JP2005023189A - 水系コーティング組成物 - Google Patents

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Naohisa Aoyanagi
尚久 青柳
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Abstract

【課題】水系塗料からなる塗膜において耐水性、耐候性、雨筋汚染防止性、およびに無機基材への密着性が良好な水系コーティング組成物を提供する。
【解決手段】特定の共重合体ラテックスにアルコキシシラン化合物を添加した後、アルコキシシラン化合物の縮合反応を進行させた水性分散体と、コロイダルシリカと、特定の界面活性剤とからなる水性コーティング組成物。
【選択図】 選択図なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗膜の耐水性、耐候性、雨筋汚染防止性および無機基材への密着性に優れ、クリヤー塗料、エナメル塗料双方に好適に使用でき、主に、建築外装用塗料、鋼構造物用塗料、建材用塗料に好適な水系コーティング組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保全および安全衛生の観点から、コーティング材の無公害化が強く要望されており、従来の溶剤型コーティング材の水系コーティング材への切替えが進められるとともに、その用途が拡大している。それに伴ってコーティング材に対する要求性能もますます高度となっている。コーティング材の塗膜性能として、耐水性、耐候性、雨筋汚染防止性および無機基材への密着性などが要求されている。
従来、コーティング材に使用されている重合体成分のうち、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体は優れた透明性、造膜性を有することから、水性分散体としてコーティング材に広く使用されており、またポリシロキサンは優れた耐候性、無機基材に対する密着性を有し、コーティング材を含む広い分野に使用されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体とポリシロキサンの優れた性能の相乗効果を狙って、両重合体成分を複合化して、コーティング材等に使用することが提案されている(例えば特許文献2参照)。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体とポリシロキサンとの複合体は、塗膜の耐水性、耐候性、および無機基材への密着性に優れた性能が得られるが、塗膜の水接触角が高いため塗膜が雨筋で汚れてしまうという欠点があった。
【0004】
【特許文献1】
特公昭52−39691号公報
【特許文献2】
特開平4−57868公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の背景のもとになされたもので、その課題とするところは、塗膜の耐水性、耐候性、雨筋汚染防止性および無機基材への密着性に優れた塗膜を形成しうる水系コーティング組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の組成物から得られる塗膜は、耐水性、耐候性、雨筋汚染防止性、およびに無機基材への密着性優れた水系コーティング組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(a)アルキル基の炭素数が1〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体50〜99.5質量%、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜15質量%、および(c)(a)および(b)成分と共重合可能な他の単量体0〜49.5質量%(ただし、(a)+(b)+(c)=100質量%)からなる単量体を乳化重合することにより得られる共重合体ラテックス100質量部(固形分換算)の存在下、アルコキシシラン化合物0.1〜500質量部の縮合反応を進行させることを特徴とする水性分散体(A)であって、該(A)水性分散体および(B)コロイド状無機粒子および(C)スルフォコハク酸系界面活性剤を含むことを特徴とする水系コーティング組成物に係わる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明において詳細に説明する。本発明において、用いられる共重合体ラテックスの製造に使用される単量体の(a)成分であるアルキル基の炭素数が1〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、
(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸i−ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、ヒドロキシ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらのうちでは、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチルなどが好ましい。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することもできる。
【0008】
