JP3125442B2 - 乗用田植機の走行車体 - Google Patents

乗用田植機の走行車体

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JP3125442B2
JP3125442B2 JP04172820A JP17282092A JP3125442B2 JP 3125442 B2 JP3125442 B2 JP 3125442B2 JP 04172820 A JP04172820 A JP 04172820A JP 17282092 A JP17282092 A JP 17282092A JP 3125442 B2 JP3125442 B2 JP 3125442B2
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仁史 山崎
神谷  寿
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、苗植付作業機を後側
に装着した乗用田植機の走行車体に関する。
【0002】
【従来の技術】実開昭60−183629号公報に、エ
ンジンと、該エンジンから動力が伝達されるミッション
と、該ミッション内に入力された動力がミッション内の
前輪デフを介して伝達される左右一対の前輪と、前記ミ
ッション内に入力された動力がミッション内の後輪デフ
を介して伝動される左右一対の後輪とを備え、更に、前
記後輪デフを差動可能状態と差動不能状態に切り換える
デフロック装置を設けるとともに、前記後輪デフから左
右後輪への伝動経路上に伝動を断続するサイドクラッチ
装置を設けた乗用田植機の走行車体が開示されている。
更に、この従来の走行車体では、前輪車軸より後側に後
輪デフが設けられ、その後輪デフから左右両側に延びる
後輪差動軸または、その差動軸から更に後側に伝動され
る後輪駆動軸にサイドクラッチ装置が設けられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の走行車体では、
前輪車軸より後側に後輪デフが設けられていたので、ミ
ッションが前輪に対して後側寄りに配することになり、
車体重心が後側よりになる。後側に苗植付作業機を装着
する乗用田植機の走行車体では、車体重心はできるだけ
前側寄りになるようにすると前後バランスがよいのだ
が、従来の走行車体ではこの点で不利であった。
【0004】また、従来の走行車体では、後輪デフから
左右両側に延びる後輪差動軸または、その差動軸から更
に後側に伝動される後輪駆動軸にサイドクラッチ装置が
設けられていたので、ミッションケ−スの左右幅が広く
なり大型化してしまっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに、この発明は、エンジンと、該エンジンから動力が
伝達されるミッションと、該ミッション内に入力された
動力がミッション内の前輪デフを介して伝達される左右
一対の前輪と、前記ミッション内に入力された動力がミ
ッション内の後輪デフを介して伝動される左右一対の後
輪とを備え、更に、前記後輪デフを差動可能状態と差動
不能状態に切り換えるデフロック装置を設けるととも
に、前記後輪デフから左右後輪への伝動経路上に伝動を
断続するサイドクラッチ装置を設けた乗用田植機の走行
車体において、前記後輪デフを前記前輪デフの前側に設
け、前記前輪デフから左右両側に延びる左右前輪差動軸
と前記サイドクラッチ装置とが上下に位置するように設
けたことを特徴とする乗用田植機の走行車体とした。
【0006】
【実施例】この発明の一実施例を図面に基づき説明す
る。乗用田植機1は、走行車体2の後側に昇降作動する
昇降リンク装置3を介して苗植付作業機4が装着されて
構成されている。また、走行車体2と苗植付作業機4と
の間で走行車体2の後部側に施肥装置5が配設されてい
る。
【0007】走行車体2は、左右一対の操舵用の駆動回
転する前輪6、6と左右一対の駆動回転する後輪7、7
を備えている。また、前側にミッション8が配され、そ
のミッション8の左右側部から前輪アクスルフレ−ム
9、9が固着され、そのフレ−ム9、9の両端部に前輪
ファイナルケ−ス10、10が連結されて、そのケ−ス
10、10下側から外側に突出する前輪車軸に前輪6、
6が取り付けられている。ミッション8内の動力が、前
輪アクスルフレ−ム9、9、前輪ファイナルケ−ス1
0、10内の伝動機構により伝達され、前輪6、6が駆
