JP3130080B2 - ペプチドおよびその製造方法 - Google Patents

ペプチドおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,オピオイド活性を有す
るペプチドおよびその塩,並びにその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】食品中には高次の生命活動に関与する多
数の生体調節因子が存在することが広く知られるように
なっており,それらの生体調節因子を健康の増進,病気
の予防や治療,老化の予防等に積極的に利用することが
近年色々試みられるようになっている。そのような生体
調節因子としては神経系,消化吸収系,循環系,生体防
御・免疫系,内分泌系,細胞分化・増殖系等に作用する
種々の因子が知られている。それらのうちで,ある種の
食品蛋白質中には神経系に作用してモルヒネ様の麻酔,
鎮痛作用等(いわゆるオピオイド活性)を有するペプチ
ドが存在していることが明らかになっており,そのよう
なペプチドはオピオイドペプチドと一般に称されてい
る。
【0003】食品から得られる外来性オピオイドペプチ
ドの最初の例は1979年にBrantlらにより発見
された牛乳β−カゼイン由来の配列番号7で表されるペ
プチドであり,これはβ−casomorphin(1
−7)と命名された。カゼイン由来のオピオイドペプチ
ドはその後も多数発見されており,例えば,配列番号8
で表されるβ−casomorphin(1−5)
(Henschen:1979)、β−casomor
phin(1−3)(Tyr−Pro−Phe:Lot
tspeichら:1980),配列番号9で表される
α−caseinexorphin(Loukasら:
1983)がある。一方,上記したβ−casomor
phin(1−7)の発見と同じ年(1979)にZi
oudrouらは小麦グルテンのペプシン分解物からグ
ルテンエクソルフィンと呼ばれるオピオイドペプチドを
単離したがその構造は未決定であった[J.Biol.
Chem.,254,2446(1979)]。また,
1987年にGrafらはカゼイン中に含まれるβ−カ
ゾモルフィンと呼ばれるオピオイドペプチドと構造が極
めて類似している配列番号10で表されるペプチド(グ
リアドルフィン)を小麦蛋白の一種であるα−グリアジ
ン中に見出して化学合成したが,このペプチドはオピオ
イド活性を示さなかった[Neuropeptide
s,,113(1987)]。
【0004】オピオイドペプチドが消化管や消化管ホル
モン分泌に対して影響を有することが知られており,そ
して小麦グルテンの分解物を経口投与した場合に食物の
腸内滞留時間の延長,血中のインシュリンやソマトスタ
チン量の上昇等のオピオイド活性による影響が観察され
るという報告もあることから,小麦グルテンの加水分解
物からオピオイドペプチドを得ようとする試みはこれま
で色々なされてきたが,現在までに小麦グルテンに由来
するオピオイドペプチドを単離し,その構造を決定した
という報告は知られていない。
【0005】
【発明の内容】上記のような状況下に本発明者らは小麦
蛋白の分解物からオピオイド活性を有するペプチドを得
るべく研究を進めてきた。その結果,小麦蛋白を酸性プ
ロテアーゼを使用して加水分解した後,中性プロテアー
ゼまたはアルカリ性プロテアーゼを使用して更に加水分
解して得られたペプチド混合物を高速液体クロマトグラ
フィーを用いた逆相クロマトグラフイーで分画すると,
そのうちの特定の画分がオピオイド活性を有するペプチ
ドからなることを見出した。
【0006】特に,小麦蛋白を酸性プロテアーゼで加水
分解した後,更に中性プロテアーゼまたはアルカリ性プ
ロテアーゼ(特にサーモライシン等のバチルス起源の中
性プロテアーゼ,アスペルギルス起源の中性プロテアー
ゼまたはバチルス起源のアルカリ性プロテアーゼ)を使
用して更に加水分解を行ってペプチド混合物を形成さ
せ,そこから得られたオピオイド活性を有する画分を単
離,精製して,その構造を決定したところ,グリシン−
チロシン−チロシン−プロリンが配列した配列番号1で
表される新規なペプチド,グリシン−チロシン−チロシ
ン−プロリン−スレオニンが配列した配列番号2で表さ
れる新規なペプチド,チロシン−グリシン−グリシン−
トリプトファン−ロイシンが配列した配列番号4で表さ
れるペプチド,およびチロシン−グリシン−グリシン−
トリプトファンが配列した配列番号5で表されるペプチ
ドであることを見出した。
【0007】更に,小麦蛋白を酸性プロテアーゼで加水
分解した後,中性プロテアーゼとしてトリプシンとキモ
トリプシンの両者を使用して加水分解処理を行ってペプ
チド混合物を形成し,そこから得られたオピオイド活性
を有する画分を単離,精製して,その構造を決定したと
ころ,チロシン−プロリン−イソロイシン−セリン−ロ
イシンが配列した配列番号6で表されるペプチドである
ことを見出した。
【0008】 また,配列番号3で表されるペプチドの
アミノ酸配列自体も,小麦グルテニンのアミノ酸配列中
に複数個存在することが報告されているところから[
ucleic Acids Research,13
(1985),8729−8737],配列番号2のペ
プチドのC末端を延長して配列番号3で表されるペプチ
ドを化学的に合成したところ,この配列番号3で表され
るペプチドも配列番号1,配列番号2,配列番号4,配
列番号5および配列番号6で表されるペプチドと同様に
オピオイド活性を示すことを見出した。
【0009】 すなわち,本発明は,小麦蛋白を酸性プ
ロテアーゼを使用して加水分解した後,バチルス起源の
中性プロテアーゼおよびアスペルギルス起源の中性プロ
テアーゼから選ばれる1種または複数種の中性プロテア
ーゼ或いはアルカリ性プロテアーゼを使用して更に加水
分解し,得られる加水分解物から,オピオイド活性を有
する配列番号1,配列番号2,配列番号4または配列番
号5で表されるペプチドを回収することを特徴とする配
列番号1,配列番号2,配列番号4または配列番号5で
表されるオピオイドペプチドの製造方法である。
【0010】 そして,本発明は,小麦蛋白を酸性プロ
テアーゼを使用して加水分解した後,トリプシンおよび
キモトリプシンを用いて更に加水分解し,得られる加水
分解物からオピオイド活性を有する配列番号6で表され
るペプチドを回収することを特徴とする配列番号6で表
されるオピオイドペプチドの製造方法である。
【0011】 本発明の上記したオピオイドペプチドの
製造方法で使用する小麦蛋白は,グルテンのみからなっ
ていても,またはグルテンから主としてなっていてアル
ブミン,グロブリン等の小麦中に含有されることが知ら
れている他の蛋白質を含有しているものであってもよ
い。
【0012】 さらに,本発明は,配列番号1,配列番
号2,配列番号3または配列番号6で表されるペプチド
或いはその塩である。
【0013】 そして,本発明は,化学合成によって,
配列番号1,配列番号2,配列番号3または配列番号6
で表されるペプチド或いはその塩を製造する方法を包含
する。
【0014】そして,上記6種類のペプチドのうち,配
列番号1,配列番号2,配列番号4および配列番号5で
表されるペプチドは,上記したようにグルテンを酸性プ
ロテアーゼで加水分解した後,更に上記したような微生
物起源の中性プロテアーゼまたはアルカリ性プロテアー
ゼを使用して加水分解して得られたペプチド混合物中に
