JP3617250B2 - 乗用作業機 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、乗用型田植機や農用トラクター等の乗用作業機に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、変速レバーの操作荷重は全操作域で同じであった。
そこで、作業性を良くする為に操作荷重を小さくすると、他のレバーを操作していて誤って手や肘が変速レバーに触れてしまって操作されるような場合や機体の振動による変速レバーが移動してしまう場合があり、不意に高速になって非常に危険である。逆に、操作荷重を大きくすると、作業性が悪くなるという問題点があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
この発明は、従来の課題を解決するために、後進状態に切替操作できる主変速レバー10bと変速装置23を操作して機体の速度を変更する副変速レバー140とを設け、副変速レバー140の操作ガイド溝201部に左右板バネ202を設け、主変速レバー10bが後進に操作されるとON状態となるマイクロスイッチ208を設け、該マイクロスイッチ208のON状態にて左右ソレノイド207の作動ピン209が突出して前記左右板バネ202の間隔を高速側程狭く構成して副変速レバー140の低速側の操作荷重よりも高速側の操作荷重が大きくなる構成とした乗用作業機としたものである。
【0004】
【発明の作用効果】
この発明は、主変速レバー10bが後進に操作されるとON状態となるマイクロスイッ
チ208を設け、該マイクロスイッチ208のON状態にて左右ソレノイド207の作動ピン209が突出して前記左右板バネ202の間隔を高速側程狭く構成して副変速レバー140の低速側の操作荷重よりも高速側の操作荷重が大きくなる構成としたので、後進での不意の高速側への変速が防止され、且つ、意識的に変速操作する場合も、操縦者は高速側に操作していることの認識ができるので誤操作の防止にも役立ち、非常に変速操作性に優れたものとなる。
【0005】
【実施例】
この発明の一実施例である乗用型田植機を図面に基づき詳細に説明する。
この乗用型田植機1は、乗用走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して10条植えの苗植付部4を昇降可能に装着すると共に、乗用走行車体2の後部に施肥装置5を装着し、全体で施肥装置付き乗用型田植機として構成されている。
【0006】
走行車体2は、駆動輪である左右各一対の前輪及び後輪を備えた四輪駆動車両である。機体の前部にミッションケース10が配され、該ミッションケースの左右側方に前輪ファイナルケース13・13が設けられ、その前輪ファイナルケースから外向きに突出する前輪車軸に前輪7・7が取り付けられている。また、ミッションケース10の背面部に前端部が固着されたメインフレーム15の後端左右中央部に後輪ローリング軸17が軸心を前後水平に向けて固定状態で嵌合させてあり、その後輪ローリング軸17にローリング自在に支持される後輪フレーム18の左右端部に後輪ギアケース19・19が設けられ、その後輪ギアケースから外向きに突出する後輪車軸に主後輪8・8が取り付けられている。更に、後輪車軸の外側に固着した延長後輪車軸に補助後輪8a・8a,8b・8bが取り付けられている。
【0007】
エンジン20は前記メインフレーム15の上に搭載されている。エンジン20の左側面に突出する第一出力軸20aに取り出される回転動力は、第一ベルト伝動装置21によって、ミッションケース10の上に設けた油圧ポンプ22の駆動軸22aへ伝達され、更に、変速装置としての無段変速式の第二ベルト伝動装置23によって、油圧ポンプ駆動軸22aからミッションケース入力軸10aへ伝達される。また、エンジン20の右側面に突出する第二出力軸20bに取り出される回転動力が、第三ベルト伝動装置24によって、エンジン20の上に取り付けたオルタネータ25に伝達される。
【0008】
ミッション入力軸10aよりミッションケース10に入力された回転動力は、該ケース内のトランスミッションで路上走行や圃場間の移動時に変速操作される高速走行用の移動速と田植作業に適した作業速と後進とに主変速レバー10bにて変速操作された後に前輪駆動用動力と後輪駆動用動力として出されると共に、苗植付部駆動用動力に分けられる(主変速レバー10bの操作位置は、図11参照)。前輪駆動用動力は、前輪ファイナルケース13・13に伝達され、前輪7・7を駆動する。後輪駆動用動力は、伸縮自在な後輪駆動軸26・26を介して後輪ギアケース19・19に伝達され、主後輪8・8及び補助後輪8a・8a,8b・8bを駆動する。また、苗植付部駆動用動力は、植付伝動軸27を介して植付クラッチ(図示せず)に伝達され、それから苗植付部4の伝動ケース60と施肥装置5の繰出器111…に伝達される。
【0009】
無段変速装置である第二ベルト伝動装置23は図4に示す構成となっている。
油圧ポンプ駆動軸22aに嵌着する駆動側割りプーリ120とミッションケース入力軸10aに主クラッチCを介して嵌着する従動側割りプーり121とに伝動ベルト122が掛けられている。従動側割りプーリ121の一方の構成部材121aはミッションケース入力軸10aに固定、他方の構成部材121bはミッションケース入力軸10aに対して軸方向に摺動自在となっていて、その可動構成部材121bは軸受123を介して相互回転自在な変速操作カム124によって位置規制されている。変速操作カム124の外面側には円周方向に傾斜状となった突条124a・124aが形成されており、その突条124a・124aが固定カム125に設けたロ−ラ125a・125aに当接している。そして、変速操作カム124のアーム124bに、変速比調節手段である変速操作ロッド126が連結されている。この変速操作ロッド126を前後(紙面の上下方向)に移動させると、変速操作カム124が回動してローラ125a・125aへの突条124a・124aの接点が変わり、変速操作カム124とそれに位置規制されている可動構成部材121bが伝動ベルト122の張力に応じて軸方向へ移動することにより、従動側割りプーリ121の有効径が変化する。
【0010】
また、駆動側割りプーリ120の一方の構成部材120aは油圧ポンプ駆動軸22aに固定、他方の構成部材120bは油圧ポンプ駆動軸22aに対して軸方向に摺動自在となっていて、その可動構成部材120bは軸受127を介して相互回転自在な変速操作カム128によって位置規制されている。変速操作カム128の外面側には円周方向に傾斜状となった突条128aが形成されており、その突条128aにミッションケース10の外面部に設けたローラ129が当接している。そして、従動側変速操作カム124のもうひとつのアーム124cと駆動側変速操作カム128のアーム128bとが連結部材130で連結されている。これにより、従動側割りプーリ121の有効径が大きくなるときには駆動側割りプーリ120の有効径が小さくなり、従動側割りプ−リ121の有効径が小さくなるときには駆動側割りプーリ120の有効径が大きくなるようになっている。
【0011】
次に、この第二ベルト伝動装置23の操作部について説明する(図5〜図7参照)。
変速レバーとしての副変速レバー140は、該レバーの基部に固着の筒状体141にてレバー軸142の右(紙面では左)端部に回転自在かつ軸方向に摺動自在に嵌合している。レバー軸142は、機体フレームに固定したレバー軸支持筒143に回動自在に支承されている。副変速レバー140を右方向に少しずらし、筒状体141の外周面から挿入させたセットボルト144の先端部をレバー軸142の切欠部142aに係合させると、副変速レバー140とレバー軸142が一体回転するようになる。
【0012】
筒状体141には電動操作アーム146が一体に設けられている。この電動操作アーム146の回動量は、レバー軸支持筒143と一体の右プレート147に取り付けられている副変速レバー位置検出用ポテンショメータPM1に検出される。右プレート147には右向きに突出する電動操作用ストッパピン148が設けられ、そのストッパピンの先端部が、電動操作アーム146に形成されているレバー軸142の軸心を中心とする円弧状の電動時レバーストローク規制用ピン穴146aに係合している。なお、セットボルト144が切欠部142に係合する位置へ副変速レバー140をずらした状態では、ポテンショメータPM1の検出アームが電動操作アーム146から外れ、電動操作アーム146の回動量が検出されなくなると共に、ストッパピン148がピン穴146aから外れる。
【0013】