動回転する。また、ミッション8の後側部にフレ−ム1
1、11の前端部が固着している。フレ−ム11、11
の後端部は横フレ−ム12に固着し、その横フレ−ム1
2の中央部の軸受部に後輪フレ−ム13の左右中央部に
前後水平に軸心を向けて固着した後輪ロ−リング軸13
aが嵌合している。後輪フレ−ム13の左右に端部に後
輪ギヤケ−ス14、14が固着し、その後輪ギヤケ−ス
14、14の外側部から横に突出する後輪車軸に後輪
7、7が取り付けられている。よって、ミッション8と
フレ−ム11、11、横フレ−ム12で構成される車体
フレ−ムに対し、後輪7、7が取り付けられている後輪
フレ−ム13が後輪ロ−リング軸13a回りにロ−リン
グできるようになっている。ミッション8内の動力がそ
の後側部から左右の後輪ギヤケ−ス14、14に後輪伝
動軸14a、14aで伝動され、後輪7、7が駆動回転
される。また、ミッション8への動力入力は、フレ−ム
11、11上に支持したエンジンEから第1ベルト伝動
装置15(15a:エンジン側プ−リ−、15a’:エ
ンジン出力軸、15b:油圧ポンプ側プ−リ−、15
b’:油圧ポンプ駆動軸、15c:伝動ベルト)でミッ
ション8上に固設した油圧ポンプPに一旦伝動され、そ
こからミッション8の入力軸に無段変速式の第2ベルト
伝動装置16(16a:油圧ポンプ側割プ−リ−、16
b:ミッション側割プ−リ−、16b’:ミッション入
力軸、16c:伝動ベルト。両割プ−リ−16a、16
bは副変速レバ−27にて背反的にプ−リ−幅が調節さ
れるようになっている。)で高低速無段階で変速可能に
伝動される。尚、エンジンEに取り付けられたオルタネ
−タGにはエンジンEの第2出力軸から第3ベルト伝動
装置17により伝動され、そこで発電された電気は、前
記施肥装置5の肥料搬送用の圧風を起こすブロアのモ−
タ−Mに接続されブロアが電動するようになっている。
【0008】また、走行車体2には、その前部に前輪
6、6を操向するハンドル18が設けられ、エンジンE
の上側を覆うエンジンカバ−19の上に座席20が取り
付けられている。また、座席20及びハンドル18の周
囲下側にはステップフロア21が水平状に設けられてい
て、機体前端側から後部側にわたって、また、右側と左
側との間を操縦者(作業者)は自在に移動することがで
き、乗り降りも機体の左右に固設された昇降ステップ2
2、22からだけではなく、機体前端側からも直接フロ
ア21上に乗り降りできる。更に、ハンドル18の下側
はポストカバ−23で覆われ、そのポストカバ−23の
上部には各種作動状態を表示する表示パネル部24が設
けられている。また、その表示パネル部24およびその
周辺には、左側に主変速レバ−25と後輪デフロックレ
バ−26、右側に副変速レバ−27、アクセルレバ−が
配設されている。操縦者は、座席20に座ってハンドル
18を操作しながら、前記各レバ−を容易に持ち換えて
そのレバ−操作を目で確認しながら操作することができ
る。尚、ポストカバ−23の下側後側には操縦者が足で
踏み込んで操作するペダルが設けられ、左側にはクラッ
チペダル28、右側には後輪クラッチ・ブレ−キペダル
29a、29bが設けられ、更に座席20の前側フロア
部上に前輪デフロックペダル30が設けられいる。
【0009】昇降リンク装置3は、フレ−ム11、11
の後側に固着されたリンクベース31に回動自在に取り
付けられた上リンク32および下リンク33、33を備
え、これら上下リンクの後端部に縦リンク34が連結さ
れている。そして、縦リンク34の下端部から後方に突
出する軸受部に苗植付作業機4の伝動ケース40に固着
の連結軸40aが回動自在に連結して、苗植付作業機4
が進行方向に対して左右に回動自在に装着される。エン
ジンE下方でフレーム11、11に固着の支持部材に油
圧シリンダ35の基部側を枢支し、ピストンロッド側を
上リンク31の基部に一体で下向きに延びるスイングア
ーム31aの先端部にスプリングを介して連結してい
る。油圧シリンダ35を伸縮作動させると昇降リンク装
置3が昇降作動し、苗植付作業機4が昇降するようにな
っている。この油圧シリンダ35は油圧バルブ36によ
って切り換え作動する。
【0010】苗植付作業機4は、6条植えの構成になっ
ていて、平面視E字状の伝動ケース40が苗植付作業機
4のフレームを兼ね、該伝動ケース40の上側に前側が
上位となるよう傾斜して苗載台41が設けられている。