この(a)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、得られる水性分散体に耐水性、耐候性および密着性を与えるために必須の成分であり、その割合は、全単量体の50〜99.5質量%、好ましくは70〜99質量%、特に好ましくは80〜98質量%である。
また、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、例えばイタコン酸、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸などが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらの(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することもできる。
かかる(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体は、得られる水性分散体の重合安定性と耐水性のバランスを高水準に保つために必須の成分であって、その使用量は、全単量体の0.5〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%である。
【0009】
さらに、(c)上記(a)および(b)成分と共重合可能な他の単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどのエチレン系不飽和カルボン酸のアルキルアミド;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル;エチレン系不飽和ジカルボン酸の酸無水物、モノアルキルエステル、モノアミド類;アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ブチルアミノエチルアクリレートなどのエチレン系不飽和カルボン酸のアミノアルキルエステル;アミノエチルアクリルアミド、
ジメチルアミノメチルメタクリルアミド、メチルアミノプロピルメタクリルアミドなどのエチレン系不飽和カルボン酸のアミノアルキルアミド;(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和脂肪族グリシジルエステルなどを挙げることができ、好ましくはスチレン、アクリロニトリル、α−メチルスチレンなどである。これらの(c)他の単量体は1種単独でも、あるいは2種以上を併用することもできる。
【0010】
これらの(c)他の単量体の使用量は、全単量体の0〜49.5質量%、好ましくは0〜30質量%である。
本発明の共重合体ラテックスは、特定割合の前記単量体(a)〜(c)成分を、公知の界面活性剤、重合開始剤、連鎖移動剤などを使用して乳化重合されたものである。
ここで、界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤を挙げることができるが、特に、分子中にラジカル重合性のエチレン性不飽和結合を有する反応性界面活性剤が好ましい。分子中にラジカル重合性のエチレン性不飽和結合を有する反応性陰イオン界面活性剤は下記式(1)、(2)、(3)で表される化合物が挙げられる。
【0011】
【化1】
Figure 2005023189
【0012】
(式中、R71は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基であり、R72は水素、炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基、またはアラルキル基、R73は水素またはプロペニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基または一部が置換されたアルキレン基であり、nは1〜200の整数、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウムである。)
【0013】
【化2】
Figure 2005023189
【0014】
(式中、R81は水素またはメチル基、R82は炭素数8〜24のアルキル基またはアシル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは0〜50の整数、mは0〜20の整数、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウムである。)
【0015】
【化3】
Figure 2005023189
【0016】
(式中、R91は炭素数8〜30のアルキル基、R92は水素またはメチル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基もしくは置換アルキレン基、nは0または1〜200の整数であり、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウムもしくはアルカノールアミン残基である。)
【0017】
