JP3310936B2 - 異方性酸化物磁性体の製造方法 - Google Patents

異方性酸化物磁性体の製造方法

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JP3310936B2 JP28601198A JP28601198A JP3310936B2 JP 3310936 B2 JP3310936 B2 JP 3310936B2 JP 28601198 A JP28601198 A JP 28601198A JP 28601198 A JP28601198 A JP 28601198A JP 3310936 B2 JP3310936 B2 JP 3310936B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、異方性フェライト
磁石等の異方性酸化物磁性体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、酸化物永久磁石材料として六方晶
系のSrフェライトやBaフェライトが用いられてお
り、これらの磁石では、磁石性能を向上させるために磁
場中プレスによる異方性化が広く行われている。磁石性
能に大きな影響を与える因子としては、残留磁束密度が
挙げられる。残留磁束密度Brには、次の関係がある。
なお、下記式における単位重量当たりの飽和磁化(σ
s)は、物質固有の値である。
【0003】式 Br=(定数)×(単位重量当たりの
飽和磁化)×(密度)×(配向度)
【0004】したがって、異方性焼結フェライト磁石の
製造においては、焼結密度と配向度とが非常に重要であ
る。高い配向度を得るため、フェライト粒子が水中に分
散されたスラリーを成形する、いわゆる湿式成形が、従
来から行われている。一方、大きな保磁力を得るために
は、フェライトの粒子サイズを単磁区臨界径である1μ
m以下として単磁区化する必要があるが、このような粒
子では、湿式成形法を用いた場合でも一般的に配向度が
低下するという問題がある。この原因として、粒子の
単磁区化による磁気的凝集力の増加、磁場方向に向こ
うとするトルクの減少、表面積増加による摩擦力の増
加、などが挙げられる。
【0005】本発明者らは、これらの問題を解決するた
めに、サブミクロンフェライト粒子に粉砕歪みを導入し
て粒子の保磁力を一時的に低減させることにより、磁気
的凝集力を低減させ得ることを見出した(特開平6−5
3064号公報)。
【0006】さらに、水の代わりに例えばトルエンやキ
シレンのような有機溶媒を用い、かつ、例えばオレイン
酸のような界面活性剤を添加することにより、サブミク
ロンサイズのフェライト粒子を用いても最高で98%程
度の高い磁気的配向度を得ることが可能であることを見
出した(同じく特開平6−53064号公報)。しか
し、この方法は有機溶媒を使うため、人体や環境に対し
て悪影響があり、これを解決するためには回収装置など
の大がかりな設備が必要になり、コストアップにもなる
という問題がある。
【0007】一方、水を用いた湿式磁場成形法における
配向度を改善するために、従来、例えばポリカルボン酸
(塩)に代表される高分子の分散剤を添加し、これを磁
性粒子表面に吸着させて立体障害と電気的な反発作用の
効果により分散し、配向度を向上させることが試みられ
てきた(特開平6−112029号公報)。しかし、得
られる配向度および残留磁束密度Brは、高くない。
【0008】なお、粒子サイズを小さくすると配向性が
劣化するという問題は、フェライト磁石の製造の場合に
限らず、例えば、針状の軟磁性フェライト等の他の酸化
物磁性体粒子を磁場配向させる場合においても同様であ
る。
【0009】なお、本明細書において磁気的配向度と
は、飽和磁化(Is)に対する残留磁化(Ir)の比率
(Ir/Is)である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、異方
性フェライト磁石等の酸化物磁性体の製造工程におい
て、環境面やコスト面で有利な、水を使用する湿式成形
時の磁場配向性を改善することにより、高特性の酸化物
磁性体を得ることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(13)の本発明により達成される。 (1) 酸化物磁性体粒子と水と分散剤とを含む成形用
材料を磁場中で成形して成形体を得る成形工程を有する
異方性酸化物磁性体の製造方法であって、前記分散剤
は、水酸基およびカルボキシル基を有する有機化合物ま
たはその中和塩もしくはそのラクトンであるか、ヒロド
キシメチルカルボニル基を有する有機化合物であるか、
酸として解離し得るエノール型水酸基を有する有機化合
物またはその中和塩であり、前記有機化合物が、炭素数
3〜20であり、酸素原子と二重結合した炭素原子以外
の炭素原子の50%以上に水酸基が結合しており、前記
成形用材料にはさらにフェライト構成元素の酸化物、ま
たは焼成により酸化物となる化合物である微粉末が添加
されており、この成形体中の微粉末の平均粒径が前記酸
化物磁性体の平均粒径より小さく、かつこの微粉末は前
記酸化物磁性体粒子に対して1〜100体積%添加され
ている異方性酸化物磁性体の製造方法。 (2) 前記成形体中の微粉末は、平均粒径が0.01
〜2μm である上記(1)の異方性酸化物磁性体の製造
方法。 (3) 前記水酸基およびカルボキシル基を有する有機
化合物がグルコン酸である上記(1)または(2)の異
方性酸化物磁性体の製造方法。 (4) 前記酸として解離し得るエノール型水酸基を有
する有機化合物がアスコルビン酸である上記(1)また
は(2)の異方性酸化物磁性体の製造方法。 (5) 酸化物磁性体粒子と水と分散剤とを含む成形用
材料を磁場中で成形して成形体を得る成形工程を有する
異方性酸化物磁性体の製造方法であって、前記分散剤が
クエン酸またはその中和塩であり、前記成形用材料には
さらにフェライト構成元素の酸化物、または焼成により
酸化物となる化合物である微粉末が添加されており、こ
の成形体中の微粉末の平均粒径が酸化物磁性体の平均粒
径より小さく、かつ前記酸化物磁性体粒子に対して1〜
100体積%添加されている異方性酸化物磁性体の製造
方法。 (6) 前記成形用材料中に、この成形用材料スラリー
のpHを8以上とする塩基性化合物が添加されている上
記(1)〜(5)のいずれかの異方性酸化物磁性体の製
造方法。 (7) 前記分散剤がカルシウム塩である上記(1)〜
(6)のいずれかの異方性酸化物磁性体の製造方法。 (8) 前記成形工程の前に酸化物磁性体粒子を粉砕す
る湿式粉砕工程を有する上記(1)〜(7)のいずれか
の異方性酸化物磁性体の製造方法。 (9) 前記分散剤の少なくとも一部が、前記湿式粉砕
工程において添加されたものである上記(8)の異方性
酸化物磁性体の製造方法。 (10) 前記湿式粉工程の前に乾式粗粉砕工程を有す
る上記(8)または(9)の異方性酸化物磁性体の製造
方法。 (11) 前記分散剤の少なくとも一部が、前記乾式粗
粉砕工程において添加されたものである上記(10)の
異方性酸化物磁性体の製造方法。 (12) 前記分散剤の添加量(分散剤が水溶液中にお
いてイオン化し得るものであるときは、イオン換算の添
加量)が、前記酸化物磁性体粒子に対し0.05〜3.
