WO2019188237A1 - 塗装亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

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Abstract

本発明の一局面に係る塗装亜鉛めっき鋼板は、亜鉛めっき鋼板の表面に、シリカおよび水酸化マグネシウムを含む樹脂皮膜を有する塗装亜鉛めっき鋼板であって、前記樹脂皮膜中のシリカおよび水酸化マグネシウムの合計含有量が15~45質量%、前記樹脂皮膜の樹脂成分の含有量が55~85質量%であり、前記シリカに対する前記水酸化マグネシウムの質量比率が0.5~2.0であり、前記樹脂皮膜の厚みが0.3~1.5μmである。

Description

塗装亜鉛めっき鋼板
 本発明は、亜鉛めっき鋼板の表面に、樹脂中に無機化合物を含む皮膜を有する塗装亜鉛めっき鋼板に関する。
 表面処理鋼板はめっきや塗装が母材表面に施されており、優れた耐食性を示す。表面処理鋼板のうち特殊化成処理鋼板は、めっき層の上に数μmの薄い塗膜を形成したものであり、塗膜の組成を制御することで様々な特性を付与することが可能である。そのため、特殊化成処理鋼板は、様々な用途に適用することができる。
 塗膜の組成は、特殊化成処理鋼板の用途に応じて調整される。塗膜の組成が有機化合物(樹脂)を主体とするものである場合には、比較的容易に耐食性、潤滑性、加工後の外観等、塗膜に要求される複数の特性のバランスを調整することができる。
 特殊化成処理鋼板の用途としては、例えば、マイルドな腐食環境である室内向けの用途があり、家電製品をはじめとする幅広い製品に使用されている。これらの製品に用いられた場合、部位によっては人の目に触れることがあるため、外観変化がないことが望まれる。外観変化の一因としては、亜鉛の初期腐食に伴う白錆の発生がある。
 また、優れた耐食性を活用し、室内と比べて厳しい腐食環境である、野外に準ずる腐食環境の用途(準野外用途)にも使用されることがある。準野外用途としては、空調機の室外機の内部部品や、住宅用のドア、水回りの部品等が挙げられる。
 例えば、空調機の室外機の内部部品は、外気温の変動を受けやすく、また、筐体内に配置されるものの筐体には隙間や空孔が設けられていることが多く、これらの隙間等から紫外線が侵入することもある。そのため、空調機の室外機の内部部品に使用された特殊化成処理鋼板は、塗膜に含まれる有機化合物の劣化が著しい。
 塗膜に含まれる有機化合物が劣化した場合、塗膜によるめっき鋼板の保護作用が劣化し、母材鋼板の腐食に伴う赤錆の発生を充分に抑制できなくなる。そのため、準野外用途の特殊化成処理鋼板では、めっきの目付量を増加させる等、赤錆の発生を抑制する対策が施されている。また、赤錆の発生を抑制するため、塗膜の厚みを大きくすることも有効な手段である。
 亜鉛めっきに対しては、マグネシウム系化合物が防錆効果を示すことが知られている。近年、ナノサイズのマグネシウム粒子を含有する高耐食性皮膜の技術が開発されている。
 こうした技術として、例えば特許文献1は、200nm未満の平均粒径を有するナノ水酸化マグネシウム粒子を含む組成物からなるコーティングを開示している。
 又、自己修復作用で皮膜欠陥部を修復し不動態化させることで、皮膜の耐食性を保持する技術として、特許文献2は、水酸化マグネシウムと微粒シリカからなる複合コロイドを含有する金属用防錆剤を用いて形成された皮膜を開示している。
 他方、マグネシウム含有皮膜をクロムフリーの有機被覆鋼板の皮膜に用いた技術として、特許文献3は、亜鉛系めっき鋼板の表面に、酸化物粒子、リン酸および/又はリン酸化合物並びにマグネシウム化合物を含む複合酸化物皮膜を有し、当該複合酸化物皮膜の上に、有機樹脂と活性水素含有化合物の反応生成物、および防錆添加成分を含む有機皮膜を有する、有機被覆鋼板を開示している。
 特殊化成処理鋼板では、赤錆の発生を抑制するために塗膜の厚みを大きくすると、特殊化成処理鋼板の特徴のひとつである導電性が低下するため、家電製品向けの用途には適用できなくなる。
 また、塗膜の厚みを用途ごとに変更して特殊化成処理鋼板の作り分けをしようとすると、ロールコーター等の塗膜の厚みを良好な精度で制御可能である高価な装置を導入する必要がある。また、当該装置を導入したとしても、作り分けをするための製造条件の変更ごとに製造ラインを停止させる必要があるなど、生産性の低下は避けられない。
 特許文献1に開示されたコーティングは、厚みが2.5~75μmであり、このコーティングを施しためっき鋼板は充分な導電性が得られない。また、特許文献1では、水酸化マグネシウムと併せてコーティングに添加する化合物については何ら考慮されておらず、水酸化マグネシウムのみの添加では、コーティングの厚みが数μm以下では、充分な防錆効果を発現しない。
 特許文献2に開示された皮膜は、皮膜形成時に水酸化マグネシウムと微粒シリカからなる複合コロイドを含有する金属用防錆剤を用いる必要がある。しかし、当該複合コロイドは処理液成分と反応するため不安定であり、ゲル化させる塗装工程で問題が発生しやすい。又、特許文献2に開示された皮膜は、水溶性成分を含有するため耐水性が不充分であり、結露や輸送中の水濡れ等による変色のおそれが大きい。