上記式(1)で表される化合物として、例えば第一工業製薬(株)製アクアロン(商標)HS−10などがあり、上記式(2)で表される化合物として例えば、旭電化工業(株)製アデカリアソープ(商標)SE−1025A、SR−1025A、SR−10N、SR−20Nなどがあり、上記式(3)で表される化合物として例えば、第一工業製薬(株)製アクアロン(商標)KH−5、KH−10などが挙げられる。その他ラジカル重合性二重結合を有する陰イオン界面活性剤として例えば、日本乳化剤(株)製Antox(商標)−MS−60などがあり、花王(株)製ラテムルPD−101、PD−104などがあり、三洋化成(株)製エレミノール(商標)RS−30などがある。その他の陰イオン性界面活性剤としては、例えば高級アルコール硫酸エステルのアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸のアルカリ金属塩、ポリオキシエチレンアルキル(またはアルキルフェニル)エーテルの硫酸エステル塩などが挙げられる。
【0018】
分子中にラジカル重合性のエチレン性不飽和結合を有する反応性非イオン界面活性剤は、下記式(4)、(5)で表される化合物が挙げられる。
【0019】
【化4】
Figure 2005023189
【0020】
(式中、R121は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基であり、R122は水素、炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基、またはアラルキル基、R123は水素またはプロペニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基または一部が置換されたアルキレン基であり、nは1〜200の整数である。)
【0021】
【化5】
Figure 2005023189
【0022】
(式中、R131は水素またはメチル基、R132は炭素数8〜24のアルキル基またはアシル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは0〜100の整数、mは0〜50の整数である。)
【0023】
上記式(4)で表される化合物として例えば、第一工業製薬(株)製アクアロン(商標)RN−10、RN−20、RN−30、RN−50などが挙げられる。上記式(5)で表される化合物として例えば、旭電化工業(株)製アデカリアソープ(商標)NE−20、NE−30、NE−40、ER−10、ER−20、ER−30、ER−40などが挙げられる。その他の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどが挙げられる。
【0024】
界面活性剤の使用量は、前記単量体(a)〜(c)成分の総計量に対して、好ましくは0.2〜4質量%、特に好ましくは0.5〜3質量%である。
連鎖移動剤としては、α−メチルスチレンダイマー、好ましくは2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン成分を60質量%以上含むα−メイルスチレンダイマー、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン四塩化炭素、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサドデシルメルカプタン、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、テトラエチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、9,10−ジヒドロアントラセン、1,4−ジヒドロアントラセン、1,4−シクロヘキサジエン、1,4−シクロペンタジエン、2,5−ジヒドロフラン、キサンテン、3−フェニル−1−ペンテンなどを用いることができ、これらは単量体全体に対して、通常0〜15質量%使用される。
【0025】
さらに、重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩系開始剤、あるいは過酸化水素などの無機系開示剤、クメンハイドロパーオキサイド、イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ベシゾイルパーオキサイドなどの無機過酸化物、あるいはアゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系開始剤で代表される有機系開始剤を挙げることができる。この重合開始剤の使用量は、好ましくは0.03〜2質量%、特に好ましくは0.05〜1質量%である。
【0026】
なお、乳化重合を促進させるために、例えばピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、グルコース、ホルムアルデヒド、ナトリウムスルホキシレート、L−アスコルビン酸およびその塩、亜硫酸水素ナトリウムの還元剤、グリシン、アラニン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどのキレート剤を併用することもできる。
乳化重合に際しては、前記界面活性剤、連鎖移動剤、重合開始剤などのほかに、必要に応じて各種電解質、ph調整剤などを併用し、前記単量体(a)〜(c)成分100質量部に対して、水80〜300質量部と前記界面活性剤、連鎖移動剤、重合開始剤などを前記範囲内の量で使用して、重合温度10〜90℃、好ましくは40〜80℃、重合時間6〜40時間の重合条件下で乳化重合される。
【0027】
前記単量体(a)〜(c)の添加方法は特に制限されるものではなく、一括添加法、連続添加法あるいは分割添加法などの任意の方法が採用される。