0重量%である上記(1)〜(11)のいずれかの異方
性酸化物磁性体の製造方法。 (13) 酸化物磁性体粒子と水と分散剤とを含む成形
用材料を磁場中で成形して成形体を得る成形工程を有す
る異方性酸化物磁性体の製造方法であって、前記分散剤
がカルボキシル基を有する糖類またはその誘導体である
か、これらの塩である有機物であり、前記成形用材料に
はさらにフェライト構成元素の酸化物、または焼成によ
り酸化物となる化合物である微粉末が添加されており、
この成形体中の微粉末の平均粒径が酸化物磁性体の平均
粒径より小さく、かつ前記酸化物磁性体粒子に対して1
〜100体積%添加されている異方性酸化物磁性体の製
造方法。
【0012】
【作用】本発明者らは、水系分散媒を用いた場合でも高
い配向度が得られる条件を検討した結果、特願平8−3
37445号においてグルコン酸(塩)等の特定の分散
剤を用いることで配向度を向上させる方法を見出した。
具体的には、分散媒として水を用いてサブミクロンフェ
ライト粒子を湿式粉砕して成形し、焼結したときの磁気
的配向度は、分散剤を添加しない場合には93〜94%
であり、分散剤として従来用いられているポリカルボン
酸型の化合物を用いた場合には94%程度であるが、分
散剤としてグルコン酸を用いた場合には95〜96%と
なる。
【0013】しかしながら、この方法でも分散媒として
有機溶媒(キシレン)を用い、分散剤としてオレイン酸
を用いた場合の磁気的配向度が97〜98%であるか
ら、有機溶媒を用いた場合に比べると、十分に満足しう
る磁気的配向度ではなかった。
【0014】これに対して、本発明による方法では、さ
らに成形用スラリー中に微粉末を存在させ、スラリーの
最終状態での平均粒径を規制することにより磁気的配向
度を飛躍的に向上させ、水系でも96〜98%と上記有
機溶剤系なみの高い配向度を得ることが可能になる。
【0015】この微粉末としては、成形体中、特に成形
直前のスラリー中に添加されており、その平均粒径が酸
化物磁性体よりも小さいことが必要である。微粉末の磁
気的性質は特に規制されるものではなく、軟磁性であっ
ても硬磁性であっても、非磁性であってもよい。酸化物
磁性体を焼結させる場合には、焼結後に酸化物磁性体の
磁気特性を劣化させないものが好ましい。例えば、酸化
物磁性体としてフェライトを製造する場合には、前記微
粉末がフェライトの主成分(Fe,Sr,La,Co
等)であることが好ましい。
【0016】また、従来用いられている水系の高分子分
散剤のほとんどは人工的に合成されたもので、生物分解
されにくく排液処理の問題があるが、本発明で用いる分
散剤の多くは天然に存在するもので、人体や環境に対し
て安全であり、微生物等により分解できるという利点も
ある。
【0017】本発明で用いる分散剤のうち、特に配向度
向上効果が高いと確認された物質は、例えばグルコン酸
等のヒドロキシカルボン酸、その中和塩、そのラクトン
などであるが、ヒドロキシカルボン酸であってもグリコ
ール酸(C=2;OH=1;COOH=1)では効果が
なかった。この他、アスコルビン酸(C=6;OH=
4)にも上記ヒドロキシカルボン酸と同様な効果が認め
られた。
【0018】本発明において水溶液中で酸としての性質
を示す分散剤(ヒドロキシカルボン酸など)を用いる場
合、塩基性化合物を添加してスラリー上澄みのpHを上
昇させれば、配向度はより向上する。
【0019】フェライト磁石の製造工程では副成分とし
てSiO2 およびCaCO3 が添加されるが、分散剤と
してヒドロキシカルボン酸やそのラクトンを用いた場合
には、成形用スラリー調製工程および湿式成形工程にお
いてSiO2 およびCaCO3 の一部が流出してしま
う。また、ヒドロキシカルボン酸やそのラクトンに加
え、pH調整のために上記塩基性化合物を添加した場合
には、流出量がより多くなる。これに対し分散剤として
ヒドロキシカルボン酸のカルシウム塩を用いた場合に
は、SiO2 およびCaCO3 の流出が避けられ、これ
によるHcJの低下等の特性劣化が抑えられる。
【0020】なお、本発明で用いる分散剤のうち、酒石
酸、L−アスコルビン酸、クエン酸については、泥漿鋳
込成形法において成形性向上を目的とした分散剤として
公知である(「ファインセラミックスの成形と有機材
料」第187〜188ページ、斎藤勝義著、株式会社シ
ーエムシー発行)。しかし、同書には、分散剤として1
2種類の分類が挙げられており、その中には配向度向上
効果の小さいポリカルボン酸型アニオン系界面活性剤な
どが含まれている。その分類の一つに有機酸、クエン
酸、酒石酸およびL−アスコルビン酸が含まれている
が、ここでも有機酸すべてが効果があるというものでは
ない。実際、酒石酸に比較的近い構造のこはく酸には配
向度向上効果はなく、本発明の範囲外である。同書では
本発明のように分子内に水酸基を多く持つ酸が有効であ
るといった限定的な記述はない。本発明は、泥漿鋳込成
形法において成形性向上のために使用される公知の分散
剤のうちから、酸化物磁性体の配向度向上に特に効果の
ある分散剤を選択したことを特徴とするものである。
【0021】また、本発明で用いる分散剤のうち、グル
コン酸ナトリウムについては、コンクリート工業におけ
る分散剤として公知である(「分散・凝集の化学」第9
2〜95ページ、森山登著、産業図書発行)。しかし、
コンクリート工業における分散剤添加は、流動性の改善
や減水による強度向上が目的であり、磁性体粒子を回転
させることが必要な酸化物磁性体の磁場中成形およびそ
の際の配向度向上とは直接関係はない。実際に市販され
ている高性能減水剤を酸化物磁性体の製造に適用して
も、配向度の向上効果を示すものは少なく、たとえ向上
があってもその程度は大きくない。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明は、各種酸化物磁性体の製
造に適用可能である。例えば六方晶のM型、W型のフェ
ライト磁石、X型,Y型,Z型の六方晶フェライト、形
状異方性を有する針状のγ−Fe23 、Co含有γ−
Fe23 マグネタイト、CrO2 等のいずれであって
もよい。この場合、特に顕著な効果が得られるのは異方
性フェライト磁石である。そこで以下の説明では異方性
フェライト磁石について述べる。
【0023】本発明が適用される異方性フェライト磁石
は、主に六方晶のM型フェライトである。このようなフ
ェライトとしては、特に、MO・nFe23 (Mは好
ましくはSrおよびBaの1種以上、n=4.5〜6.
