JP3145783B2 - 先より被覆弾性糸およびしぼ織編物 - Google Patents

先より被覆弾性糸およびしぼ織編物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、弾性糸を芯糸とする
被覆弾性糸に関し、さらに、該被覆弾性糸を用いたしぼ
織編物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、弾性糸を芯糸とする被覆弾性糸と
しては、次のものが知られている。 弾性糸を芯糸として、その周りにナイロン糸または
ウ−リ−ナイロン糸などの非弾性フィラメント糸を横巻
きにしたカバ−ドヤ−ンがある。このカバ−ドヤ−ン
は、鞘糸にフィラメント糸を用いているので、表面光沢
や透明感を有し、伸縮性に富むため、シングル・ダブル
カバ−ドヤ−ン共にパンティストッキングに多用されて
いる。一方、ウ−リ−ナイロン糸は捲縮加工を付与して
いるため、カサ高性、ソフト感に富み、インナ−ウェア
・水着やレッグニットなど広汎に用いられている。
【0003】また、これらのカバ−ドヤ−ンを用い、織
編技法や交織・交織技法によって、立体的ウェ−ブ効
果、楊柳調やクレ−プ調などの特徴を与えた伸縮性ふく
れ調織編物がある。 弾性糸とフィラメント糸とを引き揃え、空気ノズル
により攪乱して混繊、交絡してなる交絡弾性糸がある。
この交絡弾性糸は、混繊交絡性が不良で、芯糸が露出し
たり、交絡強度が弱かったりカバ−ド糸がズレたりする
ため、表面凹凸感を有するものとなり、このような特徴
を生かしたアウタ−ウェア,織物に用いられている。
【0004】 また、弾性糸を用いない従来のしぼを
有する縮織編物には、フィラメント糸に強撚糸(原糸に
1000T/M 以上)や、先より仮未解ねん糸のSより
とZよりとを1本〜数本交互に配列した縮織物、他の糸
と引揃えて合撚を施した縮織編物などがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記
の被覆弾性糸は、いずれの場合においても第1の目的は
ストレッチ性の付与であり、織編物に表面変化を与えた
り、しぼ発現の機能はない。の被覆弾性糸を用いた場
合、表面変化を得る手段としては交織、交編技法により
大柄な表面変化しか表現できず、しかも伸縮状態におい
ては、柄部のほとんどが伸び切り表面変化が消滅するな
ど、表面変化を固定できないという問題がある。
【0006】前記の交絡弾性糸は、織編物の表面に凹
凸感を発現させることができるが、凹凸がランダムで表
面品位が不良であり、追ねんなどで幾分は表面品位が向
上するが、その改善が不十分であるという問題がある。
このように、従来の被覆弾性糸使いの縮織編物は、大
きく収縮するのみで立体変化やしぼ発現はほとんどな
く、交絡弾性糸を用いた織編物も、表面品位に劣るも
のとなり、前記の従来の縮織編物のように、繊細で均
一なしぼ質を発現することは到底できなかった。
【0007】また、前記の強撚糸や先より仮未解ね
ん糸を用いた織編物は、一般的な縮織物であって良質な
しぼ質を有するが、ストレッチ性の付与が十分とはいえ
ない。すなわち、従来の被覆弾性糸や交絡弾性糸を
用いた織編物、および、強撚糸などを用いた従来の縮織
物の何れについても、優れた表面変化あるいはしぼの
発現と、良好なストレッチ性の両方の性質を兼ね備えた
ものはなかったのである。
【0008】そこで、この発明は、上記,および
の糸の問題点を解消し、良好なしぼ発現が得られるとと
もにストレッチ性にも優れた被覆弾性糸を提供すること
を第1の課題とする。さらに、この発明は、薄地でドレ
−プ性を有し、様々な風合を設定でき、かつ均整で審美
性に富んだしぼ織編物を提供することを第2の課題とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明にかかる先より被覆弾性糸は、弾性糸を芯
糸とし、非弾性フィラメント糸を鞘糸とする被覆弾性糸
において、 先より係数K1 が、3000<K1 <7300 被覆より係数K2 が、75<K2 <200 で、先より方向と同一にカバ−ドされてなるものであ
る。さらに、請求項2記載の発明にかかる先より被覆弾
性糸は、芯糸となる弾性糸のドラフト比が2.0倍以下
である。
【0010】請求項3記載の発明にかかるしぼ織編物
は、請求項1記載の先より被覆弾性糸を用いたものであ
る。請求項4記載の発明にかかるしぼ織編物は、芯糸と
なる弾性糸が解ねんよりを有するものである。ここで、
しぼ織編物は、織物または編物、あるいは、織組織と編
組織の両方を有する布帛であって、少なくとも表裏片面
にしぼ立ちを有するものを言う。
【0011】この発明にかかる先より被覆弾性糸は、弾
性糸を芯糸としフィラメント糸を鞘糸とする糸であり、
弾性糸にフィラメント糸をコイル状に巻き付けてなるカ
バ−ドヤ−ンである。この発明に用いられる弾性糸とし
ては、ポリウレタン弾性糸、ポリエステル弾性糸、ポリ
アミド弾性糸など、通常の弾性糸が広く用いられる。フ
ィラメント糸としては、各種の非弾性糸が用いられ、た
とえば、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリアクリロ
ニトリル系、ポリプロピレン系、塩化ビニル系などの合
成繊維のマルチフィラメント糸あるいはモノフィラメン
ト糸であったり、レ−ヨン系、ジアセテ−ト系、トリア
セテ−ト系、および生糸(絹)などの化繊および天然繊
維のフィラメント糸であったりする。このフィラメント
糸としては、モノフィラメント糸であるよりもマルチフ
ィラメント糸であるほうが良く、また、これらの捲縮加
工糸であるよりは原糸、生糸である方が良い。
【0012】フィラメント糸のデニ−ル数およびフィラ
メント数と、弾性糸のデニ−ル数との好ましい設定の仕
方は、たとえば、次のとおりである。10〜210デニ
−ルの弾性糸に対して20〜300デニ−ルで2〜14
4のフィラメント数を有するフィラメント糸を用いるの
が好ましい。薄地のしぼ織編物としては30〜100デ
ニ−ルがより好ましい。単糸デニ−ルは、3デニ−ル以
下がよく、できれば1.5デニ−ル以下が好ましい。
【0013】ここで、フィラメント糸がポリエステル系
糸の場合は、たとえば、高圧可染(130℃;分散染
料)レギュラ−タイブよりはむしろ、第3成分を添加し
た改質ポリエステルタイプの常圧可染に近いものほど好
ましい。具体的なフィラメント糸としては、常圧カチオ
ン可染ポリエステル(市販品では、たとえば、「カラ−
ファイン」:東洋紡績製)、「ルミレット」:東レ製な
どがある。また、弾性糸の可染上限の120℃以下で
は、「AHY」:三菱レ製、「LOC−I」および「L
OC−II」:東レ製などがある。
【0014】フィラメント糸の破断強度は1.0〜6.