また、レバー軸142には電動操作アーム146と右プレート147の間に手動操作用アーム150が一体に設けられ、その手動操作用アーム150から左(紙面では右)向きに突出する手動操作用ストッパピン151の先端部が、右プレート147に形成されているレバー軸142の軸心を中心とする扇形の手動時レバーストローク規制用ピン穴147aに係合している。電動時レバーストローク規制用ピン穴146aの角度θ1よりも、手動時レバーストローク規制用ピン穴147aの角度θ2の方が大きく設定されている。
【0014】
電動操作アーム146の手動操作用アーム側の面には第一ブレーキライニング152が貼着されており、第一摩擦力調節ナット153の締め具合を調節することにより、電動操作アーム146と手動操作用アーム150との間に適度な摩擦力を持たせられるようになっている。また、右プレート147の手動操作用アーム側の面には第二ブレーキライニング154が貼着されており、第二摩擦力調節ナット155の締め具合を調節することにより、右プレート147と手動操作用アーム150との間に適度な摩擦力を持たせられるようになっている。更に、電動操作用ストッパピン148には第三摩擦力調節ナット156によって第三ブレーキライニング157が取り付けられるようになっており、第三摩擦力調節ナット156の締め具合を調節することにより、電動操作アーム146と右プレート147との間に適度な摩擦力を持たせられるようになっている。
【0015】
レバー軸142の左端部にはボス160が回転不可能に取り付けられており、そのボス160に一体成形されている回動プレート161の先端部に前記変速操作ロッド126の一端部が連結されている。この回動プレート161の回動量はレバー軸支持筒143と一体の左プレート163に取り付けた回動プレート位置検出用ポテンショメータPM2に検出される。
【0016】
また、左プレート163には、電動アクチュータとしての電動モータ165が取り付けられている。このモータ165の出力軸に取り付けたピニオン166と左プレート163に設けたギア取付軸167に取り付けられているカウンタギア168とが噛み合い、更に該カウンタギアと一体の小ギア169とボス160に一体成形されている扇形ギア170とが噛み合っている。カウンタギア168及び小ギア169はギア取付軸167に軸方向に摺動可能に取り付けられており、両ギア168・169を左プレート163側に移動させることにより、ピニオン166とカウンタギア168の噛み合い、及び小ギア169と扇形ギア170の噛み合いが外れる。
【0017】
第二ベルト伝動装置23の操作部は以上の構成で、次に示す3種の操作方式のうちいずれかを選択する。
(1)電動操作方式1
副変速レバー140を左寄りに位置させ、ポテンショメータPM1の検出アームを電動操作アーム146に連係させると共に、ストッパピン148が電動操作アーム146のピン穴146aに係合する状態にする。また、ピニオン166とカウンタギア168、及び小ギア169と扇形ギア170をそれぞれ噛み合わさせる。そして、ポテンショメータPM1によって検出される副変速レバー位置とポテンショメータPM2によって検出される回動プレート位置が対応するように、図示しない制御装置による制御でモータ165を駆動してレバー軸142を回動させ、第二ベルト伝動装置23を作動する。
【0018】
この時、第二ブレーキライニング154と第三ブレーキライニング157を利かせ、第一ブレーキライニング152が利かない状態にしておくと、副変速レバー140とレバー軸142が互いにフリーの関係にあるので、レバー軸142の回動が副変速レバー140に影響を与えず、副変速レバー140の操作位置に応じた任意の変速比に第二ベルト伝動装置23が作動される。
【0019】
(2)電動操作方式2
電動操作方式1と同様に、ポテンショメータPM1・PM2の検出結果に基づいてモータ165を駆動してレバー軸142を回動させる。この時、第一ブレーキライニング152と第二ブレーキライニング154を利かせ、第三ブレーキライニング157が利かない状態としておくと、レバー軸142の回動に伴い手動操作用アーム150につられて電動操作アーム146も回動するので、副変速レバー140を「高速」側または「低速」側に少しでも操作すると、操作した側のレバーストローク(角度θ1)の端まで副変速レバー140が自動的に回動する。したがって、副変速レバー140を「高速」側に少し操作しただけで第二ベルト伝動装置23が「最高速」の状態に作動されると共に、副変速レバー140を「低速」側に少し操作しただけで第二ベルト伝動装置23が「最低速」の状態に作動される。
【0020】
(3)手動操作方式
第三ブレーキライニング157を取り外した上で、副変速レバー140を右側にずらし、セットボルト144にて副変速レバー140とレバー軸142を直結する。また、ピニオン166とカウンタギア168、及び小ギア169と扇形ギア170の噛み合いを外す。第二ブレーキライニング154は利かせ、第一ブレーキライニング152は利かない状態としておく。この状態では、副変速レバー140の操作力がレバー軸142へ直接伝達され、その副変速レバー140の操作位置に応じた任意の変速比に第二ベルト伝動装置23が作動される。電動操作方式1または電動操作方式2と自動操作方式とではレバーストロークが異なるが、電動操作方式1または電動操作方式2における「最高速」及び「最低速」と、自動操作方式における「最高速」及び「最低速」とが一致するように設定されている。
【0021】
通常は電動操作方式1または電動操作方式2によって変速操作を行う。電気系統が故障した場合等の非常時には、手動操作方式に切り替えることにより、変速操作が可能となり、植付作業や走行を継続することができる。自動操作方式の時のレバーストローク(角度θ2)は電動操作方式1または電動操作方式2の時のレバーストローク(角度θ1)よりも大きく設定されているため、比較的小さな力でも副変速レバー140を操作することができ、操作が容易である。
【0022】
ところで、副変速レバー140は、図12にて示すように、その操作ガイド溝201部に設けられた左右板バネ202・202にて高速側に操作されるに従って順次大きな操作力が必要とするように構成されている。即ち、左右板バネ202・202は、その高速側の基端がピン203・203に軸支され低速側の端部が操作ガイド溝201の側壁に接当して設けられており、且つ、左右板バネ202・202の間隔は、高速側程狭くなるように構成されている。
【0023】
前述のように、電動操作方式1及び電動操作方式2の場合、第二ベルト伝動装置23はモータ165にて変速されるために、副変速レバー140は非常に軽い操作力(操作荷重が小さい)で第二ベルト伝動装置23を変速操作することができ、田植作業時には非常に作業性が良いのであるが、あまりにも副変速レバー140の操作荷重が小さ過ぎると、誤った高速側への操作(例えば、他のレバーを操作していて誤って手や肘が副変速レバー140に触れてしまって操作されるような場合)や機体の振動による副変速レバー140の移動にて、不意に高速になると危険である。ところが、前記のように、副変速レバー140は左右板バネ202・202にて高速側に操作されるに従って順次大きな操作力が必要とするように(順次操作荷重が大きくなる)構成されているので、このような不意の高速側への変速が防止され、且つ、高速側に操作されるに従って順次大きな操作力が必要とするので、意識的に変速操作する場合も、操縦者は高速側に操作していることの認識ができるので、誤操作の防止にも役立つ。
【0024】
また、図13は副変速レバー140を操作する際に高速側になる程段階的に大きな操作力が必要となる他の例を示し、左右板バネ202・202の間隔が段階的に狭くなるように構成されている。尚、204・204は左右板バネ202・202の間隔が広くなるのを規制する方向に作用する補助板バネであって、基端がピン204・204に軸支され他端が操作ガイド溝201の側壁に接当して設けられている。このようにすると、変速操作する場合、操縦者は操作力の変化にて変速位置が認識できるので、一々副変速レバー140の操作位置を見なくても必要とする作業速度に操作できて作業性が良い。
【0025】
一方、この乗用型田植機1には苗植付部4を昇降させる植付・ポジションレバー180とフィンガアップレバー181が設けられているが、これらのレバー操作に連動して車速制御する構成としてもよい。
まず、植付・ポジションレバー180の操作に連動して車速制御する構成について説明する。
【0026】
