量体、シアン化ビニル、芳香族ビニル単量
体、ハロゲン化ビニル、ブタジエン及びエチレンからな
る群から選ばれる、該アクリレート単量体と共重合可能
な少なくとも1種のコモノマーを含むことができ、該ア
クリレート単量体及び該コモノマーの合計重量に対して
該アクリレート単量体の量及び該コモノマーの量が、そ
れぞれ90重量%〜100重量%及び0重量%〜10重
量%であることが必要である。しかも、該アクリレート
単量体が、該単量体の重量に対して5重量%以上の量
の、アクリル酸または、メタクリル酸の炭素数5〜12
のシクロアルキルエステル、或いはそれらの混合物を含
むことが必要である。
【0012】本発明において、単量体系(A)に含まれ
るアクリレート単量体として用いることのできる(メ
タ)アクリル酸エステルの例としては、アルキル部の炭
素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル
酸ヒドロキシアルキルエステル、エチレンオキサイド基
の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンモノ(メ
タ)アクリレート、プロピレンオキサイド基の数が1〜
100個の(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリ
レート、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の
(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート等が挙
げられる。
【0013】(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具
体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メ
タ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エ
チルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げら
れる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル
の具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ
エチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等
が挙げられる。
【0014】(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アク
リレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸エチレ
ングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレング
リコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、
メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、
(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、メトキ
シ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙
げられる。
【0015】(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)ア
クリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸プロ
ピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸プロピ
レングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリ
コール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリ
コール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコー
ル、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリ
コール等が挙げられる。
【0016】又、(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)ア
クリレートの具体例としては、ジ(メタ)アクリル酸エ
チレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレング
リコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコー
ル、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等
が挙げられる。また、上記以外の具体例としては、(メ
タ)アクリル酸グリシジル、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0017】又、本発明において、単量体系(A) は、上
アクリレート単量体、及び更にアクリルアミド単量
体、メタクリルアミド単量体、ビニル単量体、カルボン
酸基を有するエチレン性不飽和単量体、シアン化ビニ
ル、芳香族ビニル単量体、ハロゲン化ビニル、ブタジエ
ン及びエチレンからなる群から選ばれる、該アクリレー
ト単量体と共重合可能な少なくとも1種のコモノマーを
含むことができる該アクリレート単量体と共重合可能
な少なくとも1種のコモノマーは、該カルボン酸基を有
するエチレン性不飽和単量体であることが更に好まし
、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸及びその半
エステル、フマル酸及びその半エステル、並びにマレイ
ン酸及びその半エステルからなる群から選ばれる少なく
とも1種であることが特に好ましい。これらカルボン酸
基を持つエチレン性不飽和単量体類は、加水分解性シラ
ンの加水分解反応および縮合反応を促進させるための触
媒としても作用するので好ましい。
【0018】また、単量体系(A)が含むことのできる
アクリレート単量体と共重合可能なコモノマーの例とし
ては上記カルボン酸基を有するエチレン性不飽和単量体
の他にアクリルアミド単量体及びメタクリルアミド単
量体としては(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アク
リルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミ
ド等が挙げられ、ビニル系単量体としては酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ビニルピ
ロリドン、メチルビニルケトン等が挙げられ、又、シア
ン化ビニルとしてはアクリロニトリル、メタクリロニト
リル等が挙げられる更に、ビニルトルエン、スチレ
ン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体塩化
ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニルブタジ
エン、エチレン等が挙げられる。
【0019】また、本発明においては、該単量体系
(A)に含まれる該アクリレート単量体が、該単量体系
(A)の重量に対して5重量%以上の量の、アクリル酸
またはメタクリル酸の炭素数5〜12のシクロアルキル
エステル、或いはそれらの混合物を含んでいることが
要である炭素数5〜12の該シクロアルキルは、
炭素数1〜6のアルキル基、水酸基又はエポキシ基に置
換されているか、又は置換されていなくても良い。
【0020】本発明において、単量体系(A)に含まれ
るアクリレート単量体が該単量体系(A)の重量に対し
て5重量%以上の量の、アクリル酸またはメタクリル酸
の炭素数5〜12のシクロアルキルエステルを含んでい
ると、得られる水性シリコーン変性アクリレート重合体
ポリマーを用いて皮膜を形成した際に、その皮膜が特に
耐候性に優れるため好ましい。
【0021】シクロアルキル基を有するアクリレート単
量体の例として下記式(1):
【化1】 (式中、R1 は水素原子またはメチル基であり、R2
シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はシクロドデシ
ル基であり、これらシクロアルキル基は、炭素数が1〜
6のアルキル基、水酸基またはエポキシ基を置換基とし
て有してもよい)で表される化合物が挙げられる。
【0022】その具体例としては、(メタ)アクリル酸
シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシシ
クロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸2,3−シクロヘキセンオキサ
イド等を挙げることができる。本発明において、乳化剤
(B)としてのスルホン酸基又はスルホネート基を有す
るエチレン性不飽和単量体は、ラジカル重合性の二重結
合を有し、且つスルホン酸基、又はそのアンモニウム塩
かアルカリ金属塩である基(アンモニウムスルホネート
基、又はアルカリ金属スルホネート基)を有する化合物
であることが好ましい。
【0023】これらのうち、ラジカル重合性の二重結合
を有し、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩
またはカリウム塩である基により置換された炭素数1〜
20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル
基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基、炭素数6
または10のアリール基及びコハク酸基からなる群より