0g/dまであればよく、特に毛羽の発生しやすいマル
チフィラメントや再生繊維、天然繊維であっても、この
発明では、カバ−リング撚糸に先立ち、先よりを付与す
るため、破断強度が1.0g/d付近であってもよいの
である。前記先より被覆弾性糸は、たとえば、次のよう
にして製造されたものが使用される。従来のカバ−リン
グ撚糸機を用いて製造できるが、しぼ質性能の向上を狙
って弾性糸のドラフト比をやや甘よりに設定したもの
を、カバ−リング撚数を並〜粗に設定させることが好ま
しい。カバ−リング撚糸タイプは、シングルカバ−ドヤ
−ン(以下、SCYと略す)が、ダブルカバ−ドヤ−ン
(以下、DCYと略す)より好ましい。
【0015】より具体的には、先より数を、先より係数
1 が3000<K1 <7300で、被覆より係数K2
が75<K2 <200になるように設定し、かつ、カバ
ーリングが、フィラメント糸の先より方向と同一にカバ
−リングする。先より方向と全く逆方向のカバ−リング
撚糸の場合には、カバ−リングより数が多くなればなる
程、しぼ発現能力が減少するので好ましくない。
【0016】被覆弾性糸のフィラメント糸の先より撚糸
加工に用いる先より係数K1 およびカバ−リング撚糸加
工に用いる被覆より係数K2 は、次式で定義する。 (先より係数K1 の定義) K1 =T1 /(ρ/D1 0.5 …(1) ただし、T1 :先より数(T/M) ρ :繊維の比重 D1 :鞘糸(フィラメント糸)のデニール (被覆より係数K2 の定義) K2 =T2 /(D0 +D2 /DF 0.5 …(2) ただし、T2 :シングルカバーリング撚糸加工のより数
(T/M) D2 :芯糸(弾性糸)のデニール D0 :カバード糸(すなわちフィラメント糸)のデニー
ル DF :ドラフト比 したがって、K1 が前記範囲に収まるように、フィラメ
ント糸の材料や太さに合わせて、先より数T1 を設定し
たり、K2 が前記範囲に収まるように、芯糸とカバード
糸の組み合わせを考慮したり、カバーリング撚糸加工の
より数T2 を設定したりするのである。
【0017】織物表面へのしぼ立ち発現は、まず第一
に、しぼ寄せ収縮力は弾性糸の弛緩に負うところにあ
り、第2に、被覆される以前に先よりを付与加工した先
よりフィラメント糸の収縮に伴う施回力(トルク)にあ
る。しぼの高さは、織物組織の経糸密度と被覆より数の
ピッチに同調すべく浮いた経糸が、先よりフィラメント
糸の上に重ならないことを前提に、第1に被覆より係数
2 の最適ゾーンが存在し、第2に弾性糸のドラフト比
が比較的低いところに負うものである。
【0018】まず、被覆弾性糸の先より数としぼ発現と
の関係で、先より係数K1 が3000〜7300の範囲
にすることが必要である。先より係数K1 が3000以
下であれば、しぼの発現が劣り、一方、7300以上で
あれば微細なしぼとなり表面変化の少ない審美性に欠け
た織物、つまり、先より効果がほとんど得られない通常
のストレッチ織物に近いものになる。つぎに、カバーリ
ング撚糸条件としぼ発現で、先より方向と同一方向に被
覆より係数K2 が75〜200の範囲内であることが必
要である。被覆より係数が75未満であれば、しぼ立ち
は粗野なデシン調に、200を超えると、微細なもので
表面の変わり的なものではなくなる。
【0019】弾性糸のドラフト比は、2.0倍以下であ
ることが好ましい。ドラフト比が2.0倍よりも高ドラ
フトになれば、弾性糸の収縮力が大きくなり、鞘糸の所
有する先より数の収縮力や旋回力(トルク)を超越し
て、大きな収縮力や大きな伸長などとなり、ストレッチ
化した織物になる。2.0倍以下の低ドラフトであれ
ば、弱い収縮力であるので、鞘糸の先より数の収縮力や
旋回力(トルク)が勝り、しぼ発現を形成する。そし
て、その適性領域はドラフト比1.4〜1.8倍であ
る。被覆弾性糸の鞘糸を構成するフィラメント糸の先よ
り数としぼ発現効果と同時に、弾性糸のドラフト比の小
さい領域、つまり収縮力の弱い領域ではしぼ発現に弾性
糸の収縮力が大きく寄与し、しかも先よりフィラメント
糸の解ねんによって弾性糸自身によりが付与されてなる
ためしぼ発現効果を倍加する。反対に、弾性糸のドラフ
ト比がこの発明以外の大きい領域では収縮力が過大で伸
縮性の大なるストレッチ織物化し、しぼ発現に寄与しな
い。
【0020】このようにして得られた先より被覆弾性糸
を用いてしぼ織物およびしぼ編物を作ることができる。
しぼ織物は、たとえば、次のようにして製織される。経
糸もしくは緯糸の一方に先より被覆弾性糸を用い、他方
の緯糸もしくは経糸に先より被覆弾性糸に用いたフィラ
メント糸、もしくは同先よりフィラメント糸を用いて、
織機はスルザ−もしくはレピアタイプで、経糸および緯
糸の張力を充分管理しながら、平織、斜文織(ツイ
ル)、もしくは朱子織(サテン)などを適宜の織密度で
製織した後、しぼ発現処理加工、染色および整理仕上加
工を施す。
【0021】また、前記しぼ編物は、たとえば、次のよ
