JP4054613B2 - 作業車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば苗載台及び苗植付爪を備えて連続的に苗植作業を行う田植機またはトラクタまたはコンバインまたは土木建機などの作業車に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
田植機の車速制御としては、従来、走行負荷が増大してエンジン回転数が低下すると、ベルト式無段変速機(CVT)を減速させて走行負荷を軽減する制御が行われている。しかしながら、このような制御にあっては、走行負荷により車速が変動するため、苗の植付姿勢や施肥量が安定しない。
【0003】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、エンジンを搭載した走行車と、前記走行車の車速を変更する無段変速機と、前記無段変速機を変速操作する変速ペダルと、前記車速を検出する車速センサと、前記車速を設定速度に維持する定速設定手段とを備え、前記定速設定手段が操作されたときに、前記車速が前記設定速度として記憶され、前記車速センサによって検出される車速が前記設定速度になるように、前記無段変速機を変速作動するオートクルーズ制御が実行されるように構成してなる作業車において、前記変速ペダルの足踏み操作量を検出するペダル位置センサと、前記定速設定手段の操作によって点灯するランプとを備え、前記定速設定手段が操作されてから、前記変速ペダルが足踏み操作されていない状態に戻るまでの間前記ランプが点滅し、前記変速ペダルが足踏み操作されていない状態に戻ったときに、前記ランプが点灯して、前記オートクルーズ制御が開始されるように構成する一方 、前記定速設定手段が操作されてから、設定時間以内に前記変速ペダルが足踏み操作されていない状態に戻らないときには、前記ランプが消灯して、前記オートクルーズ制御がオフ維持されるように構成したものであるから、走破性を高めて作業能率を向上させるものである。
【0004】
請求項2に係る発明は、前記オートクルーズ制御が実行されている状態で、前記走行車に配置したブレーキペダルや前記変速ペダルが操作されたときには、前記ランプが点滅し、前記オートクルーズ制御が中断されて、前記変速ペダルの操作に基づいて前記無段変速機が変速作動するように構成し、前記変速ペダルの操作によって、前記車速が前記設定速度よりも高速になった状態が、設定時間以上維持されたときに、前記ランプが点灯されて、前記オートクルーズ制御が実行されるように構成したものであるから、作業速度を安定させて作業能率を向上させるものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は全体の側面図、図2は同平面図、図3は車体フレームの側面図、図4は同平面図を示し、図中1は作業者が搭乗する走行車であり、エンジン2を車体フレーム3に搭載させ、ミッションケース4側方にフロントアクスルケース5を介して水田走行用前輪6を支持させると共に、前記ミッションケース4後方のリヤアクスルケース7に水田走行用後輪8を支持させる。そして前記エンジン2等を覆うボンネット9両側に予備苗載台10を取付けると共に、作業者が搭乗する車体カバー11によって前記ミッションケース4等を覆い、前記車体カバー11後側上方にシートフレーム12を介して運転席13を取付け、その運転席13の前方で前記ボンネット9後部に操向ハンドル14を設ける。
【0006】
また、図中15は5条植え用の苗載台16並びに複数の苗植付爪17などを具備する植付部であり、前高後低の合成樹脂製の前傾式苗載台16を下部レール18及びガイドレール19を介して植付ケース20に左右往復摺動自在に支持させると共に、一方向に等速回転させるロータリケース21を前記植付ケース20に支持させ、該ケース21の回転軸芯を中心に対称位置に一対の爪ケース22・22を配設し、その爪ケース22・22先端に苗植付爪17・17を取付ける。