選ばれる置換基を有する化合物であるか、スルホン酸基
のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩であ
る基に結合しているビニル基を有するビニルスルホネー
ト化合物であることが更に好ましい。
【0024】該乳化剤(B)としての硫酸エステル基を
有するエチレン性不飽和単量体は、ラジカル重合性の二
重結合を有し、且つ硫酸エステル基又はそのアンモニウ
ム塩かアルカリ金属塩である基を有する化合物であるこ
とが好ましい。これらのうち、ラジカル重合性の二重結
合を有し、且つ硫酸エステル基のアンモニウム塩、ナト
リウム塩またはカリウム塩である基により置換され炭素
数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエー
テル基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基及び炭
素数6または10のアリール基からなる群より選ばれる
置換基を有する化合物であることが更に好ましい。
【0025】スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウ
ム塩又はカリウム塩である基により置換されたコハク酸
基を有する化合物の具体例として、アリルスルホコハク
酸塩、例えば、式(2) 、(3) 、(4) 、(5) で表わされる
化合物が挙げられる。
【0026】
【化2】
【0027】
【化3】
【0028】
【化4】
【0029】
【化5】
【0030】[式中、R1 は水素またはメチル基であ
り、R2 は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜2
0のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル
基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数6〜19のア
ラルキル基等の炭化水素基、又はその一部が水酸基、カ
ルボン酸基等で置換されたもの、もしくはポリオキシア
ルキレンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が
0〜20、及びアルキレン部分の炭素数が2〜4)、ポ
リオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基(アル
キル部分の炭素数が0〜20、及びアルキレン部分の炭
素数が2〜4)等のアルキレンオキサイド化合物を含む
有機基であり、Aは炭素数2〜4個のアルキレン基また
は置換されたアルキレン基であり、nは0〜200の整
数であり、Mはアンモニウム、ナトリウムまたはカリウ
ムである。]
【0031】上記化合物(2) 及び(3) を含むものとし
て、例えば、三洋化成(株)製エレミノール(商標)J
S−2があり、上記化合物(5) 及び(6) を含むものとし
て、例えば、花王(株)製ラテムル(商標)S−12
0、S−180A及びS−180がある。またスルホン
酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩で
ある基により置換された炭素数2〜4のアルキルエーテ
ル基又は炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基を有す
る化合物の例として、式(6) 、(7) で表される化合物が
挙げられる。
【0032】
【化6】 (式中、R1 は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニ
ル基又はアラルキル基であり、R2 は炭素数6〜18の
アルキル基、アルケニル基又はアラルキル基であり、R
3 は水素またはプロペニル基であり、Aは炭素数2〜4
のアルキレン基であり、nは1〜200の整数であり、
Mはアンモニウム、ナトリウム又はカリウムである)
【0033】
【化7】 (式中、R1 は水素またはメチル基であり、R2 は炭素
数8〜24のアルキル基又はアシル基であり、Aは炭素
数2〜4のアルキレン基であり、nは0〜20の整数で
あり、mは0〜50の整数であり、Mはアンモニウム、
ナトリウム又はカリウムである)
【0034】上記式(6) で表されるアルキルフェノール
エーテル系化合物として、例えば第一工業製薬(株)製
アクアロン(商標)HS−10があり、上記の式(8) で
表わされる化合物として、例えば旭電化工業(株)製ア
デカリアソープ(商標)SE−1025Nがある。
【0035】その他、スルホネート基により置換された
アリール基を有する化合物の具体例として、p−スチレ
ンスルホン酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリ
ウム塩が挙げられる。スルホネート基により置換された
アルキル基を有する化合物の具体例としてメチルプロパ
ンスルホン酸アクリルアミドのアンモニウム塩、ナトリ
ウム塩及びカリウム塩、アクリル酸スルホアルキルエス
テルのアンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩、
メタアクリル酸スルホアルキルエステルのアンモニウム
塩、ナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられる。また上
記以外のスルホネート基を有する化合物の具体例とし
て、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又は
カリウム塩である基が結合しているビニル基を有するビ
ニルスルホネート化合物が挙げられる。
【0036】又、硫酸エステル基のアンモニウム塩、ナ
トリウム塩又はカリウム塩により置換された炭素数2〜
4のアルキルエーテル基又は炭素数2〜4のポリアルキ
ルエーテル基を有する化合物の例としては、例えば上記
の式(6) と(7) で表わされる、スルホネート基により置
換されたアルキルエーテル基を有する化合物と同じもの
がある。
【0037】これらの乳化剤(B)として用いられるエ
チレン性不飽和単量体はエマルジョン中に、 (i) エマルジョン粒子にラジカル重合した共重合物と
して存在しているか、 (ii) 未反応物としてエマルジョン粒子へ吸着あるいは
エマルジョン水相中に存在しているか、又は (iii) 水溶性単量体との共重合物あるいは単量体同士
の共重合物としてエマルジョン粒子へ吸着、あるいはエ
マルジョン水相中に存在している。特に(i) の状態で存
在する比率を高めることによって、エマルジョンより得
られるフィルムの耐水性を高度なものとすることができ
る。
【0038】また乳化剤(B)として用いたエチレン性
不飽和単量体は、エマルジョンより得られるフィルムの
熱分解ガスクロマトグラム質量分析(Py−GC−M
S)、又は熱分解質量分析(Py−MS)により、同定
することができる。他の方法として、エマルジョンの水
相成分を分離した後、高速原子衝撃質量分析(FABマ
ススペクトル)によって同定することも可能である。
【0039】本発明において、シリコーン構造を有する
変性剤(C)は、下記式[1] : R1 −Si−(R2 3 ・・・・[1] (式中、R1 は水素原子、炭素数1〜16の脂肪族炭化
水素基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数5〜6の
シクロアルキル基、ビニル基、炭素数1〜10のアクリ
ル酸アルキル基、または炭素数1〜10のメタクリル酸
アルキル基であり、各R2 はそれぞれ、独立して、炭素
数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、水酸基であ
る) で表される、シリコーン構造を有するシラン[I] の
少なくとも一種を含んでいる。
【0040】ここで、「(メタ)アクリル酸アルキル
基」[(meth)acrylicalkyl gro
up]とは、(メタ)アクリル酸アルキルに由来する置
換基であって、そのアルキル部が自由結合端を有する置
換基を意味する。上記式(1)において、R1 としてはメ
チル基、フェニル基、ビニル基、γ−(メタ)アクリロ
キシプロピル基が好ましく、R2 としてはメトキシ基、
エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエト
キシ基、水酸基が好ましい。
【0041】上記式[I] で表されるシラン好ましい具
体例としては、メチルトリメトシキシシラン、フェニル
トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェ
ニルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラ
ン、ビニルエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエ
トキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシ
ラン等が挙げられる。また上記変性剤(C)が、これら
シランの一種または二種以上を含んでいても良い。
【0042】又、本発明において、該シリコーン構造を
有する変性剤(C)は、更に環状シラン及び式[II]: (R3)2-Si-(R4)2 ・・・[II] (式中、各R3 はそれぞれ、独立して、水素原子、炭素
数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリ
ール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、ビニル基、
炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基又は炭素数1〜
10のメタクリル酸アルキル基であり、各R4 はそれぞ
れ、独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキ
シ基又はヒドロキシル基である)で表されるシラン[II]
からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、且つ該
シラン[I] の、上記の環状シラン及びシラン[II]からな
る群より選ばれる少なくとも1種に対するモル比が少な
くとも10/100、好ましくは35/100以上であ
ることが必要である
【0043】上記の式[II]において、R3 としてはメチ
ル基、フェニル基がとくに好ましく、R4 としてはメト
キシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メト
キシエトキシ基、水酸基がとくに好ましい。変性剤
(C)としては、シラ[I] と共に環状シラ及び式[I
I]で表されるシラからなる群より選ばれる少なくとも
1種を含んでいることが必要である。これは、上記シラ
[II]及び環状シラン併用により、変性剤(C)が形
成するシリコーン重合体の架橋密度を低くし、重合体の
構造が複雑になるのを防ぐことができ、これによって、
水性シリコーン変性アクリレート重合体エマルジョンよ
り得られるフィルムに柔軟性を付与することができるた
めである。
【0044】また、変性剤(C)としては、分子中に加
水分解基を有する線状シロキサンを含んでも良い。該加
水分解基を有する線状シロキサンの例としては、式[II
I] 、[IV]及び[V]
【化8】
【化9】
【化10】 (式中、各R5 はそれぞれ、独立して水素、炭素数1〜
16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリール
基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、ビニル基、炭素
数1〜10のアクリル酸アルキル基又は炭素数1〜10
のメタクリル酸アルキル基であり、各R6 はそれぞれ、
独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ
基、水酸基、エポキシ基又はエチレンオキサイド基であ
り、mは1〜999の正の整数)で表わされる化合物が
挙げられる。
【0045】上記シラ[II]の具体例として、ジメチル
ジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメ
チルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、
メチルフェニルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシ
プロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。また環
状シランしては、オクタメチルシクロテトラシロキサ
ン、オクタフェニルシクロシロキサン、ヘキサメチルシ
クロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサ
ン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン
なども用いることができる。尚、環状シランについて
は、カナダ国特許第842947号を参照することがで
きる。
【0046】変性剤(C)は、上記したシラン[I]から
なる群より選ばれる少なくとも一種、環状シラ及び
シラン[II]からなる群より選ばれる少なくとも1種を必
須とし、更に子中に加水分解基を有する線状シロキサ
及び式[VI];(R 3 n −Si−(R 4 4-n ・・・[VI] (式中、各R 3 はそれぞれ、独立して、水素原子、炭素
数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリ
ール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、ビニル基、
炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基又は炭素数1〜
10のメタクリル酸アルキル基であり、各R 4 はそれぞ
れ、独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキ
シ基又はヒドロキシル基であり、nは0又は3であ
る。)で表されるシラン[VI]からなる群より選ばれる少
なくとも1種を含むことができる。 該シラン[I] の、上
記の加水分解基を有するシロキサン類及びシラン[VI]か
らなる群より選ばれる少なくとも1種に対するモル比が
10/100、好ましくは35/100以上であること
が好ましい。 上記の式[VI]において、R 3 としてはメチ
ル基、フェニル基がとくに好ましく、R 4 としてはメト
キシ基、水酸基がとくに好ましいシラン[VI]の具体例
としてはフェニルトリエトキシシラン、トリメチルメト
キシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる
に、クロロシラン、例えばメチルクロロシラン、メチル
ジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチル
クロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニル
クロロシラン、ビニルクロロシラン、γ−(メタ)アク
リロキシプロピルトリクロロシラン、γ−(メタ)アク
リロキシプロピルジクロロメチルシラン: フェニルトリエトキシシラン、トリメチルメトキシシラ
ン、テトラエトキシシランなどを含むことができる。
【0047】本発明においては、上記した変性剤(C)
を、特定の乳化剤(B)を用いる単量体系(A)の乳化
重合系に導入することにより、シランが加水分解・縮合
し、アクリレート重合体エマルジョン粒子中にシリコー
ンが形成される。これにより、エマルジョンから得られ
る皮膜について、極めて優れた耐候性及び光沢保持性が
達成される。例えば、従来のアクリル系エマルジョンへ
二酸化チタン等が配合された塗料より得られた皮膜が屋
外などに長期曝露された場合、つやの低下は速く、光沢
保持性の水準は低い。しかし、本発明の水性シリコーン
変性アクリレート重合体エマルジョンに二酸化チタン等
が配合された塗料より得られた皮膜は、屋外などに長期
曝露されても、つやが低下しにくく、光沢保持性は極め
て優れている。
【0048】上記したシラン縮合物の存在は、29SiN
MR(29Si核磁気共鳴スペクトル)、または 1HNM
R(プロトン核磁気共鳴スペクトル)によって知ること
ができる。例えば、シラン(I)の縮合物は、29SiN
MRのケミカルシフトが−40〜−80PPMにピーク
を示すことで同定することができる。また、シラン(I
II)あるいは環状シランの縮合物は29SiNMRのケ
ミカルシフトが−16〜−26PPMにピークを示すこ
とで同定することができる。本発明においては、該変性
剤(C)を上記乳化重合の系に添加して、該エマルジョ
ンのシリコーン変性を上記の乳化重合中に行うことが好
ましい。
【0049】又、本発明の好ましい1つの態様によれ
ば、該単量体系(A)が、アクリレート単量体を含み且
つ互いに同じか異なった単量体系(A1 )及び(A2
よりなり、該乳化剤(B)が、該スルホン酸基又はスル
ホネート基を有するエチレン性不飽和単量体、該硫酸エ
ステル基を有するエチレン性不飽和単量体及びそれ等の
混合物よりなる群から選ばれ且つ互いに同じか異なった
乳化剤(B1 )及び(B2 )よりなり、上記乳化重合を
ステップ(1)及びステップ(2)の順で行い、ステッ
プ(1)においては、該単量体系(A1 )を、乳化剤
(B1 )の存在下、水性媒体中において乳化重合に付す
ことにより、シードラテックスが分散してなる予備的水
性アクリレート重合体エマルジョンを得、且つステップ
(2)においては、該単量体系(A2 )及び該乳化剤
(B2 )を、必要に応じて水性媒体と共に、該予備的水
性アクリレート重合体エマルジョンに添加することによ
って、乳化重合を行い最終的な所望エマルジョンである
水性アクリレート重合体エマルジョンを得、該シリコー
ン構造を有する変性剤(C)を用いて、該乳化重合中か
又は該乳化重合後にシリコーン変性してなる水性シリコ
ーン変性アクリル重合体エマルジョンが提供される。
【0050】上記のステップ(2)において、該変性剤
(C)を添加し、乳化重合中にシリコーン変性を行って
もよく、又上記の最終的な所望のエマルジョンである水
性アクリレート重合体エマルジョンを該変性剤(C)で
処理して該乳化重合後に該シリコーン変性を行なっても
よい。また、上記のステップ(1)において、単量体系
(A1 )及び乳化剤(B1 )の合計重量に対して、該単
量体系(A1 )を80〜99.95重量%、好ましくは
90〜99.9重量%、該乳化剤(B1 )を、0. 05
〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%用い、ス
テップ(2)においては、単量体系(A2 )及び乳化剤
(B2 )の合計重量に対して、該単量体系(A2 )を8
0〜99. 95重量%、好ましくは90〜99.9重量
%、該乳化剤(B2 )を0. 05〜20重量%、好まし
くは0.1〜10重量%用い、該シリコーン構造を有す
る変性剤(C)を、以下の式(b):
【数4】 [式中、( A1 )、( A2 ) 、( B1 ) 、( B2 )及び
(C)は、( A1 ) 、( A2 ) 、( B1 ) 、( B2 )及
び(C)の合計重量に対する、単量体系(A1) 、単
量体系(A2 ) 、乳化剤(B1 ) 、乳化剤(B2 )及び
変性剤(C)のそれぞれの重量%である。]で表わされ
る関係を満足する量用いることができる。
【0051】該単量体系(A1 )及び乳化剤(B1 )の
合計重量の、該単量体系(A2 )及び乳化剤(B2 )の
合計重量に対する比は、1/99〜99/1、好ましく
は5/95〜95/5であることが好ましい。この重量
比率の範囲内では、エマルジョンを特に安定に得ること
ができ、又、エマルジョンより得られるフィルムの耐水
性、耐候性が特に優れている。
【0052】上記のステップ(1)において、該単量体
系(A1 )が、該単量体系(A1 )の重量に対して0.