うにして編成される。シングルニットでは、広径(30
インチφ以上)の釜を有する18〜28ゲ−ジのシンカ
−丸編機に、前記のようにして得られた先より被覆弾性
糸をそのまま仕掛け、用途に応じて150〜400g/
m(持掛目付)に設定する。また、各種両面編機を用い
てダブルニットを編成する。これらシングルニット、も
しくはダブルニットは、前記しぼ織物と同様に交編糸と
して先より被覆弾性糸に用いたフィラメント糸、もしく
は同先よりフィラメント糸を用いてもよい。編成給糸時
の張力管理は勿論のこと、大切なのはパッケ−ジからの
解舒時、強撚トルクに類似のビリ発生(又はスナ−ル)
などによる飛込み欠点を防止するビリ止め装置を付設す
ることである。次後の工程でしぼ発現処理加工を行い、
染色整理をする。
【0022】これらのしぼ織編物にポリエステルフィラ
メント糸を使う場合には、しぼ発現処理加工する前後い
ずれかの段階で、適宜の減量加工を行うことが重要であ
る。ポリエステルフィラメント糸の減量率は2〜25重
量パ−セントが好ましい。この発明において、フィラメ
ント糸が先より被覆弾性糸と交織、交編されるのは、フ
ィラメント糸もしくは同強撚フィラメント糸だけの織編
物だとストレッチ性が皆無であるばかりか、ドレ−プ性
が低いものしか得られないためである。先より被覆弾性
糸と交織・交編することによって、ドレ−ブ性が非常に
良くなり、しかも、前記ポリエステルフィラメント糸使
いの場合のように、減量率を適宜コントロ−ルすること
によって所望の風合を得ることができる。さらに、目ズ
レ防止ができ、カサ高でソフトな風合となり、一層ドレ
−プ性を向上させるという利点がある。
【0023】前記しぼ発現処理加工は、フィラメント糸
の材質に応じて、しぼ発現処理条件を適宜選んで行うこ
とができる。たとえば、フィラメント糸として常圧可染
ポリエステル糸を用いた場合には、熱処理温度を常温か
ら熱水98℃で20分〜40分キ−プさせる方法、もし
くは熱水98℃中に投入させて20〜40分キ−プさせ
る方法のいずれのかの方法が選択できる。また、レ−ヨ
ン糸や絹を用いた場合には、熱処理温度を常温から昇温
させ80〜90℃で20〜40分キ−プさせる方法がよ
い。
【0024】また、しぼ発現処理加工機の選択が重要で
ある。織物では、精練と兼用のソフトリラクサ−の機能
を有し布地が自由に流れ移動できる機種タイプが良い。
具体的には、たとえば、ワッシャ−しぼ立て、連続しぼ
立て法などがある。丸編物では筒状が多いため、液流染
色機において、布を絞るタイプやラピッド型を避けて、
低速流で浴比の大きなものが好ましい。
【0025】さらに、前記フィラメント糸がポリエステ
ル糸であるときの減量加工は、たとえば、次のようにし
てなされる。苛性ソ−ダ溶液3.5%owf 、1時間、4
0℃以上の条件で浸漬させることによって行うことがで
きる。なお、ポリエステル糸の減量加工の程度は、特に
制限はないが、減量率2〜25重量%であることが必要
である。ポリエステル糸使い織物の場合15〜25重量
%が、丸編物の場合2〜15重量%が好ましい。この範
囲の減量率であれば、単にしぼを有することだけでな
く、風合がソフトでドレ−プ性を有する等の点で優れて
いるが、減量率が25重量%を超えると被覆弾性糸の芯
糸でる弾性糸の耐久性、とくに耐光堅牢度が低下した
り、ポリエステル糸の強力劣下が極度に進行し、引裂強
力や破裂強力が弱まり断糸のおそれがある。これらの予
防策として、減量加工後、酸による中和や染色の洗浄な
ど行うのが好ましい。
【0026】この発明で得られるしぼ織物およびしぼ編
物は、任意の用途に用いられるが、特に好ましい用途と
して、たとえば、婦人用ブラウス、ワンピ−ス、および
スカ−トなど、主としてレディ−スアウタ−に用いられ
る。
【0027】
【作用】従来、フィラメント糸、あるいは仮より加工糸
を鞘糸に用いた被覆弾性糸の織編物に、しぼ発現がほと
んど見られず、もっぱらストレッチ性を発揮した織編物
しか得られないのは、次のような理由による。従来の被
覆弾性糸は、精練/リラックス、あるいは染色工程での
収縮作用はストレッチ性を有する伸縮挙動のみであっ
て、立体的変化が極めて少ない挙動である。つまり、弾
性糸はストレ−ト状に収縮するが、元来ハイストレッチ
用にドラフト比を約3倍以上の高目に設定するのが普通
であるため、収縮作用が非常に大きい。一方、鞘部であ
るフィラメント糸が、より無しで、トルクを有しない原
糸又は生糸であるので、弾性糸が収縮したときに、より
数の増加のみが生じ、しぼ立ちを誘発することはない。
むしろ弾性糸に対し、原糸又は生糸自身の収縮によっ
て、より緊縛する方向に働き、均整で密度の高いコイル
状となる。また、鞘部が仮より加工糸であれば、弾性糸
の収縮時、より数の増加は勿論であるが、しぼ立ちを誘
発することはなく、仮より加工糸の捲縮発現の増加とな
って、カサ高性を有する単なるストレッチヤーンとなる
のである。何れにしても、しぼ発現は望めない。