【0007】
また、前記植付ケース20前側のヒッチブラケット23をトップリンク24及びロワーリンク25を含む昇降リンク機構26を介し走行車1後側に連結させ、前記リンク機構26を介して植付部15を昇降させる油圧昇降シリンダ27をロワーリンク25に連結させ、前記前後輪6・8を走行駆動して移動すると同時に、左右に往復摺動させる苗載台16から一株分の苗を植付爪17によって取出し、連続的に苗を植える田植作業を行うように構成する。
【0008】
また、図中28は主変速レバー、29は植付部15の昇降・植付クラッチの入切・マーカ操作を行う植付操作レバー、30はブレーキペダル、31は変速ペダル、32はデフロックペダル、33は感度調節レバー、34は植付部15を任意高さ位置に停止させるストップレバー、35はユニットクラッチレバー35であり、操向ハンドル14位置近傍に変速及び昇降レバー28・29やブレーキ及び変速ペダル30・31を配設すると共に、運転席13位置近傍に感度調節及びストップ及びユニットクラッチの各レバー33・34・35を配設している。
【0009】
さらに、図中36は1条分均平用センタフロート、37は2条分均平用サイドフロート、38は肥料ホッパ39内の肥料を送風機40の送風力でフレキシブル形搬送ホース41を介しフロート36・37の側条作溝器42に排出させる5条用側条施肥機である。
【0010】
図3乃至図5に示す如く、前記車体フレーム3は前部フレーム43と中間フレーム44と後部フレーム45とに3分割させ、左右一対の前部フレーム43にエンジン2を、左右一対の中間フレーム44にフロントアクスルケース5を、左右一対の後部フレーム45にリヤアクスルケース7及びエンジン2に燃料を供給する燃料タンク46などを設けるもので、前部フレーム43の前側と中間に前フレーム47とベースフレーム48を連結させて平面視4角枠状に形成し、固定ブラケット49とベースフレーム48に防振ゴムを介しエンジン2を上載させる。
【0011】
また図10にも示す如く、前記後部フレーム45の中間立上り部50間をパイプフレーム51と門形フレーム52とで略平行に連結させると共に、リヤアクスルケース7に左右下端を固設する門形フレーム53の後端を一体連結させ、前記の左右の立上り部50間に燃料タンク46を配設する。
【0012】
さらに、前部フレーム43後端と後部フレーム45前端に左右中間フレーム44の前後端をボルト54を介して取外し自在に固定させると共に、左右中間フレーム44の下面にボルト55を介して左右フロントアクスルケース5を取外し自在に固定させ、前記ミッションケース4に左右フロントアクスルケース5を接続固定させる。
【0013】
図6乃至図10に示す如く、前記ミッションケース4の前面左側にパワーステアリングケース56を設け、かつケース4の右側に無段油圧変速機57を設け、油圧変速機57の変速入力用ポンプ軸58を車体前方向に突出させ、エンジン2下側で前後方向の伝達軸59にポンプ軸58を連結させると共に、エンジン2の出力軸60に伝達ベルト61を介して前記伝達軸59を連結させ、エンジン2出力を油圧変速機57に伝達する。
【0014】
また、前記ミッションケース4とリヤアクスルケース7を車体の前後方向の中心ライン上でパイプ状の連結フレーム62によって一体連結させ、ミッションケース4後方にリヤ出力軸63及びPTO出力軸64を突出させ、リヤアクスルケース7前方に突出させるリヤ入力軸65にリヤ伝達軸66を介し前記リヤ出力軸63を連結させ、走行出力軸63から左右の後輪8に動力を伝える。またリヤアクスルケース7上部の軸受67に設ける仲介軸68に自在継手軸69を介して前記PTO出力軸64を連結させ、前記植付ケース20の入力軸に自在継手軸を介して中介軸68を連結させ、PTO出力軸64から植付部15に動力を伝える。
【0015】