この苗載台41は伝動ケ−ス40内の左右往復移動機構
と連結して左右に往復移動するようになっている。ま
た、伝動ケース40の後端部に植付条数分の植付装置4
2…を備え、苗載台41が左右に往復動して台上の苗を
該苗載台の下端側に設けた苗受け枠41aの苗取出口に
順次供給しつつ、植付装置42…の植付具43…が所定
の軌跡を描きながら回転して、前記苗取出口に供給され
た苗を植付具43…の植付爪が保持し、その保持した苗
を圃場に達したとき押し出して植え付けるようになって
いる。また、苗載台21の各条苗載面下位側にはベルト
式の苗縦送り装置44が設けられていて、苗載台41が
左右方向に移動して、植付装置42…が苗載面上に載せ
られた苗の下端部を一列分移植し終えると、次に移植さ
れていく下端部を苗取り口上に位置するよう苗を移送す
る。また、苗植付作業機4の下部には、中央にセンター
フロート45、左右に一対のサイドフロート46、46
が、それぞれ前端部側が上下動するよう後部が枢支され
て取り付けられている。これらフロ−ト45、46、4
6は機体の進行により圃場面を滑走して整地する機能を
有する他、苗植付作業機4の昇降動時のダンパ−として
も機能する。ところで、センターフロート45は、圃場
面の凹凸を検出するセンサでもあり、このセンサーフロ
ート45の前端部側の上下動に応じて油圧バルブ36が
作動するようになっている。すなわち、センターフロー
ト45が上動すると油圧シリンダ35を伸ばす方向に油
圧バルブ36が作動され、逆にセンターフロート45が
下動すると油圧シリンダ35を縮める方向に油圧バルブ
36が作動されるものである。また、各フロート45、
46、46には、各条の苗植付位置の近傍に施肥用の溝
を形成する作溝器47…が取り付けられている。
【0011】施肥装置5は、植付苗の近傍に施肥する側
条施肥装置で、まず、肥料を収容するホッパ−50と該
ホッパ−50の下側に取り付けられる繰出部51…を、
前後方向に対して苗植付作業機4の前側で走行車体2の
座席20の後側に位置させ、且つ各植付条に対応した複
数の繰出部51…(ここでは6条植えに対応して6体の
繰出部が設けられる)が左右に一列、並ぶように設けて
いる。そして、繰り出された肥料を作溝器47…に導く
施肥ホ−ス52…を各繰出部51…にそれぞれ連結す
る。更に、ブロア53とそのブロアからの圧風を一時的
に貯えて施肥ホ−ス52…の上端部へ送るエア−チャン
バ−54とが備えられて、施肥ホ−ス52…内を圧風に
より肥料が強制的に移送されるようになっている。
【0012】施肥ホ−ス52は、繰出部51の漏斗部5
5から作溝器47の施肥ガイド部47aを繋ぐ導管であ
る。具体的には、漏斗部55のホ−ス取付部55aに可
撓性のホ−ス52aが外側から嵌合して連結し、そのホ
−ス52aの下端口側に硬質の合成樹脂製の連結ホ−ス
52bが外側から嵌合して連結し、更に、そのホ−スの
下端口側にゴム製の蛇腹状連結部材52cが外側から嵌
合して連結し、そして、その連結部材52cの下端口側
が作溝器47の施肥ガイド部47aの上端口側に外側か
ら嵌合して連結して、繰出部51の漏斗部55から作溝
器47まで肥料を導くように導管が連結されている。連
結ホ−ス52bには取付用係合部52dが一体的に成形
されて設けられていて、その係合部52dは植付伝動ケ
−ス40に連結し支持されたホ−ス支持フレ−ム40a
の取付け部40a’に係合して取付け固定されている。
また、連結ホ−ス52bには、ホ−ス内径の半分程度の
孔52eが各ホ−ス毎に設けられている。施肥ガイド部
47a内に泥などが詰まって連結ホ−ス52bの肥料排
出口(作溝器47側の口)が塞がれた場合、この孔52
eがないと圧風が施肥ホ−ス52内に吹き込まなくなり
数秒間のうちに漏斗55のホ−ス取付部55a内に肥料
が詰まり繰出部51内の肥料詰まりまで波及することに
なってしまうが、前記孔52eが設けられていることに
より圧風がこの孔52eから吹き抜けるので、たちまち
は前記ホ−ス取付部55aまで肥料が詰まることにはな
らず、肥料詰まりに対する対処が施肥ホ−ス52内の対
処ですむ。尚、孔52eには開閉自在な蓋52e’がそ
れぞれ設けられている。
【0013】また、作溝器47の施肥ガイド部47a前
方内側部には肥料詰まりセンサ−47bが固定ネジF
1、F1で取付け固定されていて、肥料がガイド部47
a内に付着し堆積して連結ホ−ス52bの肥料排出口を
塞ごうとすると、付着した肥料により通電して警報を発