【0028】これに対し、この発明では、弾性糸を芯糸
とし、先よりを有する非弾性フィラメント糸を鞘糸とし
ており、このような先より被覆弾性糸は、熱処理する
と、鞘糸の解ねん作用で、しぼ立ちに富むと同時に、良
好な伸縮性を有するものとなる。すなわち、フィラメン
ト糸に先よりを付与することによって、解ねんトルクを
生起させることができ、この解ねんトルクで、しぼ立ち
が発現するのである。また、フィラメント糸の先より方
向と同一方向にカバーリング撚糸することによって、残
留トルクの相乗効果を利用することができ、立体変化を
より大きく得ることができる。また、弾性糸のドラフト
比を、2倍以下の低目に設定しておけば、収縮力を有効
に利用することができる。
【0029】次に、従来の強ねん糸および先より未解ね
ん加工糸の縮織編物は、たとえば、強ねん糸の場合、フ
ィラメント糸に強ねん(1000T/M 以上)を付与し、
縮織物を得るとき、それぞれZより、またはSよりを準
備して1本交互、もしくは2本交互などに配列すること
によって始めてしぼ織物が均整に得られる。ここでは、
強ねん糸自身の解ねんトルクとしぼ寄せ収縮がZより/
Sよりの配列の相乗効果となってしぼ立ちする。また、
先より未解ねん加工糸の場合は、仮より加工する以前
に、先より撚糸を付与しておくために、仮より加工後、
未解ねんが残留し、前項の強ねん糸と同一の1本交互、
もしくは2本交互のZより先より未解ねんを配列させた
り、生糸との合ねんなどによって、先よりトルクを相乗
させ、しぼ発現するが、しぼ質はある拡がりに高低差や
ランダムであって均整でない。従来のものは、いずれも
流れしぼを伴うことが多い。
【0030】これに対し、この発明では、鞘糸となるフ
ィラメント糸の先より係数、および、被覆弾性糸の被覆
より係数を前記特定の範囲に設定していることにより、
この発明の先より被覆弾性糸を用いたしぼ織編物は、一
様で均整なしぼ立ちを示す。すなわち、従来における強
撚糸のチリメン、パレスおよびデシン調のものや、先よ
り仮より糸のように、ランダムなしぼ立ちで、かつ周期
的な出方をしたものとは全く異質なしぼ立ちを示すとと
もに、このしぼ立ちは、極めて優れた外観を呈するもの
となる。しかも、スリップ(目寄れを含む)が起こりに
くく、ドレ−プ性と伸縮性も良いものとなるのである。
【0031】
【実施例】以下、この発明の先より被覆弾性糸の一実施
例を表す図面を参照しながら説明するが、この発明は図
示したものに限定されない。図1(a)は、この発明の
先より被覆弾性糸の一実施例を側面から見た模式図であ
る。
【0032】この図に見るように、この先より被覆弾性
糸1は、弾性糸2からなる芯部、ならびに、フィラメン
ト糸3からなる鞘部を有する。フィラメント糸3は、別
の工程で片より方向(Zより、もしくはSよりの意)に
撚糸された先よりフィラメント糸であって、弾性糸2に
先よりフィラメント糸3のより方向と同一方向にコイル
状に巻きつけてなるものである。すなわち、フィラメン
ト糸3がZよりであれば、弾性糸2にフィラメント糸3
を巻きつけるときも、Zよりに巻きつける。
【0033】図1(b)は、この発明の先より被覆弾性
糸をしぼ発現処理加工した一実施例を側面から見た模式
図である。この実施例の先より被覆弾性糸10は、図1
(a)に示すものに比べて、フィラメント糸3に示され
た斜線の本数が少ない。この斜線は、より方向を表すと
とにも、より数の密度を表している。また、コイル状の
巻きつき状態が、場所によって巻きつき径が異なり高低
差を有する状態に変わっている。さらに、弾性糸の芯糸
は解ねんよりが付加されている。
【0034】図1では、糸の構造をわかりやすくするた
めに、フィラメント糸3に斜線を入れて、先よりフィラ
メント糸の感じを示した。また、しぼ発現処理加工を受
けることよって均一なコイル巻き付きであったものが、
先より数の解ねん作用(甘より化)に伴って、しぼ立ち
を誘発し高さの異なるコイル状となる。一方、弾性糸2
は、収縮作用(解ねんより)を伴ってしぼ寄せ収縮を生
起する。
【0035】次に、この発明のしぼ織編物の1実施例を
表わす図面を参照しながら説明する。図2は、この発明
の一実施例よりなるしぼ織物の経糸断面斜視図である。
図2において、織物組織は2飛の5枚朱子織であり、断
面図で5本に1本浮いた経糸が上に、隣りに経糸4本が
連続して下に配置されている。断面部に近い緯糸は、被
覆された先よりフィラメント糸が織物表面に突出するし
ぼとして、経糸の浮いた1本の組織点で形成されている
ケースが多く存在し、中には経糸の浮いた1本が、被覆
されているフィラメント糸を押さえてしぼを織物表面に
露出しないところもある。図中500μmのスケールが
入った部分の経糸密度は、約10.5本/mmである。元
来、被覆直後900T/M の被覆より数のピッチは約11
1mm/Tであることと同義である。これがしぼ発現処理加
工することによってどのように変化したかは図3を解析
