JP4353447B2 - 田植機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば苗載台及び植付爪を備えて連続的に苗植作業を行う田植機に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、田植機の作業速度の変更にあっては、エンジンで行うアクセル操作と、ミッションケースで行う主変速操作と、主変速の「植付」操作時に無段変速機構を作動させて行う副変速操作とがあり、植付作業中の植付作業速度の変更操作はアクセル操作と副変速操作の2系統によって通常行われているが、このような2系統による変速操作は操作が複雑で操作性が悪いという不都合がある。そこでアクセル操作と副変速操作とを1本化させて何れか一方で連動操作するようにした手段があるが、このような連動操作は通常植付部が下降状態で植付クラッチが入の植付作業中のみに行われている。このため植付部が下降状態で植付クラッチが入のときには、アクセル操作に副変速も連動して作業速度も増速するが、植付部が下降状態のみでは増速せず、植付部を下降保持させての圃場内の移動時(空走り)には低速走行となって作業能率が悪いという不都合がある。
【0003】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、エンジンを搭載した走行車と、前記走行車に昇降可能に連結した植付部と、前記エンジンの回転数を制御するアクセルペダルと、前記アクセルペダルの踏込み操作量を検出するアクセルセンサと、前記エンジンの出力軸の回転数を検出するエンジン回転センサと、前記植付部の植付作業速度を変速する無段変速機構と、前記無段変速機構の速比を変更する変速モータと、前記アクセルセンサ値に対応して前記エンジンのスロットル開度を制御するアクセルモータとを備え、前記アクセルペダルの踏込み操作によって変更される前記エンジンの回転数に基づき、前記変速モータを作動させて、前記無段変速機構の速比を制御するように構成した田植機において、前記植付部への動力を継断する植付クラッチと、前記植付クラッチの入切を検出する植付スイッチとを備え、前記植付部を下降操作したとき又は前記植付クラッチを入にしたときに、前記アクセルペダルの踏込み操作によって変更される前記エンジンの回転数に基づき、前記無段変速機構の速比が変更されるように構成し、また前記植付部を上降操作したとき又は前記植付クラッチを切にしたときに、前記無段変速機構の速比が最低速に制御されるように構成した構造であって、前記植付部を下降させる操作によって、一定時間が経過するまでは前記無段変速機構の速比を低速に保持し、一定時間が経過したときには、前記無段変速機構の速比を緩やかに増速側に変更させるという緩増速制御を行うように構成し、さらに、前記緩増速制御中に、前記アクセルペダルの踏込み操作によってエンジンの回転数が一定以上変化したとき、前記緩増速制御を中止して、前記エンジンの回転数に基づき前記無段変速機構の速比が変更される通常の制御に移行するように構成したもので、前記植付部を下降させることによって、前記アクセルペダルの踏込み操作によって前記無段変速機構の速比が増速側に変更され、高速で走行できるから、前記植付部を下降させ且つ植付クラッチを切にして前記植付部を停止させた状態で圃場内を移動(空走り)する作業の能率を向上できる。前記植付部を下降操作してから一定時間だけ低速域で走行させるから、次行程の植付条の条合せなどを簡単に行うことができる。次行程の植付条の条合せ操作が完了し、前記アクセルペダルが踏込み操作されて、前記エンジン回転数が高くなったときに、前記無段変速機構の速比も追従して高速側に変更されるから、苗の植付作業の能率を向上できる。
【0004】
【0005】
【0006】