発見され回収したものである。また,配列番号6で表さ
れるペプチドはグルテンを酸性プロテアーゼで加水分解
した後,生体内に存在する中性プロテアーゼであるトリ
プシンとキモトリプシンで加水分解処理して得られるペ
プチド混合物中に発見され回収したものである。更に,
配列番号3で表されるペプチドはその存在を小麦グルテ
ニンの一次構造より見いだして化学的に合成したもので
ある。したがって,その場合には,それら6種類のペプ
チドを構成する8種類のアミノ酸Gly,Tyr,Pr
o,Thr,Ser,Trp,Leu,Ileは,天然
のグルテンに由来するために,いずれもL−アミノ酸で
ある。しかしながら本発明のペプチドは,それらのL−
アミノ酸からなるものに限定されず,配列番号1〜配列
番号6で表されるアミノ酸配列を有するペプチドであれ
ばどのような光学異性体であってもよい。例えば,アミ
ノ酸の全部がD−アミノ酸からなっていても,4〜8個
のアミノ酸のうちのいずれかがL−アミノ酸であって残
りがD−アミノ酸からなるペプチドも包含され,そのよ
うなペプチドは化学合成により製造することができる。
【0015】また,本発明における「オピオイド活性を
有する剤」とは,鎮痛,麻酔,情動,呼吸,脈動,体
温,消化管機能,摂食,免疫,インシュリンやソマトス
タチン等のホルモンの分泌調節,電解質の吸収促進,心
筋の収縮調節等に関与するいわゆるオピオイド活性とし
て認識されている活性を有する剤をいう。
【0016】下記の方法に限定されないが,本発明のペ
プチドの調製法の例を挙げると以下のとおりである。小麦グルテンの加水分解による方法 小麦グルテンをプロテアーゼを使用して加水分解して水
溶性のペプチド混合物を調製する。この場合に,まず小
麦グルテンを希塩酸等の酸性溶液中に分散溶解させた状
態で酸性プロテアーゼで加水分解し,次いで中和または
アルカリ性にした後に中性プロテアーゼまたはアルカリ
性プロテアーゼで更に加水分解してペプチド混合物を調
製するのがよい。
【0017】酸性プロテアーゼの例としては,ペプシ
ン,ヒイロタケ起源のアスパルティックプロティナー
ゼ,アスペルギルス起源のアスパルティックプロティナ
ーゼ,ペニシリウム起源のアスパルティックプロティナ
ーゼを挙げることができる。酸性プロテアーゼは,1種
類のみを使用しても,またはプロテアーゼ同士がお互い
に悪影響を及ぼさないかぎりは複数種を併用することも
できる。複数の酸性プロテアーゼを使用する場合は,複
数の酸性プロテアーゼを同時に存在下させて加水分解を
行っても,または1種類ずつ逐次に用いて加水分解を行
ってもよい。
【0018】 中性プロテアーゼとしては,バチルス起
源の耐熱性プロテアーゼ(例えばサーモライシン)およ
び/またはアスペルギルス起源の中性プロテアーゼを使
用するか,或いはトリプシンとキモトリプシンを併用す
る。また,アルカリ性プロテアーゼとしては,バチルス
起源のセリンプロテアーゼ等を挙げることができる。中
性プロテアーゼまたはアルカリ性プロテアーゼは,1種
類のみを使用しても,またはプロテアーゼ同士がお互い
に悪影響を及ぼさないかぎりは複数種を併用することも
できる。複数の中性プロテアーゼを使用する場合は,複
数の中性プロテアーゼを同時に存在下させて加水分解を
行っても,または1種類ずつ逐次に用いて加水分解を行
ってもよい。
【0019】 上記したように,小麦蛋白を酸性プロテ
アーゼ加水分解した後,上記した微生物起源の中性プロ
テアーゼまたはアルカリ性プロテアーゼを使用して更に
加水分解すると,配列番号1,配列番号2,配列番号4
または配列番号5で表されるペプチドを含有するペプチ
ド混合物を得ることができる。また,小麦蛋白を酸性プ
ロテアーゼ加水分解した後,中性プロテアーゼとしてト
リプシンおよびキモトリプシンからなる生体内プロテア
ーゼを使用して加水分解すると,配列番号6で表される
ペプチドを含有するペプチド混合物を得ることができ
る。この場合,トリプシンとキモトリプシンは同時に作
用させても,または逐次に作用させてもよい。
【0020】 配列番号1,配列番号2,配列番号4,
配列番号5または配列番号6で表されるペプチドを製造
するに当たって,酸性プロテアーゼとして,ペプシンを
使用すると,目的物を高収率で得ることができ好まし
い。また,配列番号1,2,4および5で表されるペプ
チドを製造するに当たって,中性プロテアーゼとしてバ
チルス起源のサーモライシンまたはアスペルギルス(特
にアスペルギルスオリゼー)起源の中性プロテアーゼを
使用すると,目的物を高収率で得ることができる。
【0021】そして,酸性プロテアーゼ,中性プロテア
ーゼおよびアルカリ性プロテアーゼは,いずれもフリー
の状態で使用しても,または固定化して使用してもよ
い。プロテアーゼの使用量は,いずれの場合も乾燥した
グルテン100g当たり,プロテアーゼ約5,000〜
100,000 unitsの割合で用いるとよい。
【0022】ここで本明細書中のプロテアーゼ活性(u
nit)はすべて下記の方法により測定した。 《プロテアーゼ活性(unit)の測定》 基質として米国メルク社製のハマーステインカゼイン1
%溶液を用い,アンソン−萩原変法[赤堀四郎編 “酵
素研究法” 第2巻,第237頁(昭和36年1月10
日;朝倉書店発行)]により測定した。反応は30℃で
30分間行い1分間に1μgのチロシン相当量を遊離す
るのに要する酵素量を1unitとした。
【0023】プロテアーゼ処理は,各々の状況(例えば
プロテアーゼの種類,プロテアーゼの使用形態等)に応
じて最適のpH,温度,プロテアーゼ量,処理速度,処
理時間等の条件を選択して行うのがよい。例えば酸性プ
ロテアーゼとしてペプシンを使用して加水分解してから
サーモライシンで加水分解する場合,または酸性プロテ
アーゼとしてペプシンを使用して加水分解してからトリ
プシンとキモトリプシンで加水分解する場合は,グルテ
ンの水溶液または水性分散液のpHを約1.5〜5.0
として,温度約30〜50℃でペプシンにより加水分解
し,次いで液のpHを約6.0〜8.0とした後,サー
モライシン,またはトリプシンとキモトリプシンを温度
約30〜50℃で作用させて0.75Mトリクロロ酢酸
への溶解率が約40〜80%になるまで加水分解を行う
とよい。
【0024】目的とする加水分解状態が達成された時点
で加熱によりおよび/またはpHを調整して,プロテア
ーゼを失活させ,失活した酵素,未分解グルテン等の不
溶性固形物を遠心分離等の適当な手段で分離除去し,残
留液中に含まれているペプチド混合物を乾燥等により回
収する。次いで,このペプチド混合物を水等に溶解させ
た状態で高速液体クロマトグラフィー(例えば逆相カラ
ムを使用した高速液体クロマトグラフィー)等により処
理して上記ペプチドを純粋な形態で単離する。
【0025】上記したペプチド混合物を含有する水溶液
からの配列番号1,配列番号2,配列番号4および配列
番号5で表されるペプチドの単離は,例えば,次の(a
)〜h)の工程からなる方法で行うことができる。
【0026】[配列番号1,配列番号2,配列番号4お
よび配列番号5で表されるペプチドの単離] (a) 小麦グルテンをペプシンおよびサーモライシ
ンによって上記のようにして逐次に加水分解して得られ
たペプチド混合物を,高速液体クロマトグラフィー(使
用カラムは例えばナカライテスク社製のODSカラムで
あるCosmosil 5C18−ARに供して,0.