するようになっていうる。センサ−47bのコ−ド47
b’は、蛇腹状連結部材52cに一体に設けられたコ−
ドホルダ−部52fと連結ホ−ス52bに一体的に成形
されて設けられたコ−ドホルダ−部52f’とにより保
持されている。ところで、作溝器47…の施肥ガイド部
47a…はフロ−ト45、46、46に取付け固定され
ている。そして、施肥ガイド部47a…下部の前側でフ
ロ−ト45、46、46の底面に作溝部47cが取付け
固定されている。この作溝部47cの形状は、前後方向
断面がV字状で且つそのV字状の下端の稜が側面視で後
方に向けて下がっていて、作溝能率のよい形状になって
いる。
【0014】尚、作溝器47の施肥ガイド部47aの上
端口側に連結するゴム製の蛇腹状連結部材52cの下端
口側は、その前側に開口部が設けられ、また、後側に欠
き孔が設けられている。ゴム製の蛇腹状連結部材52c
が施肥ガイド部47aの上端口側に外側から被覆するよ
うに嵌合させるとき、前側の開口部から施肥ガイド部4
7aの前側に突出する肥料詰まりセンサ−47bのコ−
ド47b’、47b’とセンサ−本体部に一体のコ−ド
接続突子47b”が内側から外側に出るように取り付け
られ、また、後側の切欠き孔から施肥ガイド部47aの
後側に設けられた係止部47dが内側から外側に出るよ
うに取り付けられる。これにより、蛇腹状連結部材52
cは、前側がコ−ド接続突子47b”で後側が係止部4
7dで抜方向に係止された状態になり、フロ−ト45、
46、46が上下に動いて蛇腹状連結部材52cが伸縮
しても施肥ガイド部47aの上端口から容易に外れるこ
とはない。また、フロ−ト45、46、46が上下に動
いて作溝器47が上下動しても、蛇腹状連結部材52c
…が伸縮するから、固定支持された連結ホ−ス52b…
は動かない。52c’は施肥ガイド部47aに蛇腹状連
結部材52cを嵌合させるときの取っ手となる。
【0015】施肥ガイド部47aは、平面視断面形状が
後方に開いたU字状形状になっている。そして、後側の
開放部の上部には左右の側壁部47e、47eを連繋す
るように連繋プレ−ト47fが固着している。その連繋
プレ−ト47fの上端部の折り曲がり部が前記係止部4
7dとなっている。更に、可撓性板状部材のゴム製カバ
−47gが、連繋プレ−ト47fの後側面に固着して、
施肥ガイド部47aの後側の開放部を塞ぐように取り付
けられている。また、このゴム製カバ−47gの下側
は、側壁部47e、47eに固着されたメクレ防止用部
材47h、47h、47iに挾まれた状態で取り付けら
れる(図8)。これにより、ゴム製カバ−47gの下端
部側は後方外側には外れるが、前方内側にはめくれ込ま
ないようになっている。よって、圃場内において、苗植
付作業機4を下げて作溝器47が土中にもぐり込んだ状
態で機体を後進させたり、また、苗植付作業機4を下げ
たときに施肥ガイド部47aが土塊の上に降下した場合
に、施肥ガイド部47a下端口から泥土が入り込んで詰
るのが防止できる。尚、図9は、ゴム製カバ−47gの
施肥ガイド部47a内へのめくれ防止の別実施例であ
る。ここで、ゴム製カバ−47gは、連繋プレ−ト47
fの内側に取付け固定された弾性線材からなる支え線4
7kにより後方外側に弾発付勢され、側壁部47e、4
7eに固着されたメクレ防止用部材47jと前記支え線
47kとで挾まれた状態になっている。
【0016】さて、前記走行車体2のミッション8内の
伝動機構について説明する。まず、エンジンEから第1
ベルト伝動装置15を介して油圧ポンプPに伝動され、
油圧ポンプPからミッション8の入力軸16b’に無段
変速式の第2ベルト伝動装置16を介して高低速無段階
で変速可能に伝動される。尚、この第2ベルト伝動装置
16の両側の割プ−リ−16a、16bは、副変速レバ
−27のレバ−操作により背反的に両プ−リのプ−リ−
幅が調節されるようになっていて、両プ−リ−へのベル
ト16cの巻き付き径が無段階に変化して伝動回転比が
無段変速される構成になっている。また、ミッション側
割プ−リ−16bの内側には、多板式のメインクラッチ
60が介装されていて、ミッション側割プ−リ−16b
に伝動された回転動力が、このメインクラッチ60によ
り断続可能にミッション入力軸16b’に伝動される。
このメインクラッチの伝動断続操作は、前記クラッチペ
ダル28の踏み込み操作により操作される。即ち、クラ
ッチペダル28を踏み込むと、ペダル側とシフトア−ム
60a(このア−ム60aはミッションケ−ス8aの左
側部に枢着されたシフタ−軸60cに一体)とを連結す
るロッド60bを介してシフタ−軸60cが回動し、そ
の軸60cに一体回転するように取り付けられたクラッ
チシフタ60dが回動して、そのシフタ60dがクラッ
チディスクの駆動側と従動側とを離間させるようにメイ
ンクラッチ60に作用して、ミッション入力軸16b’
への伝動を断つよう操作される構成になっている。
【0017】次に、ミッション入力軸16b’に入力さ
れた動力は、ミッション8内のギヤ郡により変速伝動さ
れて前輪、後輪を駆動する走行系と、苗植付作業機2を
駆動する作業機系に伝動される。まず、入力軸16b’
の右端側にギヤG1が一体的に組まれ、それに噛み合う
ギヤG2が第1伝動軸S1に一体的に組まれて、入力軸
16b’から第1伝動軸S1に伝動される。そして、第
1伝動軸S1に一体回転且つ軸方向にシフト自在で主変
速ギヤG3が組付けられ、その変速ギヤG3が第2伝動
軸S2に一体的に組付けられたギヤG4、G5、第3伝
動軸S3に一体的に組まれたバックギヤG6、第4伝動
軸S4に一体のギヤG12に択一的に噛み合うようにな
っている。即ち、主変速ギヤG3は、ギヤG4と噛み合
う「路上走行速」変速状態と、ギヤG5と噛み合う「植
付走行速」変速状態と、他のギヤと噛み合わない「中
立」状態と、バックギヤG6と噛み合う「後進」変速状
態と、ギヤG12にのみ噛み合う「PTO」伝動状態
(走行系には伝動せず作業機系にのみ伝動する状態)と
に、択一的に主変速シフタ25cでシフトされるように
なっている。主変速ギヤG3のシフト操作は、主変速レ
バ−25のレバ−操作により操作される。主変速レバ−
25を操作すると、ロッド25aを介して操作部材25
bが回動軸25b’回りに回動して主変速シフタ25c
がシフタ軸25d上をスライドして主変速ギヤG3がシ
フトされるようになっている。また、第2伝動軸S2の
ギヤG5には第3伝動軸S3に一体的に組まれたギヤG
7と噛み合っている。これにより、第1伝動軸S1の回
転は、変速ギヤG3を介して、第2伝動軸S2、第3伝
動軸S3に伝動する。そして、第3伝動軸S3に一体に
組まれたギヤG8が後輪デフ61のリングギヤ61aに
噛み合い、そのリングギヤ61aに一体のギヤG9が前
輪デフ62のリングギヤ62aに噛み合っている。後輪
デフ61から左右に差動軸61b、61bが延び、その
差動軸両端部にベベルギヤG10、G10が一体的に組
付けられている。ベベルギヤG10、G10にはサイド
クラッチ装置63、63のクラッチケ−ス63a、63
aに一体的に組まれたベベルギヤG11、G11が噛み
合っている。サイドクラッチ装置63、63の出力軸6
3b、63b側に後輪ブレ−キ装置64、64が設けら
れ、出力軸63b、63bの後端部に後輪伝動軸14
a、14a前端部の自在継手が連結して、後輪7、7を
駆動回転するように伝動されている。また、前輪デフ6
2から左右に差動軸62b、62bが延び、その差動軸
が前輪アクスルフレ−ム9、9内を通って、前輪ファイ
ナルケ−ス10、10内の伝動機構に伝動連結され、前
輪6、6が駆動回転するように伝動されている。尚、入
力軸16b’の右端側のギヤG1とそれに噛み合うギヤ
G2は、他のギヤ郡と仕切られた右側のミッションケ−
ス8bの右外側に設けられた部屋Rに取り付けられてい
るので、このギヤG1、G2を異なる伝動回転比となる
別のギヤG1’、G2’に組み替えるときは、前記部屋
Rの外側を蓋しているカバ−8cのみを取り外すだけで
できるので便利である。
【0018】また、前記変速ギヤG3は、ギヤG5と噛
み合う「植付走行速」変速状態と「PTO」伝動状態の
ときに、ギヤG12に噛み合って作業機系へ伝動するよ
うに構成されている。変速ギヤG3とギヤG12の噛み
合いから第4伝動軸S4に伝動された回転動力は、第4
伝動軸S4に一体のギヤG13、14に第5伝動軸S5
に一体回転且つ軸方向にシフト可能に組付けられた主株
間切り換えギヤG15が択一的に噛み合い、更に同軸S
5に一体回転且つ軸方向にシフト可能に組付けられた副
株間切り換えギヤG16が第6伝動軸S6に一体的に組
まれたギヤG17、G18に択一的に噛み合い、同軸S
6に一体的に組まれたベベルギヤG19がPTO出力軸
S7に一体的に組まれたベベルギヤG20に噛み合っ
て、PTO出力軸S7に伝動される。そのPTO出力軸
S7に苗植付作業機4に伝動する第1植付伝動軸S8が