5)であることが好ましい。このようなフェライトに
は、さらに、希土類元素、Ca、Pb、Si、Al、G
a、Sn、Zn、In、Co、Ni、Ti、Cr、M
n、Cu、Ge、Nb、Zr等が含有されていてもよ
い。
【0024】また、より好ましくはSr、Ba、Caお
よびPbから選択される少なくとも1種の元素をAと
し、希土類元素(Yを含む)およびBiから選択される
少なくとも1種の元素をRとし、Coおよび/またはZ
nをLとしたとき、A,R,FeおよびLそれぞれの金
属元素の総計の構成比率が、全金属元素量に対し、 A:1〜13原子%、 R:0.05〜10原子%、 Fe:80〜95原子%、 L:0.1〜5原子% である六方晶マグネトプランバイト型(M型)フェライ
トを主相に有するものが好ましい。この場合、Rとして
は、La,Pr,Ndが好ましく、特にLaが好まし
く、これにBiを併用してもよい。また、Lとしては、
Coおよび/またはZnが好ましい。
【0025】このような異方性フェライト焼結磁石を製
造するには、最初にフェライト粒子(仮焼体)を作製す
る。すなわち、好ましくはフェライト組成物の原料、例
えばA,R,Fe,L等の酸化物、または焼成により酸
化物となる化合物を混合し、その後仮焼を行う。仮焼
は、大気中で、例えば1000〜1350℃で1秒間〜
10時間、特にM型のSrフェライトの微細仮焼粉を得
るときには、1000〜1200℃で、1秒間〜3時間
程度行えばよい。
【0026】このような仮焼粉は、実質的にマグネトプ
ランバイト型のフェライト構造をもつ顆粒状粒子から構
成され、その一次粒子の平均粒径は0.1〜3μm、特
に0.1〜1μm 、さらには0.1〜0.5μm である
ことが好ましい。この場合、平均粒径は粒子の最大粒径
と最小粒径との平均値に対する数平均である。平均粒径
が大きすぎると配向度の向上効果が得られ難くなる。平
均粒径は走査型電子顕微鏡(SEM)により測定すれば
よく、通常100個以上の平均をとる。その変動係数C
Vは80%以下、一般に10〜70%であることが好ま
しい。なお、六方晶の場合の平均粒径は上記のとおりで
あるが、針状の場合も0.1〜3μm、特に0.1〜1
μm 、さらには0.1〜0.5μm 程度であることが好
ましい。
【0027】また、M型フェライトの仮焼体の飽和磁化
σsは65〜80emu/g 、特にM型Srフェライトでは
65〜71.5emu/g 、保磁力HcJは2000〜800
0Oe、特にM型Srフェライトでは4000〜8000
Oeであることが好ましい。
【0028】なお、これらの磁気特性のうち、特に保磁
力(HcJ)は後の粉砕工程で導入される歪みによって、
大きく減少する。仮焼粉のHcJは、乾式粉砕および/ま
たは湿式粉砕によって成形用スラリーとされるとき、ま
たは成形体では、3.5kOe以下、より好ましくは3.
0kOe 以下、特に2.5kOe 以下であることが好まし
い。このような保磁力に調整することで仮焼したフェラ
イト粒子の磁気的な凝集力を低減することができる。
【0029】本発明では、酸化物磁性体粒子と、分散媒
としての水と、分散剤とを含む成形用材料を用いて成形
を行うが、配向度を高めるためには、湿式成形が好まし
い。また、分散剤の効果をより高くするためには、湿式
成形工程の前に湿式粉砕工程を設けることが好ましい。
また、酸化物磁性体粒子として仮焼体粒子を用いる場
合、仮焼体粒子は一般に顆粒状であるので、仮焼体粒子
の粗粉砕ないし解砕のために、湿式粉砕工程の前に乾式
粗粉砕工程を設けることが好ましい。なお、共沈法や水
熱合成法などにより酸化物磁性体粒子を製造した場合に
は、通常、乾式粗粉砕工程は設けず、湿式粉砕工程も必
須ではないが、配向度をより高くするためには湿式粉砕
工程を設けることが好ましい。以下では、仮焼体粒子を
酸化物磁性体粒子として用い、乾式粗粉砕工程および湿
式粉砕工程を設ける場合について説明する。
【0030】乾式粗粉砕工程では、通常、BET比表面
積が2〜10倍程度となるまで粉砕する。粉砕後の平均
粒径は、0.1〜1μm 程度、BET比表面積は4〜1
0m2/g程度であることが好ましく、粒径のCVは80%
以下、特に10〜70%に維持することが好ましい。粉
砕手段は特に限定されず、例えば乾式振動ミル、乾式ア
トライター(媒体攪拌型ミル)、乾式ボールミル等が使
用できるが、特に乾式振動ミルを用いることが好まし
い。粉砕時間は、粉砕手段に応じて適宜決定すればよ
い。
【0031】乾式粗粉砕には、仮焼体粒子に結晶歪を導
入して保磁力HcB、およびHcJを小さくする効果もあ
る。保磁力の低下により粒子の磁気的凝集が抑制され、
分散性が向上し、配向度が向上する。粒子に導入された
結晶歪は、後の焼結工程において解放され、保磁力が回
復することによって永久磁石とすることができる。
【0032】なお、乾式粗粉砕の際には、通常、SiO
2 と、焼成によりCaOとなるCaCO3 とが添加され
る。SiO2 およびCaCO3 は、一部を仮焼前に添加
してもよく、その場合には特性向上が認められる。
【0033】乾式粗粉砕の後、仮焼体粒子と水とを含む
粉砕用スラリーを調製し、これを用いて湿式粉砕を行
う。粉砕用スラリー中の仮焼体粒子の含有量は、10〜
70重量%程度であることが好ましい。湿式粉砕に用い
る粉砕手段は特に限定されないが、通常、ボールミル、
アトライター、振動ミル等を用いることが好ましい。粉
砕時間は、粉砕手段に応じて適宜決定すればよい。
【0034】湿式粉砕後、粉砕用スラリーを濃縮して成
形用スラリーを調製する。濃縮は、遠心分離、吸引ろ
過、フィルタープレスなどによって行えばよい。成形用
スラリー中の仮焼体粒子および添加物粒子の含有量は、
好ましくは60〜95重量%、より好ましくは70〜8
5重量%程度である。この含有量が少なすぎると、脱水
に時間を要するため、成形時間が長くなり、生産性が低
下する。また、含有量が多すぎると、配向度が低下す
る。
【0035】湿式成形工程では、成形用スラリーを用い
て磁場中成形を行う。成形圧力は0.1〜0.5ton/cm
2 程度、印加磁場は5〜15kOe 程度とすればよい。
【0036】本発明では、溶媒である水に微粉末と分散
剤が添加された成形用材料を用いる。成型用材料は、ス
ラリー状であることが好ましいが、特に限定されるもの
ではない。本発明で用いる微粉末は焼成後にフェライト
磁石の特性を妨げないものであることが必要であり、通
常フェライトを構成することが可能な材料である。すな
わち、フェライト構成元素の酸化物、あるいは焼成によ
り酸化物となる化合物である。また好ましくは、酸化
鉄、アルミナ、炭酸ストロンチウム、酸化ランタン等の
希土類酸化物;酸化コバルト、炭酸バリウム、シリカ等
が好ましく、特に酸化鉄、アルミナ、酸化ランタン等の
希土類酸化物;酸化コバルト等が好ましい。これらの微
粒子は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。2種以上を併用する場合の混合比は任意である。微
粉末の形状は、球状、扁平状、不定形状等いずれであっ
てもよい。
【0037】微粉末の大きさとしては、乾式粉砕時、湿
式粉砕時または成形用スラリーに添加される際には特に
制限されるものではないが、平均粒径が0.01〜10
μm、より好ましくは0.05〜5μm、特に0.05〜
1μmであることが好ましい。窒素吸着法による比表面
積は0.1〜100m2/g であり、より好ましくは0.