05%トリフルオロ酢酸水溶液(A液)と0.05%ト
リフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル溶液(B液)
で,B液の濃度が0%から40%まで直線的に増加する
濃度勾配にて溶出し,アセトニトリル濃度が約22.5
〜23.5%の範囲のピーク画分(画分I),約24〜
25%の範囲のピーク(画分II),約28〜29%の
範囲のピーク画分(画分III)および約34〜35%
の範囲のピーク画分(画分IV)を各々分取し,これら
の画分のオピオイド活性を確認する;
【0027】(b)工程(a)で得たオピオイド活
性画分を上記工程(a)で使用したカラムと特性の異
なるカラムを使用した逆相クロマトグラフィー(使用カ
ラムは例えばナカライテスク社製のCosmosil
5Ph)に供して,工程(a)と同様にして溶出し
て,画分Iについてはアセトニトリル濃度約24〜25
%の範囲のピーク画分(画分I−1),画分IIについ
てはアセトニトリル濃度約33〜34%の範囲のピーク
画分(画分II−1),画分IIIについてはアセトニ
トリル濃度約30〜31%の範囲のピーク画分(画分I
II−1)および画分IVについてはアセトニトリル濃
度約36〜37%の範囲のピーク画分(画分IV−1)
を分取し,これらの画分のオピオイド活性を確認する;
【0028】(c)工程(b)得たオピオイド活性
画分を工程(a)および(b)で使用したカラムと
は特性の異なるカラムを使用した逆相クロマトグラフィ
ー(使用カラムは例えばナカライテスク社製のCosm
osil 5CN−R)に供して,工程(a)および
(b)と同様にして溶出し,画分I−1についてはア
セトニトリル濃度が約18〜19%付近の高吸収ピーク
画分(画分I−2),画分II−1についてはアセトニ
トリル濃度が約27%付近の高吸収ピーク画分(画分I
I−2),画分III−1についてはアセトニトリル濃
度が約26〜27%の範囲のピーク画分(画分III−
2),そして画分IV−1についてはアセトニトリル濃
度が約32〜33%の範囲のピーク画分(画分IV−
2)を分取して,これらの画分のオピオイド活性を確認
する;
【0029】(d)工程(c)で得たオピオイド活
性画分のうち,画分I−2,画分III−2および画分
IV−2については,上記(a)で使用したカラムに
供して,10mM KHPO−NaHPO緩衝
液(pH7)(C液)と10mMKHPO−Na
HPO緩衝液を含有する50%アセトニトリル溶液
(pH7)(D液)で,D液の濃度を0%から100%
まで直線的に増加する濃度勾配にて溶出し,画分I−2
については,アセトニトリル濃度が約18%付近の高吸
収ピーク画分(画分I−3),画分III−2について
は,約21%付近の高吸収ピーク画分(画分III−
3),画分IV−2については約28%付近の高吸収ピ
ーク画分(画分IV−3)を分取して,これらのオピオ
イド活性を確認する;
【0030】(e)工程(d)で得たオピオイド活
性画分のうち,画分IV−3については,上記(a
で使用したカラムに供して,上記工程(a),
(b)および(c)と同様にして溶出し,アセトニ
トリル濃度が約31%付近の高吸収ピーク画分(画分I
V−4)を分取してオピオイド活性を確認する;
【0031】(f)工程(e)で得たオピオイド活
性画分のうち,画分IV−4については,上記工程(a
),(b)および(c)で使用したカラムとは特
性の異なるカラムを使用した逆相クロマトグラフィー
(使用カラムは例えば野村化学社製のDevelosi
l PhA−T−5)に供して,工程(d)と同様に
して溶出し,アセトニトリル濃度が約29%付近の高吸
収ピーク画分(画分IV−5)を分取して,オピオイド
活性を確認する;
【0032】 (g)工程(c)で得たオピオイド
活性画分(画分II−2),工程(d)で得たオピオ
イド活性画分(画分I−)(画分III−3),工程
(f)で得たオピオイド活性画分(画分IV−5)か
ら溶媒を乾燥等により除去して回収する;そして
【0033】 (h)工程(g)で得た乾燥物のア
ミノ酸配列を,例えばアプライドバイオシステムス社製
のプロテインシーケンサー(477−A型)等を使用し
て調べて,画分I−3は配列番号2,画分II−2は配
列番号1,画分III−3は配列番号5,そして画分I
V−5は配列番号4で表されるペプチドであることを確
認する。
【0034】また,上記したペプチド混合物を含有する
水溶液からの配列番号6で表されるペプチドの単離は,
例えば次の(a)〜(f)の工程からなる方法で行
うことができる。
【0035】配列番号6で表されるペプチドの単離 (a) 小麦グルテンをペプシンで加水分解した後ト
リプシンおよびキモトリプシンによって加水分解して得
られたペプチド混合物を,高速液体クロマトグラフィー
(使用カラムは例えばナカライテスク社製のODSカラ
ムであるCosmosil 5C18−ARに供して,
0.05%トリフルオロ酢酸水溶液(A液)と0.05
%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル溶液(B
液)で,B液の濃度を0%から40%まで直線的に増加
する濃度勾配にて溶出し,アセトニトリルの濃度が約3
1〜32%の範囲のピーク画分(画分V)を分取し,こ
れらの画分のオピオイド活性を確認する;
【0036】(b)工程(a)で得たオピオイド活
性画分(画分V)を上記工程(a)で使用したカラム
と特性の異なるカラムを使用した逆相クロマトグラフィ
ー(使用したカラムは例えばナカライテスク社製のCo
smosil 5Ph)に供して工程(a)と同様に
して溶出し,アセトニトリル濃度約33%付近のピーク
画分(画分V−1)を分取し,この画分のオピオイド活
性を確認する;
【0037】(c)工程(b)でオピオイド活性画
分(画分V−1)を工程(a)および(b)で使用
したカラムとは特性の異なるカラムを使用した逆相クロ
マトグラフィー(使用カラムは例えばナカライテスク社
製のCosmosil 5CN−R)に供して工程(a
)および(b)と同様にして溶出し,アセトニトリ
ル濃度が約27〜28%の範囲のピーク画分(画分V−
2)を分取し,この画分のオピオイド活性を確認する;
【0038】(d)工程(c)で得たオピオイド活
性画分(画分V−2)を上記工程(a)で使用したカ