図8に示すように、植付・ポジションレバー180の操作位置には、「ポジション」「自動」「植える」の各操作位置があり、植付・ポジションレバー180を「ポジション」の範囲内に操作するとその位置に応じた高さに苗植付部4が昇降する上昇モードまたは下降モードとなり、「自動」に操作すると苗植付部4の対地高さを一定に維持する昇降自動モードとなる。また、「植える」「自動」及び「ポジション」の下部に操作すると植付クラッチが「入」となり、「ポジション」の上部に操作すると植付クラッチが「切」となる。
【0027】
この植付・ポジションレバー180を「自動」から「ポジション」に操作すると、副変速レバー140の操作位置にかかわらず第二ベルト伝動装置23が所定の速度、例えば「最低速」に自動的に減速され、また植付・ポジションレバー180を「ポジション」から「自動」に操作すると、第二ベルト伝動装置23が副変速レバー140の操作位置に応じた速度になるまで自動的に増速するように制御される。これにより、畦際まで苗を植付けながら圃場から出る場合や、バックしながら苗植付部4を畦に合わせる場合に、植付・ポジションレバー180を「ポジション」に操作して苗植付部4を少し上昇させると自動的に減速されるため、これらの作業を安全に行うことができる。なお、これらの作業を行う際には苗植付部4を少し上昇させるだけであるので、自動減速する制御範囲を「ポジション」操作位置の下部だけに限定しておいても充分である。
【0028】
次に、フィンガアップレバー181の操作に連動して車速制御する構成について説明する。
フィンガアップレバー181は「上げ」と「下げ」に指操作で切り替えるようになっており、植付・ポジションレバー180が「自動」に操作されている時に、フィンガアップレバー181を「上げ」に操作すると苗植付部4が最上位置まで上昇し、「下げ」に操作すると昇降自動モードに戻る。
【0029】
このフィンガアップレバー181を「上げ」にすると、副変速レバー140の操作位置にかかわらず第二ベルト伝動装置23が所定の速度、例えば「最低速」に自動的に減速され、またフィンガアップレバー181を「下げ」にすると、第二ベルト伝動装置23が副変速レバー140の操作位置に応じた速度になるまで自動的に増速するように制御される。図9はその制御のフローチャートである。このように、フィンガアップレバー181に連動して車速制御する構成とすると、植付クラッチが「入」の状態で苗植付部4を上昇させた時のみ自動減速されるので、路上走行時等における不必要な自動減速を防止することができる。
【0030】
185は左右後輪8・8用のデフロックレバーであって、図14の解除の位置に操作するとデフ作動状態となり、デフロックの位置に操作するとデフがロックされて左右後輪が同一回転駆動状態となる。
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前側には床面から上方に突出するフロントカバー32が配設され、そのフロントカバーの上方に操向用ハンドル33が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の周辺部には、副変速レバー140、植付・ポジションレバー180、フィンガアップレバー181等の各種レバー、各種ペダル等が設けられている。また、座席31の右側方には制御ボックス34が設けられている。
【0031】
エンジンカバー30及びフロントカバー32の左右両側とエンジンカバー21の後側は、操縦者の通路となるメインステップ40になっている。メインステップのエンジンカバー後側部分40aは、主後輪8・8と干渉しないように高くなっている。また、メインステップ40の左右両側には、メインステップ40とほぼ同レベルで拡張ステップ41・41が設けられている。拡張ステップ41・41の後部41a・41aも、主後輪8・8及び補助後輪8a・8a,8b・8bと干渉しないように高くなっている。拡張ステップ41・41は、機体のフレームから側方に突出させて設けた前ステップフレーム42・42と後ステップフレーム43・43の上に支持されている。更に、拡張ステップ41・41の外端下側には機体左右側から拡張ステップに乗り降りするときに使用する側部足掛け44・44が、前ステップフレーム42・42には機体前側から拡張ステップに乗り降りするときに使用する前部足掛け45・45がそれぞれ取り付けられている。なお、拡張ステップ41・41の外側部分は取り外し可能になっており、機体運搬時や格納時にはこの部分を側部足掛け44・44と共に取り外すことにより、機体の左右幅を縮小することができるようになっている。
【0032】
機体の左右側方部には、線引きマーカ47・47が起立・転倒切替可能に設けられている。次行程で機体が通る側の線引きマーカ47が転倒し、次行程における機体の左右中心位置を表土面に線引きする。
昇降リンク装置3は、メインフレーム15の後端部に固定して設けたリンクベース50に回動自在に取り付けられている上リンク51及び下リンク52・52を備え、これら上下リンクの後端部に縦リンク53が連結されている。そして、縦リンク53の下端部から後方に突出する軸受部に苗植付部側に固着した連結軸54が回転自在に挿入連結され、苗植付部4が連結軸54を中心にしてローリング自在に装着される。基部側がメインフレーム15に固着した支持部材に枢支され、ピストンロッド側が上リンク51の基部に一体に設けたスイングアーム57の下端部に連結されている油圧シリンダ56を伸縮させると、昇降リンク装置3が昇降作動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。油圧シリンダ56は走行車体2に設けた油圧バルブ58によって切替制御される。
【0033】
苗植付部4は10条植えの構成で、フレームを兼ねる伝動ケース60、苗を載せておく苗載台70、該苗載台上の苗を圃場に植え付ける植付条数分の苗植付装置80…、苗植付けに先行して泥面を整地するフロート90…等を備えている。
伝動ケース60は、左右中央部に位置する苗載台駆動ケース61の背面に植付伝動ケース62−3の前端部を固着し、また苗載台駆動ケース61の左右側面に第一連結パイプ63・63の内端部を固着し、その第一連結パイプ63・63の外端部に植付伝動ケース62−2・62−4の前部内面を固着し、その植付伝動ケース62−2・62−4の前部外面に第二連結パイプ64・64の内端部を固着し、その第二連結パイプ64・64の外端部に植付伝動ケース62−1・62−5の前部内面を固着している。伝動ケース60の上側に苗載台70が支持されていると共に、各植付伝動ケース62−1〜62−5の後部両側に苗植付装置80−1〜80−10が取り付けられている。
【0034】
苗載台70は、前側が上位となるよう傾斜して設けられており、左右に長い支持レール71と苗載台支持フレーム72の上端部に取り付けたローラ73…によって支持され、左右に滑動自在となっている。苗載台70は植付条数分の苗載部70−1〜70−10に仕切られており、各苗載部ごとに苗を下方へ送る苗送りベルト75…が設けられている。また、苗載台70の下端部に隣接して、各条の苗載部に対応させてコ字状に切り欠かれた苗分割口76…が形成された苗受板77が支持レール71と一体に設けられている。また、各苗載部の上端部には、苗補給時に苗を苗載部に導くための延長苗載部78…が取り付けられている。
【0035】
苗植付装置80は、植付伝動ケース62の後部に回転自在に支承されている植付駆動軸81に一体に取り付けられた回転ケース82と、該回転ケースの両端側部に取り付けられた一対の植付具83・83とからなる。回転ケース82内の伝動機構により植付具83・83が回転ケース82の回転方向と逆方向に回転し、植付具に固定したフォーク状の苗分離爪の先端が上下に変形楕円状の閉軌跡を描くよう作動する。これにより、苗分離爪が苗載台70の苗分割口76…に供給された苗を分離して保持し、それを泥面に植え付ける。
【0036】
フロート90…としては、外側から4番目と5番目の苗植付条PL4・PL5(或はPL7・PL6)を整地するセンターフロート90C・90Cと、外側から3番目の苗植付条PL3(或はPL8)を整地するミッドフロート90M・90Mと、外側から1番目と2番目の苗植付条PL1・PL2(或はPL10・PL9)を整地するサイドフロート90S・90Sとを備えている。植付伝動ケース62…の下側に回動自在に左右横向きに支持されているフロート支持パイプ91にフロート支持アーム92…が一体に設けられ、そのフロート支持アーム92…の後端部に左右方向の枢支軸93…によって各フロート90…が回動自在に支持されている。植付深さ調節レバー(図示せず)を操作してフロート支持パイプ91を回動させると、各フロート90…の上下位置が変わり、苗の植付深さが調節される。
【0037】