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は乗用田植機の側面図、図2は同平面図を示し、図中(1)は作業者が搭乗する走行車であり、エンジン(2)を車体フレーム(3)に搭載させ、ミッションケース(4)前方にフロントアクスルケース(5)を介して水田走行用前輪(6)を支持させると共に、前記ミッションケース(4)の後部にリヤアクスルケース(7)を連設し、前記リヤアクスルケース(7)に水田走行用後輪(8)を支持させる。そして前記エンジン(2)等を覆うボンネット(9)両側に予備苗載台(10)を取付けると共に、乗降ステップ(11)を介して作業者が搭乗する車体カバー(12)によって前記ミッションケース(4)等を覆い、前記車体カバー(12)上部に運転席(13)を取付け、その運転席(13)の前方で前記ボンネット(9)後部に操向ハンドル(14)を設ける。
【0008】
また、図中(15)は6条植え用の苗載台(16)並びに複数の植付爪(17)などを具備する植付部であり、前高後低の合成樹脂製の前傾式苗載台(16)を下部レール(18)及びガイドレール(19)を介して植付ケース(20)に左右往復摺動自在に支持させると共に、一方向に等速回転させるロータリケース(21)を前記植付ケース(20)に支持させ、該ケース(21)の回転軸芯を中心に対称位置に一対の爪ケース(22)(22)を配設し、その爪ケース(22)(22)先端に植付爪(17)(17)を取付ける。また前記植付ケース(20)の前側にローリング支点軸(23)を介してヒッチブラケット(24)を設け、トップリンク(25)及びロワーリンク(26)を含む昇降リンク機構(27)を介して走行車(1)後側にヒッチブラケット(24)を連結させ、前記リンク機構(27)を介して植付部(15)を昇降させる油圧昇降シリンダ(28)をロワーリンク(26)に連結させ、前記前後輪(6)(8)を走行駆動して移動すると同時に、左右に往復摺動させる苗載台(16)から一株分の苗を植付爪(17)によって取出し、連続的に苗植え作業を行うように構成する。
【0009】
また、図中(29)は主変速レバー、(30)は植付レバー、(31)は感度設定器、(32)は主クラッチペダル、(33)(33)は左右ブレーキペダル、(34)は2条分均平用センタフロート、(35)は2条分均平用サイドフロート、(36)は6条用の側条施肥機である。
【0010】
さらに、図3、図4に示す如く、前低後高(傾斜角約4度)に傾斜させる前記車体フレーム(3)前部上面に架台(37)…を一体固定させ、架台(37)…の上面に防振ゴム(38)…及びエンジン台(39)を介して前記エンジン(2)を上載させ、前記エンジン(2)の左側に燃料タンク(40)を、またエンジン(2)の右側にマフラー(41)を取付けると共に、車体フレーム(3)前端側略中央にバッテリ(43)を取付けている。
【0011】
またさらに、前記車体フレーム(3)にケース台(44)を一体固定させ、ケース台(44)にステアリングケース(45)を取付け、ハンドル筒体(46)に内挿させる操向ハンドル(14)のステアリング軸(14a)を、左右車体フレーム(3)(3)間の略中央でステアリングケース(45)上面に立設させると共に、ステアリングケース(45)下面に出力軸(47)を突設させ、左右の前輪(6)(6)を方向転換させる操向アーム(48)を前記出力軸(47)に取付けている。
【0012】
また、前記エンジン(2)下方のエンジン台(39)下側に、前後方向に略水平な円筒形の軸受体(49)を熔接固定させ、前記軸受体(49)にカウンタ軸(50)を挿通支持させ、軸受体(49)前方に突出させるカウンタ軸(50)前端にカウンタプーリ(51)を取付けると共に、左右車体フレーム(3)(3)間の略中央上方でエンジン(2)の前方にエンジン出力軸(52)を突設させ、該出力軸(52)に出力プーリ(53)を取付け、該出力プーリ(53)を前記カウンタプーリ(51)にVベルト(54)を介して連結させている。
【0013】