5〜30重量%のカルボン酸基を有するエチレン性不飽
和単量体を含むことが好ましく、更に該単量体系
(A1 )の重量に対して1〜20重量%のカルボン酸基
を有するエチレン性不飽和単量体を含むことが特に好ま
しい。一方、上記のステップ(2)では、該単量体系
(A2 )はカルボン酸基を有するエチレン性不飽和単量
体を含まなくてもよいが、該単量体系(A2 )の重量に
対して1〜2重量%のカルボン酸基を有するエチレン性
不飽和単量体を含んでいてもよい。これらカルボン酸基
を有するエチレン性不飽和単量体は、上記した加水分解
基を有するシランの加水分解反応および縮合反応を促進
させるための触媒としても作用するので、好ましく用い
ることができる。
【0053】本発明において、(A)、(B)および
(C)より形成される重合体中のケイ素含有量は、重合
体の重量に対し1〜10重量%であることが好ましい。
この重量比の範囲内では、エマルジョンが特に安定に得
られ、エマルジョンより得られるフィルムの耐水性、耐
候性が特に優れている。
【0054】本発明の実施には通常の乳化重合法が採用
できるが、乳化重合をステップ(1)とステップ(2)
の2段階で行ない、ステップ(1)において乳化重合に
よってシードラテックスが分散してなる予備的水性アク
リレート重合体エマルジョンを調製した後、更にステッ
プ(2)で乳化重合を行う場合、シリコーン変性を行な
うための具体的方法としては、例えば以下に述べる2通
りの方法を挙げることができる。しかし、これらの方法
には限定されない。
【0055】(i) シードラテックスが分散してなる予備
的水性アクリレート重合体エマルジョンの重合温度を保
ったまま、変性剤(C)を添加し、次いで変性剤(C)
のシランの重合の進行中、単量体系(A2 )および乳化
剤(B2 )を反応系へ同時に又は遂次導入する方法、及
び (ii)シードラテックスが分散してなる予備的水性アクリ
レート重合体エマルジョンの重合温度を保ったまま、変
性剤(C)と、単量体系(A2 )および乳化剤(B2
を反応系へ同時に導入する方法、
などがあり、また上記の各方法を組み合わ
せて実施することも可能である。
【0056】またステップ(1)のシードラテックスお
よびステップ(2)の乳化重合中の水素イオン濃度(p
H)は、通常pH4.0以下で実施され、好ましくはp
H3.0以下で実施される。本発明では、乳化重合を水
性媒体中で行うが、水性媒体としては、主に水が用いら
れるが、炭素数1〜3の低級アルコール又はアセトン等
の水に可溶な溶媒を水に添加して水性媒体として使用す
ることもできる。この際添加する水以外の溶媒の量は、
エマルジョン中に20%以下であることが好ましい。
又、得られたエマルジョン中の分散質(固形分)と分散
媒としての水性媒体との重量比は70/30以下、好ま
しくは30/70以上65/35以下である。
【0057】乳化重合においては、ラジカル重合触媒と
して、熱または還元性物質などによってラジカル分解し
てエチレン性不飽和単量体の付加重合を起こさせること
ができ、水溶性または油溶性の過硫酸塩、過酸化物、ア
ゾビス化合物等を有利に使用することができる。その例
としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸
アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオ
キサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2
−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2
−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−ア
ゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等を挙げる
ことができるが、加水分解性シランの加水分解反応およ
び縮合反応を促進させるための触媒としても効果のある
過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウ
ムを用いることが好ましい。ラジカル重合触媒の量とし
ては、エチレン性不飽和単量体に対して通常0.1〜1
重量%を用いることができる。
【0058】通常、重合反応は常圧下、65〜90℃の
重合温度で行なうことが好ましいが、モノマーの重合温
度における蒸気圧等の特性に合わせ、高圧下でも実施す
ることができる。重合時間としては、導入時間と、導入
後の熟成(cooking)時間がある。導入時間は、
各種原料を反応系へ同時に導入する場合は通常数分であ
り、各種原料を反応系へ逐次導入する場合は重合による
発熱が除熱可能な範囲で反応系へ逐次導入するため、最
終的に得られるエマルジョン中の重合体濃度によっても
異なるが、通常10分以上である。導入後の熟成(co
oking)時間としては、少なくとも10分以上であ
ることが好ましい。この重合時間以下では、各原料がそ
のまま残留したり、加水分解性シランが縮合せずに加水
分解物のまま残留してしまう恐れがある。
【0059】なお、重合速度の促進、及び70℃以下で
の低温での重合が望まれるときには、例えば重亜硫酸ナ
トリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリッ
ト等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いる
と有利である。更に、分子量を調節するために、ドデシ
ルメルカプタン等の連鎖移動剤を任意に添加することも
可能である。
【0060】本発明では、スルホン酸基またはスルホネ
ート基、あるいは硫酸エステル基を有するエチレン性不
飽和単量体を含む乳化剤(B)以外に、通常の界面活性
剤を併用することもできる。例えば、脂肪酸石鹸、アル
キルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオ
キシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアル
キルアリール硫酸塩等のアニオン型界面活性剤;ポリオ
キシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエ
チレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキ
シプロピレンプロックコポリマー等の非反応性ノニオン
型界面活性剤;及び旭電化工業( 株)製アデカリアソー
プNE−20、NE−30、NE−40等のα−〔1−
〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキ
シ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン、及
び第一製薬工業( 株) 製アクアロンRN−10、RN−
20、RN−30、RN−50等のポリオキシエチレン
アルキルプロペニルフェニルエーテル等の反応性ノニオ
ン型界面活性剤といわれるエチレン性不飽和単量体と共
重合可能なノニオン型界面活性剤等を併用することがで
きる。
【0061】上記の界面活性剤の使用量は、エマルジョ
ンに対する重量%として、アニオン型界面活性剤につい
ては0.5%以下、好ましくは0.25%以下、更に好
ましくは0.1%以下であり、非反応性ノニオン型界面
活性剤及び反応性ノニオン型界面活性剤については、
2.0%以下、好ましくは1.0%以下、更に好ましく
は0.5%以下である。この範囲を超えて使用すると、
水性シリコーン変性アクリレート重合体エマルジョンか
ら形成されるフィルムの耐水性が著しく低下する。
【0062】本発明では乳化重合終了後、成膜時の硬化
触媒として、例えばジブチルすずジラウレート、ジオク
チルすずジラウレート、ジブチルすずジアセテート、オ
クチル酸すず、ラウリン酸すず、オクチル酸鉄、オクチ
ル酸鉛、テトラブチルチタネート等の有機酸の金属塩、
n−ヘキシルアミン、1,8−ジアザビシクロ [5,
4,0] −7−ウンデセン等のアミン化合物を、本発明
の水性シリコーン変性アクリレート重合体エマルジョン
へ添加することができる。なおこれらの硬化用触媒が水
溶性でない場合には、その使用に際して、界面活性剤と
水を用いてエマルジョン化しておくことが望ましい。
【0063】本発明の水性シリコーン変性アクリレート
重合体エマルジョンには、エマルジョンの長期の分散安
定を保つため、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、ジメチルアミノエタノール等のアミン類を用
いてpH5〜10の範囲に調整することが好ましい。本
発明によって製造される水性シリコーン変性アクリレー
ト重合体エマルジョンは、分散質の平均粒子径として、
10〜1,000nmであることが好ましい。
【0064】本発明の水性シリコーン変性アクリレート
重合体エマルジョンは、塗料、建材の下地処理材又は仕
上げ材、接着剤、感圧性粘着剤、紙加工剤及び編織布の
仕上げ剤として有用であり、特に塗料及び建材の仕上げ
材として有用である。本発明の水性シリコーン変性アク
リレート重合体エマルジョンには、通常水系塗料等に添
加配合される成分、例えば成膜助剤、増粘剤、消泡剤、
顔料、分散剤、染料、防腐剤等を任意に配合することが
できる。
【0065】
【実施例】実施例及び比較例により本発明を詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるも
のでない。尚、実施例及び比較例中の部及び%はそれぞ
れ重量部、及び重量%を表す。また、得られた水性シリ
コーン変性アクリレート重合体エマルジョンの物性試験
については、該エマルジョンを用いて下記に示す配合組
成で塗料を調製し、以下に示す試験方法に従って試験を
実施した。
【0066】<塗料配合組成> 顔料ディスパージョン 水 82.5部 ポイズ530[分散剤:日本国花王(株)製] 7.5部 トリポリリン酸ナトリウムの5%水溶液 7.5部 ダイセルHEC SP−600の3%水溶液 [増粘剤:日本国ダイセル化学工業(株) 製] 25.0部 ノプコ1497VD [消泡剤:日本国サンノプコ(株)製] 2.5部 タイペークR−930 [ルチル型酸化チタン:日本国石原産業(株)製] 375.0部 レットダウン成分 各実施例、比較例の エマルジョン (固形分換算) 460.0部 エチレングリコール モノブチルエーテル 60.0部 エチレングリコール モノ2−エチルヘキシルエーテル 10.0部 水 30.0部 ノプコ1497VD 1.0部
【0067】<試験方法> (i) 初期光沢値、光沢保持率 上記の顔料ディスパージョンとレットダウン成分を混合
して調製した塗料をワイヤーコーターNo.50を用い
て、硫酸アルマイト板に塗布し、室温にて30日間乾燥
させた。そのときの60度―60度鏡面反射率を初期光
沢値として測定した(これを試験開始時間、即ちゼロ時
間とする)。引き続きサンシャイン型ウエザオメーター
(スガ試験機(株)製、WEL−SUN−DC)を使用
して曝露試験(降雨サイクル;12分/時間、ブラック
パネル温度60〜66℃)を行なった。曝露3000時
間後の60度―60度鏡面反射率を最終的な光沢値とし
て測定し、これを初期光沢値で割り、この値を光沢保持
率として算出した。
【0068】(ii) 耐水性 上記塗料をワイヤーコーターNo.50を用いて、硫酸
アルマイト板に塗布し、室温にて2時間乾燥した。さら
に50℃で2日間乾燥した後、40℃の水に30日間浸
漬しその状態を目視にて観察した。その際の判定基準は
以下の通りである。 (判定基準) ◎:ふくれ、つやびけがまったく見られない。 ○:ふくれはややあるが、つやびけは見られない。 △:ふくれがあり、つやびけも見られる。 ×:全面がふくれ、つやびけが著しい。
【0069】(実施例) 撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた
反応容器に、水300部、メタクリル酸メチル37部、
アクリル酸ブチル40部、メタクリル酸シクロヘキシル
15部、メタクリル酸8部、ラテムルS−180A[エ
チレン性不飽和単量体と共重合可能な二重結合を分子中
に持つスルホコハク酸ジエステルアンモニウム塩、花王
(株)製]の20%水溶液20部を投入し、反応容器中
の温度を78℃に上げてから、過硫酸アンモニウム0.
