JP2019199083A - 樹脂塗装金属板 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明で用いる金属板には、特に限定は無く、例えば非めっき冷延金属板、溶融亜鉛めっき金属板(GI)、合金化溶融亜鉛めっき金属板(GA)、電気亜鉛めっき金属板(EG)、アルミ板およびチタン板等を挙げることができる。これらの中でも、クロメート処理が行われていない溶融亜鉛めっき金属板(GI)や合金化溶融亜鉛めっき金属板(GA)に本発明を適用するのが好ましい。
皮膜中に含まれるコロイダルシリカは、コロイダルシリカと樹脂成分との合計100質量部中、30〜80質量部であり、より好ましくは40〜75質量部であり、さらに好ましくは50〜70質量部である。コロイダルシリカが上記範囲内にある表面処理組成物を用いると、形成される樹脂皮膜の造膜性が良好なため、皮膜剥離が発生し難く、摺動性が向上する。また、表面処理組成物の表面張力が低くなって、表面の粗度が粗く水濡れ性に劣るGAの表面(凹部)にも表面処理組成物が侵入して、GAの粗面に沿って樹脂皮膜が形成されるため、塗膜密着性も向上する。
また、大粒径のコロイダルシリカであるコロイダルシリカ(B)に相当する平均粒子径10〜15nmのものとしては、同じく日産化学工業社製の「スノーテックス(登録商標)30」、「スノーテックス(登録商標)40」、「スノーテックス(登録商標)N30G」、「スノーテックス(登録商標)N」、「スノーテックス(登録商標)O」等が挙げられる。皮膜中のナトリウムの量を制御するためには、特に、アンモニアで安定化された「スノーテックス(登録商標)N30G」、「スノーテックス(登録商標)N」が好適に用いられる。
なお、本明細書におけるコロイダルシリカの平均粒子径は、平均粒子径が1〜10nm程度の場合にはシアーズ法、10〜100nm程度の場合にはBET法により測定された値である。また、製造者のパンフレットに公証値が記載されている場合、公証値を平均粒子径とする。
コロイダルシリカは、水ガラス(Na2SiO3)からナトリウムをイオン交換によって除去して製造されるのが一般的であり、コロイダルシリカを安定化させるために、微量のナトリウムが残存する。また、樹脂成分が水系エマルション(水性分散液)である場合、エマルションを安定化させるためにナトリウムが添加される場合がある。
皮膜中に含まれる樹脂成分は、コロイダルシリカと樹脂成分との合計100質量部中、20〜70質量部であり、より好ましくは25〜60質量部であり、さらに好ましくは30〜50質量部である。樹脂成分が上記範囲内にある表面処理組成物は、形成される樹脂皮膜の造膜性が良好なため、皮膜剥離が発生し難く、摺動性が向上する。
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂は、特に限定されないが、ポリオレフィン系樹脂は、オレフィン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体(以下「オレフィン−酸共重合体」と称することがある)を含むことが好ましく、オレフィン−酸共重合体から構成されることがより好ましい。樹脂成分がオレフィン−酸共重合体を含むことにより、耐塩水性や摺動性が向上する。
オレフィン−酸共重合体は、オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸とを既知の方法で共重合させることにより製造でき、また市販されている。オレフィン−酸共重合体は、1種または2種以上を使用することができる。
ポリオレフィン系樹脂は、オレフィン−酸共重合体及びα,β−不飽和カルボン酸重合体(以下「カルボン酸重合体」と称することがある)を含むことが好ましく、オレフィン−酸共重合体及びカルボン酸重合体から構成されることがより好ましい。樹脂成分がさらにカルボン酸重合体を含むことにより、耐塩水性や摺動性がより向上する。その正確なメカニズムは不明であるが、これらの重合体とコロイダルシリカとの結合力が増し、緻密な樹脂皮膜が形成され、さらには、水の透過が効果的に抑制されるためであると推定される。
