JP3135203B2 - 異方性六方晶Baフェライト焼結磁石の製造方法 - Google Patents

異方性六方晶Baフェライト焼結磁石の製造方法

Info

Publication number
JP3135203B2
JP3135203B2 JP07182081A JP18208195A JP3135203B2 JP 3135203 B2 JP3135203 B2 JP 3135203B2 JP 07182081 A JP07182081 A JP 07182081A JP 18208195 A JP18208195 A JP 18208195A JP 3135203 B2 JP3135203 B2 JP 3135203B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ferrite
component
hexagonal
sintered magnet
anisotropic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP07182081A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0917669A (ja
Inventor
仁 田口
文彦 平田
卓 武石
輝夫 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP07182081A priority Critical patent/JP3135203B2/ja
Priority to US08/670,069 priority patent/US5811024A/en
Publication of JPH0917669A publication Critical patent/JPH0917669A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3135203B2 publication Critical patent/JP3135203B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B35/00Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products
    • C04B35/01Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on oxide ceramics
    • C04B35/26Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on oxide ceramics based on ferrites
    • C04B35/2683Other ferrites containing alkaline earth metals or lead

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Magnetic Ceramics (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)
  • Compounds Of Iron (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、極異方性磁石等の異方
性六方晶Baフェライト焼結磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、酸化物永久磁石材料には、マグネ
トプランバイト型(M型)の六方晶系のSrフェライ
ト、あるいはBaフェライトが主に用いられており、そ
の焼結磁石やボンド磁石が製造されている。Srあるい
はBaフェライト焼結磁石を製造するには原料のFe2
3 とSrCO3 あるいはBaCO3 とを配合混合し、
これを仮焼し、粉砕し、これを磁場中成形し焼成する。
この際、例えば特開平3−291901号公報や同4−
5802号公報等の実施例に示されるように、CaCO
3 とSiO2 とを複合添加することが一般的である。
【0003】六方晶Baフェライトでは、原料として用
いるBaCO3 がSrフェライトの場合のSrCO3
り安価であるため製造コストの低減化には有利である
が、異方性六方晶Baフェライト焼結磁石は結晶磁気異
方性がSrフェライトよりも10%程度小さいため、大
きなiHc(保磁力)が得られにくい。このため、例え
ば3kOe 以上のiHcが必要とされる製品には、六方晶
Srフェライト焼結磁石が用いられている。
【0004】一方、SrフェライトまたはBaフェライ
ト焼結磁石を製造する際、従来のようにCaCO3 とS
iO2 を複合添加すると焼結時の縮率はc軸方向とa軸
方向とで大きく異なり、その比は、通常、c軸方向/a
軸方向が最大で2.1程度にもなる。このため、焼結時
の収縮により大きな変形が生じ、例えばあらかじめ変形
量を計算に入れて金型の設計を行ったり、研磨・研削等
の後加工を十分に行う必要が生じ、製造コストを上昇さ
せてしまう場合がある。
【0005】このような収縮率のちがいによる変形が大
きい例として、極異方性リング磁石が知られている。こ
の磁石はリング状をなし、その内周面あるいは外周面が
強く多極着磁されるように配向されており、ステッピン
グモータ等に用いられている。このリング磁石を製造す
るには、リング状の成形体を得る際に、周面に交互に異
極を配置して磁場配向を行ってc軸を配向させ、これを
焼結する。しかし、前記のように収縮率が大きな異方性
をもつため、周面が変形してしまうので、周面に表われ
る凸部を研磨しなければならず、研磨代を大きくとらな
ければならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、焼結
密度および保磁力がいずれも高く、しかもc軸方向の縮
率とa軸方向の縮率との差による焼結時の変形が少な
く、研磨等の後工程が簡略化あるいは省略できる異方性
六方晶Baフェライト焼結磁石、特に極異方性磁石を製
造する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(11)のいずれかの構成により達成される。 (1)六方晶Baフェライトの仮焼体に、酸化カルシウ
ムまたは焼成により酸化カルシウムとなる化合物である
Ca成分を添加せずに、酸化ケイ素または焼成により酸
化ケイ素となる化合物であるSi成分および酸化バリウ