5部を添加して1時間保った。これによってシードラテ
ックスが分散してなる予備的水性アクリレート重合体エ
マルジョンを得た。上記エマルジョンの水素イオン濃度
を測定したところpH1.8であった。次に、水330
部、メタクリル酸メチル177部、アクリル酸ブチル1
60部、メタクリル酸シクロヘキシル60部、メタクリ
ル酸3部、ラテムルS−180Aの20%水溶液20
部、及び過硫酸アンモニウム1.0部の混合液、及びγ
-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2.5
部、ジメチルジメトキシシラン25部、メチルトリメト
キシシラン25部からなる混合液とを反応容器中へ別々
の滴下槽より3時間かけて流入させた。流入中は反応容
器中の温度を80℃に保った。流入が終了してから反応
容器中の温度を85℃にして6時間保った。室温まで冷
却した後、水素イオン濃度を測定したところpH2.1
であった。上記の混合液に25%アンモニア水溶液を添
加してpH8に調整してから100メッシュの金網でろ
過した。ろ過された凝集物の乾燥重量は全単量体に対し
て0.02%と非常にわずかであった。得られたエマル
ジョンの固形分は44.0%、平均粒子径1080Åで
あった。このエマルジョンを用いて塗料を調製し、初期
光沢値、光沢保持率および耐水性の試験を行なった。そ
の結果を表1に示した。
【0070】(実施例) 撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた
反応容器に、水300部、メタクリル酸メチル37部、
アクリル酸n−ブチル40部、メタクリル酸シクロヘキ
シル15部、メタクリル酸8部、及びラテムルS−18
0Aの20%水溶液20部を投入し、反応容器中の温度
を78℃に上げてから過硫酸アンモニウム0.5部を添
加して1時間保った。これによってシードラテックスが
分散してなる予備的水性アクリレート重合体エマルジョ
ンを得た。上記エマルジョンの水素イオン濃度を測定し
たところpH1.9であった。次に、γ- メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン2.5部、ジメチルジメ
トキシシラン25部及びメチルトリメトキシシラン25
部からなる混合液を5分間かけて投入した後、続いて水
330部、メタクリル酸メチル180部、アクリル酸ブ
チル160部、メタクリル酸シクロヘキシル60部、ラ
テムルS−180Aの20%水溶液20部及び過硫酸ア
ンモニウム1.0部の混合液を反応容器中へ滴下槽より
3時間かけて流入させた。流入中は反応容器中の温度を
80℃に保った。流入が終了してから反応容器中の温度
を85℃にして6時間保った。室温まで冷却した後、水
素イオン濃度を測定したところpH2.1であった。2
5%アンモニア水溶液を添加してpH8に調整してから
100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の
乾燥重量は全単量体に対して0.02%と非常にわずか
であった。得られたエマルジョンの固形分は44.0
%、平均粒子径970Åであった。このエマルジョンを
用いて塗料を調製し、初期光沢値、光沢保持率および耐
水性の試験を行なった。その結果を表1に示す。
【0071】(実施例) 撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた
反応容器に、水400部、メタクリル酸n−ブチル12
2部、メタクリル酸メチル60部、メタクリル酸18
部、及びラテムルS−180Aの20%水溶液30部を
投入し、反応容器中の温度を78℃に上げてから、過硫
酸アンモニウム1.0部を添加して1時間保った。これ
によってシードラテックスが分散してなる予備的水性ア
クリレート重合体エマルジョンを得た。上記エマルジョ
ンの水素イオン濃度を測定したところpH1.7であっ
た。次に、反応容器中の温度を60℃に保ったままジメ
チルジメトキシシラン50部及びメチルトリメトキシシ
ラン50部からなる混合液を5分間かけて投入した後、
80℃にて2時間保った。次に水230部、メタクリル
酸n−ブチル140部、メタクリル酸シクロヘキシル1
50部、メタクリル酸10部、p−スチレンスルホン酸
ナトリウムの20%水溶液18部、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウムの20%水溶液2部及び過硫酸アン
モニウム1.0部の混合液と、γ-メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン2.5部とを反応容器中へ別々
の滴下槽より3時間かけて流入させた。流入中は反応容
器中の温度を80℃に保った。流入が終了してから反応
容器中の温度を85℃にして6時間保った。室温まで冷
却した後、pHを測定したところ2.0であった。25
%アンモニア水溶液を添加してpH8に調整してから1
00メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾
燥重量は全単量体に対して0.02%と非常にわずかで
あった。得られたエマルジョンの固形分は45.4%、
平均粒子径1020Åであった。このエマルジョンを用
いて塗料を調製し、初期光沢値、光沢保持率および耐水
性の試験を行なった。その結果を表1に示す。 (実施例撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた
反応容器に、水300部、アクリル酸シクロヘキシル4
0部、メタクリル酸2−ヒドロキシシクロヘキシル15
部、アクリル酸2−エチルヘキシル30部、アクリル酸
15部、及びア デカリアソープSE−1025N[旭電
化工業(株)製]25%水溶液20部を投入し、反応容
器中の温度を78℃に上げてから、過硫酸アンモニウム
0.5部を添加して1時間保った。これによってシード
ラテックスが分散してなる予備的水性アクリレート重合
体エマルジョンを得た。水素イオン濃度を測定したとこ
ろpH1.8であった。引き続いて反応容器中の温度を
60℃に保ったままジメチルジメトキシシラン25部及
びメチルトリメトキシシラン25部からなる混合液を5
分間かけて投入した後、80℃にて2時間保った次に
水330部、アクリル酸シクロヘキシル280部、アク
リル酸2−エチルヘキシル120部、アデカリアソープ
SE−1025N25%水溶液18部、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウムの20%水溶液2部及び過硫酸
アンモニウム1.0部の混合液と、γ- メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン2.5部とを反応容器中へ
別々の滴下槽より3時間かけて流入させた。流入中は反
応容器中の温度を80℃に保った。流入が終了してから
反応容器中の温度を85℃にして6時間保った。室温ま
で冷却した後、pHを測定したところ2.0であった。
25%アンモニア水溶液を添加してpH8に調整してか
ら100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物
の乾燥重量は全単量体に対して0.02%と非常にわず
かであった。得られたエマルジョンの固形分は44.0
%、平均粒子径1190Åであった。このエマルジョン
を用いて塗料を調製し、初期光沢値、光沢保持率および
耐水性の試験を行なった。その結果を表1に示す
【0072】(比較例1)<シクロ(メタ)アクリレー
ト不含;式[1] のシランと式[II]のシランの組合せの使
> 撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた
反応容器に、水300部、メタクリル酸メチル52部、
アクリル酸ブチル40部、メタクリル酸8部、及びラテ
ムルS−180A[エチレン性不飽和単量体と共重合可
能な二重結合を分子中に持つスルホコハク酸ジエステル
アンモニウム塩、花王(株)製]の20%水溶液20部
を投入し、反応容器中の温度を78℃に上げてから、過
硫酸アンモニウム0.5部を添加して1時間保った。こ
れによってシードラテックスが分散してなる予備的水性
アクリレート重合体エマルジョンを得た。上記エマルジ
ョンの水素イオン濃度を測定したところpH1.8であ
った。次に、水330部、メタクリル酸メチル207部
及びアクリル酸ブチル190部、メタクリル酸3部、ラ
テムルS−180Aの20%水溶液20部及び過硫酸ア
ンモニウム1.0部の混合液、及びγ- メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン2.5部、ジメチルジメト