なお、共重合体の最終的な重合転化率は90〜100%、特に95〜100%であることが好ましい。またシード重合を採用する場合には、あらかじめ(a)〜(c)成分からなる単量体を乳化重合して得られるポリマーをサード粒子とし、これに(a)〜(c)成分からなる単量体混合物を加えて乳化重合すればよい。
【0028】
本発明における共重合体ラテックスは、上記(a)〜(c)成分からなる単量体混合物を水性媒体中で乳化重合することによって得られるが、本発明の特徴は、この乳化重合して得られる共重合体ラテックスの存在下、アルコキシシラン化合物を縮合させることにある。
アルコキシシラン化合物を一般式で表わすと、RnSi(OR′)4−nである。
式中、Rは炭素数1〜8の有機基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基などのアルキル基、その他のγ−クロロピル基、ビニル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、フェニル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルオキシ基、γ−アミノプロピル基などである。
【0029】
また、式中、R′は炭素数1〜5のアルキル基、または炭素数1〜4のアシル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アセチル基などである。
なお、式中のRまたはR′の炭素数が大きすぎると水溶性が低くなり、共重合体ラテックスの共重合体粒子への吸収性が悪くなる。
【0030】
これらのアルコキシシラン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシランなどを挙げることができる。
【0031】
好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどである。これらのアルコキシシラン化合物は、1種単独、または2種以上併用することができ、ほかの例えばチタン、アルミニウムなどの金属アルコキシドと併用することもできる。また、これらのアルコキシシラン化合物は、必要に応じて有機溶媒に溶解させて使用することもできる。
【0032】
本発明において、共重合体ラテックスに添加されたアルコキシシラン化合物の縮合反応は、共重合体ラテックス粒子に吸収され、あるいは該粒子に吸収されずに縮合反応してもよいが、一段と優れた本発明の目的とするものを得るためには、共重合体粒子に吸収され縮合反応されるアルコキシシラン化合物は、好ましくは使用される全アルコキシシラン化合物の5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、特に好ましくは30質量%以上である。
【0033】
本発明において、共重合体ラテックスに添加したアルコキシシラン化合物を縮合させる方法は、共重合体ラテックスにアルコキシシラン化合物を添加し、十分撹拌することにより容易に達成される。さらに、アルコキシシラン化合物を共重合体粒子に効率よく吸収させるために、必要に応じて水に対する溶解度が10−3質量%以下の溶媒を、あらかじめ共重合体ラテックスの共重合体粒子に吸収させておくことも可能である。
【0034】
そして、共重合体ラテックス(I)に添加されたアルコキシシラン化合物の縮合反応は、反応温度、水素イオン濃度によって制御される。
本発明のアルコキシシラン化合物の縮合反応における反応温度は、通常、30℃以上、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは70℃以上であり、水素イオン濃度は、通常、ph4〜10、好ましくは5〜9、さらに好ましくは6〜8である。
【0035】
共重合体ラテックス(I)に添加されるアルコキシシラン化合物の量としては、共重合体ラテックスの固形分100質量部に対して、0.1〜500質量部、好ましくは0.5〜100質量部、さらに好ましくは1〜5質量部である。
共重合体ラテックスのアルコキシシラン化合物の添加は、共重合体ラテックス(I)の重合工程中に添加してもよく、好ましくは重合転化率50質量%以上で添加される。
なお、本発明の水性分散体の固形分濃度は、通常、20〜70質量%、好ましくは30〜60質量%に調製される。
【0036】
本発明における(B)コロイド状無機粒子としては、コロイダルシリカが入手が容易で、安価であり好ましい。コロイダルシリカは、ゾル−ゲル法で調製して使用することもでき、市販品を利用することもできる。コロイド状シリカをゾル−ゲル法で調製する場合には、Werner Stober et al;J.Colloid and Interface Sci., 26, 62−69 (1968)、Rickey D.Badley et al;Lang muir 6, 792−801 (1990)、色材協会誌,61 [9] 488−493 (1988) などを参照できる。コロイダルシリカは、二酸化ケイ素を基本単位とするシリカの水または水溶性溶媒の分散体であり、その平均粒子径は好ましくは5〜120nm、より好ましくは10〜80nmである。
【0037】
粒子径が5nm以上では塗液の貯蔵安定性が良く、120nm以下では耐水白化性が良い。上記範囲の粒子径のコロイダルシリカは、水性分散液の状態で、酸性、塩基性のいずれであっても用いることができ、混合する(A)水性分散体の安定領域に応じて、適宜選択することができる。水を分散媒体とする酸性のコロイダルシリカとしては、例えば市販品として日産化学工業(株)製スノーテックス(商標)−O、スノーテックス−OL、旭電化工業(株)製アデライト(商標)AT−20Q、クラリアントジャパン(株)製クレボゾール(商標)20H12、クレボゾール30CAL25などが利用できる。