連結し、その伝動軸S8から中間伝動ケ−スC(レバ−
操作により操作されて作業機4側への伝動を断続する作
業機伝動クラッチと該クラッチが伝動状態にあるときに
作業機側の駆動部に所定以上の負荷抵抗が加わったとき
伝動を断つように作用する安全クラッチと、動力分岐さ
せて施肥装置5を駆動する軸を設けたもの)に伝動し、
更に、そこから作業機4の伝動ケース40の前側に突出
させた入力軸に第2植付伝動軸S9を介して苗植付作業
機4に動力が伝達される。尚、ミッション8のケ−ス
は、左右のケ−ス8a、8bが前後上下方向の合わせ面
PLで接合されている。また、ミッション8内の底部側
にはステアリングギヤGs1、Gs2、Gs3が組付け
られている。ステアリングギヤGs1とミッション8の
上部から下方に向けて挿入させたステアリングシャフト
S10の下端部が一体的に組み付けられ、また、前輪フ
ァイナルケ−ス10、10のナックルア−ム10a、1
0aとロッド10b、10bで連結するステアリングア
−ム10cが一体的に取り付けられている軸にステアリ
ングギヤGs3が一体的に取り付けられて、ハンドル1
8の回動操作により前輪6、6が操向されるようになっ
ている。また、L1は、主株間切り換えギヤG15をシ
フトするシフトレバ−、L2は、副株間切り換えギヤG
16をシフトするシフタである。
【0019】ところで、後輪デフ61には、その差動軸
61b、61bが差動可能状態と差動不能状態に切り換
える後輪デフロック装置65が設けられている。即ち、
後輪デフロック体65aが差動軸61bに一体回転且つ
軸方向にシフト可能に組付けられ、そのデフロック体6
5aの噛み合い爪が後輪デフ61のリングギヤ61aに
一体に設けられている噛み合い爪に噛み合うと、差動軸
61b、61bが差動不能状態となるように構成されて
いる。デフロック体65aとリングギヤ61a側との間
にスプリングを介装して差動軸61b、61bが差動可
能状態となる側にデフロック体65aを付勢するととも
に、差動軸61b、61bが差動不能状態となる側にデ
フロック体65aをシフトできるデフロックシフタ65
bが設けられている。そのシフタ65bは後輪デフロッ
クレバ−26のレバ−操作にてシフト操作されるように
なっている。また、前輪デフ62にも、前輪デフロック
装置66が、前記後輪デフロック装置65と同様の構成
で設けられ、前輪デフロック体66aが軸方向にシフト
すると差動軸62b、62bが差動可能状態から差動不
能状態に切り換えられ、そのデフロック体66aのシフ
トは、前輪デフロックペダル30の踏み込み操作にてシ
フト操作されるようになっている。
【0020】前記サイドクラッチ装置63、63は、多
板式摩擦クラッチの構成を採っている。具体的には、前
記ベベルギヤG11の回動軸孔部がサイドクラッチ装置
63の出力軸63bの前端部に回転自在に嵌合し、且
つ、その嵌合部外周に形成されたスプライン部がクラッ
チケ−ス63aの前端突出部の内側に形成されたスプラ
イン部63a’に係合して、クラッチケ−ス63aが駆
動回転するベベルギヤG11に一体回転するように組ま
れている。クラッチケ−ス63a内には複数枚の駆動ク
ラッチディスク63c…と従動クラッチディスク63d
…が一枚づつ交互に軸心方向に重ねて組み入れられてい
る。駆動クラッチディスク63c…はクラッチケ−ス6
3aと一体回転且つ軸方向にスライド自在に係合して組
み込まれ、従動クラッチディスク63d…は出力軸63
bの角軸部に一体回転するように嵌合したハブの外周部
に一体回転且つ軸方向にスライド自在に係合して組み付
けられている。そして、それらクラッチディスク63c
…、63d…の後側にクラッチ作動体63eが出力軸6
3bに回転自在に嵌合して組み付けられている。更に、
そのクラッチ作動体63eの後側には、リング形状の皿
状板バネ63f…が互いに弾発するように組み込まれ、
且つ、その板バネ63f…がクラッチ作動体63eを前
側に押し出す方向に弾発付勢する状態で組まれるよう板
バネ63f…の後端にスラストベアリング63gが組み
込まれ、そのベアリング63gが後側にずれないように
スナップリング63hで止められて組付けられている。
よって、このサイドクラッチ装置63は、駆動クラッチ
ディスク63c…と従動クラッチディスク63d…とが
板バネ63f…によりクラッチ作動体63eに押圧され
て互いに圧接状態となり、駆動クラッチディスク63c
…と従動クラッチディスク63d…は一体的に回転する