すると明らかになる。
【0036】図3は、しぼ織物の任意の個所から抜き取
った緯糸、つまり、先より被覆弾性糸の拡大構造を表し
ている。図3において、芯糸を構成している弾性糸2
は、ねじれの少ない状態にあり、鞘糸を構成している先
よりフィラメント糸3の緯糸分解糸は、同一ピッチで被
覆して浮いている部分3aと、芯糸の弾性糸2に接触し
て緊縛した状態にある部分3bで成り立っている。当該
同一ピッチ部分3aは、図2から経糸との組織点で、一
本浮いた経糸が上に、連続4本が下に配置されたとき、
鞘糸の先よりフィラメント糸3の被覆よりのピッチと同
調し、1本浮いた経糸が被覆よりの間、つまり芯糸弾性
糸の上に入り、先よりフィラメント糸3が織物表面に突
出するしぼを形成する。一方、芯糸の弾性糸2に接触し
た状態にある部分3bは、鞘糸の先よりフィラメント糸
3の被覆よりのピッチがたまたま経糸の浮いた一本の下
に押さえられて、織物表面に出ることなく凹んで芯糸の
弾性糸に接触した形となる。
【0037】これらの構造の発生頻度は、織物組織、経
糸密度と被覆より係数の関係で支配される。図3にあっ
ては、同一ピッチの部分aは2〜4回で、ほとんど3回
が多い。この同一ピッチの部分aが、織物表面では、一
定面積内に表われるしぼ個数、配列(方向を含む)を構
成し、この発明の変わりしぼを表現している。図4は、
この発明の他の実施例となる、しぼ編物の任意の個所か
ら抜き取った分解糸、つまり先より被覆弾性糸の拡大構
造を表している。
【0038】図4において、芯糸を構成している弾性糸
2′は、解ねんよりを有し、鞘糸を構成している先より
フィラメント糸3′は弾性糸2′から離れて突出した状
態(甘より部)で被覆している部分3a′と芯糸の弾性
糸1′を緊縛した状態(強ネン部)で被覆している部分
3b′から成り立っている。しぼ編物(省略)のしぼ質
は、ランダムながら流れしぼのない均整さを有する。図
4としぼ編物の関係は、先よりフィラメント糸3′の突
出部3a′がしぼ立ちとなり、反対に芯糸を緊縛した部
分3b′が編地の凹んだフラット部を形成する。
【0039】前記図3と図4の若干の相違点は、織物の
組織拘束力が強く、芯糸のねじれ度合が少ないほどしぼ
立ちは顕著である。編物内で被覆している先よりフィラ
メント糸3′の解ねんよりの大きさは編物内拘束力が弱
くルーズなため、しぼ寄せ収縮力が働いたときに解ねん
よりが多く入ったものと考える。以下に、この発明の具
体的に実施例および比較例を示すが、この発明は下記実
施例に限定されない。
【0040】−実施例1− 表1に示すポリエステルフィラメント糸75−36−E
220(200 T/M,S:Z2本交互配列;「ソルー
ナ」三菱レイヨン株式会社製、AHYタイプ)を経糸
に、被覆弾性糸S275(AHY)(「オペロン」20
dタイプ127c:東レ・デュポン株式会社製ポリウレ
タン弾性糸、以下の実施例も同じ、を芯糸にして、鞘糸
「ソルーナ」75−48−E220を先より数Zより5
00T/M に撚糸加工したものに、カバーリング撚糸条件
900T/M,Zよりにドラフト倍率1.64でシングルカ
バーリングしたもの)を緯糸に用い、織組織は5枚朱子
織であった。
【0041】用いた織機は、レイピア織機のMAV型レ
ピア(津田駒株式会社製)で、製織条件は400回転/
分で実施した。織物設計は筬入幅198cm(筬密度80
羽/鯨寸)織上密度94本/インチ、仕上密度282本
/インチ×100本/インチ(タテ×ヨコ)、仕上幅1
13cmであった。次に、生機を精練80℃×20分処理
した後、ワッシャしぼ立て機で98℃×30分しぼ発現
処理加工を実施した。引き続き、減量加工は苛性ソーダ
溶液3%owf 、1時間、85℃の条件で浸漬処理した。
染色仕上は、染色機液流−染色機(ユニエース)でカチ
オン染料×9℃×45分の染色をした後、乾燥、仕上セ
ットを行った。
【0042】このようにして、ハードタッチの、ワンピ
ース、ドレスに快適な、しぼを有する審美性に富んだ織
物を得た。 −実施例2− 表1に示す絹21中/2(2800T/M 、S:Z2本交
互配列)を経糸に、被覆弾性糸S275(R)(「オペ
ロン」20dタイプ127cを芯糸に、鞘糸レーヨン7
5−30−SD;株式会社クラレ製を先より数Zより5
00T/M で撚糸加工したものを、カバーリング撚糸条件
900T/M,Zよりにドラフト倍率1.48でシングルカ
バーリングしたもの)を緯糸に用い、織組織は平織であ
った。
【0043】用いた織機は、実施例1と同一であり、織
物設計は、筬入幅160cm、仕上幅92cm、織上密
度96本/インチ、仕上密度162本/インチ×119
本/インチ(タテ×ヨコ)であった。次に、生機を吊染
機で96℃×180分絹縛りとしぼ発現処理加工を同時
に実施した。同機で染色、徐冷、ソーピングを行った。
【0044】得られたしぼ織物は、ジョーゼット調で、
婦人ブラウス地として雅趣に富んだものであった。 −実施例3− 表2に示すナイロンフィラメント糸50−24−215