ラムに供して10mM KHPO−NaHPO
緩衝液(pH7)(C液)と10mM KHPO
NaHPO緩衝液を含有する50%アセトニトリル
溶液(pH7)(D液)で,D液の濃度を0%から10
0%まで直線的に増加する濃度勾配にて溶出し,アセト
ニトリル濃度が約24%付近の高吸収ピーク画分(画分
V−3)を分取し,このオピオイド活性を確認する;
【0039】(e) 工程(d)で得たオピオイド
活性画分(画分V−3)から溶媒を乾燥等により除去し
て回収する;そして (f)工程(e)で得た乾燥物のアミノ酸配列を例
えばアプライドバイオシステムス社製のプロテインシー
ケンサー(477−A型)等を使用して調べて,画分V
−3は配列番号6で表されるペプチドであることを確認
する。
【0040】また,配列番号1〜配列番号6で表される
本発明のペプチドを化学合成により製造する場合は,例
えば次の方法を採用することができる。本発明のペプチドの化学合成法 米国バイオサーチ社のSAM TWO型自動ペプチド合
成装置を使用して同装置の標準プロトコールにしたがっ
て合成を行う。すなわち,Boc(ブトキシカルボニ
ル)−Pro−樹脂を45%トリフルオロ酢酸を含むデ
ブロック液で処理した後に,Boc−Tyr(Cl
Bzl)をジイソプロピルカルボジイミドの存在下でカ
ップリングさせる。以下,上記と同様にデブロッキング
した後に,Boc−Tyr(Cl−Bzl)およびB
oc−Glyを順次カップリングさせてBoc−Gly
−Tyr(Cl−Bzl)−Tyr(Cl−Bzl
−Pro−樹脂を得る。このペプチド樹脂を10%アニ
ソールを含むフッ化水素中に入れて0℃で1時間撹拌す
る。フッ化水素を留去した後,エーテルで残渣を洗浄
し,30%酢酸でペプチドを抽出する。抽出して得た粗
ペプチドをODSカラムによる高速液体クロマトグラフ
ィーを使用して精製することにより,配列番号1で表さ
れるペプチドを得る。また,配列番号2〜配列番号6で
表されるペプチドも同様の操作により合成および精製す
ることにより得られる。
【0041】 そして,上記のようにして製造された配
列番号1〜配列番号6で表されるペプチドおよびその
塩,並びにその化学構造は未だ解明されていないが小麦
蛋白を酸性プロテアーゼで加水分解した後,中性プロテ
アーゼまたはアルカリ性プロテアーゼで更に加水分解し
て得られるオピオイドペプチドおよびその塩を有効成分
として含有する剤は,鎮痛,麻酔,情動,呼吸,脈動,
体温,消化管機能,摂食,免疫,インシュリンやソマト
スタチン等のホルモンの分泌調節,心筋の収縮調節等に
関与している可能性があり,例えば,鎮痛麻酔剤,催眠
剤,消化管ホルモン促進剤,電解質吸収促進剤,腸管ぜ
ん動抑制による下痢改善剤等として,人間や種々の動物
に投与することができる。その際に,上記オピオイドペ
プチドおよびその塩は,1種類のみを使用してもまたは
2種以上のペプチドを含む混合物の形態で使用してもよ
い。本発明のオピオイド活性を有する剤の好適な投与量
は,投与される人間や動物の年令,体重,性別,症状,
動物の種類等の種々の条件によって異なる。
【0042】そして,本発明のオピオイド活性を有する
剤は経口および非経口のいずれによっても投与可能であ
り,更に単独で投与しても,また製薬工業において通常
使用されている固体担体や液状担体と一緒に投与しても
よく,或は他の薬剤と混合または組合わせて使用するこ
とができる。また投与形態は,錠剤,丸剤,顆粒剤,カ
プセル,散剤,水溶液,注射剤等の任意の形態が可能で
ある。更に,本発明のオピオイド活性を有する剤は食品
や飼料中に添加して,またはそれらと一緒に投与するこ
ともでき,その場合小麦グルテンから得られたオピオイ
ドペプチドが安全性が高く望ましい。以下に,本発明を
例を挙げて具体的に説明するが本発明はそれらによって
限定されない。
【0043】
【実施例】実施例 1 [小麦グルテンの加水分解による配列番号1,配列番号
2,配列番号4および配列番号5で表される本発明のペ
プチドの調製] (1)小麦グルテン5gを0.02N塩酸100mlに
分散溶解させた後,3500Gで20分間遠心分離して
不溶物を除き,1N塩酸を加えてpHを2.0に調整し
た。この小麦グルテン液にペプシン(米国シグマ社製)
5000unitsを加えて37℃で15時間インキュ
ベートした。反応終了後1Nの水酸化ナトリウム水溶液
を加えてpHを7.0に調整した後,サーモライシン
(ペプチド研究所製)5000unitsを加えて37
℃において4時間インキュベートした。反応終了後,9
0℃で20分間加熱して酵素を失活させ,3500Gで
20分間遠心分離して不溶物を除き,得られた上澄液を
凍結乾燥してぺプシンとサーモライシンによる小麦グル
テンの加水分解物約3.5gを得た。
【0044】(2) 上記(1)で得た小麦グルテンの
加水分解物80mgをナカライテスク社製オクタデシル
シラン(ODS)カラムであるCosmosil 5C
18−AR(内径 20mm,長さ250mm)を使用
した逆相クロマトグラフィーに供した。次いで0.05
%トリフルオロ酢酸水溶液(A液)および0.05%ト
リフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル溶液(B液)
を使用して,B液の濃度を0%から40%まで40分か
けて直線的に増加する濃度勾配にて10ml/分の流速
で溶出させた。その時の波長230nmにおけるフロー
チャートを図1に示す。図1に示したフローチャートに
おける各画分を分取してそのオピオイド活性を測定した
ところ,アセトニトリルの濃度が約22.5〜23.5
%の範囲で溶出してくる画分(画分I),約24〜25
%の範囲で溶出してくる画分(画分II),約28〜2
9%の範囲で溶出してくる画分(画分III),および
約34〜35%の範囲で溶出してくる画分(画分IV)
にオピオイド活性が認められた。
【0045】(3) そこで,上記で(1)で得た小麦
グルテンの加水分解物2000mgを使用して上記
(2)と同じ工程を繰り返して,画分I,画分II,画
分IIIおよび画分IVのオピオイド活性画分を得て,
これらの画分を次にナカライテスク社製のフェニルカラ
ムCosmosil 5Ph(内径4.6mm,長さ2
50mm)を用いた逆相クロマトグラフィーに供した。
上記したA液とB液を使用してB液の濃度を0%から4
0%まで40分かけて直線的に増加する濃度勾配にて1