本発明で用いられるポリウレタン系樹脂は、特に限定されないが、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂であることがより好ましい。上記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂は、ウレタンプレポリマーを鎖延長剤で鎖延長反応して得られるものであり、上記ウレタンプレポリマーは、後述するポリイソシアネート成分とポリオール成分とを反応させて得られる。上記ウレタンプレポリマーを構成するポリイソシアネート成分としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)よりなる群から選択される少なくとも1種のポリイソシアネートを使用することが好ましい。かかるポリイソシアネートを使用することにより、耐食性、反応制御の安定性に優れる樹脂皮膜が得られるからである。上記好適ポリイソシアネートの他にも、耐食性や反応制御の安定性を低下させない範囲で他のポリイソシアネートを使用することができるが、好適ポリイソシアネート成分の含有率は、全ポリイソシアネート成分の70質量%以上としておくことが望ましい。好適ポリイソシアネート成分の含有率が70質量%未満であると、耐食性・反応制御の安定性が低下する傾向があるからである。上記好適ポリイソシアネート成分以外のポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカンメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネートなどを挙げることができる。上記ポリイソシアネートは、単独、或いは、少なくとも2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の表面処理組成物には、グリシドキシ基含有シランカップリング剤(より詳細には、末端にグリシドキシ基を有するシランカップリング剤)が含まれることが好ましい。グリシドキシ基含有シランカップリング剤を用いると、樹脂皮膜と金属板との密着性が向上する。また、樹脂皮膜中のコロイダルシリカと樹脂成分との結合力を向上させる効果も併せ持つと考えられ、摺動性や塗膜密着性の向上効果が大きい。さらに、グリシドキシ基含有シランカップリング剤を添加しておくと、表面処理組成物の表面張力が低下するため金属板との濡れ性が良くなって表面処理組成物の塗布性が向上し、均一な樹脂皮膜の形成が可能になる。また、表面処理組成物をスプレーリンガー方式(表面処理組成物を金属板の表面にスプレーした後、リンガーロールで絞る塗布方法)で循環使用した場合に、組成物中の界面活性剤に起因する発泡を抑制する効果も発現する。
本発明の表面処理組成物には、さらにメタバナジン酸塩が含まれることが好ましい。メタバナジン酸塩は溶出することによって金属板の溶解・溶出を抑制し、耐塩水性などを高める効果を有する。この効果を有効に発揮させるためには、コロイダルシリカと樹脂成分の合計100質量部に対し、メタバナジン酸塩を0.5〜3質量部用いるとよい。0.5質量部より少ないと、上記効果が不充分となる。また、3質量部を超えて添加すると、塗膜密着性が著しく低下する傾向が認められる。これは、過剰のメタバナジン酸塩がグリシドキシ基含有シランカップリング剤の加水分解反応を抑制し、若干であるがコロイダルシリカと樹脂成分の結合力に影響を及ぼしたためであると推定される。さらに、表面処理組成物の液安定性も悪化する傾向がある。メタバナジン酸塩量は0.7〜2.0質量部がより好ましい。なお、このメタバナジン酸塩の好適量は、V2O5化合物換算量である。
上記樹脂成分には、さらに添加剤としてアクリル変性エポキシ樹脂を含むことが好ましい。塗膜を常温で乾燥させる場合、樹脂成分として、低温で造膜が可能なアクリル変性エポキシ樹脂を併用することによって、塗膜密着性を向上させることができる。
