JP2001262445A - 伸縮特性に優れた織編物 - Google Patents

伸縮特性に優れた織編物

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JP2001262445A JP2000070175A JP2000070175A JP2001262445A JP 2001262445 A JP2001262445 A JP 2001262445A JP 2000070175 A JP2000070175 A JP 2000070175A JP 2000070175 A JP2000070175 A JP 2000070175A JP 2001262445 A JP2001262445 A JP 2001262445A
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elongation
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Hitoshi Nakatsuka
均 中塚
Kazuhiko Tanaka
和彦 田中
Tadayoshi Koizumi
忠由 古泉
Shoji Sueyoshi
正二 末吉
Masao Kawamoto
正夫 河本
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 梳毛調織編物に優れた伸縮性を付与し、ぎら
つき感がなく、軽量感、反発感を有し、新しい質感と高
いストレッチ機能を合わせ持つ織編物を提供する。 【解決手段】 撚係数7000〜36,000の実撚を
施した仮撚構造加工糸を含む織編物であって、該加工糸
の非交絡部の断面空隙率が65〜85%であり、該断面
の中心部に空隙率15〜35%の空洞を有し、該加工糸
を構成する芯糸は、中空サイドバイサイド型複合フィラ
メントからなり、芯糸の撚角度が側糸の撚角度よりも小
さい撚構造を呈しており、該織編物から解舒した加工糸
の伸長率が25%以上、かつ25%伸長時の回復率が8
0%以上である織編物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、伸縮性仮撚構造加
工糸を用いた織編物に関し、さらに詳しくは、ソフトで
嵩高なウール織物様の風合いに加え、ぎらつき感がな
く、同時に優れた伸縮性と反発感、軽量感を付与するこ
とによって新しい質感とソフトストレッチ機能を備えた
織編物に関する。
【0002】
【従来の技術】新合繊の例を挙げるまでもなく、熱可塑
性のポリエステルフィラメントからなる織物は生産技術
・加工技術の進化と共に、その表現力を次第に拡大して
いる。なかでも2種以上の伸度の異なる原糸を同時に仮
撚して得られる複合加工糸は仮撚構造加工糸と呼ばれ、
スパンライク糸として生産が開始されたが、その後も進
化を続け、梳毛調織物の表現が可能なまでに至ってい
る。
【0003】通常、仮撚構造加工糸は嵩高性には優れる
が、無撚で織物とした場合ピリングやスナッギングが発
生しやすく、またドレープ性に欠けるため追撚して使用
される。追撚された仮撚構造加工糸はその構造上、芯糸
は比較的直線的で突っ張った状態であり、かつ撚りによ
って捲縮の発現が疎外されるため伸縮性に劣る傾向があ
る。これを改善するために、特開平5−311533号
公報では、構造加工糸の芯糸にサイドバイサイド型複合
繊維を用い、適度な伸縮性を与え、縫製性を良好にする
技術が提案されている。さらに、伸長率が25%以上あ
る高い伸縮性を付与した織編物が提案されている(特開
平11−323696号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記技術によって得ら
れる織物は良好な伸長性を有しているが、衣料分野で
は、伸長性に加えて、軽量感があり、ぎらつき感のな
い、新しい質感と高いストレッチ機能を併せ持つ織編物
が要求されることがあり、従来のストレッチ布帛で、こ
れらのすべての機能を発現させることは困難であった。
本発明の目的は、上記の課題を解決し、梳毛調織編物に
優れた伸縮性、軽量性を付与し、さらにぎらつき感のな
い織編物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、実
撚を施した仮撚構造加工糸を含む織編物であって、該加
工糸の非交絡部の断面空隙率が60〜90%であり、該
断面の中心部に空隙率10〜40%の空洞を有し、該加
工糸を構成する芯糸の撚角度が側糸の撚角度よりも小さ
い撚構造を呈しており、該織編物から解舒した加工糸の
伸長率が20%以上、かつ25%伸長時の回復率が80
%以上である織編物で、芯糸を構成する繊維が、下記
(1)式を満足する微粒子含有ポリエステル(A)と融
点150℃以上の繊維形成性ポリマー(B)とからなる