5〜50m2/g 、特に1〜30m2/g 、さらには2〜3
0m2/g であることが好ましい。微粒子の平均粒径は、
粒子の最大径と最小径の平均値に対する数平均であり、
用いる仮焼粉の平均粒径の1/100〜10、より好ま
しくは5/100〜1であることが好ましい。微粉末
は、成形用スラリーに添加された後、粉砕され、所定の
大きさに調整される。従って、添加時に上記範囲である
か、あるいはこれを外れるものであっても、粉砕後、成
形体中において酸化物磁性体(仮焼体)の平均粒より小
さい平均粒径となっていればよい。
【0038】従って、微粉砕後、成形直前の微粉末の平
均粒径は0.01〜2μm、より好ましくは0.05〜
1μm、特に0.05〜0.6μmであることが好まし
い。また、この結果成形体中の微粉末の平均粒径は、仮
焼体の平均粒径の1/100〜9/10、より好ましく
は5/100〜7/10であることが好ましい。なお、
微粉末が複数種あるときには、平均粒径は各粉末の平均
粒径に重量比をかけて平均したものである。窒素吸着法
による仮焼体粒子と微粉末の混合物の比表面積は0.1
〜100m2/g であり、より好ましくは1〜50m2/g
、特に5〜10m2/g であることが好ましい。そし
て、成形体における微粉末の大きさとしては、平均粒径
が0.01〜2μm、より好ましくは0.03〜1μm、
特に0.05〜7μmであることが好ましい。
【0039】微粉末の1次粒子径が大きすぎると配向度
向上効果が得られず、粒子径が小さすぎると湿式成形が
困難になる。
【0040】微粉末の添加量としては、上記酸化物磁性
体粒子に対して1〜100体積%、好ましくは5〜70
体積%、より好ましくは10〜50体積%である。添加
量が少なすぎると配向度向上の効果が得られず、多すぎ
ると成形が困難になり、焼結に悪影響を及ぼす。
【0041】微粉末の添加時期は特に限定されず、乾式
粗粉砕時に添加してもよく、湿式粉砕時の粉砕用スラリ
ー調製の際に添加してもよく、一部を乾式粗粉砕の際に
添加し、残部を湿式粉砕の際に添加してもよい。あるい
は、湿式粉砕後に攪拌などによって添加してもよい。い
ずれの場合でも、成形用スラリー中に微粉末が存在する
ことになるので、本発明の効果は実現する。ただし、粉
砕時に、特に乾式粗粉砕時に添加するほうが、配向度向
上効果は高くなる。なお、微粉末を複数回に分けて添加
する場合には、合計添加量が前記した範囲となるように
各回の添加量を設定すればよい。
【0042】本発明では、分散剤が添加された好ましく
は成形用スラリーを用いる。本発明で用いる分散剤は、
水酸基およびカルボキシル基を有する有機化合物である
か、その中和塩であるか、そのラクトンであるか、ヒロ
ドキシメチルカルボニル基を有する有機化合物である
か、酸として解離し得るエノール型水酸基を有する有機
化合物であるか、その中和塩である。
【0043】上記各有機化合物は、炭素数が3〜20、
好ましくは4〜12であり、かつ、酸素原子と二重結合
した炭素原子以外の炭素原子の50%以上に水酸基が結
合しているものである。炭素数が2以下であると、本発
明の効果が実現しない。また、炭素数が3以上であって
も、酸素原子と二重結合した炭素原子以外の炭素原子へ
の水酸基の結合比率が50%未満であれば、やはり本発
明の効果は実現しない。なお、水酸基の結合比率は、上
記有機化合物について限定されるものであり、分散剤そ
のものについて限定されるものではない。例えば、分散
剤として、水酸基およびカルボキシル基を有する有機化
合物(ヒドロキシカルボン酸)のラクトンを用いると
き、水酸基の結合比率の限定は、ラクトンではなくヒド
ロキシカルボン酸自体に適用される。
【0044】上記有機化合物の基本骨格は、鎖式であっ
ても環式であってもよく、また、飽和であっても不飽和
結合を含んでいてもよい。
【0045】分散剤としては、具体的にはヒドロキシカ
ルボン酸またはその中和塩もしくはそのラクトンが好ま
しく、特に、グルコン酸(C=6;OH=5;COOH
=1)またはその中和塩もしくはそのラクトン、ラクト
ビオン酸(C=12;OH=8;COOH=1)、酒石
酸(C=4;OH=2;COOH=2)またはこれらの
中和塩、グルコヘプトン酸γ−ラクトン(C=7;OH
=5)が好ましい。そして、これらのうちでは、配向度
向上効果が高く、しかも安価であることから、グルコン
酸またはその中和塩もしくはそのラクトンが好ましい。
【0046】ヒドロキシメチルカルボニル基を有する有
機化合物としては、ソルボースが好ましい。
【0047】酸として解離し得るエノール型水酸基を有
する有機化合物としては、アスコルビン酸が好ましい。
【0048】なお、本発明では、クエン酸またはその中
和塩も分散剤として使用可能である。クエン酸は水酸基
およびカルボキシル基を有するが、酸素原子と二重結合
した炭素原子以外の炭素原子の50%以上に水酸基が結
合しているという条件は満足しない。しかし、配向度向
上効果は認められる。
【0049】上記した好ましい分散剤の一部について、
構造を以下に示す。
【0050】
【化1】
【0051】磁場配向による配向度は、スラリーのpH
の影響を受ける。具体的には、pHが低すぎると配向度
は低下し、これにより焼結後の残留磁束密度が影響を受
ける。分散剤として水溶液中で酸としての性質を示す化
合物、例えばヒドロキシカルボン酸などを用いた場合に
は、スラリーのpHが低くなってしまう。したがって、
例えば、分散剤と共に塩基性化合物を添加するなどし
て、スラリーのpHを調整することが好ましい。上記塩
基性化合物としては、アンモニアや水酸化ナトリウムが
好ましい。アンモニアは、アンモニア水として添加すれ
ばよい。なお、ヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩を
用いることにより、pH低下を防ぐこともできる。
【0052】フェライト磁石のように副成分としてSi
2 およびCaCO3 を添加する場合、分散剤としてヒ
ドロキシカルボン酸やそのラクトンを用いると、主とし
て成形用スラリー調製の際にSiO2 およびCaCO3
が流出してしまい、HcJが低下するなど所望の性能が得
られなくなる。また、上記塩基性化合物を添加するなど
してpHを高くしたときには、SiO2 およびCaCO
3 の流出量がより多くなる。これに対し、ヒドロキシカ
ルボン酸のカルシウム塩を分散剤として用いれば、Si
2 およびCaCO3 の流出が抑えられる。ただし、上
記塩基性化合物を添加したり、分散剤としてナトリウム
塩を用いたりしたときに、SiO2 およびCaCO3
目標組成に対し過剰に添加すれば、磁石中のSiO2
およびCaO量の不足を防ぐことができる。なお、アス
コルビン酸を用いた場合には、SiO2 およびCaCO
3 の流出はほとんど認められない。
【0053】上記理由により、スラリーのpHは、好ま
しくは8以上、より好ましくは9〜11である。
【0054】分散剤として用いる中和塩の種類は特に限