さらに、図11乃至図16に示す如く、前記ミッションケース4は、本体胴部70と、前蓋部71と、後蓋部72を備え、前記胴部70の前後に各蓋部71・72を着脱自在にボルト固定させ、密閉箱形に形成すると共に、前記胴部70の内部を前後に分割する仕切り壁部73を設ける。また、前蓋部71前面に前記油圧変速機57を取付け、ミッションケース4内に突出させるポンプ軸58に小径の伝達ギヤ74を係合軸支させ、伝達ギヤ74を前蓋部71にベアリング軸受し、後蓋部72後面に固定させるチャージポンプ75に伝達ギヤ74の動力をパイプ軸76を介して伝える。
【0016】
また、前記ミッションケース4内に突出させる油圧変速機57のモータ軸77にサンギヤ78を係合軸支させ、サンギヤ78を前蓋部71にベアリング軸受すると共に、前記の小径の伝達ギヤ74に大径のキャリヤギヤ79を常に噛合させ、サンギヤ78のボス部にキャリヤギヤ79を遊転軸支させるもので、キャリヤギヤ79に3枚のプラネタリギヤ80を軸81を介して回転自在に設け、サンギヤ78にプラネタリギヤ80を噛合させると共に、プラネタリギヤ80に噛合させるリングギヤ82を設け、各ギヤ78・80・82によって遊星ギヤ機構83を形成する。
【0017】
また、前記サンギヤ78と後蓋部72に合成出力軸84の前後を回転自在に軸支させ、前記リングギヤ82を合成出力軸84に係合軸支させるもので、油圧変速機57の油圧ポンプ85及び油圧モータ86の無段油圧変速出力である正逆回転出力と、伝達ギヤ74及びキャリヤギヤ79の減速回転出力(一方向の一定回転)とを、遊星ギヤ機構83のデフ作用によって合成し、ゼロ乃至最大速の一方向の回転力として合成出力軸84に伝える。即ち、油圧変速機57の油圧ポンプ85の斜板107を変更する油圧変速操作アーム109の角度を、例えば図17(1)のように−1乃至0に変化させるときのモータ軸77の回転を−1000乃至0とさせ、図17(2)のように、前記アーム109の角度に関係なくギヤ74側を1000回転させるときには、図18のように、前記アーム109の角度に対して合成出力軸84の回転を0乃至1000とさせる。
【0018】
さらに、前記合成出力軸84に前進ギヤ87と後進ギヤ88を遊転軸支させ、合成出力軸84に各ギヤ87・88をスライダ89によって選択的に係合させ、前進または中立または後進の出力に切換えると共に、仕切り壁部73と後蓋部72に前記リヤ出力軸63をベアリング軸受する。また、差動ギヤ90を介して左右の前車軸91に動力を伝えるフロント出力軸92と、PTO変速ギヤ93を係合軸支させるカウンタ軸94を設け、前記のリヤ及びフロント出力軸63・92に出力ギヤ95・96を介して後進ギヤ88の後進動力を伝え、前後輪6・8を後進駆動させると共に、リヤ出力軸63に移動ギヤ97及び植付ギヤ98を遊転軸支させ、副変速スライダ99によって各ギヤ97・98をリヤ出力軸63に選択的に係合させる。
【0019】
また、カウンタ軸94の高速用ギヤ100a・100bを介して前進ギヤ87に移動ギヤ97を常に噛合させると共に、カウンタ軸94の低速用のPTO変速ギヤ93に植付ギヤ98を常に噛合させ、各ギヤ100a・93・98を介して前進ギヤ87の動力を前記各出力軸63・92に伝え、前後輪6・8を苗の植付け作業速度で前進駆動する。また、移動ギヤ97と植付ギヤ98の両方が遊転状態となり、植付爪17などを作業者が手で回転させて詰った苗の除去などを行えるように、PTO出力軸64の手動回転を可能にすると共に、前進ギヤ87の動力を各ギヤ100a・100bを介して各出力軸63・92に伝え、圃場間の路上移動などの高速の移動速度で前後輪6・8を前進駆動する。
【0020】
さらに、図11のように、PTO変速軸101及びPTO変速機構102を介してPTO変速ギヤ93の動力をPTO出力軸64に伝え、株間変速自在に植付部15を駆動すると共に、ミッションケース4に内設させるチェン103を介してPTO出力軸64に施肥出力軸104を連結させ、植付部15と同調させて施肥機38を駆動する。また、図13のように、ミッションケース4にオイルゲージ105を設けると共に、図14のように、前記各スライダ89・99を同一のシフトフォーク106に係止させ、変速レバー28の5位置切換によって前後進及び副変速(低高速)の切換を行う。