サイドバイサイド型複合長繊維であり、かつ繊維断面に
下記(2)式及び(3)式を満足する中空孔が存在する
捲縮性複合長繊維であることを特徴とする織編物であ
る。 0.015≦φ・W≦3.2 (1) φ;微粒子粒径(μm)、W;微粒子含有量(質量%) 1≦α1≦8 (2) 1.5≦α2≦22.0 (3) α1;中空孔数 α2;中空率(%)
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳しく説明
する。本発明の織編物の最大の特徴は、織編物を構成す
る伸縮性仮撚構造加工糸にあり、さらに芯糸に中空断面
を有した繊維を用いる事にある。まずその形態について
述べる。本発明の織編物を構成する伸縮性仮撚構造加工
糸は、一般の仮撚構造加工糸同様、ピリングやスナッギ
ングの発生を防止するためおよびドレープ性を得るため
に実撚を有している。撚係数をT√D(T:撚数(回/
m)、D:構造加工糸の繊度(デシテックス))で定義
すると、7,000〜36,000の撚が施されてい
る。7,000未満ではスナッギングが発生する懸念が
あったり、ドレープ性に欠ける場合がある。また36,
000を越えると風合が粗硬になったり、最大の特徴と
も言える高い空隙率や空洞が確保できなくなり満足な伸
縮性が得られなくなる。風合上好ましい撚係数の範囲
は、織物では15,000〜36,000、編物では
7,000〜20,000である。
【0007】本発明の織編物を構成する伸縮性仮撚構造
加工糸は、7,000〜36,000の撚係数での実撚
が施されているにも拘わらず、非交絡部の糸断面におい
て60〜90%、好ましくは70〜80%、という高い
空隙率を有している。同程度の糸長差を有する通常の仮
撚構造加工糸の空隙率は高々30%程度であってこれら
を対比すると、本発明の織編物を構成する伸縮性仮撚構
造加工糸の空隙率は非常に高いと言える。
【0008】さらに本発明の織編物を構成する伸縮性仮
撚構造加工糸は、糸中心部に空洞が存在しており、この
空洞部の空隙率が10〜40%、好ましくは20〜30
%もある。かかる高い空隙率および中心部の空洞は、構
造加工糸ひいては織編物の伸縮性を得るために非常に重
要である。空隙が少なく単糸間の抵抗が大きいと高い伸
長性が得られず、また回復性も悪くなる。特に本発明で
は、中心部が空洞となっているため、比較的低張力でも
伸びやすくかつ戻りやすい構造と言える。
【0009】構造加工糸の内層部を構成する芯糸は、微
粒子含有ポリエステル(A)と融点150℃以上の繊維
形成性ポリマー(B)とからなり、さらに中空孔が存在
するサイドバイサイド型複合繊維であるが、少なくとも
ポリエステル(A)には、微粒子が含有されていること
が必要である。ポリエステル(A)に微粒子が含有され
ていない場合は、紡糸、延伸時の繊維化工程性が不良、
即ち毛羽断糸が多発することとなる。更に染色後の延伸
糸において、長さ方向の染色斑が発生しやすくなり、織
編物の筋段を引き起こすこととなる。上記繊維化工程性
の安定化及び染色斑の軽減のためにポリマーへの微粒子
添加は不可欠であり、本発明においては、繊維形成性ポ
リマー(B)にも微粒子が含有されていることがより好
ましい。
【0010】ポリマーへ添加する微粒子の種類として
は、例えば、酸化チタン、シリカ、硫酸バリウム、炭酸
カルシウム、カオリン、セリサイト等が好ましく用いら
れ、これらの二種以上が適宜配合されて使用されてもよ
い。
【0011】用いられる微粒子の平均粒径φ(μm)と
微粒子の含有量W(質量%)との積が0.015≦φ・
W≦3.2の範囲にあることである。φ・Wが0.01
5未満では、繊維化工程性の良化及び糸の繊維軸方向の
染色斑低減効果が小さい。一方、φ・Wが3.2を超え
ると染色斑低減効果は頭打ちとなり、そのレベルは向上
しない。また、微粒子の二次凝集が誘発されるためか繊
維化工程性は悪化する傾向にある。微粒子の平均粒径φ
(μm)は繊維化工程性を考慮すると0.020≦φ≦
2.0の範囲にあることが好ましい。このように、本発
明の構造加工糸の内層部を構成する芯糸においてはφ・
Wを上記の範囲内に設定することが重要であるので、微
粒子の平均粒径φ(μm)及びその含有量W(質量%)
は目的に応じて適宜設定すればよいが、一応の目安とし
て、平均粒径が0.04μm〜1.0μmである微粒子
を用い、また、その含有量は0.5質量%〜10質量%
の範囲内で設定することが好ましい。
【0012】本発明において、芯糸を構成する複合長繊
維の繊維断面に形成されている中空孔は下記(2)式及
び(3)式を満足することが必要である。 1≦α1≦8 (α1;中空孔数) (2) 1.5≦α2≦22.0 (α2;中空率%) (3) 繊維断面の中空率α2は目的とする布帛構成に応じて適
宜設定できるが、本発明においては、中空率α2は1.