定されず、カルシウム塩やナトリウム塩等のいずれであ
ってもよいが、上記理由から、好ましくはカルシウム塩
を用いる。分散剤にナトリウム塩を用いたり、アンモニ
ア水を添加した場合には、副成分の流出のほか、成形体
や焼結体にクラックが発生しやすくなるという問題が生
じる。
【0055】なお、分散剤は2種以上を併用してもよ
い。
【0056】分散剤の添加量は、酸化物磁性体粒子であ
る仮焼体粒子に対し、好ましくは0.05〜3.0重量
%、より好ましくは0.10〜2.0重量%である。分
散剤が少なすぎると配向度の向上が不十分となる。一
方、分散剤が多すぎると、成形体や焼結体にクラックが
発生しやすくなる。
【0057】なお、分散剤が水溶液中でイオン化し得る
もの、例えば酸や金属塩などであるときには、分散剤の
添加量はイオン換算値とする。すなわち、水素イオンや
金属イオンを除く有機成分に換算して添加量を求める。
また、分散剤が水和物である場合には、結晶水を除外し
て添加量を求める。例えば、分散剤がグルコン酸カルシ
ウム一水和物である場合の添加量は、グルコン酸イオン
に換算して求める。
【0058】また、分散剤がラクトンからなるとき、あ
るいはラクトンを含むときには、ラクトンがすべて開環
してヒドロキシカルボン酸になるものとして、ヒドロキ
シカルボン酸イオン換算で添加量を求める。
【0059】また、本発明に用いる分散剤は、カルボキ
シル基を有する糖類、またはその誘導体であるか、これ
らの塩である有機化合物であってもよい。そして、この
分散剤は、炭素数が21以上とされる。
【0060】上記分散剤において基本骨格を有する糖類
は、セルロースや澱粉等の多糖類のほか、これらの還元
誘導体、酸化誘導体、脱水誘導体等を包含し、さらに広
範囲の誘導体、例えばアミノ糖やチオ糖等をも包含する
化合物である。
【0061】カルボキシル基を有する糖類としては、O
H基の少なくとも一部が、カルボキシル基を有する有機
化合物との間でエーテル結合を形成しているものが好ま
しい。このような化合物としては、糖類とグリコール酸
とのエーテルが好ましく、具体的には、カルボキシルメ
チルセルロースまたはカルボキシメチルでんぷんが好ま
しい。これらの化合物において、カルボキシメチル基の
置換度、すなわちエーテル度は最大で3となるが、エー
テル化度は0.4以上であることが好ましい。エーテル
化度が小さすぎると、水に溶け難くなる。なお、カルボ
キシメチルセルロースは、通常、ナトリウム塩の形で合
成され、本発明ではこのナトリウム塩も分散剤として用
いることができるが、磁気特性に与える悪影響が少ない
ことから、好ましくはアンモニウム塩を用いる。また、
酸化でんぷんも分子内にカルボキシル基を有する糖類で
あり、本発明において好ましく用いられる分散剤であ
る。
【0062】分散剤の添加時期は特に限定されず、上記
微粉末とともに添加してもよいし、両者を別々に添加し
てもよい。すなわち、乾式粗粉砕時に添加してもよく、
湿式粉砕時の粉砕用スラリー調製の際に添加してもよ
く、一部を乾式粗粉砕の際に添加し、残部を湿式粉砕の
際に添加してもよい。あるいは、湿式粉砕後に攪拌など
によって添加してもよい。いずれの場合でも、成形用ス
ラリー中に分散剤が存在することになるので、本発明の
効果は実現する。ただし、粉砕時に、特に乾式粗粉砕時
に添加するほうが、配向度向上効果は高くなる。乾式粗
粉砕に用いる振動ミル等では、湿式粉砕に用いるボール
ミル等に比べて粒子に大きなエネルギーが与えられ、ま
た、粒子の温度が上昇するため、化学反応が進行しやす
い状態になると考えられる。したがって、乾式粗粉砕時
に分散剤を添加すれば、粒子表面への分散剤の吸着量が
より多くなり、この結果、より高い配向度が得られるも
のと考えられる。実際に、成形用スラリー中における分
散剤の残留量(吸着量にほぼ等しいと考えられる)を測
定すると、分散剤を乾式粗粉砕時に添加した場合のほう
が、湿式粉砕時に添加した場合よりも添加量に対する残
留量の比率が高くなる。なお、分散剤を複数回に分けて
添加する場合には、合計添加量が前記した好ましい範囲
となるように各回の添加量を設定すればよい。
【0063】本発明において、成形用スラリー中の仮焼
体粒子および微粉末などの添加物粒子の含有量は、70
〜85重量%程度が好ましいが、グルコン酸等を添加し
ない従来の製造法に比べて、この含有量を高くすること
が可能である。従って、高い配向度を維持しながら成形
時間を短縮することが可能であり、乾式成形の場合に近
づけることができる。
【0064】成形工程後、成形体を大気中または窒素中
において100〜500℃の温度で熱処理して、添加し
た分散剤を十分に分解除去する。次いで焼結工程におい
て、成形体を例えば大気中で好ましくは1150〜12
50℃、より好ましくは1160〜1220℃の温度で
0.5〜3時間程度焼結して、異方性フェライト磁石を
得る。
【0065】以上では、異方性焼結フェライト磁石の製
造に本発明を適用する場合について説明したが、例えば
針状フェライト粒子などを用いた軟磁性フェライト焼結
体等の他の酸化物磁性体の製造に適用する場合でも、上
記説明に準じて分散剤を添加することにより、成形用ス
ラリー中の酸化物磁性体粒子の分散性が良好となり、そ
の結果、高配向度の酸化物磁性体が得られる。
【0066】なお、前記微粉末をグルコン酸等の特定の
分散剤と共に適量添加すると配向度が向上する。そのメ
カニズムとしては、明確に解明されたわけではないが、
走査型電子顕微鏡(SEM)等により成形体やスラリー
を解析すると、添加された微粉末が、酸化物磁性体粒子
の表面に分散した状態で存在していることが確認できる
ことから、これにより酸化物磁性体粒子の凝集が抑制さ
れ、その結果磁場の方向に揃いやすくなるものと考えら
れる。
【0067】本発明の焼結フェライトを使用することに
より、一般に次に述べるような効果が得られ、優れた応
用製品を得ることができる。すなわち、従来のフェライ
ト製品と同一形状であれば、磁石から発生する磁束密度
を増やすことができるため、モータであれば高トルク化
等を実現でき、スピーカーやヘッドホーンであれば磁気
回路の強化により、リニアリティーのよい音質が得られ
るなど応用製品の高性能化に寄与できる。また、従来と
同じ機能でよいとすれば、磁石の大きさ(厚み)を小さ
く(薄く)でき、小型軽量化(薄型化)に寄与できる。
また、従来は界磁用の磁石を巻線式の電磁石としていた
ようなモータにおいても、これをフェライト磁石で置き
換えることが可能となり、軽量化、生産工程の短縮、低
価格化に寄与できる。さらに、保磁力(HcJ)の温度特
性に優れているため、従来はフェライト磁石の低温減磁
(永久減磁)の危険のあった低温環境でも使用可能とな
り、特に寒冷地、上空域などで使用される製品の信頼性
を著しく高めることができる。
【0068】本発明の焼結フェライト磁石は所定の形状
に加工され、下記に示すような幅広い用途に使用され
る。
【0069】例えば、フュエールポンプ用、パワーウイ