(1800T/M,S:Z2本交互配列;東レ株式会社製)
を経糸に、被覆弾性糸S470(「オペロン」40dタ
イプ127cを芯糸に、鞘糸ナイロンフィラメント糸7
0−68−200;東レ株式会社製「ロイヤルソフィ
ー」を先より数Zより750T/M に撚糸加工したもの
を、カバーリング撚糸条件1200T/M,Zよりにドラフ
ト倍率1.85でシングルカバーリングしたもの)を緯
糸に用い、織組織2/1ツイル織で製織した以外は実施
例1と同一しぼ発現処理加工を行った。
【0045】得られたしぼ織物は、風合・タッチがソフ
トで絹調のものであり、スリップ・キャミソールに好適
な織物であった。 −実施例4− 表2に示すように、実施例1において、ポリエステルフ
ィラメント糸を「AHY」75−36−E220から、
「LOC−II」100−48−F915(東レ株式会社
製改質ボリエステル長繊維、カチオン可染120℃染色
タイプ)へ、被覆弾性糸をS275(R)からS310
0(S275(R)に対して、オペロン糸を20dから
30dに変え、先より数Zより400T/M で撚糸加工し
たものを、カバーリング撚糸条件850T/M 、Zよりに
ドラフト倍率1.40でシングルカバーリングしたも
の)へ、織組織を平織に変えた以外は、すべて実施例2
と同一処方でしぼ発現処理、及び減量加工などを実施し
た。
【0046】得られたしぼ織物は、シフォンクレープ調
で、かつ婦人ブラウス(中厚地)向の織物であった。 −実施例5− 表3に示すように、実施例2の緯糸である被覆弾性糸S
275(R)を用い、編組織 2段両面編、24ゲージ
30インチ(福原精機製;JIL−7)で編成した。染
色加工は、液流染色機を用い、丸仕上セットを行った。
【0047】得られたしぼ編物は、ジョーゼット調で、
ドレープ性に富む変わりしぼでワンピースに好適なもの
であった。 −実施例6− 表3に示すように、実施例5において、被覆弾性糸S2
75(R)に替え、ポリエステルフィラメント糸30−
24−BFT(先より数1200T/M,Zより;旭化成工
業製「TEC」超高速紡糸)をカバーリング条件120
0T/M,Zよりにドラフト倍率1.55でシングルカバー
リングしたS430(TE)を用いた。交編糸に当該ボ
リエステルフィラメント糸の先より数3000T/M のも
のを用いた。
【0048】ポリエステル糸の減量加工は、実施例1と
同様に実施した。得られたしぼ編物は、ソフトタッチで
ドレープ性に富むブラウスシャツに適するものであっ
た。 −比較例1− 表4に示すように、実施例1で用いたポリエステルフィ
ラメント糸75−48−E220を経糸に、被覆弾性糸
S275(AHY)のカバード糸を仮より加工(ウーリ
ボリエステル/2ヒータ)したもので、カバーリング撚
糸条件および織物での製織条件や染色加工は実施例1と
全く同様に行って、ストレッチ織物を得た。
【0049】−比較例2、3− 表4および表5に示すように、合撚機および仮より加工
機(1ヒータ)を用いて、先より未解ねんタイプ被覆弾
性糸K1000(「オペロン」T−127、20D とナ
イロン70−34−205;東レ株式会社製を先より2
00T/M,Zよりを付与した後、仮より加工した「SP
Y」;東レ・デュポン株式会社製特殊カバーリング糸)
を製造した。
【0050】得られた先より未解ねんタイプ被覆弾性糸
をそのまま用いて、実施例3と同様にヨコ糸使いで製織
した。また、実施例5と同様に100%使いで編成し
て、織編物を得た。 −比較例4、5− 表5および表6に示すように、実施例5で用いたレーヨ
ン糸75−34−SD使いの被覆弾性糸S275(R)
のカバード糸を原糸(又は生糸)のままでカバーリング
した以外は実施例2および5と同様にそれぞれ製織、製
編したのち、染色加工を実施して、ストレッチ織編物を
得た。
【0051】この発明の実施例および比較例で得られた
しぼ織編物の特性として、しぼ質外観、伸縮性、ドレー
プ性およびタッチ・風合などをそれぞれ調べ、結果を表
1〜6に示している。各特性は、下記の基準で評価し
た。 (1) 織編物のしぼ質外観 従来からの代表的しぼ織物の種類を対比させて、できる
だけ類似のものに呼称するように努めた。
【0052】・チリメンしぼ……生糸の強ねん(300
0T/M )布面にしぼの凹凸 ・デシンしぼ………生糸の強ねん(3000T/M )しぼ
織物 ・パレクしぼ………生糸の強ねん(パレスより)しぼ低
く、平滑。 ・変わりしぼ………この発明のカバード糸が突出した新
規なもの。 (2) 織編物の伸縮性 試料の大きさ25cm×25cmに切り取り、つかみ間
隔20cmでストレッチ性を有する方向(多くは、ヨコ
方向)に定伸長引張試験機の引張速度100%/分で定
荷重500gfまでの伸度を求めた。 (3) 織編物のドレープ性 JIS L1096(一般織物)のドレープ法測定装置
を用い、ドレープ係数とドレープ形状係数から、総合的