5%以上22%以下が適正あり、より好ましくは3〜2
0%の範囲である。中空率α2が1.5%未満では軽量
効果が認められず、22%を超えると繊維化工程性の悪
化を招きやすく、また織編物の風合いがふかつきぎみと
なる。
【0013】本発明に必要な伸縮性を得るためには、下
記の構造式(I)で示される化合物がポリエステル
(A)に特定量共重合されていることが好ましい。
【化2】 式中、R1〜R10はエステル形成性官能基、水素原子、
アルキル基から選択される基であって、かつR1〜R10
のうち1つまたは2つはエステル形成性官能基である。
また、xは0または1であり、yは1≦x+y≦3を満
足する整数である。
【0014】構造式(I)で示される化合物において、
エステル形成性官能基としては、ヒドロキシ基、ヒドロ
キシアルキル基、カルボキシル基、そのエステル形成性
誘導体が挙げられる。ヒドロキシアルキル基を構成する
アルキルに限定はないが、ヒドロキシメチル基、ヒドロ
キシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチ
ル基等の炭素数が1〜4のアルキルが好ましく、分岐し
たアルキルでもよい。
【0015】また、カルボキシル基のエステル形成性誘
導体とはカルボン酸のメチルエステル、エチルエステ
ル、プロピルエステル、ブチルエステル等、炭素数1〜
4のアルキルエステルが好ましい。
【0016】ポリエステル(A)における上記化合物の
共重合率は、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分
に対して0.5モル%以上10モル%以下、さらに好ま
しくは3モル%以上8モル%以下の範囲である。該化合
物の含有量が0.5モル%未満の場合、十分な捲縮性能
及び良好な風合いが得られないため好ましくない。一
方、該化合物の含有量が10モル%を越える場合、結晶
性ポリエステルが得られにくくなり熱変形、つまり沸水
収縮率が大きくなり織編物の風合いが硬くなるため好ま
しくない。
【0017】本発明において、複合長繊維を構成するも
う一方の繊維形成性ポリマー(B)は、融点150℃以
上であれば、特に限定されないが、例えば、エチレンテ
レフタレート系ポリエステル、ブチレンテレフタレート
系ポリエステル等のポリエステル、ナイロン6、ナイロ
ン12、ナイロン66のポリアミド等が挙げられ、これ
らは共重合成分を含有するものであってもよい。繊維形
成性ポリマー(B)の融点が150℃未満では、複合糸
に風合いを付与するための熱セットや高温染色等がしに
くくなり実用的でない。また、融点が高すぎると曳糸性
などが低下する場合があるので、好ましくは融点が27
0℃以下であるポリマーが望ましい。
【0018】また、本発明の芯糸を構成する複合長繊維
は捲縮堅牢度が10%以下であり、従来のものより優れ
ている。長期の使用においてはへたりが小さく風合い及
び特性を維持することができる。さらに、本発明で使用
される複合長繊維は、熱収縮時の応力が高く、0.13
cN/dtex以上、特に0.18cN/dtex以上
の高応力を有するため、織物の組織で拘束されていても
充分な嵩高性を発現させることができ、優れたふくらみ
と、張り腰を持たせることが可能となる。熱応力が低い
場合には特に中心部の空洞が小さくなる場合がある。
【0019】一方、構造加工糸の外層部を構成する側糸
はポリエステル、ポリアミド(6ナイロン、66ナイロ
ン、6−12ナイロンなど)、レーヨン、アセテートな
どからなるマルフィラメントが挙げられ、特にポリエス
テルは特性の点で好ましく、ポリエチレンテレフタレー
トからなる通常のポリエステル糸、5−金属スルホネー
ト基を有するイソフタル酸等で変性されたカチオン染料
に可染のポリエステル糸、あるいはそれらのシックアン
ドシン糸を単独または混用して使用することができる。
【0020】構造加工糸において、芯糸を構成する中空
サイドバイサイド型複合長繊維からなるマルチフィラメ
ント糸と側糸を構成するポリエステルマルチフィラメン
ト糸の糸長差は20〜35%であることが好ましい。糸
長差が20%未満では側糸の拘束力のため、芯糸の捲縮
発現が疎外され本発明に必要な空隙率が確保できない場
合がある。また側糸の撚角度が大きく、芯糸の撚角度が
小さくなりにくい。一方、糸長差が35%を越えると撚
糸、製織等の工程通過性が悪くなり断糸や毛羽が発生す
るため好ましくない。側糸の構造はあたかもコイル状で
あり、撚角度が大きければ大きいほどコイル密度が増す
ため伸縮性に有効であると考えられる。すなわち、従来
の仮撚構造加工糸にとっての撚りは捲縮発現を拘束し、
伸縮性を疎外するものであったが、本発明では伸縮性を
増加させる要素とするものである。
【0021】芯糸はテンションメンバーあるいは張り・
腰に有効であり撚角度は少ない方が好ましい。かかる観
点から、側糸の撚角度としては45°以上が好ましく、
60°以上がさらに好ましい。芯糸の撚角度としては3
0°以下が好ましい。またこれらの角度差は15°以上
が好ましい。
【0022】また、構造加工糸における芯糸と側糸との
交絡数は50〜150個/mであることが好ましい。5
0個/m未満では糸長差が20〜35%と大きいため、
芯糸と側糸が分離し、撚糸、製織等の工程通過性が悪く
なり断糸や毛羽が発生する場合がある。150個/mを
越えると空隙率が低下し、構造加工糸の伸縮性が満足さ
れない場合がある。
【0023】以上、本発明の織編物を構成する仮撚構造
加工糸の形態的特徴を述べてきたが、伸縮性能として