ンド用、ABS用、ファン用、ワイパ用、パワーステア
リング用、アクティブサスペンション用、スタータ用、
ドアロック用、電動ミラー用等の自動車用モータ;FD
Dスピンドル用、VTRキャプスタン用、VTR回転ヘ
ッド用、VTRリール用、VTRローディング用、VT
Rカメラキャプスタン用、VTRカメラ回転ヘッド用、
VTRカメラズーム用、VTRカメラフォーカス用、ラ
ジカセ等キャプスタン用、CD,LD,MDスピンドル
用、CD,LD,MDローディング用、CD,LD光ピ
ックアップ用等のOA、AV機器用モータ;エアコンコ
ンプレッサー用、冷蔵庫コンプレッサー用、電動工具駆
動用、扇風機用、電子レンジファン用、電子レンジプレ
ート回転用、ミキサ駆動用、ドライヤーファン用、シェ
ーバー駆動用、電動歯ブラシ用等の家電機器用モータ;
ロボット軸、関節駆動用、ロボット主駆動用、工作機器
テーブル駆動用、工作機器ベルト駆動用等のFA機器用
モータ;その他、オートバイ用発電器、スピーカ・ヘッ
ドホン用マグネット、マグネトロン管、MRI用磁場発
生装置、CD−ROM用クランパ、ディストリビュータ
用センサ、ABS用センサ、燃料・オイルレベルセン
サ、マグネットラッチ等に好適に使用される。
【0070】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。なお、実施例で用いた分散剤のうち、グルコン
酸は市販の50%水溶液を用い、また、その他のものに
ついては市販の試薬をそのまま使用した。
【0071】実施例1 目標組成を SrFe1219 となるように原料をアトライタで配合した。その際、こ
の配合原料に加えてSiO2 :0.2重量%、CaCO
3 :0.15重量%を添加した。粉砕後、乾燥・整粒
し、これを空気中において1200℃で3時間焼成し、
顆粒状の仮焼体を得た。
【0072】得られた仮焼粉に対して、 Sr1-xLaxFe12-xCox19 と表したとき、x=0.1,0.2,0.3,0.4と
なるように、La2(CO33・8H2O、酸化コバルト
試薬(Co含有量=71重量%)、平均粒径0.3μm
(比表面積2.6m2/g )のα−Fe23 を添加し
た。このときの各添加物の体積比率を表1に示す。な
お、仮焼体の平均粒径は0.6μm、比表面積1.1m2
/g であった。
【0073】
【表1】
【0074】〔水系スラリーの作製〕上記仮焼組成物に
SiO2 :0.4重量%、CaCO3 :1.25重量
%、グルコン酸カルシウム:0.6重量%を添加した
後、振動ロッドミルにより20分間乾式粗粉砕した。得
られた粉砕粉をボールミルにより水中で40時間湿式粉
砕を行った。湿式粉砕後の比表面積は、8.5m2/gであ
った。湿式粉砕後、粉砕用スラリーを遠心分離して、ス
ラリー中の仮焼体粒子の濃度が78重量%となるように
調整し、成形用スラリーとした。また、同様にしてグル
コン酸を添加しない比較サンプル用スラリーを作製し
た。グルコン酸カルシウムを添加したスラリー中の仮焼
体粒子の平均粒径:0.5μm、La2(CO33・8H
2Oの平均粒径:0.4μm、酸化コバルト試薬(Co含
有量=71重量%)の平均粒径:0.3μm、α−Fe2
3 の平均粒径:0.2μmであった。なお、グルコン
酸カルシウムを添加しないサンプルも同様であった。
【0075】〔有機溶剤系スラリーの作製〕(比較例
1) 上記仮焼組成物にSiO2 :0.4重量%、CaCO
3 :1.25重量%添加した後、振動ロッドミルにより
20分間乾式粗粉砕した。得られた粉砕粉にオレイン
酸:1.3重量%を添加し、ボールミルによりキシレン
中で40時間湿式粉砕を行った。湿式粉砕後の比表面積
は、8〜10m2/gであった。湿式粉砕後、粉砕用スラリ
ーを遠心分離して、スラリー中の仮焼体粒子の濃度が8
3重量%となるように調整し、成形用スラリーとした。
スラリー中の仮焼体粒子の平均粒径:0.5μm、La2
(CO33・8H2Oの平均粒径:0.4μm、酸化コバ
ルト試薬(Co含有量=71重量%)の平均粒径:0.
3μm、α−Fe23 の平均粒径:0.2μmであっ
た。
【0076】得られた各成型用スラリーを、約13kOe
の磁場中で、直径30Φ×高さ15mmの円柱形状となる
ように湿式磁場成形を行った。次に、この成形体のc面
のX線回折パターンを測定し、c面からの回折強度の合
計と全ての回折強度の合計の比を計算することにより配
向度を求めた。すなわち、成形体では、磁気的配向度の
値が成形体密度にも影響されるため、成形体の表面に対
しX線回折による測定を行い、現れたピークの面指数と
強度とから成形体の結晶学的な配向度(X線配向度)を
求めた。成形体のX線配向度は、焼結体の磁気的配向度
の値をかなりの程度支配する。なお、本明細書では、X
線配向度としてΣI(00L)/ΣI(hkL)を用い
る。(00L)は、(004)や(006)等のc面を
総称する表示であり、ΣI(00L)は(00L)面の
すべてのピーク強度の合計である。また、(hkL)
は、検出されたすべてのピークを表し、ΣI(hkL)
はそれらの強度の合計である。したがってΣI(00
L)/ΣI(hkL)は、c面配向の程度を表す。図1
に後添加の添加量と成形体配向度の関係を示す。
【0077】図1から明らかなように、水系でグルコン
酸カルシウムを添加した場合に、微粉末としての後添加
量が増加するに従って配向度が向上し、65体積%(x
=0.4相当の添加量)では、有機溶剤系(キシレン+
オレイン酸)のサンプルに近い値の配向度が得られた。
有機溶剤系のサンプルも添加量の増加に従い配向度が向
上する傾向は見られたが、その割合は極僅かであった。
一方、水系でもグルコン酸を添加しない比較サンプルで
は、xの値を増やしても配向度の向上は認められなかっ
た。
【0078】実施例2(微粉末の種類) 実施例1において、仮焼組成物に後添加物を添加する際
に、微粉末としてα−Fe23 (ルスナー法による酸
化鉄、平均粒径:0.3μm、比表面積2.6m2/g、σs
=0.7emu/g、HcJ=2180 Oe)、γ−Fe23
(長軸:0.7μm、短軸:0.1μm、比表面積23m
2/g)、Fe34 (平均粒径:0.1μm、比表面積3
5m2/g、σs=70emu/g、HcJ=460 Oe)、Sr
CO3 (平均粒径:3μm、比表面積4.2m2/g)をそ
れぞれ単独で、仮焼組成物に対して0〜70体積%添加
した。これを、溶媒を水、分散剤をグルコン酸カルシウ
ムとした以外は実験例1と同様にして各成形体を得た。
図2にこれらの成形体の微粉末の量に対する成形体配向
度の関係を示す。添加した微粉末は微粉砕後には、α−
Fe23 が、平均粒径:0.2μm、γ−Fe23
平均粒径:0.2μm、Fe34 が、平均粒径:0.1
μm、SrCO3 が、平均粒径:0.3μmとなり、酸化
物磁性体(仮焼体)粒子の平均粒径は、0.5μmであ
った。さらに、成形体においては、α−Fe23 が、
平均粒径:0.2μm、γ−Fe23 が平均粒径:0.