左右一対のセンターフロート90C・90Cは一体に上下揺動するように連結板98にて連結されており、両フロートの水平面に対する角度(フロート向い角)が対地高さ検出機構99を介してフロート向い角センサ100に検出される。そして、その検出結果に基づいて前記油圧バルブ58が駆動される。例えば、表土面が高くなっているところでは、センターフロート90C・90Cの前部が押し上げられ、フロート向い角が小さく検出される。すると、油圧シリンダ56を突出作動させるように油圧バルブ58に出力指令を出し、苗植付部4を上昇させる。また、表土面が低くなっているところでは、センターフロート90C・90Cの前部が下がるので、向い角が大きく検出される。すると、油圧シリンダ56を収縮作動させるように油圧バルブ58に出力指令を出し、苗植付部4を下降させる。このように、圃場表土面の高低に応じて苗植付部4の対地高さを制御することにより、苗の植付深さを一定に維持する。
【0038】
なお、この乗用型田植機の苗植付部4は機体運搬時や格納時に左右幅を縮小できるようになっている。苗載台70は、中央8条の部分70−3〜8は一体に設けられているが、外側2条部分70−1・2・70−9・10はこれとは別体に設けられ、その外側2条部分が上側に折りたたまれる。支持レール71と苗受板77の外端部も苗載台70の側面に沿って折り曲げられる。伝動ケース60は第二連結パイプ64・64の中間部を回動支点として上側に折り曲げられ、最外側の植付伝動ケース62−1・62−5とそれに取り付けられている苗植付装置80−1・80−2・80−9・80−10が上側に移動される。フロート支持パイプ91はミッドフロート90M・90Mを支持するフロート支持アーム92・92の取付部とサイドフロート90S・90Sを支持するフロート支持アーム92・92の取付部の中間部で折り曲げ可能になっており、伝動ケース60を折り曲げると、それに連動してフロート支持パイプ91も折れ曲がり、サイドフロート90S・90Sが上側に回動する。
【0039】
施肥装置5は、肥料を貯蔵する肥料ホッパ110…と、該肥料ホッパ内の肥料を順次下方に繰り出す繰出器111…と、圃場の苗植付用溝に臨んで設けられた施肥ガイド112…と、前記繰出器111…と前記施肥ガイド112…とを結ぶフレキシブルな施肥ホース113…とを備え、ブロア114によって各施肥ホース113…内に吹き込まれる圧風の作用で繰出器111…から繰り出される肥料を施肥ガイド112…へ搬送し、作溝具115…によって表土面に形成される施肥用の溝に落し込むようになっている。ブロア114を駆動するモータ116は、前記オルタネータ25で発生させた電気によって回転する。肥料ホッパは中央6条分の肥料を貯蔵する中央肥料ホッパ110Aと外側2条分の肥料を貯蔵する左・右肥料ホッパ110B・110Bとを備え、機体の左右幅縮小時には左・右部肥料ホッパ110B・110Bを前方に回動させるようになっている。
【0040】
最後に異なる副変速レバー140を図15に基づいて説明すると、副変速レバー140は、その基部回動支点部に周知の皿バネやゴム等の付勢手段で回動抵抗を与えておき、他のレバーを操作していて誤って手や肘が副変速レバー140に触れてしまって誤って操作されるようなことや機体の振動による副変速レバー140の移動にて不意に高速になるような不意の高速側への変速を防止するように構成している。そして、左右板バネ202・202の基端が軸支されている左右ピン203・203をガイド溝206・206に沿って移動可能とし、その左右ピン203・203を各々左右ソレノイド207・207にて移動させる構成となっている。即ち、図11に示すように主変速レバー10bが移動速に操作されるとON状態となるマイクロスイッチ208を設けて、このマイクロスイッチ208のON状態にて前記左右ソレノイド207・207に通電されて左右ソレノイド207・207の作動ピン209・209が突出動して、左右板バネ202・202が図15の実線の状態から点線の状態になる。
【0041】
従って、主変速レバー10bが圃場内の田植作業時に主に操作されている作業速と後進位置では、副変速レバー140は軽い操作力で変速操作することができ、田植作業時には非常に作業性が良い。また、主変速レバー10bが路上走行や圃場間の移動時に変速操作される高速走行用の移動速位置では、副変速レバー140は左右板バネ202・202にて高速側に操作されるに従って順次大きな操作力が必要とするように構成されているので、不意の高速側への変速が防止され、且つ、高速側に操作されるに従って順次大きな操作力が必要とするので、意識的に変速操作する場合も、操縦者は高速側に操作していることの認識ができるので、誤操作の防止にも役立つ。
【0042】
また、上記マイクロスイッチ208と同じものを主変速レバー10bが後進に操作されるとON状態となるように設けて、主変速レバー10bの後進位置で副変速レバー140が左右板バネ202・202にて高速側に操作されるに従って順次大きな操作力が必要とするように構成すると良い。その場合は、後進での副変速レバー140の不意の高速側への変速が防止され、安全である。
【0043】
更に、上記マイクロスイッチ208と同じものをデフロックレバー185が解除の位置に操作されるとON状態となるように設けて、デフロックレバー185の解除位置で副変速レバー140が左右板バネ202・202にて高速側に操作されるに従って順次大きな操作力が必要とするように構成しても良い。その場合は、デフロックレバー185を解除の位置にするのは路上走行時であるから、路上走行時に副変速レバー140が不意に高速側へ変速されることが防止され、安全である。また、圃場内で田植作業を行う場合にはデフロックレバー185はデフロック位置に操作されていることが多いので、副変速レバー140は軽い操作力で変速操作することができ、田植作業時には作業性が良い。
【0044】
更に、上記マイクロスイッチ208と同じものをスロットルレバー186が高速側に操作されるとON状態となるように設けて、スロットルレバー186の高速側への操作で副変速レバー140が左右板バネ202・202にて高速側に操作されるに従って順次大きな操作力が必要とするように構成しても良い。その場合は、スロットルレバー186が高速側に操作されている場合に不意に副変速レバー140が高速側へ変速されることが防止され、安全である。
【0045】
更に、上記マイクロスイッチ208と同じものをフィンガアップレバー181が上げに操作されるとON状態となるように設けて、苗植付部4を上昇させた状態(圃場の出入り時・車両への積込時等)で、副変速レバー140が不意に高速側へ変速されることを防止するようにしても良い。
更に、上記マイクロスイッチ208と同じものを植付・ポジションレバー180が植え
るの操作位置に操作されるとOFF状態となり、他の操作位置ではON状態となるように設けて、植付・ポジションレバー180による苗植付け時には副変速レバー140が軽い操作力で変速操作することができ、植付・ポジションレバー180による機体旋回時等の非植付け時には副変速レバー140が不意に高速側へ変速されることが防止されるようにして、作業性及び安全性を向上しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用型田植機の全体側面図である。
【図2】乗用型田植機の全体平面図である。
【図3】走行車体の一部を省略した平面図である。
【図4】無段変速装置の平面断面図である。
【図5】無段変速装置の操作部の正面図で、(a)は電動操作方式の状態、(b)は手動操作方式の状態を表している。
【図6】図5のS1−S1面図である。
【図7】図5のS2−S2面図である。
【図8】植付・ポジションレバーの操作位置を示す図である。
【図9】車速制御のフローチャートである。
【図10】苗植付部等の一部を省略した平面図である。
【図11】主変速レバーの操作位置を示す図である。
【図12】副変速レバーの要部拡大平面図である。
【図13】副変速レバーを示す要部拡大平面図である。
【図14】デフロックレバーの操作位置を示す図である。
【図15】副変速レバーを示す要部拡大平面図である。
【符号の説明】
1 乗用型田植機(乗用作業機)
2 走行車体
3 昇降リンク装置
4 苗植付部
5 施肥装置
10 ミッションケース
10b 主変速レバー
20 エンジン
23 第二ベルト伝動装置(無段変速装置)
140 副変速レバー
201 操作ガイド溝
202 左右板バネ
207 左右ソレノイド
208 マイクロスイッチ
209 作動ピン
【産業上の利用分野】
この発明は、乗用型田植機や農用トラクター等の乗用作業機に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、変速レバーの操作荷重は全操作域で同じであった。