は、織編物から解舒した加工糸での伸長率が20%以上
であることが好ましく、25%以上でればより好まし
く、30%以上であればさらに好ましい。また25%伸
長時の回復率が80%以上であることが好ましく、90
%以上であればさらに好ましい。この優れた伸縮特性は
上述した、構造加工糸の非交絡部における60〜90%
という高い断面空隙率、空隙率10〜40%の糸断面の
中心部に存在する空洞、側糸の撚角度が芯糸の撚角度よ
りも大きい撚構造、とりわけ撚角度の大きい側糸による
相乗的な効果であり、さらには芯糸として共重合ポリエ
ステルを高収縮成分とする中空サイドバイサイド型複合
長繊維を用いることにより一層明瞭化するものである。
【0024】また、本発明の織編物から解舒した構造加
工糸の伸長率は20%以上でなければならない。伸長率
が20%未満では、目的とする伸長率が20%以上、好
ましくは25%以上となる織編物が得られない。また該
構造加工糸は25%伸長時の回復率が80%以上でなけ
ればならない。80%未満では、伸縮性が優れている織
編物と言えず、縫製時や着用時にパッカリング欠点が発
生する恐れがある。
【0025】伸縮性について言えば、特に織物ではその
構造上、伸縮性を得るのが困難であり、前述の空隙率が
高々30%程度の従来公知の構造加工糸からなる織物か
ら解除した糸(撚り係数:26,000)の伸長率は1
2%である(織物の伸長率は10%)が、例えば、空隙
率が73%、中心部の空洞の空隙率が22%、側糸の撚
角度が70°、芯糸の撚角度が25°、芯糸を構成する
複合長繊維のポリエステル(A)が、化合物(I)を6モル
%共重合したポリエステルで、中空率が10%の中空サ
イドバイサイド型複合繊維である本発明の織物から解舒
した糸(撚り係数:26,000)の伸長率は38%で
あり(織物の伸長率は32%)、この糸の25%伸長時
の回復率は92%であり、35%伸長時の回復率は90
%である。このことから、本発明の織物が極めて伸縮特
性に優れていることが分かる。
【0026】なお本発明の織編物を得るためには製編織
において密度に注意することが必要で、染色加工におい
て20%以上収縮することを前提に設計することが好ま
しい。また染色加工においては20%以上収縮させるこ
とが好ましく、収縮を阻害する張力をかけないことが好
ましい。
【0027】次に本発明を構成する伸縮性仮撚構造加工
糸の製造法について述べる。図1に加工糸を製造するた
めの仮撚加工機のモデル図を示すが、本発明を達成する
ものであればこの図の方法に限定されるものではない。
図中、Aは側糸用マルチフィラメント、Bは中空サイド
バイサイド型複合繊維からなるマルチフィラメント、1
はインターレースノズル、2は仮撚ヒーター、3はフリ
クションディスクを示すものである。
【0028】本発明では伸度の異なる2種類の原糸を同
時に仮撚する方法を採用する。これは20〜35%とい
う高い糸長差を安定的に確保し、しかも安価に製造する
ためである。この目的を達するならば他の方法を採用し
ても良い。複合化に際しては、コストやコントロール性
から、インターレースによるエアー交絡が好ましい。交
絡複合後に仮撚加工を行うが、仮撚機はピン仮撚機であ
ってもフリクション仮撚機であってもベルトフリクショ
ン仮撚機であってもかまわない。
【0029】この時供給する芯糸用マルチフィラメント
の伸度と側糸用マルチフィラメントとの伸度差は100
%以上あることが好ましい。この伸度差を確保するため
に高伸度原糸の伸度を例えば250%以上とすると、仮
撚時に膠着や未解撚が発生するので好ましくない。本発
明では芯糸用マルチフィラメントの伸度は20〜50%
が好ましく、側糸がポリエステルマルチフィラメントの
場合にはふくらみ感の点で伸度が120〜200%であ
ることが好ましい。仮撚後の構造加工糸は、芯糸に明確
な捲縮発現は見られず、芯糸が比較的直線的で突っ張っ
た従来の構造加工糸と同様な形態である。
【0030】構造加工糸に高い空隙や空洞を形成させる
手法としては、例えば通常の構造加工糸に水溶性繊維や
易溶解性繊維を混入し、該構造加工糸を製編織後に水溶
性繊維や易溶解性繊維を溶解除去する方法があるが、か
かる方法では本発明で使用される構造加工糸と同一の形
態を得ることはできず、またかかる手法は、製造コスト
が高くなる欠点を有する。
【0031】本発明においては、芯糸に使用する原糸と
して熱収縮特性を異にするポリマーからなる中空サイド
バイサイド型複合マルチフィラメントを使用することが
重要である。特にサイドバイサイド型複合繊維からなる
マルチフィラメントを構成するポリマーの内、少なくと
も高収縮成分は、先に記載したように共重合ポリエステ
ル、特に化合物(I)が3モル%以上共重合されたポリ
エステルであることが好ましい。
【0032】この理由は、例えば、低収縮成分が共重合
しない低粘度ポリエステル、高収縮成分が共重合しない
高粘度ポリエステルであるサイドバイサイド型複合繊維
からなるマルチフィラメントを使用する場合は、本発明
を構成する伸縮性構造加工糸を製造する際の仮撚工程の
仮撚ヒータにおいて、緊張張力下で熱固定(セット)さ
れるため、仮撚以降の例えば染色工程では、もはやサイ
ドバイサイド型複合繊維特有の捲縮発現をしなくなる場
合があるからである。
【0033】すなわち、潜在捲縮糸であるはずのサイド
バイサイド型複合繊維が、仮撚によって、その機能をな
くす場合があるためである。このような現象は、高収縮
成分の共重合率が3モル%未満の場合においても同様に
起こる場合がある。
【0034】さらに、本発明の芯糸に使用する複合長繊