【0038】
塩基性のコロイダルシリカとしては、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アミンの添加で安定化したシリカがあり、例えば日産化学工業(株)製スノーテックス−20、スノーテックス−30、スノーテックス−C、スノーテックス−C30、スノーテックス−CM40、スノーテックス−N、スノーテックス−N30、スノーテックス−K、スノーテックス−XL、スノーテックス−YL、スノーテックス−ZL、スノーテックスPS−M、スノーテックスPS−Lなど、旭電化工業(株)製アデライトAT−20、アデライトAT−30、アデライトAT−20N、アデライトAT−30N、アデライトAT−20A、アデライトAT−30A、アデライトAT−40、アデライトAT−50など、クラリアントジャパン(株)製クレボゾール30R9、クレボゾール30R50、クレボゾール50R50など、デュポン社製ルドックス(商標)HS−40、ルドックスHS−30、ルドックスLS、ルドックスSM−30などを挙げることができる。
【0039】
また、水溶性溶剤を分散媒体とするコロイダルシリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製MA−ST−M(粒子径が20〜25nmのメタノール分散タイプ)、IPA−ST(粒子径が10〜15nmのイソプロピルアルコール分散タイプ)、EG−ST(粒子径が10〜15nmのエチレングリコール分散タイプ)、EG−ST−ZL(粒子径が70〜100nmのエチレングリコール分散タイプ)、NPC−ST(粒子径が10〜15nmのエチレングリコールモノプロピルエーテール分散タイプ)などを挙げることができる。
【0040】
また、これらコロイダルシリカは一種または二種類以上組み合わせてもよい。少量成分として、アルミナ、アルミン酸ナトリウムなどを含んでいてもよい。また、コロイダルシリカは、安定剤として無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニアなど)や有機塩基(テトラメチルアンモニウムなど)を含んでいてもよい。
また、(B)コロイド状無機粒子としては、シリカ以外のコロイド状粒子を与える無機化合物を使用してもよく、当該無機化合物の具体例としては、TiO、TiO、SrTiO、FeTiO、WO、SnO、Bi、In、ZnO、Fe、RuO、CdO、CdS、CdSe、GaP、GaAs、CdFeO、MoS、LaRhO、GaN、CdP、ZnS、ZnSe、ZnTe、Nb、ZrO、InP、GaAsP、InGaAlP、AlGaAs、PbS、InAs、PbSe、InSbなどの光触媒能を有する半導体の他、
【0041】
Al、AlGa、As、Al(OH)、Sb、Si、Sn−In、Sb−In、MgF、CeF、CeO、3Al・2SiO、BeO、SiC、AlN、Fe、Co、Co−FeO、CrO、FeN、BaTiO、BaO−Al−SiO、Baフェライト、SmCO、YCO、CeCOPrCO、SmCO17、NdFe14B、Al、α−Si、SiN、CoO、Sb−SnO、Sb、MnO、MnB、Co、CoB、LiTaO、MgO、MgAl、BeAl、ZrSiO、ZnSb、PbTe、GeSi、FeSi、CrSi、CoSi、MnSi1.73、MgSi、β−B、BaC、BP、BaC、BP、TiB、ZrB、HfB、RuSi、TiO(ルチル型)、TiO、PbTiO、AlTiO、ZnSiO、ZrSiO、2MgO−Al−5SiO、Nb、LiO−Al−4SiO、Mgフェライト、Niフェライト、Ni−Znフェライト、Liフェライト、Srフェライトなど挙げられる。これらコロイド状無機粒子は単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0042】
有機ポリマーで被覆されたコロイド状無機粒子としては、特に限定されるものではないが、例えばエチレン性不飽和単量体、ラジカル重合性二重結合を有する加水分解性シランを、コロイダルシリカを乳化重合する方法により得られる粒子(例えば、特開昭59−71316号公報に開示)、エチレン性不飽和単量体、陰イオン性重合性単量体をコロイダルシリカの存在下乳化重合する方法により得られる粒子(例えば、特開昭59−217702号公報に開示)、無機粒子に水溶性高分子化合物を吸着させついでラジカル重合性モノマーの重合物で被覆する方法より得られる粒子(例えば、特開昭60−58237号公報に開示)、
【0043】
エチレン性不飽和単量体、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体をコロイダルシリカの存在下乳化重合する方法より得られる粒子(例えば、特開平6−199917号公報で開示)、コア/シェル構造を有し、コア中に有機高分子と有機高分子と共有結合していないシリカおよび/またはコロイダルシリカを配し、シェル中に有機高分子を配し、コア有機高分子/シェル有機高分子間に三次元架橋網目構造および/またはIPN構造を形成せしめることにより、コア中のシリカおよび/またはコロイダルシリカを共有結合によることなく物理化学的に粒子内に保持した粒子(例えば、特開平8−290912号公報に開示)、
【0044】