本発明の表面処理組成物は、さらにカルボジイミド基含有化合物を含んでいても良い。カルボジイミド基は、オレフィン−酸共重合体およびカルボン酸重合体中のカルボキシル基と反応して、樹脂皮膜中のカルボキシル基量を減少させて、耐アルカリ性を向上させることができる。本発明において、1種または2種以上のカルボジイミド基含有化合物を使用できる。
本発明の表面処理組成物は、金属板の表面に塗布することができる溶剤系組成物または水系組成物のいずれでも良いが、環境上の問題から、水系組成物であることが好ましい。表面処理組成物は、有機溶剤(溶剤系組成物の場合)または水、好ましくは脱イオン水(水系組成物の場合)、コロイダルシリカ、オレフィン−酸共重合体、カルボン酸重合体、アクリル変性エポキシ樹脂、グリシドキシ基含有シランカップリング剤、メタバナジン酸塩、必要に応じてカルボジイミド基含有化合物またはその他の成分を所定量配合して撹拌することによって調製することができる。
本発明で用いる表面処理組成物の固形分は、特に限定は無く、金属板への表面処理組成物の塗布方法にあわせて調整すれば良い。表面処理組成物の固形分は、一般に5〜30質量%程度であり、例えばスプレーリンガー法(表面処理組成物を金属板の表面にスプレーした後、リンガーロールで絞る塗布方法)により塗布する場合、10〜25質量%程度が好適である。
本発明において、金属板上に樹脂皮膜を形成する方法および条件には特に限定は無く、既知の塗布方法で、表面処理組成物を金属板表面の片面または両面に塗布し、加熱乾燥することにより樹脂塗装金属板を製造することができる。表面処理組成物の塗布方法として、例えばバーコーター法、カーテンフローコーター法、ロールコーター法、スプレー法、スプレーリンガー法等を挙げることができ、これらの中でも、コスト等の観点からバーコーター法やスプレーリンガー法が好ましい。また加熱乾燥条件にも特に限定は無く、加熱乾燥温度として50〜120℃程度、好ましくは70〜100℃程度を例示することができる。あまりに高い加熱乾燥温度は、樹脂皮膜が劣化するので好ましくない。
樹脂塗装金属板における樹脂皮膜の付着量は、乾燥質量で、好ましくは0.2〜1.5g/m2、より好ましくは0.3〜1.0g/m2である。付着量が0.2g/m2未満の場合には、金属板表面を覆うことが困難となり、摺動性や塗膜密着性が大きく損なわれる。一方、付着量が1.5g/m2を超えると、ロール成形時に剥離する皮膜量が増加するため、水切りパッドへの皮膜カスの堆積量が増加して、トラブルの原因となるおそれがあって好ましくない。また、塗膜密着性が大きく損なわれるおそれがある。なお、本発明の樹脂皮膜は、コロイダルシリカを多く含む場合があり、その場合には比重が大きくなるため、樹脂成分リッチな従来の樹脂皮膜に比べ、付着量が同じでも薄膜化に成功している。このことも、皮膜カスの低減に寄与している。
以下では、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を示すものとする。
20×20mmの樹脂塗膜金属板を、沸騰させた超純水(比抵抗値≧18.2MΩ)15mLに10秒間浸漬した後、取出して水洗した。次に、溶出後の超純水を希酸にて希釈した後、パーキンエルマー社製 ELAN DRC IIを用いてICP質量分析法によりナトリウムの量を定量した。
鉛・クロムフリーのさび止めペイント(大日本塗料社製サッシ用OZグリーンプライマー)をシンナー(大日本塗料社製OZグリーンシンナー)で希釈し、粘度調整(フォードカップ#4で20秒)した後、樹脂塗装金属板に希釈液をスプレー圧0.4MPaでスプレー塗装した。その後、常温で1週間エージングして、塗膜厚30〜40μmの塗装材を作製した。この塗装材に対して、以下の一次密着性試験、二次密着性試験を行った。
(一次密着性試験)
上記塗装材の塗装面にカッターナイフで1mm角の碁盤目を100升刻み、この塗装面に対してテープ剥離試験(使用したテープはニチバン社製「セロテープ(登録商標)品番No.405」)を実施した。このテープ剥離試験を2回行い、塗膜の残存升目数の平均値によって下記基準で塗膜密着性を評価した。
◎:残存升目数が98升以上
○:残存升目数が90升以上98升未満
△:残存升目数が70升以上90升未満
×:残存升目数が70升未満