維が中空繊維であることが重要である。軽量感、反発感
に優れ、さらにぎらつき感が減少する。織編物のぎらつ
き感をなくすためには(ノングリッター性)、前記した
隠蔽効果の高い微粒子をポリマーに含有させるだけでは
限界があって、繊維断面由来の内部反射をいかに軽減さ
せるかが重要である。この目的を達成するためには、サ
イドバイサイド型複合繊維断面内部に中空孔を存在させ
ることが非常に効果があり、驚くべきことに、この中空
孔の存在と微粒子含有の相剰効果により、織物のぎらつ
き感は激減する。また、本発明の未染色の織編物の光沢
度は下記(4)式を満足するものである。 −0.01A+3.0≦X≦−0.01A+3.5 (4) A≧20% X;光沢度、A;織編物における該仮撚構造加工糸の含
有量(質量%) 光沢度が3.3を超える場合は、ぎらつき感が見られ織
編物の品位が低下したものとなる。好ましくは3.0以
下がぎらつき感の点でよい。
【0035】そして、このような中空孔を有するサイド
バイサイド型複合繊維としては、例えば、図2の(1)〜
(8)に示すような断面形状の繊維を挙げることができ
る。
【0036】芯糸となる中空サイドバイサイド型複合長
繊維からなるマルチフィラメントおよび側糸となるポリ
エステルマルチフィラメントのヤーン繊度やフィラメン
ト繊度は、仮撚後の加工糸を想定しかつ目的によって決
定すれば良いが、仮撚後のヤーン繊度としては、衣料用
としては77〜445デシテックスが好ましい。芯糸と
側糸の質量比率は,芯糸:側糸=30〜70:70〜3
0が好ましい。芯糸の比率が30%未満では本発明に規
定の構造や伸縮性が得られない場合がある。また側糸が
30%未満では、本発明の目的とするソフトで嵩高な梳
毛調織編物が得られない場合がある。また芯糸となる中
空サイドバイサイド型複合繊維からなるマルチフィラメ
ント糸のフィラメント繊度は2〜7デシテックスが好ま
しい。2デシテックス未満では仕上がり生地が張り腰の
ない風合となる場合があり好ましくない。また7デシテ
ックスを越えると交絡が不良となる場合があり好ましく
ない。側糸となるポリエステルマルチフィラメントのフ
ィラメント繊度は風合を重視して決定すればよいが、
0.1〜6デシテックスが好ましい、さらに好ましくは
1〜5デシテックスである。1デシテックス未満では発
色性が不良であったり、嵩高性が得られない場合があ
る。また梳毛調織編であるよりは、スエード調織編物と
なる。6デシテックスを越えると風合が粗硬になる場合
がある。
【0037】構造加工糸の段階では、特開平5−311
533号公報の図1に記載の複合加工糸の形態、すなわ
ち芯糸と側糸が明解ではなく混在している形態よりは芯
糸と側糸が明確に区別されかつ芯糸が中心部に略直線状
にあってそのまわりを側糸が包んでいる形態が、梳毛調
風合を得るには好ましい。構造加工糸の熱水収縮率(W
sr)の好ましい範囲は4〜12%であり、さらに好ま
しくは5〜8%である。また構造加工糸の捲縮発現率
(K1値)の好ましい範囲は4〜15%である。ポリエ
ステルで伸縮性に優れた織編物を得るには、熱水収縮率
はできるだけ低くし、捲縮発現率はできるだけ高くする
のが一般的であるが、本発明で使用する構造加工糸は、
熱水収縮率が4%未満では収縮が不足し、織編物の欠点
が発生しやすくなるので好ましくない。また、12%を
超えると優れた伸縮性が得られなくなる場合がある。捲
縮発現率が4%未満では伸長性が満足されない場合があ
るし、15%を超えると芯糸と側糸が明解ではなく、2
種の仮撚加工糸が混在している形態となったり、本発明
に使用の伸縮性構造加工糸の形態が得られない。
【0038】本発明においては、仮撚後の構造加工糸に
撚を付与するが、この時の撚糸数は撚係数=T√Dによ
り決定される。撚係数は目的に応じて採用すればよい
が、本発明に使用の撚糸後の構造加工糸は、染色加工に
おいて、解撚、捲縮発現(仮撚捲縮および潜在捲縮)等
により20%以上収縮させるのが好ましいため、5,8
00〜29,000の範囲で選択するのが好ましい。本
発明に使用する撚糸後の構造加工糸は、通常の構造加工
糸の撚糸後とほとんど同様であり、未だ特有の構造を呈
さない。撚糸に際しては、合撚機、イタリー撚糸機、ダ
ブルツイスター等通常の撚糸機を使用することができ
る。
【0039】撚糸後の構造加工糸は製編織されるが、製
編織する編機や織機は限定されるものではなく、シング
ル丸編機、ダブル丸編機、パイル編機、トリコット編
機、ラッセル編機等通常使用される編機、ウオータジェ
ットルーム織機、エアージェットルーム織機、レピア織
機等通常使用される織機を使用することができる。ただ
し前述の如く、染色において収縮を20%以上させるこ
とを見越して、生地の設計を行うのが好ましい。
【0040】ついで染色加工について述べる。染色加工
に際しては、ポリエステル染色に使用する通常の精練
機、解撚機、減量機、セッター、染色機等を使用するこ
とができる。ただしこの工程で加工糸を20%以上収縮
させることが好ましい。20%以上収縮させることによ
って、本発明の織編物を構成する伸縮性構造加工糸とな
る。20%未満の収縮では、本発明の織編物を得られな
い場合がある。20%以上収縮させるためには、張力と
染色温度に留意する必要がある。染色温度は染色しよう
とする主体ポリエステルに応じて決めればよく、高圧下
での高温で100〜135℃が好ましい。100℃未満
の場合は収縮不足で本発明の織編物を得られない場合が
ある。染色張力については低い方が好ましく、生地全体