ml/分の流速で溶出させた。溶出してくる各画分のオ
ピオイド活性を測定したところ,画分Iについてはアセ
トニトリルの濃度が約24〜25%の範囲で溶出してく
る画分(画分I−1),画分IIについては約33〜3
4%の範囲で溶出してくる画分(画分II−1),画分
IIIについては約30〜31%の範囲で溶出してくる
画分(画分III−1),そして画分IVについては約
36〜37%の範囲で溶出してくる画分(画分IV−
1)にオピオイド活性が認められた。
【0046】(4) 次に,上記(3)で得た画分I−
1,画分II−1,画分III−1および画分IV−1
のオピオイド活性画分をナカライテスク社製のシアノプ
ロピルカラムCosmosil 5CN−R(内径4.
6mm,長さ250mm)を用いた逆相クロマトグラフ
ィーに供して,上記(3)におけるのと同条件で溶出さ
せた。溶出してくる各画分を分取してそのオピオイド活
性を測定したところ,画分I−1についてはアセトニト
リルの濃度が約18〜19%付近の高吸収ピーク画分
(画分I−2),画分II−1については約27%付近
の高吸収ピーク画分(画分II−2),画分III−1
については約26〜27%の範囲のピーク画分(画分I
II−2),そして画分IVについては約32〜33%
の範囲のピーク画分(画分IV−2)にオピオイド活性
が認められた。
【0047】(5) 次に,上記(4)で得たオピオイ
ド活性画分のうち,画分I−2,画分III−2と画分
IV−2については,更にナカライテスク社製のオクタ
デシルシラン(ODS)カラムであるCosmosil
5C18−AR(内径4.6mm,長さ150mm)
を使用して,逆相クロマトグラフィーに供した。次い
で,10mM KHPO−NaHPO緩衝液
(pH7)(C液)と10mM KHPO−Na
HPO緩衝液を含有する50%アセトニトリル溶液
(pH7)(D液)で,D液の濃度を0%から100%
まで直線的に増加する濃度勾配にて溶出させた。溶出し
てくる各画分を分取して,そのオピオイド活性を測定し
たところ,画分I−2については,アセトニトリル濃度
が約18%の高吸収ピーク画分(画分I−3),画分I
II−2については,約21%付近の高吸収ピーク画分
(画分III−3),そして画分IV−2についてはア
セトニトリル濃度が約28%付近の高吸収ピーク画分
(画分IV−3)にオピオイド活性が認められた。
【0048】(6) 次に,上記(5)で得たオピオイ
ド活性画分のうち画分IV−3については,再び上記
(5)で用いたカラムを使用した逆相クロマトグラフィ
ーに供し,次いで,上記(4)におけるのと同条件で溶
出させた。溶出してくる各画分を分取してそのオピオイ
ド活性を測定したところ,アセトニトリル濃度が約31
%付近の高吸収ピーク画分(画分IV−4)にオピオイ
ド活性が認められた。
【0049】(7) 更に,上記(6)で得たオピオイ
ド活性画分のうち画分IV−4については,更に野村化
学社製のフェネチルカラムであるDevelosil
PhA−T−5(内径4.6mm,長さ250mm)に
供して,上記(5)におけるのと同条件で溶出させた。
溶出してくる各画分のオピオイド活性を測定したとこ
ろ,アセトニトリル濃度が約29%付近の高吸収ピーク
画分(画分IV−5)にオピオイド活性が認められた。
【0050】(8) 上記(4)で得た画分II−2,
上記(5)で得た画分I−3および画分III−3,並
びに上記(7)で得た画分IV−5を回収し,濃縮乾燥
した。なお,上記図1において,左側縦軸は溶離してき
た液の Abs.230を,右側縦軸は溶離液中のアセ
トニトリル濃度(%)を示す。
【0051】上記で得た乾燥物をアプライドバイオシス
テム社製のプロテインシーケンサー477−A型を使用
してそのアミノ酸配列を調べたところ,画分I−3の乾
燥物については,N末端から順次L−Gly,L−Ty
r,L−Tyr,L−ProおよびL−Thrが遊離し
てきた。このことから,その構成アミノ酸のすべてがL
−アミノ酸である配列番号2で表されるペプチドである
ことが確認された。また,画分II−2の乾燥物につい
てはN−末端から順次L−Gly,L−Tyr,L−T
yrおよびL−Proが遊離してきた。このことから,
その構成アミノ酸すべてがL−アミノ酸である配列番号
1で表されるペプチドであることが確認された。
【0052】また,画分III−3の乾燥物について
は,N末端から順次L−Tyr,L−Gly,L−G1
yおよびL−Trpが遊離してきた。このことからその
構成アミノ酸のすべてがL−アミノ酸である配列番号5
で表されるペプチドであることが確認された。そして,
画分IV−5から得た乾燥物については,N末端から順
次L−Tyr,L−Gly,L−Gly,L−Trpお
よびL−Leuが遊離してきた。このことからその構成
アミノ酸のすべてがL−アミノ酸である配列番号4で表
されるペプチドであることが確認された。
【0053】配列番号1,配列番号2,配列番号4およ
び配列番号5で表される各ペプチドの原料グルテンから
の収率(%)を,その分子量とAbs.280における
分子吸光係数から求めたところ,順に約4×10
−2(%),4×10−3(%),1×10−5(%)
および3×10−4(%)であることが確認された。
【0054】また,シリカゲルプレートによる薄層クロ
マトグラフィーでRf値を求めたところ,ブタノール:
酢酸:ピリジン:水=15:3:10:12の展開溶媒
を使用した場合のRf値は,配列番号1,配列番号2,
配列番号4および配列番号5で表される各ペプチドで,
順に,0.58,0.54,0.77および0.61で
あった。
【0055】実施例 2 「小麦グルテンの加水分解による配列番号1,配列番号
2,配列番号は4および配列番号5で表されるペプチド
を含有するペプチド混合物の調製] 酸性プロテアーゼとしてペプシンの代わりにアスペルギ
ルスニガー起源のアスパルティクプロティナーゼ(商品
名「プロテアーゼYP−SS」;ヤクルト本社製)をペ
プシンの場合と同じ量(units)で使用し,小麦グ
ルテン溶液をpH3.0に調整して,37℃で15時間
インキュベートした他は実施例1と全く同様にして小麦
グルテンの加水分解を行ったところ,実施例1の(2)
と同様の逆相クロマトグラフィーにて,図1に示された
画分I,画分II,画分IIIおよび画分IVに実施例