状態で、組み立てられている。また、クラッチ作動体6
3eを板バネ63f…の弾発付勢に抗して後側にシフト
作用するサイドクラッチ作動軸63iが設けられてい
る。そのサイドクラッチ作動軸63が回転すると、その
軸の断面半月状に形成された部分がクラッチ作動体63
eの後端側のカラ−部に接当してクラッチ作動体63e
を後側にシフトする。すると、駆動クラッチディスク6
3c…と従動クラッチディスク63d…の圧接状態が解
かれ、駆動クラッチディスク63c…の回転は、従動ク
ラッチディスク63d…に伝動されなくなる。尚、左右
のサイドクラッチ作動軸63i、63iは、ミッション
8の左右外側に突出し、クラッチ作動ア−ム63j、6
3jが一体的に取り付けられ、そのア−ムと左右の後輪
クラッチ・ブレ−キペダル29a、29bがロッド63
k、63k等を介して連結し、前記ペダル29a、29
bを踏み込むと、サイドクラッチ装置63、63が後輪
7、7への伝動を断つよう作動するように設けられてい
る。
【0021】後輪ブレ−キ装置64、64は、多板式ブ
レーキの構成を採っている。具体的には、複数枚の回転
ディスク64a…が、前記サイドクラッチ装置63の出
力軸63bの後側の角軸部に一体回転するように嵌合し
たハブの外周部に一体回転且つ軸方向にスライド自在に
係合して組み付けられ、また、該回転ディスク64a…
と制動ディスク64b…が一枚づつ交互に軸心方向に重
なるように組付けられている。制動ディスク64b…
は、ミッション8のケ−ス内側に回転不能にピン64c
…で取り付けられている。そして、これらディスクとク
ラッチ作動体63eの後端側のカラ−部との間に、皿状
のブレ−キ作動部材64dが出力軸63bに回転自在に
組付けられ、更に、そのブレ−キ作動部材64dは、ク
ラッチ作動体63eが後側にシフトするときにともに後
側へ押しやられるように設けられている。よって、前記
サイドクラッチ装置63のクラッチ作動体63eがサイ
ドクラッチ作動軸63により後側にシフトする(伝動を
断つように作動する)と、ブレ−キ作動部材64dが回
転ディスク64a…と制動ディスク64b…を圧接状態
となるように押圧作用して、出力軸63bの回転が制
動、停止される。
【0022】上記のように、後輪7、7への伝動機構
を、後輪デフロック装置65を備えた後輪デフ61を設
け、更にその後輪デフ61から左右の後輪7、7への伝
動経路上に伝動を断続するサイドクラッチ装置63、6
3を設けた構成にしたので、サイドクラッチ式後輪駆動
モ−ドとデフ式後輪駆動モ−ドの2モ−ドの後輪駆動構
成を備えたものとなり、それぞれ適宜切り替えて用いる
ことができる。サイドクラッチ式後輪駆動モ−ドにする
ときは、後輪デフロックレバ−26で後輪デフ61が差
動不能状態になるように切り替える。この場合、左右の
後輪クラッチ・ブレ−キペダル29a、29bは、独立
に操作可能なサイドクラッチペダルとして用いられる。
このモ−ドへは、水田圃場内で作業走行するときに切り
換える。直進時は後輪デフロック状態であるから直進性
が良く、また、旋回時は左右一方の後輪への伝動を断っ
て旋回するので他方側の後輪が適度な回転数で回転して
圃場を荒らし過ぎることはない。また、デフ式後輪駆動
モ−ドにするときは、後輪デフロックレバ−26で後輪
デフ61が差動可能状態になるように切り換える。この
場合、左右の後輪クラッチ・ブレ−キペダル29a、2
9bは連結されて一緒に踏み込み操作されるようにし
て、後輪ブレ−キペダルとして用いられる。このモ−ド
には、圃場外で走行するとき即ち路上走行するときに切
り換える。後輪デフ61が差動可能状態だから、カ−ブ
を曲がるときも滑らかに走行できる。
【0023】また、上記後輪駆動構成において、後輪デ
フ61を前輪デフ62の前側に設けたので、前輪6、6
の位置に対してミッション8が全体的に前側寄りに配さ
れることになって、車体側重心が前側寄りになる。乗用
田植機1は、後側に苗植付作業機4を装着しているの
で、走行車体2側の車体重心はできるだけ前側寄りにな
るようにすると前後バランスがよくなるが、この構成は
その点で有利である。
【0024】更にまた、前記サイドクラッチ装置63、
63を前輪デフ62から左右両側に延びる前輪差動軸6
2b、62bの上側に交叉させて設けたので、ミッショ
ン8の後端が後側に出っ張ってミッション8が全体的に
後側に長くなるのを回避することができて、前記構成に