で10kg以下の張力が好ましい。この点エアーフロー
タイプの染色機は浴比が低く、染色張力が低いので好ま
しい。染色後で初めて、本発明の織編物が得られる。
【0041】製編織までは通常の構造加工糸と同様であ
った本発明に使用の構造加工糸が、いかにして本発明に
記載の伸縮性構造加工糸となるかは、明確では無いが、
次のごとく考えられる。糸長差を20〜35%と大きく
とっているので、交絡部以外では芯糸と側糸の干渉は少
なく、撚の拘束が解けると、収縮、捲縮発現等の内部応
力によって、芯糸と側糸が比較的独自に動きやすい状態
にある。解撚が始まると側糸はより外側に膨らみ側糸フ
ィラメント間の空隙が拡大する、また仮撚による側糸の
捲縮発現が始まり側糸フィラメント間の空隙がさらに拡
大する。側糸のこの動きによって芯糸と側糸間の空隙層
も拡大する。この時、撚による側糸の芯糸に対する拘束
力が解けて、収縮力および潜在収縮力等を有する芯糸が
収縮を開始する。側糸と芯糸は交絡部によって接結して
いるため、芯糸が収縮すると側糸も収縮し、撚角度が増
大する。中空サイドバイサイド型複合繊維からなるマル
チフィラメントは、収束してコイルクリンプを発現する
が、仮撚が施されているために仮撚捲縮も発現しマルチ
フィラメントが個々にコイルクリンプを発現する。以上
の説明で高い空隙率を有することと側糸の撚角度が高い
ことが言える。中心部の空洞の形成については、推測の
域をでないが、芯糸の解撚力(撚りを戻す力・外に広が
ろうとする力)が非常に強く、また仮撚をされているた
めにバラけて動くため、前述の側糸の解撚によって芯糸
と側糸の間に発生する空間を埋め尽くすことが考えられ
る。芯糸の撚角度が小さいのも、この芯糸の強い解撚に
よってある程度説明される。以上のことはほとんど同時
に起こっていると思われる。
【0042】
【実施例】さらに詳細な説明を実施例によって説明す
る。なお本発明で使用した測定方法は次の通りである。 織物の伸長率:JIS L−1096のA法に従い、荷
重1.8kgで測定した伸長率。 織物から解除した糸の伸長率:織物よりほとんど張力を
かけない様に糸を解舒し、無荷重で試料の300mmに
印を入れる。0.016g/dtexの荷重をかけ、そのま
ま標準状態の条件下で5分間放置する。ついで荷重をか
けたまま糸長を測定し(印の中央間)、この長さをL1
(mm)とする。 糸の伸長率(%)=[(L1−300)/300]×1
00 n=5の平均の値を採用する。 織物から解除した糸の回復率:上記L1を測定した後、
荷重を除去し標準状態の条件下で5分間放置する。つい
で無荷重のままこの糸長を測定し(印の中央間)この長
さをL2(mm)とする。 糸の回復率(%)=[(L1−L2)/(L1−30
0)]×100 n=5の平均の値を採用する。 糸断面の空隙率:糸断面の電子顕微鏡写真を撮影し(5
00倍)、ついでカラーコピーする。コピー紙上で最も
離れた関係にある単繊維断面間の各々中央を結びこの線
をA1とし、この長さをL1(mm)とする。ついでA
1の中点OでA1に直行する直線を描く。この直線に最
も近くにあり、かつ線A1から最も離れた単繊維断面の
各々中央を結びこの線をA2とし、この長さをL2(m
m)とする。コピー紙上に、A1とA2の交わる点を中
心Cとし、(L1+L2)/2を直径とする円を描く。
この円の重量を測定し、この重さをS1mg)とする
(糸断面の総面積とみなす)。ついでこの円内に存在す
る全ての単繊維断面の重量を測定し、この総和をS2
(mg)とする。 空隙率(%)=(S1−S2)/S1×100 n=5の平均の値を採用する。 糸断面の中心部の空洞の空隙率:糸断面の最内に位置す
る隣り合う二つの単繊維断面の中央を順次直線で結んで
できる多角形の重量を測定し、この重さをS3(mg)
とする。 空洞の空隙率(%)=(S3/S1)×100 n=5の平均の値を採用する。 糸長差:織編物からの糸は解撚し、仮撚後の糸はそのま
ま、無撚状態でサンプルを採取する。芯糸と側糸を分離
し、各々0.02g/dtexの荷重下で糸長を測定する。
側糸の長さをL1(mm),芯糸の長さをL2(mm)
とするとき、 糸長差(%)=[(L1−L2)/L2]×100 n=5の平均の値を採用する。但し、芯糸と側糸が分離
しにくい場合があるので、試料長は問わない。 交絡数(個/m):織編物から糸を解舒し、ついで検撚
機で無撚となるまで解撚する(糸長50cm)。解撚し
た糸に、改めて50cmの印をする。ついで、試料を軽
く手で数回こすって節の数を目視する。 交絡数(個/m)=目視で確認した数×2 n=5の平均の値を採用する。 捲縮発現率(K1):カセ巻取り機にて5555デシテ
ックスのカセとなるまで試料を巻き取った後、カセの下
端中央に10gの荷重を吊るして上部中央でこのカセを
固定し、0.001g/dtexの荷重が掛かった状態で9
0℃にて30分間熱処理を行う。次いで無荷重状態で室
温に放置乾燥した後、再び10gの荷重を掛け5分間放
置した後の糸長を測定しこれをL1(mm)とする。次
に1Kgの荷重を掛け30秒間放置後の糸長を測定しL
2(mm)とする。K1値は次式により求められる。 K1=〔(L2−L1)/L2〕×100 極限粘度:温度25℃においてオルソクロロフェノール
10mlに対し、ポリエステル試料を0.8g溶解し、
オストワルド粘度計を用いて次式で相対粘度ηγにより
算出した。 ηγ=(η/η0)−(t・d/t0・d0) 極限粘度=0.0243ηγ+0.2634 η:ポリエステルの溶液粘度 η0:溶媒の粘度 t:溶液の落下時間(秒) d:溶液の密度(g/cm3) t0:オルソクロロフェノールの落下時間(秒) d0:オルソクロロフェノールの密度(g/cm3) 光沢度:光沢計GM−268(ミノルタ製)で未染色の