2μm、Fe34 が、平均粒径:0.1μm、SrCO3
が、平均粒径:0.3μmとなり、酸化物磁性体(仮焼
体)粒子の平均粒径は、0.5μmであった。
【0079】図2から明らかなように、微粉末の添加に
より全てのサンプルで配向度が向上した。すなわち、添
加する微粉末の磁気的性質には依存しないことがわかっ
た。
【0080】実施例3〔酸化鉄(α−Fe23 )の種
類〕 実施例1において、添加する微粉末として酸化鉄を用
い、比表面積が、それぞれ0.9m2/g(ルルギー法によ
る酸化鉄)〔粒径:0.2〜8μm(平均:1μm)〕、
2.6m2/g(ルスナー法による酸化鉄)〔粒径:0.2
〜4μm(平均:0.5μm)〕、4.2m2/g(硫酸鉄熱
分解法による酸化鉄)〔粒径:0.1〜0.6μm(平
均:0.2μm)〕、6.0m2/g(ルスナー法による酸
化鉄)〔粒径:0.1〜0.6μm(平均:0.5μ
m)〕のものを、それぞれ0,14.8,29.5体積
%添加した以外は実施例1と同様にして各サンプルを得
た。なお、成形体におけるこれらの微粉末の平均粒径
は、添加時の比表面積が、それぞれ0.9m2/gのもので
1μm、2.6m2/gのもので0.2μm、4.2m2/gのも
ので0.1μm、6.0m2/gのもので0.1μmであり、
酸化物磁性体(仮焼体)粒子の平均粒径は、0.5μm
であった。
【0081】図3にこれらのサンプルの微粉末の量に対
する成形体配向度の関係を示す。
【0082】図3から明らかなように、微粉末の比表面
積が2.6m2/g以上(平均粒径:0.5μm以下)のも
ので配向度の向上効果が得られた。
【0083】実施例4(微粉末の添加時期) 実施例1において、添加する微粉末として、α−Fe2
3 (ルスナー法による酸化鉄、平均粒径:0.3μ
m、比表面積2.6m2/g)とし、その添加時期を振動ミ
ル粉砕開始前、ボールミル粉砕開始時、ボールミル粉砕
終了1時間前とした以外は実施例1と同様にして成形体
を作製し、これを1200〜1240℃で焼成した以外
は実施例1と同様にして各サンプルを得た。成形体中に
おける微粉末の平均粒径は、振動ミル粉砕開始前添加の
もので、平均粒径:0.2μm、ボールミル粉砕開始時
添加のもので、平均粒径:0.2μm、ボールミル粉砕
終了1時間前添加のもので平均粒径:0.3μmであっ
た。また、成形体中の酸化物磁性体(仮焼体)粒子の平
均粒径は、0.5μmであった。図4にこれらのサンプ
ルの添加時期別の焼結密度と磁気的配向度(Ir/I
s)の関係を示す。
【0084】図4から明らかなように、添加時期が遅く
なるに従い配向度が低下している。
【0085】実施例5(酸化物粒子の仮焼温度) 実施例1において、仮焼温度を1200℃、1250
℃、1275℃、1300℃とし、添加する微粉末とし
て、α−Fe23 (ルスナー法による酸化鉄、平均粒
径:0.3μm、比表面積2.6m2/g)とし、その添加
時期をボールミル粉砕開始前とした以外は実施例1と同
様にして成形体を作製し、これを1200〜1240℃
で焼成した以外は実施例1と同様にして各サンプルを得
た。成形体中における微粉末の平均粒径は、0.2μm
であった。また、成形体中の酸化物磁性体(仮焼体)粒
子の平均粒径は、仮焼温度が1200℃のもので、0.
4μm、1250℃、のもので0.5μm、1300℃の
もので、0.9μmであった。図5にこれらのサンプル
の仮焼温度別の密度と磁気的配向度(Ir/Is)の関
係を示す。
【0086】図5から明らかなように、1300℃のも
のを除けば、仮焼温度が高い方が磁気的配向度は高くな
る傾向にある
【0087】実施例6(グルコン酸カルシウムの添加
量) SrFe1219 となるように原料をアトライタ配合した。その際、この
配合に加えてSiO2 :0.2重量%、CaCO3
0.15重量%添加した。粉砕後、乾燥・整粒し、これ
を空気中において1250℃で3時間焼成し、顆粒状の
仮焼体を得た。
【0088】得られた仮焼粉に対して、 Sr1-xLaxFe12-xCox19 と表したとき、x=0.2となるように、La2(C
33・8H2O、CoOx(CoO+Co34)+Si
2 :20.4重量%、CaCO3 :31.25重量%
を添加した。さらに、グルコン酸カルシウム:0.03
重量%、0.6重量%、0.9重量%、1.2重量%、
1.5重量%、1.8重量%それぞれ添加した後、振動
ロッドミルにより20分間乾式粗粉砕した。その後、α
−Fe23(ルスナー法による酸化鉄、平均粒径:0.
3μm、比表面積2.6m2/g)を、仮焼組成物に対し2
0.3体積%添加し、得られた粉砕粉をボールミルによ
り水中で40時間湿式粉砕を行い成形体を得た。これを
1200〜1240℃で焼成した以外は実施例1と同様
にして各サンプルを得た。成形体中における微粉末の平
均粒径は、0.2μmであった。また、成形体中の酸化
物磁性体(仮焼体)粒子の平均粒径は、0.5μmであ
った。図6にグルコン酸カルシウムの添加量と成形体の
配向度の関係を示す。図7に焼成温度別のグルコン酸カ
ルシウムの添加量と磁気的配向度の関係を示す。図8に
グルコン酸カルシウムの添加量別のHcJ−Br 特性を示
す。
【0089】1.2重量%以上グルコン酸カルシウムを
添加した場合に、焼結体に、クラックが発生した。図6
から明らかなように、グルコン酸の添加量が0.3重量
%以下では十分な配向度が得られず、より高配向度を得
るためには0.6〜1.2重量%の添加が必要である。
図7から明らかなように、成形体配向度を反映して、グ
ルコン酸カルシウムの添加量が0.9から1.2重量%
で焼結体配向度は最大となっている。図8から明らかな
ように、磁気的配向度を反映してグルコン酸カルシウム
の添加量が0.9または1.2重量%でBrが最大にな
っている。
【0090】実施例7(微細Srフェライト粒子の添
加) SrFe1219 となるように原料をアトライタ配合した。その際、この
配合に加えてSiO2 :0.2重量%、CaCO3
0.15重量%添加した。粉砕後、乾燥・整粒し、これ
を空気中において1250℃で3時間焼成し、顆粒状の
仮焼体を得た。
【0091】得られた仮焼粉に対して、上記同様の組成
で、それぞれ1100℃、1150℃で3時間仮焼を行
った仮焼粉を30重量%、SiO2 :20.4重量%、
CaCO3 :31.25重量%、グルコン酸カルシウ
ム:0.9重量%を添加して小型振動ミルで粗粉砕を行
った。前記仮焼粉の1次粒径の平均は、1100℃仮焼
のもので約0.4μm 、1150℃仮焼のものでも約
0.4μm であった。その後実施例1と同様にして水中
で粉砕を行い、焼成して各サンプルを得た。図9に添加
した低温仮焼材毎の密度と磁気的配向度の関係を示す。
【0092】図9から明らかなように、通常Srフェラ
イトを作製する場合の仮焼温度よりも低温で焼成するこ
とにより、微細化した仮焼粉を添加した場合でも、配向
度が向上した。なお、1100℃、1150℃の添加用
仮焼材と、1250℃の仮焼材はいずれもX線回折では
SrM型フェライトが生成していることが確認された。
【0093】実施例8 実施例6において、グルコン酸カルシウムの添加量を
0.6重量%とした場合と同様にして成型用スラリーを
調整した。このとき、ボールミル粉砕時のスラリーを採
取し、試料台の上で自然乾燥させた後、SEM−EDS
により粒子形状と各粒子の成分分析を行った。図10に
この試料のSEM写真を示す。
【0094】図10および分析結果から、添加した微細
なα−Fe23 粒子は、その粒子同士で凝集せずに、
Srフェライト粒子の表面に点在していることがわかっ
た。同様の結果は成形体のSEM−EDS解析によって
も認められた。
【0095】以上の結果から、微粒子を添加すると配向
度が向上するメカニズムは、添加した粒子が、フェライ
ト粒子表面に分散した状態で存在することにより、フェ
ライトの凝集が防止され、その結果配向度が向上したも
のとも考えることができる。
【0096】比較例2 実施例1において、ポリカルボン酸アンモニウム塩型の