 特許文献3に開示された有機被覆鋼板は、複合酸化物皮膜形成時にマグネシウム化合物が水溶性のイオン又は分子の形態で添加されるため、マグネシウム化合物の添加量を高めると処理液安定性が低下する。このため、マグネシウム成分増量によって複合酸化物皮膜の腐食抑制効果を向上させるには限界がある。又、特許文献3に開示された有機被覆鋼板は、複合酸化物皮膜を形成した後、さらに有機皮膜を形成する必要があるため、生産性が低く、製造コストが高いという問題もある。
 本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、導電性ならびに優れた耐白錆性および耐赤錆性を有する塗装亜鉛めっき鋼板を提供することを目的とする。
特開2016-104574号公報 特開2002-322569号公報 特開2002-053979号公報
 本発明の一局面は、亜鉛めっき鋼板の表面に、シリカおよび水酸化マグネシウムを含む樹脂皮膜を有する塗装亜鉛めっき鋼板であって、前記樹脂皮膜中のシリカおよび水酸化マグネシウムの合計含有量が15~45質量%、かつ前記樹脂皮膜の樹脂成分の含有量が55~85質量%であり、前記シリカに対する前記水酸化マグネシウムの質量比率が0.5~2.0であり、前記樹脂皮膜の厚みが0.3~1.5μmである塗装亜鉛めっき鋼板である。
 上記の本発明の目的、特徴および利点は、以下の詳細な記載と添付図面とから明らかになるだろう。
 本発明者らは、上記目的を達成すべく、様々な角度から検討した。その結果、樹脂皮膜中のシリカおよび水酸化マグネシウムの合計含有量並びにシリカに対する水酸化マグネシウムの質量比率、そして樹脂皮膜の厚みを適切に調整することによって、上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成させた。なお、以下では「白錆」とは、めっき層に含まれる亜鉛の初期腐食に伴って発生する亜鉛酸化物または亜鉛水酸化物を意味し、「赤錆」とは、塗装亜鉛めっき鋼板の母材鋼板の腐食に伴って発生する鉄酸化物を意味する。また、「耐白錆性」とは白錆に対する耐食性を意味し、「耐赤錆性」とは赤錆に対する耐食性を意味する。
 本発明の一実施形態に係る塗装亜鉛めっき鋼板は、亜鉛めっき鋼板の表面に、シリカおよび水酸化マグネシウムを含む樹脂皮膜を有する。上記樹脂皮膜中のシリカおよび水酸化マグネシウムの合計含有量は15~45質量%である。上記樹脂皮膜の樹脂成分の含有量は55~85質量%である。上記シリカに対する上記水酸化マグネシウムの質量比率は0.5~2.0である。上記樹脂皮膜の厚みは0.3~1.5μmである。
 本発明によれば、導電性ならびに優れた耐白錆性および耐赤錆性を有する塗装亜鉛めっき鋼板を提供することができる。
 以下、本実施形態についてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
 [シリカおよび水酸化マグネシウムの合計含有量:15~45質量%]
 本実施形態において、樹脂皮膜中のシリカ(SiO)および水酸化マグネシウム(Mg(OH))の合計含有量を15~45質量%とする。樹脂皮膜中の樹脂成分は、亜鉛めっき鋼板に対して外部からの腐食因子を遮断するバリア作用を有する。しかし、一般的に亜鉛めっきに対する化学反応を伴う防錆作用は有しない。一方、樹脂皮膜中のシリカと水酸化マグネシウムは、亜鉛めっきに対し、化学反応を伴う防錆作用を有する。しかし、樹脂皮膜中のシリカおよび水酸化マグネシウムの合計含有量が15質量%未満であると、防錆作用が充分に得られず、耐白錆性および耐赤錆性のいずれも不充分となる。樹脂皮膜中のシリカおよび水酸化マグネシウムの合計含有量は、好ましくは20質量%以上である。一方、樹脂皮膜中のシリカおよび水酸化マグネシウムの合計含有量が45質量%を超えると、シリカ粒子および水酸化マグネシウム粒子と樹脂成分との界面が過多となり、樹脂成分によるバリア性が低下し、塗装亜鉛めっき鋼板としての耐食性が確保されない。樹脂皮膜中のシリカおよび水酸化マグネシウムの合計含有量は、好ましくは30質量%以下である。樹脂皮膜中のシリカおよび水酸化マグネシウムの合計含有量が20~30質量%である場合、樹脂成分が汎用的な樹脂であれば、塗装亜鉛めっき鋼板の加工性等、その他の皮膜特性とのバランスが良好になる。
 本実施形態で用いるシリカは、後述する水系樹脂との相溶性に優れるコロイダルシリカが望ましい。又、シリカの平均粒径が大きくなり過ぎると、皮膜の緻密さが低下したり、皮膜欠陥を発生させたりするおそれがあるので、平均粒径D50は500nm以下であることが好ましく、450nm以下であることがより好ましい。なお、シリカの平均粒径D50とは、シリカの積算値(積算値)が50質量%となるときの平均粒径を意味する。
 本実施形態で用いる水酸化マグネシウムは、水分散体として安定するものであればよく、水酸化マグネシウムの粉末および分散方法は特に限定されない。水酸化マグネシウムを水に分散した状態での平均粒径D50、すなわち、水酸化マグネシウム水分散体における水酸化マグネシウムの平均粒径D50は、樹脂皮膜厚みを考慮すると、例えば0.7μm以下が好ましく、また0.1μm以上が好ましい。なお、水酸化マグネシウムの平均粒径D50とは、水酸化マグネシウムの積算値(積算値)が50質量%となるときの平均粒径を意味する。
 水酸化マグネシウム水分散体を調合する際に、樹脂皮膜とした際に耐食性への悪影響が小さい高分子分散剤(例えば水溶性アクリル樹脂、水溶性スチレンアクリル樹脂、ノニオン系界面活性剤)を用いてもよい。
 [樹脂皮膜中の樹脂成分の含有量:55~85質量%]