ムまたは焼成により酸化バリウムとなる化合物であるB
a成分を添加して調整されたBaフェライト原料粉末を
磁場中成形して成形体とし、この成形体を焼結するか、
または前記成形体を解砕した後、磁場中成形して焼結す
ることによりc軸方向の縮率Shcとa軸方向の縮率Sha
との比Shc/Shaが0.5〜1.5である異方性六方晶
Baフェライト焼結磁石を製造する異方性六方晶Baフ
ェライト焼結磁石の製造方法。 (2)Baフェライトを主相とし、粒界のSi含有量が
主相グレイン内部のSi含有量の2〜100倍であり、
粒界のBa含有量が主相グレイン内部のBa含有量の
1.1〜20倍である上記(1)の異方性六方晶Baフ
ェライト焼結磁石の製造方法。 (3)前記Si成分がSiO2 換算で成形体の0.1〜
2.0wt%、前記Ba成分がBaCO3 換算で成形体の
0.5〜7wt% 、前記Si成分と前記Ba成分とのモル
比がBaCO3 /SiO2 換算で0.5〜3となるよう
に前記Si成分および前記Ba成分を成形体に含有させ
る上記(1)または(2)の異方性六方晶Baフェライ
ト焼結磁石の製造方法。 (4)粒界のBa含有量が0.5〜10at% である異方
性六方晶Baフェライト焼結磁石が製造される上記
(1)〜(3)のいずれかの異方性六方晶Baフェライ
ト焼結磁石の製造方法。 (5)前記Baフェライト原料粉末中に、酸化ストロン
チウムまたは焼成により酸化ストロンチウムとなる化合
物であるSr成分を含有させる上記(1)〜(4)のい
ずれかの異方性六方晶Baフェライト焼結磁石の製造方
法。 (6)前記Si成分がSiO2 換算で成形体の0.1〜
2.0wt%、前記Sr成分がSrCO3 換算で成形体の
0.5〜5wt% 、前記Si成分と前記Sr成分とのモル
比がSrCO3 /SiO2 換算で0.5〜3となるよう
に前記Si成分および前記Sr成分を成形体に含有させ
る上記(5)の異方性六方晶Baフェライト焼結磁石の
製造方法。 (7)粒界のSr含有量が主相グレイン内部のSr含有
量の1.1〜20倍である異方性六方晶Baフェライト
焼結磁石が製造される上記(5)または(6)の異方性
六方晶Baフェライト焼結磁石の製造方法。 (8)粒界のSi含有量が2〜30at% である異方性六
方晶Baフェライト焼結磁石が製造される上記(1)〜
(7)のいずれかの異方性六方晶Baフェライト焼結磁
石の製造方法。 (9)前記Baフェライト原料粉末の平均粒径が1μm
以下である上記(1)〜(8)のいずれかの異方性六方
晶Baフェライト焼結磁石の製造方法。 (10)前記主相のa軸方向の平均結晶粒径が1.0μ
m 以下である異方性六方晶Baフェライト焼結磁石が製
造される上記(1)〜(9)のいずれかの異方性六方晶
Baフェライト焼結磁石の製造方法。 (11)周面が多極に配向している極異方性六方晶Ba
フェライト焼結磁石が製造される上記(1)〜(10)
のいずれかの異方性六方晶Baフェライト焼結磁石の製
造方法。
【0008】
【作用および効果】本発明により製造されるBaフェラ
イト焼結磁石は、焼結密度と保磁力とが高く、従来のS
rフェライト焼結磁石と同等の保磁力が得られる。しか
も、Srフェライト焼結磁石に比べ原料コストが低い。
さらにc軸方向の縮率とa軸方向の縮率との比(Shc /
Sha )が1に近い。このため、焼結時の変形が少なく、
したがって研磨工程等を簡略化あるいは省略することが
できる。したがって本発明は、例えば極異方性リング磁
石のような特殊な配向を必要とする磁石を製造するとき
に、特にすぐれた効果を示す。
【0009】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0010】本発明により製造される異方性六方晶Ba
フェライト焼結磁石は、主相が六方晶Baフェライトで
あり、最終組成がBaO・nFe23 (nは、4.5
〜6.5)であることが好ましい。さらに、Pb、A
l、Ga、Sn、Zn、In、Co、Ni、Ti、C
r、Mn、Cu、Ge、Nb、Zr、Cr、La、N
d、Sm、Pr、Ce、Li等が全体の5at%以下含有
されていてもよい。また、Baはその50at% 未満、例
えば0〜40at% 、特に0〜5at% 程度のSrで置換さ
れていてもよい。
【0011】この異方性六方晶Baフェライト焼結磁石
は、粒界成分としてSiおよびBaを含むか、Si、B
aおよびSrを含む。本明細書における粒界とは、一般
に、境界領域(固溶体が形成される領域であり、粒界領
域や相境界領域ともいう)、あるいは粒子間(粒子間析
出物、粒子間相、粒子間含有物などを含む)と呼ばれる
領域を意味する。そして、本明細書において粒界成分と
は、粒界での濃度がグレイン内部での濃度よりも高い元
素を意味し、本発明では、後述するようにSi成分、B
a成分、Sr成分をBaフェライト仮焼体に添加して成
形し焼結することにより、これらの元素を粒界成分とす
る。Si、Ba、Srが粒界成分として存在するのを確
認するには種々の方法があるが、測定が精度よく安定し
て行なえることから、以下の方法を用いることが好まし
い。
【0012】この方法では、TEM(透過型電子顕微
鏡)による観察とEDS(Energy Dispersive X-ray Sp
ectroscopy:エネルギー分散型X線分光)による局所分
析とが同時にできる分析電子顕微鏡(Analytical Elect
ron Microscopy)を用いる。TEM−EDSを利用する
この方法では、研磨により作製された磁石薄片を測定用
サンプルとする。粒界相と粒内のフェライト相とは、結
晶構造像から容易に区別できる。粒界相はグレイン周囲
に均一な厚さで存在してはおらず、多結晶粒界部分に特
に集中して存在している。多結晶粒界部分とは、図2の
透過型電子顕微鏡写真および図4の模式図に示すような
三結晶粒界(三重点)など、3個以上のグレインの境界
を意味する。なお、図3に、図2の透過型電子顕微鏡写
真を説明するための模式図を示す。粒界の組成分析に際
しては、このような多結晶粒界部分で測定することが好
ましい。2個のグレインの境界に存在する二結晶粒界部
分は粒界相の厚さが薄いので、EDS局所分析に際して
粒界成分を正確に分析することが困難である。
【0013】なお、粒子を配向させた異方性の焼結体の
場合、粒界にはa面粒界とc面粒界との2種類がある
が、どちらで測定してもよい。
【0014】上記方法により求めた粒界のSi含有量S
O は、好ましくは2〜30at% であり、より好ましく