コロイダルシリカ、活性剤および水の存在下、エチレン性不飽和化合物を乳化重合する方法より得られる粒子(例えば、特開平11−1893号公報に開示)、カチオン性残基を介して、コロイド状シリカ粒子表面にビニル重合体が結合した粒子(例えば、特開平11−209622号公報に開示さ)、直接またはノニオン界面活性剤を介して無機または有機粒子表面にビニル重合体が結合した粒子(例えば、特開2000−290464号公報に開示)、無機または有機粒子表面にノニオン界面活性剤が集合または凝集して沈着しているコロイド状微粒子(例えば、特開2001−335721号公報に開示)などであることが好ましい。
【0045】
本発明において、(B)コロイド状無機粒子は、(A)水性分散体の樹脂固形分100質量部に対し、好ましくは0.1〜95質量部用いられ、より好ましくは0.1〜50質量部、さらに好ましくは0.5〜20質量部用いる。
本発明において、(C)スルフォコハク酸系界面活性剤は、下記式(1)で表されるスルフォコハク酸系化合物が挙げられる。
【0046】
【化6】
Figure 2005023189
【0047】
{式中、Ra,Rbは同一でも、異なっていてもよく、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数6〜19アラルキル基等の炭化水素基、またはその一部が水酸基、カルボン酸基などで置換されたもの、もしくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が2〜4、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素数が2〜4)などのアルキレンオキサイド化合物を含む有機基またはアルカリ金属、アンモニウム、有機アミン塩基または有機第四級アンモニウム塩基であり、Mはアルカリ金属、アンモニウム、有機アミン塩基または有機第四級アンモニウム塩基を示す。)
【0048】
さらに詳しくは、上記式(6)で表される化合物のRa,Rbにおいて、Raおよび/またはRbが下記式(7)、(8)、(9)で表される化合物が挙げられる。
【0049】
【化7】
Figure 2005023189
【0050】
【化8】
Figure 2005023189
【0051】
【化9】
Figure 2005023189
【0052】
{式(7)、(8)、(9)、のそれぞれにおいて、R21は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数6〜19アラルキル基等の炭化水素基、またはその一部が水酸基、カルボン酸基などで置換されたもの、もしくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が2〜4、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素数が2〜4)などのアルキレンオキサイド化合物を含む有機基であり、Aは炭素数2〜4個のアルキレン基または置換されたアルキレン基であり、nは0〜200の整数であり、R22は水素またはメチル基である。)}
【0053】
本発明において、一般式(6)〜(9)で表されるものとして、例えばスルフォコハク酸ジオクチルナトリウム{花王(株)製ペレックス(商標)OT−P、または三井サイテック(株)製エアロゾル(商標)OT−75など}、スルフォコハク酸ジヘキシルナトリウム{三井サイテック(株)製エアロゾル(商標)MA−80など}、三洋化成(株)製エレミノール(商標)JS−2,JS−5、花王(株)製ラテムル(商標)S−120,S−180,S−180A、三井サイテック(株)製エアロゾル(商標)TR−70、A−196−85、AY−100、IB−45、A−102,A−103、501などがある。
【0054】
本発明において、(C)スルフォコハク酸系界面活性剤は、(A)水性分散体の樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜20質量部用いられ、好ましくは、0.5〜10質量部、さらに好ましくは1.0〜5質量部用いる。この範囲で使用すると、耐水性良好な皮膜が形成される。
本発明において、スルフォコハク酸系界面活性剤は水性分散体(A)を乳化重合する際に用いても良いし、水性分散体(A)を乳化重合した後、コロイド状無機粒子を配合する際に用いても良い。
コロイド状無機粒子または有機ポリマーで被覆されたコロイド状無機粒子と併せてこの範囲で使用すると、雨筋汚染防止性に優れた塗膜が形成される。
【0055】
本発明の水系コーティング組成物には、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、クレイ、硫酸バリウム、ケイ酸、ケイ酸塩、酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどの充填剤;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム塩、ピロリン酸カリウム塩などの分散剤;ヒドロキシエチルセルロース、高分子量ポリアクリル酸ナトリウムなどの増粘剤;ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、エポキシ化脂肪酸エステルなどの可塑剤;n−プロピルアルコール、エチルセロソルブ、カルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどの助剤;