織編物の光沢度(60°)を測定した。
【0043】実施例1 極限粘度が0.51のポリエチレンテレフタレート10
0%からなる低粘度成分と、極限粘度が0.74のトリ
シクロデカンジメタノールを5モル%共重合した変性ポ
リエチレンテレフタレート100%からなる高粘度成分
とを一つ穴中空ノズルを用い、重量複合比50:50で
サイドバイサイド型に貼り合わせた半延伸複合フィラメ
ント糸を紡糸速度2850m/分で紡糸した後、延伸し
て、図2の(4)のような断面形状を有する55dte
x−24fの中空サイドバイサイド型フィラメント糸を
製造した。原糸物性は強度2.74cN/dtex、伸
度31.4%、熱水収縮率12.8%であった。
【0044】他方、ポリエチレンテレフタレート100
%を紡糸速度2,720m/分で紡糸し、143dte
x−36fの単成分からなる伸度170%のマルチフィ
ラメント半延伸糸を製造した。
【0045】上記中空サイドバイサイド型フィラメント
糸とマルチフィラメント半延伸糸とを使用し、伸度差複
合仮撚方法により複合捲縮糸を製造した。この伸度差複
合仮撚方法においては上記の中空サイドバイサイド型フ
ィラメント糸とマルチフィラメント半延伸糸とを引きそ
ろえた後に交絡ノズルを用いて、次の条件で交絡処理を
施し、引き続き図1の方式でフリクション仮撚を行っ
た。仮撚条件は次の通りである。 交絡条件: オーバーフィード:4% インターレース:空気圧4kg/cm2 糸速度:280m/分 仮撚温度:175℃ 延伸倍率:1.01倍 仮撚数:2100回/m
【0046】得られた加工糸は、交絡数が95個/m
で、中空サイドバイサイド型フィラメント糸が芯糸を形
成し、ポリエステルマルチフィラメントが側糸を形成す
る構造加工糸であった。この構造加工糸の糸物性は、2
02dtex、強度1.42cN/dtex、伸度29
%、熱水収縮率が6%であった。糸長差は28%であ
り、K1は12%であった。
【0047】ついでこの構造加工糸にダブルツイスター
で1,600回/mの撚をかけた(撚係数:21,70
3)。その後通常の撚糸セットを90℃で40分間実施
した。この時点では通常の構造加工糸と同様の形態をし
ており、断面観察においても中心部の空洞等の特徴は出
ていなかった。
【0048】ついでこの糸を経および緯糸としてレピア
織機で製織した。製織条件は次の通りである。 組織:経二重 生機密度:経90本/25.4mm、緯65本/25.4mm 得られた生機を次の条件で染色加工した。 精練・糊抜き:95℃ 解撚:130℃×20分 減量率:15% 染色:135℃×60分 Sumikaron Red S-BL(住友化学社製) 3%omf ファイナルセット:170℃
【0049】仕上げた生地の密度は、経132本/25.4
mm、緯65本/25.4mmであり、染色加工における収縮率
は経46%、緯32%であった。この生地から緯糸を解
舒し、電子顕微鏡写真で観察した。非交絡部の断面は特
徴的様態が観察された。1つにはその高い空隙率であ
り、また1つは、その中心部の空洞であった。糸断面全
体での空隙率は73%で、中心部の空洞の空隙率は22
%であった。また非交絡部の側面も特徴的様態が観察さ
れた。側糸は芯糸より大きく離れており、その撚角度は
芯糸の撚角度よりも明確に大きく、側糸の撚角度は70
°、芯糸の撚角度は25°であった。この糸の伸長率は
38%であった、またこの糸の25%伸長時の回復率は
92%であり、35%伸長時の回復率は90%であっ
た。また、この緯糸の撚係数は28,200であった。
ついで経糸についても同様な観察を行ったが緯糸と同様
の結果であった。なお交絡部では明確は空洞や顕著な撚
角度差は見られなかった。得られた織物の伸長率は横方
向で32%、縦方向で33%であった。また、未染色の
状態での織物の光沢度は2.5と良好なものであった。
得られた織物は、優れた伸縮性を保持していて、さらに
反発感、軽量感に優れ、ぎらつき感のないものであっ
た。
【0050】実施例2 実施例1の中空サイドバイサイドフィラメント糸の断面
形状を図2の(2)に変えたこと以外は実施例1と同一
の仮撚条件、撚糸条件、製織条件で実施した。得られた
織物の伸長率は、横方向で33%、縦方向で32%であ
った。未染色での光沢度は2.4で、優れた伸縮性を保
持していて、さらに反発感、軽量感に優れ、ぎらつき感
のないものであった。
【0051】実施例3 実施例1に使用した側糸となるポリエチレンテレフタレ
ート100%を6ナイロンに変更し、仮撚温度を150
℃に変更したこと以外は同一の仮撚条件、撚糸条件、製
織条件で実施した。得られた織物の伸長率は、横方向で
31%、縦方向で30%であった。未染色での光沢度は
2.5で、優れた伸縮性を保持していて、さらに反発
感、軽量感に優れ、ぎらつき感のないものであった。
【0052】比較例1 実施例1に使用した中空サイドバイサイド糸の代わり
に、55dtex−24fのポリエチレンテレフタレー
ト100%からなる延伸糸(強度4.8cN/dte
x、伸度42%)を使用して、同じ複合仮撚加工を行
い、繊度202dtex、強度3.1cN/dtexの
複合捲縮糸を得た。引き続き実施例1と同一条件で加
撚、製織を実施した。この生地から緯糸を解除し、電子
顕微鏡写真で観察したが、中心部の空洞は見られなかっ
た。また、伸長率は0%×0%であり、全く伸縮性を有
していなかった。