は5〜25at% である。そして、SiO をグレイン内部
のSi含有量SiI で除した値SiO /SiI は、2〜
100であり、好ましくは10〜80である。一方、粒
界のBa含有量BaO は、好ましくは0.5〜10at%
であり、より好ましくは1〜8at% である。そして、B
O をグレイン内部のBa含有量BaI で除した値Ba
O /BaI は、1.1〜20であり、好ましくは1.5
〜5である。
【0015】また、Baフェライト仮焼体に対して、S
i成分およびBa成分に加えSr成分を添加した場合、
粒界のSr含有量SrO は、好ましくは0.5〜8at%
、より好ましくは1〜4at% である。そして、SrO
をグレイン内部のSr含有量SrI で除した値SrO
SrI は、1.1〜20であり、好ましくは3〜15で
ある。
【0016】なお、Baフェライト仮焼体に対してSr
成分を添加しない場合であって、かつBaフェライト仮
焼体にSrが含まれている場合には、粒界のSr含有量
SrO とグレイン内部のSr含有量SrI とはほぼ同
等、例えばSrO /SrI は1.1未満以下となる。
【0017】本発明の磁石において、粒界の平均厚さ
は、好ましくは20〜300A 、より好ましくは40〜
200A 程度である。また、主相のa軸方向の平均結晶
粒径は、好ましくは1μm 以下、より好ましくは0.5
〜1.0μm 程度である。結晶粒径は走査型電子顕微鏡
(SEM)によって測定することができる。
【0018】このようなBaフェライト焼結磁石は、一
般に、2.5kOe 以上のiHcを示し、好ましい態様で
は3〜4.0kOe 程度のiHcが得られる。そして、従
来のCaとSiとの複合添加の場合のiHcに対し、同
一量で10〜25%の向上がみられる。なお、Brは
4.1〜4.4kG程度である。またc軸方向とa軸方向
との縮率比(Shc/Sha)を1に近づけることができ、
通常、0.5〜1.5の範囲、特に0.7〜1.3の範
囲内に収めることが可能となる。
【0019】このような異方性六方晶Baフェライト焼
結磁石は、六方晶Baフェライトの仮焼体と、酸化ケイ
素または焼成により酸化ケイ素となる化合物であるSi
成分と、酸化バリウムまたは焼成により酸化バリウムと
なる化合物であるBa成分とを含むBaフェライト原料
粉末を、磁場中成形して成形体とし、この成形体を焼結
するか、前記成形体を解砕した後、磁場中成形して焼結
することにより製造する。
【0020】なお、六方晶Baフェライトの仮焼体は、
通常、粉末状であるが、これをさらに粉砕して用いる。
【0021】Si成分の含有量は、SiO2 換算で成形
体の好ましくは0.1〜2.0wt%、より好ましくは
0.2〜1.5wt% 、さらに好ましくは0.3〜1.0
wt% である。また、Ba成分の含有量は、BaCO3
算で成形体の好ましくは0.5〜7wt% 、より好ましく
は1〜5wt% 、さらに好ましくは1.5〜3wt% であ
る。そして、Ba成分とSi成分とのモル比は、BaC
3 /SiO2 に換算して好ましくは0.5〜3、より
好ましくは0.7〜2.5、さらに好ましくは0.9〜
2である。また、Sr成分を添加する場合、Sr成分の
含有量はSrCO3換算で成形体の好ましくは0.5〜
5wt% 、より好ましくは1.0〜2.5wt%、さらに好
ましくは1.2〜2.2wt% である。そして、Sr成分
とSi成分とのモル比は、SrCO3 /SiO2 に換算
して好ましくは0.5〜3、より好ましくは0.7〜
2.5、さらに好ましくは0.9〜2.0である。この
ような範囲でこれらの成分を添加することによりiHc
が向上し、また、c軸方向の縮率とa軸方向の縮率とが
ほぼ等しくなる。
【0022】Si成分は、粒界成分の核となる成分で、
前記範囲より多すぎると非磁性相が増加して、Brが低
くなってしまう。また少なすぎると焼成時の粒成長を制
御できなくなり、iHcが低くなってしまう。
【0023】また、Ba成分量やBaCO3 /SiO2
が前記範囲を外れると、iHcが低くなり、縮率比(S
hc/Sha)も1から遠ざかってしまう。
【0024】本発明で用いる六方晶Baフェライトの仮
焼体を得るためには、原料粉末として酸化鉄粉末とBa
を含む粉末とを所定の量混合しこれを仮焼する。Baを
含む粉末としては、酸化物または後の焼成により酸化物
となるもの、例えば炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等であれ
ば特に制限はない。通常は炭酸塩を用いればよい。また
平均粒径は特に制限はないが、特に酸化鉄は微細粉末が
好ましく、1μm 以下、特に0.5μm 以下の一次粒子
であることが好ましい。本発明では、上記の原料粉末の
他にさらに必要に応じてSr、Pb、La、Nd、S
m、Pr、Ce、Al、Ga、Cr、Sn、Zn、I
n、Co、Ni、Ti、Cr、Mn、Cu、Ge、N
b、Zr、Li、Si等を添加してもよい。
【0025】また仮焼後に特に微細なフェライト粒子を
得るためには、例えば混合に際して、まず酸化鉄を湿式
粉砕し、これに、Na2 CO3 等の存在下、Baの水溶
性塩の水溶液を添加してもよい。これにより、Baの炭
酸塩が析出し、微細酸化鉄粒子と高精度に混合される。
また、微細なBaの炭酸塩を用いて酸化鉄と十分に混合
してもよい。この後、洗浄、乾燥し、仮焼する。仮焼は
大気中で、例えば1000〜1350℃で1秒〜10時
間、特に1秒〜3時間程度行えばよい。また、原料を乾
式粉砕機により、十分に粉砕混合してもよい。
【0026】また仮焼体は、原料として酸化鉄粉末と前
記Baを含む粉末とを混合粉砕し、この混合物を仮焼す
る前にこの混合物に対して、仮焼体組成よりBa−リッ
チの酸化物〔例えばBaFe24 やBaFeO3-x
(0≦x<1)等〕の中間相が生成する条件で熱処理
し、さらにこの中間相を含む混合物を粉砕した後に仮焼
して得てもよい。
【0027】このようにして得られた仮焼体は、実質的
にマグネトプランバイト型のフェライト構造をもち、そ
の一次粒子の平均粒径は、好ましくは1μm 以下、より
好ましくは0.1〜1μm 、さらに好ましくは0.1〜
0.5μm である。平均粒径は走査型電子顕微鏡(SE
M)により測定すればよい。また、飽和磁化σsは65
〜69emu/g 、保磁力iHcは4000〜6000Oeで
あることが好ましい。
【0028】次いで、この仮焼体を粉砕する。本発明で
は、Si成分、Ba成分、Sr成分を前記範囲で添加す