キシシラン25部及びメチルトリメトキシシラン25部
からなる混合液とを反応容器中へ別々の滴下槽より3時
間かけて流入させた。流入中は反応容器中の温度を80
℃に保った。流入が終了してから反応容器中の温度を8
5℃にして6時間保った。室温まで冷却した後、水素イ
オン濃度を測定したところpH2.1であった。上記の
混合液に25%アンモニア水溶液を添加してpH8に調
整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過され
た凝集物の乾燥重量は全単量体の重量に対して0.02
%と非常にわずかであった。得られたエマルジョンの固
形分は44.0%、平均粒子径1080Åであった。こ
のエマルジョンを用いて塗料を調製し、初期光沢値、光
沢保持率及び耐水性の試験を行なった。その結果を表1
に示す。
【0073】(比較例)<シクロ(メタ)アクリレー
ト不含;式[1] のシランと式[II]のシランの組合せの使
用;反応性乳化剤不使用> 撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた
反応容器に、水300部、メタクリル酸メチル52部、
アクリル酸n−ブチル40部、メタクリル酸8部、ジオ
クチルスルホコハク酸ナトリウム[ペレックス(商標)
OT−P、花王(株)製]の40%水溶液4部及びポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル[エマルゲン
(商標)950、花王(株)製]の25%水溶液1部を
投入し、反応容器中の温度を78℃に上げてから、過硫
酸アンモニウム0.5部を添加して1時間保った。これ
によってシードラテックスが分散してなる予備的水性ア
クリレート重合体エマルジョンを得た。上記エマルジョ
ンの水素イオン濃度を測定したところpH1.8であっ
た。次に、水330部、メタクリル酸メチル207部、
アクリル酸n−ブチル190部、メタクリル酸3部、ポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテル[エマルゲン
950、花王(株)製]の25%水溶液5部及び過硫酸
アンモニウム1.0部の混合液と、γ- メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン2.5部、ジメチルジメト
キシシラン25部及びメチルトリメトキシシラン25部
からなる混合液とを反応容器中へ別々の滴下槽より3時
間かけて流入させた。流入中は反応容器中の温度を80
℃に保った。流入が終了してから反応容器中の温度を8
5℃にして6時間保った。室温まで冷却した後、水素イ
オン濃度を測定したところpH2.2であった。上記の
混合液に25%アンモニア水溶液を添加してpH8に調
整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過され
た凝集物の乾燥重量は全単量体に対して0.02%と非
常にわずかであった。得られたエマルジョンの固形分は
44.1%、平均粒子径1050Åであった。このエマ
ルジョンを用いて前記した塗料を調製し、初期光沢値、
光沢保持率及び耐水性の試験を行なった。その結果を表
1に示す。
【0074】(比較例)<シクロ(メタ)アクリレー
ト不含;式[II]のシランのみの不使用> 撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた
反応容器に、水300部、メタクリル酸メチル52部、
アクリル酸ブチル40部、メタクリル酸8部、及びラテ
ムルS−180A[エチレン性不飽和単量体と共重合可
能な二重結合を分子中に持つスルホコハク酸ジエステル
アンモニウム塩、花王(株)製]の20%水溶液20部
を投入し、反応容器中の温度を78℃に上げてから、過
硫酸アンモニウム0.5部を添加して1時間保った。こ
れによってシードラテックスが分散してなる予備的水性
アクリレート重合体エマルジョンを得た。上記エマルジ
ョンの水素イオン濃度を測定したところpH1.8であ
った。次に、水330部、メタクリル酸メチル207
部、アクリル酸ブチル190部、メタクリル酸3部、ラ
テムルS−180Aの20%水溶液20部及び過硫酸ア
ンモニウム1.0部の混合液、及びジメチルジメトキシ
シラン50部を反応容器中へ別々の滴下槽より3時間か
けて流入させた。流入中は反応容器中の温度を80℃に
保った。流入が終了してから反応容器中の温度を85℃
にして6時間保った。室温まで冷却した後、水素イオン
濃度を測定したところpH2.1であった。上記の混合
液に25%アンモニア水溶液を添加してpH8に調整し
てから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝
集物の乾燥重量は全単量体に対して0.02%と非常に
わずかであった。得られたエマルジョンの固形分は4
3.5%、平均粒子径980Åであった。このエマルジ
ョンを用いて塗料を調製し、初期光沢値、光沢保持率お
よび耐水性の試験を行なった。その結果を表1に示す。
【0075】(比較例)<シクロ(メタ)アクリレー
ト不含;シラン変性剤の不使用> 撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた
反応容器に、水300部、メタクリル酸メチル52部、
アクリル酸ブチル40部、メタクリル酸8部、ラテムル
S−180A[エチレン性不飽和単量体と共重合可能な
二重結合を分子中に持つスルホコハク酸ジエステルアン
モニウム塩、花王(株)製]の20%水溶液20部を投
入し、反応容器中の温度を78℃に上げてから、過硫酸
アンモニウム0.5部を添加して1時間保った。これに
よってシードラテックスが分散してなる予備的水性アク
リレート重合体エマルジョンを得た。上記エマルジョン
の水素イオン濃度を測定したところpH1.8であっ
た。次に、水330部、メタクリル酸メチル207部、
アクリル酸ブチル190部、メタクリル酸3部、ラテム
ルS−180Aの20%水溶液20部及び過硫酸アンモ
ニウム1.0部の混合液を滴下槽より3時間かけて流入
させた。流入中は反応容器中の温度を80℃に保った。
流入が終了してから反応容器中の温度を85℃にして6
時間保った。室温まで冷却した後、水素イオン濃度を測
定したところpH2.1であった。上記混合液に25%
アンモニア水溶液を添加してpH8に調整してから10
0メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥
重量は全単量体に対して0.02%と非常にわずかであ
った。得られたエマルジョンの固形分は43.0%、平
均粒子径1080Åであった。このエマルジョンを用い
て塗料を調製し、初期光沢値、光沢保持率および耐水性
の試験を行なった。その結果を表1に示す。
【0076】(比較例5〜8)<シクロ(メタ)アクリ
レート不含;式[1] のシラン及び式[II]のシラン及び/
又は環状シランの使用> (1) シードラテックスが分散してなる予備的水性アクリ
レート重合体エマルジョンの調製 撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた
反応容器に、水381.5部、アクリル酸ブチル40
部、メタクリル酸メチル40部、イタコン酸5部、メタ
クリル酸10部、スチレン5部、アクアロンHS−10
[エチレン性不飽和単量体と共重合可能な二重結合を分
子中に持つポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル硫酸エステルアンモニウム:第一工業製薬(株)製]
の25%水溶液18部を投入し、反応容器中の温度を7
8℃に上げてから、過硫酸アンモニウム0.5部を添加
して1時間保った。これによってシードラテックスが分
散してなる予備的水性アクリレート重合体エマルジョン
を得た。上記エマルジョンの水素イオン濃度を測定した
ところpH1.7であった。
【0077】(2) 種々のエマルジョン(a〜d)の製造
比較例5〜8) 次に、それぞれ、表2に示すシードラテックスが分散し
てなる予備的水性アクリレート重合体エマルジョン、乳
化剤としてのアクアロンHS−10の25%水溶液80
部、過硫酸アンモニウム5部、水655部と、単量体系
(A)として、それぞれ表2に示す単量体との混合液
と、またそれぞれ表2に示す加水分解性シランとを反応
溶液中へ別々の滴下槽より3時間かけて流入させた。流
入中は反応容器中の温度を80℃に保った。流入が終了
してから反応容器中の温度を85℃にして6時間保っ
た。室温まで冷却した後pHを測定したところpH1.