1と同程度のオピオイド活性が認められた。したがっ
て,この実施例においても,配列番号1,配列番号2,
配列番号4および配列番号5で表されるペプチドを混合
含有するオピオイド活性を有するペプチド混合物が得ら
れた。
【0056】実施例 3 「小麦グルテンの加水分解による配列番号1,配列番号
2,配列番号は4および配列番号5で表されるペプチド
を含有するペプチド混合物の調製] 中性プロテアーゼとしてサーモライシン代わりにアス
ペルギルオリゼー起源の中性プロテアーゼ(商品名「プ
ロチンFN」;大和化成製)をサーモライシンの場合と
同じ量(units)で使用した他は実施例1と全く同
様にして小麦グルテンの加水分解を行ったところ,実施
例1の(2)と同様の逆相クロマトグラフィーにて,図
示された画分I,画分II,画分IIIおよび画分
IVに実施例1と同程度のオピオイド活性が認められ
た。したがって,この実施例においても,配列番号1,
配列番号2,配列番号4および配列番号5で表されるペ
プチドを混合含有するオピオイド活性を有するペプチド
混合物が得られた。
【0057】実施例 4 「小麦グルテンの加水分解による配列番号1,配列番号
2,配列番号は4および配列番号5で表されるペプチド
を含有するペプチド混合物の調製] 中性プロテアーゼの代わりにバチルス起源のセリンプロ
テアーゼ(商品名「ビオプラーゼSP−4」;長瀬産業
製)をサーモライシンの場合と同じ量(units)で
使用した他は実施例1と同様にして小麦グルテンの加水
分解を行ったところ,実施例1の(2)と同様の逆相ク
ロマトグラフィーにて,図1示された画分I,画分I
I,画分IIIおよび画分IVに実施例1と同程度のオ
ピオイド活性が認められた。したがって,この実施例に
おいても,配列番号1,配列番号2,配列番号4および
配列番号5で表されるペプチドを混合含有するオピオイ
ド活性を有するペプチド混合物が得られた。
【0058】実施例 5 [小麦グルテンの加水分解による配列番号6で表される
本発明のペプチドの調製] (1)小麦グレテン5gを0.02N塩酸100mlに
分散溶解させた後,3500Gで20分間遠心分離して
不溶物を除き,1N塩酸を加えてpHを2.0に調整し
た。この小麦グルテン液にペプシン(米国シグマ社製)
5000unitsを加えて37℃で15時間インキュ
ベートした。反応終了後1Nの水酸化ナトリウム水溶液
を加えてpHを7.0に調整した後,トリプシン(米国
シグマ社製)およびキモトリプシン(米国シグマ社製)
を各5000unitsづつ加えて37℃において4時
間インキュベートした。反応終了後,90℃で20分間
加熱して酵素を失活させ,3500Gで20分間遠心分
離して不溶物を除き,得られた上澄液を凍結乾燥してペ
プシンとトリプシンおよびキモトリプシンによる小麦グ
ルテンの加水分解物約3.0gを得た。
【0059】(2) 上記(1)で得た小麦グルテンの
加水分解物をナカライテスク社製オクタデシルシラン
(ODS)カラムであるCosmosil 5C18
AR(内径20mm,長さ250mm)を使用した逆相
クロマトグラフィーに供した。次いで0.05%トリフ
ルオロ酢酸水溶液(A液)および0.05%トリフルオ
ロ酢酸を含有するアセトニトリル溶液(B液)を使用し
て,B液の濃度を0%から40%まで40分かけて直線
的に増加する濃度勾配にて10ml/分の流速で溶出さ
せた。その時の波長230nmにおけるフローチャート
を図2に示す。図2に示したフローチャートにおける,
各画分を分取してそのオピオイド活性を測定したとこ
ろ,アセトニトリルの濃度が約31〜32%の範囲で溶
出してくる画分(画分V)にオピオイド活性が認められ
た。
【0060】(3) そこで,上記(1)で得た小麦グ
ルテンの加水分解物2000mgを使用して,工程
(2)と同じ処理を繰り返して,画分Vのオピオイド活
性画分を得て,この画分を次にナカライテスク社製のフ
ェニルカラムCosmosil 5Ph(内径 4.6
mm,長さ250mm)を用いた逆相クロマトグラフィ
ーに供した。上記したA液とB液を使用してB液の濃度
を0%から40%まで40分かけて直線的に増加する濃
度勾配にて1ml/分の流速で溶出させた。溶出してく
る画分のオピオイド活性を測定したところ,アセトニト
リルの濃度が約33%付近で溶出してくる画分(画分V
−1)にオピオイド活性が認められた。
【0061】(4) 次に,上記(3)で得た画分V−
1のオピオイド活性画分をナカライテスク社製のシアノ
プロピルカラムCosmosil 5CN−R(内径
4.6mm,長さ250mm)を用いた逆相クロマトグ
ラフィーに供して,上記(3)におけるのと同条件で溶
出させた。溶出してくる各画分を分取してそのオピオイ
ド活性を測定したところ,アセトニトリルの濃度が約2
7〜28%の範囲のピーク画分(画分V−2)にオピオ
イド活性が認められた。
【0062】(5) 次に,上記(4)で得た画分V−
2のオピオイド活性画分を,ナカライテスク社製のオク
タデシルシラン(ODS)カラムであるCosmosi
l 5C18−AR(内径4.6mm,長さ150m
m)を使用して逆相クロマトグラフィーに供した。次い
で,10mM KHPO−NaHPO緩衝液
(pH7)(C液)と10mM KHPO−Na
HPO緩衝液を含有する50%アセトニトリル溶液
(pH7)(D液)で,D液の濃度を0%から100%
まで直線的に増加する濃度勾配にて溶出させた。溶出し
てくる各々の画分を分取して,そのオピオイド活性を測
定したところ,アセトニトリル濃度が約24%付近の高
吸収ピーク画分(画分V−3)にオピオイド活性が認め
られた。
【0063】(6) 上記(5)で得られた画分V−3
を回収し,濃縮乾燥した。上記で得た乾燥物を実施例1
で使用したのと同じプロテインシーケンサー477−A
型を使用してそのアミノ酸配列を調べたところ,N末端
から順次L−Tyr,L−Pro,L−Ile,L−S
erおよびL−Leuが遊離してきた。このことからそ
の構成アミノ酸のすべてがL−アミノ酸である配列番号
6で表されるペプチドであることが確認された。配列番
号6で表されるペプチドの原料グルテンからの収率
(%)は,その分子量とAbs.280における分子吸
光係数より,約4×10−4(%)であることが確認さ
れた。また,実施例1と同様にシリカゲルプレートによ
る薄層クロマトグラフィーでRf値を求めたところ0.