るが、これらは磁場中成形時までに添加されていればよ
く、添加時期は仮焼体の粉砕から成形前までのいずれで
あってもよいが、特に、仮焼体の粉砕時、通常は粉砕工
程の初期に添加することが好ましい。Si成分としては
SiO2 が、Ba成分としてはBaCO3 が、Sr成分
としてはSrCO3 がそれぞれ一般的である。この他、
BR>Siとの化合物等を用いたりしてもよい。粉末とし
て添加するときの粒径は0.01〜5μm 程度とするこ
とが好ましい。
【0029】この仮焼体粉砕工程では、仮焼した粉末に
結晶歪を導入しbHcを小さくすることが好ましい。仮
焼体粒子が微細化(単磁区粒子化)してiHcおよびb
Hcが大きくなると、粒子間に磁気的な力が働き、これ
によってフェライト粒子が凝集しやすくなる。この結
果、磁場による異方性化が妨げられる。フェライト粒子
間の吸引力(凝集力)は、粒子の表面の磁束密度の二乗
に比例する。フェライト粒子1個のヒステリシスループ
におけるbHcが大きいほど表面磁束密度は大きくな
り、その結果、凝集力が大きくなる。したがって、フェ
ライト粒子の凝集力を弱めるためには、結晶歪の導入に
よりbHcを小さくし第二象限の角型性を小さくするほ
ど有利である。これにより、磁場配向時に高い配向度が
得られるようになる。そして、この粒子に導入された歪
は、磁場中成形後の焼成工程で除去され、高い磁気特性
をもつ永久磁石を得ることができる。
【0030】なお、結晶歪によりBaフェライト粒子の
iHcを低減させると、iHcの温度に対する変化量が
少なくなるという新たな効果も生じる。iHcの温度係
数は−100〜+150℃において1〜6Oe/℃程度ま
で低減する。このため、歪の導入された粒子はそのまま
磁気記録媒体用の磁性粉としても用いることができる。
【0031】このような結晶歪の導入には、機械的な粉
砕が有効である。このような粉砕を行うには、例えばま
ず乾式粉砕を行って十分な結晶歪を導入することが好ま
しい。乾式粉砕に用いる粉砕機としては、乾式振動ミ
ル、乾式アトライター(媒体攪拌型ミル)、乾式ボール
ミル等が使用できるが、特に乾式振動ミルを用いること
が好ましい。
【0032】この乾式粉砕により、BET比表面積が2
〜10倍程度となるまで粉砕し、例えば(206)面の
結晶歪を3×10-4〜7×10-4程度導入する。この
際、乾式粉砕粉の平均粒径は0.1〜1μm 程度、BE
T比表面積は4〜10m2/g程度とする。
【0033】次いで、通常はこの乾式粉砕粉を湿式粉砕
する。湿式粉砕により、BET比表面積が1〜4倍程
度、特に1〜3倍程度となるようにし、平均粒径を0.
1〜0.8μm 、BET比表面積を6〜12m2/gとす
る。この湿式粉砕でも結晶歪は増加し、最終的フェライ
ト粒子は10-4以上の歪量で上記のHcに調整する。な
お、乾式粉砕を省略して湿式粉砕のみによってもこのよ
うな歪量やHcにすることができるので、粉砕を湿式粉
砕のみとしてもよい。また乾式粉砕のみを用いてもよ
い。なお、粉砕終了後のσsは50〜67emu/g 程度で
ある。このような湿式粉砕には、ボールミル、アトライ
ター、振動ミル等が好適に使用される。
【0034】この湿式粉砕において用いる溶媒は、水等
の水系の溶媒を用いてもよいが、本発明では、この湿式
粉砕時のスラリーの溶媒として非水系溶媒を用いること
が好ましい。用いる非水系溶媒としては、各種有機溶剤
等の常温で液体の有機化合物を用いればよいが、炭化水
素、例えば、ヘプタン、工業ガソリン、燈油、シクロヘ
キサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テレピ
ン油等;ハロゲン化炭化水素類、例えば、1,2−ジブ
ロモエタン、テトラクロロエチレン、パークロロエチレ
ン、ジクロロペンタン、モノクロロベンゼン等;1価ア
ルコール類、フェノール類、エーテル類、例えば、メタ
ノール、エタノール、n−プロピルアルコール、n−ブ
チルアルコール、シクロヘキサノール、フェノール、n
−ブチルエーテル等;酸類、エステル類、例えば、酢酸
ブチル等;多価アルコールとそのエーテル、エステル
類、例えば、エチレングリコール等;アルデヒド類、ア
セタール類、ケトン類、例えばアセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン
等;シリコーン油系、例えば低粘度のシリコーン油;含
窒素化合物類、例えば、エチレンジアミン等;硫黄化合
物、例えば、二硫化炭素等;塗料シンナー類、例えば、
ラッカーシンナー等あるいはこれらの混合溶媒が使用可
能である。この場合、このような非水系溶媒の単独また
は混合溶媒は、20℃での粘度が0.3〜3cps 、より
好ましくは0.3〜2.0cps 、特に0.4〜1.5cp
s であることが好ましい。これにより成形性や成形体の
配向度が格段と向上する。非水系溶媒の20℃での蒸気
圧は、0.1〜200mmHg、より好ましくは1〜200
mmHgであり、その沸点は、50〜300℃、より好まし
くは50〜200℃である。また湿式粉砕に際し非水系
溶媒がスラリー中の10〜90重量%程度を構成し、ス
ラリー中のフェライト粒子が10〜90重量%であるこ
とが好ましい。
【0035】このような湿式粉砕において、スラリー中
には界面活性剤の1種以上を添加することが好ましい。
界面活性剤の添加量は、乾式粉砕した原料粉に対し、
0.1〜5.0重量%、特に0.3〜3.0重量%とす
ることが好ましい。この界面活性剤は一般に両親媒性で
あり、スラリー中で原料粉のフェライト粒子の表面に吸
着することができるとともに、吸着状態で用いる非水系
溶媒に可溶化する。すなわち、通常はフェライト粒子表
面に吸着可能な親水性基と、用いる非水系溶媒に溶解す
る親油性基(疎水性基)を有する。そして、用いる界面
活性剤の溶解度パラメータ(SP値)と用いる非水系溶
媒の溶解度パラメータ(SP値)とが近似しているもの
が好ましい。また、スラリー中で原料粉に対し、添加し
たうちの実質的に全量が吸着するようなものが好まし
い。このような吸着および可溶化をおこしてミセル化す
ることにより、湿式粉砕後のスラリー中で1次粒子はき
わめて良好に分散し、これを湿式磁場中成形することに
より配向度の著しい向上が図られる。
【0036】用いる界面活性剤としては、カチオン型、
アニオン型、ノニオン型、両性型のいずれであってもよ
いが、特に、カルボン酸またはその塩、例えばステアリ
ン酸、オレイン酸、ステアリン酸Zn、ステアリン酸C