そこで、作業性を良くする為に操作荷重を小さくすると、他のレバーを操作していて誤って手や肘が変速レバーに触れてしまって操作されるような場合や機体の振動による変速レバーが移動してしまう場合があり、不意に高速になって非常に危険である。逆に、操作荷重を大きくすると、作業性が悪くなるという問題点があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
この発明は、従来の課題を解決するために、後進状態に切替操作できる主変速レバー10bと変速装置23を操作して機体の速度を変更する副変速レバー140とを設け、副変速レバー140の操作ガイド溝201部に左右板バネ202を設け、主変速レバー10bが後進に操作されるとON状態となるマイクロスイッチ208を設け、該マイクロスイッチ208のON状態にて左右ソレノイド207の作動ピン209が突出して前記左右板バネ202の間隔を高速側程狭く構成して副変速レバー140の低速側の操作荷重よりも高速側の操作荷重が大きくなる構成とした乗用作業機としたものである。
【0004】
【発明の作用効果】
この発明は、主変速レバー10bが後進に操作されるとON状態となるマイクロスイッ
チ208を設け、該マイクロスイッチ208のON状態にて左右ソレノイド207の作動ピン209が突出して前記左右板バネ202の間隔を高速側程狭く構成して副変速レバー140の低速側の操作荷重よりも高速側の操作荷重が大きくなる構成としたので、後進での不意の高速側への変速が防止され、且つ、意識的に変速操作する場合も、操縦者は高速側に操作していることの認識ができるので誤操作の防止にも役立ち、非常に変速操作性に優れたものとなる。
【0005】
【実施例】
この発明の一実施例である乗用型田植機を図面に基づき詳細に説明する。
この乗用型田植機1は、乗用走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して10条植えの苗植付部4を昇降可能に装着すると共に、乗用走行車体2の後部に施肥装置5を装着し、全体で施肥装置付き乗用型田植機として構成されている。
【0006】
走行車体2は、駆動輪である左右各一対の前輪及び後輪を備えた四輪駆動車両である。機体の前部にミッションケース10が配され、該ミッションケースの左右側方に前輪ファイナルケース13・13が設けられ、その前輪ファイナルケースから外向きに突出する前輪車軸に前輪7・7が取り付けられている。また、ミッションケース10の背面部に前端部が固着されたメインフレーム15の後端左右中央部に後輪ローリング軸17が軸心を前後水平に向けて固定状態で嵌合させてあり、その後輪ローリング軸17にローリング自在に支持される後輪フレーム18の左右端部に後輪ギアケース19・19が設けられ、その後輪ギアケースから外向きに突出する後輪車軸に主後輪8・8が取り付けられている。更に、後輪車軸の外側に固着した延長後輪車軸に補助後輪8a・8a,8b・8bが取り付けられている。
【0007】
エンジン20は前記メインフレーム15の上に搭載されている。エンジン20の左側面に突出する第一出力軸20aに取り出される回転動力は、第一ベルト伝動装置21によって、ミッションケース10の上に設けた油圧ポンプ22の駆動軸22aへ伝達され、更に、変速装置としての無段変速式の第二ベルト伝動装置23によって、油圧ポンプ駆動軸22aからミッションケース入力軸10aへ伝達される。また、エンジン20の右側面に突出する第二出力軸20bに取り出される回転動力が、第三ベルト伝動装置24によって、エンジン20の上に取り付けたオルタネータ25に伝達される。
【0008】
ミッション入力軸10aよりミッションケース10に入力された回転動力は、該ケース内のトランスミッションで路上走行や圃場間の移動時に変速操作される高速走行用の移動速と田植作業に適した作業速と後進とに主変速レバー10bにて変速操作された後に前輪駆動用動力と後輪駆動用動力として出されると共に、苗植付部駆動用動力に分けられる(主変速レバー10bの操作位置は、図11参照)。前輪駆動用動力は、前輪ファイナルケース13・13に伝達され、前輪7・7を駆動する。後輪駆動用動力は、伸縮自在な後輪駆動軸26・26を介して後輪ギアケース19・19に伝達され、主後輪8・8及び補助後輪8a・8a,8b・8bを駆動する。また、苗植付部駆動用動力は、植付伝動軸27を介して植付クラッチ(図示せず)に伝達され、それから苗植付部4の伝動ケース60と施肥装置5の繰出器111…に伝達される。
【0009】
無段変速装置である第二ベルト伝動装置23は図4に示す構成となっている。
油圧ポンプ駆動軸22aに嵌着する駆動側割りプーリ120とミッションケース入力軸10aに主クラッチCを介して嵌着する従動側割りプーり121とに伝動ベルト122が掛けられている。従動側割りプーリ121の一方の構成部材121aはミッションケース入力軸10aに固定、他方の構成部材121bはミッションケース入力軸10aに対して軸方向に摺動自在となっていて、その可動構成部材121bは軸受123を介して相互回転自在な変速操作カム124によって位置規制されている。変速操作カム124の外面側には円周方向に傾斜状となった突条124a・124aが形成されており、その突条124a・124aが固定カム125に設けたロ−ラ125a・125aに当接している。そして、変速操作カム124のアーム124bに、変速比調節手段である変速操作ロッド126が連結されている。この変速操作ロッド126を前後(紙面の上下方向)に移動させると、変速操作カム124が回動してローラ125a・125aへの突条124a・124aの接点が変わり、変速操作カム124とそれに位置規制されている可動構成部材121bが伝動ベルト122の張力に応じて軸方向へ移動することにより、従動側割りプーリ121の有効径が変化する。
【0010】
また、駆動側割りプーリ120の一方の構成部材120aは油圧ポンプ駆動軸22aに固定、他方の構成部材120bは油圧ポンプ駆動軸22aに対して軸方向に摺動自在となっていて、その可動構成部材120bは軸受127を介して相互回転自在な変速操作カム128によって位置規制されている。変速操作カム128の外面側には円周方向に傾斜状となった突条128aが形成されており、その突条128aにミッションケース10の外面部に設けたローラ129が当接している。そして、従動側変速操作カム124のもうひとつのアーム124cと駆動側変速操作カム128のアーム128bとが連結部材130で連結されている。これにより、従動側割りプーリ121の有効径が大きくなるときには駆動側割りプーリ120の有効径が小さくなり、従動側割りプ−リ121の有効径が小さくなるときには駆動側割りプーリ120の有効径が大きくなるようになっている。
【0011】
次に、この第二ベルト伝動装置23の操作部について説明する(図5〜図7参照)。
変速レバーとしての副変速レバー140は、該レバーの基部に固着の筒状体141にてレバー軸142の右(紙面では左)端部に回転自在かつ軸方向に摺動自在に嵌合している。レバー軸142は、機体フレームに固定したレバー軸支持筒143に回動自在に支承されている。副変速レバー140を右方向に少しずらし、筒状体141の外周面から挿入させたセットボルト144の先端部をレバー軸142の切欠部142aに係合させると、副変速レバー140とレバー軸142が一体回転するようになる。
【0012】
筒状体141には電動操作アーム146が一体に設けられている。この電動操作アーム146の回動量は、レバー軸支持筒143と一体の右プレート147に取り付けられている副変速レバー位置検出用ポテンショメータPM1に検出される。右プレート147には右向きに突出する電動操作用ストッパピン148が設けられ、そのストッパピンの先端部が、電動操作アーム146に形成されているレバー軸142の軸心を中心とする円弧状の電動時レバーストローク規制用ピン穴146aに係合している。なお、セットボルト144が切欠部142に係合する位置へ副変速レバー140をずらした状態では、ポテンショメータPM1の検出アームが電動操作アーム146から外れ、電動操作アーム146の回動量が検出されなくなると共に、ストッパピン148がピン穴146aから外れる。
【0013】
また、レバー軸142には電動操作アーム146と右プレート147の間に手動操作用アーム150が一体に設けられ、その手動操作用アーム150から左(紙面では右)向きに突出する手動操作用ストッパピン151の先端部が、右プレート147に形成されているレバー軸142の軸心を中心とする扇形の手動時レバーストローク規制用ピン穴147aに係合している。電動時レバーストローク規制用ピン穴146aの角度θ1よりも、手動時レバーストローク規制用ピン穴147aの角度θ2の方が大きく設定されている。