 本実施形態において、樹脂皮膜中の樹脂成分の含有量は55~85質量%とする。樹脂皮膜中の樹脂成分が不足すると、欠陥部の多い皮膜となり耐食性が劣化する。こうした観点から、樹脂皮膜中の樹脂成分の含有量は55質量%以上とし、好ましくは70質量%以上である。しかし、樹脂皮膜中の樹脂成分の含有量が多すぎると、樹脂皮膜における緻密さの低下による耐食性劣化に加えて、樹脂皮膜が軟質化してプレス成形時に皮膜カスの発生が増加するおそれがある。こうした観点から、樹脂皮膜中の樹脂成分の含有量は85質量%以下とし、好ましくは80質量%以下である。
 [シリカに対する水酸化マグネシウムの質量比率:0.5~2.0]
 本実施形態において、シリカに対する水酸化マグネシウムの質量比率は0.5~2.0とする。水酸化マグネシウムおよびシリカは、いずれも亜鉛めっきに対する防錆剤として知られている。本発明者らは、樹脂皮膜中に水酸化マグネシウムとシリカを、特定の質量比率で配合することで、皮膜の厚みが塗装亜鉛めっき鋼板の導電性を確保できる厚みであっても優れた耐食性が得られることを見出した。シリカに対する水酸化マグネシウムの質量比率[Mg(OH)/SiO]が、0.5~2.0の範囲内にあるとき、優れた耐食性を示す。この質量比率は、塗装亜鉛めっき鋼板の耐白錆性および耐赤錆性のいずれにも影響を及ぼし、耐赤錆性への影響がより大きい。また、この質量比率は、0.6以上であることが好ましく、1.0以下であることが好ましい。
 上記質量比率を適切な範囲に調整することによって耐食性が向上するメカニズムは、不明であるが、おそらく次のように考えられる。すなわち、水酸化マグネシウムから溶出したマグネシウムイオンが、シリカによって生成した亜鉛めっきに対する保護作用の高い腐食生成物(以下、単に「腐食生成物」ともいう。)を安定化させ、安定化した腐食生成物によるバリア効果が向上したと考えられる。上記亜鉛めっきに対する保護作用とは、水や酸素等の腐食因子を遮断するバリア性を意味する。上記質量比率が0.5未満の場合、マグネシウムイオンによる腐食生成物の安定化が不充分となり、耐食性が低下する。上記質量比率が2.0を超えると、腐食生成物が不足し、この場合も耐食性が低下する。
 又、粒子状の水酸化マグネシウムを用いることで、処理液の安定性を損なうことなく樹脂皮膜中のマグネシウム成分の添加比率を高めることが可能となる。その結果、上記メカニズムが長時間継続して優れた耐食性を示すと推定される。
 [樹脂皮膜厚み:0.3~1.5μm]
 一般的に塗装亜鉛めっき鋼板は、樹脂皮膜の厚みが大きいほど耐食性、すなわち耐白錆性および耐赤錆性のいずれも向上する。しかし、樹脂皮膜厚みが0.3μm未満の場合には、耐食性が不充分である。本実施形態において、樹脂皮膜厚みの下限は、充分な耐食性を得るため0.3μm以上とし、好ましくは0.4μm以上である。樹脂皮膜厚みが1.5μmを超えると、塗装亜鉛めっき鋼板において充分な導電性が得られない。そのため、本実施形態において、樹脂皮膜厚みの上限は1.5μm以下とし、好ましくは0.8μm以下である。また、樹脂皮膜厚みが0.4~0.8μmであれば、耐食性と導電性のバランスに優れる。
 [樹脂の種類]
 本実施形態で用いる樹脂の種類については、特に限定されず、水系樹脂および非水系樹脂のいずれも用いることができる。水酸化マグネシウムの水分散体や、コロイダルシリカを用いる場合には、水系樹脂を用いることが好ましい。このような水系樹脂についても特に限定されないが、水酸化マグネシウムの水分散体およびコロイダルシリカと混合できることが好ましい。なお、本実施形態における水系樹脂は、水分散体となっている樹脂、あるいは水溶性樹脂を指す。
 こうした水系樹脂として、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましく、これらのうち、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂がより好ましい。以下、ポリオレフィン系樹脂およびポリウレタン系樹脂について、それぞれ具体的に説明する。
 [ポリオレフィン系樹脂]
 ポリオレフィン系樹脂として、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体が好ましい。エチレン-不飽和カルボン酸共重合体として、例えば特開2005-246953号公報や特開2006-43913号公報に記載されたものを用いることができる。
 不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられ、これらのうちの1種以上と、エチレンとを、公知の高温高圧重合法等で重合することにより、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体を得ることができる。
 エチレンに対する不飽和カルボン酸の共重合比率は、モノマー全量を100質量%としたときに、不飽和カルボン酸が10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、一方、40質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。不飽和カルボン酸が10質量%よりも少ないと、イオンクラスターによる分子間会合の起点となるカルボキシル基が少ないため、皮膜強度効果が発揮されず、後述する塗装液(エマルジョン組成物)の乳化安定性に劣るからである。一方、不飽和カルボン酸が40質量%を超えると、樹脂皮膜の耐食性や耐水性が劣ることがあるからである。