a、ステアリン酸Sr、ステアリン酸Ba、ステアリン
酸Mg、ステアリン酸Al、オレイン酸Zn、オレイン
酸Ca、オレイン酸Sr、オレイン酸Ba、オレイン酸
Mg、オレイン酸Al、オレイン酸アンモニウムなどの
炭素原子数4〜30程度の飽和または不飽和の脂肪酸ま
たはその塩の1種以上を含むものが好適に使用される。
これらのうち、特に脂肪酸、より好ましくはステアリン
酸のCa塩の使用は、配向性が損われることなく成形時
の脱溶剤性が改善され成形体のクラック発生が防止され
るので有利である。これは、例えば3.0g/cm3 から
2.8g/cm3 に成形体密度が低下して、溶剤が抜けやす
くなるためであると考えられる。また特にCa、Ba、
Sr、Al、Cr、Ga、Cu、Zn、Mn、Co、T
i等のフェライトに添加する可能性のある有効添加元素
を含む有機物(上記の脂肪酸の金属塩等の有機物界面活
性剤の金属塩)を添加することにより、このような元素
をフェライト粒子の周囲に高分散させることも可能であ
る。この他、公知のスルホン酸またはその塩;硫酸エス
テルまたはその塩;リン酸エステルまたはその塩;脂肪
族アミン塩あるいはその四級アンモニウム;芳香族四級
アンモニウム塩;ピリジニウム塩;イミダゾリニウム
塩;ベタイン;アミノカルボン酸塩;イミダゾリン誘導
体;天然界面活性剤のうち少なくとも一種も好適に使用
される。
【0037】このような界面活性剤を仮焼体粉末を含む
非水系溶媒スラリー中に添加して湿式粉砕すれば、この
スラリーをそのまま用いて湿式成形することができる。
あるいはこの界面活性剤の一部または全部は、湿式成形
に先立って行われたり、それ単独で行われたりする仮焼
粉の乾式粉砕時に添加してもよい。また、界面活性剤の
一部または全部は非水系溶媒スラリーの湿式粉砕後に添
加してもよい。さらには乾式粉砕後に界面活性剤と非水
系溶媒とを加えて湿式成形用のスラリーを調製してもよ
い。いずれの場合も、湿式磁場成形時にスラリー中に界
面活性剤が存在するので成形体の配向度向上効果が実現
する。なお、各段階における界面活性剤の添加量は、最
終的に、湿式成形時のスラリー中にて前記の添加量とな
るように設定すればよい。
【0038】湿式粉砕に、水系溶媒、特にその取扱い性
等の点から好ましくは水または水の混合溶媒をもちいる
ときには、湿式粉砕時のスラリー中の原料粉は10〜7
0重量%程度である。ただし、水スラリーに界面活性剤
を添加して湿式成形しても成形体の配向度向上は望めな
いので、非水系溶媒と溶媒置換することが好ましい。溶
媒置換を行うには、例えば原料粉を磁気的に保持した状
態でデカンテーションを行ったりすればよい。なお、こ
の湿式成形に際しても、前もって乾式粉砕を行うことも
できる。
【0039】このように湿式成形時のスラリー溶媒とは
異なる好ましくは水系の溶媒を用いた湿式粉砕を行っ
て、その後、溶媒置換を行う場合、最終湿式成形時には
前記の添加量にて界面活性剤が存在している必要があ
る。このためには、乾式粉砕時、湿式粉砕時、最終スラ
リー調製時のいずれか1つの段階に界面活性剤を添加す
ればよい。以上いずれの場合であっても、最終の湿式成
形用スラリーは非水系溶媒量が5〜30重量%程度、原
料粒子量は70〜95重量%程度であるように調整す
る。
【0040】このようにして界面活性剤を含む最終非水
系溶媒スラリーを調製した後、スラリー中の非水系溶媒
を除去しながら磁場中成形を行う。溶媒除去は常法に従
い例えば減圧強制除去によればよく、成形圧力は0.1
〜0.5ton/cm2 程度、印加磁場は5〜15kG程度とす
る。得られた成形体の配向度、Ir/Isは75%以
上、例えば78〜86%となる。そしてこのような高配
向度は、非水系溶媒と界面活性剤との併用によって初め
て実現し、界面活性剤を水スラリーに添加しても高配向
は得られない。
【0041】その後、この成形体を大気中または窒素中
にて100〜500℃の温度で熱処理して、添加した界
面活性剤を脱脂し分解除去する。そして、この成形体
を、例えば大気中で1150〜1250℃、特に116
0〜1220℃の温度で0.5〜3時間程度焼結して、
各種形状の異方性六方晶Baフェライト焼結磁石が得ら
れる。
【0042】また、前記成形体をクラッシャー等を用い
て解砕し、ふるい等により平均粒径が100〜700μ
m 程度に整粒して磁場配向顆粒を得、これを用いて、乾
式磁場成形して前記と同様にして焼結を行なって種々の
形態をもつ異方性六方晶Baフェライト焼結磁石を得て
もよい。
【0043】また、本発明の製造方法としては、界面活
性剤を用いずに粉砕による機械的歪の導入のみを行うこ
ともできる。粉砕は前記のとおり乾式または湿式粉砕に
よって行うが、好ましい形態において行われる湿式粉砕
時のスラリーの溶媒として、取扱いの容易さの点では水
または水の混合溶媒が好ましい。湿式粉砕に際しては、
溶媒がスラリー中の10〜90重量%程度、特に水スラ
リーでは30〜90重量%を構成し、スラリー中のフェ
ライト粒子が10〜90重量%、特に水スラリーでは1
0〜70重量%であることが好ましい。
【0044】このような好ましくは水または水系スラリ
ーを用いて湿式粉砕すれば、このスラリーをそのまま用
いて湿式成形することができる。また上記のとおり、湿
式成形に先立って仮焼粉の乾式粉砕を行ってもよい。ま
た、乾式粉砕後に溶媒を加えて湿式成形用のスラリーを
調製してもよい。さらには、上記の湿式粉砕を成形用ス
ラリーとは異なる他の溶媒中で行い、その後、湿式成形
に先立って粉砕時に用いた溶媒を好ましくは水に置換し
てもよい。溶媒置換を行うには、例えば原料粉を磁気的
に保持した状態でデカンテーションを行ったりすればよ
い。なお、この湿式成形に際しても前もって乾式粉砕を
行うこともできる。以上いずれの場合であっても、最終
の湿式成形用スラリーは水等の溶媒量が5〜30重量%
程度、原料粒子量は70〜95重量%程度であるように
調整する。
【0045】なお、水系スラリーを湿式粉砕する場合、
粉砕時には、分散剤を添加することが望ましい。この分
散剤としては、高分子分散剤を用いることが望ましく、
特にポリカルボン酸アンモニウム型のものが望ましい。
また、分散剤は原料粉に対し0.1〜1重量%添加する
ことが好ましい。
【0046】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例によって
具体的に説明する。
【0047】原料としては、次のものを用いた。 Fe23 粉末(一次粒子径0.3μm ) 1000g BaCO3 粉末(一次粒子径2μm ) 215.5g