【0021】
図16に示す如く、前記油圧ポンプ85の斜板107に制御軸108を介して油圧変速操作アーム109を連結させ、該アーム109に変速モータ110を連結させて、変速モータ110の正逆駆動で油圧モータ86の回転出力を増減速させるように構成している。なお、変速モータ110は前部フレーム43に連結させるモータ台110aに設置させている。
【0022】
また、前車軸91に差動ギヤ90を介し連結させるフロント出力軸92に走行用ブレーキ111を設け、ミッションケース4上部に突出させるブレーキ操作軸112にブレーキロッド113を介しブレーキペダル30を連結させて、ブレーキペダル30の操作でブレーキ111を作動させて機体の走行を停止させるように構成している。
【0023】
図11、図12、図16に示す如く、前記合成出力軸84のリングギヤ82と前進ギヤ87間にボールジョイント式主クラッチ114を介設させ、ミッションケース4外側へ突出させたクラッチ軸115にクラッチアーム116を介し前記ブレーキペダル30を連結させて、機体を停止させるブレーキペダル30の足踏み操作時にクラッチ軸115のシフトフォーク106を動作させて主クラッチ114を切とさせるように構成している。
【0024】
図19乃至図22に示す如く、前記ブレーキペダル30の右側に変速ペダル31を配設させるもので、ペダル軸118にペダルアーム119を介し変速ペダル31を揺動自在に支持させ、変速ペダル31に一体連結するアーム120をペダル軸118に設け、前記アーム120に足踏み解除時ペダル31を自動的に停止(速度ゼロ)位置に復帰させるバネ127とオイルダンパ128(ガススプリングでも良い)とを対向状に連結させ、踏み込んでいたペダル31から足を離したとき、オイルダンパ128の抵抗とバネ127の復動力によりペダル31が緩やかな略一定速度で戻って徐々に低速となるように構成している。
【0025】
図22に示す如く、前記ペダルアーム119の他端側には検出棒130を固設させ、ポテンショメータ形のペダル位置センサ131のセンサアーム132に検出棒130を当接させて、ペダルアーム119の足踏み操作位置をセンサ131で検出するように構成している。
【0026】
また図2に示す如く、前記変速モータ110を駆動制御して走行速度など作業速度を一定保持させるオートクルーズ電気制御用のオートクルーズスイッチ140と、変速ペダル31の同一操作量に対し変速機57の速度(速比)の関係を変更させて作業速度を微速に切換える微速制御用の微速スイッチ141と、圃場に前輪6或いは後輪がはまり込んだ場合に最適の脱出車速に制御する脱出スイッチ143と、前記オートクルーズスイッチ140のオン操作時に点灯表示させるオートクルーズ制御表示用のオートクルーズランプ144と、前記微速スイッチ141のオン操作時に点灯表示させる微速制御表示用の微速設定表示ランプ145と、脱出スイッチ143のオンの脱出モード時に点灯表示させる脱出モード表示ランプ146と、機体の脱出不可を警報する脱出不可警報装置147とを設けるもので、前記運転席13前方で操向ハンドル14近傍の操作コラム9a上面にこれらスイッチ140・141・143及びランプ144・145・146を配置させて、スイッチ140・141・143の容易な操作や操作の確認などを可能とさせるように構成している。
【0027】
さらに、図16に示す如く、前記油圧変速機57近傍位置に電動モータ駆動式の冷却ファン142を設置して、冷却ファン142からの冷却風でもって変速機57を外部から冷却させ変速機57内の油温の上昇を抑制するように構成している。
【0028】