 上記エチレン-不飽和カルボン酸共重合体はカルボキシル基を有するので、有機塩基や金属イオンで中和することにより、塗装液のエマルション化(水分散体化)が可能となる。
 有機塩基として、樹脂皮膜の耐食性をあまり低下させない観点から、大気圧下での沸点が100℃以下のアミンが好ましい。具体例として、トリエチルアミン等の3級アミン;ジエチルアミン等の2級アミン;プロピルアミン等の1級アミン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも3級アミンが好ましく、トリエチルアミンが最も好ましい。又、耐溶剤性および皮膜硬度を向上させる観点から、1価の金属イオンを上記アミンと併せて用いることが好ましい。
 上記アミンは、耐食性を確保する観点から、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基1モルに対し0.2モル以上であることが好ましく、一方、0.8モル以下であることが好ましい。そして、0.3モル以上であることがより好ましく、一方、0.6モル以下であることがより好ましい。
 1価の金属イオンの量は、塗装液の乳化安定性を確保する観点から、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基1モルに対し0.02モル以上であることが好ましく、0.03モル以上であることがより好ましい。一方、耐食性を確保する観点から、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基1モルに対し0.4モル以下であることが好ましく、0.3モル以下であることがより好ましい。なお、1価の金属イオンを付与するための金属化合物は、NaOH、KOH、LiOH等が好ましく、NaOHが最も性能が良く好ましい。
 上記エチレン-不飽和カルボン酸共重合体は、必要により後述のカルボン酸重合体存在下で、例えば、高温(150℃程度)、高圧(5気圧程度)の反応が可能な容器内で、高速攪拌を1~6時間行えば、乳化(エマルション化)する。乳化に際しては、トール油脂肪酸等の界面活性剤機能を持つ化合物を適量添加してもよい。又、親水性有機溶媒、例えば、炭素数1~5程度の低級アルコールなどを一部水に加えても構わない。
 上記エチレン-不飽和カルボン酸共重合体の質量平均分子量(Mw)の下限は、ポリスチレン換算で、好ましくは1,000、より好ましくは3,000、さらに好ましくは5,000である。エチレン-不飽和カルボン酸共重合体のMwの上限は、好ましくは10万、より好ましくは7万、さらに好ましくは3万である。このMwは、ポリスチレンを標準として用いるゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)により測定することができる。
 樹脂成分としてカルボン酸重合体も用いることができる。カルボン酸重合体として、上記エチレン-不飽和カルボン酸共重合体の合成に使用することのできるものとして例示した不飽和カルボン酸を構成単位とする重合体がいずれも使用可能である。これらの中で、アクリル酸およびマレイン酸が好ましく、マレイン酸がより好ましい。カルボン酸重合体は、不飽和カルボン酸以外の単量体に由来する構成単位を含有していても良いが、その他の単量体に由来する構成単位量は、重合体中に10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下であり、不飽和カルボン酸のみから構成されるカルボン酸重合体がさらに好ましい。好ましいカルボン酸重合体として、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸-マレイン酸共重合体、ポリマレイン酸等が挙げられる。これらのうち、樹脂皮膜密着性および耐食性の観点から、ポリマレイン酸がより好ましい。ポリマレイン酸を使用することにより耐食性等が向上する正確なメカニズムは不明であるが、カルボキシル基量が多いため、樹脂皮膜と亜鉛めっき鋼板の密着性が向上し、それに伴い耐食性も向上することが考えられる。但し本発明は、この推定には限定されない。
 本実施形態で用いるカルボン酸重合体の質量平均分子量(Mw)の下限は、ポリスチレン換算で、好ましくは500、より好ましくは800、さらに好ましくは900、最も好ましくは1,000である。カルボン酸重合体のMwの上限は、好ましくは3万、より好ましくは1万、さらに好ましくは3,000、最も好ましくは2,000である。このMwは、ポリスチレンを標準として用いるGPCにより測定することができる。
 エチレン-不飽和カルボン酸共重合体とカルボン酸重合体との含有比率は、質量比で、1,000:1~10:1である。この含有比率の下限は好ましくは200:1であり、上限は好ましくは20:1である。カルボン酸重合体の含有比率が低すぎると、オレフィン-酸共重合体とカルボン酸重合体とを組み合わせた効果が充分に発揮されないからである。逆に、カルボン酸重合体の含有比率が過剰であると、第一層形成用塗工液中でオレフィン-酸共重合体とカルボン酸重合体とが相分離し、均一な樹脂皮膜が形成されなくなるおそれがあるからである。
 [ポリウレタン系樹脂]
 ポリウレタン系樹脂として、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂が好ましい。カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂として、例えば特開2006-43913号公報に記載されたものを用いることができる。
 カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂は、ウレタンプレポリマーを鎖延長剤で鎖延長反応して得られるものが好ましい。ウレタンプレポリマーは、例えば、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを反応させて得られる。
 上記ポリイソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)からなる群から選択される少なくとも1種のポリイソシアネートを使用することが、耐食性および反応制御の安定性に優れる樹脂皮膜を得る観点から、好ましい。上記ポリイソシアネートの他にも、耐食性や反応制御の安定性を低下させない範囲で他のポリイソシアネートを使用することができる。但し、上記ポリイソシアネートの含有率は、樹脂皮膜の耐食性および反応制御の安定性を確保する観点から、全ポリイソシアネート成分の70質量%以上であることが好ましい。上記ポリイソシアネート成分以外のポリイソシアネートとして、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカンメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を使用してもよい。
 上記ポリオール成分として、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ポリエーテルポリオール、および、カルボキシル基を有するポリオールの3種類のポリオールを使用することが、耐食性および摺動性に優れる樹脂皮膜を得る観点から、好ましい。そして、上記ポリオール成分として、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ポリエーテルジオール、および、カルボキシル基を有するジオールの3種類のジオールを使用することが、より好ましい。なお、上記ポリオール成分として1,4-シクロヘキサンジメタノールを使用することによって、得られるポリウレタン樹脂の防錆効果を高めることができる。
 上記ポリエーテルポリオールは、分子鎖にヒドロキシル基を少なくとも2以上有し、主骨格がアルキレンオキサイド単位によって構成されているものであれば特に限定されない。具体例として、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等を挙げられ、ポリオキシプロピレングリコール又はポリテトラメチレンエーテルグリコールを使用することが好ましい。ポリエーテルポリオールの官能基数は、少なくとも2以上であれば特に限定されず、例えば、3官能、4官能以上の多官能であってもよい。ポリエーテルポリオールの平均分子量は、適度な硬度を有する樹脂皮膜を得る観点から、約400~4000程度であることが好ましい。なお、平均分子量は、OH価(水酸基価)を測定することにより求めることができる。
 上記ポリオール成分において、質量比で、1,4-シクロヘキサンジメタノール:ポリエーテルポリオール=1:1~1:19であることが、樹脂皮膜の防錆効果を一層高める観点から、好ましい。又、上記カルボキシル基を有するポリオールは、少なくとも1以上のカルボキシル基と少なくとも2以上のヒドロキシル基を有するものであれば、特に限定されない。具体例として、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジヒドロキシプロピオン酸、ジヒドロキシコハク酸等が挙げられる。
 上記ポリオール成分において、上記3種類のポリオールの他にも、耐食性を低下させない範囲で他のポリオールを使用することができる。但し、上記3種類のポリオールの含有率は、樹脂皮膜の耐食性を確保する観点から、全ポリオール成分の70質量%以上であることが好ましい。上記3種類のポリオール以外のポリオールは、水酸基を複数有するものであれば特に限定されない。例えば、低分子量のポリオールや高分子量のポリオール等を挙げられる。低分子量のポリオールは、平均分子量が500程度以下のポリオールである。具体例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール等のジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等のトリオールが挙げられる。高分子量のポリオールは、平均分子量が500程度を超えるポリオールである。具体例として、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)などの縮合系ポリエステルポリオール;ポリ-ε-カプロラクトン(PCL)のようなラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートなどのポリカーボネートポリオール;及びアクリルポリオールなどが挙げられる。