【0048】上記原料を水2L とともに湿式アトライタ
ーで2時間粉砕して乾燥し、整粒し、これを空気中11
75℃で3時間焼成して粉末状の仮焼体を得た。
【0049】得られた仮焼体の磁気特性を試料振動式磁
力計(VSM)で測定した結果、σs=68emu/g 、i
Hc=4.6kOe であった。また、走査型電子顕微鏡
(SEM)で観察すると、その一次粒子径は0.3μm
であり、BET比表面積は2m2/gであった。
【0050】この仮焼体に対し、SiO2 (平均粒子径
0.01μm )を0.6wt% 添加し、これに加えてBa
CO3 またはCaCO3 (ともに平均粒子径1μm )を
表1に示される量添加して、乾式振動ミルにより、粉末
の比表面積が7m2/gとなるまで粉砕を行なった。この処
理により、粉末に粉砕歪みが導入されて、iHcが4.
6kOe から2.0kOe に減少した。
【0051】次いで、非水系溶媒としてキシレンを用
い、界面活性剤としてオレイン酸を用いてボールミル中
で湿式粉砕を行なった。オレイン酸は、乾式粉砕により
得られた粉末に対して1.5wt% 添加した。キシレンス
ラリーのフェライト濃度は、33wt% とした。粉砕は、
比表面積が8m2/gとなるまで行なった。得られたスラリ
ー中の粉末(Baフェライト原料粉末)の磁気特性を前
記同様に測定した結果、σs=64emu/g 、iHc=
1.8kOe であった。また、平均粒子径は0.3μm で
あった。
【0052】この粉砕スラリーを吸引ろ過により、スラ
リー中のBaフェライト原料粉末の濃度が80〜85wt
% になるように調整した。このスラリーから溶媒を除去
しつつ、約13kGの高さ方向磁場中で直径30mm、高さ
15mmの円柱に成形した。このときの成形体の配向度
(Ir/Is )を、表1に示す。
【0053】次に、各成形体を空気中で1220℃にて
1時間焼成した。なお、成形体を焼成する際に、オレイ
ン酸を除去するためあらかじめ空気中100〜300℃
で十分に脱脂した。得られた焼結体の磁気特性、配向
度、角形比Hk / iHc 、焼結密度および高さ方向の縮
率Shh(c軸方向)と径方向の縮率Shφ(a軸方向)と
の比(Shh/Shφ)を評価した。結果を表1に示す。 i
Hc は保磁力であり、Hk は、磁気ヒステリシスループ
の第2象限において磁束密度が残留磁束密度の90%に
なるときの外部磁界強度である。Hk が低いと高エネル
ギー積が得られない。Hk / iHc は、磁石性能の指標
となるものであり、磁気ヒステリシスループの第2象限
における角張りの度合いを表わす。結晶粒径の分布がシ
ャープであれば、Hk / iHc は大きくなる。
【0054】なお、BaCO3 =2.96重量%は、C
aCO3 =1.50重量%とほぼ同じモル%となる。
【0055】
【表1】
【0056】表1から、CaCO3 にかえてBaCO3
を添加した焼結体No. 1では、iHcが向上し、配向度
が高いにもかかわらず縮率比(Shh/Shφ)が1に近づ
くことがわかる。また、モル百分率での添加量が同等で
焼成温度が等しい焼結体No.1とNo. 2との比較から、
CaCO3 にかえてBaCO3 を添加することにより焼
結密度が向上することがわかる。焼結密度の向上は、機
械的強度の向上に結び付く。
【0057】また、本発明では仮焼後にBaCO3 を加
えるため、仮焼体のBa濃度を高くする必要がない。B
a濃度の高い仮焼体にはM相フェライトとBaリッチ相
とが存在するが、Baリッチ相は分解されやすく、分解
により粉砕されやすくなる。このため、微粉が発生する
ので、成形性が悪くなり、取り扱いも面倒となる。そし
てこの微粉は溶媒に極めて分散しやすく、また、水に溶
けやすいため、特に水系溶媒を用いて粉砕した場合には
組成ずれが発生してしまう。しかし、本発明により製造
された焼結体No. 1では、このような問題は生じない。
【0058】図2に、焼結体No. 1の透過型電子顕微鏡
写真を示す。また、焼結体No. 1および2のa軸方向の
結晶粒径の分布を、図1に示す。結晶粒径は走査型電子
顕微鏡写真から求めた。図1から、焼結体No. 1では結
晶粒径が小さく制御されていることがわかり、粒度分布
もシャープであることがわかる。焼結体No. 1では、こ
のような結晶粒子を有するために保磁力が高くなってい
ると考えられる。
【0059】TEM−EDSによる分析 焼結体No. 1を、c軸に平行に厚さ約100μm まで両
面から研磨し、Dimple-Grinderにより厚さ約30μm と
した後、PIPS(Precision Ar Ion Pollishing Syst
em)により薄膜化し、測定用試料とした。各測定用試料
の多結晶粒界部分およびグレイン内部のそれぞれ4箇所
以上(N≧4)について、TEM−EDSにより組成分
布を調べた。TEMは日本電子(株)製JEM2000FXII を
用い、EDSはTracor-Northern 社製TN5450を用いた。
この結果、焼結体No. 1では、前記したSiO /SiI
は2〜100の範囲にあり、BaO /BaI は1.1〜
20の範囲にあり、SrO /SrI は1.1以下であっ
た。
【0060】以上の実施例から、本発明の効果が明らか
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】a軸方向の結晶粒径の分布を表わすグラフであ
る。
【図2】結晶構造を示す図面代用写真であって、異方性
六方晶Baフェライト焼結磁石の透過型電子顕微鏡写真
である。
【図3】図2の透過型電子顕微鏡写真を説明するための
模式図である。
【図4】多結晶粒界部分を説明するための模式図であ
る。
フロントページの続き (72)発明者 武石 卓 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 森 輝夫 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−275221(JP,A)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 六方晶Baフェライトの仮焼体に、酸化
    カルシウムまたは焼成により酸化カルシウムとなる化合
    物であるCa成分を添加せずに、酸化ケイ素または焼成
    により酸化ケイ素となる化合物であるSi成分および酸
    化バリウムまたは焼成により酸化バリウムとなる化合物