そして、図23に示す如く、前記エンジン2の回転数を検出するエンジン回転センサ133と、リヤ或いはフロント出力軸63・92の回転より車速を検出する車速センサ134と、前記ブレーキペダル30の足踏み操作(入)を検出するブレーキペダルスイッチ135と、前記主変速レバー28による植付(低速前進)位置を検出する植付位置センサ136と、前記操作アーム109の変速位置を検出する変速位置センサ137と、前記油圧変速機57の油温を検出する油温センサ(サーミスタなど)138と、前記油圧変速機57の油圧力を検出する変速機油圧センサ139と、前記オートクルーズスイッチ140と、微速スイッチ141と、前記脱出スイッチ143とをコントローラ148に入力接続させると共に、前記変速モータ110の駆動回路149と冷却ファン142とオートクルーズランプ144と微速設定表示ランプ145と脱出モード表示ランプ146と警報装置147にコントローラ148を出力接続させて、変速モータ110やファン142及びランプ144・145・146及び警報装置147の駆動制御を行うように構成している。
【0029】
なお、実施例にあってはブレーキペダル30と走行用ブレーキ111とをブレーキロッド113など介し機械的に連結させる構成を示したが、走行ブレーキ111を電気的に作動させるブレーキ駆動機構を設けて、ペダル30によるブレーキペダルスイッチ135の操作で走行ブレーキ111の作動や主クラッチ114の入切を行わせて良い。
【0030】
本実施例は上記の如く構成するものにして、通常の変速制御にあっては、変速ペダル31の操作量をペダル位置センサ131で検出し、その操作量に対応した位置(変速位置センサ137で検出)に変速機57の変速操作アーム109が位置するように変速モータ110を駆動制御する一方、オートクルーズ制御にあっては走行中にオートクルーズスイッチ140が操作されたとき、該スイッチ140操作時の車速センサ134の検出値を維持するように変速モータ110を介し変速機57を増減速制御して車速を一定保持させるもので、図24に示す如く、機体の走行作業中にあってオートクルーズスイッチ140がオン(セット)操作されるとき、オートクルーズランプ144が点灯してそのときの車速が設定速度として記憶され、以後この設定速度を一定に保つ変速モータ110によるオートクルーズ制御を行うもので、変速ペダル31が最低速(踏んでいない)状態となるまではランプ144を点滅させ(仮完了)、最低速となるときランプ144を点灯させて制御を開始する。なお一定時間内に変速ペダル31が最低速に戻らないときはスイッチ140はオン操作とならずランプ144も消灯する。
【0031】
そして前記ブレーキペダルスイッチ135やペダル位置センサ131でブレーキペダル30や変速ペダル31の操作を検出するとき、ランプ144を点滅させ、オートクルーズモード(設定速度記憶)を維持させた状態でオートクルーズ制御を解除させて通常制御(変速ペダル31の操作による車速変更)に戻して、旋回や苗継ぎなどの植付以外の作業を行わせ、最初に設定したオートクルーズ速度以上の速度で一定時間以上走行するときランプ144を点灯させ再び元のオートクルーズ状態に自動的に移行させる。
【0032】
またランプ144の点滅中のオートクルーズモードのときにのみ、オートクルーズスイッチ140のオフ操作を可能とさせて、該スイッチ140のオフ時にはオートクルーズモードをオフ状態とさせて通常の変速制御に戻す。
【0033】
図25に示す如く、前記無段変速機57の制御範囲L1は変速ペダル31の操作範囲L2より高速側に大きく設定するもので、制御範囲L1の最大値のとき例えばエンジン2の最高回転数における車速v1(≒1.45m/s)よりペダル操作範囲L2の最大値の車速v2(≒1.3m/s)を小(v1>v2)の関係とさせて、走行負荷などの影響を受けることのない高精度なオートクルーズ制御を可能とさせている。なお、無段変速機57を増減速制御する構成を示したが、エンジン2の回転数制御(アクチュエータによるスロットル開度の制御)を行う構成でも良い。
【0034】