よる前後バランスでの利点を活かしつつ、後輪サイドク
ラッチ駆動構成を装備することができる。尚、サイドク
ラッチ装置63、63を後輪デフ61から左右両側に延
びる後輪差動軸61b、61bの軸心方向に設けると、
ミッション8の左右幅が大きくなってしまう欠点があ
る。
【0025】以上のように、乗用田植機の走行車体をに
おいて、サイドクラッチ装置63、63を前輪デフ62
から左右両側に延びる前輪差動軸62b、62bの上側
に交叉させて設けたので、サイドクラッチ式後輪駆動構
成を装備しつつ、ミッション8を全体的に前寄りに配置
でき且つミッション8が後側に長くなるのを回避して、
機体全体の前後バランスを良好に構成することができ
る。
【0026】
【発明の効果】乗用田植機の走行車体をにおいて、サイ
ドクラッチ装置63、63を前輪デフ62から左右両側
に延びる前輪差動軸62b、62bの上側に交叉させて
設けたので、サイドクラッチ式後輪駆動構成を装備しつ
つ、ミッション8を全体的に前寄りに配置でき且つミッ
ション8が後側に長くなるのを回避して、機体全体の前
後バランスを良好に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用田植機の側面図。
【図2】乗用田植機の走行車体の伝動構成を示す平面
図。
【図3】ミッション内の伝動構成を示す断面平面図。
【図4】ミッション内の伝動要素の位置関係を示す側面
図。
【図5】サイドクラッチ装置と後輪ブレ−キ装置の構成
を示す側面図(軸心から下側は上下断面端面図)。
【図6】ミッション内の作業機系への伝動構成を示す断
面平面図。
【図7】(a)苗植付作業機の一部を示す側面図。 (b)作溝器の底面図
【図8】(a)作溝器の断面側面図 (b)作溝器の背面図
【図9】(a)別の作溝器の断面側面図 (b)別の作溝器の背面図
【符号の説明】
1:乗用田植機 2:走行車体 3:昇降リンク装置 4:苗植付作業機4 5:施肥装置 6、6:前輪 7、7:後輪 8:ミッション E:エンジン 61:後輪デフ 62:前輪デフ 62b、62b:前輪差動軸 63、63:サイドクラッチ装置 64、64:後輪ブレ−キ装置 65:後輪デフロック装置 66:前輪デフロック装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新山 裕之 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 清家 理伯 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 山崎 仁史 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 神谷 寿 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 草本 英之 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 審査官 田々井 正吾 (56)参考文献 特開 平3−99941(JP,A) 特開 平4−123934(JP,A) 実開 昭60−183629(JP,U) 実開 昭56−73934(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 17/00 - 17/36

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンと、該エンジンから動力が伝達
    されるミッションと、該ミッション内に入力された動力
    がミッション内の前輪デフを介して伝達される左右一対
    の前輪と、前記ミッション内に入力された動力がミッシ
    ョン内の後輪デフを介して伝動される左右一対の後輪と
    を備え、更に、前記後輪デフを差動可能状態と差動不能
    状態に切り換えるデフロック装置を設けるとともに、前
    記後輪デフから左右後輪への伝動経路上に伝動を断続す
    るサイドクラッチ装置を設けた乗用田植機の走行車体に
    おいて、前記後輪デフを前記前輪デフの前側に設け、前
    記前輪デフから左右両側に延びる左右前輪差動軸と前記
    サイドクラッチ装置とが上下に位置するように設けたこ
    とを特徴とする乗用田植機の走行車体。
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