5〜2.5の範囲にあり、25%アンモニア水溶液を添
加してpH8に調整してから100メッシュの金網でろ
過した。ろ過された凝集物の乾燥重量は全単量体に対し
てすべて0.5%以下であった。これ等のシクロ(メ
タ)アクリレート基不含のエマルジョンについて前記し
た塗料配合をし、初期光沢値、光沢保持率および耐水性
の試験を行なった。その結果を表2に示した。
【0078】(3) 試験結果比較例 5〜8のシクロ(メタ)アクリレート基不含の
マルジョンa〜の初期光沢値、光沢保持率および耐水
性は、極めて優れていた。
【表1】
【0079】(判定基準) ◎:ふくれ、つやびけがまったく見られない。 ○:ふくれはややあるが、つやびけは見られない。 △:ふくれがあり、つやびけも見られる。 ×:全面がふくれ、つやびけが著しい。 *:実施例及び比較例で調製した塗料の中で、耐水性は
○及び△のものはなかった。
【0080】
【表2】
【0081】
【発明の効果】本発明の特定の2種のシリコーン変性剤
を用いて製造した水性シリコーン変性シクロ(メタ)ア
クリレート基含有の(メタ)アクリレート重合体エマル
ジョンは、従来達成できなかった、撥水性、耐水性、耐
候性、顔料分散性、光沢保持性、耐汚染性、密着性に極
めて優れた皮膜を形成し得るので、塗料、建材の下地処
理材又は仕上げ材、接着剤、感圧性粘着剤、紙加工剤、
又は編織布の仕上げ剤として有用であり、特に塗料用、
建材の仕上げ材として有用である。特に、(メタ)アク
リレート単量体(A) として、特定のシクロ(メタ)アク
リレートを併用することにより、得られた皮膜の耐候性
が向上し、且つ特定の2種のシリコーン変性剤を用いる
ことにより、変性剤(C) が形成するシリコーン重合体の
架橋密度を低くして得られた被膜に柔軟性を付与できる
効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−178301(JP,A) 特開 平4−175343(JP,A) 特開 平2−111427(JP,A) 沖合元治著「ケミカル先端技術シリー ズ3 ラテックス・エマルジョンの最新 応用技術」第一版、株式会社中日社、 1991年6月25日発行、第107〜108頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 33/00 C08F 2/22 C08F 20/18

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単量体系(A)を、乳化剤(B)の存在
    下、水性媒体中において乳化重合に付すことにより得ら
    れるアクリレート重合体エマルジョンであり、該乳化重
    合中か又は該乳化重合後に、シリコーン構造を有する変
    性剤(C)を用いてシリコーン変性されてなる水性シリ
    コーン変性アクリレート重合体エマルジョンであって、 (i) 該単量体系(A)が、アクリル酸エステル、メタ
    クリル酸エステル及びそれらの混合物よりなる群から選
    ばれるアクリレート単量体、及び更にアクリルアミド単
    量体、メタクリルアミド単量体、ビニル単量体、カルボ
    ン酸基を有するエチレン性不飽和単量体、シアン化ビニ
    ル、芳香族ビニル単量体、ハロゲン化ビニル、ブタジエ
    ン及びエチレンからなる群から選ばれる、該アクリレー
    ト単量体と共重合可能な少なくとも1種のコモノマーを
    含み、該アクリレート単量体及び該コモノマーの合計重
    量に対して、該アクリレート単量体の量及び該コモノマ
    ーの量が、それぞれ90重量%〜100重量%及び0重
    量%〜10重量%であり、且つ該アクリレ−ト単量体
    が、該単量体系(A)の重量に対して5重量%以上の量
    の、アクリル酸または、メタクリル酸の炭素数5〜12
    のシクロアルキルエステル、或いはそれらの混合物を含
    ものであり、 (ii) 該乳化剤(B)が、スルホン酸基又はスルホネー
    ト基を有するエチレン性不飽和単量体、硫酸エステル基
    を有するエチレン性不飽和単量体、及びそれらの混合物
    よりなる群から選ばれ、 (iii) 該シリコーン構造を有する変性剤(C)が、式
    [I] R1-Si-(R23 ・・・[I] (式中、R1 は水素原子、炭素数1〜16の脂肪族炭化
    水素基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数5〜6の
    シクロアルキル基、ビニル基、炭素数1〜10のアクリ
    ル酸アルキル基、または炭素数1〜10のメタクリル酸
    アルキル基であり、 各R2 はそれぞれ、独立して、炭素数1〜8のアルコキ
    シ基、アセトキシ基、または水酸基である)で表され
    る、シリコーン構造を有するシラン[I] からなる群より
    選ばれる少なくとも一種を含み、更に環状シラン及び式
    [II]: (R32 -Si-(R42 ・・・[II] (式中、各R3 はそれぞれ、独立して、水素原子、炭素
    数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリ
    ール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、ビニル基、
    炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基又は炭素数1〜
    10のメタクリル酸アルキル基であり、 各R4 はそれぞれ、独立して、炭素数1〜8のアルコキ
    シ基、アセトキシ基又はヒドロキシル基である)で表さ
    れるシラン[II]からなる群より選ばれる少なくとも1種
    の化合物を含み、且つ該シラン化合物[I] の、上記環状
    シラン及びシラン[II]からなる群より選ばれる少なくと
    も1種に対するモル比が少なくとも10/100で
    、 (iv) しかも、単量体系(A)と乳化剤(B)の合計重
    量に対して、該単量体系(A)及び該乳化剤(B)を、
    それぞれ80〜99. 95重量%及び0. 05〜20重
    量%用い、又、上記のシリコーン構造を有する変性剤
    (C)を下記の式(a): 【数1】 式中、(A)、(B)及び(C)は、(A)、(B)
    及び(C)の合計重量に対する、単量体系(A)、乳化
    剤(B)及び変性剤(C)のそれぞれの重量%であ
    る。]で表わされる関係を満足する量用いることを特徴
    とする、水性シリコーン変性アクリレート重合体エマル
    ジョン。
  2. 【請求項2】 該単量体系(A)、該乳化剤(B)及び
    該変性剤(C)の合計重量の、該水性媒体の重量に対す
    る比が75/25以下であることを特徴とする、請求項
    記載の水性シリコーン変性アクリレート重合体エマル
    ジョン。
  3. 【請求項3】 該単量体系(A)に含まれる該コモノマ
    ーがカルボン酸基を有するエチレン性不飽和単量体であ
    ることを特徴とする、請求項記載の水性シリコーン変
    性アクリレート重合体エマルジョン。
  4. 【請求項4】 該カルボン酸基を有するエチレン性不飽
    和単量体が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸及
    びその半エステル、フマル酸及びその半エステル、並び
    にマイレン酸及びその半エステルからなる群から選ばれ