に次のランク付けを行った。
【0053】◎:ドレープ係数0.25以下 ドレープ形状係数4.16以上 ○:ドレープ係数0.26〜0.35 ドレープ形状係数3.76〜4.15 △:ドレープ係数0.36〜0.45 ドレープ形状係数が3.36〜3.75 ×:ドレープ係数0.46以上 ドレープ形状係数3.35以下 (4) 織編物の風合・タッチ 風合は、実施例1の減量加工布に対するハンドリング判
定(1:1比較)で、ソフト感およびハード感に加え、
ヌメリ感、ドライタッチなどを感覚で区別判定した。
【0054】
【表1】 ────────────────────────────────── 実施例1 実施例2 ────────────────────────────────── 被覆弾性糸: 芯糸 「オペロン」127c 「オペロン」127c 20d 20d 鞘糸 「ソルーナ」AHY レーヨン 75−48−E220 75−30−SD Z撚500T/M Z撚500T/M 被覆方法 SCY;S275(AHY) SCY;S275(R) Z撚900T/M Z撚900T/M ドラフト倍率1.64 ドラフト倍率1.48 長繊維フィラメント糸:「ソルーナ」 絹 75−48−E220 21中/2(片より) S/Z撚2000T/M S/Z撚2800T/M 先より係数 K1 3687 3526 被覆より係数 K2 97 97 糸使い:緯糸(表糸) 被覆弾性糸 被覆弾性糸 経糸(裏糸) 長繊維フィラメント糸 長繊維フィラメント糸 織(編)組織 5枚朱子織 平 織 ────────────────────────────────── 特性:しぼ質外観 変りしぼ 変りしぼ 伸縮性(%) 43 37 ドレ−プ性 ◎ ◎ 風合・タッチ ドライタッチ ドライタッチ (ジョーゼット調) 減量率(%) 18.2 24(絹) ──────────────────────────────────
【0055】
【表2】 ────────────────────────────────── 実施例3 実施例4 ────────────────────────────────── 被覆弾性糸: 芯糸 「オペロン」127c 「オペロン」127c 40d 30d 鞘糸 ナイロン 「LOC−II」 70−68−200 100−48−F915 Z撚750T/M Z撚400T/M 被覆方法 SCY;S470 SCY;S3100 Z撚1200T/M Z撚850T/M ドラフト倍率1.85 ドラフト倍率1.40 長繊維フィラメント糸:ナイロン 「LOC−II」 50−24−215 75−36−F915 S/Z撚1800T/M S撚350T/M 先より係数 K1 5878 3407 被覆より係数 K2 134 78 糸使い:緯糸(表糸) 被覆弾性糸 被覆弾性糸 経糸(裏糸) 長繊維フィラメント糸 長繊維フィラメント糸 織(編)組織 2/1ツイル織 平 織 ────────────────────────────────── 特性:しぼ質外観 変りしぼ 変りしぼ 伸縮性(%) 52 32 ドレ−プ性 ○ ◎ 風合・タッチ 絹調タッチ ドライタッチ 減量率(%) ─ 26.5 ──────────────────────────────────
【0056】
【表3】 ────────────────────────────────── 実施例5 実施例6 ────────────────────────────────── 被覆弾性糸: 芯糸 「オペロン」127c 「オペロン」127c 20d 40d 鞘糸 レーヨン 「TEC」 75−30−SD 30−24−BFT Z撚500T/M Z撚1200T/M 被覆方法 SCY;S275(R) SCY;S430(TE) Z撚1100T/M Z撚1200T/M ドラフト倍率2.00 ドラフト倍率1.55 長繊維フィラメント糸: 「TEC」 ─ 30−24−BFT S/Z撚3000T/M 先より係数 K1 3526 5595 被覆より係数 K2 120 161 糸使い:緯糸(表糸) 被覆弾性糸 被覆弾性糸 経糸(裏糸) 被覆弾性糸 長繊維フィランメント糸 織(編)組織 2段両面編 2段両面編 ────────────────────────────────── 特性:しぼ質外観 変りしぼ 変りしぼ 伸縮性(%) 88 62 ドレ−プ性 ◎ ◎ 風合・タッチ ドライタッチ ソフトタッチ 減量率(%) ─ 14.5 ──────────────────────────────────
【0057】