上記塗装材を沸騰水に1時間浸漬した後、取り出し、1時間放置後に、塗装面にカッターナイフで1mm角の碁盤目を100升刻み、この塗装面に対してテープ剥離試験(使用したテープはニチバン社製「セロテープ(登録商標)品番No.405」)を実施した。このテープ剥離試験を2回行い、塗膜の残存升目数の平均値によって下記基準で塗膜密着性を評価した。
◎:残存升目数が98升以上
○:残存升目数が90升以上98升未満
△:残存升目数が70升以上90升未満
×:残存升目数が70升未満
上記塗装材の裏面・エッジにシールを施した後、カッターナイフでクロスカットを入れ、液温23℃±2℃の塩化ナトリウム水溶液(30g/L)に96時間浸漬した後、水洗し、次いで表面の水分を拭き取り、直ちにクロスカット部のテープ剥離試験(使用したテープはニチバン社製「セロテープ(登録商標)品番No.405」)を実施した。剥離試験後の塗装材について、クロスカット部からの片側最大剥離幅を測定し、下記基準で評価した。
◎:剥離幅1.0mm未満
○:剥離幅1.0mm以上1.5mm未満
△:剥離幅1.5mm以上3.0mm未満
×:剥離幅3.0mm以上
樹脂塗装金属板から、40mm×300mmの試料を切り出し、引張試験機に垂直にセットし、試料背面に平板ダイス(材質:SKD11)を当接させた。次いで、当該平板ダイスと当接する試料の反対面(正面)に、先端半径R=9.1mmの凸部を有する治具(半円柱ダイス、材質:SKD11)を当接させ、治具に2940N(300kgf)の負荷を水平方向にかけつつ、治具を下方へ300mm/minで、試料背面に平板ダイスが当接している範囲内で引き下げた。その後、平板ダイスを試料から離して摺動前の位置に戻した後、上記と同様の摺動操作を6回繰り返した(合計7回)。その後、平板ダイスを繰り返し摺動させた部分(W1)と未摺動部分(W0)の皮膜付着量を、蛍光X線分析装置でそれぞれ分析して、下記式(1)から皮膜残存率を算出して、下記基準で評価した。
皮膜残存率(%)=W1/W0×100・・・(1)
◎:皮膜残存率85%以上
○:皮膜残存率75%以上85%未満
×:皮膜残存率75%未満
皮膜付着量(g/m2)=Si(mg/m2)×(60/28)×(100/C)/1000・・・(2)
撹拌機、温度計、温度コントローラーを備えた乳化設備を有するオートクレイブ(内容量0.8L)に、水626部、エチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸20質量%、メルトインデックス(MI)300)160部を加え、さらに、エチレン−アクリル酸共重合体のカルボキシル基1モルに対して、トリエチルアミンを0.4モル、水酸化ナトリウムを0.15モル加えて、150℃および0.5MPaで3時間高速撹拌してから、40℃まで冷却した。その後、オートクレイブに、エチレン−アクリル酸共重合体の不揮発性樹脂成分100部に対して、架橋剤として、4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン(日本触媒製ケミタイト(登録商標)DZ−22E)を5部添加し、10分間撹拌して、ポリエチレン系樹脂が分散された水性分散液(ポリエチレン系樹脂水性液)Aを得た。
撹拌機、温度計、温度コントローラーを備えた乳化設備を有するオートクレイブに、オレフィン−酸共重合体としてエチレン−アクリル酸共重合体(ダウケミカル社製「プリマコール(登録商標)5990I」、アクリル酸由来の構成単位:20%、質量平均分子量(Mw):20,000、メルトインデックス:1300、酸価:150)200.0部、スチレン−アクリル酸共重合体(Mw:約7000[ポリスチレン換算])8.0質量部、トリエチルアミン35.5部(エチレン−アクリル酸共重合体のカルボキシル基に対して0.63当量)、トール油脂肪酸(ハリマ化成社製「ハートールFA3」)3.5部、イオン交換水792.6部を加えて密封し、150℃および0.5MPaで3時間高速撹拌してから、30℃まで冷却した。次いで、カルボジイミド基含有化合物(日清紡ケミカル社製「カルボジライト(登録商標)SV−02」、ポリカルボジイミド、Mw:2,700、固形分40%)31.2部、イオン交換水72.8部を添加し、10分間撹拌して、オレフィン−酸共重合体とカルボン酸重合体の乳化物(エマルション)を調製し(固形分濃度約20%、JIS K 6833に準じて測定)、ポリエチレン系樹脂が分散された水性分散液(ポリエチレン系樹脂水性液)Bを得た。