さらに、前記車体フレーム(3)後端部にリヤアクスルケース(7)をボルト止め固定させ、前記リヤアクスルケース(7)前面にミッションケース(4)後面を連結固定させると共に、ミッションケース(4)の右側前面にクラッチケース(55)を一体形成し、クラッチケース(55)前面に無段ベルト変速ケース(56)右側後面を嵌合固定させ、また昇降シリンダ(28)を作動させる油圧ポンプ(57)をベルト変速ケース(56)の左側後面に固定させるもので、四角パイプ形の左右車体フレーム(3)(3)の間でこの上面よりも低位置に前記各ケース(4)(55)(56)及び油圧ポンプ(57)を吊下げ固定させ、ユニバーサルジョイント付き伝動軸(58)を前記カウンタ軸(50)後端とベルト変速ケース(56)間に設け、エンジン(2)出力をベルト変速ケース(56)に伝えると共に、フロントアクスルケース(5)とミッションケース(4)間に前輪伝動軸(59)を設け、ミッションケース(4)の変速出力を各アクスルケース(5)(7)を介して前後輪(6)(8)に伝えるように構成している。
【0014】
図7に示す如く、電動式変速モータ(電動シリンダ)(60)の操作でもって巻付け径を変化させて変速比を無段階に変更する入出力プーリ(61)(62)及びVベルト(63)で構成する副変速部であるベルト式無段変速機構(64)をベルト変速ケース(56)に内設させ、主クラッチペダル(32)によって断続操作する多板摩擦形乾式クラッチ(65)を前記クラッチケース(55)に内設させ、ベルト変速ケース(56)の出力軸(66)をミッションケース(4)の入力軸(67)に前記クラッチ(65)を介して連結させて、前記変速モータ(60)でもって副変速である植付作業速度を変速するように構成している。
【0015】
また、前記入力軸(67)に走行変速ギヤ機構(68)を介して走行出力軸(69)を連結させ、前後輪(6)(8)に前後輪伝動軸(59)(70)を介して前記走行出力軸(69)を連結させ、前後輪(6)(8)を駆動すると共に、前記入力軸(67)にPTO変速ギヤ機構(71)及び植付クラッチ(72)を介してPTO軸(73)を連結させ、PTO軸(73)を介して植付部(15)を駆動し、また変速ケース(4)近くでPTO軸(73)出力をスプロケット(74)により分岐して施肥機(36)を駆動するように構成している。なお(75)は前記昇降シリンダ(28)を作動する油圧ポンプである。また前記変速モータ(60)に換え電磁操作式油圧シリンダを用いて無段変速機構(64)の速比を変更させても良く、さらにベルト式無段変速機構(64)に換え油圧式無段変速機構(HST)を用いても良い。
【0016】
図5、図6に示す如く、前記変速モータ(60)は左右車体フレーム(3)の後部内側に略平行で前低後高に一体連結させる左右サブフレーム(76)の左サブフレーム(76)に取付けるもので、左サブフレーム(76)の固定ブラケット(77)に枢支軸(78)を介し変速モータ(60)の基端を上下動自在に取付けると共に、前記無段変速機構(64)を内設する変速ケース(56)前面の変速レバー(79)に連結リンク(80)・引上げアーム(81)を介して変速モータ(60)のモータ軸(60a)を連結させ、変速モータ(60)の駆動によるモータ軸(60a)の伸縮動作でもって変速レバー(79)を操作して無段変速機構(64)を変速させ速比を変更するように構成している。
【0017】
前記引上げアーム(81)は左車体フレーム(3)上に横軸(82)を介し中間部を揺動自在に枢支させ、一端側を前記モータ軸(60a)に、他端側を前記リンク(80)にそれぞれ連結させて、変速モータ(60)からの変速操作出力を変速レバー(79)に伝えると共に、左車体フレーム(3)に取付板(83)などを介し固設するポテンショメータ式速比センサ(84)のセンサアーム(85)と、前記引上げアーム(81)の検出軸(86)とを係合連結させて、前記変速モータ(60)によって引上げアーム(81)を揺動させて無段変速機構(64)を変速操作するときの速比を速比センサ(84)で検出するように構成している。
【0018】
図2、図8、図9に示す如く、前記右車体フレーム(3)より右外側でブレーキペダル(33)近傍にアクセル操作部材であるアクセルペダル(87)を配設して、該ペダル(87)のペダル軸(88)に固設するペダルアーム(89)の先端に固設する検出軸(90)と右車体フレーム(3)側に固定するポテンショメータ式アクセルセンサ(91)のセンサアーム(91a)とを係合連結させて、アクセルペダル(87)の踏込み操作量(エンジン回転数の増減速)をアクセルセンサ(91)でもって検出するように構成している。