    であるBa成分を添加して調整されたBaフェライト原
    料粉末を磁場中成形して成形体とし、 この成形体を焼結するか、または前記成形体を解砕した
    後、磁場中成形して焼結することによりc軸方向の縮率
    Shcとa軸方向の縮率Shaとの比Shc/Shaが0.5〜
    1.5である異方性六方晶Baフェライト焼結磁石を製
    造する異方性六方晶Baフェライト焼結磁石の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 Baフェライトを主相とし、粒界のSi
    含有量が主相グレイン内部のSi含有量の2〜100倍
    であり、粒界のBa含有量が主相グレイン内部のBa含
    有量の1.1〜20倍である請求項1の異方性六方晶B
    aフェライト焼結磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記Si成分がSiO2 換算で成形体の
    0.1〜2.0wt%、前記Ba成分がBaCO3 換算で
    成形体の0.5〜7wt% 、前記Si成分と前記Ba成分
    とのモル比がBaCO3 /SiO2 換算で0.5〜3と
    なるように前記Si成分および前記Ba成分を成形体に
    含有させる請求項1または2の異方性六方晶Baフェラ
    イト焼結磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】 粒界のBa含有量が0.5〜10at% で
    ある異方性六方晶Baフェライト焼結磁石が製造される
    請求項1〜3のいずれかの異方性六方晶Baフェライト
    焼結磁石の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記Baフェライト原料粉末中に、酸化
    ストロンチウムまたは焼成により酸化ストロンチウムと
    なる化合物であるSr成分を含有させる請求項1〜4の
    いずれかの異方性六方晶Baフェライト焼結磁石の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記Si成分がSiO2 換算で成形体の
    0.1〜2.0wt%、前記Sr成分がSrCO3 換算で
    成形体の0.5〜5wt% 、前記Si成分と前記Sr成分
    とのモル比がSrCO3 /SiO2 換算で0.5〜3と
    なるように前記Si成分および前記Sr成分を成形体に
    含有させる請求項5の異方性六方晶Baフェライト焼結
    磁石の製造方法。
  7. 【請求項7】 粒界のSr含有量が主相グレイン内部の
    Sr含有量の1.1〜20倍である異方性六方晶Baフ
    ェライト焼結磁石が製造される請求項5または6の異方
    性六方晶Baフェライト焼結磁石の製造方法。
  8. 【請求項8】 粒界のSi含有量が2〜30at% である
    異方性六方晶Baフェライト焼結磁石が製造される請求
    項1〜7のいずれかの異方性六方晶Baフェライト焼結
    磁石の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記Baフェライト原料粉末の平均粒径
    が1μm 以下である請求項1〜8のいずれかの異方性六
    方晶Baフェライト焼結磁石の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記主相のa軸方向の平均結晶粒径が
    1.0μm 以下である異方性六方晶Baフェライト焼結
    磁石が製造される請求項1〜9のいずれかの異方性六方
    晶Baフェライト焼結磁石の製造方法。
  11. 【請求項11】 周面が多極に配向している極異方性六
    方晶Baフェライト焼結磁石が製造される請求項1〜1
    0のいずれかの異方性六方晶Baフェライト焼結磁石の
    製造方法。
JP07182081A 1995-06-26 1995-06-26 異方性六方晶Baフェライト焼結磁石の製造方法 Expired - Fee Related JP3135203B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07182081A JP3135203B2 (ja) 1995-06-26 1995-06-26 異方性六方晶Baフェライト焼結磁石の製造方法
US08/670,069 US5811024A (en) 1995-06-26 1996-06-25 Preparation of anisotropic hexagonal barium ferrite sintered magnet

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07182081A JP3135203B2 (ja) 1995-06-26 1995-06-26 異方性六方晶Baフェライト焼結磁石の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0917669A JPH0917669A (ja) 1997-01-17
JP3135203B2 true JP3135203B2 (ja) 2001-02-13

Family

ID=16112028

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP07182081A Expired - Fee Related JP3135203B2 (ja) 1995-06-26 1995-06-26 異方性六方晶Baフェライト焼結磁石の製造方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US5811024A (ja)
JP (1) JP3135203B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5945028A (en) * 1992-04-24 1999-08-31 Tdk Corporation Hexagonal system ferrite particles and their production process
EP0884740B1 (en) * 1996-12-03 2005-09-14 TDK Corporation Process for the production of oxide magnetic compacts