メラミン−ホルマリン樹脂、グリオキザール系樹脂、エポキシ系化合物、無機金属錯体、アジリジン系化合物などの硬化剤;ロジン変性ポリエステル樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合樹脂などのレベリング剤などを組み合わせて各用途の目的に合わせて配合してもよい。
そのほか、本発明の水系コーティング組成物には、必要に応じて消泡剤、発、着色剤、難燃剤、防腐剤、老化防止剤、安定剤、加硫促進剤、帯電防止剤、ph調整剤などを加えることもできる。
【0056】
【実施例】
以下、実施例を挙げ本発明をさらに詳細に説明する。
なお、実施例中における部および%は、特に断わらない限り質量部および質量%である。また、得られた水系コーティング組成物の物性試験については、該水系コーティング組成物を用いて下記に示す配合組成で塗料を調整し、以下に示す試験方法に従って試験を実施した。
【0057】
<水性塗料の配合>
酸化チタン(石原産業(株)製タイペークR−630) 27部
分散剤(Rohm&Hass社製、オロタン731SD) 5部
増粘剤(フジケミカル(株)製、A−5000) 2部
可塑剤(イーストマン・ケミカル社製、テキサノール) 3部
イオン交換水 3部
水系コーティング組成物(固形分換算) 60部
【0058】
<試験方法>
・水接触角
上記の水性塗料をスレート板に乾燥膜厚100g/mとなるように刷毛塗りし、常温乾燥によりテスト板を作製し、エルマ光学(株)製の接触角測定装置を使用し、塗膜の水接触角を測定した。
・耐候性
上記の水性塗料をスレート板に乾燥膜厚100g/mとなるように刷毛塗りし、常温乾燥によりテスト板を作し、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機(株)製、DewCycleWEL−SUN−DC型)(63℃)を用い、300時間暴露後の光沢保持率、黄変度を調査した。
光沢は、JISK−5400に基づき、60゜鏡面光沢度を測定した。
黄変度は、SMカラーコンピューター(スガ試験機(株)、SM−5−1S−3B型)を用いて測定した。
【0059】
・密着性
上記の水性塗料をスレート板に乾燥膜厚100g/mとなるように刷毛塗りし、常温乾燥によりテスト板を作し、JISK−5401に準じて、1mm角100個の碁盤目試験を行ない、セロハンテープにより剥離状態を確認し、100個中の接着数により判定を行なった。
・耐水性
上記の水性塗料をスレート板に乾燥膜厚100g/mとなるように刷毛塗りし、常温乾燥によりテスト板を作し、蒸留水(20℃)に24時間浸漬した後の塗膜の状態によって判定した。
◎……優秀
○……良好
△……普通
×……悪い
【0060】
・雨筋汚染防止性
図1に示したアルマイト板上に、上記の水性塗料を乾燥膜厚100g/mとなるように刷毛塗りし、常温乾燥によりテスト板を作し、このテスト板を屋外にて地面に塗膜面が垂直に、かつ北方向になるように固定し、曝露開始後3カ月後について雨筋汚染防止性を目視判定した。判定基準は以下の通り。
◎;雨筋が全く見られない。
〇;全体の汚れてはいるが、雨筋が見られない。
△;全体の汚れ、やや雨筋が見られる。
×;雨筋が著しく見られる。
【0061】
[水性分散体の製造例1]
コンデンサー、窒素導入口、温度計、単量体添加ポンプ撹拌機を備えたステンレス製オートクレーブに、イオン交換水100部と、重合開始剤として過酸化ナトリウム0.5部を仕込み、気相部を15分間窒素ガスで置換し、80℃に昇温した。
別容器で、イオン交換水50部と、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩1.0部と、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部と、スルフォコハク酸系界面活性剤(製品名:エアロゾルOT−75(有効分:約75%)、三井サイテック(株)製)4部と、アクリル酸n−ブチル50部、メタクリル酸メチル28部、アクリル酸2部、スチレン20部を混合撹拌し、プレ乳化物をつくり、それを4時間かけてフラスコ中に滴下した。滴下中は窒素を導入しながら80℃で反応を行なった。滴下終了後、さらに85℃で2時間撹拌した後、25℃まで冷却し反応を終了した。
【0062】
得られた共重合体ラテックスの重合添加率は、98%以上であった。
25℃を保った状態で系のphを7に調整し、メチルトリエトキシシラン10部を添加し、約30分間にわたって強く撹拌した。その後、反応容器を60℃に昇温し、3時間反応させ、最終の水性分散体を得た。
【0063】
[水性分散体の製造例2]
コンデンサー、窒素導入口、温度計、単量体添加ポンプ撹拌機を備えたステンレス製オートクレーブに、イオン交換水100部と、重合開始剤として過酸化ナトリウム0.5部を仕込み、気相部を15分間窒素ガスで置換し、80℃に昇温した。
別容器で、イオン交換水50部と、反応性界面活性剤(製品名:アクアロンKH−10、第一工業製薬(株)製)の25%水溶液6部、スルフォコハク酸系界面活性剤(製品名:エアロゾルOT−75(有効分:約75%)、三井サイテック(株)製)4部と、アクリル酸n−ブチル50部、メタクリル酸メチル28部、アクリル酸2部、スチレン20部を混合撹拌し、プレ乳化物をつくり、それを4時間かけてフラスコ中に滴下した。滴下中は窒素を導入しながら80℃で反応を行なった。滴下終了後、さらに85℃で2時間撹拌した後、25℃まで冷却し反応を終了した。