【0019】
そしてアクセルセンサ(91)のセンサ値に対応した位置までエンジン(2)スロットル部(2a)のスロットル開度を制御するようにアクセルモータ(92)を駆動すると共に、エンジン出力軸(52)の回転数を検出するピックアップ型エンジン回転センサ(93)でアクセルモータ(92)によるエンジン(2)の実エンジン回転数(N)を検出するとき、実エンジン回転数(N)に基づいて設定される無段変速機構(64)の速比位置まで変速モータ(60)を連動制御して、ペダル(87)操作によってエンジン回転数(N)を変更するとき、無段変速機構(64)の速比もエンジン回転数(N)に応じ変更して、単一のペダル(87)操作でエンジン回転数(N)と速比の連動した同時の変更を行うように構成している。なおボンネット(9)の右外側に設けるアクセルレバー(94)によってもアクセルペダル(87)同様にエンジン回転数(N)と速比の連動した変更を行うものである。
【0020】
また、図11,図16に示す如く、エンジン回転数(N)に対する無段変速機構(64)の速比を高速及び中速及び低速モードの変速モードに切換えるモード切換スイッチ(95)の操作レバー(96)を操向ハンドル(14)の近傍位置に設けるもので、操向ハンドル(14)のホイル部(14b)と操作コラム(97)の上部パネル面(97a)と間のステアリング軸(14a)外筒(98)にボルト(99)を介し取外し自在にレバー台(100)を固定させ、該レバー台(100)にレバー軸(101)を介し操作レバー(96)を回動自在に取付けて、操作レバー(96)の先端操作部(96a)をハンドル(14)の左外側でボンネット(9)の左外面より外側に突出させない範囲に配置させて、操作レバー(96)をレバー軸(101)を中心として略水平での前後方向に回動させ運転席(13)に近い後方向とするとき低速モードに、また略横方向とするとき中速モードに、さらに前方向とするとき高速モードに切換えるように構成している。
【0021】
また図10に示す如く、アクセルペダル(87)は運転席(13)の作業者の足の向きに回転方向を一致させるように設けるもので、前後垂直ラインより一定角度(θ)だけペダル(87)の向きを左方向に傾けて、足の向きとペダル(87)の向きとを一致させることにより、ペダル(87)の操作性を向上させると共に、ブレーキペダル(33)とアクセルペダル(87)との間の距離をとってこれらペダル(33)(87)の踏み間違いを防止するように構成している。
【0022】
そして図13に示す如く、前記植付レバー(30)の近傍位置に設置して該レバー(30)による植付部(15)の下降操作を検出する植付下降スイッチ(102)と、前記植付レバー(30)による前記植付クラッチ(72)の入切を検出する植付スイッチ(103)と、主クラッチペダル(32)の入切を検出する主クラッチスイッチ(104)と、モード切換スイッチ(95)と、前記アクセルモータ(92)の駆動によってスロットルアーム(105)を介し制御されるスロットル部(2a)のスロットル開度を検出するスロットルセンサ(106)と、前記アクセルセンサ(91)と、速比センサ(84)と、エンジン回転センサ(94)と、前記走行出力軸(69)の回転より車速を検出する車速センサ(107)とをコントローラ(108)に接続させると共に、前記変速モータ(60)及びアクセルモータ(92)に各リレー回路(109)(110)を介して、また前記パネル面(96a)に設ける制御表示ランプ(111)にコントローラ(108)を接続させて、単一のペダル(87)操作でエンジン回転数(N)と無段変速機構(64)の速比の連動した同時変更を行うように構成している。
【0023】