WO1998038654A1 (fr) * 1997-02-25 1998-09-03 Tdk Corporation Materiau magnetique a base d'oxyde, particule de ferrite, aimant obtenu par frittage, aimant issu d'une liaison, support d'enregistrement magnetique et moteur
WO1999016087A1 (fr) * 1997-09-19 1999-04-01 Tdk Corporation Poudre d'aimant, aimant fritte, procede de fabrication de ces materiaux, aimant agglomere, moteur, et support d'enregistrement magnetique
DE69839208T2 (de) 1997-09-19 2009-03-12 Tdk Corp. Sintermagnet
EP1011114A4 (en) 1998-06-25 2001-09-19 Tdk Corp HEXAGONAL FERRITE MAGNET
CN1218330C (zh) * 2002-05-31 2005-09-07 三洋电机株式会社 氧化物磁性材料的制造方法和氧化物磁性材料
CA2576261C (en) * 2004-08-10 2012-12-04 Idemitsu Technofine Co., Ltd. Modified powder, fluid composition containing said modified powder, formed article, and method for producing modified powder
JP4730534B2 (ja) * 2005-10-27 2011-07-20 Tdk株式会社 フェライト焼結磁石
WO2012090935A1 (ja) * 2010-12-28 2012-07-05 日立金属株式会社 フェライト焼結磁石及びその製造方法
WO2014087932A1 (ja) * 2012-12-03 2014-06-12 Tdk株式会社 Srフェライト焼結磁石の製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS589303A (ja) * 1981-07-10 1983-01-19 Tohoku Metal Ind Ltd 高絶縁抵抗をもつ酸化物永久磁石の製造方法
JP2908631B2 (ja) * 1992-03-25 1999-06-21 住友特殊金属株式会社 フェライト磁石の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US5811024A (en) 1998-09-22
JPH0917669A (ja) 1997-01-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2897871B2 (ja) 磁石粉末、焼結磁石、ボンディッド磁石および磁気記録媒体
KR101131795B1 (ko) 페라이트 소결 자석
JP5929764B2 (ja) フェライト焼結磁石及びその製造方法
KR100766035B1 (ko) 페라이트 자성재료, 페라이트 소결자석 및 그 제조방법
JP2009188420A (ja) フェライト焼結磁石の製造方法
JP2019172507A (ja) フェライト焼結磁石及びフェライト焼結磁石の製造方法
JP3135203B2 (ja) 異方性六方晶Baフェライト焼結磁石の製造方法
JP7000954B2 (ja) フェライト焼結磁石
US6132635A (en) Process for the production of anisotropic ferrite magnets and anisotropic ferrite magnets as well as hexagonal system ferrite particles and their production process
EP0723277B1 (en) Sintered hexagonal barium ferrite magnet, its manufacture, and polar anisotropic link magnet
US5648039A (en) Process for the production of anisotropic ferrite magnets
JP2005259751A (ja) フェライト磁石およびその製造方法
JP2838632B2 (ja) 異方性フェライト磁石の製造方法および異方性フェライト磁石ならびに六方晶系フェライト粒子およびその製造方法
JP7338361B2 (ja) フェライト焼結磁石
JP3115506B2 (ja) 六方晶Baフェライト焼結磁石およびその製造方法ならびに極異方性リング磁石
JP4576751B2 (ja) 酸化物磁性材料
JP4301539B2 (ja) 乾式成形焼結磁石の製造方法
JP3266187B2 (ja) 回転機
US20030230832A1 (en) Preparation of oxide magnetic material and oxide magnetic material
JP3150208B2 (ja) 異方性フェライト磁石の製造方法
JP2001223104A (ja) 焼結磁石の製造方法
JP2019172508A (ja) フェライト焼結磁石
JP2001181057A (ja) 酸化物磁性体の製造方法および酸化物磁性体
JP6988563B2 (ja) フェライト焼結磁石、及び回転機
JP2002118012A (ja) フェライト磁石及びそれを用いた回転機並びにマグネットロール

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 19981222

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081201

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091201

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees