JP2001181057A - 酸化物磁性体の製造方法および酸化物磁性体 - Google Patents
酸化物磁性体の製造方法および酸化物磁性体Info
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Abstract
造工程において、環境面やコスト面で有利な、水を使用
する湿式成形時の磁場配向性を改善することにより、高
い配向度を有し、同時に高い生産性を有する酸化物磁性
体を得ることである。 【解決手段】 酸化物磁性体粒子と水とを含む成形用ス
ラリーを磁場中で湿式成形して成形体を得る成形工程を
有する酸化物磁性体の製造方法において、一般式C
n(OH)nHn+2で表される多価アルコールである分散
剤を添加した成形用スラリーを使用する。
Description
磁石等の酸化物磁性体の製造方法およびそれにより得ら
れる酸化物磁性体に関する。
系のSrフェライトやBaフェライトが用いられてお
り、これらの磁石では、磁石特性を向上させるために磁
場中プレスによる異方性化が広く行われている。磁石特
性のひとつとして、残留磁束密度(Br)が挙げられ
る。残留磁束密度Brに大きな影響を与える因子には、
次の関係がある。なお、下記式における単位重量当たり
の飽和磁化(σs)は、物質固有の値である。
化)×(密度)×(配向度) したがって、Brの高い異方性焼結フェライト磁石を製
造するためには、焼結密度と配向度を高めることが非常
に重要である。高い配向度を得るため、フェライト粒子
が水中に分散されたスラリーを成形する、いわゆる湿式
成形が、従来から行われている。一方、大きな保磁力を
得るためには、フェライトの粒子サイズを単磁区臨界径
である1μm以下として単磁区化する必要があるが、こ
のような粒子では、湿式成形法を用いた場合でも一般的
に配向度が低下するという問題がある。この原因とし
て、一般的にサブミクロン粒子は凝集しやすいというこ
とに加え、粒子の単磁区化による磁気的凝集力の増
加、粒子が磁場方向に向こうとするトルクの減少、
粒子の比表面積増加による摩擦力の増加、などが挙げら
れる。
に、サブミクロンフェライト粒子に粉砕歪みを導入して
粒子の保磁力を一時的に低減させることにより、磁気的
凝集力を低減させ得ることを見出した(特開平6−53
064号公報)。
シレンのような有機溶媒を用い、かつ、例えばオレイン
酸のような界面活性剤を添加することにより、サブミク
ロンサイズのフェライト粒子を用いても最高で98%程
度の高い磁気的配向度を得ることが可能であることを見
出した(同じく特開平6−53064号公報)。しか
し、この方法は有機溶媒を使うため、人体や環境に対し
て悪影響があり、これを解決するためには回収装置など
の大がかりな設備が必要になり、コストアップになると
いう問題がある。
は、飽和磁化(Is)に対する残留磁化(Ir)の比(I
r/Is)である。
配向度を改善するために、従来、例えばポリカルボン酸
(塩)に代表される高分子の分散剤を添加し、これを磁
性粒子表面に吸着させて立体障害と電気的な反発作用の
効果により粒子を分散し、配向度を向上させることが試
みられてきた(特開平6−112029号公報)。しか
し、得られる配向度および残留磁束密度Brは、高くな
い。
劣化するという問題は、フェライト磁石の製造の場合に
限らず、例えば、針状の軟磁性フェライト等の他の酸化
物磁性体粒子を磁場配向させる場合においても同様であ
る。
和塩もしくはそのラクトンに代表される分散剤を添加す
ることによって環境面やコスト面で有利な、水を使用す
る湿式成形時の磁場配向性を改善する方法を提案してい
る(特願平10−525449公報)。しかし、この方
法では配向度の向上は非常に高いが、湿式磁場成形時の
成形性が低下し、生産性に悪影響を与える場合があっ
た。
性フェライト磁石等の酸化物磁性体の製造工程におい
て、環境面やコスト面で有利な、水を使用する湿式成形
時の磁場配向性を改善することにより、高い配向度を有
し、同時に高い生産性を有する酸化物磁性体を得ること
である。
の本発明により達成される。
形用スラリーを磁場中で湿式成形して成形体を得る成形
工程を有する酸化物磁性体の製造方法であって、一般式
Cn(OH)nHn+2で表される多価アルコールである分
散剤を添加した成形用スラリーを使用する酸化物磁性体
の製造方法。
4以上である(1)の酸化物磁性体の製造方法。
100以下である(1)または(2)の酸化物磁性体の
製造方法。
20以下である(1)〜(3)のいずれかの酸化物磁性
体の製造方法。
ルである(1)の酸化物磁性体の製造方法。
ルである(1)の酸化物磁性体の製造方法。
を有する(1)〜(6)のいずれかの酸化物磁性体の製
造方法。
前記湿式粉砕工程において添加されたものである(7)
の酸化物磁性体の製造方法。
砕工程を有する(7)または(8)の酸化物磁性体の製
造方法。
が、前記乾式粗粉砕工程において添加されたものである
(9)の酸化物磁性体の製造方法。
化物磁性体粒子に対し0.05〜5.0重量%である
(1)〜(10)のいずれかの酸化物磁性体の製造方
法。
径が1μm 以下である(1)〜(11)のいずれかの酸
化物磁性体の製造方法。
って焼結体を得る請求項(1)〜(12)の酸化物磁性
体の製造方法。
方法によって得られた酸化物磁性体。
親水性が強い基を有する化合物を添加して、配向度を向
上する方法を見い出した(特願平10−525449公
報)。しかしグルコン酸またはその中和塩もしくはその
ラクトンに代表されるヒドロキシカルボン酸類を分散剤
として添加すると配向度は大きく向上するが、磁場中成
形時の成形性が悪化の傾向にあり、成形時間の長時間
化、成形歩留りの低下が起こる場合があった。また、こ
れらの分散剤を用いると成形体の乾燥時にクラックが発
生しやすくなり、成形体の乾燥条件を適切に設定する必
要があった。一方、ソルボースなどには成形性低下など
の問題はないが、グルコン酸などのヒドロキシカルボン
酸ほど配向度の向上は大きくない。
性を示す化合物を分散剤として用いる場合には塩基性化
合物を添加するか、その化合物の中和塩を用いるかして
pHを調整する必要がある。すなわち、配向度がpHの
影響を受けやすかったり、分散剤が酸化物磁性体や炭酸
カルシウムのような添加物と反応してしまうという問題
があった。これに対して本発明で用いる分散剤はカルボ
キシル基などの酸性の基を有しないため、このような問
題は生じない。
果、例えばソルビトールのような多価アルコールの添加
で高い配向度と良好な成形性を両立できるということを
見い出した。この場合、成形体のクラック発生も起こり
にくい傾向にある。
などの分散剤は比較的安価であり、製造コスト面でも有
利である。
とにより高い配向度をもつ酸化物磁性体を低コストで生
産できる。
どは人工的に合成されたもので、生物分解されにくく排
液処理の問題があるが、本発明で用いる分散剤の多くは
天然に存在するもので、人体や環境に対して安全であ
り、微生物等により分解できるという利点もある。
向上効果が高い物質は、ソルビトール、マンニトールで
ある。ソルビトールとマンニトールは分子式は同一であ
り、立体構造のみが異なる光学異性体の関係にある。他
の光学異性体もソルビトールなどと同様の効果を示すも
のと考えられる。
ミクロンフェライト粒子を湿式粉砕して成形し、焼結し
たときの磁気的配向度は、分散剤を添加しない場合には
93〜94%であり、分散剤として従来から広く用いら
れているポリカルボン酸型の化合物を用いた場合には9
4%程度であるが、分散剤としてソルビトールを用いた
場合には95〜97%となり、グルコン酸を用いた場合
と同等の配向度となる。分散媒として有機溶媒(キシレ
ン)を用い、分散剤としてオレイン酸を用いた場合の磁
気的配向度が97〜98%であるから、本発明では分散
媒として水を用いるにもかかわらず有機溶媒を用いた場
合に近い磁気的配向度が得られることがわかる。
てSiO2およびCaCO3が添加されるが、分散剤とし
てグルコン酸などのヒドロキシカルボン酸やそのラクト
ンを用いた場合には、成形用スラリー調製工程および湿
式成形工程においてSiO2およびCaCO3の一部が流
出してしまう場合がある。また、ヒドロキシカルボン酸
やそのラクトンに加え、pH調整のために塩基性化合物
を添加し、pHを高くした場合には、流出量がより多く
なる。
ルを用いた場合、SiO2およびCaCO3の流出が抑え
られ、これによるHcJの低下等の特性劣化が抑えられる
という利点もある。
て詳細に説明する。
可能であるが、特に顕著な効果が得られることから、以
下の説明では異方性フェライト磁石の製造に適用した場
合を例に挙げる。
は、主にマグネトプランバイト型のM相、W相等の六方
晶系のフェライトである。このようなフェライトとして
は、特に、MO・nFe2O3(Mは好ましくはSrおよ
びBaの1種以上、n=4.5〜6.5)であることが
好ましい。このようなフェライトには、さらに、希土類
元素、Ca、Pb、Si、Al、Ga、Sn、Zn、I
n、Co、Ni、Ti、Cr、Mn、Cu、Ge、N
b、Zr等が含有されていてもよい。
よびPbから選択される少なくとも1種の元素をAと
し、希土類元素(Yを含む)およびBiから選択される
少なくとも1種の元素をRとし、Coおよび/またはZ
nをLとしたとき、A,R,FeおよびLそれぞれの金
属元素の総計の構成比率が、全金属元素量に対し、A:
1〜13原子%、R:0.05〜10原子%、Fe:8
0〜95原子%、L:0.1〜5原子%である六方晶マ
グネトプランバイト型(M型)フェライトを主相に有す
るものが好ましい。
し、LがFeのサイトに存在するとして表した 式I A1-xRx(Fe12-yLy)zO19 で表される主相を形成することが好ましい。なお、x、
y、zは上記の量から計算される値である。
%、R:0.2〜6原子%、Fe:83〜94原子%、
L:0.3〜4原子%であり、特に好ましくは、A:3
〜9原子%、R:0.5〜4原子%、Fe:86〜93
原子%、L:0.5〜3原子%である。
a、CaおよびPbから選択される少なくとも1種の元
素であって、Srを必ず含むことが好ましい。Aが小さ
すぎると、M型フェライトが生成しないか、α−Fe2
O3等の非磁性相が多くなってくる。Aが大きすぎると
M型フェライトが生成しないか、SrFeO3-x等の非
磁性相が多くなってくる。A中のSrの比率は、好まし
くは51原子%以上、より好ましくは70原子%以上、
さらに好ましくは100原子%である。A中のSrの比
率が低すぎると、飽和磁化向上と保磁力の著しい向上と
を共に得ることができなくなってくる。
から選択される少なくとも1種の元素である。Rには、
La,Pr,Ndを含有することが好ましく、特にLa
が必ず含まれることが好ましい。Rが小さすぎると、L
の固溶量が少なくなり、効果が得難くなる。Rが大きす
ぎると、オルソフェライト等の非磁性の異相が多くなっ
てくる。R中においてLaの占める割合は、好ましくは
40原子%以上、より好ましくは70原子%以上であ
り、飽和磁化向上のためにはRとしてLaだけを用いる
ことが最も好ましい。これは、六方晶M型フェライトに
対する固溶限界量を比較すると、Laが最も多いためで
ある。したがって、R中のLaの割合が低すぎるとRの
固溶量を多くすることができず、その結果、元素Lの固
溶量も多くすることができなくなり、その効果が小さく
なってくる。また、Biを併用すれば仮焼温度および焼
結温度を低くすることができるので、生産上有利であ
る。
り、特にCoが必ず含まれることが好ましい。L中のC
oの比率は、好ましくは10原子%以上、より好ましく
は20原子%以上であることが好ましい。Coの比率が
低すぎると、保磁力向上が不十分となってくる。
造するには、フェライト組成物の原料の酸化物、または
焼成により酸化物となる化合物を仮焼前に混合し、その
後仮焼を行う。仮焼は、大気中で、例えば1000〜1
350℃で1秒間〜10時間、特にM型のSrフェライ
トの微細仮焼粉を得るときには、1000〜1200℃
で、1秒間〜3時間程度行えばよい。
ランバイト型のフェライト構造をもつ顆粒状粒子から構
成され、その一次粒子の平均粒径は0.1〜1μm 、特
に0.1〜0.5μmであることが好ましい。平均粒径
は走査型電子顕微鏡(SEM)により測定すればよく、
その変動係数CVは80%以下、一般に10〜70%で
あることが好ましい。また、飽和磁化σsは65〜80e
mu/g、特にM型Srフェライトでは65〜71.5emu/
g、保磁力HcJは2000〜8000Oe、特にM型Sr
フェライトでは4000〜8000Oeであることが好ま
しい。
としての水と、分散剤とを含む成形用スラリーを用いて
湿式成形を行うが、分散剤の効果をより高くするために
は、湿式成形工程の前に湿式粉砕工程を設けることが好
ましい。また、酸化物磁性体粒子として仮焼体粒子を用
いる場合、仮焼体粒子は一般に顆粒状であるので、仮焼
体粒子の粗粉砕ないし解砕のために、湿式粉砕工程の前
に乾式粗粉砕工程を設けることが好ましい。なお、共沈
法や水熱合成法などにより酸化物磁性体粒子を製造した
場合には、通常、乾式粗粉砕工程は設けず、湿式粉砕工
程も必須ではないが、配向度をより高くするためには湿
式粉砕工程を設けることが好ましい。以下では、仮焼体
粒子を酸化物磁性体粒子として用い、乾式粗粉砕工程お
よび湿式粉砕工程を設ける場合について説明する。
積が2〜10倍程度となるまで粉砕する。粉砕後の平均
粒径は、0.1〜1μm 程度、BET比表面積は4〜1
0m2/g程度であることが好ましく、粒径のCVは80%
以下、特に10〜70%に維持することが好ましい。粉
砕手段は特に限定されず、例えば乾式振動ミル、乾式ア
トライター(媒体撹拌型ミル)、乾式ボールミル等が使
用できるが、特に乾式振動ミルを用いることが好まし
い。粉砕時間は、粉砕手段に応じて適宜決定すればよ
い。
入して保磁力HcBを小さくする効果もある。保磁力の低
下により粒子の凝集が抑制され、分散性が向上する。ま
た、配向度も向上する。粒子に導入された結晶歪は、後
の焼結工程において解放され、これによって本来の硬磁
性に戻って永久磁石となる。
2と、焼成によりCaOとなるCaCO3とが添加され
る。SiO2およびCaCO3は、一部を仮焼前に添加し
てもよく、その場合には特性向上が認められる。
粉砕用スラリーを調製し、これを用いて湿式粉砕を行
う。粉砕用スラリー中の仮焼体粒子の含有量は、10〜
70重量%程度であることが好ましい。湿式粉砕に用い
る粉砕手段は特に限定されないが、通常、ボールミル、
アトライター、振動ミル等を用いることが好ましい。粉
砕時間は、粉砕手段に応じて適宜決定すればよい。
形用スラリーを調製する。濃縮は、遠心分離などによっ
て行えばよい。成形用スラリー中の仮焼体粒子の含有量
は、60〜90重量%程度であることが好ましい。
て磁場中成形を行う。成形圧力は0.1〜0.5ton/cm
2程度、印加磁場は5〜15kOe 程度とすればよい。
ラリーを用いる。本発明で用いる分散剤は、一般式Cn
(OH)nHn+2で表される多価アルコールである。
上、好ましくは4〜100、より好ましくは4〜30、
さらに好ましくは4〜20、最も好ましくは4〜12で
ある。炭素数nが3以下であると、本発明の効果が実現
しない。
べて鎖式であってかつ不飽和結合を含んでいない場合の
式である。多価アルコール中の水酸基数、水素数は一般
式で表される数よりも多少少なくてもよい。上記多価ア
ルコールは、飽和であっても不飽和結合を含んでいても
よく、基本骨格は鎖式であっても環式であってもよい
が、鎖式であることが好ましい。また水酸基数が炭素数
nの50%以上であれば、本発明の効果は実現するが、
水酸基数は多いほうが好ましく、水酸基数と炭素数とが
一致することが最も好ましい。
であっても酸として解離しうるエノール性水酸基を持つ
化合物は本発明者らにより既に特許出願がなされている
ため本願では除外する。
はn=6であるソルビトール、マンニトールが好まし
い。
以下に示す。
ケミカル反応で、その構造が変化する可能性がある。
発明で用いる分散剤と同一の有機化合物を生成するよう
な化合物、例えばエステルなどを添加することによって
も本発明の目的を達成できる可能性もある。
い。このときに併用する分散剤は本発明の範囲に限定さ
れない。
る仮焼体粒子に対し、好ましくは0.05〜5.0重量
%、より好ましくは0.1〜3.0重量%、さらに好ま
しくは0.3〜2.0重量%、最も好ましくは0.5〜
1.5重量%である。分散剤が少なすぎると配向度の向
上が不十分となる。一方、分散剤が多すぎると、成形体
や焼結体にクラックが発生しやすくなる。
粗粉砕時に添加してもよく、湿式粉砕時の粉砕用スラリ
ー調製の際に添加してもよく、一部を乾式粗粉砕の際に
添加し、残部を湿式粉砕の際に添加してもよい。あるい
は、湿式粉砕後に撹拌などによって添加してもよい。い
ずれの場合でも、成形用スラリー中に分散剤が存在する
ことになるので、本発明の効果は実現する。ただし、粉
砕時に、特に乾式粗粉砕時に添加するほうが、配向度向
上効果は高くなる。なお、分散剤を複数回に分けて添加
する場合には、合計添加量が前記した好ましい範囲とな
るように各回の添加量を設定すればよい。
において100〜500℃の温度で熱処理して、添加し
た分散剤を十分に分解除去する。次いで焼結工程におい
て、成形体を例えば大気中で好ましくは1150〜12
50℃、より好ましくは1160〜1220℃の温度で
0.5〜3時間程度焼結して、異方性フェライト磁石を
得る。
をクラッシャー等を用いて解砕し、ふるい等により平均
粒径が100〜700μm程度となるように分級して磁
場配向顆粒を得、これを乾式磁場成形した後、焼結する
ことにより焼結磁石を得てもよい。
造に本発明を適用する場合について説明したが、例えば
針状フェライト粒子などを用いた軟磁性フェライト焼結
体等の他の酸化物磁性体の製造に適用する場合でも、上
記説明に準じて分散剤を添加することにより、成形用ス
ラリー中の酸化物磁性体粒子の分散性が良好となり、そ
の結果、高配向度の酸化物磁性体が得られる。
イト磁石を使用することにより、一般に次に述べるよう
な効果が得られ、優れた応用製品を得ることができる。
すなわち、従来のフェライト製品と同一形状であれば、
磁石から発生する磁束密度を増やすことができるため、
モータであれば高トルク化等を実現でき、スピーカーや
ヘッドホーンであれば磁気回路の強化により、リニアリ
ティーのよい音質が得られるなど応用製品の高性能化に
寄与できる。また、従来と同じ機能でよいとすれば、磁
石の大きさ(厚み)を小さく(薄く)でき、小型軽量化
(薄型化)に寄与できる。
イト磁石は所定の形状に加工され、下記に示すような幅
広い用途に使用される。
ンド用、ABS用、ファン用、ワイパ用、パワーステア
リング用、アクティブサスペンション用、スタータ用、
ドアロック用、電動ミラー用等の自動車用モータ;FD
Dスピンドル用、VTRキャプスタン用、VTR回転ヘ
ッド用、VTRリール用、VTRローディング用、VT
Rカメラキャプスタン用、VTRカメラ回転ヘッド用、
VTRカメラズーム用、VTRカメラフォーカス用、ラ
ジカセ等キャプスタン用、CD,LD,MDスピンドル
用、CD,LD,MDローディング用、CD,LD光ピ
ックアップ用等のOA、AV機器用モータ;エアコンコ
ンプレッサー用、冷蔵コンプレッサー用、電動工具駆動
用、扇風機用、電子レンジファン用、電子レンジプレー
ト回転用、ミキサ駆動用、ドライヤーファン用、シェー
バー駆動用、電動歯ブラシ用等の家電機器用モータ;ロ
ボット軸、関節駆動用、ロボット主駆動用、工作機器テ
ーブル駆動用、工作機器ベルト駆動用等のFA機器用モ
ータ;その他、オートバイ用発電器、スピーカ・ヘッド
ホン用マグネット、マグネトロン管、MRI用磁場発生
装置、CD−ROM用クランパ、ディストリビュータ用
センサ、ABS用センサ、燃料・オイルレベルセンサ、
マグネットラッチ等に好適に使用される。
明する。実施例1 目標組成を Sr0.9La0.1Zn0.1Fe11.9O19 とし、出発原料としては以下のものを用いた。
r,Si,Clを含む) SrCO3粉末 (不純物として、Ba,Caを含む) ZnO粉末 La2O3粉末 また、添加物として、SiO2粉末、CaCO3粉末を目
標組成に対し、それぞれ0.2重量%、0.15重量%
となるように添加した。
ターで粉砕後、乾燥・整粒し、これを空気中において1
230℃で3時間焼成し、顆粒状の仮焼体を得た。
力計(VSM)で測定した結果、飽和磁化σsは72emu
/g、保磁力HcJは4.4kOeであった。
aCO3を1.05重量%添加した後、振動ミルにより
乾式粗粉砕した。このときに粉砕による歪みが導入さ
れ、仮焼体粒子のHcJは1.7kOeに低下していた。
ソルビトールを用い、これらと上記仮焼体粒子とを混合
して粉砕用スラリーを調製した。仮焼体粒子に対するソ
ルビトールの添加量を、表1に示す。粉砕用スラリー中
の固形分濃度は、34重量%とした。
中で湿式粉砕を40時間行った。湿式粉砕後の比表面積
は、8.5m2/g(平均粒径0.5μm)であった。湿式
粉砕後のスラリーの上澄み液のpHを、表1に示す。
て、スラリー中の仮焼体粒子の濃度が75重量%となる
ように調整し、成形用スラリーとした。この成形用スラ
リーから水を除去しながら圧縮成形を行った。この成形
は1サイクル1.5minで行い、圧縮方向に約10kOe
の磁場を印加しながら行った。得られた成形体は、直径
30mm、高さ18mmの円柱状であった。表1に金型から
の離型不良に由来する成形体クラックの発生頻度を示し
た。
体の密度にも影響されるため、正確な評価ができない。
このため、成形体の平坦な金型面に対しX線回折による
測定を行い、現れたピークの面指数と強度とから成形体
の結晶学的な配向度(X線配向度)を求めた。結果を表
1に示す。成形体のX線配向度は、焼結体の磁気的配向
度の値をかなりの程度支配する。なお、本明細書では、
X線配向度としてΣI(00L)/ΣI(hkL)を用
いる。(00L)は、(004)や(006)等のc面
を総称する表示であり、ΣI(00L)は(00L)面
のすべてのピーク強度の合計である。また、(hkL)
は、検出されたすべてのピークを表し、ΣI(hkL)
はそれらの強度の合計である。したがってΣI(00
L)/ΣI(hkL)は、c面配向の程度を表す。
時間焼成した。なお、成形体を焼成する際に、ソルビト
ールを除去するためにあらかじめ空気中において100
〜360℃で十分に脱脂した。得られた焼結体の残留磁
束密度Br、保磁力HcJ、配向度Ir/Is、角形比Hk/
HcJおよび焼結密度を測定した。結果を表2に示す。な
お、Hkは磁気ヒステリシスループの第2象限において
磁束密度が残留磁束密度の90%になるときの外部磁界
強度である。Hkが低いと高エネルギー積が得られな
い。Hk/HcJは磁石性能の指標となるものであり、磁
気ヒステリシスループの第2象限における角張りの度合
いを表す。実施例2 適量のアンモニア水を加えて粉砕時のpHを調整したほ
かは実施例1と同様にして、成形体および焼結体を得
た。この成形体および焼結体について、実施例1と同様
な測定を行った。結果を表1および表2に示す。比較例1 ソルビトールのかわりにグルコン酸を添加したほかは実
施例1と同様にして、成形体および焼結体を得た。表1
のグルコン酸の添加量はソルビトールと重量%ベースで
は異なっているがモル数では同一である。この成形体お
よび焼結体について、実施例1と同様な測定を行った。
結果を表1および表2に示す。比較例2 適量のアンモニア水を加えて粉砕時のpHを調整したほ
かは比較例1と同様にして、成形体および焼結体を得
た。この成形体および焼結体について、実施例1と同様
な測定を行った。結果を表1および表2に示す。比較例3 ソルビトールを添加しなかったほかは実施例1と同様に
して、成形体および焼結体を得た。この成形体および焼
結体について、実施例1と同様な測定を行った。結果を
表1および表2に示す。比較例4 適量のアンモニア水を加えて粉砕時のpHを調整したほ
かは比較例3と同様にして、成形体および焼結体を得
た。この成形体および焼結体について、実施例1と同様
な測定を行った。結果を表1および表2に示す。
ルコン酸と同様に成形体のX線配向度が向上することが
わかる。また、グルコン酸添加時の配向度がpHに依存
するのに対し、ソルビトール添加ではpH依存性が小さ
く安定した配向度が得られることがわかる。
酸と比較してソルビトールのほうが低く、分散剤として
ソルビトールを用いた場合には成形性に与える影響が小
さいことがわかる。グルコン酸を添加した場合でも成形
速度をより遅くすることによって離型クラックなどの成
形不良は回避できるが、この場合生産性は低下する。
形用スラリーを1000℃で1時間熱処理したものにつ
いて、SiO2およびCaOの各含有量を測定した。結
果を表3に示す。グルコン酸を添加した場合にはCaO
量の減少が認められた。特にpHが高い場合にはよりC
aO量の減少が多くなり、またSiO2量も減少した。
比較例2において保磁力HcJが低下しているのはこれら
の添加物の流出による組成ずれが原因である。ソルビト
ールを添加した場合にはこのような問題は起こらない。
なお、グルコン酸のカルシウム塩を用いる場合にはこの
ような添加物の減少は抑制される。
マンニトールを用いた場合にも実施例1〜2と全く同様
の結果が得られた。実施例3〜実施例9、比較例5〜比較例11 目標組成を Sr0.8La0.2Co0.2Fe11.8O19 とし、出発原料としては以下のものを用いた。
r,Si,Clを含む) SrCO3粉末 (不純物として、Ba,Caを含む) 酸化コバルト粉末 La2O3粉末 また、添加物として、SiO2粉末、CaCO3粉末を目
標組成に対し、それぞれ0.2重量%、0.15重量%
となるように添加した。
ターで粉砕後、乾燥・整粒し、これを空気中において1
200℃で3時間焼成し、顆粒状の仮焼体を得た。この
仮焼体を振動ミルにより乾式粗粉砕した。
表4に示した化合物を用い、これらと上記仮焼体粒子、
仮焼体に対し0.4重量%のSiO2、1.25重量%
のCaCO3とを混合して粉砕用スラリーを調製した。
仮焼体粒子に対する各分散剤の添加量を、表4に示す。
なお、グルコン酸カルシウムは一水和物を用い、また、
添加量はグルコン酸イオン換算の値を示してある。粉砕
用スラリー中の固形分濃度は、34重量%とした。
と同様にして、成形体を得た。これらの成形体について
実施例1と同様な測定を行った。結果を表4に示す。
ングリコールHOCH2CH2OH、グリセリンCH
2(OH)CH(OH)CH2OHは配向度向上が不十分
であり、本発明の対象外である。
で変更した場合でも、高配向の成形体が得られることが
わかる。また、ソルビトール添加ではグルコン酸カルシ
ウム添加の場合と比較して離型クラック発生頻度が低い
ことがわかる。
加の成形体を急速に乾燥させるとクラックが発生した
が、実施例3〜9のソルビトール添加の成形体ではこの
ようなクラック発生は認められなかった。
形体配向度に対応した磁気的配向度、残留磁束密度が得
られた。なおソルビトールの添加量を5.5重量%とす
ると焼結体にクラックが発生した。
明らかである。
Claims (14)
- 【請求項1】 酸化物磁性体粒子と水とを含む成形用ス
ラリーを磁場中で湿式成形して成形体を得る成形工程を
有する酸化物磁性体の製造方法であって、 一般式Cn(OH)nHn+2で表される多価アルコールで
ある分散剤を添加した成形用スラリーを使用する酸化物
磁性体の製造方法。 - 【請求項2】 前記多価アルコールの炭素数nが4以上
である請求項1の酸化物磁性体の製造方法。 - 【請求項3】 前記多価アルコールの炭素数nが100
以下である請求項1または2の酸化物磁性体の製造方
法。 - 【請求項4】 前記多価アルコールの炭素数nが20以
下である請求項1〜3のいずれかの酸化物磁性体の製造
方法。 - 【請求項5】 前記多価アルコールがソルビトールであ
る請求項1の酸化物磁性体の製造方法。 - 【請求項6】 前記多価アルコールがマンニトールであ
る請求項1の酸化物磁性体の製造方法。 - 【請求項7】 前記成形工程の前に湿式粉砕工程を有す
る請求項1〜6のいずれかの酸化物磁性体の製造方法。 - 【請求項8】 前記分散剤の少なくとも一部が、前記湿
式粉砕工程において添加されたものである請求項7の酸
化物磁性体の製造方法。 - 【請求項9】 前記湿式粉砕工程の前に乾式粗粉砕工程
を有する請求項7または8の酸化物磁性体の製造方法。 - 【請求項10】 前記分散剤の少なくとも一部が、前記
乾式粗粉砕工程において添加されたものである請求項9
の酸化物磁性体の製造方法。 - 【請求項11】 前記分散剤の添加量が、前記酸化物磁
性体粒子に対し0.05〜5.0重量%である請求項1
〜10のいずれかの酸化物磁性体の製造方法。 - 【請求項12】 前記酸化物磁性体粒子の平均粒径が1
μm 以下である請求項1〜11のいずれかの酸化物磁性
体の製造方法。 - 【請求項13】 前記成形体を焼成することによって焼
結体を得る請求項1〜12の酸化物磁性体の製造方法。 - 【請求項14】 請求項1〜13のいずれかの方法によ
って得られた酸化物磁性体。
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