 上記鎖延長剤は、特に限定されないが、例えば、ポリアミン、低分子量のポリオール、アルカノールアミンなどを挙げられる。ポリアミンとして、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン;トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ポリアミン;ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、イソホロンジアミンなどの脂環式ポリアミン;ヒドラジン、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジドなどのヒドラジン類などが挙げられる。これらの中で、エチレンジアミンおよび/又はヒドラジンを鎖延長剤成分として使用することが好ましい。アルカノールアミンとして、例えば、ジエタノールアミン、モノエタノールアミンなどが挙げられる。
 カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂は、公知の方法で乳化(エマルション化)させることができ、例えば、次の方法がある。すなわち、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマーのカルボキシル基を塩基で中和して、水性媒体中に乳化分散して鎖延長反応させる方法;カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂を乳化剤の存在下で、高せん断力で乳化分散して鎖延長反応させる方法である。
 カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の酸価は、塗装液の安定性を確保する観点から、10mgKOH/g以上であることが好ましく、一方、樹脂皮膜の耐食性を確保する観点から、60mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価の測定は、JIS-K0070(1992年)に準ずる。
 [塗装液中の添加剤]
 本実施形態において、樹脂皮膜は、塗装液を公知の塗装方法、すなわち、ロールコーター法、バーコーター法、スプレー法又はカーテンフローコーター法等を用いて亜鉛めっき鋼板の表面に塗布し、加熱乾燥させることで、形成することができる。塗装液は、所定量のシリカ、水酸化マグネシウムおよび上記樹脂を含有する。塗装液における樹脂固形分は15~25質量%程度であることが好ましい。そして、塗装液は、皮膜性能を向上させる目的で、各種添加剤を本発明の効果を阻害しない範囲で含有してもよい。添加剤として、例えば、シランカップリング剤、溶出抑制剤、防錆剤、ワックス、架橋剤、希釈剤、皮張り防止剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤、レベリング剤、消泡剤、浸透剤、造膜助剤、染料、顔料、増粘剤、潤滑剤等が挙げられる。
 例えば、シランカップリング剤を添加剤として用いると、樹脂皮膜が緻密化して耐食性が向上する。又、亜鉛めっき鋼板と樹脂皮膜の密着性も向上して耐食性を向上させる。そして、樹脂成分とコロイダルシリカとの結合力を向上させる効果があり、皮膜の強靱さが向上する。中でも、グリシドキシ系のシランカップリング剤は反応性が高く、耐食性向上効果が大きい。グリシジル基含有シランカップリング剤として、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルジメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
 本実施形態に係る樹脂皮膜において、シランカップリング剤量は、皮膜中の無機化合物(シリカおよび水酸化マグネシウム)と樹脂成分との合計100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましい。シランカップリング剤量が0.1質量部より少ないと、亜鉛めっき鋼板と樹脂皮膜との密着性や、樹脂成分とコロイダルシリカとの結合力が不足して、皮膜の強靱さや耐食性が不充分となるおそれがあるからである。一方、シランカップリング剤量は、皮膜中の無機化合物と樹脂成分との合計100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、9質量部以下であることがより好ましく、7質量部以下であることがさらに好ましい。シランカップリング剤量が10質量部を超えても、金属板と樹脂皮膜との密着性向上効果が飽和するだけでなく、樹脂中の官能基が減少して塗装性が低下するおそれがあるからである。又、シランカップリング剤同士が加水分解縮合反応を起こして、塗装液の安定性が低下し、ゲル化やコロイダルシリカの沈殿を引き起こすおそれがあるからである。
 又、例えば溶出抑制剤であるメタバナジン酸塩を添加剤として用いると、メタバナジン酸塩の溶出によって亜鉛めっき鋼板の溶解や溶出を抑制して、耐食性が向上する。メタバナジン酸塩は、特に、合金化溶融亜鉛めっき鋼板に対して裸耐食性を向上させる効果がある。メタバナジン酸塩として、例えば、メタバナジン酸ナトリウム(NaVO)、メタバナジン酸アンモニウム(NHVO)、メタバナジン酸カリウム(KVO)等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を使用することができる。
 メタバナジン酸塩の量は、皮膜中の無機化合物(シリカおよび水酸化マグネシウム)と樹脂成分との合計100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましく、0.7質量部以上であることがより好ましく、1.0質量部以上であることがさらに好ましい。メタバナジン酸塩の量が0.5質量部より少ないと、裸耐食性向上効果が不充分となるからである。一方、メタバナジン酸塩の量は、皮膜中の無機化合物と樹脂成分との合計100質量部に対して、5.5質量部以下であることが好ましく、5.0質量部以下であることがより好ましく、3.0質量部以下であることがさらに好ましい。メタバナジン酸塩の量が5.5質量部を超えると、裸耐食性が若干低下する傾向が認められるだけでなく、さらに皮膜密着性が著しく低下する傾向があるからである。なお、このメタバナジン酸塩の好適量は、V元素換算量である。