また図26に示す如く、圃場に前輪6或いは後輪8がはまり込んだ場合に車速を脱出に最適の速度に自動制御して脱出可能とさせるもので、通常の変速制御中に脱出スイッチ143がオンされた状態で車速vが0の停止状態のとき、脱出モード表示ランプ146を点灯させ、変速機57を最低速に戻し(誤操作による急減速を防止)、変速ペダル31による変速機57の操作変速比が現在の変速比より大のときには変速機57を駆動して変速比を徐々に上昇(増速)させて、脱出したと判断する基準の脱出車速となる設定車速v1より現在車速vが大を車速センサ134が検出するとき脱出完了と判断する。そして現在の変速機57の変速比が変速ペダル31による変速比より小(遅い)の場合現在の変速比を維持させ、変速ペダル31による変速比が現在の変速比より以下となった時点で脱出モード表示ランプ146を点灯させ通常制御に戻るもので、脱出時に作業者が変速ペダル31を最大踏んでいる状態で通常制御に戻ったときの急加速など防止する。
【0035】
また、変速機57を駆動し変速比を上げた(増速)状態にあっても設定速v1より車速vが以下(v1>v>0)で、エンジン回転の出力低下状態のときには変速機57の変速比を下げ(減速)制御し、車速vが0の停止状態でエンジン回転の出力低下状態のとき、前記警報装置147を作動させ変速機57の変速比を下げ制御する。
【0036】
このように車速を車速センサ134で、エンジン回転数をエンジン回転センサ131で検出し、変速機57とエンジン2の各出力低下(ストール)間の脱出に最適な車速を保持するように変速機57を駆動制御して、スムーズな脱出を容易に可能とさせる。
【0037】
上記からも明らかなように、作業速度を無段変速させる無段変速機57と、作業速度を検出する速度検出手段である車速センサ134と、作業速度を設定速度に維持する定速設定手段であるオートクルーズスイッチ140とを備え、オートクルーズスイッチ140の設定速度を維持させるように無段変速機57を増減速制御させることによって、作業中の作業速度を一定維持させて例えば田植機にあっては植付姿勢や施肥量を安定させると共に、走行負荷の影響を受けることのない安定した走行を可能とさせて、走破性を高めて作業能率を向上させる。
【0038】
また、無段変速機57を変速操作する変速操作部材である変速ペダル31の変速範囲である操作範囲L2より無段変速機57の制御範囲L1を大とさせるものであるから、走行負荷の増大で変速ペダル31の最高速位置の作業速度より高速の作業速度を必要とする場合などの制御を可能とさせて、作業速度を安定維持させて作業能率を向上させる。
【0039】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように、請求項1に係る発明は、エンジン2を搭載した走行車1と、前記走行車1の車速を変更する無段変速機57と、前記無段変速機57を変速操作する変速ペダル31と、前記車速を検出する車速センサ134と、前記車速を設定速度に維持する定速設定手段としてのオートクルーズスイッチ140とを備え、オートクルーズスイッチ140が操作されたときに、前記車速が前記設定速度として記憶され、前記車速センサ134によって検出される車速が前記設定速度になるように、前記無段変速機57を変速作動するオートクルーズ制御が実行されるように構成してなる作業車において、前記変速ペダル31の足踏み操作量を検出するペダル位置センサ131と、オートクルーズスイッチ140の操作によって点灯するランプ144とを備え、オートクルーズスイッチ140が操作されてから、前記変速ペダル31が足踏み操作されていない状態に戻るまでの間前記ランプ144が点滅し、前記変速ペダル31が足踏み操作されていない状態に戻ったときに、前記ランプ144が点灯して、前記オートクルーズ制御が開始されるように構成する一方、オートクルーズスイッチ140が操作されてから、設定時間以内に前記変速ペダル31が足踏み操作されていない状態に戻らないときには、前記ランプ144が消灯して、前記オートクルーズ制御がオフ維持されるように構成したものであるから、走破性を高めて作業能率を向上できるものである。
【0040】