また図12に示す如く、前記植付レバー(30)は植付部(15)の昇降操作と、植付クラッチ(72)の入切操作とを可能とさせるもので、植付レバー(30)の上昇位置と下降位置との間に植付部(15)を中間高さで停止させる中立位置を設け、また植付レバー(30)の下降位置では植付クラッチ(72)を切とする植付クラッチ(72)の植付切操作位置に設けると共に、植付レバー(30)の前方揺動端を植付入操作位置に設けて、植付レバー(30)を植付入操作位置とさせるとき植付部(15)を下降状態に保ったまま植付クラッチ(72)を入とするように設けている。
【0024】
本実施例は上記の如く構成するものにして、図14のフローチャートに示す如く、前記エンジン(2)の駆動中植付部(15)が下降操作(下降スイッチ(102)がオン)されるとき或いは植付部(15)が下降されて植付クラッチ(72)が入(植付スイッチ(103)がオン)となるとき、計時(T)が開始されると共に、エンジン回転センサ(93)及び速比センサ(84)によってエンジン回転数(N)及び速比(V)がコントローラ(108)に入力されるもので、図16に示す如く、前記モード切換スイッチ(95)によって選択された低速或いは中速或いは高速モード(例えば通常条件では高速、走行負荷が一定以内或いは以上に大のとき中速或いは低速)より、エンジン回転数(N)に対応した最適の目標の速比(V1)が計算される。
【0025】
そして、植付部(15)の下降時の計時開始より一定時間(T1)(T1≒4秒)内は図15の実線(S1)部で示す如く、速比(V)を低速より目標となる高速の速比(V1)に変速モータ(60)をパルス駆動(間欠駆動)して徐々に増速させる緩増速制御を行うもので、前記速比センサ(84)で検出される実際の速比(V2)と目標の速比(V1)との差(|V1−V2|)が不感帯(V0)以上にあるとき、この差(|V1−V2|)を不感帯(V0)に入れて|V1−V2|<V0とする変速モータ(60)の連続した増減速制御が行われて、その時駆動するエンジン(2)のエンジン回転数(N)に応じた速比による圃場条件及び機械条件に最適の植付作業速度で作業を行うものである。
【0026】
またこの場合低速・中速・高速の各モードはエンジン回転数(N)の低回転及び高回転の一定区間(a)(b)の速比を最低速(L)及び最高速(H)に保持させるもので、低回転側のエンジン回転数(N)(N=1700〜2000rpm)の一定区間(a)で速比を最低速(L)に保持させる場合、この低回転側での植付作業速度の所定以上の低下を防止して、エンジン(2)の低回転域での馬力不足状態を解消させると共に、低回転域でエンジン回転数(N)がばらついた場合でも一定値(L)を保つ速比によって作業速度を略最低速に確実に維持させた良好な低速作業を行うものである。
【0027】
一方、高回転側のエンジン回転数(N)(N=3500〜3900rpm)の一定区間(b)で速比を最高速(H)に保持させる場合、使用頻度の高いエンジン(2)の高回転域で作業速度が減速する頻度を低減させて、安定した作業速度を確保して作業の高能率化を図るものである。
【0028】
そしてエンジン回転数(N)の最低速区間(a)と最高速区間(b)との間の中間回転域である一定区間(c)(c=2000〜3500rpm)にあっては、エンジン回転数(N)に速比を比例させて高速側に変更させ、アクセル操作の操作量に作業速度を加速比例させて、アクセル操作による作業速度のスムーズにして良好な増減速制御を可能とさせるものである。
【0029】
なお、前記モード切換スイッチ(95)は該スイッチ(95)のオープン(接点が開)状態のときを低速モードに設けて、配線に断線や端子抜け事故など発生したときには自動的に低速モードに戻して、作業が高速化するのを防止している。
【0030】
また、図15の実線(S2)部で示す如く、速比(V)を低速より目標の速比(V1)に徐々に増速(間欠増速)させる時間(T1)内にあって、アクセルペダル(87)操作などでエンジン回転数(N)が所定回転数(△N)(例えば一定時間内のエンジン回転数(N)の変化量)以上変化するときには、この緩増速制御を解除させ連動制御に移行させて、この変化分速比も増速させるもので、アクセルペダル(87)など人為操作を優先させ、植付部(15)を下降しての条合せ完了後に一定時間(T1)内であっても高速側にアクセル操作などした場合に、速比を自動的に増速側に制御するものである。