撹拌機、温度計、温度コントローラーを備えた乳化設備を有する内容量0.8Lのオートクレイブに、オレフィン−酸共重合体としてエチレン−アクリル酸共重合体(ダウケミカル社製「プリマコール(登録商標)5990I」、アクリル酸由来の構成単位:20%、質量平均分子量(Mw):20,000、メルトインデックス:1300、酸価:150)200.0部、カルボン酸重合体としてポリマレイン酸水溶液(日油社製「ノンポール(登録商標)PMA−50W」、Mw:約1100(ポリスチレン換算)、50%品)8.0部、トリエチルアミン35.5部(エチレン−アクリル酸共重合体のカルボキシル基に対して0.63当量)、トール油脂肪酸(ハリマ化成社製「ハートールFA3」)3.5部、イオン交換水792.6部を加えて密封し、150℃および0.5MPaで3時間高速撹拌してから、30℃まで冷却した。次いで、グリシドキシ基含有シランカップリング剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(旧社名:GE東芝シリコーン)社製「TSL8350」、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)10.4部、カルボジイミド基含有化合物(日清紡ケミカル社製「カルボジライト(登録商標)SV−02」、ポリカルボジイミド、Mw:2,700、固形分40%)31.2部、イオン交換水72.8部を添加し、10分間撹拌して、オレフィン−酸共重合体とカルボン酸重合体の乳化物(エマルション)を調製し(固形分濃度約20%、JIS K 6833に準じて測定)、ポリエチレン系樹脂が分散された水性分散液(ポリエチレン系樹脂水性液)Cを得た。
撹拌機、温度計、温度コントローラーを備えた乳化設備を有するオートクレイブ(内容量0.8L)にポリオール成分としてポリテトラメチレンエーテルグリコール(保土谷化学工業社製、数平均分子量1000)60g、1,4−シクロヘキサンジメタノール14g、ジメチロールプロピオン酸20gを仕込み、さらに反応溶媒としてN−メチルピロリドン30.0gを加えた。イソシアネート成分としてトリレンジイソシアネートを104g仕込み、80〜85℃に昇温し5時間反応させた。得られたプレポリマーのNCO含有率は、8.9%であった。さらにトリエチルアミン16gを加えて中和を行い、エチレンジアミン16gと水480gの混合水溶液を加えて、50℃で4時間乳化し、鎖延長反応させ、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂が分散された水性分散液D(不揮発性樹脂成分29.1%、酸価41.4)を得た。
以下の7種類のコロイダルシリカを用いており、小粒径のコロイダルシリカとしては3種類を、大粒径のコロイダルシリカとしては4種類を用いた。
(小粒径のコロイダルシリカ)
アンモニアで安定化されたシリカゾルである日産化学工業社製スノーテックス(登録商標)NXS(平均粒子径4〜6nm(公証値)、固形分濃度15%)
ナトリウムで安定化されたシリカゾルである日産化学工業社製スノーテックス(登録商標)XS(平均粒子径4〜6nm(公証値)、固形分濃度20%)
酸性ゾルである日産化学工業社製スノーテックス(登録商標)OXS(平均粒子径4〜6nm(公証値)、固形分濃度10%)
(大粒径のコロイダルシリカ)
アンモニアで安定化されたシリカゾルである日産化学工業社製スノーテックス(登録商標)N30G(平均粒子径10〜15nm(公証値)、固形分濃度30%)
ナトリウムで安定化されたシリカゾルである日産化学工業社製スノーテックス(登録商標)40(平均粒子径10〜15nm(公証値)、固形分濃度40%)
ナトリウムで安定化されたシリカゾルである日産化学工業社製スノーテックス(登録商標)50(平均粒子径20〜25nm(公証値)、固形分濃度50%)