【0064】
得られた共重合体ラテックスの重合添加率は、98%以上であった。
25℃を保った状態で系のphを7に調整し、メチルトリエトキシシラン10部を添加し、約30分間にわたって強く撹拌した。その後、反応容器を60℃に昇温し、3時間反応させ、最終の水性分散体を得た。
【0065】
[水性分散体の製造例3]
コンデンサー、窒素導入口、温度計、単量体添加ポンプ撹拌機を備えたステンレス製オートクレーブに、イオン交換水100部と、重合開始剤として過酸化ナトリウム0.5部を仕込み、気相部を15分間窒素ガスで置換し、80℃に昇温した。
別容器で、イオン交換水50部と、反応性界面活性剤(製品名:アクアロンKH−10、第一工業製薬(株)製)の25%水溶液6部、アクリル酸n−ブチル50部、メタクリル酸メチル28部、アクリル酸2部、スチレン20部を混合撹拌し、プレ乳化物をつくり、それを4時間かけてフラスコ中に滴下した。滴下中は窒素を導入しながら80℃で反応を行なった。滴下終了後、さらに85℃で2時間撹拌した後、25℃まで冷却し反応を終了した。
【0066】
得られた共重合体ラテックスの重合添加率は、98%以上であった。
25℃を保った状態で系のphを7に調整し、メチルトリエトキシシラン10部を添加し、約30分間にわたって強く撹拌した。その後、反応容器を60℃に昇温し、3時間反応させ、最終の水性分散体を得た。
【0067】
[水性分散体の製造例4]
コンデンサー、窒素導入口、温度計、単量体添加ポンプ撹拌機を備えたステンレス製オートクレーブに、イオン交換水100部と、重合開始剤として過酸化ナトリウム0.5部を仕込み、気相部を15分間窒素ガスで置換し、80℃に昇温した。
別容器で、イオン交換水50部と、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩1.0部と、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部と、アクリル酸n−ブチル50部、メタクリル酸メチル28部、アクリル酸2部、スチレン20部を混合撹拌し、プレ乳化物をつくり、それを4時間かけてフラスコ中に滴下した。滴下中は窒素を導入しながら80℃で反応を行なった。滴下終了後、さらに85℃で2時間撹拌した後、25℃まで冷却し反応を終了した。
【0068】
得られた共重合体ラテックスの重合添加率は、98%以上であった。
25℃を保った状態で系のphを7に調整し、メチルトリエトキシシラン10部を添加し、約30分間にわたって強く撹拌した。その後、反応容器を60℃に昇温し、3時間反応させ、最終の水性分散体を得た。
【0069】
[実施例1]
水性分散体の製造例1により得られた水分散体266部に、コロイダルシリカ(製品名:スノーテックス−CM40、日産化学工業(株)製)28部を均一に混合して、固形分率41.5%の水系コーティング組成物を得た。この水系コーティング組成物について前記した水性塗料配合をし、各試験を行い、結果を表1に示した。
【0070】
[実施例2]
水性分散体の製造例2により得られた水分散体270.5部に、コロイダルシリカ(製品名:スノーテックス−CM40、日産化学工業(株)製)28部を均一に混合して、固形分率40.4%の水系コーティング組成物を得た。この水系コーティング組成物について前記した水性塗料配合をし、各試験を行い、結果を表1に示した。
【0071】
[実施例3]
水性分散体の製造例3により得られた水分散体266.5部に、スルフォコハク酸系界面活性剤(製品名:エアロゾルOT−75(有効分:約75%)、三井ササイテック(株)製)4部、コロイダルシリカ(製品名:スノーテックス−CM40、日産化学工業(株)製)28部の順に均一に混合して、固形分率40.7%の水系コーティング組成物を得た。この水系コーティング組成物について前記した水性塗料配合をし、各試験を行い、結果を表1に示した。
【0072】
[比較例1]
水性分散体の製造例4により得られた水性分散体について前記した水性塗料配合をし、各試験を行い、結果を表1に示した。
【0073】
【表1】
Figure 2005023189
【0074】
【発明の効果】
本発明の水系コーティング組成物は、水系塗料に利用され、該組成物からなる塗膜は、耐水性、耐候性、雨筋汚染防止性、およびに無機基材への密着性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例で用いた屋外曝露板の形状の概略図である。

Claims (1)

  1. (a)アルキル基の炭素数が1〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体50〜99.5質量%、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜15質量%、および(c)(a)および(b)成分と共重合可能な他の単量体0〜49.5質量%(ただし、(a)+(b)+(c)=100質量%)からなる単量体を乳化重合することにより得られる共重合体ラテックス100質量部(固形分換算)の存在下、アルコキシシラン化合物0.1〜500質量部の縮合反応を進行させることを特徴とする水性分散体(A)であって、該(A)水性分散体および(B)コロイド状無機粒子および(C)スルフォコハク酸系界面活性剤を含むことを特徴とする水系コーティング組成物。
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