請求項2に係る発明は、前記オートクルーズ制御が実行されている状態で、前記走行車1に配置したブレーキペダル30や前記変速ペダル31が操作されたときには、前記ランプ144が点滅し、前記オートクルーズ制御が中断されて、前記変速ペダル31の操作に基づいて前記無段変速機57が変速作動するように構成し、前記変速ペダル31の操作によって、前記車速が前記設定速度よりも高速になった状態が、設定時間以上維持されたときに、前記ランプ144が点灯されて、前記オートクルーズ制御が実行されるように構成したものであるから、作業速度を安定させて作業能率を向上させるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】田植機の全体側面図である。
【図2】田植機の全体平面図である。
【図3】走行車体の側面図である。
【図4】走行車体の平面図である。
【図5】車体フレームの側面図である。
【図6】駆動部の側面説明図である。
【図7】駆動部の平面説明図である。
【図8】サイドクラッチ操作系の側面説明図である。
【図9】サイドクラッチ操作系の平面説明図である。
【図10】車体の斜視説明図である。
【図11】ミッションケースの断面図である。
【図12】同走行駆動部の説明図である。
【図13】遊星ギヤ機構の説明図である。
【図14】ミッションケースの部分図である。
【図15】遊星ギヤ機構の断面図である。
【図16】ミッションケースのギヤ配列説明図である。
【図17】出力説明図である。
【図18】合成出力軸の出力説明図である。
【図19】操作部の斜視説明図である。
【図20】操作部の側面説明図である。
【図21】ペダル部の斜視説明図である。
【図22】変速ペダル部の側面図である。
【図23】制御回路図である。
【図24】オートクルーズ制御のフローチャートである。
【図25】変速機の制御範囲の説明図である。
【図26】脱出制御のフローチャートである。
【符号の説明】
1走行車
2エンジン
31 変速ペダル
57 無段変速機
131ペダル位置センサ
134 車速センサ
140 オートクルーズスイッチ(定速設定手段)
144ランプ
Claims (2)
- エンジンを搭載した走行車と、前記走行車の車速を変更する無段変速機と、前記無段変速機を変速操作する変速ペダルと、前記車速を検出する車速センサと、前記車速を設定速度に維持する定速設定手段とを備え、前記定速設定手段が操作されたときに、前記車速が前記設定速度として記憶され、前記車速センサによって検出される車速が前記設定速度になるように、前記無段変速機を変速作動するオートクルーズ制御が実行されるように構成してなる作業車において、
前記変速ペダルの足踏み操作量を検出するペダル位置センサと、前記定速設定手段の操作によって点灯するランプとを備え、
前記定速設定手段が操作されてから、前記変速ペダルが足踏み操作されていない状態に戻るまでの間前記ランプが点滅し、前記変速ペダルが足踏み操作されていない状態に戻ったときに、前記ランプが点灯して、前記オートクルーズ制御が開始されるように構成する一方、
前記定速設定手段が操作されてから、設定時間以内に前記変速ペダルが足踏み操作されていない状態に戻らないときには、前記ランプが消灯して、前記オートクルーズ制御がオフ維持されるように構成したことを特徴とする作業車。 - 前記オートクルーズ制御が実行されている状態で、前記走行車に配置したブレーキペダルや前記変速ペダルが操作されたときには、前記ランプが点滅し、前記オートクルーズ制御が中断されて、前記変速ペダルの操作に基づいて前記無段変速機が変速作動するように構成し、
前記変速ペダルの操作によって、前記車速が前記設定速度よりも高速になった状態が、設定時間以上維持されたときに、前記ランプが点灯されて、前記オートクルーズ制御が実行されるように構成したことを特徴とする請求項1記載の作業車。
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