    る少なくとも1種であることを特徴とする、請求項
    載の水性シリコーン変性アクリレ−ト重合体エマルジョ
    ン。
  5. 【請求項5】 該乳化剤(B)としてのスルホン酸基又
    はスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体が、
    ラジカル重合性の二重結合を有し、且つスルホン酸基又
    はそのアンモニウム塩かアルカリ金属塩である基を有す
    る化合物であり、又、該乳化剤(B)としての硫酸エス
    テル基を有するエチレン性不飽和単量体が、ラジカル重
    合性の二重結合を有し、且つ硫酸エステル基又はそのア
    ンモニウム塩かアルカリ金属塩である基を有する化合物
    であることを特徴とする、請求項1記載の水性シリコー
    ン変性アクリレート重合体エマルジョン。
  6. 【請求項6】 該乳化剤(B)としてのスルホン酸基又
    はスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体が、
    ラジカル重合性の二重結合を有し、且つスルホン酸基の
    アンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩である
    基により置換された炭素数1〜20のアルキル基、炭素
    数2〜4のアルキルエーテル基、炭素数2〜4のポリア
    ルキルエーテル基、炭素数6または10のアリール基及
    びコハク酸基からなる群より選ばれる置換基を有する化
    合物であるか、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリ
    ウム塩またはカリウム塩である基が結合しているビニル
    基を有するビニルスルホネート化合物であり、又、 該乳化剤(B)としての硫酸エステル基を有するエチレ
    ン性不飽和単量体が、ラジカル重合性の二重結合を有
    し、且つ硫酸エステル基のアンモニウム塩、ナトリウム
    塩またはカリウム塩である基により置換され炭素数1〜
    20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル
    基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基及び炭素数
    6または10のアリール基からなる群より選ばれる置換
    基を有する化合物であることを特徴とする、請求項
    載の水性シリコーン変性アクリレート重合体エマルジョ
    ン。
  7. 【請求項7】 該変性剤(C)を上記乳化重合の系に添
    加して、該エマルジョンのシリコーン変性を上記の乳化
    重合中に行うことを特徴とする、請求項1記載の水性シ
    リコーン変性アクリレート重合体エマルジョン。
  8. 【請求項8】 該単量体系(A)が、アクリレート単量
    体を含み且つ互いに同じか異なった(A1 )及び
    (A2 )よりなり、 該乳化剤(B)が、該スルホン酸基又はスルホネート基
    を有するエチレン性不飽和単量体、該硫酸エステル基を
    有するエチレン性不飽和単量体及びそれ等の混合物より
    なる群から選ばれ且つ互いに同じか異なった乳化剤(B
    1 )及び(B2)よりなり、 上記乳化重合をステップ(1)及びステップ(2)の順
    で行い、ステップ(1)においては、該単量体系
    (A1 )を、乳化剤(B1 )の存在下、水性媒体中にお
    いて乳化重合に付すことにより、シードラテックスが分
    散してなる予備的水性アクリレート重合体エマルジョン
    を得、ステップ(2)においては、該単量体系(A2
    及び該乳化剤(B2 )を、必要に応じて水性媒体と共
    に、該予備的水性アクリレート重合体エマルジョンに添
    加することによって、乳化重合を行い最終的な所望エマ
    ルジョンである水性アクリレート重合体エマルジョンを
    得、 該シリコーン変性を該シリコーン構造を有する変性剤
    (C)を用いて、該乳化重合中か又は該乳化重合後に行
    うことを特徴とする、請求項1記載の水性シリコーン変
    性アクリレート重合体エマルジョン。
  9. 【請求項9】 上記のステップ(2)において、該変性
    剤(C)を添加し、乳化重合中にシリコーン変性を行う
    ことを特徴とする、請求項記載の水性シリコーン変性
    アクリレート重合体エマルジョン。
  10. 【請求項10】 上記の最終的な所望エマルジョンであ
    る水性アクリレート重合体エマルジョンを該変性剤
    (C)で処理して該乳化重合後に該シリコーン変性を行
    うことを特徴とする、請求項記載の水性シリコーン変
    性アクリレート重合体エマルジョン。
  11. 【請求項11】 上記のステップ(1)において、単量
    体系(A1 )及び乳化剤(B1 )の合計重量に対して、
    該単量体系(A1 )及び該乳化剤(B1 )を、それぞれ
    80〜99.95重量%及び0. 05〜20重量%用
    い、 ステップ(2)においては、単量体系(A2 )及び乳化
    剤(B2 )の合計重量に対して、該単量体系(A2 )及
    び該乳化剤(B2 )を、それぞれ80〜99.95重量
    %及び0. 05〜20重量%用い、該シリコーン構造を
    有する変性剤(C)を、以下の式(b): 【数2】 [式中、( A1 )、( A2 、( B1 、( B2
    及び(C)は、( A1、( A2 )、( B1 、(
    2 )及び(C)の合計重量に対する、単量体系
    (A1 )、単量体系(A2 )、乳化剤(B1 、乳化
    剤(B2 )及び変性剤(C)のそれぞれの重量%であ
    る。]で表される関係を満足する量を用い、該単量体系
    (A1 )及び乳化剤(B1 )の合計重量の、該単量体系
    (A2 )及び乳化剤(B2 )の合計重量に対する比が1
    /99〜99/1であることを特徴とする、請求項
    記載の水性シリコーン変性アクリレート重合体エマルジ
    ョン。
  12. 【請求項12】 上記のステップ(1)において、該単
    量体系(A1 )が、該単量体系(A1 )の重量に対して
    0. 5〜30重量%のカルボン酸基を有するエチレン性
    不飽和単量体を含むことを特徴とする、請求項11記載
    の水性シリコーン変性アクリレート重合体エマルジョ
    ン。
  13. 【請求項13】 塗料、建材の下地処理材又は仕上げ材
    あることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに
    記載の水性シリコーン変性アクリレート重合体エマルジ
    ョン。
  14. 【請求項14】 接着剤、感圧性粘着剤であることを特
    徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の水性シリ
    コーン変性アクリレート重合体エマルジョン。
  15. 【請求項15】 紙加工剤、又は編織布の仕上げ剤であ
    ることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載
    の水性シリコーン変性アクリレート重合体エマルジョ
    ン。
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