【0053】比較例2 実施例1に使用した中空サイドバイサイド糸の代わり
に、トリシクロデカンジメタノールを6モル%共重合し
た変性PETと未変性のPETとからなる中実サイドバ
イサイド糸(55dtex−24f、強度2.6cN/
dtex、伸度32%)を使用して、実施例1と同様に
して複合仮撚加工を行い、繊度202dtex、強度
1.4cN/dtexの複合捲縮糸を得た。引き続き実
施例1と同一条件で加撚、製織を実施した。この生地か
ら緯糸を解除し、電子顕微鏡写真で観察したが、中心部
の空洞は見られ、また伸長率は32%×33%で高い伸
縮性を有していたが、光沢度は3.3でぎらつき感があ
り、さらに軽量感、反発感は不足なものであった。
【0054】
【発明の効果】本発明は、梳毛調風合と高い伸縮性を合
わせ持ち、さらに軽量感、反発感があり、ノングリッタ
ー性を有した新しい質感と高いストレッチ機能の織編物
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の織編物を構成する伸縮性構造加工糸
の製造に使用する仮撚機のモデル図
【図2】 本発明の織編物を構成する伸縮性構造加工糸
の芯糸に使用する中空複合長繊維の断面図
【符号の説明】
A:側糸用マルチフィラメント B:中空サイドバイサイド型複合繊維からなるマルチフ
ィラメント 1:インターレースノズル 2:仮撚ヒーター 3:フリクションディスク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D04B 1/16 D04B 1/16 1/20 1/20 // D01F 8/14 D01F 8/14 B (72)発明者 末吉 正二 大阪府大阪市北区梅田1丁目12番39号 株 式会社クラレ内 (72)発明者 河本 正夫 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 Fターム(参考) 4J002 CF031 CF061 DE136 DE236 DG046 DJ016 DJ036 DJ056 FD076 GK01 4J029 AA03 AB07 AC02 AD01 AE02 BA03 BD02 BD05A BD05C CB06A CD03 HA00 HB00 HB01 HB03A 4L002 AA07 AB00 AB02 AB04 AB05 AC01 AC02 EA00 EA06 EA08 4L041 AA08 BA02 BA05 BA09 BA37 BA38 BA42 BA43 BB05 BC05 BC06 BC14 BC17 BD13 BD14 CA06 CA10 CB25 DD01 DD04 DD10 DD15 DD21 4L048 AA21 AA22 AA30 AA37 AA39 AA51 AB08 AB09 AB12 AB21 AC08 AC12 CA04 DA01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実撚を施した仮撚構造加工糸を含む織編
    物で、該加工糸の非交絡部の断面空隙率が60〜90%
    であり、該断面の中心部に空隙率10〜40%の空洞を
    有し、該加工糸を構成する芯糸の撚角度が側糸の撚角度
    よりも小さい撚構造を呈しており、該織編物から解舒し
    た加工糸の伸長率が20%以上、かつ25%伸長時の回
    復率が80%以上である織編物で、芯糸を構成する繊維
    が、下記(1)式を満足する微粒子含有ポリエステル
    (A)と融点150℃以上の繊維形成性ポリマー(B)
    とからなるサイドバイサイド型複合長繊維であり、かつ
    繊維断面に下記(2)式及び(3)式を満足する中空孔
    が存在する捲縮性複合長繊維であることを特徴とする織
    編物。 0.015≦φ・W≦3.2 (1) φ;微粒子粒径(μm)、W;微粒子含有量(質量%) 1≦α1≦8 (2) 1.5≦α2≦22.0 (3) α1;中空孔 α2;中空率(%)
  2. 【請求項2】 織編物の光沢度が下記(4)式を満足す
    る請求項1記載の織編物。 −0.01A+3.0≦X≦−0.01A+3.5 (4) A≧20% X;光沢度、A;織編物における該仮撚構造加工糸の含
    有量(質量%)
  3. 【請求項3】 芯糸を構成する繊維のポリエステル
    (A)が、下記構造式(I)で示される化合物を0.5
    モル%以上10モル%以下共重合してなるポリエステル
    である請求項1又は2に記載の織編物。 【化1】 (式中、R1〜R10はエステル形成性官能基、水素原
    子、アルキル基から選択される基であって、かつR1
    10のうち1つまたは2つはエステル形成性官能基であ
    る。また、xは0または1であり、yは1≦x+y≦3
    を満足する整数である。)
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003093547A1 (fr) * 2002-05-02 2003-11-13 Teijin Fibers Limited Tissu de fil epais-fin a filament conjugue en polyester et son procede de fabrication
JP2010203021A (ja) * 2009-03-06 2010-09-16 Toray Ind Inc シート状物

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