73であった。
【0064】実施例 6 [合成による本発明のペプチドの製造] 配列番号1で表されるペプチドの合成は以下の方法で行
った。市販のBoc(ブトキシカルボニル)−Pro−
樹脂(置換率0.4meq/g)0.75gと45%ト
リフルオロ酢酸および2.5%アニソールを含む塩化メ
チレン20mlをバイオサーチ社のペプチド合成装置S
AM TWOの反応槽の中で室温で25分間反応させて
Boc基を除去した。次にBoc基の除去されたPro
−樹脂を塩化メチレンで洗浄し,次いで10%のジイソ
プロピルエチルアミンを含む塩化メチレンにより中和し
た後,更に塩化メチレンで洗浄した。この樹脂に0.4
M Boc−Tyr(Cl−Bzl)のジメチルホル
ムアミド溶液5ml,0.4Mジイソプロピルカルボジ
イミドの塩化メチレン溶液5mlを混合して反応槽に入
れて室温で2時間撹拌下に反応させた。
【0065】上記で得られた樹脂を,順にジメチルホル
ムアミド,塩化メチレン,ジイソプロピルエチルアミン
を10%含有する塩化メチレン,塩化メチレンおよび塩
化メチレン/ジメチルホルムアミド混合液で洗浄して,
Boc−Tyr(Cl−Bzl)−Pro−樹脂を得
た。引き続き上記と同様にしてBoc基の除去,Boc
アミノ酸のカップリングを繰り返してBoc−Tyr
(Cl−Bzl)−Tyr(Cl−Bzl)−Pr
o−樹脂からなる生成物を得た。更に同様にしてBoc
基の除去,Bocアミノ酸のカップリングを繰り返し
て,Boc−Gly−Tyr(Cl−Bzl)−Ty
r(Cl−Bzl)−Pro−樹脂からなる生成物を
得た。
【0066】この樹脂を10%のアニソールを含有する
フッ化水素20mlに入れて0℃で2時間撹拌してペプ
チドを樹脂から遊離させた。その後,フッ化水素を減圧
留去し,残渣を30%酢酸で抽出し,それを凍結乾燥し
て粗ペプチド150mgを得た。これをナカライテスク
株式会社製のオクタデシルシラン(ODS)カラムであ
るCosmosil 5C18−ARを用いた逆相クロ
マトグラフィーにより精製して最終生成物40mgを得
た。そのアミノ酸組成(モル比)は,Gly:Tyr:
Tyr:Pro=1:1:1:1であった。更に実施例
1で使用したのと同じプロテインシーケンサーにより分
析したところ,配列番号1で表されるアミノ酸配列を有
するペプチドであることが判明した。また該生成物の薄
層クロマトグラフィーのRf値は,実施例1の生成物と
同様に0.58であった。
【0067】また,配列番号2で表されるペプチドの場
合も,配列番号1で表されるペプチドの場合と同様にし
て市販のBoc−Thr(Bzl)−樹脂(置換率0.
3meq/g)1gから最終生成物30mgを得た。そ
のアミノ酸組成(モル比)は,Gly:Tyr:Ty
r:Pro:Thr=1:1:1:1:1であり,そし
て実施例1で使用したプロテインシーケンサーにより分
析したところ,配列番号2で表されるアミノ酸配列を有
するペプチドであることが判明した。またこの生成物の
薄層クロマトグラフィーのRf値は実施例1の生成物と
同様に0.54であった。
【0068】更に,配列番号3で表されるペプチドの場
合も,配列番号1で表されるペプチドの場合と同様にし
て市販のBoc−Ser(Bzl)−樹脂(置換率0.
39meq/g)0.77gから最終生成物30mgを
得た。そのアミノ酸組成(モル比)は,Gly:Ty
r:Tyr:Pro:Thr:Ser=1:1:1:
1:1:1であり,そして実施例1で使用したプロテイ
ンシーケンサーにより分析したところ,配列番号3で表
されるアミノ酸配列を有するペプチドであることが判明
した。またこの生成物の薄層クロマトグラフィーのRf
値は0.53であった。
【0069】 そして,配列番号4で表されるペプチド
の場合も,配列番号1で表されるペプチドの場合と同様
にして,市販のBoc−Leu−樹脂(置換率0.5m
eq/g)0.6gから最終生成物40mgを得た。そ
のアミノ酸組成(モル比)は,Tyr:Gly:Gl
y:Try:Leu=1:1:1:1:1であった。更
に,実施例1で使用したプロテインシーケンサーにより
分析したところ,配列番号4で表されるアミノ酸配列を
有するペプチドであることが判明した。また,該生成物
の薄層クロマトグラフィーのRf値は,実施例の生成
物と同様に0.77であった。
【0070】 更に,配列番号5で表されるペプチドの
場合も,配列番号1で表されるペプチドの場合と同様に
して,市販のBoc−Trp−樹脂(置換率0.3me
q/g)1gから最終生成物30mgを得た。そのアミ
ノ酸組成(モル比)は,Tyr:Gly:Gly:Tr
p=1:1:1:1であり,そして実施例1で使用した
プロテインシーケンサーにより分析したところ,配列番
号5で表されるアミノ酸配列を有するペプチドであるこ
とが判明した。また,該生成物の薄層クロマトグラフィ
ーのRf値は,実施例の生成物と同様に0.61であ
った。
【0071】 そして,配列番号6で表されるペプチド
の場合も,配列番号1で表されるペプチドの場合と同様
にして,市販のBoc−Leu−樹脂(置換率0.5m
eq/g)0.6gから最終生成物40mgを得た。そ
のアミノ酸組成(モル比)は,Tyr:Pro:Il
e:Ser:Leu=1:1:1:1:1であった。そ
して実施例1で使用したプロテインシーケンサーにより
分析したところ,配列番号6で表されるアミノ酸配列を
有するペプチドであることが判明した。また,該生成物
の薄層クロマトグラフィーのRf値は,実施例の生成
物と同様に0.73であった。
【0072】上記の実施例1〜6における各画分のオピ
オイド活性および配列番号1〜配列番号6で表されるペ
プチド,ならびに既知のオピオイドペプチドのオピオイ
ド活性は,いずれも次のようにして測定した。
【0073】《オピオイド活性の測定法》 体重30〜35gのICR系の雄マウスより摘出した2
本の輸精管をアイソトニックトランスデューサー(日本
光電工業株式会社製:TB 612−T)に接続して
0.4gの張力をかける。36℃に保温した2ml容量
のマグヌス管内に,Krebs等張液(NaCl 11
8mM,KCl 4.75mM,CaCl2.54m
M,NaHCO25mM,KHPO1.19m
M,グルコース11mM)を満たしたものの中に輸精管
を浸して,ボンベから通気(095%:CO5%)
を行った。このようにして約2時間安定化させた後,3
0Vで1msecの電気刺激を与え,マウス輸精管を電
気収縮させた。電気収縮が安定した後,アミノペプチダ
ーゼ阻害剤等を含むインヒビター50μlを加え,小麦
グルテンの酵素分解物の高速液体クロマトグラフィーに
より分画された各画分を添加し,マウス輸精管の電気収
縮の変化をレコーダーで記録した。オピオイド活性は画
分添加後電気収縮の抑制と10−4Mナロキソン20μ
l添加による抑制の解除によって判定した。そしてマウ