【0031】
さらに、変速モータ(60)による増速制御にあって制限値(15km/h)以上の車速を検出するとき、制限値以内に車速を抑えるように速比を制御して、機体の安定走行を図るものである。
【0032】
一方、植付レバー(30)を下降位置から中立及び上昇位置に操作しての植付部(15)の上昇時には、変速モータ(60)によって無段変速機構(64)の速比を最低速に制御すると共に、計時をクリアする。
【0033】
また、前述にあっては植付レバー(30)を中立から下降位置に操作したとき、図15実線(S1)部に示す如く速比(V)を一定時間(T1)内で徐々に低速から高速側に増速させる構成を示したが、 図15破線(S3)部に示す如く、下降位置に操作してからの一定時間(K)低速を保持させ、その後前述同様一定時間(T1)内で徐々に低速から高速側に増速(間欠増速)させる遅延緩増速制御を行う構成でも良い。
【0034】
このように、植付部(15)の下降や植付クラッチ(72)の入動作によって、アクセルペダル(87)操作に基づいたエンジン回転数(N)と速比(V)の連動制御が行われるもので、植付部(15)を下降状態に保っての走行中も連動制御によって速比(V)が増速して、従来の如く植付部(15)の下降状態では速比を低速保持して作業を低能率とさせる不都合を解消させ、植付部(15)を下降状態に保ったままの圃場内の移動時(空走り)の高速走行を可能とさせて、圃場内移動時の作業能率を向上させることができる。また植付作業中の植付クラッチ(72)の入切に関係なく連動制御が行われる為、植付作業中は変速ショックのないフィーリング良好な作業が行われるものである。
【0035】
なお、前述実施例においてはアクセルペダル(87)及びアクセルレバー(94)の操作をアクセルセンサ(91)で検出してアクセルモータ(92)を駆動する構成を示したが、アクセルペダル(87)及びアクセルレバー(94)とスロットル部(2a)をアクセルワイヤで連動連結して、直接的にスロットル開度を調節する構成でも良い。
【0036】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように、請求項1に係る発明は、エンジン(2)を搭載した走行車(1)と、走行車(1)に連結した植付部(15)と、エンジン(2)の回転数を制御するアクセルペダル(87)と、アクセルペダル(87)の踏込み操作量を検出するアクセルセンサ(91)と、エンジン(2)の出力軸(2a)の回転数を検出するエンジン回転センサ(94)と、植付部(15)の植付作業速度を変速する無段変速機構(64)と、無段変速機構(64)の速比を変更する変速モータ(60)と、アクセルセンサ(91)値に対応してエンジン(2)のスロットル開度を制御するアクセルモータ(92)とを備え、アクセルペダル(87)の踏込み操作によって変更されるエンジン(2)の回転数に基づき、変速モータ(60)を作動させて、無段変速機構(64)の速比を制御するように構成した田植機において、植付部(15)への動力を継断する植付クラッチ(72)と、植付クラッチ(72)の入切を検出する植付スイッチ(103)とを備え、植付部(15)を下降操作したとき又は植付クラッチ(72)を入にしたときに、アクセルペダル(87)の踏込み操作によって変更されるエンジン(2)の回転数に基づき、無段変速機構の速比が変更されるように構成し、また植付部を上降操作したとき又は植付クラッチを切にしたときに、無段変速機構(64)の速比が最低速に制御されるように構成した構造であって、植付部(15)を下降させる操作によって、一定時間が経過するまでは無段変速機構(64)の速比を低速に保持し、一定時間が経過したときには、無段変速機構(64)の速比を緩やかに増速側に変更させるという緩増速制御を行うように構成し、さらに、前記緩増速制御中に、前記アクセルペダル(87)の踏込み操作によってエンジン(2)の回転数が一定以上変化したとき、前記緩増速制御を中止して、エンジン(2)の回転数に基づき無段変速機構(64)の速比が変更される通常の制御に移行するように構成したもので、植付部(15)を下降させることによって、前記アクセルペダル(87)の踏込み操作によって無段変速機構(64)の速比が増速側に変更され、高速で走行できるから、植付部(15)を下降させ且つ植付クラッチ(72)を切にして植付部(15)を停止させた状態で圃場内を移動(空走り)する作業の能率を向上できる。