分散剤として、サンノブコ(株)社製:SNディスパー
サント5468、および、サンノブコ(株)社製:SN
ディスパーサント2X4150の高分子型の分散剤を、
仮焼組成物に対しそれぞれ1.0重量%、1.0重量%
添加した他は実施例と同様にして焼結体サンプルを得
た。また、同様にして分散剤未添加とグルコン酸カルシ
ウムを添加したサンプルも作製した。図11に各分散剤
における酸化鉄微粉末粒子の添加量と配向度の関係を示
す。
【0097】図11から明らかなように、添加剤として
本発明外の高分子型の分散剤を使用したサンプルは、か
えって配向度が低下する傾向にあった。
【0098】実施例9 上記実施例1において、分散剤をカルボキシル基を有す
る糖類、またはその誘導体であるか、これらの塩である
有機化合物として、上記で例示したものを用いたとこ
ろ、ほぼ同様な効果が得られることが確認できた。
【0099】以上の実施例の結果から、本発明の効果が
明らかである。
【0100】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、異方性フ
ェライト磁石等の酸化物磁性体の製造工程において、環
境面やコスト面で有利な、水を使用する湿式成形時の磁
場配向性を改善することにより、高特性の酸化物磁性体
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】後添加の添加量と成形体の配向度の関係を示し
た図である。
【図2】添加する微粉末の種類毎の微粉末の量に対する
配向度の関係を示した図である。
【図3】添加する微粉末の大きさ毎の微粉末の量に対す
る配向度の関係を示した図である。
【図4】各サンプルの添加時期別の密度と磁気的配向度
(Ir/Is)の関係を示した図である。
【図5】各サンプルの仮焼温度毎の密度と磁気的配向度
(Ir/Is)の関係を示した図である。
【図6】グルコン酸カルシウムの添加量と成形体の配向
度の関係を示した図である。
【図7】焼成温度別のグルコン酸カルシウムの添加量と
磁気的配向度の関係を示した図である。
【図8】グルコン酸カルシウムの添加量別のHcJ−Br
特性を示した図である。
【図9】添加した低温仮焼材毎の密度と磁気的配向度の
関係を示した図である。
【図10】ボールミル粉砕時のスラリーの粒子形状を示
す図面代用SEM写真である。
【図11】各分散剤における酸化鉄微粉末粒子の添加量
と配向度の関係を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯田 和昌 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 1/09 - 1/117 C04B 35/26 - 35/40

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物磁性体粒子と水と分散剤とを含む
    成形用材料を磁場中で成形して成形体を得る成形工程を
    有する異方性酸化物磁性体の製造方法であって、 前記分散剤は、水酸基およびカルボキシル基を有する有
    機化合物またはその中和塩もしくはそのラクトンである
    か、ヒロドキシメチルカルボニル基を有する有機化合物
    であるか、酸として解離し得るエノール型水酸基を有す
    る有機化合物またはその中和塩であり、前記有機化合物
    が、炭素数3〜20であり、酸素原子と二重結合した炭
    素原子以外の炭素原子の50%以上に水酸基が結合して
    おり、 前記成形用材料にはさらにフェライト構成元素の酸化
    物、または焼成により酸化物となる化合物である微粉末
    が添加されており、この成形体中の微粉末の平均粒径が
    前記酸化物磁性体の平均粒径より小さく、かつこの微粉
    末は前記酸化物磁性体粒子に対して1〜100体積%添
    加されている異方性酸化物磁性体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記成形体中の微粉末は、平均粒径が
    0.01〜2μm である請求項1の異方性酸化物磁性体
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記水酸基およびカルボキシル基を有す
    る有機化合物がグルコン酸である請求項1または2の異
    方性酸化物磁性体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記酸として解離し得るエノール型水酸
    基を有する有機化合物がアスコルビン酸である請求項1
    または2の異方性酸化物磁性体の製造方法。
  5. 【請求項5】 酸化物磁性体粒子と水と分散剤とを含む
    成形用材料を磁場中で成形して成形体を得る成形工程を
    有する異方性酸化物磁性体の製造方法であって、 前記分散剤がクエン酸またはその中和塩であり、 前記成形用材料にはさらにフェライト構成元素の酸化
    物、または焼成により酸化物となる化合物である微粉末
    が添加されており、この成形体中の微粉末の平均粒径が
    酸化物磁性体の平均粒径より小さく、かつ前記酸化物磁
    性体粒子に対して1〜100体積%添加されている異方
    性酸化物磁性体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記成形用材料中に、この成形用材料ス
    ラリーのpHを8以上とする塩基性化合物が添加されて
    いる請求項1〜5のいずれかの異方性酸化物磁性体の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記分散剤がカルシウム塩である請求項
    1〜6のいずれかの異方性酸化物磁性体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記成形工程の前に酸化物磁性体粒子を
    粉砕する湿式粉砕工程を有する請求項1〜7のいずれか
    の異方性酸化物磁性体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記分散剤の少なくとも一部が、前記湿
    式粉砕工程において添加されたものである請求項8の異
    方性酸化物磁性体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記湿式粉工程の前に乾式粗粉砕工程
    を有する請求項8または9の異方性酸化物磁性体の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 前記分散剤の少なくとも一部が、前記
    乾式粗粉砕工程において添加されたものである請求項1
    0の異方性酸化物磁性体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記分散剤の添加量(分散剤が水溶液
    中においてイオン化し得るものであるときは、イオン換
    算の添加量)が、前記酸化物磁性体粒子に対し0.05
    〜3.0重量%である請求項1〜11のいずれかの異方
    性酸化物磁性体の製造方法。
  13. 【請求項13】 酸化物磁性体粒子と水と分散剤とを含
    む成形用材料を磁場中で成形して成形体を得る成形工程
    を有する異方性酸化物磁性体の製造方法であって、 前記分散剤がカルボキシル基を有する糖類またはその誘
    導体であるか、これらの塩である有機物であり、 前記成形用材料にはさらにフェライト構成元素の酸化
    物、または焼成により酸化物となる化合物である微粉末
    が添加されており、この成形体中の微粉末の平均粒径が
    酸化物磁性体の平均粒径より小さく、かつ前記酸化物磁
    性体粒子に対して1〜100体積%添加されている異方
    性酸化物磁性体の製造方法。
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