酸性ゾルである日産化学工業社製スノーテックス(登録商標)O(平均粒子径10〜15nm(公証値)、固形分濃度20%)
なお、スノーテックス(登録商標)OXS及びOについては、トリエチルアミン(和光純薬製)を、スノーテックス(登録商標)OXSの100%に対して0.7%、スノーテックス(登録商標)Oの100%に対して0.5%添加して、アミン安定化シリカとして使用した。
以下の2種類のメタバナジン酸塩を用いた。
メタバナジン酸アンモニウム(和光純薬工業製メタバナジン(V)酸アンモニウム(固形分濃度約99%))
メタバナジン酸ナトリウム(新興化学工業社製、メタバナジン酸ソーダ(固形分濃度約66%))
<表面処理組成物の調製>
樹脂水性液A〜Dのいずれかに、上記コロイダルシリカの少なくとも一つを加え、コロイダルシリカと樹脂水性液中の乳化物とをよく混合し、混合液を作成した。No.1〜9では、この混合液を表面処理組成物とした。また、No.10〜38では、上記混合液にグリシドキシ基含有シランカップリング剤(信越化学工業社製KBM403(固形分濃度100%))を添加し、必要に応じ、上記メタバナジン酸塩、アクリル変性エポキシ樹脂(荒川化学工業社製モデピクス(登録商標)302(固形分濃度33.5%))を加え、表面処理組成物を作製した。上記表面処理組成物における各成分の混合比(質量%)を表1に示す。なお、No.20〜21では、小粒径のコロイダルシリカを2種類用いており、スノーテックス(登録商標)NXSが21%、スノーテックス(登録商標)XSが11%である。No.19〜21では、大粒径のコロイダルシリカを2種類用いており、No.19では、スノーテックス(登録商標)N30Gが21%、スノーテックス(登録商標)40が11%であり、No.20〜21では、スノーテックス(登録商標)N30Gが16%、スノーテックス(登録商標)40が16%である。
金属板として、アルカリ脱脂した冷延原板溶融亜鉛めっき金属板(GI)(Zn付着量45g/m2)、または合金化溶融亜鉛めっき金属板(GA)(Zn付着量45g/m2)を使用した。この金属板の表面に、上記表面処理組成物を塗布した後、余剰の処理液を絞りロールにて除去し、約12秒間加熱乾燥して(到達板温(Peak Metal Temperature:PMT)90℃)、樹脂皮膜付着量が0.3〜0.8g/m2の樹脂塗装金属板を製造した。得られた樹脂塗装金属板の評価結果を表1に示す。
Claims (6)
- 金属板の少なくとも片面に、コロイダルシリカと樹脂成分とが含有された樹脂皮膜が積層された樹脂塗装金属板であって、
上記コロイダルシリカと上記樹脂成分との合計100質量部中、上記コロイダルシリカの含有量が30〜80質量部であり、かつ、粒子径10nm未満のコロイダルシリカの含有量が15質量部を超えており、
上記樹脂塗装金属板を100℃の脱イオン水に10秒間浸漬したときに溶出するナトリウムの量が4mg/m2以下である
ことを特徴とする樹脂塗装金属板。 - 上記コロイダルシリカが、アンモニアで安定化されたコロイダルシリカを含む請求項1に記載の樹脂塗装金属板。
- 上記コロイダルシリカが、平均粒子径の異なる複数種のコロイダルシリカから構成される請求項1又は2に記載の樹脂塗装金属板。
- 上記コロイダルシリカは、平均粒子径4〜6nmのコロイダルシリカと、平均粒子径10〜15nmのコロイダルシリカとを含み、平均粒子径4〜6nmのコロイダルシリカと平均粒子径10〜15nmのコロイダルシリカとの質量比が80:20〜30:70である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂塗装金属板。
- 上記樹脂成分は、オレフィン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂塗装金属板。
- 上記樹脂成分は、さらに、α,β−不飽和カルボン酸重合体を含有する請求項5に記載の樹脂塗装金属板。
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