 [亜鉛めっき鋼板の種類]
 本実施形態で用いる亜鉛めっき鋼板の種類については、特に限定はなく、電気亜鉛めっき鋼板(EG)、溶融亜鉛めっき鋼板(GI)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)(以下、これらを「原板」と呼ぶことがある)のいずれも採用できる。又、亜鉛めっき層の種類についても、特に限定はなく、亜鉛を主成分とするめっきであれば、めっき層中にアルミニウム、マグネシウム等の合金元素を含むものであってもよい。なお、亜鉛めっき層は、素地鋼板の片面又は両面に被覆され、それに応じて樹脂皮膜も亜鉛めっき鋼板の片面又は両面に被覆される。
 上述したように、本発明の一局面は、亜鉛めっき鋼板の表面に、シリカおよび水酸化マグネシウムを含む樹脂皮膜を有する塗装亜鉛めっき鋼板であって、前記樹脂皮膜中のシリカおよび水酸化マグネシウムの合計含有量が15~45質量%、かつ前記樹脂皮膜の樹脂成分の含有量が55~85質量%であり、前記シリカに対する前記水酸化マグネシウムの質量比率が0.5~2.0であり、前記樹脂皮膜の厚みが0.3~1.5μmである塗装亜鉛めっき鋼板である。
 この構成によれば、導電性ならびに優れた耐白錆性および耐赤錆性を有する塗装亜鉛めっき鋼板が実現できる。
 以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例によって制限されず、前記および後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することは可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
 (水酸化マグネシウム分散液の調合)
 水酸化マグネシウム粒子(協和化学工業株式会社製、商品名:キスマ5Q-S)を、水を分散剤として使用するとともに高分子分散剤を用いて分散させて、水分散液(樹脂固形分:約30質量%、平均粒径D50:0.69μm)を調合した。
 分散液中の水酸化マグネシウムの平均粒径D50は、0.2質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液で希釈した後、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、商品名:マイクロトラックMT3300EXII)を用いて測定した。
 (樹脂)
 樹脂皮膜を形成するときの樹脂として、東邦化学株式会社製のポリエチレン樹脂又は東邦化学工業製のウレタン樹脂を用いた。
 上記東邦化学株式会社製のポリエチレン樹脂およびその水性分散液を、次の方法で調製した。
 攪拌機、温度計、温度コントローラを備えた乳化設備を有するオートクレイブに、エチレン-アクリル酸共重合体(ダウケミカル社製、商品名:プリマコール5990I、アクリル酸由来の構成単位:20質量%、質量平均分子量(Mw):20,000、メルトインデックス:1300、酸価:150)200.0質量部、ポリマレイン酸水溶液(日油社製、商品名:ノンポール PMA-50W、Mw:約1100(ポリスチレン換算)、50質量%品)8.0質量部、トリエチルアミン35.5質量部(エチレン-アクリル酸共重合体のカルボキシル基に対して0.63当量)、48%NaOH水溶液6.9質量部(エチレン-アクリル酸共重合体のカルボキシル基に対して0.15当量)、トール油脂肪酸(ハリマ化成社製、商品名:ハートールFA3)3.5質量部、イオン交換水792.6質量部を加えて密封し、150℃および5気圧で3時間高速攪拌してから、30℃まで冷却した。
 次いで、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、商品名:TSL8350)10.4質量部、ポリカルボジイミド(日清紡社株式会社製、商品名:カルボジライト SV-02、Mw:2,700、固形分40質量%)31.2質量部、イオン交換水72.8質量部を添加し、10分間攪拌して、エチレン-アクリル酸共重合体が乳化し、各成分と混合されたポリエチレン樹脂水性分散液が得られた(樹脂固形分20.3質量%、JIS K6833に準じて測定)。
 上記東邦化学株式会社製のウレタン樹脂およびその水性分散液を、次の方法で調製した。
 撹拌機、温度計、温度コントローラを備えた内容量0.8Lの合成装置に、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(保土ヶ谷化学工業株式会社製、平均分子量1,000)60g、1,4-シクロヘキサンジメタノール14g、ジメチロールプロピオン酸20gを仕込み、さらにN-メチルピロリドン30.0gを加えた。そして、トリレンジイソシアネート104gを仕込み、80から85℃に昇温し5時間反応させた。得られたプレポリマーのNCO含有量は、8.9%であった。さらにトリエチルアミン16gを加えて中和を行い、エチレンジアミン16gと水480gの混合水溶液を加えて、50℃で4時間乳化し、鎖延長反応させてウレタン樹脂水性分散液を得た(不揮発性樹脂成分29.1%、酸価41.4)。