【0014】
電動操作アーム146の手動操作用アーム側の面には第一ブレーキライニング152が貼着されており、第一摩擦力調節ナット153の締め具合を調節することにより、電動操作アーム146と手動操作用アーム150との間に適度な摩擦力を持たせられるようになっている。また、右プレート147の手動操作用アーム側の面には第二ブレーキライニング154が貼着されており、第二摩擦力調節ナット155の締め具合を調節することにより、右プレート147と手動操作用アーム150との間に適度な摩擦力を持たせられるようになっている。更に、電動操作用ストッパピン148には第三摩擦力調節ナット156によって第三ブレーキライニング157が取り付けられるようになっており、第三摩擦力調節ナット156の締め具合を調節することにより、電動操作アーム146と右プレート147との間に適度な摩擦力を持たせられるようになっている。
【0015】
レバー軸142の左端部にはボス160が回転不可能に取り付けられており、そのボス160に一体成形されている回動プレート161の先端部に前記変速操作ロッド126の一端部が連結されている。この回動プレート161の回動量はレバー軸支持筒143と一体の左プレート163に取り付けた回動プレート位置検出用ポテンショメータPM2に検出される。
【0016】
また、左プレート163には、電動アクチュータとしての電動モータ165が取り付けられている。このモータ165の出力軸に取り付けたピニオン166と左プレート163に設けたギア取付軸167に取り付けられているカウンタギア168とが噛み合い、更に該カウンタギアと一体の小ギア169とボス160に一体成形されている扇形ギア170とが噛み合っている。カウンタギア168及び小ギア169はギア取付軸167に軸方向に摺動可能に取り付けられており、両ギア168・169を左プレート163側に移動させることにより、ピニオン166とカウンタギア168の噛み合い、及び小ギア169と扇形ギア170の噛み合いが外れる。
【0017】
第二ベルト伝動装置23の操作部は以上の構成で、次に示す3種の操作方式のうちいずれかを選択する。
(1)電動操作方式1
副変速レバー140を左寄りに位置させ、ポテンショメータPM1の検出アームを電動操作アーム146に連係させると共に、ストッパピン148が電動操作アーム146のピン穴146aに係合する状態にする。また、ピニオン166とカウンタギア168、及び小ギア169と扇形ギア170をそれぞれ噛み合わさせる。そして、ポテンショメータPM1によって検出される副変速レバー位置とポテンショメータPM2によって検出される回動プレート位置が対応するように、図示しない制御装置による制御でモータ165を駆動してレバー軸142を回動させ、第二ベルト伝動装置23を作動する。
【0018】
この時、第二ブレーキライニング154と第三ブレーキライニング157を利かせ、第一ブレーキライニング152が利かない状態にしておくと、副変速レバー140とレバー軸142が互いにフリーの関係にあるので、レバー軸142の回動が副変速レバー140に影響を与えず、副変速レバー140の操作位置に応じた任意の変速比に第二ベルト伝動装置23が作動される。
【0019】
(2)電動操作方式2
電動操作方式1と同様に、ポテンショメータPM1・PM2の検出結果に基づいてモータ165を駆動してレバー軸142を回動させる。この時、第一ブレーキライニング152と第二ブレーキライニング154を利かせ、第三ブレーキライニング157が利かない状態としておくと、レバー軸142の回動に伴い手動操作用アーム150につられて電動操作アーム146も回動するので、副変速レバー140を「高速」側または「低速」側に少しでも操作すると、操作した側のレバーストローク(角度θ1)の端まで副変速レバー140が自動的に回動する。したがって、副変速レバー140を「高速」側に少し操作しただけで第二ベルト伝動装置23が「最高速」の状態に作動されると共に、副変速レバー140を「低速」側に少し操作しただけで第二ベルト伝動装置23が「最低速」の状態に作動される。
【0020】
(3)手動操作方式
第三ブレーキライニング157を取り外した上で、副変速レバー140を右側にずらし、セットボルト144にて副変速レバー140とレバー軸142を直結する。また、ピニオン166とカウンタギア168、及び小ギア169と扇形ギア170の噛み合いを外す。第二ブレーキライニング154は利かせ、第一ブレーキライニング152は利かない状態としておく。この状態では、副変速レバー140の操作力がレバー軸142へ直接伝達され、その副変速レバー140の操作位置に応じた任意の変速比に第二ベルト伝動装置23が作動される。電動操作方式1または電動操作方式2と自動操作方式とではレバーストロークが異なるが、電動操作方式1または電動操作方式2における「最高速」及び「最低速」と、自動操作方式における「最高速」及び「最低速」とが一致するように設定されている。
【0021】
通常は電動操作方式1または電動操作方式2によって変速操作を行う。電気系統が故障した場合等の非常時には、手動操作方式に切り替えることにより、変速操作が可能となり、植付作業や走行を継続することができる。自動操作方式の時のレバーストローク(角度θ2)は電動操作方式1または電動操作方式2の時のレバーストローク(角度θ1)よりも大きく設定されているため、比較的小さな力でも副変速レバー140を操作することができ、操作が容易である。
【0022】
ところで、副変速レバー140は、図12にて示すように、その操作ガイド溝201部に設けられた左右板バネ202・202にて高速側に操作されるに従って順次大きな操作力が必要とするように構成されている。即ち、左右板バネ202・202は、その高速側の基端がピン203・203に軸支され低速側の端部が操作ガイド溝201の側壁に接当して設けられており、且つ、左右板バネ202・202の間隔は、高速側程狭くなるように構成されている。
【0023】
前述のように、電動操作方式1及び電動操作方式2の場合、第二ベルト伝動装置23はモータ165にて変速されるために、副変速レバー140は非常に軽い操作力(操作荷重が小さい)で第二ベルト伝動装置23を変速操作することができ、田植作業時には非常に作業性が良いのであるが、あまりにも副変速レバー140の操作荷重が小さ過ぎると、誤った高速側への操作(例えば、他のレバーを操作していて誤って手や肘が副変速レバー140に触れてしまって操作されるような場合)や機体の振動による副変速レバー140の移動にて、不意に高速になると危険である。ところが、前記のように、副変速レバー140は左右板バネ202・202にて高速側に操作されるに従って順次大きな操作力が必要とするように(順次操作荷重が大きくなる)構成されているので、このような不意の高速側への変速が防止され、且つ、高速側に操作されるに従って順次大きな操作力が必要とするので、意識的に変速操作する場合も、操縦者は高速側に操作していることの認識ができるので、誤操作の防止にも役立つ。
【0024】
また、図13は副変速レバー140を操作する際に高速側になる程段階的に大きな操作力が必要となる他の例を示し、左右板バネ202・202の間隔が段階的に狭くなるように構成されている。尚、204・204は左右板バネ202・202の間隔が広くなるのを規制する方向に作用する補助板バネであって、基端がピン204・204に軸支され他端が操作ガイド溝201の側壁に接当して設けられている。このようにすると、変速操作する場合、操縦者は操作力の変化にて変速位置が認識できるので、一々副変速レバー140の操作位置を見なくても必要とする作業速度に操作できて作業性が良い。
【0025】
一方、この乗用型田植機1には苗植付部4を昇降させる植付・ポジションレバー180とフィンガアップレバー181が設けられているが、これらのレバー操作に連動して車速制御する構成としてもよい。
まず、植付・ポジションレバー180の操作に連動して車速制御する構成について説明する。
【0026】
図8に示すように、植付・ポジションレバー180の操作位置には、「ポジション」「自動」「植える」の各操作位置があり、植付・ポジションレバー180を「ポジション」の範囲内に操作するとその位置に応じた高さに苗植付部4が昇降する上昇モードまたは下降モードとなり、「自動」に操作すると苗植付部4の対地高さを一定に維持する昇降自動モードとなる。また、「植える」「自動」及び「ポジション」の下部に操作すると植付クラッチが「入」となり、「ポジション」の上部に操作すると植付クラッチが「切」となる。
【0027】