ス輸精管の電気収縮を50%抑制する濃度(IC50
を測定した。
【0074】その結果,上記実施例で得られた配列番号
1〜配列番号6で表される本発明のペプチドのIC50
は表1に示すとおりであった。参考のため,既知のペプ
チドのオピオイド活性を上記と同様にして測定したとき
のIC50を表1に併記する。
【0075】
【表1】
【0076】表1の結果から,本発明のオピオイド活性
剤は低濃度でIC50を達成できることがわかる。
【0077】
【発明の効果】本発明の方法によるときは,小麦グルテ
ン等の小麦蛋白を使用して,目的とするオピオイドペプ
チド,特に,配列番号1,2,4,5および6で表され
るペプチドを確実に得ることができる。また,合成によ
って配列番号3で表されるペプチドを得ることができ
る。
【0078】本発明のペプチドおよびその塩はオピオイ
ド活性を有しているので,該ペプチドおよびその塩を有
効成分とする剤は極めて少量の投与で,鎮痛,麻酔,情
動,呼吸,脈動,体温,消化管機能,摂食,免疫,イン
シュリンやソマトスタチン等のホルモンの分泌調節,電
解質の吸収促進,心筋の収縮調節機能を示す可能性があ
るため,鎮痛麻酔剤,催眠剤,消化管ホルモン分泌促進
剤,電解質の吸収促進剤,胃腸輸送筋収縮による下痢改
善剤としての利用が期待できる。その場合に,本発明の
ペプチドおよびその塩は,水溶性の白色粉末であるた
め,そのままでまたは水等に溶解させて経口および非経
口のいずれの方法によっても極めて簡単に投与すること
ができる。
【0079】更に,本発明のペプチドおよびその塩は4
〜6個のアミノ酸が配列しただけの極めて簡単な構造を
有する低分子量化合物であるため化学合成によっても簡
単に製造することができる。また,本発明のペプチド
は,小麦グルテンの酵素による加水分解物として得られ
るために安全性が高い。
【0080】
【配列表】
【0081】配列番号:1 配列の長さ:4 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Gly Tyr Tyr Pro 1
【0082】配列番号:2 配列の長さ:5 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Gly Tyr Tyr Pro Thr 1 5
【0083】配列番号:3 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Gly Tyr Tyr Pro Thr Ser 1 5
【0084】配列番号:4 配列の長さ:5 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Tyr Gly Gly Trp Leu 1 5
【0085】配列番号:5 配列の長さ:4 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Tyr Gly Gly Trp 1
【0086】配列番号:6 配列の長さ:5 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Tyr Pro Ile Ser Leu 1 5
【0087】 配列番号:7 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Tyr Pro Phe Pro Gly Pro Ile 1 5
【0088】配列番号:8 配列の長さ:5 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Tyr Pro Phe Pro Gly 1 5
【0089】 配列番号:9 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Arg Tyr Lue Gly Tyr Lue Glu 1 5
【0090】 配列番号:10 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Tyr Pro Gln Pro Gln Pro Phe 1 5
【図面の簡単な説明】
【図1】小麦グルテンをペプシンで加水分解した後,サ
ーモライシンで加水分解して得られたペプチド混合物を
高速液体クロマトグラフィーに通し,その吸着成分を直
線濃度勾配を有する特定の溶離液により溶離した時の該
成分の吸光度を測定したフローチャートである。
【図2】小麦グルテンをペプシンで加水分解した後,ト
リプシンとキモトリプシンで加水分解して得られたペプ
チド混合物を高速液体クロマトグラフィーに通し,その
吸着成分を直線濃度勾配を有する特定の溶離液により溶
離した時の該成分の吸光度を測定したフローチャートで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−21139(JP,A) Peptides,Vol.5,N o.6(1984)p.1139−1147 J.Med.Chem.,Vol. 21,No.11(1978)p.1110−1116 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 5/103 - 7/06 C12P 21/06 CA(STN) REGISTRY(STN) BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 小麦蛋白を酸性プロテアーゼを使用して
    加水分解した後,バチルス起源の中性プロテアーゼおよ
    びアスペルギルス起源の中性プロテアーゼから選ばれる
    1種または複数種の中性プロテアーゼ或いはアルカリ性
    プロテアーゼを使用して更に加水分解し,得られる加水
    分解物から,オピオイド活性を有する配列番号1,配列
    番号2,配列番号4または配列番号5で表されるペプチ
    ドを回収することを特徴とする配列番号1,配列番号
    2,配列番号4または配列番号5で表されるオピオイド
    ペプチドの製造方法。
  2. 【請求項2】 小麦蛋白を酸性プロテアーゼを使用して
    加水分解した後,トリプシンおよびキモトリプシンを用
    いて更に加水分解し,得られる加水分解物からオピオイ
    ド活性を有する配列番号6で表されるペプチドを回収す
    ることを特徴とする配列番号6で表されるオピオイドペ
    プチドの製造方法。
  3. 【請求項3】 配列番号1,配列番号2,配列番号3ま
    たは配列番号6で表されるペプチド或いはその塩。
  4. 【請求項4】 化学合成によって,配列番号1,配列番
    号2,配列番号3または配列番号6で表されるペプチド
    或いはその塩を製造する方法。
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