【表4】 ────────────────────────────────── 比較例1 比較例2 ────────────────────────────────── 被覆弾性糸: 芯糸 「オペロン」127c 「オペロン」127 20d 20d 鞘糸 「ソルーナ」AHY ナイロン 75−48−E220 70−34−205 2ndヒータ仮より加工糸 Z撚200T/M 被覆方法 SCY;S275(WT) SPY;K1000 Z撚900T/M 未解ねん仮撚 ドラフト倍率1.64 ドラフト倍率3.2 長繊維フィラメント糸:「ソルーナ」 ナイロン 75−48−E220 50−24−215 S/Z撚2000T/M S/Z撚1800T/M 先より係数 K1 0 1568 被覆より係数 K2 97 0 糸使い:緯糸(表糸) 被覆弾性糸 被覆弾性糸 経糸(裏糸) 長繊維フィラメント糸 長繊維フィラメント糸 織(編)組織 5枚朱子織 2/1ツイル織 ────────────────────────────────── 特性:しぼ質外観 しぼ立ちなし しぼ立ちなし 伸縮性(%) 45 14 ドレ−プ性 ○ △ 風合・タッチ ドライタッチ ソフトタッチ 減量率(%) 15.4 ─ ──────────────────────────────────
【0058】
【表5】 ────────────────────────────────── 比較例3 比較例4 ────────────────────────────────── 被覆弾性糸: 芯糸 「オペロン」127 「オペロン」127c 20d 20d 鞘糸 ナイロン レーヨン 70−34−205 75−30−SD Z撚200T/M 被覆方法 SPY;K1000 SCY;S275(R) 未解ねん仮撚 Z撚900T/M ドラフト倍率3.2 ドラフト倍率1.48 長繊維フィラメント糸: 絹 ─ 21中/2(片より) S/Z撚2800T/M 先より係数 K1 1568 0 被覆より係数 K2 0 96 糸使い:緯糸(表糸) 被覆弾性糸 被覆弾性糸 経糸(裏糸) 被覆弾性糸 長繊維フィラメント糸 織(編)組織 2段両面編 平織 ────────────────────────────────── 特性:しぼ質外観 しぼ立ちなし しぼ立ちなし 伸縮性(%) 61 41 ドレ−プ性 △ ○ 風合・タッチ ソフトタッチ ドライタッチ 減量率(%) ─ ─ ──────────────────────────────────
【0059】
【表6】 表1〜6にみるように、この発明の先より被覆弾性糸で
ある実施例の織編物は、比較例の糸を用いたものに比べ
ると、極めて優れた変わりしぼを有するとともに、十分
な伸縮性も備えていることが明らかである。
【0060】
【発明の効果】この発明にかかる先より被覆弾性糸は、
以上に述べたようなものであるので、これを用いると、
伸長してもスリップを生じにくく、しぼ立ち性に富む織
編物を得ることができる。この発明にかかるしぼ織編物
は、以上に述べたような先より被覆弾性糸を用いている
ので、伸長してもしぼ立ちが消滅しない織編物を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明にかかる先より被覆弾性糸の実施例
を表す模式側面図
【図2】 しぼ織物の実施例を表わす経糸断面斜視図
【図3】 しぼ織物およびしぼ編物から抜き出した分解
糸の拡大図
【図4】 別の分解糸の拡大図 1、10 先より被覆弾性糸 2、2′ 弾性糸 3、3′ フィラメント糸 3a、3a′ カバード糸が解ねん(甘より)で芯糸か
ら離れた部分 3b、3b′ カバード糸が収縮して芯糸に緊縛して巻
付いている部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 3/38 D02G 3/32 D03D 15/00 D03D 15/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性糸を芯糸とし、非弾性フィラメント
    糸を鞘糸とする先より被覆弾性糸において、下式(1)で表される 先より係数K1 が、3000<K
    1 <7300下式(2)で表される 被覆より係数K2 が、75<K2
    <200 で、先より方向と同一方向にカバ−ドされてなることを
    特徴とする先より被覆弾性糸。(先より係数K 1 の定義) 1 =T 1 /(ρ/D 1 0.5 …(1) ただし、T 1 :先より数(T/M) ρ :繊維の比重 1 :鞘糸(フィラメント糸)のデニール (被覆より係数K 2 の定義) 2 =T 2 /(D 0 +D 2 /D F 0.5 …(2) ただし、T 2 :シングルカバーリング撚糸加工のより数(T/M) 2 :芯糸(弾性糸)のデニール 0 :カバード糸(すなわちフィラメント糸)のデニール F :ドラフト比
  2. 【請求項2】 芯糸となる弾性糸のドラフト比が2.0
    倍以下である請求項1記載の先より被覆弾性糸。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の先より被覆弾性糸を用い
    たしぼ織編物。
  4. 【請求項4】 芯糸となる弾性糸が解ねんよりを有する
    請求項3記載のしぼ織編物。
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