この植付・ポジションレバー180を「自動」から「ポジション」に操作すると、副変速レバー140の操作位置にかかわらず第二ベルト伝動装置23が所定の速度、例えば「最低速」に自動的に減速され、また植付・ポジションレバー180を「ポジション」から「自動」に操作すると、第二ベルト伝動装置23が副変速レバー140の操作位置に応じた速度になるまで自動的に増速するように制御される。これにより、畦際まで苗を植付けながら圃場から出る場合や、バックしながら苗植付部4を畦に合わせる場合に、植付・ポジションレバー180を「ポジション」に操作して苗植付部4を少し上昇させると自動的に減速されるため、これらの作業を安全に行うことができる。なお、これらの作業を行う際には苗植付部4を少し上昇させるだけであるので、自動減速する制御範囲を「ポジション」操作位置の下部だけに限定しておいても充分である。
【0028】
次に、フィンガアップレバー181の操作に連動して車速制御する構成について説明する。
フィンガアップレバー181は「上げ」と「下げ」に指操作で切り替えるようになっており、植付・ポジションレバー180が「自動」に操作されている時に、フィンガアップレバー181を「上げ」に操作すると苗植付部4が最上位置まで上昇し、「下げ」に操作すると昇降自動モードに戻る。
【0029】
このフィンガアップレバー181を「上げ」にすると、副変速レバー140の操作位置にかかわらず第二ベルト伝動装置23が所定の速度、例えば「最低速」に自動的に減速され、またフィンガアップレバー181を「下げ」にすると、第二ベルト伝動装置23が副変速レバー140の操作位置に応じた速度になるまで自動的に増速するように制御される。図9はその制御のフローチャートである。このように、フィンガアップレバー181に連動して車速制御する構成とすると、植付クラッチが「入」の状態で苗植付部4を上昇させた時のみ自動減速されるので、路上走行時等における不必要な自動減速を防止することができる。
【0030】
185は左右後輪8・8用のデフロックレバーであって、図14の解除の位置に操作するとデフ作動状態となり、デフロックの位置に操作するとデフがロックされて左右後輪が同一回転駆動状態となる。
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前側には床面から上方に突出するフロントカバー32が配設され、そのフロントカバーの上方に操向用ハンドル33が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の周辺部には、副変速レバー140、植付・ポジションレバー180、フィンガアップレバー181等の各種レバー、各種ペダル等が設けられている。また、座席31の右側方には制御ボックス34が設けられている。
【0031】
エンジンカバー30及びフロントカバー32の左右両側とエンジンカバー21の後側は、操縦者の通路となるメインステップ40になっている。メインステップのエンジンカバー後側部分40aは、主後輪8・8と干渉しないように高くなっている。また、メインステップ40の左右両側には、メインステップ40とほぼ同レベルで拡張ステップ41・41が設けられている。拡張ステップ41・41の後部41a・41aも、主後輪8・8及び補助後輪8a・8a,8b・8bと干渉しないように高くなっている。拡張ステップ41・41は、機体のフレームから側方に突出させて設けた前ステップフレーム42・42と後ステップフレーム43・43の上に支持されている。更に、拡張ステップ41・41の外端下側には機体左右側から拡張ステップに乗り降りするときに使用する側部足掛け44・44が、前ステップフレーム42・42には機体前側から拡張ステップに乗り降りするときに使用する前部足掛け45・45がそれぞれ取り付けられている。なお、拡張ステップ41・41の外側部分は取り外し可能になっており、機体運搬時や格納時にはこの部分を側部足掛け44・44と共に取り外すことにより、機体の左右幅を縮小することができるようになっている。
【0032】
機体の左右側方部には、線引きマーカ47・47が起立・転倒切替可能に設けられている。次行程で機体が通る側の線引きマーカ47が転倒し、次行程における機体の左右中心位置を表土面に線引きする。
昇降リンク装置3は、メインフレーム15の後端部に固定して設けたリンクベース50に回動自在に取り付けられている上リンク51及び下リンク52・52を備え、これら上下リンクの後端部に縦リンク53が連結されている。そして、縦リンク53の下端部から後方に突出する軸受部に苗植付部側に固着した連結軸54が回転自在に挿入連結され、苗植付部4が連結軸54を中心にしてローリング自在に装着される。基部側がメインフレーム15に固着した支持部材に枢支され、ピストンロッド側が上リンク51の基部に一体に設けたスイングアーム57の下端部に連結されている油圧シリンダ56を伸縮させると、昇降リンク装置3が昇降作動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。油圧シリンダ56は走行車体2に設けた油圧バルブ58によって切替制御される。
【0033】
苗植付部4は10条植えの構成で、フレームを兼ねる伝動ケース60、苗を載せておく苗載台70、該苗載台上の苗を圃場に植え付ける植付条数分の苗植付装置80…、苗植付けに先行して泥面を整地するフロート90…等を備えている。
伝動ケース60は、左右中央部に位置する苗載台駆動ケース61の背面に植付伝動ケース62−3の前端部を固着し、また苗載台駆動ケース61の左右側面に第一連結パイプ63・63の内端部を固着し、その第一連結パイプ63・63の外端部に植付伝動ケース62−2・62−4の前部内面を固着し、その植付伝動ケース62−2・62−4の前部外面に第二連結パイプ64・64の内端部を固着し、その第二連結パイプ64・64の外端部に植付伝動ケース62−1・62−5の前部内面を固着している。伝動ケース60の上側に苗載台70が支持されていると共に、各植付伝動ケース62−1〜62−5の後部両側に苗植付装置80−1〜80−10が取り付けられている。
【0034】
苗載台70は、前側が上位となるよう傾斜して設けられており、左右に長い支持レール71と苗載台支持フレーム72の上端部に取り付けたローラ73…によって支持され、左右に滑動自在となっている。苗載台70は植付条数分の苗載部70−1〜70−10に仕切られており、各苗載部ごとに苗を下方へ送る苗送りベルト75…が設けられている。また、苗載台70の下端部に隣接して、各条の苗載部に対応させてコ字状に切り欠かれた苗分割口76…が形成された苗受板77が支持レール71と一体に設けられている。また、各苗載部の上端部には、苗補給時に苗を苗載部に導くための延長苗載部78…が取り付けられている。
【0035】
苗植付装置80は、植付伝動ケース62の後部に回転自在に支承されている植付駆動軸81に一体に取り付けられた回転ケース82と、該回転ケースの両端側部に取り付けられた一対の植付具83・83とからなる。回転ケース82内の伝動機構により植付具83・83が回転ケース82の回転方向と逆方向に回転し、植付具に固定したフォーク状の苗分離爪の先端が上下に変形楕円状の閉軌跡を描くよう作動する。これにより、苗分離爪が苗載台70の苗分割口76…に供給された苗を分離して保持し、それを泥面に植え付ける。
【0036】
フロート90…としては、外側から4番目と5番目の苗植付条PL4・PL5(或はPL7・PL6)を整地するセンターフロート90C・90Cと、外側から3番目の苗植付条PL3(或はPL8)を整地するミッドフロート90M・90Mと、外側から1番目と2番目の苗植付条PL1・PL2(或はPL10・PL9)を整地するサイドフロート90S・90Sとを備えている。植付伝動ケース62…の下側に回動自在に左右横向きに支持されているフロート支持パイプ91にフロート支持アーム92…が一体に設けられ、そのフロート支持アーム92…の後端部に左右方向の枢支軸93…によって各フロート90…が回動自在に支持されている。植付深さ調節レバー(図示せず)を操作してフロート支持パイプ91を回動させると、各フロート90…の上下位置が変わり、苗の植付深さが調節される。
【0037】
左右一対のセンターフロート90C・90Cは一体に上下揺動するように連結板98にて連結されており、両フロートの水平面に対する角度(フロート向い角)が対地高さ検出機構99を介してフロート向い角センサ100に検出される。そして、その検出結果に基づいて前記油圧バルブ58が駆動される。例えば、表土面が高くなっているところでは、センターフロート90C・90Cの前部が押し上げられ、フロート向い角が小さく検出される。すると、油圧シリンダ56を突出作動させるように油圧バルブ58に出力指令を出し、苗植付部4を上昇させる。また、表土面が低くなっているところでは、センターフロート90C・90Cの前部が下がるので、向い角が大きく検出される。すると、油圧シリンダ56を収縮作動させるように油圧バルブ58に出力指令を出し、苗植付部4を下降させる。このように、圃場表土面の高低に応じて苗植付部4の対地高さを制御することにより、苗の植付深さを一定に維持する。