植付部(15)を下降操作してから一定時間だけ低速域で走行させるから、次行程の植付条の条合せなどを簡単に行うことができる。次行程の植付条の条合せ操作が完了し、アクセルペダル(87)が踏込み操作されて、エンジン(2)回転数が高くなったときに、無段変速機構(64)の速比も追従して高速側に変更されるから、苗の植付作業の能率を向上できる。
【0037】
【0038】
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】田植機の全体側面図である。
【図2】田植機の全体平面図である。
【図3】走行車体の側面説明図である。
【図4】走行車体の平面説明図である。
【図5】変速ケース部の側面説明図である。
【図6】変速モータ部の側面説明図である。
【図7】ミッションケースの駆動系の説明図である。
【図8】アクセルペダル部の説明図である。
【図9】アクセル部と無段変速機構の駆動説明図である。
【図10】運転操作部の平面説明である。
【図11】モード切換スイッチの操作レバーの説明である。
【図12】植付レバーの動作説明図である。
【図13】制御回路図である。
【図14】フローチャートである。
【図15】出力線図である。
【図16】エンジン回転数と速比の関係を示すモード線図である。
【符号の説明】
(1)走行車
(2)エンジン
(15)植付部
(60)変速モータ
(64)無段変速機構
(72)植付クラッチ
(87)アクセルペダル
(91)アクセルセンサ
(92)アクセルモータ
(94)エンジン回転センサ
(103)植付スイッチ
Claims (1)
- エンジンを搭載した走行車と、前記走行車に昇降可能に連結した植付部と、前記エンジンの回転数を制御するアクセルペダルと、前記アクセルペダルの踏込み操作量を検出するアクセルセンサと、前記エンジンの出力軸の回転数を検出するエンジン回転センサと、前記植付部の植付作業速度を変速する無段変速機構と、前記無段変速機構の速比を変更する変速モータと、前記アクセルセンサ値に対応して前記エンジンのスロットル開度を制御するアクセルモータとを備え、前記アクセルペダルの踏込み操作によって変更される前記エンジンの回転数に基づき、前記変速モータを作動させて、前記無段変速機構の速比を制御するように構成した田植機において、
前記植付部への動力を継断する植付クラッチと、前記植付クラッチの入切を検出する植付スイッチとを備え、前記植付部を下降操作したとき又は前記植付クラッチを入にしたときに、前記アクセルペダルの踏込み操作によって変更される前記エンジンの回転数に基づき、前記無段変速機構の速比が変更されるように構成し、
また前記植付部を上降操作したとき又は前記植付クラッチを切にしたときに、前記無段変速機構の速比が最低速に制御されるように構成した構造であって、
前記植付部を下降させる操作によって、一定時間が経過するまでは前記無段変速機構の速比を低速に保持し、一定時間が経過したときには、前記無段変速機構の速比を緩やかに増速側に変更させるという緩増速制御を行うように構成し、
さらに、前記緩増速制御中に、前記アクセルペダルの踏込み操作によってエンジンの回転数が一定以上変化したとき、前記緩増速制御を中止して、前記エンジンの回転数に基づき前記無段変速機構の速比が変更される通常の制御に移行するように構成したことを特徴とする田植機。
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