 (塗装液の調合)
 上記水酸化マグネシウム水分散液、上記ポリエチレン樹脂水性分散液又は上記ウレタン樹脂水性分散液、および、コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、商品名:スノーテックス-XS)を混合して、樹脂固形分約5質量%の塗装液を調合した。
 (原板の種類)
 電気亜鉛めっき鋼板(EG):板厚0.8mm、亜鉛目付量:おもて面18g/m
うら面18g/m
 (亜鉛めっき鋼板の前処理)
 脱脂:アルカリ脱脂(日本パーカーライジング社製、商品名:ファインクリーナー)
 乾燥:熱風乾燥させ、水分を蒸発させた。
 (塗装方法)
 方法:バーコーター
 樹脂皮膜厚み:所定の皮膜厚みが得られるようにバーの番手を選定した。
 (乾燥方法)
 時間:1分間
 条件:塗装板の最高到達温度80℃(サーモラベルで確認)
 (評価項目)
 上記した範囲内で、下記表1に示すように条件を様々変えて、各種塗装亜鉛めっき鋼板(試験No.1~19)を作製し、得られた塗装亜鉛めっき鋼板の耐食性について、下記の方法で評価した。耐食性の評価は、塗装亜鉛めっき鋼板の平板部(端面部以外の部分)について行った。
 (耐食性)
 得られた塗装亜鉛めっき鋼板(試料)に対して、JIS Z2371(2015年)に準拠した塩水噴霧試験を216時間実施して、試料表面における白錆発生率(100×白錆が発生した面積/樹脂塗装金属板の全面積)を算出した。そして、下記基準に基づいて、○を合格とし、×を不合格として評価した。
 〈評価基準〉
  ○:白錆発生率5面積%以下
  ×:白錆発生率5面積%超
 又、得られた塗装亜鉛めっき鋼板(試料)に対して、JIS Z2371(2015年)に準拠した塩水噴霧試験を480時間実施して、試料表面における赤錆発生の有無を目視で観察して調べた。そして、下記基準に基づいて、○を合格とし、×を不合格として評価した。
 〈評価基準〉
  ○:赤錆発生なし
  ×:赤錆発生あり
 (導電性)
 得られた塗装亜鉛めっき鋼板(試料)に対して、アナログテスタ(株式会社カスタム製、品番:CX-270N)を使用し、端子を試料表面上で滑らせることによって、電気抵抗値を測定した。そして、下記基準に基づいて、○を合格とし、×を不合格として評価した。
 〈評価基準〉
  ○:アナログテスタの針が示した抵抗値1000Ω以下
  ×:アナログテスタの針が示した抵抗値1000Ω超
 その結果を、各塗装亜鉛めっき鋼板を製造したときの条件(樹脂の種類、樹脂皮膜の組成比率、シリカに対する水酸化マグネシウムの質量比率[Mg(OH)/SiO]、樹脂皮膜厚み)と共に、下記表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 この結果から明らかなように、樹脂の含有量が55質量%未満である例(No.11、12)は、樹脂の含有量が少なすぎるため、耐白錆性が劣化している。樹脂の含有量が90質量%である例(No.13、14)は、樹脂の含有量が多すぎるため、樹脂皮膜における緻密さの低下により、耐白錆性および耐赤錆性の両方が劣化している。質量比率[Mg(OH)/SiO]が0.5~2.0の範囲外にある例(試験No.14、17、18、19)は、少なくとも耐赤錆性が劣化している。樹脂皮膜厚みが0.2μmである例(試験No.15)は、樹脂皮膜が薄すぎるため、耐白錆性が劣化している。そして、樹脂皮膜厚みが1.7μmである例(試験No.16)は、樹脂皮膜が厚すぎるため、導電性が劣化している。
 これに対し、シリカおよび水酸化マグネシウムの合計含有量、質量比率[Mg(OH)/SiO]および樹脂皮膜厚みを適切に調整した本発明の塗装亜鉛めっき鋼板(試験No.1~10)は、優れた耐食性および導電性を示している。
 この出願は、2018年3月29日に出願された日本国特許出願特願2018-064757および2019年2月22日に出願された日本国特許出願特願2019-030546を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
 本発明を表現するために、前述において具体例等を参照しながら実施形態を通して本発明を適切かつ十分に説明したが、当業者であれば前述の実施形態を変更及び/又は改良することは容易になし得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態又は改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態又は当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
 本発明は、塗装亜鉛めっき鋼板に関する技術分野において、広範な産業上の利用可能性を有する。

Claims (1)

  1.  亜鉛めっき鋼板の表面に、シリカおよび水酸化マグネシウムを含む樹脂皮膜を有する塗装亜鉛めっき鋼板であって、
     前記樹脂皮膜中のシリカおよび水酸化マグネシウムの合計含有量が15~45質量%、かつ前記樹脂皮膜の樹脂成分の含有量が55~85質量%であり、
     前記シリカに対する前記水酸化マグネシウムの質量比率が0.5~2.0であり、前記樹脂皮膜の厚みが0.3~1.5μmであることを特徴とする塗装亜鉛めっき鋼板。
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