【0038】
なお、この乗用型田植機の苗植付部4は機体運搬時や格納時に左右幅を縮小できるようになっている。苗載台70は、中央8条の部分70−3〜8は一体に設けられているが、外側2条部分70−1・2・70−9・10はこれとは別体に設けられ、その外側2条部分が上側に折りたたまれる。支持レール71と苗受板77の外端部も苗載台70の側面に沿って折り曲げられる。伝動ケース60は第二連結パイプ64・64の中間部を回動支点として上側に折り曲げられ、最外側の植付伝動ケース62−1・62−5とそれに取り付けられている苗植付装置80−1・80−2・80−9・80−10が上側に移動される。フロート支持パイプ91はミッドフロート90M・90Mを支持するフロート支持アーム92・92の取付部とサイドフロート90S・90Sを支持するフロート支持アーム92・92の取付部の中間部で折り曲げ可能になっており、伝動ケース60を折り曲げると、それに連動してフロート支持パイプ91も折れ曲がり、サイドフロート90S・90Sが上側に回動する。
【0039】
施肥装置5は、肥料を貯蔵する肥料ホッパ110…と、該肥料ホッパ内の肥料を順次下方に繰り出す繰出器111…と、圃場の苗植付用溝に臨んで設けられた施肥ガイド112…と、前記繰出器111…と前記施肥ガイド112…とを結ぶフレキシブルな施肥ホース113…とを備え、ブロア114によって各施肥ホース113…内に吹き込まれる圧風の作用で繰出器111…から繰り出される肥料を施肥ガイド112…へ搬送し、作溝具115…によって表土面に形成される施肥用の溝に落し込むようになっている。ブロア114を駆動するモータ116は、前記オルタネータ25で発生させた電気によって回転する。肥料ホッパは中央6条分の肥料を貯蔵する中央肥料ホッパ110Aと外側2条分の肥料を貯蔵する左・右肥料ホッパ110B・110Bとを備え、機体の左右幅縮小時には左・右部肥料ホッパ110B・110Bを前方に回動させるようになっている。
【0040】
最後に異なる副変速レバー140を図15に基づいて説明すると、副変速レバー140は、その基部回動支点部に周知の皿バネやゴム等の付勢手段で回動抵抗を与えておき、他のレバーを操作していて誤って手や肘が副変速レバー140に触れてしまって誤って操作されるようなことや機体の振動による副変速レバー140の移動にて不意に高速になるような不意の高速側への変速を防止するように構成している。そして、左右板バネ202・202の基端が軸支されている左右ピン203・203をガイド溝206・206に沿って移動可能とし、その左右ピン203・203を各々左右ソレノイド207・207にて移動させる構成となっている。即ち、図11に示すように主変速レバー10bが移動速に操作されるとON状態となるマイクロスイッチ208を設けて、このマイクロスイッチ208のON状態にて前記左右ソレノイド207・207に通電されて左右ソレノイド207・207の作動ピン209・209が突出動して、左右板バネ202・202が図15の実線の状態から点線の状態になる。
【0041】
従って、主変速レバー10bが圃場内の田植作業時に主に操作されている作業速と後進位置では、副変速レバー140は軽い操作力で変速操作することができ、田植作業時には非常に作業性が良い。また、主変速レバー10bが路上走行や圃場間の移動時に変速操作される高速走行用の移動速位置では、副変速レバー140は左右板バネ202・202にて高速側に操作されるに従って順次大きな操作力が必要とするように構成されているので、不意の高速側への変速が防止され、且つ、高速側に操作されるに従って順次大きな操作力が必要とするので、意識的に変速操作する場合も、操縦者は高速側に操作していることの認識ができるので、誤操作の防止にも役立つ。
【0042】
また、上記マイクロスイッチ208と同じものを主変速レバー10bが後進に操作されるとON状態となるように設けて、主変速レバー10bの後進位置で副変速レバー140が左右板バネ202・202にて高速側に操作されるに従って順次大きな操作力が必要とするように構成すると良い。その場合は、後進での副変速レバー140の不意の高速側への変速が防止され、安全である。
【0043】
更に、上記マイクロスイッチ208と同じものをデフロックレバー185が解除の位置に操作されるとON状態となるように設けて、デフロックレバー185の解除位置で副変速レバー140が左右板バネ202・202にて高速側に操作されるに従って順次大きな操作力が必要とするように構成しても良い。その場合は、デフロックレバー185を解除の位置にするのは路上走行時であるから、路上走行時に副変速レバー140が不意に高速側へ変速されることが防止され、安全である。また、圃場内で田植作業を行う場合にはデフロックレバー185はデフロック位置に操作されていることが多いので、副変速レバー140は軽い操作力で変速操作することができ、田植作業時には作業性が良い。
【0044】
更に、上記マイクロスイッチ208と同じものをスロットルレバー186が高速側に操作されるとON状態となるように設けて、スロットルレバー186の高速側への操作で副変速レバー140が左右板バネ202・202にて高速側に操作されるに従って順次大きな操作力が必要とするように構成しても良い。その場合は、スロットルレバー186が高速側に操作されている場合に不意に副変速レバー140が高速側へ変速されることが防止され、安全である。
【0045】
更に、上記マイクロスイッチ208と同じものをフィンガアップレバー181が上げに操作されるとON状態となるように設けて、苗植付部4を上昇させた状態(圃場の出入り時・車両への積込時等)で、副変速レバー140が不意に高速側へ変速されることを防止するようにしても良い。
更に、上記マイクロスイッチ208と同じものを植付・ポジションレバー180が植え
るの操作位置に操作されるとOFF状態となり、他の操作位置ではON状態となるように設けて、植付・ポジションレバー180による苗植付け時には副変速レバー140が軽い操作力で変速操作することができ、植付・ポジションレバー180による機体旋回時等の非植付け時には副変速レバー140が不意に高速側へ変速されることが防止されるようにして、作業性及び安全性を向上しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用型田植機の全体側面図である。
【図2】乗用型田植機の全体平面図である。
【図3】走行車体の一部を省略した平面図である。
【図4】無段変速装置の平面断面図である。
【図5】無段変速装置の操作部の正面図で、(a)は電動操作方式の状態、(b)は手動操作方式の状態を表している。
【図6】図5のS1−S1面図である。
【図7】図5のS2−S2面図である。
【図8】植付・ポジションレバーの操作位置を示す図である。
【図9】車速制御のフローチャートである。
【図10】苗植付部等の一部を省略した平面図である。
【図11】主変速レバーの操作位置を示す図である。
【図12】副変速レバーの要部拡大平面図である。
【図13】副変速レバーを示す要部拡大平面図である。
【図14】デフロックレバーの操作位置を示す図である。
【図15】副変速レバーを示す要部拡大平面図である。
【符号の説明】
1 乗用型田植機(乗用作業機)
2 走行車体
3 昇降リンク装置
4 苗植付部
5 施肥装置
10 ミッションケース
10b 主変速レバー
20 エンジン
23 第二ベルト伝動装置(無段変速装置)
140 副変速レバー
201 操作ガイド溝
202 左右板バネ
207 左右ソレノイド
208 マイクロスイッチ
209 作動ピン
Claims (1)
- 後進状態に切替操作できる主変速レバー10bと変速装置23を操作して機体の速度を変更する副変速レバー140とを設け、副変速レバー140の操作ガイド溝201部に左右板バネ202を設け、主変速レバー10bが後進に操作されるとON状態となるマイクロスイッチ208を設け、該マイクロスイッチ208のON状態にて左右ソレノイド207の作動ピン209が突出して前記左右板バネ202の間隔を高速側程狭く構成して副変速レバー140の低速側の操作荷重よりも高速側の操作荷重が大きくなる構成とした乗用作業機。
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